JP3605782B2 - 固形剤の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は強度に優れた固形剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、十分な強度を有する顆粒や錠剤を製造するためには糖類や水溶性ポリマー、糖アルコール類等の結合剤を用いている。特に写真処理用の固形剤でアミノポリカルボン酸第2鉄塩や芳香族アルデヒドを主成分とするものは、特開平7−295162号、同8−15829号に記載の様に、結合力が弱く結合剤の添加が必要であることが知られている。一方、錠剤強度を増す手段として、有機酸塩の粉体を添加することが、特開平7−28213号、同7−230146号に記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら結合剤は、固形剤本来の用途や機能からみて必要ないものであり、多量の添加は顆粒のブロッキングや打錠時の滑沢不良等を招き、特に写真処理用の固形剤では、結合剤の添加で写真処理性能が劣化したり、処理される感光材料の表面に付着して汚れが生ずることがある。
【0004】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、結合剤の添加量を減じて、又は結合剤を用いないで固形剤を製造する方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、
アミノポリカルボン酸第2鉄塩、ヘキサメチレンテトラミン系化合物及び前記一般式A又はBで表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有するハロゲン化銀写真感光材料用の固形剤において、有機カルボン酸化合物、有機スルホン酸化合物、ヘキサメチレンテトラミン系化合物、前記一般式A又はBで表される化合物から選ばれる少なくとも1種を、アルカリとともに溶解した水溶液又はその塩の水溶液として造粒時に添加する固形剤の製造方法、前記固形剤がアミノポリカルボン酸第2鉄塩、ヘキサメチレンテトラミン系化合物及び前記一般式A又はBで表される化合物から選ばれる少なくとも1種を30重量%以上含有すること、前記水溶液として造粒時に添加されるのが有機カルボン酸化合物及び前記一般式Aで表される化合物から選ばれること、有機カルボン酸化合物が脂肪族ジカルボン酸化合物であること、造粒に流動層を用いること、造粒で得られた顆粒を圧縮成形すること、
によって達成される。
【0006】
即ち本発明者は、固形剤の構成成分の有機化合物の一部をアルカリで中和するか、塩の水溶液にして造粒時に添加することで、結合剤無し或いは少量添加でも、従来以上に硬度、摩損度が改良され、経時での劣化も少ないことを見出し、本発明に至ったものである。
【0007】
以下、本発明について詳述する。
【0008】
本発明で言う有機カルボン酸化合物は、少なくとも1つのカルボキシ基を有する化合物で、他に複数の置換基を有してもよい。
【0009】
以下に、有機カルボン酸化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0010】
【化3】
Figure 0003605782
【0011】
【化4】
Figure 0003605782
【0012】
【化5】
Figure 0003605782
【0013】
これらの中で好ましいものは、(1−3)、(1−4)、(1−5)、(1−6)、(1−7)、(1−10)、(1−14)、(1−15)、(1−16)、(1−22)、(1−24)、(1−26)、(1−27)に代表される脂肪族ジカルボン酸化合物で、とりわけ(1−3)、(1−5)、(1−6)、(1−10)、(1−14)、(1−15)が好ましい。
【0014】
本発明で言う有機スルホン酸化合物は、少なくとも1つのカルボキシ基を有する化合物で、他に複数の置換基を有してもよい。
【0015】
以下に、有機スルホン酸化合物の具体例を示すが、これらに限定されない。
【0016】
【化6】
Figure 0003605782
【0017】
又、本発明に係るヘキサメチレンテトラミン系化合物の具体例を以下に示すが、これらに限定されない。
【0018】
【化7】
Figure 0003605782
【0019】
【化8】
