JP3605806B1 - ヒップアップ用スラックス - Google Patents

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Abstract

【課題】
外衣の素材や形態に左右されないで、不自然な引きつり皺や窮屈な圧迫感を好適に抑制させるヒップアップ用スラックスの提供。
【解決手段】
複数枚のパワーネット片を適宜組み合わせて形成した左布片2と右布片3の各股上側縁部を後中心接ぎ部pで接ぎ合わせ、これらの臀部箇所に於ける下方側曲線に沿って非伸縮性生地からなる鎌形帯体7を取り付け、股下側のパワーネット片の側縁部2a、3a及びウエスト側のパワーネット片の上縁部2c、3cをスラックス本体1へ縫着させると共に、脇側のパワーネット片は上方側縁部2b、3bと下方側縁部2d、3dのみを縫着させて左右後身頃1aの内側へ張設する。
【選択図】
図1

Description

本発明は、ヒップアップ機能を有するスラックスに関する。詳しくは、引きつり皺が少なく、形の良いヒップ形状に整えることができるヒップアップ用スラックスに関するものである。
従来より、ヒップアップされ脚長に見えるなどのヒップアップ機能付きスラックスとして、外衣であるスラックス本体の内側にガードル若しくはガードルと同機能を有するアンダーパンツ型裏地を一体的に縫着させるようになしたものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
しかしながら、上記製品には、外衣とガードル若しくはガードルと同機能を備えたアンダーパンツ型裏地との寸法差による縫着作業上の問題が生じたり、或いは伸縮強度の違いによる外観上の不具合が生じたりすることがあった。
これら問題点を改善させるべく本出願人は、伸縮性織編布地からなるV字状の左右帯体の中央交差線の谷底を内股上方箇所で且つヒップラインと同等若しくはそれより下方となる配置状態になして、該帯体の左右側端縁全体を左右身頃地の脇線やウエストラインに縫着させるようになしたものを先に提案している(特許文献3)。
これによれば、縫着作業が簡易となり、また着用時には適正なヒップラインに沿った二つの山の臀部の盛り上がりやその間の凹みが顕著に顕出されるものとなるが、各々1枚の張力の強い伸縮性織編布地からなる左右帯体の側辺部全体を脇線やウエストラインへ縫着して張設させることから、薄手素材の外衣の場合に脇線などに引きつり皺が生じたり、また一方向の張力のみが制限されることによる圧迫感や均整のとれたヒップ矯正機能の低下は否めなかった。
特許第2670567号公報 特許第2794626号公報 特願2002−63808号明細書
解決しようとする問題点は、従来のヒップアップ機能では、外衣の素材により発生する不自然な引きつり皺を可及的に防止し、且つ窮屈な圧迫感のない状態で均整のとれたヒップ形状を簡便に形成することができないことである。而して、本発明の目的とするところは、ヒップアップ機能を備えたスラックスを作成するに当たり、外衣の厚手或いは薄手など様々な素材に左右されることなく、着用時に不自然な引きつり皺を発生したり、窮屈な圧迫感を付与しないで安心して着用できるヒップアップ用スラックスを提供することにある。
本発明は、複数枚のパワーネット片を接いで形成した左布片と右布片の各股上側端縁部を後中心接ぎ部で接ぎ合わせたものと、非伸縮性生地で巾寸法を凡そ5cm〜8cmとなした鎌形帯状の臀部当て布を作成し、前者のものは、股下側のパワーネット片の側縁部及びウエスト側のパワーネット片の上縁部をスラックス本体の股下部及びウエスト部へ縫着させると共に、脇側のパワーネット片は上方側縁部と下方側縁部のみをスラックス本体の脇縫合部へ縫着させて左右後身頃の内側へ張設させるほか、後者の臀部当て布は、前記各布片の臀部箇所に於ける下方曲線に沿って当接させるものとなしてあることを特徴とする。
これによれば、臀部を覆う左布片及び右布片が夫々れ複数枚のパワーネット片で形成されるので、各パワーネット片に適宜、形態と張力の変化をもたせ、これらを自由自在に組み合わせることにより、ヒップ矯正機能を様々のスラックスに対応し得るように容易に調節することができる。また、張力のある左布片と右布片が臀部全体を被覆させるようにスラックス本体に縫着されることから、臀部の贅肉は適当な押圧力で包み込まれ均整のとれた外観形状を呈するものとなる。
この際、特に張力が制限されるパワーネット片のスラックス本体の脇縫合部との縫合箇所に対し、脇側のパワーネット片の上方側縁部と下方側縁部のみを縫着させて該箇所に於ける張力の制限を緩和させるものとする。詳しくは、脇側のパワーネット片は、その側縁部の長さ寸法に対し凡そ1/2〜2/3の範囲がスラックス本体の脇縫合内部で縫着されないものとなす。これによれば、スラックス本体の脇部に発生する引きつり皺が抑制されると共に、臀部の贅肉を扁平化させないで均整のとれたヒップ形状として安定的に被覆保持させるものとなる。
また、各布片の臀部に於ける下方側曲線に沿って、非伸縮性生地で巾寸法が凡そ5cm〜8cmとなした鎌形帯状の臀部当て布が当接形成されることから、垂れ下がった臀部の贅肉を確実且つ適正状態に持ち上げてヒップトップ位置の高いヒップ形状を形成させるものとなる。この際、該臀部当て布は二枚となし、その対合箇所は股上部に於ける上記各布片の接合箇所で、そして他端部はスラックス本体に縫着されていない上記各布片の脇側開放端部へ縫着させるものとなしたりする。これによれば、非伸縮性生地からなる臀部当て布がパワーネット片のみに縫着されて、スラックス本体に止着されないことから、比較的臀部の大きい着用者に対しても窮屈な圧迫感を与えないで脇部の引きつり皺を可及的に防止させるものとなる。
また、複数枚のパワーネット片は、隣接し合うパワーネット片のヒップライン下方からワタリライン付近に緩やかな凹部を形成させるものとなしたりする。
これによれば、左布片及び右布片自体が立体的に構成されるものとなり、これにより、被覆保持される臀部の贅肉を扁平化させないで、形の良い山形のヒップ形状に簡便に形成させることができる。
本発明のヒップアップ用スラックスは、複数枚のパワーネット片を自由自在に組み合わせてヒップ全体を適正な張力で安定的に被覆させるため、様々のスラックスに対して優れたヒップ矯正機能を作用させると共に、これらの伸縮性生地に非伸縮性生地を部分的に当接させることにより、ヒップアップ機能を効果的に向上させることができる。
