JP3604243B2 - 静電容量型トランスデューサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、静電容量型トランスデューサに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、圧力センサや加速度センサ等の計測器には静電容量型トランスデューサが用いられている。この静電容量型トランスデューサは、可動電極と、この可動電極に対向する膜状の固定電極を備えた基板とが空隙を介して対向配置された構造を備え、基板に対する可動電極の変位を、可動電極と固定電極との間の静電容量の変化として検出できるようになっている。
例えば、静電容量型圧力センサでは、導電性を付与したシリコンにより可動電極としてのダイアフラムを形成し、このダイアフラムを空隙を介して基板と対向配置して、基板のダイアフラムと対向する検出面に固定電極を設けた構造がある。流体の圧力を計測する場合には、ダイアフラムの基板側の面とは反対側の面に流体を導入し、その圧力によるダイアフラムの変位を静電容量の変化として検出することにより、流体の圧力を電気信号に変換できるようになっている。
【0003】
このような静電容量型トランスデューサにおける基板の固定電極は、基板に形成された貫通孔等を介して検出面から引き出され、この引き出された部分に導線を接続して信号処理回路と電気的に接続するようにしている。
この導線には、通常、アルミニウム或いは金からなるワイヤーが用いられるため、固定電極の材料はこれらのワイヤーをボンディング可能な材料に限られる。その材料の中でも、アルミニウムは、安価なうえに、基板に用いられるガラスとの密着性に優れ、パターン形成のためのフォトリソプロセスが容易なことから広く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、固定電極をアルミニウム膜により形成すると、高温下での測定や製造時の加熱工程等により固定電極の表面にヒロックとよばれる突起物が発生しやすく、このヒロックにより固定電極と可動電極との距離が変わるため、可動電極の変位を正確に検出できなくなるという問題があった。
とくに、トランスデューサが小型化してくると、固定電極と可動電極との間隔が小さくなるためヒロックの影響が顕著になり、大きく成長したヒロックが可動電極に接触して検出不可能になる虞れがあった。
【0005】
また、アルミニウムは過酷な環境下、とくに、結露があったり、酸やアルカリ等の腐食雰囲気では腐食が進みやすく、アルミニウムを固定電極として使用したトランスデューサの寿命は比較的短かった。さらに、腐食により固定電極の表面の形状が変わると、可動電極と固定電極との距離にも影響するため、検出精度低下の原因となる。
【0006】
本発明の目的は、良好なボンディング性を確保するとともに、高い検出精度を確保できかつ耐食性を向上できる静電容量型トランスデューサを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、従来、単一の材料により形成されていた電極を異なる複数の材料により形成することで前記目的を達成しようとするものである。
具体的には、本発明の静電容量型トランスデューサは、基板と、この基板に対して変位可能にかつ空隙を介して対向配置された可動電極と、前記基板の前記可動電極と対向する検出面に設けられた固定電極と、この固定電極に導通されかつ前記基板の検出面から引き出された信号取出部とを有し、前記固定電極と前記信号取出部とは、一連に成膜された電極のうちの一部が前記固定電極とされ他の一部が前記信号取出部とされ、前記固定電極および前記信号取出部は互いに異なる組成の金属からなり、前記固定電極は、難変形性金属としてのチタン、クロム、ニッケル、または、チタン、クロムおよびニッケルのいずれかを主成分とする合金からなり、前記信号取出部は、ボンディング可能な易接合性金属としてのアルミニウム、金、または、アルミニウムおよび金のいずれかを主成分とする合金からなることを特徴とする。
【0008】
本発明では、固定電極および信号取出部は互いに異なる組成の金属により形成されるので、固定電極および信号取出部にそれぞれ所望の特性を持たせることが可能となる。従って、この固定電極を耐食性が高くかつヒロックが発生しにくい金属により形成すれば、可動電極との距離を正常な状態に維持できるようになり、固定電極と可動電極との接触を防止できるようになるから、可動電極の変位を長期間安定して高精度に検出できるとともに、固定電極の腐食によりトランスデューサ全体の寿命が低下する等の不具合を防止できる。また、信号取出部は、固定電極から電気信号を取り出す機能が損なわれない限り、トランスデューサの特性、つまり可動電極の変位やそれに基づく静電容量の変化にはほとんど影響しないので、この信号取出部を導線を容易にボンディングできる金属により形成すれば、良好なボンディング性を確保できる。