Figure 0003605782
【0020】
【化9】
Figure 0003605782
【0021】
【化10】
Figure 0003605782
【0022】
【化11】
Figure 0003605782
【0023】
【化12】
Figure 0003605782
【0024】
これらの中で好ましい化合物は(3−1)〜(3−7)であり、特に(3−1)が好ましい。
【0025】
次に、一般式Aで表される化合物の具体例を示す。
【0026】
【化13】
Figure 0003605782
【0027】
例示化合物(A−1)〜(A−52)は以下の表のように上式における1〜6に各種置換基を挿入して得られる。
【0028】
【化14】
Figure 0003605782
【0029】
【化15】
Figure 0003605782
【0030】
【化16】
Figure 0003605782
【0031】
【化17】
Figure 0003605782
【0032】
【化18】
Figure 0003605782
【0033】
以上の例示化合物の中で、特に好ましいのは(A−2)、(A−3)、(A−4)、(A−6)、(A−23)、(A−24)、(A−52)であり、とりわけ好ましいのは(A−3)である。
【0034】
一般式Bにおいて、X及びXはそれぞれ水素原子又は有機基を表すが、X及びXの少なくとも一方が有機基であることが好ましく、双方有機基であることが更に好ましい。有機基としては特に制限はないが、アルキル基(炭素数1〜10のものが好ましく、直鎖でも分岐でもよい。)、アリール基(好ましくはフェニル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜11のもので直鎖でも分岐でもよい)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜7のもの)、アルキニル基、複素環基(5〜7員環が好ましく、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等)が挙げられる。又、X及びXが互いに縮合して少なくとも窒素原子を含む環を形成しているものも好ましい。その様な複素環としては、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、インドール環、ピロリジン環、ピロリン環、イミダソリジン環、イミダゾリン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、ピペリジン環、ピペラジン環、インドリン環、イソインドリン環、モルホリン環、トリアゾール環等が挙げられる。又、窒素原子を含む複素環式スピロ化合物、複素架橋環系化合物であってもよい。
【0035】
これらの有機基は更に置換基を有してもよく、置換基としては、特に制限はないが、水素基、アミノ基、スルホ基、カルボキシ基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0036】
以下に、一般式Bで表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されない。
【0037】
【化19】
Figure 0003605782
【0038】
これらの化合物の中で(B−1)〜(B−3)が好ましい。
【0039】
以上の化合物の塩とする場合、アンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられるが、保存安定性の観点からナトリウム塩、カリウム塩が特に好ましい。
【0040】
これらの化合物は市販品としても容易に入手できる。
【0041】
本発明で製造する対象としての固形剤は顆粒及び錠剤であり本発明の効果を最も顕著に表すのは錠剤である。
【0042】
本発明でいう顆粒とは、微粉結晶の集合体である粉末を造粒したもので、粒径50〜5000μmの粒状物の事をいい、微粉末では作業性が悪化することから100〜2000μmのものが好ましく、より好ましくは200〜1500μmである。顆粒成形は転動造粒、押し出し造粒、圧縮造粒、解砕造粒、撹拌造粒、流動層造粒、噴霧乾燥造粒等公知の湿式造粒法を用いることができるが、流動層を用いるのが有利である。
【0043】
