JPH09208938A - アルキルアルコキシシランの水性エマルジョン、その製造方法およびその使用 - Google Patents

アルキルアルコキシシランの水性エマルジョン、その製造方法およびその使用

Info

Publication number
JPH09208938A
JPH09208938A JP8323641A JP32364196A JPH09208938A JP H09208938 A JPH09208938 A JP H09208938A JP 8323641 A JP8323641 A JP 8323641A JP 32364196 A JP32364196 A JP 32364196A JP H09208938 A JPH09208938 A JP H09208938A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
emulsion
alkylalkoxysilane
emulsifier
aqueous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8323641A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3605973B2 (ja
Inventor
Takehiro Suzuki
健弘 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink Mfg Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from US08/646,496 external-priority patent/US5746810A/en
Application filed by Toyo Ink Mfg Co Ltd filed Critical Toyo Ink Mfg Co Ltd
Priority to JP32364196A priority Critical patent/JP3605973B2/ja
Publication of JPH09208938A publication Critical patent/JPH09208938A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3605973B2 publication Critical patent/JP3605973B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Aftertreatments Of Artificial And Natural Stones (AREA)
  • Colloid Chemistry (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 長期にわたって乳化状態が安定かつコンクリ
ート等の多孔質無機建材用水性型浸透性吸水防止材とし
て有用なアルキルアルコキシシラン水性エマルジョンを
提供をする。 【解決手段】 水中のアルキルアルコキシシランの液滴
の直径が約2〜10μmであるアルキルアルコキシシラ
ン,水および乳化剤を含むアルキルアルコキシシラン水
性エマルジョン、該エマルジョンの製造方法、および該
エマルジョンを有効成分として含有する多孔質無機建材
用浸透性吸水防止材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,長期にわたって乳
化状態が安定かつコンクリート等の多孔質無機建材用水
性型浸透性吸水防止材として有用なアルキルアルコキシ
シラン水性エマルジョンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来から,アルキルアルコキシシランが
コンクリート等の多孔質無機建材の撥水剤や浸透性吸水
防止材として有用であることは広く知られている。最近
では,表面に撥水性を付与するだけの撥水剤より,表層
部に含浸させて疎水層を形成し水分や塩分等の侵入を防
止して多孔質無機建材を保護する浸透性吸水防止材の方
