JP3602257B2 - キャビネット固定具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、互いに接する2つの壁面と天井面とのコーナー部分に、キャビネットを取付・固定するための固定具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図12に示すように、スピーカキャビネット等のキャビネット10を、互いに接する2つの壁面12、14と天井面16とのコーナー部分に取付・固定したい場合がある。
この場合、従来は、図13に示すような形状のキャビネット10を、図14に示すような金具18を用いて固定していた。
【0003】
詳述すると、従来は、図14〜図16に示すように、壁面12、14に取り付けられた金具18の貫通孔20に、キャビネット10の背面に設けられた突起部22を引っかけて固定していた。24は取付板、26は固定板、28はネジである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図14に示すような金具18では、貫通孔20にキャビネット10の突起部22を嵌入した後、キャビネット10を押し下げるか、又は重力によりキャビネット10が落下することを利用して、突起部22を貫通孔20に引っかけて係止させる構造であるため、図16に示すように、キャビネット10が落下した距離である落下長さLだけ、キャビネット10と天井面16との隙間があくことになり、外観上好ましくなかった。
【0005】
本発明は上記の諸点に鑑みなされたもので、本発明の目的は、互いに接する2つの壁面と天井面とのコーナー部分にキャビネットを固定する際に、天井面及び壁面にキャビネットをぴったりとくっつけて固定することができるキャビネット固定具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のキャビネット固定具は、互いに接する2つの壁面と天井面とのコーナー部分に、背面に少なくとも1個の突起部を有するキャビネットを固定するための固定具であって、少なくとも一方の壁面に取り付けるための取付板と、キャビネットの背面を固定するための固定板とを備え、該取付板と該固定板とは連結されており、該固定板に、前記突起部の頭部が通る大きさの大径孔と、該大径孔の少なくとも上部に突起部の胴部が通りかつ頭部が抜けない幅のスリット孔とを有する少なくとも1個の貫通孔を設け、キャビネットを天井面に接する高さまで持ち上げて固定する位置に合わせて前記突起部の胴部を係止するための少なくとも1個の切欠部を有する、1箇所を支点として回動可能なストッパーを、前記固定板に設けたことを特徴としている。
【0007】
また、本発明のキャビネット固定具は、互いに接する2つの壁面と天井面とのコーナー部分に、背面に少なくとも1個の突起部を有するキャビネットを固定するための固定具であって、一方の壁面に取り付けるための取付板と、キャビネットの背面を固定するための固定板とを備え、該取付板と該固定板とは連結されており、該固定板に、突起部の頭部が通る大きさの大径孔と、該大径孔に対して上下対称に突起部の胴部が通りかつ頭部が抜けない幅のスリット孔とを有する少なくとも1個の貫通孔を設け、キャビネットを天井面に接する高さまで持ち上げて固定する位置に合わせて前記突起部の胴部を係止するための切欠部と、キャビネットを持ち上げた距離と同じ長さだけ逆にキャビネットを下ろした上下対称な位置に他の切欠部を少なくとも1組有する、1箇所を支点として回動可能なストッパーを、前記固定板に設けたことを特徴としている。
【0008】
上記の本発明のキャビネット固定具において、取付板にネジ挿通孔を設けて、キャビネット固定具をネジで壁面に固定することができる。
また、上記の本発明のキャビネット固定具において、ストッパーをキャビネットの背面と接する側に設けることが望ましい。
これらのキャビネット固定具において、キャビネット背面の突起部の胴部に台座を設けて、ストッパーをキャビネットの背面で押さえつけるようにすることができる。
以上のキャビネット固定具においては、材質として金属又はプラスチックを用いることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態によるキャビネット固定具を示している。図1において、30は固定具であり、材質としては金属が用いられているが、他の材質、例えばプラスチック等を用いることも勿論可能である。固定具30は、壁面12又は壁面14に取り付けるための取付板32と、図2に示すキャビネット10の背面を固定するための固定板34とからなっている。取付板32にはネジ挿通孔36が設けられており、固定具30をネジで壁面12又は14に固定できるようになっている。なお、ネジ以外の他の手段で固定具30を取り付けることも勿論可能である。
【0010】
一方、固定板34には、キャビネット10の突起部22の頭部38が通る大きさの大径孔44と、この大径孔44に対して上下対称に突起部22の胴部40が通りかつ頭部38が抜けない幅のスリット孔46とを有する貫通孔42が、上下にそれぞれ1個ずつ設けられている。また、固定板34の1箇所を支点として回動可能なストッパー48が設けられており、このストッパー48には、キャビネット10を天井面16に接する高さまで持ち上げて固定する位置に合わせて前記突起部22の胴部40を係止するための切欠部50と、キャビネット10を持ち上げた距離と同じ長さだけ逆にキャビネット10を下ろした上下対称な位置に他の切欠部52とが上下にそれぞれ1組ずつ設けられている。54は摘み部、55は支点軸である。なお、図1では、図2に示すキャビネット10の突起部22の数が2個であるので、貫通孔42を2個設け、ストッパー48の切欠部50、52を2組設けているが、キャビネットの突起部の数を増減させた場合等に、貫通孔を1個又は3個以上設け、それに合わせて切欠部を1組又は3組以上設けた構成とすることも勿論可能である。
