JP3605973B2 - アルキルアルコキシシラン含有多孔質無機建材用浸透性吸水防止材 - Google Patents

アルキルアルコキシシラン含有多孔質無機建材用浸透性吸水防止材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,長期にわたって乳化状態が安定なアルキルアルコキシシラン水性エマルジョンを有効成分として含有する、コンクリート等の多孔質無機建材用水性型浸透性吸水防止材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から,アルキルアルコキシシランがコンクリート等の多孔質無機建材の撥水剤や浸透性吸水防止材として有用であることは広く知られている。最近では,表面に撥水性を付与するだけの撥水剤より,表層部に含浸させて疎水層を形成し水分や塩分等の侵入を防止して多孔質無機建材を保護する浸透性吸水防止材の方が耐久性の面で評価が高い。このため、浸透性に優れ,化学反応により強固な疎水層を形成するアルキルアルコキシシランの需要が高まっている。一般的には,アルキルアルコキシシランを種々の有機溶剤で希釈したものが用いられてきた。しかしながら、有機溶剤の有する毒性,揮発性および引火性等の性質によりその使用範囲に制限があった。
【0003】
例えば,比較的毒性が少ないイソプロピルアルコールを溶剤にした場合でも,蒸発速度が急速であるため基材への浸透が制限される等の問題があった。また,基本的に有機溶剤溶液は,濡れたコンクリート面に塗布できないという問題もあった。さらに,環境問題から有機溶剤を使わないシラン系浸透性吸水防止材が求められていた。以上の問題点を解決するためには,
1)アルキルアルコキシシランをそのまま塗布する。
2)アルキルアルコキシシランを加水分解させ水溶液として塗布する。
3)アルキルアルコキシシランを水性分散体にして塗布する。
等が考えられ商品化されているが,それぞれ以下のような新たな問題が懸念されている。
【0004】
1) アルキルアルコキシシラン自体は引火性が高く危険性が少ないとはいえ,消防法上の危険物であり,それをそのまま輸送し使用することは根本的な環境改善とは言えない。また,湿潤面への塗布も難しい。
2) アルキルアルコキシシランは加水分解するとシラン同士の縮合が起こりやすい。このため,水溶化するとポットライフが非常に短くなる。従って,現場にアルキルアルコキシシランを持ち込んで水溶化し、水溶化したものは使い切る必要がある。これは,繁雑な作業を必要とすることになる。経済的でもない。
3)アルキルアルコキシシランは加水分解反応とそれに続く縮合反応が起こりやすく水中で安定に存在させることは極めて難しく、ポットライフが十分でない。また,分散安定剤を用いるため塗布後の吸水防止性能が悪い。
【0005】
ポットライフと吸水防止性能の問題を解決できるならば,3)の水性分散体にする方法が最良の方法であり,幾つか検討されている。
まず,HLB値が4〜15のノニオン性乳化剤を用いてアルキルアルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物を乳化させる方法が特公平3−13195号公報に開示されている。しかしながら,ノニオン性乳化剤だけでは二層分離が起こり易く,簡単に安定な水性エマルジョンを得ることはできない。また,乳化するシランによってノニオン性乳化剤のHLB値,乳化剤の量等の最適条件を選び出すのが難しい。さらには,例えば,HLB値が等しい乳化剤でも固体であるか液体であるかで浸透性が変わってくる。このため,防水性と安定性とのバランスあるいは浸透性を考慮すると,使用できる乳化剤は限られてくる。また,比較的多量のノニオン性乳化剤が必要であるため,吸水防止性能や表面の撥水性が悪い。
【0006】
また,アルキルアルコキシシランをノニオン性乳化剤およびアニオン性乳化剤(全乳化剤中のアニオン性乳化剤の割合が0.01〜20重量%)を用いて水性乳化した水性有機ケイ素系組成物が,特公平7−5400号公報に開示されている。該組成物は,建材用浸透性吸水防止材としての性能安定性に優れているだけでなく6ヶ月以上も分離することなく安定であり,しかも乳化に際しての諸条件を細かく選択するする必要がないので簡単に製造することができる。
しかしながら,アルキルアルコキシシランを単純に乳化するだけでは,常温で1年以上の長期にわたって保存すると分離して振盪するだけでは再乳化できなくなる場合があること,経時変化によりシランが縮合してコンクリートに浸透せず塗布表面が濡れ色になる場合があること,この傾向が保存する温度が高いほど早くなること等,長期安定性のばらつきの問題があった。