が耐久性の面で評価が高い。このため、浸透性に優れ,
化学反応により強固な疎水層を形成するアルキルアルコ
キシシランの需要が高まっている。一般的には,アルキ
ルアルコキシシランを種々の有機溶剤で希釈したものが
用いられてきた。しかしながら、有機溶剤の有する毒
性,揮発性および引火性等の性質によりその使用範囲に
制限があった。
【0003】例えば,比較的毒性が少ないイソプロピル
アルコールを溶剤にした場合でも,蒸発速度が急速であ
るため基材への浸透が制限される等の問題があった。ま
た,基本的に有機溶剤溶液は,濡れたコンクリート面に
塗布できないという問題もあった。さらに,環境問題か
ら有機溶剤を使わないシラン系浸透性吸水防止材が求め
られていた。以上の問題点を解決するためには, 1)アルキルアルコキシシランをそのまま塗布する。 2)アルキルアルコキシシランを加水分解させ水溶液と
して塗布する。 3)アルキルアルコキシシランを水性分散体にして塗布
する。 等が考えられ商品化されているが,それぞれ以下のよう
な新たな問題が懸念されている。
【0004】1) アルキルアルコキシシラン自体は引
火性が高く危険性が少ないとはいえ,消防法上の危険物
であり,それをそのまま輸送し使用することは根本的な
環境改善とは言えない。また,湿潤面への塗布も難し
い。 2) アルキルアルコキシシランは加水分解するとシラ
ン同士の縮合が起こりやすい。このため,水溶化すると
ポットライフが非常に短くなる。従って,現場にアルキ
ルアルコキシシランを持ち込んで水溶化し、水溶化した
ものは使い切る必要がある。これは,繁雑な作業を必要
とすることになる。経済的でもない。 3)アルキルアルコキシシランは加水分解反応とそれに
続く縮合反応が起こりやすく水中で安定に存在させるこ
とは極めて難しく、ポットライフが十分でない。また,
分散安定剤を用いるため塗布後の吸水防止性能が悪い。
【0005】ポットライフと吸水防止性能の問題を解決
できるならば,3)の水性分散体にする方法が最良の方
法であり,幾つか検討されている。まず,HLB値が4
〜15のノニオン性乳化剤を用いてアルキルアルコキシ
シラン等の加水分解性有機珪素化合物を乳化させる方法
が特公平3−13195号公報に開示されている。しか
しながら,ノニオン性乳化剤だけでは二層分離が起こり
易く,簡単に安定な水性エマルジョンを得ることはでき
ない。また,乳化するシランによってノニオン性乳化剤
のHLB値,乳化剤の量等の最適条件を選び出すのが難
しい。さらには,例えば,HLB値が等しい乳化剤でも
固体であるか液体であるかで浸透性が変わってくる。こ
のため,防水性と安定性とのバランスあるいは浸透性を
考慮すると,使用できる乳化剤は限られてくる。また,
比較的多量のノニオン性乳化剤が必要であるため,吸水
防止性能や表面の撥水性が悪い。
【0006】また,アルキルアルコキシシランをノニオ
ン性乳化剤およびアニオン性乳化剤(全乳化剤中のアニ
オン性乳化剤の割合が0.01〜20重量%)を用いて
水性乳化した水性有機ケイ素系組成物が,特公平7−5
400号公報に開示されている。該組成物は,建材用浸
透性吸水防止材としての性能安定性に優れているだけで
なく6ヶ月以上も分離することなく安定であり,しかも
乳化に際しての諸条件を細かく選択するする必要がない
ので簡単に製造することができる。しかしながら,アル
キルアルコキシシランを単純に乳化するだけでは,常温
で1年以上の長期にわたって保存すると分離して振盪す
るだけでは再乳化できなくなる場合があること,経時変
化によりシランが縮合してコンクリートに浸透せず塗布
表面が濡れ色になる場合があること,この傾向が保存す
る温度が高いほど早くなること等,長期安定性のばらつ
きの問題があった。アルキルアルコキシシランの分散粒
子の平均粒径を0.55〜1.1μm、粒径分布の幅を
1.3未満とすることにより、多孔質建材への浸透性を
高めた鉱物質建築材料用含浸エマルジョンが、特開平7
−10658号公報で提案されている。しかしながら、
アルキルアルコキシシランの分散粒径を2μm未満とす
るためには、多量の増粘剤や乳化剤を添加しなければな
らない。増粘剤や乳化剤を多量に添加したものをコンク