これらにより、前記目的が達成される。
【0009】
ここで、難変形性金属とはヒロックが発生しにくい金属をいい、例えば、高温時の抗張力が水の気化、膨張力よりも大きい金属、基板との熱膨張率の差が小さい金属、不純物の添加等により結晶内の周期性を妨げた金属、エレクトロマイグレーションに対する耐性の高い金属の中から採用できる。
このような難変形性金属により固定電極を形成すると、固定電極におけるヒロックの発生を確実に防止できるようになり、可動電極の変位を正確に検出できる。
【0010】
すなわち、固定電極にヒロックが発生する原因としては、基板と固定電極との境界面にある水が加熱によりガス化して膨張し、この蒸気により固定電極が押し上げられることが考えられるが、難変形性金属として、高温時の抗張力が水の気化、膨張力よりも大きい金属を用いれば、蒸気の圧力がかかっても固定電極が変形することがなくなり、固定電極におけるヒロックの発生を抑制できる。
また、固定電極を基板よりも熱膨張率の高い材料により形成した場合には、加熱によって固定電極に圧縮応力が生じ、この圧縮応力が緩和されるようにヒロックの成長が起こると考えられるが、難変形性金属として基板との熱膨張率の差が小さい金属を用いれば、高温時の熱応力を小さくできるため、ヒロックの発生を抑制できるようになる。
さらに、ヒロックには転移のすべりが原因で発生するものもあると考えられるが、難変形性金属として、合金化、不純物の添加、ドーピング等により結晶内の周期性を妨げた金属を用いれば、転移のすべり(結晶粒界に沿う原子の移動)が阻害されるので、ヒロックの発生を抑制することができる。
また、エレクトロマイグレーションによりヒロックが生じることも考えられるが、難変形性金属として、合金化、不純物の添加、ドーピング等によりエレクトロマイグレーションに対する耐性を高めた金属を用いれば、電流や電界による金属原子の移動を抑制できるから、ヒロックの発生を防止できる。
【0011】
そして、信号取出部はボンディング可能な易接合性金属により形成すると、信号取出部をワイヤーにより信号処理回路等に電気的に接続する際に簡単かつ確実にボンディングを施すことができる。
【0012】
具体的には、前記難変形性金属としては、チタン、クロム、ニッケル、シリコン、コバルト、パラジウム、タンタル、金、または、チタン、クロム、ニッケル、鉄、タングステン、シリコン、アルミニウム、コバルト、パラジウム、タンタルおよび金のいずれかを主成分とする合金であり、前記易接合性金属としては、アルミニウム、金、または、アルミニウムおよび金のいずれかを主成分とする合金であることが好ましい。
【0013】
中でも、難変形性金属として、チタンおよびチタンを主成分とする合金のいずれかを用いれば、チタンの抗張力は水よりも大きいので、固定電極におけるヒロックの発生を確実に抑制できる。また、チタンは耐食性に優れているため固定電極の腐食を確実に防ぐことができる。さらに、フォトリソグラフィー等により固定電極をパターン形成する際にも、チタンは加工性が良好なため、所望のパターンを簡単に形成できる。
また、易接合性金属として、アルミニウムおよびアルミニウムを主成分とする合金のいずれかを用いれば、アルミニウムは安価なうえに、基板に用いられるガラスとの密着性に優れ、パターン形成のためのフォトリソプロセスが容易なため、少ないコストで優れた信号取出部を製造できる。
ここで、本発明では、前記固定電極はその膜厚が前記検出面側からその反対面に向けて徐々に薄くなり、前記信号取出部はその膜厚が前記検出面に向かうにつれて徐々に薄くなり、前記固定電極と前記信号取出部とは互いの接触部分が徐々に切り替わるように成膜されていることが好ましい。
また、本発明では、前記基板は、前記検出面からその反対面まで通じるスルーホールを有し、前記信号取出部は前記固定電極からスルーホールを介して前記検出面とは反対側の面に引き出されており、前記固定電極はその膜厚が前記スルーホール内において前記検出面側からその反対面に向けて徐々に薄くなり、前記信号取出部はその膜厚が前記スルーホール内において前記検出面に向かうにつれて徐々に薄くなり、前記固定電極と前記信号取出部とは互いの接触部分が徐々に切り替わるように成膜されていることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1には、静電容量型トランスデューサとしての圧力センサ10が示されている。この圧力センサ10は、圧力を静電容量の変化として検出する静電容量型の圧力センサであり、可動電極としての弾性変形可能なダイアフラム20と、このダイアフラム20周囲の厚肉部21に陽極接合されてダイアフラム20を挟持する上ガラス30および下ガラス40とから構成されている。
