JP3602761B2 - 廃棄物の回転式風力選別装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、各種廃棄物の回転式風力選別装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の回転式風力選別装置は種々のものが考案され、例えば、特公平7−29088号公報(公報1)、特開平6−23325号公報(公報2)に記載のものがある。これらの技術は、この発明の一実施例を示す図1を参照して説明すると、回転ローラ8上に、両端が開口されかつ内部に多数の逆送り用の掻き上げ板7を有する円筒状回転ドラム6がほぼ水平に回転自在に載置され、その回転ドラム6の両端にそれぞれ入口フード3と出口フード5が配置され、その入口フード3側から前記回転ドラム6内の軸心上に供給手段を配設したものである。
【0003】
そして、公報1、2の記載技術の廃棄物供給手段は、支持部材を介して回転ドラム6の内面に固定された輸送管と、輸送管に廃棄物を送る投入シュートから成り、その輸送管内に空気を送る空気管が設けられている。なお、公報1の回転ドラム6は、多数の貫通孔が設けられたスクリーンタイプのものであり、公報2のものは、孔が設けられていない無孔タイプのものである。
【0004】
また、上記掻き上げ板7は、回転ドラム6の軸線に対し傾斜して固定され、環状空間14への空気供給手段は、複数の空気供給管2よりなり、その各空気供給管2は回転ドラム6の軸心を中心とする略同心円上に配置されるとともに、環状空間14の上半部に集中して配置されている。
【0005】
この種の風力選別機は、空気eにより軽量物cを出口フード5側へ移送し、空気eの影響を受けにくい重量物bを掻き上げ板7の逆送り作用により入口フード3側へ逆送している。その掻き上げ板7は傾斜して取り付けられていることから、掻き上げられた廃棄物aは入口フード3側に向かって落下することになる。このような作用により両者を選別する。
【0006】
したがって、予め破砕された廃棄物aを、供給手段9により回転ドラム6内に供給すると、プラスチックシートや紙等の軽量物cと、コンクリート片、金属片および木材片等の重量物bの2種類に選別する。このとき、両者が絡み合っている廃棄物aは、掻き上げ板7による掻き上げから落下する際に、軽量物cが空気eの影響を受け、重量物bと軽量物cとの分離が促される。絡み合った廃棄物aは、重量物bと軽量物cとの中間(以下、中量物と称する)であり、出口フード5側、入口フード3側のどちらにも移送されにくく、何度も掻き上げ板7により持ち上げられて落下するので、次第に両者が分離する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、中量物には、軽量物と重量物が絡み合ったもの以外に、野菜屑や薄い木材片等(以下、単体中量物と称する)がある。風力選別機では、重量物bと軽量物cの2種類のみに選別するものであるから、その単体中量物も、そのどちらかに選別されることになる。このとき、単体中量物、例えば、薄い木材片を、重量物bとして回収したい場合は、風量を減らすことで対処できる。反対に軽量物cとして回収したい場合は、風量を増やせばよい。しかし、選別機に供給される廃棄物aには、色々な単体中量物が含まれるから、選別結果から、風量を調節することになる。このためには、風量調整幅の大きい大能力の送風機を用いる必要がある。
【0008】
また、軽量物cと重量物bが絡み合ったものを分離させるには、掻き上げ板7から落下する際に、大きい力の空気eを当てるのが望ましい。大きな力の空気eを当てるには、やはり、能力の大きい送風機を用いなければならない。
【0009】
さらに、一般に、選別に用いられた空気eは、出口フード5の上部から排出される。これは、空気e(排気d)とともに排出されるようとする細かな軽量物cを、自重により、少しでも、出口フード5下部の軽量物出口12に落下させて回収したいためである。これにより、バグフィルターの負荷も少なくなる。
【0010】
また、出口フード5の上部に空気排出口4があると、空気供給管2から回転ドラム6内に供給された空気eは、回転ドラム6の排出側上方に向かって進むことになる。掻き上げ板7により掻き上げられた廃棄物aは、最下端の位置からほぼ120度の位置までで、自重により落下する。そして、選別用の空気eは、この落下する廃棄物aに当てる必要がある。しかし、空気供給管2が環状空間14の上半分に集中して、空気eが回転ドラム6の排出側上方に向かって進めば、廃棄物aに空気eを有効的に当てることができない。このため、必要量の空気eを当てるには、能力の大きい送風機を用いなければならない。
