JP3604609B2 - 特定のエステルを含む粉体の形態における化粧用組成物 - Google Patents

特定のエステルを含む粉体の形態における化粧用組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明の主題は、特定のエステルを含む、例えば流動体状の、固形状の、圧縮されたまたは成形された粉体といった粉体の形態における化粧用組成物である。
【0002】
【従来の技術】
一方で特に顔料及びフィラーを含む微粒子相の、他方で脂肪物質を含むバインダーとしての脂肪相のメークアップ粉体の製剤化における使用は周知であり、該脂肪相は、最終製品にある程度の密度を与えるように、メークアップ製品に柔軟特性及び軟化特性を与えるように、並びに皮膚への付着を促進するように企図される。
【0003】
粉体、特に固形状粉体における結合剤の製剤化は、最終組成物が十分に均質でなければならず、除去のため良好な適合性を示し、且つ特に衝撃による断片化を避けるために固形化されなければならないため、多くの困難性を生ずる。
【0004】
バインダーとして、エステルと組み合わせて鉱油及び植物油の混合物を使用することができる。しかしながら、これらのエステルを含む製品は、柔軟性を欠く製品を引き起こし、実際に着色相の不十分な分散を引き起こすことさえあり得る。
【0005】
すべり、柔軟性及び広げ易さに寄与することができるシリコーン油を使用することも可能であるが、メークアップの保持、及び衝撃強さの特性は優れていない。
【0006】
最後に、いくつかのペルフルオロ化油、特にペルフルオロポリエーテルは、化粧用組成物に柔軟性を与えるものとして周知であるが、該製剤は従来の炭化水素性油またはシリコーン油におけるこれらの油の不溶性の問題に直面し、この不溶性は該化粧用組成物の不安定性の問題を引き起こす。さらに、ペルフルオロ化油を含む組成物は、衝撃強さの優れた特性を示さない。これらの油のいくつかは、着色相の不十分な分散という欠点も示す:顔料によって与えられた着色は、鮮明さにおいて比較的低く、これは感覚的に言われている非所望の「白色効果」をもたらす。
【0007】
さらに、粉体の形態における組成物は、移動という現象を受けやすい。これは、いくつかの組成物が、顔用の粉体である場合、皮膚の細かい線及び/またはシワの内部に、アイシャドウの場合、まぶたの筋の中に広がる傾向を有することが見出されているためである。特にアイシャドウの場合、まぶたの動きによって生ずるメークアップの筋の出現もまた観察されている。上記組成物は、不満足な保持性を示す。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
全てのこれらの現象は、避けることが非常に明らかに所望される大きな影響を引き起こす。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本出願人は、飽和し且つ分枝したC24からC28の脂肪酸または脂肪アルコールより成る特定の油性エステルの粉体バインダーとしての使用が、優れた化粧用特性を示すだけではなく、さらに改良された保持性を示す粉体を得ることを可能にすることを予期せず見出した。
【0010】
それ故本発明の主題は、微粒子相および脂肪相を含む粉体の形態における化粧用組成物であり、該脂肪相は、少なくとも一つの脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールエステルを含み、該脂肪酸またはアルコールの炭素質の鎖は、飽和し且つ分枝しており、24から28の炭素原子を含む。
【0011】
かくして得られた粉体の形態における組成物は、優れた保持性を示す。それらは移りがなく、皮膚の筋の内部に移動しない。それらはまた、顔料の優れた分散を示す。得られた組成物は非常に均質であり、皮膚への適用の後でさえ均質性を維持し、これは数時間後の場合でも維持される。
【0012】
本発明に従った組成物はまた、優れた化粧用特性を示す:それらは皮膚に十分に付着するが、多すぎることはなく、それらは大変柔軟で、適用が用意である。
【0013】
さらに、これらの組成物は固形化するのが容易であり、そして容易に崩壊し、且つ良好な固さを示す。特にそれらは、容器内の製品の良好な付着を示す一方で、該製品を満足に崩壊させる。例えば、固形化粉体の場合、それらは落下させた場合顕著な強さを示し、落下させた後の製品の損失のパーセントは非常に低い。
【0014】
本発明のさらなる主題は、上述の組成物を皮膚、全身または粘膜に適用することを含む、特に全身の皮膚またはヒトの粘膜(下まぶたの内側)をメークアップまたはケアする化粧方法である。
【0015】