本発明で錠剤とは、粉体又は顆粒を一定の形状に圧縮成型したものをいい、打錠する際の原料の少なくとも一部が本発明による造粒物であるが、好ましくは全てが本発明による造粒物である。錠剤は、例えば油圧プレス機,単発式打錠機,ロータリー式打錠機,ブリケッティングマシン等公知の圧縮機を用いて製造することができる。錠剤は任意の形状をとることが可能であるが、生産性、取り扱い性の点から円筒型のものが好ましい。
【0044】
本発明は製造する固形剤がハロゲン化銀写真感光材料用の固体処理剤であって、特にアミノポリカルボン酸第2鉄塩及び芳香族アルデヒドから選ばれる少なくとも1種を含有する場合に、その効果を遺憾なく発揮する。
【0045】
ハロゲン化銀写真感光材料用の固体処理剤に用いられるアミノポリカルボン酸第2鉄錯塩は、以下の一般式(1)の遊離酸の鉄錯体の形として用いられることが好ましく、アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩とアミノポリカルボン酸の遊離酸を併用することが更に好ましい。特に好ましいのはアミノポリカルボン酸の遊離酸と同種の遊離酸の第2鉄錯塩を併用することである。
【0046】
前記アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩はカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等の形で用いることができ、アミノポリカルボン酸の遊離酸はフリーの酸、カリウム塩、ナトリウム塩等の形で用いることができる。
【0047】
【化20】
Figure 0003605782
【0048】
式中、Tは水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、カルバモイル基、ホスホノ基、ホスホン基、スルファモイル基、それぞれ置換されていてもよいアルキル基、アルコキシ基、アルキルスルホンアミド基、アルキルチオ基、アシルアミノ基、ヒドロキサム酸基、ヒドロキシアルキル基又は
【0049】
【化21】
Figure 0003605782
【0050】
を表し、Wはそれぞれ置換されていてもよいアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基、アラルキレン基又は−(L−X′)l5−(Ll6−を表し、X′は−O−、−S−、2価の複素環又は
【0051】
【化22】
Figure 0003605782
【0052】
を表す。
【0053】
11〜R15は、水素原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、スルホ基、カルバモイル基、ホスホノ基、ホスホン基、スルファモイル基、スルホンアシド基、アシルアミノ基又はヒドロキサム基を表し、R11〜R15のうち少なくとも1つはカルボキシ基である。
【0054】
〜Lは置換、無置換のアルキレン基、アリーレン基、アルケニレン基、シクロアルキレン基又はアラルキレン基を表す。l〜lは、0〜6の整数を表す。ただし、l〜lが同時に0になることはない。
【0055】
アミノポリカルボン酸第2鉄錯塩を構成する一般式(1)で示されるアミノポリカルボン酸の具体的例示化合物を下記に示す。
【0056】
【化23】
Figure 0003605782
【0057】
【化24】
Figure 0003605782
【0058】
【化25】
Figure 0003605782
【0059】
【化26】
Figure 0003605782
【0060】
好ましく用いられる化合物としては(K−1)〜(K−8)、(K−12)、(K−14)〜(K−20)、(K−22)、(K−23)、(K−27)が挙げられ、特に好ましい化合物は(K−1)、(K−2)、(K−6)、(K−12)、(K−14)、(K−15)、(K−17)である。
【0061】
一般に、固形剤がアミノポリカルボン酸第2鉄塩、ヘキサメチレンテトラミン系化合物及び前記一般式A又はBで表される化合物から選ばれる少なくとも1種を30重量%以上、特に50重量%以上で含有すると、錠剤の硬度を得難いと言う技術的な問題があったが、本発明の製造方法によれば、この様な処方の固形剤を優れた硬度で得ることができる。
【0062】