着用時に引きつり皺が発生し難く、幅広い素材の外衣や形態のスラックスに適用し得る優れたヒップアップ機能を付与するという目的を、各々形態と張力に変化をもたらすことができる複数枚のパワーネット片を適宜組み合わせてヒップ全体を被覆するように周縁部を選択的に縫着させてスラックス本体の左右後身頃の内側へ張設させると共に、これらのパワーネット片に非伸縮性の臀部当て布を設けることにより実現した。
以下、本発明に於ける一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係るヒップアップ用スラックスを裏返した状態の背面図であり、図2は、該ヒップアップ用スラックスの股下側の内股はぎ部を解体させた概略展開図である。
これらの図に於いて、1はスラックス本体、2は左布片、3は右布片であり、これら左布片2と右布片3は各股上側端縁部を後中心接ぎ部pで接いで、スラックス本体1の左右後身頃1aの内側へ取り付けられている。
左布片2及び右布片3は、夫々れ複数枚のパワーネット片から形成されており、股下側のパワーネット片の側縁部2a、3a及びウエスト側のパワーネット片の上縁部2c、3cをスラックス本体1に於ける股下部1b、1b及びウエスト部1dへ縫着させ、そして脇側のパワーネット片は上方側縁部2b、3bと下方側縁部2d、3dのみをスラックス本体1の脇縫合部1c、1cへ縫着させてある。この際、左布片2及び右布片3は、これらの各股上側端縁部を後中心接ぎ部pで接いだものの大きさを、スラックス本体1の左右後身頃1aよりも小さくなし、臀部の贅肉を股下側から上方へ向けて全体的に被覆保持させるように取り付けられている。
各布片2、3の脇側のパワーネット片は、スラックス本体1の脇縫合部1c、1cに於ける張力の制限力の緩和と臀部の贅肉を持ち上げる矯正力との関係から、その側縁部の長さ寸法に対し凡そ1/2〜2/3の範囲がスラックス本体1の脇縫合内部で縫着されない脇側開放端部2e、3eとなされるのであり、これ以下の場合には、張力の制限力があまり緩和されず脇部に引きつり皺が発生したり窮屈な圧迫感を付与し易いものとなり、またこれ以上の場合にも、幅狭の縫着箇所に大きな負荷がかかるため耐久性や安定性が劣るものとなる。
上記各布片2、3を構成するパワーネット片の枚数及び形状は任意に設計されるが、図1〜3に示す如く、脇側、股下側及びこれらの間の中央側のパワーネット片4、5、6の3枚となし、これらを横方向に接ぎ合わせる。そして、隣接し合う各パワーネット片の側縁部に対して、ヒップラインLの下方側からワタリラインL付近に架けて緩やかな凹部4a、5a、6a、6bを適宜形成させるたりする(図3には右布片3を分解したものを示す)。この場合、各布片2、3自体が立体的に形成されるものとなり、臀部の贅肉の扁平化現象の抑制力やヒップの下方側に於ける制限張力の強化による矯正力を向上させるものとなる。
また、股下側のパワーネット片の股下寸法Hは、垂れ下がった臀部の贅肉を効果的に持ち上げるために、通常サイズのスラックスのもので6cm〜12cm程度とする。
7は、非伸縮性生地からなる鎌形帯状の臀部当て布であり、巾寸法wは凡そ5cm〜8cmとなす。該臀部当て布7は、上記各布片2、3の臀部箇所に於ける下方側曲線に沿って当接させるものとなし、各布片2、3の表面、裏面のどちら側に当接させてもよいが、縫い代始末や外観の点から各布片2、3の裏面側へ当接させて左右後身頃1aとの間に配設させるのが好ましい。
この際、上記臀部当て布7は、各布片2、3の臀部箇所に於ける下方側曲線に沿う2枚となし、その対合箇所7a、7aは、股上部に於ける各布片2、3の接合箇所pで、そして他端部7b、7bはスラックス本体1に縫着されていない各布片2、3の脇側開放端部2e,3eへ縫着される。これにより、伸縮性生地からなる各布片2、3に於いて、臀部当て布7を縫着させた箇所のみが伸縮しないものとなる。而して、垂れ下がった臀部の贅肉は、非伸縮性生地からなる臀部当て布7により下側から支え、そしてスラックス本体1へ縫着させたパワーネット片により上方へ持ち上げるようになされるのであり、これにより、ヒップトップ位置の高い形の整ったヒップ形状が形成可能になる。
図4は、本発明に係るヒップアップ用スラックスの別の実施例を示すものであり、該ヒップアップ用スラックスを裏返した状態の背面図である。
本実施例に於いては、各布片2、3を構成する複数枚のパワーネット片に夫々れ4枚のものを用い、ヒップラインLの下方側へ3枚のパワーネット片を横方向に接いだV字状帯体8と該V字状帯体8の上方に配設される逆三角形状の押さえ部9とを形成するほかは上記実施例1と同様とする。
図5は、本発明に係るヒップアップ用スラックスの他の別の実施例を示すものであり、該ヒップアップ用スラックスを裏返した状態の背面図である。
本実施例では、上記実施例2に於けるV字状帯体8の中央側のパワーネット片に他のパワーネット片よりも伸縮強度の小さいものを配設させたほかは、上記実施例2と同様とする。
本発明に係る提案はスラックスの素材及び形状を問わず適用可能であり、例えば、カジュアルパンツ、ジーンズ、カルソンパンツ、ジャンプスーツ、キュロットスカートなど各種スラックスに適用可能となる。また、これらに使用する素材は、伸縮性を有する素材でも、伸縮性を有しない素材でもよく、また厚手のものでも薄手のものであってもよい。
また、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、複数枚のパワーネット片の枚数、形状及び伸縮強度を適宜設定し組み合わせることができる。
また、臀部当て布を構成する非伸縮性生地としては任意のものが使用できるが、織物布を使用したり、伸縮し難いステッチを施したり、特殊な熱加工や糊加工を施したものを使用するようになしてもよい。
本発明に係るヒップアップ用スラックスを裏返した状態の背面図である。 上記スラックスを内股はぎ部で解体させた状態を示す概略展開図である。 本発明に係る右布片を各パーツに解体させた状態を示す部分詳細図である。 本発明に係るヒップアップ用スラックスの別の実施形態を示し、該ヒップアップ用スラックスを裏返した状態の背面図である。 本発明に係るヒップアップ用スラックスの他の別の実施形態を示し、該ヒップアップ用スラックスを裏返した状態の背面図である。
符号の説明
1 スラックス本体
1a 左右後身頃
1b 股下部
1c 脇部
1d ウエスト部
2 左布片
3 右布片
2a、3a 股下側側縁部
2b、3b 脇側上方側縁部
2c、3c ウエスト側上縁部
2d、3d 脇側下方側縁部
2e、3e 脇側開放端部
4、5、6 パワーネット片
4a、5a、6a、6b 凹部
7 臀部当て布
8 V字状帯体
9 逆三角形状押さえ部
ヒップライン
ワタリライン
p 後中心接ぎ部
H 股下寸法
w 巾寸法