本発明のさらなる主題は、粉体の形態の化粧用組成物における、上記組成物の皮膚上での保持を改良するための、少なくとも一つの脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールエステルの使用であり、ここで該脂肪酸またはアルコールの炭素質の鎖は、飽和し且つ分枝しており、24から28の炭素原子を含む。
【0016】
本発明のさらなる主題は、粉体の形態の組成物の調製における、上記組成物の皮膚上での保持を改良するための、少なくとも一つの脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールエステルの使用であり、ここで該脂肪酸またはアルコールの炭素質の鎖は、飽和し且つ分枝しており、24から28の炭素原子を含む。
【0017】
本発明の別のさらなる主題は、粉体の形態の組成物、特に化粧用組成物、とりわけ固形状の化粧用組成物における、上記組成物の衝撃強さを改良するための、少なくとも一つの脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールエステルの使用であり、ここで該脂肪酸またはアルコールの炭素質の鎖は、飽和し且つ分枝しており、24から28の炭素原子を含む。
【0018】
本発明に従った組成物は特に、皮膚及び粘膜のメークアップ及び/またはケアの分野での特に有利な応用が見出される。用語、「粘膜」は、特に下まぶたの内側の部分を意味するように解される。それ故本発明は、アイシャドウ、顔用または全身用パウダー、ファンデーション、コンシーラー、または全身のためのメークアップ製品のような、顔及び全身をメークアップするための製品の分野で非常に特別の応用が見出される。
【0019】
本発明の他の特徴、態様及び利点は、以下に引き続く詳細な説明を読むことで明らかとなろう。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物は、化粧用粉体である:それらは一般的に、該組成物の全重量に対して少なくとも70重量%、好ましくは77から99.9重量%までの微粒子相または粉末相を含む。それらはまた、粉末化合物の皮膚への付着及び最終組成物における互いの結合を容易にする脂肪物質を含むバインダーとしての脂肪相を含む。
【0021】
この脂肪相は、該組成物の全重量に対して30重量%まで、好ましくは0.1から23重量%まで、より好ましくは3から20重量%までを表すことができる。
【0022】
本発明に従った組成物の脂肪相は、少なくとも一つの脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールエステルを含み、該脂肪酸またはアルコールの炭素質の鎖は、飽和し且つ分枝しており、24から28の炭素原子を含む。
【0023】
本発明に従った用語、エステルは、モノエステルまたはポリエステルを意味する。用語、「ポリエステル」は、本発明の意味においては、例えばジエステル、トリエステル、テトラエステル等のような一つ以上のエステル官能基を含む化合物を意味するように解される。本発明に従ったエステルは、好ましくはポリエステルから選択される。本発明に従ったエステルは、好ましくは少なくとも2個の分枝したC24からC28の鎖を含む。用語、分枝は、特に1から14までの炭素原子を含む少なくとも一つの側鎖の炭化水素質の鎖を意味する。
【0024】
それ故本発明のエステルは、特にそれぞれ以下の式(a)型のゲルベ(Guerbet)脂肪アルコール、または以下の式(b)型のゲルベ脂肪酸の、飽和したC24からC28の脂肪アルコールまたは脂肪酸残基を含む:
【化1】
Figure 0003604609
式中、R’及びR”基は飽和アルキル基であり、その炭素原子の合計が22から26までの範囲である。R”アルキル基は好ましくは、R’アルキル基より2個少ない炭素原子を含む。
【0025】
本発明の組成物のエステルは好ましくは、高分子量を示す、つまり50以上、特に70以上の炭素数を有する室温(約25℃)で液体の油性エステルである。室温でペースト状または固体である製品と比較した、室温で液体である製品の利点は、その適用及び使用の容易性などの多くの点に存在する。さらに、このエステルが高分子量を示すという事実は、水中で分解しにくく、特にサンプロテクション(sun protection)製品といったプロテクション製品に広く所望される皮膜形成組成物を得ることを可能にする。このエステルは、とりわけ20℃で1.45より大きい屈折率、及び4以下のヨウ素価を示す。
【0026】
このエステルは、その高分子量にもかかわらず、脂っぽい感じがせず、重い感じがせず、べたつかず、それを含む組成物に顕著に快適な特性を与える。
【0027】