アルキルアルコキシシランの分散粒子の平均粒径を0.55〜1.1μm、粒径分布の幅を1.3未満とすることにより、多孔質建材への浸透性を高めた鉱物質建築材料用含浸エマルジョンが、特開平7−10658号公報で提案されている。
しかしながら、アルキルアルコキシシランの分散粒径を2μm未満とするためには、多量の増粘剤や乳化剤を添加しなければならない。増粘剤や乳化剤を多量に添加したものをコンクリート等の多孔質無機建材に塗布すると、表面に残り、外観、撥水性あるいは吸水防止性能に悪影響を与える。また分散粒径2μm未満では、アルコキシシリル基と水とが接触する確率が高くなり、高温下あるいは室温下でも長期間保存すると、加水分解やそれに続いて生ずる縮合反応により高分子量化する。このため、コンクリート等の多孔質無機建材に浸透しない高粘度液体や白色固体等が表面に残り、外観に悪影響を及ぼす。また吸水防止性能が悪化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は,長期にわたって乳化状態が安定なアルキルアルコキシシラン水性エマルジョンを含有する、コンクリート等の多孔質無機建材用水性型浸透性吸水防止材の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明は、アルキルアルコキシシラン,水、アニオン性乳化剤およびノニオン性乳化剤を含むアルキルアルコキシシラン水性エマルジョンを含有する多孔質無機建材用浸透性吸水防止材において,全乳化剤中のアニオン性乳化剤の割合が0.01〜20重量%であり、水中のアルキルアルコキシシランの液滴の直径が2〜10μm、好ましくは2〜9μmであるアルキルアルコキシシランの水性エマルジョンを有効成分として含有する多孔質無機建材用浸透性吸水防止材を提供する。
【0010】
本発明において,水中の液状アルキルアルコキシシランの液滴の直径は,エマルジョンを泡が入らないようにプレパラートとカバーグラスで挟み,光学顕微鏡で写真を撮影し,スケールと比較して測定したものである。
水中の液状アルキルアルコキシシランの液滴を2〜10μmにすることによって,液滴が安定に分散し1年以上経過してもシラン濃縮エマルジョンの乳白色層/水の無色透明層に分離するだけであるため再乳化が容易である。また,シランが液滴を形成しており、大部分のシランすなわち液滴内部のシランは水と接触していないため加水分解も起こりにくい。
【0011】
10μmより大きい液滴が存在すると,液滴同士がぶつかりあって液滴が大きくなりやすく,シランそのものが分離するため再乳化できなくなる。
一方,液滴の直径が小さければ小さいほどよいという訳ではなく,小さすぎると,アルコキシシリル基と水が接する確率が高いため加水分解し易くなり,加水分解によりエタノールが生じてエマルジョンが壊れ再乳化できなくなったり,コンクリート塗布面が濡れ色になったり,ゲル化したり,ポットライフが非常に短くなる。
コンクリート含浸材として有効なシラン濃度5〜70重量%でも、乳化剤の量、乳化・分散機の処理条件を適切に選択することにより、約2μmまでシラン液滴直径を小さくすることができる。
【0012】
本発明に使用するアルキルアルコキシシランは,炭素原子数が6から20の少なくとも1個のアルキル基と,メトキシ基,エトキシ基およびプロポキシ基から選ばれる少なくとも1個のアルコキシ基がケイ素に直結したものである。アルコキシ基としては,エトキシ基が特に好ましい。さらにモノアルキルトリアルコキシシランが特に好ましいものとして例示される。アルキルアルコキシシランの例としては,ヘキシルトリエトキシシラン,ヘプチルトリエトキシシラン,オクチルトリエトキシシラン,ノニルトリエトキシシラン,デシルトリエトキシシラン,ウンデシルトリエトキシシラン,ドデシルトリエトキシシラン,トリデシルトリエトキシシラン,テトラデシルトリエトキシシラン,ペンタデシルトリエトキシシラン,ヘキサデシルトリエトキシシラン,ヘプタデシルトリエトキシシラン,オクタデシルトリエトキシシラン,ノナデシルトリエトキシシラン,エイコシルトリエトキシシラン,またはこれらの混合物あげられる。しかし,必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0013】
ケイ素に直結した少なくとも1個のアルキル基の炭素数が6より小さい場合は,加水分解性および揮発性が非常に高いため塗布直後に一部が基材表面で反応し,それ以上のエマルジョンの浸透を遅らせるだけでなく,その間に未反応のシラン成分が蒸発しやすいため,結果として基材表面のみに撥水性を与えるだけになる。逆に,ケイ素に直結した少なくとも一個のアルキル基の炭素数が20よりも大きい場合は,分子量が大きすぎるため浸透しにくくなる。