Claims (4)

  1. 複数枚のパワーネット片を接いで形成した左布片と右布片の各股上側端縁部を後中心接ぎ部で接ぎ合わせたものと、非伸縮性生地で巾寸法を凡そ5cm〜8cmとなした鎌形帯状の臀部当て布を作成し、前者のものは、股下側のパワーネット片の側縁部及びウエスト側のパワーネット片の上縁部をスラックス本体の股下部及びウエスト部へ夫々れ縫着させると共に、脇側のパワーネット片は上方側縁部と下方側縁部のみをスラックス本体の脇縫合部へ縫着させて左右後身頃の内側へ張設なさしめるほか、後者の臀部当て布は、前記各布片の臀部箇所に於ける下方側曲線に沿って当接させるものとなしてあることを特徴とするヒップアップ用スラックス。
  2. 脇側のパワーネット片は、その側縁部長さ寸法に対し凡そ1/2〜2/3の範囲がスラックス本体の脇縫合内部で縫着されないものとなしてあることを特徴とする請求項1に記載のヒップアップ用スラックス。
  3. 臀部当て布は、左布片と右布片の臀部箇所に於ける下方側曲線に沿って二枚となし、その対合箇所は股上部に於ける各布片の接合箇所で、そして他端部はスラックス本体に縫着されていない上記各布片の脇側開放端部へ縫着させるものとなしてあることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒップアップ用スラックス。
  4. 複数枚のパワーネット片は、隣接し合うパワーネット片のヒップライン下方からワタリライン付近に緩やかな凹部を形成させるものとなしてあることを特徴とする請求項1〜3何れかに記載のヒップアップ用スラックス。
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