本発明に従ったエステルは有利には、2−デシルテトラデカン酸のような分枝したC24−C28の脂肪酸のエステル、とりわけモノ−、ジ−またはトリグリセリドであるグリセリンのようなポリオールのエステルである。このエステルは好ましくは、ゲルベ型の分枝したC24−C28の脂肪酸のトリグリセリドであり、特に2−デシルテトラデカン酸のようなC24の脂肪酸のトリグリセリドである。
【0028】
好ましくは、該エステルの少なくとも一つの分枝した鎖は、24個の炭素原子を含む。
【0029】
より好ましくは、本発明に従ったエステルは、分枝したC24の脂肪酸のトリグリセリド、分枝したC24の脂肪酸のペンタエリトリトールエステル、分枝したC24の脂肪アルコール及び二価の酸のエステル、並びにそれらの混合物から選択される。
【0030】
好ましいトリグリセリドは、例えばStearinerie Dubois社によって商品番号DUB TGI 24の名称で販売されているトリ(2−デシルテトラデカン酸)グリセリルである。このエステルは、140から150のけん化価、及び>1.45の屈折率、特に20℃で1.454から1.459までの範囲の屈折率、≦4のヨウ素化、≦30のヒドロキシル価、及び≦10の酸価を示す。その炭素数は75である。
【0031】
Stearinerie Dubois社によって商品番号DUB PTI 24の名称で販売されているテトラ(2−デシルテトラデカン酸)ペンタエリトリチル(101個の炭素原子を有する)のような、C24の脂肪酸のペンタエリトリトールエステルの使用もまた挙げられる。
【0032】
分枝したC24からC28の脂肪酸と組み合わせたアルコールがポリオールである場合、エステル化は、部分的であり、使用されるアルコールに依存して1,2,3またはそれ以上のOH基に関してなされており、あるいは完全であり得る。
【0033】
本発明のエステルとしては、Stearinerie Dubois社によって商品番号DUB DI 24Dの名称で販売されているようなジ(デシルテトラデシル)ジメラート(di(decyltetradecyl) dimerates)(84個の炭素原子を有する)、Condea社によって商品番号Isofol Ester 2482の名称で販売されているネオペンタン酸デシルテトラデシル(29個の炭素原子を有する)またはイソステアリン酸デシルテトラデシル(42個の炭素原子を有する)の飽和して且つ分枝したC24からC28の鎖を有する脂肪アルコール残基が挙げられる。ジメラートは二価の酸から生ずるエステルであり、後者は一般的に、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等のような不飽和のCからC24の酸から得られる。
【0034】
本発明に従ったエステルは好ましくは、界面活性剤の特性を示さない。
【0035】
本発明のエステルは、本発明に従った組成物の脂肪相の100重量%までを表すことができる:それ故それは、該組成物の全重量に対して30重量%までの範囲の含有量で本発明に従った組成物中に存在し得る。本発明に従ったエステルは好ましくは、該組成物の重量の0.1から23%までの範囲、より好ましくは2から20%までの範囲の含有量で、一般的に良好な付着及び改良された保持性の特性を該組成物に与えるのに十分な量で存在する。
【0036】
上述の特定のエステルに加えて、本発明に従った組成物の脂肪相は、油及び/またはワックス及び/またはペースト状脂肪物質のような、いずれかの他の脂肪物質を含むことができる。
【0037】
ペースト状脂肪化合物は、以下の物理化学的特性の少なくとも一つを使用して定義することができる:
− 60Hzの周波数でMS−r3またはMS−r4ローターを備えたContraves TVロータリー粘度測定器で40℃で測定した際に、0.1から40Pa・s(1から400ポアズ)、好ましくは0.5から25Pa・sの粘度、
− 25−70℃、好ましくは25−55℃の融点。
【0038】
該脂肪物質は、鉱物、動物または植物起源の油及び/またはワックス、フッ素化油、脂肪酸エステル及び/またはそれらの混合物から選択できる。
【0039】
使用可能な油の中では、ミンク油、ウミガメ油、ダイズ油、グレープシード油、ゴマ油、コーン油、レイプシード油、ヒマワリ油、綿実油、アボガド油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油またはグランドナッツ油;流動パラフィン、スクアランまたは液化石油のような炭化水素油;ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルデシル、ミリスチン酸または乳酸2−オクチルドデシル、コハク酸ジ(2−エチルヘキシル)、リンゴ酸ジイソステアリル、またはトリイソステアリン酸グリセリルまたはジグリセリルのような脂肪エステル;フッ素化油;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはイソステアリン酸のような高級脂肪酸;セタノール、ステアリルアルコールまたはオレイルアルコールのような高級脂肪アルコール、及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