リート等の多孔質無機建材に塗布すると、表面に残り、
外観、撥水性あるいは吸水防止性能に悪影響を与える。
また分散粒径2μm未満では、アルコキシシリル基と水
とが接触する確率が高くなり、高温下あるいは室温下で
も長期間保存すると、加水分解やそれに続いて生ずる縮
合反応により高分子量化する。このため、コンクリート
等の多孔質無機建材に浸透しない高粘度液体や白色固体
等が表面に残り、外観に悪影響を及ぼす。また吸水防止
性能が悪化する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は,長期にわた
って乳化状態が安定かつコンクリート等の多孔質無機建
材用水性型浸透性吸水防止材として有用なアルキルアル
コキシシラン水性エマルジョンの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】すなわち本発明は,アルキルアルコキシシ
ラン,水および乳化剤を含むアルキルアルコキシシラン
水性エマルジョンにおいて,水中の液状アルキルアルコ
キシシランの液滴の直径が約2〜10μm、好ましくは
約2〜9μmであることを特徴とするアルキルアルコキ
シシラン水性エマルジョン、およびその製造方法を提供
する。本発明はさらに、上記アルキルアルコキシシラン
水性エマルジョンを有効成分として含有する多孔質無機
建材用浸透性吸水防止材を提供する。
【0010】本発明において,水中の液状アルキルアル
コキシシランの液滴の直径は,エマルジョンを泡が入ら
ないようにプレパラートとカバーグラスで挟み,光学顕
微鏡で写真を撮影し,スケールと比較して測定したもの
である。水中の液状アルキルアルコキシシランの液滴を
約2〜10μmにすることによって,液滴が安定に分散
し1年以上経過してもシラン濃縮エマルジョンの乳白色
層/水の無色透明層に分離するだけであるため再乳化が
容易である。また,シランが液滴を形成しており、大部
分のシランすなわち液滴内部のシランは水と接触してい
ないため加水分解も起こりにくい。
【0011】10μmより大きい液滴が存在すると,液
滴同士がぶつかりあって液滴が大きくなりやすく,シラ
ンそのものが分離するため再乳化できなくなる。一方,
液滴の直径が小さければ小さいほどよいという訳ではな
く,小さすぎると,アルコキシシリル基と水が接する確
率が高いため加水分解し易くなり,加水分解によりエタ
ノールが生じてエマルジョンが壊れ再乳化できなくなっ
たり,コンクリート塗布面が濡れ色になったり,ゲル化
したり,ポットライフが非常に短くなる。コンクリート
含浸材として有効なシラン濃度5〜70重量%でも、乳
化剤の量、乳化・分散機の処理条件を適切に選択するこ
とにより、約2μmまでシラン液滴直径を小さくするこ
とができる。
【0012】本発明に使用するアルキルアルコキシシラ
ンは,炭素原子数が6から20の少なくとも1個のアル
キル基と,メトキシ基,エトキシ基およびプロポキシ基
から選ばれる少なくとも1個のアルコキシ基がケイ素に
直結したものである。アルコキシ基としては,エトキシ
基が特に好ましい。さらにモノアルキルトリアルコキシ
シランが特に好ましいものとして例示される。アルキル
アルコキシシランの例としては,ヘキシルトリエトキシ
シラン,ヘプチルトリエトキシシラン,オクチルトリエ
トキシシラン,ノニルトリエトキシシラン,デシルトリ
エトキシシラン,ウンデシルトリエトキシシラン,ドデ
シルトリエトキシシラン,トリデシルトリエトキシシラ
ン,テトラデシルトリエトキシシラン,ペンタデシルト
リエトキシシラン,ヘキサデシルトリエトキシシラン,
ヘプタデシルトリエトキシシラン,オクタデシルトリエ
トキシシラン,ノナデシルトリエトキシシラン,エイコ
シルトリエトキシシラン,またはこれらの混合物あげら
れる。しかし,必ずしもこれらに限定されるものではな
い。
【0013】ケイ素に直結した少なくとも1個のアルキ
ル基の炭素数が6より小さい場合は,加水分解性および
揮発性が非常に高いため塗布直後に一部が基材表面で反
応し,それ以上のエマルジョンの浸透を遅らせるだけで
なく,その間に未反応のシラン成分が蒸発しやすいた
め,結果として基材表面のみに撥水性を与えるだけにな