ダイアフラム20と上、下ガラス30,40との間には、厚肉部21よりも内側に所定の空隙が形成されている。ダイアフラム20は、この空隙において弾性変形することにより、基板である上ガラス30に対して変位できるようになっている。
【0015】
ダイアフラム20は、導電性が付与されたシリコン、例えば、単結晶シリコンからなり、ダイアフラム20自身が一つの電極になっている。このダイアフラム20において、上ガラス30と対向する対向面20Aは、厚肉部21の上面21Aよりも一段低く凹んでおり、下ガラス40と対向する対向面20B(図2参照)は、厚肉部21の下面21Bよりも図中高くなって(凹んで)いる。このダイアフラム20は、例えば、約0.1mm厚のシリコンから各段差部分がホトレジスト加工等によりエッチングされて形成されている。
なお、限定されるものではないが、対向面20Aから厚肉部21の上面21Aまでの段差寸法は、例えば、約2〜8μm程度、対向面20Bから下面21Bまでの段差寸法は、例えば、約80μm程度である。
【0016】
上ガラス30は本発明における基板であり、そのダイアフラム20と対向する検出面30Aには、固定電極である膜状の中央電極31と、この中央電極31を囲む固定電極である膜状の周辺電極32とが設けられている。
上ガラス30の上面(検出面30Aとは反対の面)30Bには、検出面30Aから引き出された膜状の信号取出部34,35が設けられている。これらの信号取出部34,35はそれぞれ上ガラス30に設けられたスルーホール36,37を介して中央電極31および周辺電極32に導通されている。各信号取出部34,35のうち、周辺電極32と導通した信号取出部35は、上ガラス30の端縁部分まで引き出された引出部38を備えている。
【0017】
このような検出面30Aの中央電極31および周辺電極32と、上面30Bの信号取出部34,35とは、互いに異なる組成の金属からなり、具体的には、中央電極31および周辺電極32は難変形性金属であるチタンからなり、信号取出部34,35はボンディング可能な易接合性金属であるアルミニウムにより形成されている。
中央電極31と信号取出部34、周辺電極32と信号取出部35は、図2に示すように、それぞれ各スルーホール36,37において互いに接触して導通され、その接触部分では、固定電極31,32と信号取出部34,35とが徐々に切り替わるように成膜されている。つまり、固定電極31,32はその膜厚が検出面30A側から上面30B側に向かって徐々に薄くなるように形成され、信号取出部34,35はその膜厚が上面30B側から検出面30A側に向かって徐々に薄くなるように形成され、これらの固定電極31,32と信号取出部34,35とがそれぞれスルーホール36,37内面で重なるように成膜されている。
【0018】
図1に戻って、上ガラス30の上面30Bには、陽極接合時に使用される陽極接合用電極39が設けられており、この陽極接合用電極39は、略ダイアフラム20の縁に対応した形状とされて各信号取出部34,35を囲んでおり、前述の引出部38が陽極接合用電極39の不連続部39Aを通って引き出されている。さらに、上ガラス30の角部30Dにはダイアフラム20の側面20Cから引き出された信号を取り出すための取出部50が設けられている。この取出部50は、上ガラス30の上面に形成された上面部50Aと、ダイアフラム20の側面20Cおよび上ガラス30の側面30Cに跨る側面部50Bとが連続して形成されたものである。
なお、これらの取出部50、引出部38および陽極接合用電極39は、信号取出部34,35と同じアルミニウムにより形成されている。
【0019】
一方、下ガラス40は、略中央位置に設けられた圧力導入口41を備えており、この圧力導入口41から圧力が印加されるようになっている。
なお、下ガラス40は、圧力センサの使用形態等を勘案し、適宜省略可能である。
【0020】