【0011】
つぎに、図1〜図4を参照しながら、本発明の第1の実施の形態によるキャビネット固定具の取付手順について説明する。
まず、固定具30における取付板32を壁面12にネジで固定する。このとき、固定板34のストッパー48は、図1のように解除状態にしておく。そして、スピーカキャビネット等のキャビネット10の背面に設けられた突起部22の頭部38を、貫通孔42の大径孔44に通してから、キャビネット10を上方に持ち上げる。ここで、ストッパー48の下側の摘み部54に指をかけてストッパー48を回転させ、ストッパー48の切欠部50が突起部22の胴部40に引っかかるような状態にする。ストッパー48で突起部22を係止させることで、図3に示すように、キャビネット10を天井面16にぴったりとくっつけて固定することができる。図4は、ストッパー48で突起部22を係止させた状態を天井側から見た図である。
【0012】
なお、図1及び図4において、固定具30の左側(壁面12側)のみに取付板32が設けられており、ネジ挿通孔36が左側にしか空けられていないのは、片側で固定具30を固定すれば、十分にキャビネット10の重量に耐えられるからである。また、左右の壁面の材質が異なる場合などは、固定具30を上下逆にすることにより、取付板32を反対側の壁面14に固定することができるので、固定具30を取り付けるのに有利な条件となるように、取付板32を固定する側の壁面を選ぶことができる。そして、固定具30を上下逆にして取り付ける場合にも対応できるように、固定板34の貫通孔42は、上下対称な形状になっており、ストッパー48の形状もそれに合わせて、切欠部50と切欠部52とが対になって設けられている。なお、固定具30の右側(壁面14側)は、取付板32より面積の小さい板状構造になっている。
【0013】
図1に示すキャビネット固定具において、ストッパー48は、図1、図3及び図4に示すように、固定板34の内側、すなわちキャビネット10の背面と接する側に設けてもよいし、図5に示すように、固定板34の外側、すなわち壁面12、14側に設けてもよいが、固定板34の内側に設けるのがより好ましい。ストッパー48が固定板34の外側に設けられている場合は、例えば、ストッパー48が反って固定板34から浮き上がっている状態では、図6のようにストッパー48の端面が突起部22の頭部38に当たってしまい、係止状態にできないことがあり得る。これに対して、ストッパー48が固定板34の内側に設けられている場合は、たとえストッパー48が反って固定板34から浮き上がっていても、図7のようにストッパー48をキャビネット10の背面で押さえつけることにより矯正することができる。
【0014】
また、図2に示すキャビネットにおいて、図8に示すように、キャビネット10背面の突起部22の胴部40に台座56を設けることもできる。突起部22に台座56を設けた場合は、図1に示すキャビネット固定具において、ストッパー48が反って固定板34から浮き上がっていても、ストッパー48をキャビネット10の背面から台座56で押さえつけることができる。この場合、反って浮き上がったストッパー48を押さえつけることができるようにするために、ストッパー48の解除状態において、図9に示すように、ストッパー48の側端部57が台座56からはみ出すことのないようにするのが望ましい。すなわち、ストッパー48の側端部57と台座56とが当接するようにすることが望ましい。
【0015】
図10は、本発明の第2の実施の形態によるキャビネット固定具を示している。図10において、固定具30は取付板32と固定板34とからなっており、取付板32にはネジ挿通孔36が設けられている。固定板34には、大径孔44とその上部にスリット孔46とを有する貫通孔42が2個設けられている。また、固定板34の1箇所を支点として回動可能なストッパー48が設けられており、このストッパー48には切欠部58が2つ設けられている。その他の点は、本発明の第1の実施の形態によるキャビネット固定具の場合と同様である。
【0016】
図11は、本発明の第3の実施の形態によるキャビネット固定具を示している。図11において、固定具30は取付板32と固定板34とからなっており、取付板32にはネジ挿通孔36が設けられている。固定板34には、大径孔44とその上部にスリット孔46とを有する貫通孔42が1個設けられている。また、固定板34の1箇所を支点として回動可能なストッパー48が設けられており、このストッパー48には切欠部60が1つ設けられている。その他の点は、本発明の第1の実施の形態によるキャビネット固定具の場合と同様である。
【0017】
【発明の効果】
本発明は上記のように構成されているので、つぎのような効果を奏する。
(1) ストッパーでキャビネットの突起部を係止させることにより、キャビネットを天井面及び壁面にぴったりとくっつけて固定することができる。
(2) 取付板は少なくとも片側に設けられており、貫通孔及びストッパーの形状は上下対称であるので、キャビネット固定具を上下逆にして使用することができ、固定具を取り付けるのに有利な条件を選ぶことができる。
(3) ストッパーをキャビネットの背面と接する側、すなわち固定板の内側に設けた場合は、ストッパーが反って固定板から浮き上がっていても、ストッパーをキャビネットの背面で押さえつけることにより矯正することができる。