【0011】
この発明は、回転ドラム内への空気送風機に能力の大きいものを使用することなく、上記単体中量物の選別、軽量物と重量物の円滑な分離、及び排気への軽量物の混入阻止を円滑に行うようにすることを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、この発明は、まず、上記掻き上げ板を、その出口フード側に向く方向と上記回転ドラムの筒軸方向との角度、すなわち取付角度を調整可能としたのである。この掻き上げ板の取付角度が可変であれば、その掻き上げ板による逆流作用も調節でき、その調節によって、単体中量物の選別も任意とすることができる。
【0013】
つぎに、この発明は、上記各空気供給管は、上記回転ドラムの軸心を中心とするほぼ同心円上に配置されるとともに、上記掻き上げ板から廃棄物が多く落下する側に偏せられているものとしたのである。空気供給管が落下する側にあれば、その落下廃棄物に有効に空気が当たって、円滑な分離が行われる。
【0014】
さらに、この発明は、上記出口フード内に、上記回転ドラムの端面のほぼ上半分を覆う遮蔽板を設けることとしたのである。この遮蔽板により、空気は回転ドラムの下半分を通過して排気口に至ろうとするので、落下廃棄物に有効に空気が当たって円滑な分離が行われる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態としては、回転ローラ上に、両端が開口されかつ内部に多数の逆送り用の掻き上げ板を有する円筒状回転ドラムをほぼ水平に回転自在に載置し、その回転ドラムの両端の一方に入口フード3を、他方に出口フードを配置し、その入口フード側から前記回転ドラム内の軸心上に供給筒を有する供給手段を配設し、その供給筒と回転ドラムとの間の環状空間に空気を供給するとともに、前記供給手段により廃棄物を回転ドラム内に送り込み、前記空気により軽量物を出口フード側に移送するとともに、重量物を前記掻き上げ板の逆送り作用により入口フード側に逆送する廃棄物の回転式風力選別装置において、下記の構成(1) 〜 (3)のいずれか一つ、またはそれらの2又は3の組み合わせのものを採用し得る。
【0016】
(1) 上記掻き上げ板は、その掻き上げ板の長手方向と上記回転ドラムの筒軸方向との角度が調整可能となっている。
【0017】
(2) 上記供給筒と回転ドラムとの間の環状空間に空気を供給する手段は複数の空気供給管から成り、その各空気供給管は、前記回転ドラムの軸心を中心とするほぼ同心円上に配置されるとともに、上記掻き上げ板から廃棄物が多く落下する側に偏せられている。
【0018】
(3) 上記出口フード内に、上記回転ドラムの端面のほぼ上半分を覆う遮蔽板を設ける。
【0019】
【実施例】
以下、この発明の一実施例を、図1乃至図4を参照して説明すると、1は回転式選別機本体で、空気供給管2が固定された入口フード3と、空気排出口4を備えた出口フード5と、両フード3、5の間に設けられた円筒状回転ドラム6を備えている。その回転ドラム6は、両端が開口されて、フード3側はラッパ状に拡径されている。また、回転ドラム6の内周面には多数の掻き上げ板7が設けられている。そして、回転ドラム6は、回転ローラ8の上に載置されて、図示しない駆動機により図2矢印のごとく回転される。
【0020】
上記掻き上げ板7は、廃棄物aを掻き上げるとともに入口フード3側へ返送するように回転ドラム6の軸線に対して傾けて取付けられている。また、回転ドラム6の出口フード5側開口には、飛び越し防止用の堰板15が設けてある。この堰板15は無くてもよい。
【0021】
上記入口フード3には、供給手段としてのスクリューフィーダ9と、複数の空気供給管2が固定されており、入口フード3の下部には、重量物出口10が形成されている。なお、それぞれの空気供給管2には、流量調整用のダンパ16が設けられている。スクリューフィーダ9の円筒状ケーシング(供給管)11は、回転ドラム6と同一軸線上に配置されるとともに、その末端は回転ドラム6の長さ方向略中央に位置している。そして、回転ドラム6内面とケーシング11の外面との間が環状空間14となっている。
【0022】
上記空気供給管2は、図2に示すように、回転ドラム6の軸心を中心とするほぼ同心円上に5本配置されるとともに、左下の部分に、すなわち、矢印方向の回転ドラム6の回転に伴って廃棄物aが掻き上げ板7から多く落下する側に集中して配置されている。この配置は、最下端から120度程度掻き上げられた位置から落下する廃棄物aに有効に空気eが当たるようにする。空気供給管2の数は任意である。因みに、回転ドラム6が逆回転であれば、空気供給管2は右下の部分に集中させる。出口フード3には、斜め上方に空気排出口4が、下部に軽量物出口12が形成され、空気排出口4の手前に短冊状のスクリーン13が設けられている。