このような圧力センサ10では、圧力導入口41に圧力が印加されると、ダイアフラム20が湾曲するように弾性変形し、ダイアフラム20と上ガラス30の中央電極31および周辺電極32との間の距離が変化し、その距離に応じて静電容量が変化し、これにより圧力測定を行う。この際、ダイアフラム20の変位は中央近辺が大きく、周辺部が小さいため、ダイアフラム20と上ガラス30の中央電極31および周辺電極32との間の静電容量とに差が生じ、両者の差異を測定することにより、温度等の変化に基づく誤差を校正するとともに、ノイズ等を取り除き、より正確に圧力を検出する。
なお、この圧力センサ10は、いわゆるゲージ圧(大気圧をゼロとしたときの、大気圧に対する差圧)センサであり、ダイアフラム20および上ガラス30間の空隙部分は、中央電極31、周辺電極32の各スルーホール36,37を通じて大気開放されている。
【0021】
次に、圧力センサ10の製造手順を説明する。
先ず、エッチング等によりダイアフラム20を成形し、下ガラス40には圧力導入口41を設ける。
また、基板である上ガラス30にはスルーホール36,37を形成し、検出面30Aにはチタンの薄膜を蒸着或いはスパッタにより成膜して、その反対側の上面30Bには同様にしてアルミニウムの薄膜を形成する。この成膜工程により、スルーホール36,37の内壁では、チタン薄膜は上面30Bに向かって徐々に薄く成膜され、アルミニウム薄膜は検出面30Aに向かって徐々に薄く成膜され、これらのチタン膜とアルミニウム膜とはスルーホール36,37内面で接触して導通される。なお、これらのチタン膜およびアルミニウム膜の成膜の順序は限定されない。
【0022】
そして、フォトリソグラフィーにより、検出面30Aのチタン膜に中央電極31および周辺電極32のパターンを形成し、上面30Bのアルミニウム膜に信号取出部34,35、引出部38、陽極接合用電極39、および取出部50の上面部50Aをパターン形成する。
次いで、下ガラス40、ダイアフラム20および上ガラス30を順に積層した後、約400℃の高温下で、引出部38およびダイアフラム20側がプラス、陽極接合用電極39および下ガラス40側がマイナスなるように約400Vの電圧を印加し、下ガラス40、ダイアフラム20および上ガラス30を陽極接合する。
この後、ダイアフラム20の側面20Cおよび上ガラス30の側面30C(角部30D)にアルミニウムを蒸着或いはスパッタすることにより、上面30Bに予め設けた上面部50Aに跨る側面部50Bを成膜し、取出部50を形成する。そして、これらの信号取出部34,35および取出部50にアルミニウムからなるワイヤー(図示省略)をボンディングして図示しない信号処理回路と電気的に接続する。
【0023】
なお、圧力センサ10は単体で製造されるものに限定されず、複数のダイアフラム20を一体に形成したダイアフラムウェーハであるシリコンウェーハ、複数の上ガラス30を一体に形成した上ガラスウェーハ、および複数の下ガラス40を一体に形成した下ガラスウェーハを互いに陽極接合して積層ウェーハを製作した後、この積層ウェーハに形成された複数の圧力センサ10(センサチップ単体)を所定の切断位置に従って各々に切断することにより製造してもよい。
【0024】
このような本実施の形態によれば以下のような効果がある。
すなわち、中央電極31および周辺電極32と、信号取出部34,35とを互いに異なる組成の金属としたため、固定電極31,32および信号取出部34,35にそれぞれ所望の特性を持たせることが可能となる。
このうち、中央電極31および周辺電極32をヒロックが発生しにくい難変形性金属により形成したので、中央電極31および周辺電極32におけるヒロックの発生を確実に防止できるようになり、中央電極31および周辺電極32とダイアフラム20との距離を正常な状態に維持できるから、ダイアフラム20の変位を長期間安定して高精度に検出できる。また、ヒロックの発生が抑制されるので、中央電極31および周辺電極32とダイアフラム20とが接触して測定不可能となる不具合を確実に防止できる。
【0025】
さらに、難変形性金属の中でも、抗張力が水よりも大きいチタンを用いて中央電極31および周辺電極32を形成したため、400℃の高温下で陽極接合を行ったり、高温下で圧力測定を行ったりしても、中央電極31および周辺電極32が上ガラス30との間に存在する水の蒸気圧によって変形することがなくなるから、ヒロックの発生を確実に抑制できる。
また、チタンは過酷な環境下での耐食性に優れているため、中央電極31および周辺電極32の腐食を確実に防ぐことができ、中央電極31および周辺電極32とダイアフラム20との距離が腐食により変動することがなくなるので、高精度な出力特性を長期間維持できるようになり、圧力センサ10全体の寿命を長くできる。