本発明において流動層造粒は、気流により粉粒体を流動状態に保ち、ここに本発明の水溶液を噴霧して粉体同士の結着力により凝集させて造粒するもので、原料の混合、造粒、乾燥を密閉した同一容器内で行うことができる。得られる顆粒は非常にポーラスで溶解性に優れ、錠剤形成用顆粒として好適である。
【0063】
図1に流動層造粒装置の一例の概略図を示す。
【0064】
送風ファンFにより吸引されたエアは、化学繊維等で構成される給気フィルターEを通じて清浄化された後、熱交換機Dにより所定の温度まで加熱され、整流板4を通して流動槽本体1へ送入される。この熱風は粉粒体を懸濁状態に保ち、圧縮エアB、液送装置C及びスプレー装置3により霧化される液滴と均一に接触せしめるとともに、噴霧加湿された流動層の蒸発乾燥の熱源として作用する。上部に飛散する微粉末は集塵フィルター2により捕集され、流動層内に払い落とされる。ここで濾過された空気は排気ファンAにより系外に排出される。
【0065】
給気されるエアは窒素や不活性ガスであってもよいが、コストの点から空気であることが望ましく、更に除湿手段を設けて、絶対水分量が0.015kgHO/kg以下の空気により粉粒体を流動させると、粉粒体及び造粒されている造粒物の水分の蒸発を制御しやすく、本発明の効果を良好に奏する。給気エアの風量は結合水の噴霧速度に対し1〜20g/mであることが好ましく、より好ましくは5〜15g/mである。
【0066】
又、整流板による開口率は流動性を考えると1〜20%であることが好ましく、より好ましくは5〜15%である。
【0067】
集塵フィルターは造粒中に流動を停止しなくても良いように2つに分離したものが好ましい。
【0068】
流動層造粒装置は市販のものとして容易に入手でき、具体的にはパウレック(株)製;マルチプレックスシリーズ,GPCGシリーズ,WST/WSGシリーズ、不二パウダル(株)製;ニューマルメライザーシリーズ、(株)大川原製作所製;ミクスグラードシリーズ、フロイント産業(株)製;スパイラフローシリーズ,フローコーターシリーズ等が挙げられる。
【0069】
流動する粉粒体に本発明の水溶液を噴霧するには、加圧ノズル、回転円盤、2流体ノズル等を用いることができる。加圧ノズルは、水溶液に圧力を加えて高速の流体として大気中に噴出させ、大気との相対速度によって細かい液滴を得るものである。回転円盤は、高速で回転している円盤の中心に液を注ぎ、遠心力によって円盤の周辺で液滴に微粒化させるものである。2流体ノズルは、空気、窒素ガス又は水蒸気等の圧縮性の気体では比較的低い圧力で高速の気流が得られることを利用して、液体を分散させ細かい液滴を得るものである。
【0070】
本発明においては、2流体ノズルにより水溶液を噴霧する方法が液滴の乾燥が速く、圧縮成形に適した顆粒を得やすいので好ましい。この場合、単位時間当たりにノズルから吐出する霧化エア容量と結合水容量との比、即ち(単位時間当たりの霧化エア容量)/(単位時間当たりの結合水容量)を気液比と定義すると、気液比は100以上、10000以下であることが好ましく、特に1000以上、5000以下が好ましい。
【0071】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0072】
実施例1
(操作1)撹拌造粒法によるカラー写真漂白処理用固形剤Aの作製
Figure 0003605782
をそれぞれ、岡田精工社製ニュースピードミルに0.5mmのスクリーンを装着して解砕した。岡田精工社製ニュースピードニーダーに解砕した各々の原料を入れ、約5分間混合した後、水300gにソルビット50gを溶かした溶液を添加し、練合した。この造粒物を市販の流動層乾燥機を用いて、給気温度55℃で約90分乾燥させた。
【0073】
できた顆粒に粉砕したイソポンSLP(川研ファインケミカル社製)を2重量%添加し、市販の混合機で10分間混合した。混合物を菊水製作所製クリーンプレスコレクト18Kを改造した打錠機を用い、1錠の重量を11gとして直径30mmの臼杵により、打錠圧力1t/cmで圧縮成型し、錠剤Aを作製した。
(操作2)撹拌造粒法によるカラー写真漂白処理用固形剤Bの作製
Figure 0003605782
を操作1と同様に造粒、打錠して錠剤Bを作製した。
【0074】
(操作3)撹拌造粒法によるカラー写真漂白処理用固形剤Cの作製
Figure 0003605782
を操作1と同様に造粒した。但し、造粒時の添加溶液は、水300gに琥珀酸118g、重炭酸カリウム200g、ソルビット50gを溶解したものを用いた。得られた顆粒を操作1と同様に打錠し、錠剤Cを作製した。