使用可能なワックスの中では、ミツロウ、ラノリンワックス及びシナロウ;カルナウバ、カンデリラまたはオーリクリーワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、モクロウ、水素化ホホバワックス及び水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化ココナッツ油及び水素化ラノリンのような水素化油;パラフィンワックス、ミクロクリスタリンワックス、モンタンロウ及びオゾケライト;ポリエチレンワックス、フィッシャー−トロプシュ合成によって得られたワックス、ワックス状コポリマー及びそのエステル;ポリアルコキシ−及びポリアルキルシロキサンのようなシリコーンワックス、及び/またはそれら混合物が挙げられる。
【0041】
本発明に従った組成物の脂肪相は、任意に例えば揮発性油のような揮発性部分を含むことができる。
【0042】
用語、「揮発性油」は、皮膚に接触して蒸発可能ないずれかの化合物を意味するように解される。好ましくは、製剤中でこれらの油の使用を許容するのに十分に高く、所望の消失効果を生ずるのに十分に低い引火点を有する油の使用がなされる。40−100℃のオーダーの引火点を有する油が、好ましくは使用される。
【0043】
これらの揮発性化合物は、イソパラフィンのような炭化水素性油から特に選択され、特にイソドデカンである。
【0044】
該脂肪相はさらに、香料またはサンスクリーン剤のような化粧品において一般的に使用される親油性化粧用活性剤及び/または脂溶性成分のような添加剤を含むことができる。これらの添加剤は好ましくは、該脂肪相の全重量に対して20から70重量%までの範囲の割合で存在することができる。
【0045】
本発明に従った組成物はまた、RSiO1/2、RSiO2/2、RSiO3/2及びSiO4/2単位の組み合わせを含むシリコーン樹脂も含み、ここで式中、Rは水素、C−Cのアルキル基またはフェニル基を表す。
【0046】
本発明の組成物はさらに、抗酸化剤、精油、防腐剤、中和剤、W/OまたはO/W界面活性剤、ビタミンまたは抗シワ活性成分のような、考慮される分野で通常使用されるいずれかの添加剤を含むことができる。
【0047】
もちろん、当業者は、本発明に従った組成物の有利な特性が、考慮される添加剤によって不利に影響されない、または実質的に不利に影響されないように、これまたはこれらの任意の添加化合物及び/またはそれらの量を選択するのに注意を払うであろう。
【0048】
本発明に従った組成物は、化粧品組成物において通常使用される顔料及び/またはパール化剤及び/またはフィラー及び/またはそれらの混合物を含む微粒子相を含む。
【0049】
用語、「顔料」は、媒体に不溶性で、組成物を着色及び/または不透明にすることを企図した白色または着色された無機または有機粒子を含むように解されるべきである。
【0050】
顔料は、該組成物の全重量に対して0−40重量%の割合、好ましくは2−20重量%の割合で存在できる。それらは、白色または着色された、無機及び/または有機の物質で、通常ナノメーターのサイズを有する。無機顔料及びナノ顔料の中では、二酸化チタン、二酸化ジルコニウムまたは二酸化セリウム、及び酸化亜鉛、酸化鉄または酸化クロム、二酸化チタンナノ顔料、フェリックブルー及び/またはそれらの混合物が挙げられる。有機顔料の中では、カーボンブラック及び、唇及び皮膚でのメークアップ効果を与えるために通常使用される、ハロ酸、アゾまたはアントラキノン染料のような酸性染料のカルシウム、バリウム、アルミニウムまたはジルコニウム塩といったレーキ、及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
該顔料は、特にポリジメチルシロキサンのようなシリコーン化合物で、及び/または特にポリエチレンといったポリマーで皮膜され得る。それ故、Maprecos社製のSA顔料、またはMyoshi社製のPI顔料が挙げられる。
【0052】
用語、「フィラー」は、該組成物に粘性または堅さ、及び/またはメークアップのための柔軟性、光沢及び均一性を与えることを企図した、無色または白色の、無機または合成及びラメラまたは非ラメラ状の粒子を含むと解されるべきである。
【0053】