【0023】
上記掻き上げ板7は、回転ドラム6の軸線に沿って5列で、各列は円周方向に等分に4個設けられている。また、入口フード3側3列は低いもの、出口フード5側は高いものを用いている。この掻き上げ板7は、断面がL字形の鋼材が用いられており、取付板17を介して、回転ドラム6を貫通する1本のボルト18により固定されている。掻き上げ板7の軸線方向及び周方向の数は任意である。
【0024】
回転ドラム6の排出側は、その上半部を覆うための遮蔽板19が出口フード5に取付けられている。遮蔽板19は、軸20を介して出口フード5に垂下されており、回転ドラム6の内部を点検する場合などには、遮蔽板19を斜め上方に持ち上げて行うとよい。
【0025】
この実施例は以上のとおりであり、つぎに、その作用を説明すると、まず、回転ローラ8を回転させることで、回転ドラム6を回転させるとともに、各空気供給管2に空気eを送る。この状態で、あらかじめ破砕された都市ごみ等の廃棄物aをスクリューフィーダ9により回転ドラム6の中央部付近に落下させると、空気供給管2からの空気eにより、廃棄物a中の軽量物cは出口フード4側へ移送され、掻き上げ板7の逆送り作用により重量物bは入口フード3側へ移送される。また、軽量物cと重量物bが絡み合っている廃棄物aは、掻き上げ板7より落下する際の分離作用及び空気eとの衝突作用によりその両者b、cに分離する。この作用により、廃棄物aは、重量物bと軽量物cのいずれかに選別される。
【0026】
このとき、単体中量物は、軽量物cか重量物bのいずれかに選別されるが、例えば、薄い木材片が重量物bにあれば、掻き上げ板7を取付板17に固定しているボルト18をゆるめ、掻き上げ板7の取付角度(その掻き上げ板7の長手方向と回転ドラム6の筒軸方向との角度)θを小さくした後、再びボルト18で固定する。これにより、薄い木材片等の単体中量物は掻き上げ板7により以前より上方へ持ち上げられた後落下することになり、落下中に受ける風の影響が大きくなるので、落下位置も以前より前方(出口フード4側)となる。逆に取付角度θを大きくすれば、以前より下方で落下することになり、風の影響が少なくなり、以前より後方に落下する。したがって、この傾斜角度(取付角度)θを変えることで、薄い木材片等の単体中量物を、軽量物cとして、あるいは重量物bとして選別することができる。すなわち、掻き上げ板7が溶接などにより固定されていれば、このような調整は不可能であるが、取付角度θを調整できるため、廃棄物aの性状に応じて、選別することが可能である。これは、廃棄物a中の水分が季節により異なったりしても、取付角度θを調整することができ、選別精度への影響が少ないこととなる。
【0027】
また、この回転式選別機1に供給される空気eは、軽量物cを出口フード4側へ移送することと、掻き上げ板7から落下してくる廃棄物aから軽量物cを分離することを主目的としている。このことから、空気供給管2を右下の部分に集中して配設しているので、掻き上げ板7から落下してくる廃棄物aに対して、集中的に空気eを当てることができて、その分離作用は円滑である。このとき、落下の状況を見て、空気供給が不要な空気供給管2の一部をダンパー16などにより塞いで、効率的に空気eを当てるようにしてもよい。
【0028】
なお、環状空間14を狭くしていることにより、少量の空気eでも、空気eの流速が速くなり、分離効率を維持できる。また、環状空間14が狭くなっているので、その空間14内又は近くの掻き上げ板7の高さを小さくしている。
【0029】
さらに、遮蔽板19が設けられているので、その遮蔽板19によって空気eが回転ドラム6の下半部を流れることとなり、落下中の廃棄物aに効率よく空気eを当てることができるとともに、出口フード5側に向かう軽量物cが遮蔽板19に当たって出口12に至る。なお、この例では、遮蔽板19は、ピン20を中心に回転自在としているが、出口フード5に固定されていてもよく、上下に移動可能なスライド式にしてもよい。
【0030】
【発明の効果】
この発明は、以上のようにしたので、回転ドラム内への空気送風機に能力が大きいものを使用することなく、単体中量物の円滑な選別、軽量物と重量物の円滑な分離を行うことができる。また、送風量を少なくできるので、排気中への塵埃(軽量物)の同伴を抑制することができるとともに、後工程での集塵機や排気機の能力を小さいものとし得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施例の概略断面図
【図2】同実施例のドラム切断右側面図
【図3】同実施例の出口側概略切断左面図