【0075】
(操作4)撹拌造粒法によるカラー写真漂白処理用固形剤Dの作製
Figure 0003605782
を操作1と同様に造粒した。但し、造粒時の添加溶液は、水300gに琥珀酸2カリウム3水和物248gとソルビット50gを溶解したものを用いた。得られた顆粒を操作1と同様に打錠し、錠剤Dを作製した。
【0076】
(操作5)流動層造粒法によるカラー写真漂白処理用固形剤Eの作製
Figure 0003605782
をそれぞれ、岡田精工社製ニュースピードミルに0.5mmのスクリーンを装着して解砕した。パウレック社製流動層造粒機GPCG−5型に解砕した各々の原料を入れ、給気温度を55℃に設定し、風量8m/分で約10分間流動させた。次いで、水800gにソルビット50gを溶かした溶液を60g/分の速度で流動する原料に噴霧し、その後更に約20分間流動させて乾燥した。
【0077】
得られた顆粒に粉砕したソイポンSLP(川研ファインケミカル社製)を2重量%添加し、市販の混合機で10分間混合した。混合物を菊水製作所製クリーンプレスコレクト18Kを改造した打錠機を用い、1錠の重量を11gとして直径30mmの臼杵により、打錠圧力1t/cmで圧縮成型し、錠剤Eを作製した。
【0078】
(操作6)流動層造粒法によるカラー写真漂白処理用固形剤Fの作製
Figure 0003605782
を操作5と同様に造粒、打錠して錠剤Fを作製した。
【0079】
(操作7)流動層造粒法によるカラー写真漂白処理用固形剤Gの作製
Figure 0003605782
を操作5と同様に造粒した。但し、造粒時の添加溶液は、水800gに琥珀酸118g、重炭酸カリウム200g、ソルビット50gを溶解したものを用いた。得られた顆粒を操作5と同様に打錠し、錠剤Gを作製した。
【0080】
(操作8)流動層造粒法によるカラー写真漂白処理用固形剤Hの作製
Figure 0003605782
を操作5と同様に造粒した。但し、造粒時の添加溶液は、水800gに琥珀酸2カリウム3水和物248gとソルビット50gを溶解したものを用いた。得られた顆粒を操作5と同様に打錠し、錠剤Hを作製した。
【0081】
(打錠翌日の硬度〜硬度1の評価)
作製した錠剤A〜Hを1日密閉容器で保管した後、各々10錠ずつを任意に抽出し、岡田精工社製硬度測定器を改造したものを用いて硬度を測定し、平均値を算出した。
【0082】
(高温保存後の硬度〜硬度2の評価)
作製した錠剤A〜Hを1日密閉容器で保管した後、各々10錠ずつを任意に抽出し、アルミニウムでラミネートしたポリエチレン包材にヒートシールして密封し、50℃で10日間保存した。保存後の錠剤を評価1同様に硬度測定した。
【0083】
結果を表1に示す。
【0084】
【表1】
Figure 0003605782
【0085】
これにより、有機カルボン酸化合物とアルカリを粉体の状態から造粒するよりも、有機カルボン酸化合物の一部をアルカリとともに水に溶解して添加した方が、保存前、保存後ともに硬度が優れていることが判る。又、有機カルボン酸化合物の一部を塩の水溶液で添加しても同様の効果が得られる。更に、流動層造粒法を用いた場合に効果がより顕著であることが判る。
【0086】
実施例2
(操作9)撹拌造粒法によるカラー写真安定処理用固形剤aの作製
例示化合物A−3 3000g
炭酸ナトリウム1水和物 200g
をそれぞれ、岡田精工社製ニュースピードミルに0.5mmのスクリーンを装着して解砕した。岡田精工社製ニュースピードニーダーに解砕した各々の原料を入れ、約5分間混合した後、水300gを添加し、練合した。この造粒物を市販の流動層乾燥機を用いて、給気温度65℃で約60分乾燥させた。
【0087】
得られた顆粒を菊水製作所製クリーンプレスコレクト18Kを改造した打錠機を用い、1錠の重量を8gとして直径30mmの臼杵により、打錠圧力1t/cmで圧縮成型し、錠剤aを作製した。
【0088】
(操作10)撹拌造粒法によるカラー写真安定処理用固形剤bの作製
例示化合物A−3 2900gを操作9と同様に造粒した。但し、造粒時には水300gに100gの例示化合物A−3と水酸化ナトリウム33gを溶解したものを添加した。得られた顆粒を操作9と同様に打錠し、錠剤bを作製した。
【0089】