る。逆に,ケイ素に直結した少なくとも一個のアルキル
基の炭素数が20よりも大きい場合は,分子量が大きす
ぎるため浸透しにくくなる。アルコキシ基がメトキシ基
の場合には,アルカリ性条件下での安定性が悪いため基
材内部に浸透する前に表面で結合あるいは架橋が起こり
やすく,また水性分散体の安定性の点でも好ましくな
い。一方,プロポキシ基以上の炭素鎖のアルコキシ基の
場合は,逆に安定性が良いだけ内部に浸透しても基材と
の結合が遅くなり,効果発現に時間を要するという点で
特に好ましいとは言えない。
【0014】上記アルキルアルコキシシランには,多孔
質無機建材を緻密化させて強化する目的でテトラアルコ
キシシランおよびまたはその低縮合物を、あるいは,上
塗り材との付着性や密着性等の物性を向上させる目的で
アミノ基,メタクリロキシル基,ビニル基,エポキシ基
およびまたはチオール基等の官能基を有するアルコキシ
シランを、乳化安定性に支障がない程度の量で併用して
もよい。
【0015】エマルジョン中のアルキルアルコキシシラ
ンの好ましい濃度は,5〜70重量%である。5重量%
未満では一回の塗布でコンクリートに十分な吸水防止性
能を付与することが難しい。さらに,塗布回数を増やす
とそれだけ多孔質無機建材中への浸透性を低下させるこ
とになるので5重量%未満の希薄エマルジョンは多孔質
無機建材用吸水防止材としての用途には適さない。ま
た,70重量%を超えると,水中の液状アルキルアルコ
キシシランの液滴の直径を約2〜10μmまで小さくす
ることは困難であり,乳化安定性も悪くなる。
【0016】乳化剤としては特に制限はなく,アニオン
性乳化剤,ノニオン性乳化剤,カチオン性乳化剤,両性
乳化剤等が使用できる。乳化剤量は,シラン成分の0.
1〜50重量%,さらには0.1〜5重量%が好まし
い。0.1重量%より少ないと安定なエマルジョンが得
られず,50重量%より多いと十分な吸水防止性能が得
られない。
【0017】アニオン性乳化剤としては,脂肪酸塩,ア
ルキル硫酸エステル塩,アルキルアリールスルフォン酸
塩,アルキルナフタレンスルフォン酸塩,ジアルキルス
ルホコハク酸塩,アルキルジアリールエーテルジスルフ
ォン酸塩,アルキルリン酸エステルまたはその塩,アル
キルポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル塩,アル
キルアリールポリオキシエチレンエーテル硫酸エステル
塩,ナフタレンスルフォン酸フォルマリン縮合物,ポリ
オキシエチレンアルキルリン酸エステルまたはその塩,
グリセロールボレイト脂肪酸エステルまたはその塩,ポ
リオキシエチレングリセロールボレイト脂肪酸エステル
またはその塩等が挙げられるが,必ずしもこれに限定さ
れるものではない。
【0018】ノニオン性乳化剤としては,ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキル
アリールエーテル,ポリオキシエチレンオキシプロピレ
ンブロックコポリマー,ソルビタン脂肪酸エステル,ポ
リオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキ
シエチレンソルビトール脂肪酸エステル,グリセリン脂
肪酸エステル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル,ポ
リオキシエチレンアルキルアミン,フッ素系ノニオン性
乳化剤,シリコーン系ノニオン性乳化剤等が挙げられる
が,必ずしもこれに限定されるものではない。
【0019】カチオン性乳化剤としては,アルキルアミ
ン塩,第四級アンモニウム塩,アルキルピリジニウム
塩,アルキルイミダゾリウム塩等が挙げられるが,必ず
しもこれに限定されるものではない。。両性乳化剤とし
ては,アルキルベタイン,アルキルアミンオキサイド,
ホスファジルコリン(レシチンとも言う)等が挙げられ
るが,必ずしもこれに限定されるものではない。
【0020】これらの乳化剤は,単独であるいは任意に
混合して使用することができるが,アニオン性乳化剤と
ノニオン性乳化剤を併用するのが最も好ましい。アニオ
ン性乳化剤とノニオン性乳化剤を併用することにより極