さらに、中央電極31および周辺電極32をフォトリソグラフィーによりパターン形成する際にも、チタンは加工性が良好なため、所望のパターンを簡単に形成できる。
【0026】
また、信号取出部34,35をボンディング可能な易接合性金属により形成したので、良好なボンディング性を確保でき、信号処理回路に接続するためのワイヤーを確実かつ容易にボンディングできる。
【0027】
さらに、易接合性金属の中でも安価なアルミニウムを用いて信号取出部34,35形成したので、材料にかかるコストを低減できる。また、アルミニウムは上ガラス30および下ガラス40との密着性に優れているから、簡単に優れた信号取出部34,35を形成できる。そして、アルミニウムはパターン形成のためのフォトリソプロセスが容易なため、信号取出部34,35を簡単に形成できる。
【0028】
そして、信号取出部34,35を構成するアルミニウムはワイヤーと同一の材料であるため、一層良好なボンディング性を確保できる。
また、上ガラス30の上面30Bの取出部34,35、引出部38、陽極接合用電極39、および取出部50の上面部50Aは共通してアルミニウムにより形成されているため、同時にパターン形成することができるから、製造を容易化できる。
【0029】
さらに、引出部38が中央電極31を囲む周辺電極32と導通しているうえ、陽極接合時には、その引出部38にダイアフラム20と同じ電圧を印加するから、周辺電極32およびこの周辺電極32に囲まれた中央電極31を、ダイアフラム20と略同電位にすることができ、陽極接合時にダイアフラム20が上ガラス30に引き寄せられるのを防止できる。
【0030】
さらに、絶縁体である上ガラス30の角部30Dには、ダイアフラム20から側面20C,30Cを通って引き出されたダイアフラム20用の取出部50が設けられているから、上ガラス30の角部30Dを切り欠いて取出部を形成する必要がない。このため、圧力センサ10の大きさが小さい場合でも、ダイアフラム20の取出部50を簡単に形成することができ、圧力センサの小型化を一層促進できる。
【0031】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
前記実施形態では、中央電極31および周辺電極32を構成する難変形性金属としてチタンを用いたが、例えば、チタンを主成分とする合金により形成してもよい。或いは、他の難変形性金属により形成してもよく、例えば、クロム、ニッケル、シリコン、コバルト、パラジウム、タンタルおよび金のいずれかにより形成してもよく、または、クロム、ニッケル、鉄、タングステン、シリコン、アルミニウム、コバルト、パラジウム、タンタルおよび金のいずれかを主成分とする合金により形成してもよい。
【0032】
また、前記実施形態では、信号取出部34,35を構成する易接合性金属としてアルミニウムを用いたが、アルミニウムを主成分とする合金により形成してもよい。或いは、他の易接合性金属により形成してもよく、例えば、金、または、金を主成分とする合金により形成してもよい。
【0033】
また、難変形性金属と易接合性金属との関係には、それぞれの材料のイオン化傾向を考慮してもよい。例えば、中央電極31および周辺電極32を構成する難変形性金属として、信号取出部34,35を構成する易接合性金属よりも貴なる金属を用いることにより、内側の電極31,32を相対的に保護することもできる。
【0034】
そして、前記実施形態の信号取出部34,35は上ガラス30のスルーホール36,37から上面30Bに引き出されていたが、信号取出部34,35は、例えば、上ガラス30とダイアフラム20との間から引き出されていてもよく、上面30Bに引き出すか否かは、圧力センサの使用形態に応じて適宜に決められてよい。
【0035】
また、前記実施形態では、上ガラス30のみに中央電極31および周辺電極32が設けられていたが、本発明は、下ガラス40にも同様な電極が設けられた圧力センサに適用可能である。
そして、ガラス等の基板に設けられる電極としては、前記実施の形態での中央電極31および周辺電極32のように二つに限られるものではなく、中央電極に相当する電極や周辺電極に相当する電極が各々複数設けられていてもよい。
【0036】
また、前記実施形態では、上面30Bに設けられた引出部38、陽極接合用電極39、および取出部50の上面部50Aは、信号取出部34,35と同じアルミニウムにより形成されていたが、導電性を有する他の金属により形成してもよい。
【0037】