該組成物の全重量に対して0から99重量%までの範囲、好ましくは0−40重量%、好ましくは2−20重量%の含有量で、該組成物中に存在し得るフィラーは、無機または合成化合物で、ラメラまたは非ラメラ状であることができる。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、並びにナイロン、ポリ−β−アラニン及びポリエチレンの粉体形態、テフロン、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、テトラフルオロエチレンポリマーの粉体形態、ポリ(メタクリル酸メチル)パウダー、ポリウレタンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリエステルパウダー、Expancel (Nobel Industrie)のような合成中空ミクロスフェア、Polytrap (Dow Corning)のようなミクロスポンジ、及びシリコーン樹脂ミクロビーズ(例えばToshiba社製のTospearls)、酸化亜鉛及び酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、凝結した炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び水和炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(Maprecos社製のSilica Beads)、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、例えばステアリン酸亜鉛、マグネシウムまたはリチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムといった、8から22までの炭素原子、好ましくは12から18までの炭素原子を有する有機カルボン酸の金属塩、及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0054】
用語、「パール化剤」は、光を反射する虹色の粒子を含むように解されるべきである。
【0055】
パール化剤は、該組成物の全重量に対して0−60重量%、好ましくは0−40重量%の範囲の含有量で、より好ましくは2−20重量%のオーダーの濃度で、該組成物中に存在することができる。考慮され得るパール化剤の中では、天然真珠、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料またはオキシ塩化ビスマスで覆われたマイカ、及び着色酸化チタン皮膜マイカ、及び/またはそれらの混合物が挙げられる。
【0056】
特に本発明に従ったエステルのために、高濃度のパール化剤を含む固形状粉体を調製することが可能である。かくして好ましくは、本発明に従った組成物中のパール化剤の濃度が、該組成物の全重量に対して30重量%以上である場合、本発明に従ったエステルの濃度は、該組成物の全重量に対して15重量%以上である。
【0057】
本発明に従った組成物は、例えば固形状の、流動体状の、圧縮されたまたは成形された粉体の形態で提供され得る。例えば流動体状の粉体の場合、脂肪相は、該組成物の全重量に対して10重量%まで、好ましくは1から5重量%までを表すことができる。固形状粉体については、脂肪相の含有量は、該組成物の全重量に対して1から30重量%まで、好ましくは5から20重量%までを表すことができる。成形された粉体については、脂肪相の含有量は、該組成物の全重量に対して1から30重量%まで、好ましくは5から20重量%までを表すことができる。
【0058】
本発明の好ましい実施態様に従って、本発明に従った組成物は、固形状粉体である。
【0059】
本発明に従った組成物は、特に固形状粉体といった化粧用の粉体の調製のための周知の方法に従って調製される。
【0060】
本発明は、以下の実施例においてより詳細に説明される。
【0061】
以下の実施例において、量は該組成物の全重量に対する重量%として与えられる。
【0062】
【実施例】
実施例1:比較
本出願人は、本発明に従った以下の組成物A、及び以下の比較組成物Bを調製した:
− タルク 100%となる量
− マイカ 20%
− BiOCl 10%
− TiO 2%
− 金属塩 3%
− 顔料 15%
− ナイロン 20%
− バインダー 5.5%
ここで
【表1】
Figure 0003604609
【0063】
これらの組成物は、以下の方法で調製された:粉末化合物を最初に混合する。バインダーを加え、混合を再び実施する。組み合わせた混合物をふるいにかけ、次いで皿中で固形化する。
【0064】
これらの組成物は、例えばアイシャドウの形態で提供され得る。
【0065】
比較組成物Bは、EP 792,633に開示された従来技術に従ったバインダーを含む。このバインダーは、トリイソステアリン酸グリセリルを含み、該化合物は、トリ(2−デシルテトラデカン酸)グリセリルと類似の化学構造を有するエステルである。
【0066】