(4) キャビネット背面の突起部の胴部に台座を設けた場合は、ストッパーが反って固定板から浮き上がっていても、ストッパーをキャビネットの背面から台座で押さえつけることができる。
(5) キャビネットを天井面及び壁面にぴったりとくっつけて固定することができるので、外観上非常に好ましく、かつ、キャビネットの上面に埃等がたまり難い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるキャビネット固定具を示す斜視図である。
【図2】本発明を実施する際に用いるキャビネットの一例を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるキャビネット固定具の取付状態を示す側断面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるキャビネット固定具の取付状態を天井側から見た平面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態によるキャビネット固定具において、ストッパーを固定板の外側に設けた場合を示す平面図である。
【図6】図5に示すキャビネット固定具の取付状態を天井側から見た平面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態によるキャビネット固定具において、ストッパーを固定板の内側に設けた場合の固定具の取付状態を天井側から見た平面図である。
【図8】本発明を実施する際に用いるキャビネットの他の例を示す斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態によるキャビネット固定具において、図8に示すキャビネットを用いた場合の固定具の取付状態を天井側から見た平面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態によるキャビネット固定具を示す斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態によるキャビネット固定具を示す斜視図である。
【図12】互いに接する2つの壁面と天井面とのコーナー部分にキャビネットを固定した状態を示す概略図である。
【図13】図12において固定されているキャビネットの形状を示す斜視図である。
【図14】従来のキャビネット固定具の一例を示す斜視図である。
【図15】従来の固定方法を実施する際に用いるキャビネットの一例を示す斜視図である(説明を容易にするために、図2と同じ形状のものを示す)。
【図16】従来のキャビネット固定具の取付状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
10 キャビネット
12、14 壁面
16 天井面
18 金具
20、42 貫通孔
22 突起部
24、32 取付板
26、34 固定板
28 ネジ
30 固定具
36 ネジ挿通孔
38 突起部の頭部
40 突起部の胴部
44 大径孔
46 スリット孔
48 ストッパー
50、52、58、60 切欠部
54 摘み部
55 支点軸
56 台座
57 ストッパーの側端部
L 落下長さ

Claims (6)

  1. 互いに接する2つの壁面と天井面とのコーナー部分に、背面に少なくとも1個の突起部を有するキャビネットを固定するための固定具であって、
    少なくとも一方の壁面に取り付けるための取付板と、キャビネットの背面を固定するための固定板とを備え、
    該取付板と該固定板とは連結されており、
    該固定板に、前記突起部の頭部が通る大きさの大径孔と、該大径孔の少なくとも上部に突起部の胴部が通りかつ頭部が抜けない幅のスリット孔とを有する少なくとも1個の貫通孔を設け、
    キャビネットを天井面に接する高さまで持ち上げて固定する位置に合わせて前記突起部の胴部を係止するための少なくとも1個の切欠部を有する、1箇所を支点として回動可能なストッパーを、前記固定板に設けたことを特徴とするキャビネット固定具。
  2. 互いに接する2つの壁面と天井面とのコーナー部分に、背面に少なくとも1個の突起部を有するキャビネットを固定するための固定具であって、
    一方の壁面に取り付けるための取付板と、キャビネットの背面を固定するための固定板とを備え、
    該取付板と該固定板とは連結されており、
    該固定板に、突起部の頭部が通る大きさの大径孔と、該大径孔に対して上下対称に突起部の胴部が通りかつ頭部が抜けない幅のスリット孔とを有する少なくとも1個の貫通孔を設け、
    キャビネットを天井面に接する高さまで持ち上げて固定する位置に合わせて前記突起部の胴部を係止するための切欠部と、キャビネットを持ち上げた距離と同じ長さだけ逆にキャビネットを下ろした上下対称な位置に他の切欠部を少なくとも1組有する、1箇所を支点として回動可能なストッパーを、前記固定板に設けたことを特徴とするキャビネット固定具。
  3. 取付板にネジ挿通孔を設けて、キャビネット固定具をネジで壁面に固定する請求項1又は2記載のキャビネット固定具。
  4. ストッパーをキャビネットの背面と接する側に設けた請求項1、2、3のいずれかに記載のキャビネット固定具。
  5. キャビネット背面の突起部の胴部に台座を設けて、ストッパーをキャビネットの背面で押さえつけるようにした請求項4記載のキャビネット固定具。
  6. キャビネット固定具の材質として金属及びプラスチックのいずれかを用いた請求項1〜5のいずれかに記載のキャビネット固定具。
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