く少量の乳化剤でアルキルアルコキシシランを乳化する
ことができるため,乳化剤による耐水性への悪影響がほ
とんどなくなる。アニオン性乳化剤とノニオン性乳化剤
を併用する場合の全乳化剤中のアニオン性乳化剤の割合
は,0.01〜20重量%が好ましい。それぞれの乳化
剤を単独で用いたり,アニオン性乳化剤の割合が20重
量%より多くなると,安定なエマルジョンの製造が難し
く分離し易くなる。
【0021】本発明のアルキルアルコキシシラン水性エ
マルジョンには,分散性や浸透性吸水防止材としての性
能に影響を与えない程度に,pH調整剤,防腐剤,防黴
剤,抗菌剤,増粘剤,水性撥水剤,消泡剤,油溶性染
料,水性着色剤等の添加剤を必要に応じて添加すること
ができる。pH調整剤は,pHを7〜9.5の弱アルカ
リ側に調整することによりアルコキシ基の加水分解を抑
えるために添加される。pH調整剤としては,各種アル
カリ化合物,pH緩衝剤等が使用できる。アルカリ化合
物としては,水酸化ナトリウム,水酸化カルシウム等の
金属水酸化物,プロピルアミン,イソアミルアミン,ヘ
キシルアミン,ラウリルアミン,ステアリルアミン等の
有機アミン等が挙げられる。
【0022】防腐剤は,エマルジョンの腐敗を防ぎ,防
黴剤および抗菌剤は,塗布表面のカビや細菌の繁殖を防
ぐものである。これらは,エマルジョンの安定性を損な
わないものであれば特に制限なく用いることができる。
例えば,ハロアリルスルホン系,ヨードプロパルギル
系,N−ハロアルキルチオ系,ベンゾイミダゾール系,
ニトリル系,ピリジン系,8-オキシキノリン系,ベンゾ
チアゾール系,イソチアゾリン系,有機スズ系,フェノ
ール系,第4アンモニウム塩系,トリアジン系,チアジ
アジン系,アニリド系,アダマンタン系,ジチオカーバ
メート系,無機塩系,およびブロム化インダノン系化合
物が挙げられる。この中で,水に溶けやすいものは防腐
剤として,水に溶けにくいものは防黴剤や抗菌剤とし
て,単独あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0023】増粘剤は,粘度を上げてエマルジョンの分
離安定性をさらに向上させるものであり,シランの安定
性や塗布表面に悪影響を与えないものであれば特に制限
なく用いることができる。例えば,変性ポリアクリル
酸,変性ポリアクリル酸塩,ポリアクリル酸,ポリアク
リル酸アルカリ塩,アルギン酸塩,アルギン酸エステ
ル,ポリビニルアルコール,ポリエーテル,カゼイン,
マンナン,デンプン,キトサン,カルボキシメチルセル
ロース,メトキシメチルセルロース等の水溶性高分子が
挙げられ,単独あるいは2種以上の混合物で用いられ
る。
【0024】水性撥水剤は,シランが浸透し易く表面に
撥水性が十分得られない多孔質無機建材に使用する時に
用いられる。水性撥水剤の種類としては,エマルジョン
の分離安定性,シランの安定性および塗布表面の状態に
悪影響を及ぼさないものであれば特に制限なく用いるこ
とができる。例えば,シリンコン系水性エマルジョン撥
水剤,フッ素系水性エマルジョン撥水剤,ジルコニウム
系水性エマルジョン撥水剤が挙げられる。
【0025】本発明のアルキルアルコキシシラン水性エ
マルジョンは,アルキルアルコキシシラン,水,乳化
剤,必要に応じてその他の添加剤を,水中の液状アルキ
ルアルコキシシランの液滴の直径が0.5〜10μmに
なるように乳化分散機で乳化することにより得られる。
液滴の直径は,乳化分散機の種類,撹拌速度あるいはノ
ズルからの噴射圧力,処理時間等の乳化条件を変えるこ
とにより調整できる。乳化分散機としては,特殊機化工
業社製の高速乳化分散機「T.K.ホモミクサー」,超
微粒乳化分散装置「T.K.ミクロマイザー」,超高圧
乳化分散システム「T.K.ナノマイザー」,IKA−
MASCHINENBAU社製の高速分散微粒化機「ウ
ルトラタラックス」,エム・テクニック社製「クレアミ
ックス」,みずほ工業社製の油圧式超高圧ホモジナイザ
ー「マイクロフルイダイザー」等の低粘度の乳化に適し
た乳化分散機が好適に用いられる。これらの乳化分散機
で高速あるは高圧で処理すると液温が上昇して乳化力が
低下する場合があるので,容器を冷却する等して50℃