組成物A及びBを、それぞれ複数の被験者の両まぶたに適用した。以下の基準が、引き続き評価された:
− 付着性:組成物Bは過度に付着性を有すると評価される、
− 柔軟性:2/3の被験者が、組成物Bより組成物Aの方が柔軟であると感じた、
− 適用の容易性:全ての被験者が、組成物Bより組成物Aの方が適用が容易であると感じた。
【0067】
以上より、組成物Aは、組成物Bより優れた化粧用特性を示すと解された。
【0068】
かくして、本発明に従ったエステル、即ちトリ(2−デシルテトラデカン酸)グリセリルを含む本発明に従った組成物は、同様だが異なる化学構造を有するエステル、トリイソステアリン酸グリセリルを含む組成物に対して、改良された化粧用特性を示す。
【0069】
実施例2:比較
実施例1の組成物A及びBを、それぞれ6人の被験者の両まぶたのそれぞれに適用した。
【0070】
これらの被験者の83%が、以下のことを感じた:
− 組成物Aは、4時間後より鮮やかである、
− 組成物Aは、4時間後より均質である、
− 組成物Aは、4時間後より光沢を維持する。
【0071】
17%の被験者は、二つの製品の間に如何なる差異をも感じなかった。
【0072】
かくして、試験された83%の被験者について、本発明に従った組成物Aは、改良された保持性を示す。
【0073】
実施例3:比較
実施例1の組成物A及びBの衝撃強さを、同等の硬度で比較した。この硬度は、0から100までのショアA単位で段階化したZwickデュロメーターを使用して測定した。該デュロメーターの針は、測定される製品が存在する皿の中央近傍で突き刺すように配置され、硬度が段階化ダイアルで読み取られる。組成物A及びBに対する同等な硬度を得るために、組成物Aを80バールの圧縮圧力で固形化し、組成物Bを70バールの圧縮圧力で固形化した。
【0074】
以下のプロトコールに従って、落下試験を実施した:皿中に予め固形化された各サンプルに対して計量を実施する。次いで各サンプルを、砂岩台に垂直に20cmの高さから10回落下させる。各サンプルを再び計量し、損失した製品のパーセントを、初期の製品の重量に対して計算する。
【0075】
その結果が、以下の表に掲げられている:
【表2】
Figure 0003604609
【0076】
化粧品的に満足なレベルの崩壊に相当する同等な硬度で、本発明に従った組成物は、本発明に従っていないエステルを含む組成物よりも、落下試験それ故衝撃強さの点で、より良好な結果を示す。
【0077】
実施例4:
本出願人は、本発明に従った以下の組成物Cを調製した:
Figure 0003604609
【0078】
この組成物は、実施例1の調製方法にしたがって調製された。パール化剤の50%の存在にも関わらず、それを固形化することが可能である。さらに、この組成物は、良好な付着性を示す。120バールの圧縮圧力、及び実施例3のように測定された24ショアAの硬度に対して、この組成物は、実施例3のように測定された2%の落下後の製品の損失のパーセントを示し、これは上記の濃度のパール化剤を含む製品にしては非常に低い。
【0079】
本出願人は、15.4%のトリ(2−デシルテトラデカン酸)グリセリルが、15.4%のシリコーンに置換されている組成物Cに対応する組成物Dを調製した。120バールの圧縮圧力、及び組成物Cのものと同等な硬度に対して、組成物Dは、100%の落下後の製品の損失のパーセントを示す。

Claims (21)

  1. 脂肪相が少なくとも一つの脂肪酸エステルまたは脂肪アルコールエステルを含み、該脂肪酸またはアルコールの炭素質の鎖が飽和し且つ分枝し、24から28の炭素原子を含み、前記エステルがポリエステルであり、少なくとも二個の分枝したC24からC28の鎖を含むことを特徴とする、微粒子相および脂肪相を含む、粉体の形態における化粧用組成物。
  2. 該エステルが50以上の炭素数を有することを特徴とする請求項1記載の組成物。
  3. 該エステルの少なくとも一つの分枝した鎖が、24個の炭素原子を含むことを特徴とする請求項1または2記載の組成物。
  4. 該エステルが、分枝したC24の脂肪酸のトリグリセリド、分枝したC24の脂肪酸のペンタエリトリトールエステル、分枝したC24の脂肪アルコール及び二価の酸のエステル、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の組成物。
  5. 該エステルが20℃で1.45より大きい屈折率を示すことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の組成物。
  6. 該エステルが4以下のヨウ素価を示すことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の組成物。