アルコキシ基がメトキシ基の場合には,アルカリ性条件下での安定性が悪いため基材内部に浸透する前に表面で結合あるいは架橋が起こりやすく,また水性分散体の安定性の点でも好ましくない。一方,プロポキシ基以上の炭素鎖のアルコキシ基の場合は,逆に安定性が良いだけ内部に浸透しても基材との結合が遅くなり,効果発現に時間を要するという点で特に好ましいとは言えない。
【0014】
上記アルキルアルコキシシランには,多孔質無機建材を緻密化させて強化する目的でテトラアルコキシシランおよびまたはその低縮合物を、あるいは,上塗り材との付着性や密着性等の物性を向上させる目的でアミノ基,メタクリロキシル基,ビニル基,エポキシ基およびまたはチオール基等の官能基を有するアルコキシシランを、乳化安定性に支障がない程度の量で併用してもよい。
【0015】
エマルジョン中のアルキルアルコキシシランの好ましい濃度は,5〜70重量%である。5重量%未満では一回の塗布でコンクリートに十分な吸水防止性能を付与することが難しい。さらに,塗布回数を増やすとそれだけ多孔質無機建材中への浸透性を低下させることになるので5重量%未満の希薄エマルジョンは多孔質無機建材用吸水防止材としての用途には適さない。また,70重量%を超えると,水中の液状アルキルアルコキシシランの液滴の直径を約2〜10μmまで小さくすることは困難であり,乳化安定性も悪くなる。
【0016】
乳化剤としては特に制限はなく,アニオン性乳化剤,ノニオン性乳化剤,カチオン性乳化剤,両性乳化剤等が使用できる。
乳化剤量は,シラン成分の0.1〜50重量%,さらには0.1〜5重量%が好ましい。0.1重量%より少ないと安定なエマルジョンが得られず,50重量%より多いと十分な吸水防止性能が得られない。
【0017】
アニオン性乳化剤としては,脂肪酸塩,アルキル硫酸エステル塩,アルキルアリールスルフォン酸塩,アルキルナフタレンスルフォン酸塩,ジアルキルスルホコハク酸塩,アルキルジアリールエーテルジスルフォン酸塩,アルキルリン酸エステルまたはその塩,アルキルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル塩,アルキルアリールポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル塩,ナフタレンスルフォン酸フォルマリン縮合物,ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルまたはその塩,グリセロールボレイト脂肪酸エステルまたはその塩,ポリオキシエチレングリセロールボレイト脂肪酸エステルまたはその塩等が挙げられるが,必ずしもこれに限定されるものではない。
【0018】
ノニオン性乳化剤としては,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル,ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル,グリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルアミン,フッ素系ノニオン性乳化剤,シリコーン系ノニオン性乳化剤等が挙げられるが,必ずしもこれに限定されるものではない。
【0019】
カチオン性乳化剤としては,アルキルアミン塩,第四級アンモニウム塩,アルキルピリジニウム塩,アルキルイミダゾリウム塩等が挙げられるが,必ずしもこれに限定されるものではない。。
両性乳化剤としては,アルキルベタイン,アルキルアミンオキサイド,ホスファジルコリン(レシチンとも言う)等が挙げられるが,必ずしもこれに限定されるものではない。
【0020】
本発明においては、アニオン性乳化剤とノニオン性乳化剤との併用は必須である。アニオン性乳化剤とノニオン性乳化剤を併用することにより極く少量の乳化剤でアルキルアルコキシシランを乳化することができるため,乳化剤による耐水性への悪影響がほとんどなくなる。アニオン性乳化剤とノニオン性乳化剤を併用する場合の全乳化剤中のアニオン性乳化剤の割合は,0.01〜20重量%である。それぞれの乳化剤を単独で用いたり,アニオン性乳化剤の割合が20重量%より多くなると,安定なエマルジョンの製造が難しく分離し易くなる。
【0021】
本発明のアルキルアルコキシシラン水性エマルジョンには,分散性や浸透性吸水防止材としての性能に影響を与えない程度に,pH調整剤,防腐剤,防黴剤,抗菌剤,増粘剤,水性撥水剤,消泡剤,油溶性染料,水性着色剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。
