JP3604340B2 - 水道配管の凍結防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、寒冷地の水道配管の凍結防止装置に関し、特に、水抜きを考慮して配管が制約される恐れの少ない、低コストの水抜き方式による凍結防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、寒冷地においては、水道配管の凍結を防止するために、弁部が土中、凍結深度以下に埋設される不凍給水栓を操作して、配管内の水を落差を利用し、外部に排出する方法が一般的に行われているが、そのため、配管にあらかじめ適宜な(通常1/100程度)勾配をつけておく必要があり、分岐配管部分が多くなるほど、配管が制約される恐れがあった。特に、上下に屈折部をもうけた、いわゆる門型配管の場合は、そのほかに、末端の蛇口を開いただけでは水が抜けず、管内を大気に開口するための吸気弁を設置する必要があり、そのことが一層、配管の制約につながり、さらに、吸気弁の不作動、水漏れ等の事故の心配もあった。
【0003】
それとは別に、最近、管の腐食防止、施工性および配管更新の容易さ、工事費の削減、室内配管スペ−スの有効利用等の観点から、室内の水、湯回りにヘッダ−配管が普及するようになってきた。
【0004】
これは、あらかじめ床下スラブコンクリ−ト部等にガイドとなる樹脂製さや管を敷設しておき、給湯器やパイプシャフト水回りの周辺など、施工、維持管理の容易な場所に設置したヘッダ−から、途中で分岐することなく、各部屋の給水栓へ架橋ポリエチレン、ポリブテンの様な樹脂管を給水管、給湯管(以下、可撓管と総称する)として配管するシステムであり、配管途中に分岐のための継手を使用しないので漏水の発生が少なくなる、同時使用した場合の給水、給湯量の変化が少ない等の利点もあり、今後も一層の普及が予想される配管システムである。
【0005】
しかし、床下に設置され、しかも樹脂管なので、自由に配管できる反面、どうしても撓み部分ができ、交差配管もあり、上述した金属管の分岐配管の場合のように水抜きのための勾配を設けた配管が困難となる。
【0006】
さらに、従来のように、不凍給水栓の下流側配管から分岐するのではなく、ヘッダ−から分岐するため、不凍給水栓を操作して、落差とサイホン作用により水抜きしようとしても、排水が同時に始まった場合、ヘッダ−から蛇口までの水平距離が最短の配管内の水抜きが先ず終了し、ヘッダ−内に空気が入り込んでサイホン作用が途切れるため、他の分岐口からの水平配管内に一部水が充満したまま凍結し、再通水が不可能になるという現象が発生する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そのため本発明においては、負圧を起こして強制的に配管内の水抜きを行わせ、且つ、低コストで、故障の少ない、水道配管の凍結防止装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決のため本発明においては、底部に排水孔を、上部に接続口を有するタンクの吸引口を、水抜き弁の水抜口を介して配管と接続し、水抜き時は、水抜き弁を開き、上記接続口に電気掃除機のホース部を接続し、作動させて、その吸引力を利用して配管内の水を一旦タンク内に溜め、作動終了後、タンク内の水を排水孔から外部に自然排出するようにしたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、ヘッダ−配管の場合を例にとり、図面に基づいて詳細に説明する。図1に本発明の装置概略図を示すが、1は床下スラブコンクリ−ト部に設置された本発明のタンクであり、図2に示すように、台座2に支持され、その底部に下方へ突出部3をもうけ、突出部3の内部上端に排水孔4、その下方に下側弁座5を形成する。図では縦長のタンクにしているが、勿論横長にしても良い。
【0010】