【図4】同実施例の掻き上げ板部分の斜視図
【符号の説明】
1 回転式選別機本体
2 空気供給管
3 入口フード
4 空気排出口
5 出口フード
6 回転ドラム
7 掻き上げ板
8 ローラ
9 スクリューフィーダ
10 重量物出口
11 ケーシング
12 軽量物出口
13 スクリーン
14 環状空間
15 堰板
16 ダンパ
17 取付板
18 ボルト
19 遮蔽板
20 ピン
a 廃棄物
b 重量物
c 軽量物
d 排気
e 空気
Claims (4)
- 回転ローラ8上に、両端が開口されかつ内部に多数の逆送り用の掻き上げ板7を有する円筒状回転ドラム6をほぼ水平に回転自在に載置し、その回転ドラム6の両端の一方に入口フード3を、他方に出口フード5を配置し、その入口フード3側から前記回転ドラム6内の軸心上に供給筒11を有する供給手段9を配設し、その供給筒11と回転ドラム6との間の環状空間14に空気eを供給するとともに、前記供給手段9により廃棄物aを回転ドラム6内に送り込み、前記空気eにより軽量物cを出口フード5側に移送するとともに、重量物bを前記掻き上げ板7の逆送り作用により入口フード3側に逆送する廃棄物の回転式風力選別装置において、
上記掻き上げ板7は、上記回転ドラム6の内面に固定のフラットな取付板17にボルト18止めされるとともに、そのボルト18をゆるめることにより、そのボルト18を回転中心として前記取付板17上を回転可能となって、その掻き上げ板7の長手方向と上記回転ドラム6の筒軸方向との角度θが調整可能となっていることを特徴とする廃棄物の回転式風力選別装置。 - 回転ローラ8上に、両端が開口されかつ内部に多数の逆送り用の掻き上げ板7を有する円筒状回転ドラム6をほぼ水平に回転自在に載置し、その回転ドラム6の両端の一方に入口フード3を、他方に出口フード5を配置し、その入口フード3側から前記回転ドラム6内の軸心上に供給筒11を有する供給手段9を配設し、その供給筒11と回転ドラム6との間の環状空間14に空気eを供給するとともに、前記供給手段9により廃棄物aを回転ドラム6内に送り込み、前記空気eにより軽量物cを出口フード5側に移送するとともに、重量物bを前記掻き上げ板7の逆送り作用により入口フード3側に逆送する廃棄物の回転式風力選別装置において、
上記供給筒11と回転ドラム6との間の環状空間14に空気eを供給する手段は複数の空気供給管2から成り、その各空気供給管2は、前記回転ドラム6の軸心を中心とするほぼ同心円上に配置されるとともに、上記掻き上げ板7から廃棄物aが多く落下する側に偏せられていることを特徴とする廃棄物の回転式風力選別装置。 - 回転ローラ8上に、両端が開口されかつ内部に多数の逆送り用の掻き上げ板7を有する円筒状回転ドラム6をほぼ水平に回転自在に載置し、その回転ドラム6の両端の一方に入口フード3を、他方に出口フード5を配置し、その入口フード3側から前記回転ドラム6内の軸心上に供給筒11を有する供給手段9を配設し、その供給筒11と回転ドラム6との間の環状空間14に空気eを供給するとともに、前記供給手段9により廃棄物aを回転ドラム6内に送り込み、前記空気eにより軽量物cを出口フード5側に移送するとともに、重量物bを前記掻き上げ板7の逆送り作用により入口フード3側に逆送する廃棄物の回転式風力選別装置において、
上記掻き上げ板7は、その掻き上げ板7の長手方向と上記回転ドラム6の筒軸方向との角度θが調整可能となっており、かつ、上記供給筒11と回転ドラム6との間の環状空間14に空気eを供給する手段は複数の空気供給管2から成り、その各空気供給管2は、前記回転ドラム6の軸心を中心とするほぼ同心円上に配置されるとともに、掻き上げ板7から廃棄物aが多く落下する側に偏せられていることを特徴とする廃棄物の回転式風力選別装置。 - 回転ローラ8上に、両端が開口されかつ内部に多数の逆送り用の掻き上げ板7を有する円筒状回転ドラム6をほぼ水平に回転自在に載置し、その回転ドラム6の両端の一方に入口フード3を、他方に出口フード5を配置し、その入口フード3側から前記回転ドラム6内の軸心上に供給筒11を有する供給手段9を配設し、その供給筒11と回転ドラム6との間の環状空間14に空気eを供給するとともに、前記供給手段9により廃棄物aを回転ドラム6内に送り込み、前記空気eにより軽量物cを出口フード5側に移送するとともに、重量物bを前記掻き上げ板7の逆送り作用により入口フード3側に逆送する廃棄物の回転式風力選別装置において、
上記出口フード5内に、上記回転ドラム6の端面のほぼ上半分を覆う遮蔽板19を設けたことを特徴とする廃棄物の回転式風力選別装置。
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