  7. 該エステルがトリ(2-デシルテトラデカン酸)グリセリルであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の組成物。
  8. 該エステルが該組成物の全重量に対して30重量%までの範囲の含有量で存在することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項記載の組成物。
  9. 上記含有量が、該組成物の全重量に対して0.1から23重量%までの範囲であることを特徴とする請求項8記載の組成物。
  10. 該脂肪相がさらに、鉱物、動物または植物起源の油及び/またはワックス、フッ素化油、脂肪酸エステル及び/またはそれらの混合物から選択された脂肪物質を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の組成物。
  11. 該脂肪相がさらに揮発性油を含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の組成物。
  12. 該微粒子相が、無機顔料及びナノ顔料、二酸化チタン、二酸化ジルコニウムまたは二酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄または酸化クロム、二酸化チタンナノ顔料、フェリックブルー、カーボンブラック、ハロ酸、アゾまたはアントラキノン染料のような酸性染料のカルシウム、バリウム、アルミニウムまたはジルコニウム塩といったレーキ、ポリジメチルシロキサンのようなシリコーン化合物で、及び/またはポリエチレンといったポリマーで皮膜された顔料、及び/またはそれらの混合物から選択された顔料を含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載の組成物。
  13. 該顔料が、該組成物の全重量に対して40重量%までの範囲の含有量で存在することを特徴とする請求項12記載の組成物。
  14. 該微粒子相が、タルク、マイカ、シリカ、カオリン、並びにナイロン、ポリ-β-アラニン及びポリエチレンの粉体形態、テフロン、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、テトラフルオロエチレンポリマーの粉体形態、ポリ(メタクリル酸メチル)パウダー、ポリウレタンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリエステルパウダー、合成中空ミクロスフェア、ミクロスポンジ、及びシリコーン樹脂ミクロビーズ、酸化亜鉛及び酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、凝結した炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び水和炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、ステアリン酸亜鉛、マグネシウムまたはリチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムといった、8から22までの炭素原子を有する有機カルボン酸の金属塩、及び/またはそれらの混合物から選択されたフィラーを含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか一項記載の組成物。
  15. 該フィラーが、該組成物の全重量に対して0から99重量%までの範囲の含有量で存在することを特徴とする請求項14記載の組成物。
  16. 該微粒子相がパール化剤を含むことを特徴とする請求項1から15のいずれか一項記載の組成物。
  17. 該パール化剤が、該組成物の全重量に対して0−60重量%までの範囲の含有量で存在することを特徴とする請求項16記載の組成物。
  18. 固形状粉体の形態で存在することを特徴とする請求項1から17のいずれか一項記載の組成物。
  19. 該組成物の全重量に対して、30重量%以上のパール化剤の濃度、及び該組成物の全重量に対して15重量%以上のエステルの濃度を含むことを特徴とする請求項18記載の組成物。
  20. コンシーラー、ファンデーション、アイシャドウ、顔用及び全身用パウダー、または全身のためのメークアップ製品の形態で提供されることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項記載の組成物。
  21. 請求項1から20のいずれか一項記載の組成物の、皮膚、全身または粘膜への適用を含む、全身の皮膚またはヒトの粘膜のメークアップまたはケアのための化粧方法。
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