下端にクリップ6を装着し、クリップ6に樹脂状の球弁7を着座させて負圧作動弁8を形成する。負圧作動弁8は、これに限定されるものでなく、種々の形態にできることは勿論である。タンク1の側方に吸引口9を突出させ、その上方の上蓋10上端部にテーパー状の接続口11をもうけ、吸引口9との中間部に金網12を上蓋10により落下しないよう設置し、その上に、比重が1より小さい樹脂製の浮き弁13を載置し、何らかの原因で水面が上昇したとき、上側弁座14に当接して接続口11に水が達しないようにしている。15は数カ所もうけた、浮き弁13のリム状のガイドであり、16は排水管である。なお、接続口11には、タンク1内に埃や異物が入らないよう、蓋をしておくのが普通であり、排水管16内の臭気が床下にこもらないためにも有効である。
【0011】
17は不凍給水栓であり、地中で立上管18に接続され、継手類を介して水用ヘッダー19、水用の水抜弁20、湯用の水抜弁21、湯用ヘッダー22に接続される。ヘッダ−19、22の各分岐口に可撓管23、24を接続し、可撓管23、24をさや管25、26で覆う。さや管25と給湯器27の間に吸気弁付き逆止弁28を、給湯器27とさや管26の間に吸気弁29を取り付け、水抜弁20、21の水抜口30、31を、タンク1の吸引口9に接続する。水抜弁20、21は2方弁で、ボールバルブのように開閉操作の簡単なものが使用者にとっては便利であり、また損失抵抗が小さく、水残りも少ないという利点はあるが、勿論それに限定されるものではない。
【0012】
通常状態においては、水抜弁20、21は閉じているのでタンク1内には湯水が入り込まず、不凍給水栓17および給湯器27からの湯水は可撓管23、24を通って台所、浴室等の末端の蛇口(図示せず)に至っている。
【0013】
冬、長期留守等で凍結の恐れがあり、水抜きするときは、図3で改め口の蓋32をとり、まず、不凍給水栓17を閉栓状態にする。その後で水抜弁20、21を開き、末端の湯水の蛇口を全て開放すると、可撓管23、24内の湯水は不凍給水栓17から地中に排出されると同時に、吸引口9からタンク1内に入り込み、排水孔4から排水管16に排出される。
【0014】
縦配管内の湯水はスムーズに排出されるが、吸気弁付き逆止弁28、吸気弁29から入り込んだ空気により、サイホン現象は途切れ、上下の屈折部などにより適宜な勾配を設けていない横配管内の湯水はそのまま残るため、家庭用の電気掃除機33のホース部34を接続口11の蓋を取って填め込み、スイッチをONにすると、タンク1内が負圧になり、球弁7が下側弁座5に密着して下方からの大気を遮断し、同時に可撓管23、24内の湯水は水抜弁20、21の水抜口30、31から吸引口9内に吸い込まれ、タンク1内に排出される。吸引口9はタンク1の壁面に沿ってやや下方向に水が流れるようにしており、水が跳ね返って接続口11側に達するのを防止している。
【0015】
湯水と同時に空気も吸引するが、空気は電気掃除機33から排出され、湯水だけがタンク1内に溜まっていく。最大溜まっても水位が吸引口9以下になるよう、タンク1の大きさを決めておけばよい。電気掃除機33の内径は必ずしも一定でないので、接続口11にテーパーをもうけ、適宜な位置で電気掃除機33の内径と合致させるようにしているが、アタッチメントを使用するなどの方法もある。 また、接続口11の蓋はヒンジ式にして、いちいち取らなくても負圧で開くようにしても良い。
【0016】
一定時間経過して電気掃除機33をスイッチOFFにしたときは可撓管23、24内の湯水は大部分タンク1内に貯留され、少なくとも可撓管23、24内が満水で、凍結し、再通水時に水が出ないという事故は防止できる。電気掃除機33が作動を停止すると同時に球弁7が下降してクリップ6に着座し、タンク1内に溜まった水は排水孔4から負圧作動弁8を通って排水管16に排出され、タンク1内は再び空になる。なお、あらかじめ時間がセットされたタイマーを介して電気掃除機を家庭のコンセントに接続すれば、使用者が時間を気にする必要がないので、例えば、接続口11部分等に付属品としてセットしておく方法もある。
【0017】