さらに、前記実施形態では、ダイアフラム20自身が電極とされていたが、例えば、ダイアフラムが絶縁体である場合には、半導体プロセス等の技術により、このダイアフラムに導電性の薄膜を形成する等して電極を設けて可動電極としてもよい。
また、前記実施の形態では、厚肉部21がダイアフラム20の周縁に一体に設けられていたが、ガラス等の基板側に凹部を加工することにより、厚肉部を基板側に一体に設け、ダイアフラムを均一な厚さのものとしてもよく、あるいは、別体の厚肉部材をダイアフラムと基板との間に介装させる構成でもよい。
【0038】
そして、静電容量型トランスデューサは、圧力を測定する前記実施形態の圧力センサ10に限定されず、他の状態量を測定する計測器に用いてもよく、例えば、可動電極におもりを設けた加速度センサであってもよい。要するに、基板と、基板に対して変位可能に空隙を介して対向配置された可動電極と、基板の可動電極と対向する検出面に設けられた固定電極と、この固定電極に導通されかつ基板の検出面から引き出された信号取出部とを有する静電容量型のトランスデューサであれば、その使用形態や用途等は任意である。
【0039】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、固定電極および信号取出部は互いに異なる組成の金属により形成されるので、固定電極および信号取出部にそれぞれ所望の特性を持たせることが可能となる。従って、この固定電極を耐食性が高くかつヒロックが発生しにくい金属により形成すれば、可動電極との距離を正常な状態に維持できるようになり、固定電極と可動電極との接触を防止できるようになるから、可動電極の変位を長期間安定して高精度に検出できるとともに、固定電極の腐食によりトランスデューサ全体の寿命が低下する等の不具合を防止できる。また、信号取出部は、固定電極から電気信号を取り出す機能が損なわれない限り、トランスデューサの特性、つまり可動電極の変位やそれに基づく静電容量の変化にはほとんど影響しないので、この信号取出部を導線を容易にボンディングできる金属により形成すれば、良好なボンディング性を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す分解斜視図。
【図2】図1のI−I線断面図。
【符号の説明】
10 圧力センサ(静電容量型トランスデューサ)
20 ダイアフラム(可動電極)
30 上ガラス(基板)
30A 検出面
31 中央電極(固定電極)
32 周辺電極(固定電極)
34,35 信号取出部
40 下ガラス
Claims (3)
- 基板と、この基板に対して変位可能にかつ空隙を介して対向配置された可動電極と、前記基板の前記可動電極と対向する検出面に設けられた固定電極と、この固定電極に導通されかつ前記基板の検出面から引き出された信号取出部とを有し、
前記固定電極と前記信号取出部とは、一連に成膜された電極のうちの一部が前記固定電極とされ他の一部が前記信号取出部とされ、
前記固定電極および前記信号取出部は互いに異なる組成の金属からなり、
前記固定電極は、難変形性金属としてのチタン、クロム、ニッケル、または、チタン、クロムおよびニッケルのいずれかを主成分とする合金からなり、
前記信号取出部は、ボンディング可能な易接合性金属としてのアルミニウム、金、または、アルミニウムおよび金のいずれかを主成分とする合金からなる
ことを特徴とする静電容量型トランスデューサ。 - 請求項1に記載の静電容量型トランスデューサにおいて、
前記固定電極はその膜厚が前記検出面側からその反対面に向けて徐々に薄くなり、前記信号取出部はその膜厚が前記検出面に向かうにつれて徐々に薄くなり、前記固定電極と前記信号取出部とは互いの接触部分が徐々に切り替わるように成膜されている
ことを特徴とする静電容量型トランスデューサ。 - 請求項1に記載の静電容量型トランスデューサにおいて、
前記基板は、前記検出面からその反対面まで通じるスルーホールを有し、
前記信号取出部は前記固定電極からスルーホールを介して前記検出面とは反対側の面に引き出されており、
前記固定電極はその膜厚が前記スルーホール内において前記検出面側からその反対面に向けて徐々に薄くなり、前記信号取出部はその膜厚が前記スルーホール内において前記検出面に向かうにつれて徐々に薄くなり、前記固定電極と前記信号取出部とは互いの接触部分が徐々に切り替わるように成膜されている
ことを特徴とする静電容量型トランスデューサ。
Priority Applications (2)
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