以下に保持するのが好ましい。
【0026】
【実施例】
〔実施例1〕n−ヘキシルトリエトキシシラン500
g,ポリオキシエチレン(20モル)ステアリルエーテ
ル2.0g,ラウリル硫酸ナトリウム0.02g,水酸
化ナトリウム1%水溶液2.0g,1,2−ベンゾイソ
チアゾリン−3−オン0.5g,2−n−オクチル−4
−イソチアゾリン−3−オン2.0gおよび水500g
をホモミクサーを用い回転数10000rpmで60分
間撹拌して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の
観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径はおよ
そ2μmであり,少なくとも10μm以上の液滴はなか
った。
【0027】〔実施例2〕ホモミクサーの回転数100
00rpmを5000rpmにする以外は,実施例1と
同様に操作して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微
鏡の観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径は
およそ5μmであり,少なくとも10μm以上の液滴は
なかった。
【0028】〔実施例3〕ホモミクサーの回転数100
00rpmを3000rpmに,攪拌時間60分を90
分にする以外は,実施例1と同様に操作して白色水性エ
マルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,このエマル
ジョンのシラン液滴の直径はおよそ8μmであり,少な
くとも10μm以上の液滴はなかった。
【0029】〔実施例4〕n−ヘキシルトリエトキシシ
ランをn−オクチルトリエトキシシランにする以外は,
実施例2と同様に操作して白色水性エマルジョンを得
た。光学顕微鏡の観察から,このエマルジョンのシラン
液滴の直径はおよそ5μmであり,少なくとも10μm
以上の液滴はなかった。
【0030】〔実施例5〕n−ヘキシルトリエトキシシ
ラン500g,ホスファジルコリン(レシチン)2.0
g,水酸化ナトリウム1%水溶液2.0g,1,2−ベ
ンゾイソチアゾリン−3−オン0.5g,2−n−オク
チル−4−イソチアゾリン−3−オン2.0gおよび水
500gをホモミクサーを用い回転数5000rpmで
60分間撹拌して白色水性エマルジョンを得た。光学顕
微鏡の観察から,このエマルジョンのシラン液滴の直径
はおよそ5μmであり,少なくとも10μm以上の液滴
はなかった。
【0031】〔実施例6〕実施例1のエマルジョン10
00gにジルコニウム系水系エマルジョン撥水剤(第一
希元素社製「ジルコペールCA」)100gを混合して
白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,
このエマルジョンのシラン液滴の直径はおよそ5μmで
あり,少なくとも10μm以上の液滴はなかった。
【0032】〔比較例1〕ポリオキシエチレンステアリ
ルエーテル2.0gを100gに,ラウリル硫酸ナトリ
ウム0.02gを1gに,ホモミクサーの撹拌時間60
分を120分にする以外は,実施例1と同様に操作して
白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,
このエマルジョンのシラン液滴の直径は0.5μm未満
であった。
【0033】〔比較例2〕ホモミクサーの回転数100
00rpmを2000rpmに,撹拌時間60分を10
分にする以外は,実施例1と同様に操作して白色水性エ
マルジョンを得た。光学顕微鏡の観察から,このエマル
ジョンのシラン液滴の直径は5〜50μmと様々であっ
た。
【0034】〔比較例3〕n−ヘキシルトリエトキシシ
ラン500g,アルキルリン酸エステル(日本乳化剤社
製「Newcol1000FCP」)2.0g,変性ポ
リアクリル酸エマルジョン(サンノプコ社製「SNシッ
クナーA−850」)5.0g,1,2−ベンゾイソチ
アゾリン−3−オン0.5g,2−n−オクチル−4−
イソチアゾリン−3−オン2.0gおよび水500gを