操作終了後は、水抜弁20、21を閉じ、掃除機33のホース部34を抜いて接続口11の蓋を確認し、改め口の蓋32を閉めて、各蛇口を閉じればよい。次に通水状態にするときは、不凍給水栓17を開栓状態にするだけなので、楽である。
【0018】
不凍給水栓17を閉栓にしないで水抜弁20、21を開けてしまった等の誤動作により、タンク1内の浮き弁13まで水位が達したときは、浮き弁13が上昇し、上側弁座14を閉塞して接続口11に水が行かないようにしているため、電気掃除機33内に水が入り込むことはない。
【0019】
水抜弁20、21は1個の3方弁にしてもよく、また、不凍給水栓17とともに電動弁にして、シーケンス制御させれば、操作が楽で、しかも、上記のような誤動作が発生しないという利点がある。その水抜弁の1実施例を図4に示す。
【0020】
図4は電動式の3方ボールバルブを使用した例を示しているが、ボール35にはT状の穴36を有し、左端を水の配管が接続される入水口37とし、右端を湯用ヘッダー22が接続される入湯口38とし、下端をタンク1の吸引口9に接続する水抜口30とする。図では入水口37も入湯口38も閉塞された状態を示しているが、排水時には電動ケース39に収容されたモ−タ−(図面省略)で90゜回転させて、入水口37、入湯口38と排水口30を連通させればよい。
【0021】
基本的には縦配管の排水が終わった後で、電気掃除機33を作動させるようにしているため、タンク1自体を極端に大きくする必要はない。しかし可撓管23、24の使用本数が多い等で吸引した時の水位が浮き弁13に達するような時は、図1で水抜弁30、31のどちらかを先に開け、一定時間電気掃除機33を作動させた後で一旦スイッチを切り、タンク1内の水を排水させた後でもう一方の水抜弁を開く、といった面倒な操作が必要になるが、電気掃除機も含めて電動でシーケンス制御にすれば、押し釦を1回押せば操作が終了するということも可能になる。そのときはボール35の穴36はT状でなく、逆L状になる。
【0022】
図5に示すように、引き込み管40から立ち上がる立上管18および止水用バルブ41にテープヒーターを巻き付けるなどの加熱手段を施せば、不凍給水栓17を省略しても良い。この時も、まず止水用バルブ41を閉じてから水抜バルブを開放する順序は変わらない。
【0023】
図6には不凍給水栓の上部に水抜弁を形成し、不凍給水栓17と水抜弁20、21の操作順序の間違いを防止するようにした1実施例を示す。すなわち、流入口42、流出口43、地下排水口44をもうけ、内部にシリンダ45、46、47を有する不凍給水栓17の弁箱48内に収容されるピストン49は、上記シリンダ45、46、47を摺動する3本の環状パッキン50、51、52を装着し、ロッド53で延長されてスピンドル54に連結され、弁箱48はパイプ55で延長され、水抜弁本体56に接続される。
【0024】
水抜弁本体56は左端に入水口37を、右端に入湯口38を、紙面と直角方向に水抜口39を形成し、入水口37内にばね57によりOリングの逆止弁座58に押圧された止水体59を挿入しており、入湯口38にも同様に、ばね57’によりOリングの逆止弁座58’に押圧された止湯体59’を収容している。スピンドル54の下端部に大径の押圧部60を全周に亘ってもうけている。
【0025】
図は不凍給水栓17の通水状態を示しており、引き込み管40に接続される流入口42からの水は、流出口43、立上管18を通り、水用ヘッダー19および入水口37に至り、さらに給湯器27を介して入湯口38に至っている。この時は環状パッキン50、52、止水体59、止湯体59’により漏水は防止されている。
【0026】
この状態から水抜き操作をするときは、ハンドル61を回転させてスピンドル54とともにピストン49を上昇させると良く、まず、環状パッキン51がシリンダ46に密着して流入口42からの水を遮断し、その後で環状パッキン50がシリンダ45から離脱するが、同時にスピンドル54の押圧部60が止水体59、止湯体59’を押圧して弁座58、58’から離脱させ、水抜口39、地下排水口44から湯水が排出される。図示しないが、地下排水口44には、地中の汚水が弁箱48内に入り込まないよう、逆止弁が取り付けられる。