pH調整剤は,pHを7〜9.5の弱アルカリ側に調整することによりアルコキシ基の加水分解を抑えるために添加される。pH調整剤としては,各種アルカリ化合物,pH緩衝剤等が使用できる。アルカリ化合物としては,水酸化ナトリウム,水酸化カルシウム等の金属水酸化物,プロピルアミン,イソアミルアミン,ヘキシルアミン,ラウリルアミン,ステアリルアミン等の有機アミン等が挙げられる。
【0022】
防腐剤は,エマルジョンの腐敗を防ぎ,防黴剤および抗菌剤は,塗布表面のカビや細菌の繁殖を防ぐものである。これらは,エマルジョンの安定性を損なわないものであれば特に制限なく用いることができる。例えば,ハロアリルスルホン系,ヨードプロパルギル系,N−ハロアルキルチオ系,ベンゾイミダゾール系,ニトリル系,ピリジン系,8-オキシキノリン系,ベンゾチアゾール系,イソチアゾリン系,有機スズ系,フェノール系,第4アンモニウム塩系,トリアジン系,チアジアジン系,アニリド系,アダマンタン系,ジチオカーバメート系,無機塩系,およびブロム化インダノン系化合物が挙げられる。この中で,水に溶けやすいものは防腐剤として,水に溶けにくいものは防黴剤や抗菌剤として,単独あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0023】
増粘剤は,粘度を上げてエマルジョンの分離安定性をさらに向上させるものであり,シランの安定性や塗布表面に悪影響を与えないものであれば特に制限なく用いることができる。例えば,変性ポリアクリル酸,変性ポリアクリル酸塩,ポリアクリル酸,ポリアクリル酸アルカリ塩,アルギン酸塩,アルギン酸エステル,ポリビニルアルコール,ポリエーテル,カゼイン,マンナン,デンプン,キトサン,カルボキシメチルセルロース,メトキシメチルセルロース等の水溶性高分子が挙げられ,単独あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0024】
水性撥水剤は,シランが浸透し易く表面に撥水性が十分得られない多孔質無機建材に使用する時に用いられる。水性撥水剤の種類としては,エマルジョンの分離安定性,シランの安定性および塗布表面の状態に悪影響を及ぼさないものであれば特に制限なく用いることができる。例えば,シリンコン系水性エマルジョン撥水剤,フッ素系水性エマルジョン撥水剤,ジルコニウム系水性エマルジョン撥水剤が挙げられる。
【0025】
本発明のアルキルアルコキシシラン水性エマルジョンは,アルキルアルコキシシラン,水,乳化剤,必要に応じてその他の添加剤を,水中の液状アルキルアルコキシシランの液滴の直径が0.5〜10μmになるように乳化分散機で乳化することにより得られる。液滴の直径は,乳化分散機の種類,撹拌速度あるいはノズルからの噴射圧力,処理時間等の乳化条件を変えることにより調整できる。乳化分散機としては,特殊機化工業社製の高速乳化分散機「T.K.ホモミクサー」,超微粒乳化分散装置「T.K.ミクロマイザー」,超高圧乳化分散システム「T.K.ナノマイザー」,IKA−MASCHINENBAU社製の高速分散微粒化機「ウルトラタラックス」,エム・テクニック社製「クレアミックス」,みずほ工業社製の油圧式超高圧ホモジナイザー「マイクロフルイダイザー」等の低粘度の乳化に適した乳化分散機が好適に用いられる。これらの乳化分散機で高速あるは高圧で処理すると液温が上昇して乳化力が低下する場合があるので,容器を冷却する等して50℃以下に保持するのが好ましい。
【0026】
【実施例】
〔実施例1〕
n−ヘキシルトリエトキシシラン500g,ポリオキシエチレン(20モル)ステアリルエーテル2.0g,ラウリル硫酸ナトリウム0.02g,水酸化ナトリウム1%水溶液2.0g,1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン0.5g,2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン2.0gおよび水500gをホモミクサーを用い回転数10000rpmで60分間撹拌して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径はおよそ2μmであり,少なくとも10μm以上の液滴はなかった。
【0027】
〔実施例2〕
ホモミクサーの回転数10000rpmを5000rpmにする以外は,実施例1と同様に操作して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径はおよそ5μmであり,少なくとも10μm以上の液滴はなかった。
【0028】
〔実施例3〕
ホモミクサーの回転数10000rpmを3000rpmに,攪拌時間60分を90分にする以外は,実施例1と同様に操作して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径はおよそ8μmであり,少なくとも10μm以上の液滴はなかった。