(操作11)流動層造粒法によるカラー写真安定処理用固形剤cの作製
例示化合物A−3 3000g
炭酸ナトリウム1水和物 200g
をそれぞれ、岡田精工社製ニュースピードミルに0.5mmのスクリーンを装着して解砕した。パウレック社製流動層造粒機GPCG−5型に解砕した各々の原料を入れ、給気温度を65℃に設定し、風量10m/分で約10分間流動させた。次いで、水600gを120g/分の速度で流動する原料に噴霧し、その後更に約20分間流動させて乾燥した。
【0090】
得られた顆粒を菊水製作所製クリーンプレスコレクト18Kを改造した打錠機を用い、1錠の重量を9gとして直径30mmの臼杵により、打錠圧力1t/cmで圧縮成型し、錠剤cを作製した。
【0091】
(操作12)流動層造粒法によるカラー写真安定処理用固形剤dの作製
例示化合物A−3 2900gを操作11と同様に造粒した。但し、造粒時には水600gに100gの例示化合物A−3と水酸化ナトリウム33gを溶解したものを添加した。得られた顆粒を操作11と同様に打錠し、錠剤dを作製した。
【0092】
作製した錠剤a〜dについて、打錠翌日の硬度を実施例1と同様に測定し、又、以下の様にして摩損度を測定した。
【0093】
(摩損度の評価)
作製した錠剤a〜dを1日密閉容器で保管した後、各々6錠ずつを任意に抽出し、萱垣医理科工業社製錠剤摩損度測定器を改造した装置に入れ、5分間回転させた。試験前後の錠剤の重量から次式により摩損度を求めた。
【0094】
摩損度(%)=(試験前の錠剤重量−試験後の錠剤重量)/試験前の錠剤重量
結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
Figure 0003605782
【0096】
これにより、一般式Aで表される化合物とアルカリを粉体の状態から造粒するよりも、一般式Aで表される化合物の一部をアルカリとともに水に溶解して添加した方が、硬度、摩損度が優れていることが判る。又、流動層造粒法を用いた場合に効果がより顕著であることが判る。
【0097】
更に、例示化合物A−3を例示化合物3−1及び例示化合物B−1に変えて実験を行ったところ、同様の効果が認められた。但し、効果は例示化合物A−3が最も顕著であった。
【0098】
実施例3
(操作13)流動層造粒法によるカラー写真漂白定着処理用固形剤の作製
エチレンジアミン4酢酸第2鉄ナトリウム3水和物4000gと琥珀酸236gをそれぞれ、実施例1(操作5)と同様に解砕した。解砕した各々の原料を実施例1(操作5)と同様に造粒した。但し、噴霧液は水800gにソルビット30gを溶かした溶液とし、噴霧速度は120g/分とした。これを顆粒αとする。
【0099】
一方、チオ硫酸アンモニウム/チオ硫酸ナトリウム(重量9:1)4000gと亜硫酸ナトリウム800gをそれぞれ、同様に解砕した。解砕した各々の原料を同様に造粒した。但し、噴霧液は水500gに松谷化学社製パインフロー50gを溶かした溶液とし、噴霧速度は80g/分とした。これを顆粒βとする。
【0100】
顆粒α及びβを、全体の重量に対するエチレンジアミン4酢酸第2鉄ナトリウム3水和物の重量が表3に記載の割合になる様に混合し、実施例1(操作5)と同様に打錠した。
【0101】
(操作14)流動層造粒法によるカラー写真漂白定着処理用固形剤の作製
操作13で、琥珀酸236gを原料から除き、代わりに水800gに琥珀酸236g、水酸化カリウム112g、ソルビット30gを溶かした溶液を噴霧した。これを顆粒α′とする。
【0102】
顆粒α′及びβを、全体の重量に対するエチレンジアミン4酢酸第2鉄ナトリウム3水和物の重量が表3に記載の割合になる様に混合し、同様に打錠した。
【0103】
得られたそれぞれの錠剤について、打錠翌日の硬度を実施例1と同様に測定した。
【0104】
結果を表3に示す。
【0105】
【表3】
Figure 0003605782
【0106】
表3の結果から、アミノポリカルボン酸第2鉄塩の比率が30%以上の場合、従来は硬度が低下したのに対し、本発明では十分な硬度を維持していることが判る。更に、アミノポリカルボン酸第2鉄塩の比率が50%以上の場合、本発明の効果はより顕著である。
【0107】
実施例4
(操作15)流動層造粒法によるカラー写真安定処理用固形剤の作製