【0027】
つまり、図1において、不凍給水栓17を閉栓にしないで水抜弁20、21を開く、という操作ミスは完全に防止できることになる。再び通水状態にするときは、止水体59、止湯体59’が先に閉じ、環状パッキン50がシリンダ45に密着した後で環状パッキン51がシリンダ46から離脱して通水が行われる。
【0028】
止水体59、止湯体59’を用いる代わりに、入水口37、入湯口38、水抜口30を段違いに形成し、Oリングで通止水するようにしても良い。また、図4のような3方ボールバルブを使用し、スピンドル54は定位置で回転し、ピストン49は回転せず、上下動させるようにすることもできる。さらに、不凍給水栓17に適用するのではなく、上述した止水用バルブ41に適用しても良い。
【0029】
このように、横配管内の水を電気掃除機で強制吸引する方式を採用しているので、交差配管のように上がり下がり部分が生じても、考えられる通常の床転がし配管程度では、電気掃除機に一定の吸い込み能力さえあれば、可撓管内が閉塞されるような水残りは生ぜず、従って、凍結により、再通水が不可能になるという事故も生じない。なお、電気掃除機には、本体を屋内または屋外に設置し、各部屋にホース差込口をもうける形式のものも含まれるのは勿論である。さらに、図2において、負圧作動弁8を省略し、排水孔4だけにすることも可能であるが、タンク1内の負圧度が低下するのと、水が接続口11側に吸い込まれやすくなるので、注意を要する。
【0030】
【発明の効果】
上述したように本発明においては、不凍給水栓または止水用バルブを閉栓にした後で、電気掃除機を一定時間作動させて、配管内の空気と湯水をともに一旦タンク内に吸い込み、その後でタンク内の水を排水孔から排出してタンク内を空にすることにより、従来の分岐配管であろうと、ヘッダ−配管であろうと、確実に配管内の水抜きができ、そのため、水残りを考慮して配管が制約されるようなこともなく、門型配管においても吸気弁を省略することができ、あらかじめ特別な電動吸引装置を設置しておかなくても良いので、コストが安く付き、床下の湿気等による電機部品の損傷の心配もない、水道配管の凍結防止装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヘッダ−配管の場合の装置概略図である。
【図2】本発明のタンクの1実施例を示す、部分縦断面図である。
【図3】本発明の装置を作動させている概略図である。
【図4】本発明の水抜弁の1実施例を示す縦断面図である。
【図5】不凍給水栓を使用しない本発明の1実施例を示す、装置概略図である。
【図6】本発明の不凍給水栓の1実施例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 タンク
4 排水孔
8 負圧作動弁
9 吸引口
11 接続口
17 不凍給水栓
19、22 ヘッダー
20、21 水抜弁
30、31 水抜口
33 電気掃除機
34 ホース部
40 引き込み管
41 止水用バルブ

Claims (3)

  1. 底部に排水孔を、上部に接続口を有するタンクの吸引口を、水抜弁の水抜口を介して配管と接続し、上記接続口に電気掃除機のホース部を着脱自在に接続したことを特徴とする水道配管の凍結防止装置。
  2. タンク底部に、電気掃除機の作動時に排水孔を閉塞し、作動停止時に排水孔を大気に開口する負圧作動弁を有せしめたことを特徴とする、請求項1記載の水道配管の凍結防止装置。
  3. 水抜弁の下方に不凍給水栓または止水用バルブの弁部を接続して水抜きバルブと連動させ、水抜弁が開栓状態になったときは、引き込み管からの水が遮断されているようにしたことを特徴とする、請求項1記載の水道配管の凍結防止装置。
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