【0029】
〔実施例4〕
n−ヘキシルトリエトキシシランをn−オクチルトリエトキシシランにする以外は,実施例2と同様に操作して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径はおよそ5μmであり,少なくとも10μm以上の液滴はなかった。
【0030】
【0031】
〔実施例
実施例1のエマルジョン1000gにジルコニウム系水系エマルジョン撥水剤(第一希元素社製「ジルコペールCA」)100gを混合して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径はおよそ5μmであり,少なくとも10μm以上の液滴はなかった。
【0032】
〔比較例1〕
ポリオキシエチレンステアリルエーテル2.0gを100gに,ラウリル硫酸ナトリウム0.02gを1gに,ホモミクサーの撹拌時間60分を120分にする以外は,実施例1と同様に操作して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径は0.5μm未満であった。
【0033】
〔比較例2〕
ホモミクサーの回転数10000rpmを2000rpmに,撹拌時間60分を10分にする以外は,実施例1と同様に操作して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径は5〜50μmと様々であった。
【0034】
〔比較例3〕
n−ヘキシルトリエトキシシラン500g,アルキルリン酸エステル(日本乳化剤社製「Newcol1000FCP」)2.0g,変性ポリアクリル酸エマルジョン(サンノプコ社製「SNシックナーA−850」)5.0g,1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン0.5g,2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン2.0gおよび水500gをホモミクサーを用い回転数5000rpmで60分間撹拌して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径はおよそ1μmであり,少なくとも10μm以上の液滴はなかった。
【0035】
実施例および比較例で得られたアルキルアルコキシシランの水性エマルジョンについて以下の試験を行った。結果を表1にまとめる。
【0036】
(浸透深さ測定)
7cm×7cm×2cmのモルタル供試体(JIS R 5201)の底面にエマルジョンを300g/m 塗布して24時間後に割断し,断面に5%メチレンブルー水溶液を塗布し,着色しない疎水層の厚さを5ヶ所測定し平均値を求める。
(吸水試験)
7cm×7cm×2cmのモルタル供試体(JIS R 5201)の全面にエマルジョンを300g/m 塗布し,室温で28日乾燥後,JIS A 1404に準じた吸水試験を行い,無塗布(ブランク)に対する24時間の吸水比を求める。
【0037】
(乳化安定性試験)
100ccのサンプル瓶にエマルジョンを50g入れて密栓し,室温で1.5年および60℃で3ケ月放置して乳化状態(分離状態)を目視で観察する。
(再乳化性試験)
乳化安定性試験後,サンプル瓶を30回振盪し室温で1時間静置して乳化状態を目視で観察する。(○:乳化する ×:乳化しない)
(濡れ色試験)
再乳化安定性試験後,再度サンプル瓶を30回振盪し,これをモルタル供試体底面に300g/m 塗布し,室温で7日間乾燥後,塗布表面の濡れ色の有無を目視により観察する。
【0038】
【表1】
Figure 0003605973
【0039】
【表2】
Figure 0003605973
【0040】
【発明の効果】
本発明のコンクリート等の多孔質無機建材用水性型浸透性吸水防止材の有効成分として使用されるアルキルアルコキシシラン水性エマルジョンは,長期にわたって乳化状態が安定であり,有用である。

Claims (1)

  1. アルキルアルコキシシラン,水、アニオン性乳化剤およびノニオン性乳化剤を含むアルキルアルコキシシラン水性エマルジョンを含有する多孔質無機建材用浸透性吸水防止材において,全乳化剤中のアニオン性乳化剤の割合が0.01〜20重量%であり、水中のアルキルアルコキシシランの液滴の直径が2〜10μmであるアルキルアルコキシシランの水性エマルジョンを有効成分として含有することを特徴とする多孔質無機建材用浸透性吸水防止材。
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