ホモミクサーを用い回転数5000rpmで60分間撹
拌して白色水性エマルジョンを得た。光学顕微鏡の観察
から,このエマルジョンのシラン液滴の直径はおよそ1
μmであり,少なくとも10μm以上の液滴はなかっ
た。
【0035】実施例および比較例で得られたアルキルア
ルコキシシランの水性エマルジョンについて以下の試験
を行った。結果を表1にまとめる。
【0036】(浸透深さ測定)7cm×7cm×2cm
のモルタル供試体(JIS R 5201)の底面にエ
マルジョンを300g/m2 塗布して24時間後に割断
し,断面に5%メチレンブルー水溶液を塗布し,着色し
ない疎水層の厚さを5ヶ所測定し平均値を求める。 (吸水試験)7cm×7cm×2cmのモルタル供試体
(JIS R 5201)の全面にエマルジョンを30
0g/m2 塗布し,室温で28日乾燥後,JIS A
1404に準じた吸水試験を行い,無塗布(ブランク)
に対する24時間の吸水比を求める。
【0037】(乳化安定性試験)100ccのサンプル
瓶にエマルジョンを50g入れて密栓し,室温で1.5
年および60℃で3ケ月放置して乳化状態(分離状態)
を目視で観察する。 (再乳化性試験)乳化安定性試験後,サンプル瓶を30
回振盪し室温で1時間静置して乳化状態を目視で観察す
る。(○:乳化する ×:乳化しない) (濡れ色試験)再乳化安定性試験後,再度サンプル瓶を
30回振盪し,これをモルタル供試体底面に300g/
2 塗布し,室温で7日間乾燥後,塗布表面の濡れ色の
有無を目視により観察する。
【0038】
【表1】 液滴 浸透 室温保存1.5年後 直径 深さ 吸水比 分離状態 再乳化 濡れ色 μm mm 実施例1 2 4.3 0.05 白色/無色 ○ なし 実施例2 5 4.6 0.05 白色/無色 ○ なし 実施例3 8 4.5 0.05 白色/無色 ○ なし 実施例4 5 4.7 0.04 白色/無色 ○ なし 実施例5 5 4.3 0.05 白色/無色 ○ なし 実施例6 5 4.0 0.05 白色/無色 ○ なし 比較例1 <0.5 4.4 0.26 無色/乳白色 × 濡れ色 比較例2 5■50 4.2 0.05 無色/半透明 × なし 比較例3 1 4.0 0.06 白色/無色 ○ やや濡れ色 注:比較例3は、白色/無色と評価したが、若干分離が見られ、やや濡れ色が生 じている。
【0039】 注:比較例3は縮合の進行による高粘度化が進み、吸水
防止性能も悪くなっている。
【0040】
【発明の効果】本発明のアルキルアルコキシシラン水性
エマルジョンは,長期にわたって乳化状態が安定であ
り,コンクリート等の多孔質無機建材用水性型浸透性吸
水防止材として有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルキルアルコキシシラン,水および乳
    化剤を含むアルキルアルコキシシラン水性エマルジョン
    において,水中のアルキルアルコキシシランの液滴の直
    径が約2〜10μmであることを特徴とするアルキルア
    ルコキシシランの水性エマルジョン。
  2. 【請求項2】 アルキルアルコキシシラン、水および乳
    化剤を含むアルキルアルコキシシランを、水中のアルキ
    ルアルコキシシランの液滴の直径が約2〜10μmとな
    るように乳化分散することを特徴とするアルキルアルコ
    キシシランの製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のアルキルアルコキシシラ
    ンの水性エマルジョンを有効成分として含有する多孔質
    無機建材用浸透性吸水防止材。
JP32364196A 1995-11-30 1996-11-19 アルキルアルコキシシラン含有多孔質無機建材用浸透性吸水防止材 Expired - Fee Related JP3605973B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32364196A JP3605973B2 (ja) 1995-11-30 1996-11-19 アルキルアルコキシシラン含有多孔質無機建材用浸透性吸水防止材