例示化合物A−3とエチレンジアミン4酢酸2ナトリウムを実施例1(操作1)と同様に解砕した。これらの解砕した原料を全体の重量に対する例示化合物A−3の重量が表4に記載の比率になる様に混合し、総重量が3000kgとなる様にした。これを実施例2(操作11)と同様に造粒後打錠した。
【0108】
(操作16)流動層造粒法によるカラー写真安定処理用固形剤の作製
操作15で例示化合物A−3のうち100gを水酸化カリウム33gとともに水600gで溶解して、造粒時に噴霧し、同様に打錠した。
【0109】
得られたそれぞれの錠剤について、打錠翌日の硬度を実施例1と同様に測定した。
【0110】
結果を表4に示す。
【0111】
【表4】
Figure 0003605782
【0112】
表4の結果から、一般式Aで表される化合物の比率が30%以上の場合、従来は硬度が顕著に低下したのに対し、本発明では十分な硬度を維持していることが判る。更に、一般式Aで表される化合物の比率が50%以上の場合、本発明の効果はより顕著である。
【0113】
実施例5
(操作17)流動層造粒法によるカラー写真漂白処理用固形剤の作製
実施例1(操作7)で、造粒時に噴霧する水溶液中の琥珀酸を等モルの表5に記載の化合物に変更して、同様に造粒、打錠した。
【0114】
得られたそれぞれの錠剤について、打錠翌日及び高温保存後の硬度を実施例1と同様に測定した。
【0115】
結果を表5に示す。
【0116】
【表5】
Figure 0003605782
【0117】
これにより、有機カルボン酸化合物の効果が顕著であり、中でも脂肪族ジカルボン酸化合物が特に優れていることが判る。
【0118】
更に、実験5−1において、水溶液で添加する琥珀酸の量を変化させたところ、固形剤を構成する化合物の総重量に対し、1%以上を中和水溶液として添加した場合に、本発明の効果がより顕著であった。
【0119】
【発明の効果】
本発明の固形剤の製造方法によれば、結合剤の添加量を減じて、又は結合剤を用いないで製造しても、打錠して得られる錠剤は硬度に優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】流動層造粒装置の一例の概略図。
【符号の説明】
1 流動槽本体
2 集塵フィルター
3 スプレー装置
4 整流板
A 排気ファン
B 圧縮エア
C 液送装置
D 熱交換機
E 給気フィルター
F 送風ファン

Claims (6)

  1. アミノポリカルボン酸第2鉄塩、ヘキサメチレンテトラミン系化合物及び下記一般式A又はBで表される化合物から選ばれる少なくとも1種を含有するハロゲン化銀写真感光材料用の固形剤において、有機カルボン酸化合物、有機スルホン酸化合物、ヘキサメチレンテトラミン系化合物、下記一般式A又はBで表される化合物から選ばれる少なくとも1種を、アルカリとともに溶解した水溶液又はその塩の水溶液として造粒時に添加することを特徴とする固形剤の製造方法。
    Figure 0003605782
    〔式中、Zは炭化水素環又は複素環を形成するのに必要な原子群を表し、置換基を有していてもよい。Yは−CHO、
    Figure 0003605782
    (式中、R1及びR2はそれぞれ低級アルキル基を表す。)を表し、nは1〜4の整数を表す。〕
    一般式B HO−CH2−N(X1)(X2
    〔式中、X1及びX2はそれぞれ水素原子又は有機基を表し、互いに縮合して窒素原子を含む環を形成してもよい。〕
  2. 前記固形剤がアミノポリカルボン酸第2鉄塩、ヘキサメチレンテトラミン系化合物及び前記一般式A又はBで表される化合物から選ばれる少なくとも1種を30重量%以上含有することを特徴とする請求項1に記載の固形剤の製造方法。
  3. 前記水溶液として造粒時に添加されるのが有機カルボン酸化合物及び前記一般式Aで表される化合物から選ばれることを特徴とする請求項1又は2に記載の固形剤の製造方法。
  4. 前記有機カルボン酸化合物が脂肪族ジカルボン酸化合物であることを特徴とする請求項1、2、又は3に記載の固形剤の製造方法。
  5. 前記造粒に流動層を用いることを特徴とする請求項1、2、3、又は4に記載の固形剤の製造方法。
  6. 造粒で得られた顆粒を圧縮成形することを特徴とする請求項1、2、3、4、又は5に記載の固形剤の製造方法。
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