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7-335891 1995-11-30
JP33589195 1995-11-30
US08/646,496 US5746810A (en) 1995-11-30 1996-05-08 Aqueous emulsion of alkylalkoxysilane, process for the production thereof, and use thereof
JP32364196A JP3605973B2 (ja) 1995-11-30 1996-11-19 アルキルアルコキシシラン含有多孔質無機建材用浸透性吸水防止材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09208938A true JPH09208938A (ja) 1997-08-12
JP3605973B2 JP3605973B2 (ja) 2004-12-22

Family

ID=27339991

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32364196A Expired - Fee Related JP3605973B2 (ja) 1995-11-30 1996-11-19 アルキルアルコキシシラン含有多孔質無機建材用浸透性吸水防止材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3605973B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002188057A (ja) * 2000-12-21 2002-07-05 Ge Toshiba Silicones Co Ltd 水系コーティング剤組成物
JP2006077001A (ja) * 2004-08-09 2006-03-23 Kao Corp 親油性成分含有粉末
JP2008195938A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Rohm & Haas Co ラテックス塗料における臭気を低減する方法
EP2808315A1 (en) 2013-05-30 2014-12-03 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Gel composition and a use thereof
JP2017095614A (ja) * 2015-11-25 2017-06-01 宇部興産株式会社 表面含浸材及び構造物
US10808124B2 (en) 2016-05-02 2020-10-20 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Gel-form composition and water absorption inhibitor
WO2023063032A1 (ja) 2021-10-12 2023-04-20 信越化学工業株式会社 オルガノアルコキシシラン含有組成物及びその製造方法、並びに吸水防止剤

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002188057A (ja) * 2000-12-21 2002-07-05 Ge Toshiba Silicones Co Ltd 水系コーティング剤組成物
JP2006077001A (ja) * 2004-08-09 2006-03-23 Kao Corp 親油性成分含有粉末
JP2008195938A (ja) * 2007-02-09 2008-08-28 Rohm & Haas Co ラテックス塗料における臭気を低減する方法
EP2808315A1 (en) 2013-05-30 2014-12-03 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Gel composition and a use thereof
US9029472B2 (en) 2013-05-30 2015-05-12 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Gel composition and a use thereof
JP2017095614A (ja) * 2015-11-25 2017-06-01 宇部興産株式会社 表面含浸材及び構造物
US10808124B2 (en) 2016-05-02 2020-10-20 Shin-Etsu Chemical Co., Ltd. Gel-form composition and water absorption inhibitor
WO2023063032A1 (ja) 2021-10-12 2023-04-20 信越化学工業株式会社 オルガノアルコキシシラン含有組成物及びその製造方法、並びに吸水防止剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP3605973B2 (ja) 2004-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5746810A (en) Aqueous emulsion of alkylalkoxysilane, process for the production thereof, and use thereof
CA2094063C (en) Organosilicon emulsions for rendering porous substrates water repellent
DE102005004872A1 (de) Wässrige Emulsionen von funktionellen Alkoxysilanen und deren kondensierten Oligomeren, deren Herstellung und Verwendung zur Oberflächenbehandlung
JPH09208938A (ja) アルキルアルコキシシランの水性エマルジョン、その製造方法およびその使用
US6103001A (en) Stable, constant particle size, aqueous emulsions of nonpolar silanes suitable for use in water repellence applications
US5556915A (en) Water-based organosilicon composition
WO2005023935A1 (en) Silicone oil-in-water (o/w) emulsions or compositions useful for water repellent applications
EP1147072B1 (en) Stable aqueous emulsions of nonpolar silanes having constant particle size
JPH06313167A (ja) 有機ケイ素化合物系エマルジョン組成物
JP5533462B2 (ja) 浸透性吸水防止材
JP4619540B2 (ja) 安定な、一定の粒子サイズの、非極性シランの、撥水性施工における使用に適した水性エマルジョン
JP3757567B2 (ja) 浸透性吸水防止材
JP2738248B2 (ja) 建築・土木用水性塗工組成物
JPH06256072A (ja) 建築土木用多孔性無機質材料の着色保護材
GB2498877A (en) Aqueous silver halide and polyvinyl alcohol antimicrobial composition
EP0594440A1 (en) Water-soluble or water-dispersible, organic siliconcontaining composition having excellent antibacterial and antifungal properties
JP2645204B2 (ja) 防腐・防黴性に優れた水性有機珪素系組成物
EP0832864A1 (en) Infiltrative water-absorption preventing material
JPH05279657A (ja) 撥水性エマルジョン組成物およびその製造方法
JPH07116423B2 (ja) 表面改質方法
JPH1176797A (ja) シラン系水性エマルション
MXPA01005800A (en) Stable, constant particle size, aqueous emulsions of nonpolar silanes suitable for use in water repellence applications
JP2001206888A (ja) 水性有機ケイ素エマルションおよびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040914

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20040927

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101015

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111015

Year of fee payment: 7

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111015

Year of fee payment: 7

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111015

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121015

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131015

Year of fee payment: 9

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees