JP3601476B2 - 情報記録媒体カートリッジ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気ディスクや光ディスク或は光磁気ディスクや相変化型光デイスク等の情報記録媒体を収納した情報記録媒体カートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
情報記録媒体カートリッジとして、例えば図28に示したものが知られている。
【0003】
上記情報記録媒体カートリッジ(以下、単にカートリッジという)101は、表,裏両面に記録層を設けた光ディスクや光磁気ディスク等の情報記録媒体(以下、ディスクという)102と、該ディスク102を回転可能に収納したカートリッジケース(以下、シェルという)103と、該シェル103にスライド可能に取付けられていて、該シェル103の裏,表面に設けた記録及び/又は再生用の開口部(以下、単に開口部という)104を開閉するシャッター105とを備えている。
【0004】
上記シャッター105は、上記シェル103の表面側の開口部104を開閉する第1のシャッター板106と、上記シェル103の裏面側の開口部104を開閉する第2のシャッター板107とを備えている。上記シャッター105は、金属板を折り曲げることにより略コ字状に形成されていて、上記シェル103の表,裏面の開口部104を同時に開閉する。
【0005】
上記カートリッジ101は、記録及び/又は再生装置(以下、ドライブ装置という)に装着されると、該ドライブ装置に設けられたシャッター操作部材でシャッター105が駆動操作され、上記シェル103の表,裏両面の開口部104が同時に開放されるようになっている。
【0006】
そして、図29に示したように、上記カートリッジ101は、上記ディスク102がシェル103の裏面側の開口部104を介して、ドライブ装置のターンテーブル301にチャッキングされて回転駆動されると共に、上記裏面側の開口部104を介して光学ピックアップ302により、上記ディスク102への記録及び/又は再生が行われるようになっている。
【0007】
ところで、上記従来の第1,第2のシャッター板106,107を一体に形成したシャッター105を使用したディスク101は、記録及び/又は再生のために上記シェル103の裏面側の開口部104を開くと、記録及び/又は再生に直接関係しない場合でも上記シェル103の裏面側の開口部104も開かれて、該表面側の開口部104からシェル103内に侵入した塵埃303等がディスク102の上面に付着、堆積するという不具合があった。上記塵埃等の付着は高密度記録の大容量のディスクにとって看過できない悪影響を及ぼす。
【0008】
上記不具合を解消するものとして、図30,図31に示した分割シャッターを使用したカートリッジ201が開発された。上記カートリッジ201において、シャッター205は、シェル203の表面側の開口部204を開閉する第1のシャッター板206と、上記シェル203の裏面側の開口部204を開閉する第2のシャッター板207とからなっていて、これら第1,第2のシャッター板206,207は、単独でスライドして、上記開口部204を独自に開閉するようになっている。
【0009】
上記第1,第2のシャッター板206,207は、上記開口部204を閉塞する閉塞部208と、該閉塞部208の一側部に連設されていて、上記開口部204を開放する開放部(切欠窓部)209を備えている。
【0010】
図30に示したように、上記第1,第2のシャッター板206,207は、第1の位置にあるときに、これら第1,第2のシャッター板206,207の閉塞部208が互にオーバーラップした状態になっていて、これら閉塞部208で、上記シェル203の表,裏面に設けた開口部204を閉塞し、図31に示したように、第2の位置にスライドすると、上記開放部(切欠窓部)209が上記開口部204に重なり合って、これら開口部204を開放するようになっている。
【0011】
上記分割シャッターを使用したカートリッジ201がドライブ装置に装着されると、該ドライブ装置に設けられたシャッター開放部材で、上記第2のシャッター板207のみが駆動操作されて、上記シェル203の裏面側の開口部204のみが開放され、図32に示したように、上記シェル203の裏面側の開口部204を介して、ディスク202はドライブ装置のターンテーブル301にチャッキングされて回転駆動されると共に、光学ピックアップ302により、上記ディスク202への記録及び/又は再生が行われるようになっている。一方、上記第1のシャッター板206は、上記シェル203の表面側の開口部204を閉塞していて、該開口部204からの塵埃303等のシェル203内への侵入を防止している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の分割シャッターを用いたカートリッジ201においても、上記開口部204から塵埃303等がシェル203内へ侵入するのを確実に防止するのは難しいという問題点があった。
【0013】
何故ならば、上記開口部204からシェル203内へ塵埃303等が侵入するのを確実に防止するためには、上記第1の位置において上記第1,第2のシャッター板206,207をシェル203のシャッタースライド面203aに密着させる必要があるが、上記第1,第2のシャッター板206,207をシェル203のシャッタースライド面203aに密着させたままの状態で、上記開口部204を解放する方向にスライドさせようとすると、上記第1,第2のシャッター板206,207とシェル203のシャッタースライド面203aとの間に発生する摩擦で、上記第1,第2のシャッター板206,207の円滑なスライドが阻害されたり、或は上記第1,第2のシャッター板206,207でシェル203のシャッタースライド面203aが削られて、摩耗粉が発生し、該摩耗粉がディスク102に付着して音飛び等の所謂ドロップアウトの原因になる。
【0014】
本発明は、上記第1,第2のシャッター板が上記シェルの開口部を閉塞する方向にスライドして来たときに、上記第1,第2のシャッター板を、上記シェルのシャッタースライド面に密着させて、上記シェルの開口部を完全に閉じることができるようにすると共に、上記第1,第2のシャッター板を上記シェルの開口部を解放する方向にスライドさせると、上記第1,第2のシャッター板が上記シェルのシャッタースライド面から浮き上がるようにして、上記第1,第2のシャッター板を円滑にスライドさせることができるようにした。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ディスク状の情報記録媒体と、上記情報記録媒体を収納したカートリッジケースと、上記カートリッジケースの表,裏面の一方の面に設けた記録及び/又は再生用の開口部を開閉するシャッターと、上記シャッターを取付けたスライド部材と、上記スライド部材を上記カートリッジケースにスライド可能に取付けていて上記シャッターを上記開口部を閉塞する第1の位置と上記開口部を開放する第2の位置との間でスライドさせるガイド機構と、を備えた情報記録媒体カートリッジにおいて、
上記ガイド機構に、上記第1の位置から上記第2の位置へのスライド時に上記シャッターを上記カートリッジケースのシャッタースライド面に対して離間する方向に移動させるシャッター接離操作部を設けることにより、
上記第1の位置においては、上記シャッターを上記カートリッジケースのシャッタースライド面に密着させて、上記開口部を密閉すると共に、上記シャッターを上記第1の位置から上記第2の位置へのスライドさせる際には、上記シャッターを上記カートリッジケースのシャッタースライド面から浮き上がらせて、円滑にスライドさせることができるようにした。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の情報記録媒体カートリッジを(1)全体の概略構成、(2)ディスクの構成、(3)シェルの構成、(4)シャッターの構成、(5)スライド部材の構成、(6)ガイド機構及びシャッター接離操作部の構成、(7)他の実施例、(8)作用、の各項に分けて説明する。
【0017】
(1)情報記録媒体カートリッジ全体の概略構成
図1は所謂シャッターを閉じた状態の情報記録媒体カートリッジ(以下、カートリッジという)1を表面側から見た斜視図、図2は同裏面側から見た斜視図、図3は裏面側のシャッターを開いた状態の斜視図、図4は同裏面側から見た斜視図である。上記カートリッジ1は、表,裏両面に記録及び/又は再生可能な所謂両面使用のカートリッジとして構成されている。
【0018】
上記カートリッジ1は、ディスク状の情報記録媒体(以下、ディスクという)2と、該ディスク2を回転可能に収納したカートリッジケース(以下、シェルという)3と、該シェル3の表,裏両面に設けられた記録及び/又は再生用の開口部(以下、開口部という)31と、該開口部31を開閉するシャッター4と、該シャッター4を取付けたスライド部材7と、該スライド部材7を上記シェル3にスライド可能に取付けているガイド機構8とを備えている。
【0019】
上記シャッター4は、上記シェル3の表面側(後に説明する上ハーフ32側)に設けた開口部31を開閉する第1のシャッター板41と、上記シェル3の裏面側(後に説明する下ハーフ33側)に設けた開口部31を開閉する第2のシャッター板42とを備えている。
【0020】
上記第1,第2のシャッター板41,42は、図1,図2示す上記開口部31を閉塞する第1の位置と、図3,図4に示す開口部31を開放する位置との間をそれぞれ独立にスライドするようになっている。
【0021】
上記シャッター4を構成する第1,第2のシャッター板41,42は、上記シェル3の表,裏面に設けた開口部31よりもやや大き目の上記開口部31を完全に閉塞するのに必要な大きさで、かつ上記開口部31を閉塞する第1の位置において、これら第1,第2のシャッター板41,42は、シェル3の肉厚方向において略一致して相重なり合う幅W(大きさ)に形成されている。上記第1,第2のシャッター板41,42には、同一部材が使用されている。
【0022】
上記第1のシャッター板41は、上記開口部31を閉塞する第1の位置から矢印A方向にスライドして上記開口部31を開放する第2の位置にスライドするようになっている。また、上記第2のシャッター板42は、上記矢印A方向とは逆の矢印B方向にスライドして上記開口部31を閉塞する第1の位置から上記開口部4を開放する第2の位置にスライドするようになっている。
【0023】
上記シェル3の表,裏面には、上記開口部31を中心にして、その一側部に上記第1,第2のシャッター板41,42がスライドするシャッタースライド面(シャッタースライドエリア)5が設けられ、他側部にインデックスカード等のラベル貼着面(ラベル貼着エリア)6が設けられている。上記第1,第2のシャッター板41,42は、後に詳しく説明するスライド部材7に取り付けられている。上記スライド部材7は、ガイド機構8により上記シェル3にスライド可能に取付けられている。
【0024】
上記第1,第2のシャッター板41,42は、上記ガイド機構8により上記スライド部材7が上記シェル3の開口部31を閉塞する第1の位置にスライドして来たときに、上記ガイド機構8に設けたシャッター昇降操作部(後に詳しく説明する)によって上記シェル3のシャッタースライド面5に密着して、上記シェル3の開口部31を完全に閉じる。また、上記第1,第2のシャッター板41,42は、第1の位置から第2の位置にスライドする際には上記シャッター昇降操作部によって上記シェル3のシャッタースライド面5から浮き上がって、円滑に上記第2の位置までスライドするようになっている。
【0025】
(2)ディスクの構成
図5に示したように、上記ディスク2は、円盤状の記録媒体本体部21と、該記録媒体本体部21の中央部に設けられたセンターハブ22を有している。
【0026】
上記記録媒体本体部21は、例えば図6に示したように、ポリカーボネート(PC)の基板23の内面に記録層24を設け、外面に保護層25を設けた第1,第2の成膜済基板の記録媒体26,27を重ね合わせて接着層28で接着することにより形成されている。上記ディスク2は、センターハブ23がドライブ装置のターンテーブル302にチャッキングされ、第1の記録媒体26の記録層24にドライブ装置の光学ピックアップ装置302によって記録及び/又は再生が可能になると共に、上記ディスク2を裏返すことにより、上記光学ピックアップ装置302により、上記第2の記録媒体27の記録層24への記録及び/又は再生が可能になる。上記記録媒体本体部21は、数GB〜40GB(ギガバイト)の高容量に形成されている。
【0027】
上記センターハブ22は、上記ディスク2の第1の記録媒体26の記録層24に記録及び/又は再生する場合は勿論のこと、上記ディスク2を裏返して装着し、上記第2の記録媒体27の記録層24に記録及び/又は再生を行う場合でも上記ディスク2をドライブ装置のターンテーブル301に確実にチャッキングできる構成になっている。
【0028】
(3)シェルの構成
上記シェル3は、幅方向(シャッタースライド方向)の中央部に上記開口部31を設けた上ハーフ32と下ハーフ33の前、後、左、右の周壁34a,34b,34c,34d相互を突き合わせて複数のビス35で結合することにより形成されている。上記ビス35の頭部が見えるのが裏面側である。
【0029】
上記シェル3は、上,下ハーフ32,33の前後周壁34aの内側がディスク収納部36になっていると共に、上記上,下ハーフ32,33の前周壁34aの外側がスライド部材組付部37になっている。
【0030】
そして、上記ディスク収納部36内に収納されたディスク2の記録媒体本体部21の表,裏面及びセンターハブ22の表,裏面が上記上,下ハーフ32,33の開口部31に臨むようになっている。
【0031】
上記上,下ハーフ32,33の外面には、シャッタースライド面5とラベル貼着面6が設けられている。上記シャッタースライド面5は、上記上,下ハーフ32,33の外面から上記第1,第2のシャッター板41,42の略肉厚ぶんだけ低い位置に形成されていて、上記第1,第2のシャッター板41,42を重ね合わせたときに、上記上,下ハーフ32,33の外面と上記第1,第2のシャッター板41,42の外面とが略面一及びもしくは若干低くなるようになっている。また、上記シャッタースライド面5の上,下ハーフ32,33の後周壁34b側の端部は、更に一段低いシャッター端部挿入部51になっている。そして、図7に示したように、上記シャッター端部挿入部51に上記第1,第2のシャッター板41,42の端部45が挿入されていて、上記端部45は、上記シャッター端部挿入部51内に取付けられたスライドガイド板52によって上記上,下ハーフ32,33の外面から浮き上がる(捲れ上がる)のを防止されて、上記第1,第2のシャッター板32,33は円滑にスライドを保証されるようになっている。
【0032】
また、上記ラベル貼着面6は、上記上,下ハーフ32,33の外面から貼着ラベルの略肉厚ぶんだけ低くなった位置に形成されていて、図8に示したように上記シート貼着面6に2点鎖線で示す貼着ラベル62を貼着したときに、上記上,下ハーフ32,33の外面と上記貼着ラベル62の外面とが略面一及びもしくは若干低くなる。
【0033】
上記シェル3は、成形性及び機械的強度に優れた合成樹脂、例えばポリカーボネート(PC)やABS樹脂等により形成されている。
【0034】
図5、図9に示したように、上記上,下ハーフ32,33のスライド部材組付部37の内側面の対向部には、後に説明するガイド機構8を構成する一対の凸状の第1,第2ガイド部11,12と、これら一対の凸状の第1,第2ガイド部11,12の下部の対向部に一対の凹状の第3,第4ガイド部13,14が設けられている。
【0035】
上記ガイド機構8の第1,第2ガイド部11,12の上面側には、上記スライド部材7の第1,第2の脚部の挿入を容易にするための所謂面取り状の傾斜面11a,12aが設けられている。また、上記第1,第2ガイド部11,12のの長さ方向(スライド部材スライド方向)の中央部には上記スライド部材7及びこれに取付けられたシャッター4を上記開口部31を閉塞する第1の位置にセットする位置決め突起19が設けられている。
【0036】
(4)シャッターの構成
上記シャッター4は、上記上ハーフ32の開口部31を開閉する第1のシャッター板41と、下ハーフ33の開口部31を開閉する第2のシャッター板42とに分割されている。
【0037】
上記第1,第2のシャッター板41,42は、上記開口部31を完全に閉塞できるように上記開口部31よりも若干大き目の幅Wと長さLの長方形状に形成されたシャッター本体部43と、該シャッター本体部43の長さ方向の一端部に設けられたスライド部材取付部44と、上記シャッター本体部43の長さ方向の他端部に設けられていて、上記上,下ハーフ32,33のシャッタースライド面5の一端部のシャッター端部挿入部51内に挿入される被挿入側の端部45とを備えている。
【0038】
図10に示したように、上記スライド部材取付部44は、上記シャッター本体部43の一端部に略直角に連設された該シャッター本体部43よりも幅狭の略直角の第1折曲部46と、該第1折曲部46の先端にシャッター本体部43と重なり合う方向に略直角に連設された第2折曲部47と、該第2折曲部47の先端の両端部に上記シャッター本体部43側に向けて略直角に連設された第3折曲部(以下、係合爪という)48とを備えている。なお、上記第1折曲部46にネジ孔46aを設け、該ネジ孔46aを介してネジ46bにより、上記第1折曲部46をスライド部材にネジ止めする構成にしてもよい。
【0039】
上記被挿入側の端部45は、上記シャッター本体部43に対して段差Hをもたせた状態に形成されていて、上記スライドガイド板52の下方のシャッター端部挿入部51内に挿入されるようになっている。
【0040】
上記第1,第2のシャッター板41,42は、所定の形状に打ち抜いたステンレススチールやアルミニウム等の金属板を折り曲げることにより或は合成樹脂等により形成されている。なお、本実施例では、上記第1,第2のシャッター板41,42は、同一部材を使用しているが、例えば、被挿入側の端部45の形状を変えて、意図的に別部材としてもよい。
【0041】
(5)スライド部材の構成
図11,図12に示したように、上記スライド部材7は、スライド方向(長さ方向)のパーティングラインPLや肉厚方向のパーティングラインPL等によって、上記第1のシャッター板41を上記シェル3にスライド可能に取付ける第1のスライド部71と、上記第2のシャッター板42を上記シェル3にスライド可能に取付ける第2のスライド部72とに分割されている。
【0042】
上記第1,第2のスライド部71,72は、上記第1のシャッター板41又は第2のシャッター板42のいずれか一方を取付けるシャッター板取付部73と、該シャッター板取付部73の底部の一側部に、該シャッター取付部73の幅と略同じ幅で、かつ該シャッター取付部73の長さの略半分の長さに形成されていて、他方のスライド部材のシャッター取付部が載置されるステージ部74と、上記シャッター板取付部73のスライド方向の一端側の上面に設けられていて、ドライブ装置のシャッター開放部材(図示省略)が係合するシャッター開放部材係合部材75と、上記シャッター板取付部73のスライド方向の一端部(上記シャッター開放部材係合部75)の下面に設けられた第1の脚部76と、上記シャッター板取付部73の中央部の下面に設けられた第2の脚部77と、上記第1,第2のスライド部71,72の第1の脚部76,76間に設けられたばね係止部78とを備えている。上記第1の脚部76は、中央部の切欠部76aで左右の脚部に分割されている。上記第2の脚部77も上記第1の脚部76と同様に、中央部の切欠部77aで左右の脚部に分割されている。
【0043】
上記第1,第2のスライド部71,72は、同形、同大に形成されていて、第1のスライド部71のシャッター板取付部73を第2のスライド部72のステージ部74上に載置すると共に、上記第2のスライド部72のシャッター板取付部73を第1のスライド部71のステージ部74上に載置し、上記第1,第2のスライド部71,72に設けたばね係止部78に、ばね部材(コイルスプリング)80の一端部と他端部がそれぞれ係止されている。
【0044】
上記第1,第2のスライド部71,72は、上記ばね部材80により互に牽引されて、上記第1のスライド部71のシャッター板取付部73の先端が上記第2のスライド部72のシャッター開放部材係合部75に当接し、上記第2のスライド部72のシャッター板取付部73の先端が上記第1のスライド部71のシャッター開放部材係合部75に当接して、図11に示したように、上記第1,第2のスライド部71,72は、互に結合された状態になる。
【0045】
上記シャッター板取付部73の先端とシャッター開放部材係合部75の当接部には、互に嵌まり合う凸部81と凹部82が設けられていて、これら凸部81と凹部82の嵌合により、結合状態における上記第1,第2のスライド部71,72の位置ズレ(浮き上がり)を防止するようになっている。
【0046】
上記第1,第2のシャッター板取付部73の内面側の両端部には、所謂面取り状の傾斜面83が設けられていると共に、該傾斜面83の下端には爪係合部84が設けられている。上記第1,第2の脚部76,77の間は、ばね部材80の収納空間になっている。
【0047】
上記ばね係止部78は、図12,図13に示したように、上記第1の脚部76の外側面よりも内側に形成されていて、ばね部材80が上記第1,第2のシャッター板取付部73の下面内に収まる状態で取付けられるようになっている。
【0048】
図13に示したように、上記ばね部材80によって結合された第1,第2のスライド部71,72の底面の中央部の第2の脚部77,77間には、上記第1,第2ガイド部11,12の中央部に設けた位置決め突起19が挿入される隙間85が設けられている。
【0049】
上記第1,第2のスライド部71,72は、潤滑性や耐磨耗性等に優れたポリカーボネートやポリアセタール或はポリプロピレン等の合成樹脂で形成されていて、上記第1〜第4ガイド部11〜14に沿って円滑にスライドするようになっている。上記第1,第2のスライド部71,72は、同形、同大であり、即ち同一部材として構成してもよいものであり、或は組立上、色分けしてもよい。上記第1,第2の脚部76,77の左右の脚部の外側面には、上記シェル3のスライド部材組付部37の内側面の対向部に設けた上記第1,第2ガイド部11,12及び第3,第4ガイド部13,14にそれぞれ係合して、これら第1〜第4ガイド部11〜14と共に、上記ガイド機構8を構成する第5〜第8ガイド部15〜18が設けられている。
【0050】
(6)ガイド機構の構成
ガイド機構8は、上述したように、第1,第2のシャッター板41,42及びこれら第1,第2のシャッター板41,42を取り付けた第1,第2のスライド部71,72を、上記開口部31を閉塞する第1の位置と、上記開口部31を開放する第2の位置との間でスライドさせるものである。上記ガイド機構8は、上記第1の位置においては上記第1,第2のシャッター板41,42を上記シャッタースライド面5に接触させ、上記第1の位置から上記第2の位置へのスライド時に上記第1,第2のシャッター板41,42を上記シャッタースライド面5から離間させ、上記第2の位置から上記第1の位置へのスライド時において上記第1,第2のシャッター板41,42を上記シャッタースライド面5に接近、接触させるシャッター接離操作部20を備えている。
【0051】
先ず、上記ガイド機構8の概略構成を説明し、次に、上記シャッター接離操作部20について説明する。
【0052】
上記ガイド機構8は、図15(A),(B)に示したように、上記スライド部材組付部37の内側面の対向部に設けられた一対の凸状の第1,第2ガイド部11,12と、これら一対の凸状の第1,第2ガイド部11,12の下部に設けられた一対の凹状の第3,第4ガイド部13,14と、上記第1,第2のスライド部71,72の第1,第2の脚部76,77の左右の脚部の外側面に設けられていて、これら第1,第2の脚部76,77を上記シェル3のスライド部材組付部37に挿入したときに、上記一対の凸状の第1,第2ガイド部11、12に係合する一対の凹状の第5,第6ガイド部15,16と、上記一対の凹状の第3,第4ガイド部13,14に係合する一対の凸状の第7,第8ガイド部17,18とで構成されている。
【0053】
上記第1,第3ガイド部11,13は、上記上ハーフ32の内側面に設けられている。上記第2,第4ガイド部12,14は、上記下ハーフ33の内側面に設けられている。
【0054】
上記第5,第7ガイド部15,17は、上記第1,第2の脚部76,77の左右の脚部のうちの一方(図15の右方)の脚部の外側面に設けられ、上記第6,第8ガイド部16,18は、他方(図15の左方)の脚部の外側面に設けられている。
【0055】
図13に示したように、上記第1の脚部76の幅、換言すれば上記第7,第8ガイド部17,18間の間隔Dは、上記第2の脚部77の幅、換言すれば上記第7,第8ガイド部17,18間の間隔Dよりも小に設定されている。
【0056】
次に、上記ガイド機構8の組み立て、つまり、上記シェル3のスライド部材組付部37へのスライド部材7の組み付けについて説明する。
【0057】
上記第1,第2のスライド部71,72を上記ばね部材80によって結合した状態で、図14に示したように、上記第1,第2のスライド部71,72の第2の脚部77,77間の隙間85を上記位置決め突起19の位置に合わせて、図15(A),(B)に示したように、上記第1,第2の脚部76,77を上記スライド部材組付部37に挿入する。上記第1,第2の脚部76,77を挿入すると、図16(A),(B)に示したように、上記第7,第8ガイド部17,18の下端外側の傾斜面17a,18aが上記第1,第2ガイド部11,12の傾斜面11a,12aに当接し、上記第1,第2の脚部76,77の左右の脚部は、内側に弾性変形する。
【0058】
上記第6,第8ガイド部16,18が上記第1,第2ガイド部11,12を乗り越えると、上記第1,第2の脚部76,77の左右の脚部は、弾性復帰して、図17(A),(B)に示したように、上記シェル3のスライド部材組付部37の内側面に設けられた第1〜第4ガイド部11〜14と、上記第1,第2の脚部76,77の外側面に設けられた第5〜第8ガイド部15〜18とが自ずと係合すると共に、図18に示したように、上記第1,第2のスライド部71,72の第2の脚部77,77間の隙間85に、上記第1,第2ガイド部11,12の中央部に設けた位置決め突起19が侵入して、上記第1,第2のスライド部71,72は、上記第1,第2のシャッター板41,42で上記上,下ハーフ32,33の開口部31を閉塞する第1の位置にセットされる。
【0059】
上記第1のスライド部71は、上記位置決め突起19によって、上ハーフ32の開口部31を開閉する方向へのスライドのみが許容される。また、上記第2のスライド部72は、上記位置決め突起19によって、下ハーフ33の開口部31を開閉する方向へのスライドのみが許容される。
【0060】
次に、シャッター接離操作部20について説明する。上記シャッター接離操作部20は、上述したように、上記第1の位置において上記第1,第2のシャッター板41,42を上記シャッタースライド面5に接触させ、上記第1の位置から上記第2の位置へのスライド時に上記第1,第2のシャッター板41,42を上記シャッタースライド面5から離間させる。また、上記第2の位置から上記第1の位置へのスライド時において上記第1,第2のシャッター板41,42を上記シャッタースライド面5に接近させ、上記第1の位置において上記第1,第2のシャッター板41,42を再び上記シャッタースライド面5に接触させるものである。
【0061】
上記シャッター接離操作部20は、図19(A)に示すように、上記上,下ハーフ32,33に設けられた第1,第2ガイド部11,12の対向する内側面及び図19(B)に示すように、第3,第4ガイド部13,14の対向する内側面に設けられている。上記シャッター接離操作部20は、上記第1の位置において上記第1,第2のシャッター板41,42を上記シャッタースライド面5に接触させた状態に上記第1のスライド部材71を支持する第1フラット面20Aと、上記第1の位置から上記第2の位置へのスライド時に上記第1,第2のシャッター板41,42を上記シャッタースライド面5から離間する方向に上記第1のスライド部材71をスライドさせる勾配面20Bと、上記第2の位置において上記第1,第2のシャッター板41,42を上記シャッタースライド面5に対して離間させた状態に上記スライド部材を支持する第2フラット面20Cを設けることにより構成されている。
【0062】
上記シャッター接離操作部20は、上記第1のシャッター板41の操作部分と、上記第2のシャッター板42の操作部分とが上記位置決め突起19を中心にして対称に配置されている。
【0063】
図20(A)に示したように、上記第1,第2ガイド部11,12の対向する内側面の第1フラット面20Aは、上記位置決め突起19の一側部に、上記第1,第2の脚部76,77間の幅Wと略同じ幅に形成され、上記勾配面20Bは、上記第1フラット面20Aに連続させた状態で上記第1,第2の脚部76,77間の幅Wよりも幅狭に形成され、上記第2フラット面20Cは、上記勾配面20Bの一側部に連続させた状態で上記第1,第2の脚部76,77間の幅Wよりも大きな幅Wに形成されている。
【0064】
また、図20(B)に示したように、上記第3,第4ガイド部13,14の対向する内側面の第1フラット面20Aは、上記位置決め突起19の一側部に、上記第2の脚部77の幅と略同じ幅Wに形成され、上記勾配面20Bは、上記第1フラット面20Aに連続させた状態で上記第1,第2の脚部76,77間の幅Wよりも小さな幅Wに形成され、上記第2のフラット面20Cは、上記勾配面20Bの一側部に連続させた状態で上記第1,第2の脚部76,77間の幅Wよりも大きな幅Wに形成されている。
【0065】
次に、上記シャッター接離操作部20の作用を、(I)スライド部が第1の位置にあるとき、(II)スライド部が第1の位置から第2の位置に向けて所定量スライドしたとき、(111)スライド部が第2の位置にスライドしたとき、について第2のスライド部72を例にとって説明する。
(I)第2のスライド部72が第1の位置にあるとき、
図17(A)及び図20(A)に示したように、上記第1の脚部76の第5ガイド部15は、上記上ハーフ32側の第1ガイド部11の第1フラット面20Aの部分に位置して,該第1フラット面20Aに接触している。上記第1の脚部76の第6ガイド部16は、上記下ハーフ33の第2ガイド部12の第1フラット面20Aの部分に位置し、該第1フラット面20Aに接触している。上記第2の脚部77の第5ガイド部15は、上記上ハーフ32側の第1ガイド部11の第1フラット面20Aの部分に位置して、該第1フラット面20Aに接触している。上記第2の脚部77の第6ガイド部16は、上記下ハーフ33の第2ガイド部12の第1フラット面20Aの部分に位置して、該第1フラット面20Aとの間には略0.5mmの隙間Cが存在している。
【0066】
一方、図17(B)及び図20(B)に示したように、上記第1の脚部76の第7ガイド部17は、上記上ハーフ32の第3ガイド部13の第2フラット面20Cの部分に位置し、該第2フラット面20Cに接触している。上記第8ガイド部18は、上記下ハーフ33の第4ガイド部14の第2フラット面20Cの部分に位置し,該第2フラット面20Cの間には略1.0mmの隙間Cが存在している。上記第2の脚部77の第7ガイド部17は、上記上ハーフ32の第3ガイド部13の第1フラット面20Aの部分に位置して,該第1フラット面20Aに接触している。上記第2の脚部77の第8のガイド部18は、上記上ハーフ32の第3ガイド部13の第1フラット面20Aの部分に位置して,該第1フラット面20Aに接触している。
【0067】
このようにして、上記第2のスライド部72に取り付けられている第2のシャッター板42は、上記下シェル33のシャッタースライド面5に対して平行な状態で、該シャッタースライド面5に接触している。
(II)第1の位置から第2の位置に向けて所定量スライドさせたとき
図21に示したように、上記第1の脚部76の第5ガイド部15は、上記上ハーフ32の第1ガイド部11の勾配面20Bを通って第2フラット面20C側にスライドすると共に、上記第2の脚部77の第6ガイド部16は、上記下ハーフ33の第2ガイド部12の勾配面20Bを通って第2フラット面20C側にスライドする。
【0068】
一方、上記第2の脚部77の第7ガイド部17は、破線で示す上ハーフ32の第3ガイド部13の勾配面20Bを通って第2フラット面20C側にスライドすると共に、上記第2の脚部77の第8ガイド部18は、破線で示す下ハーフ33の第4ガイド部14の勾配面20Bを通って第2フラット面20C側にスライドする。
【0069】
そして、図22(A)、図23(A)に示したように、上記第1の脚部76の第5のガイド部15は、上記上ハーフ32の第1のガイド部11の勾配面20Bを通過したのち上記第2フラット面20Cに接触する。上記第1の脚部76の第6のガイド部16は、上記下ハーフ33の第2のフラット面20Cの部分に位置して,該第2フラット面20Cに接触する。上記第2脚部77の第5ガイド部15は、上記上ハーフ32側の第1のガイド部11の勾配面20Bの部分に位置し、該勾配面20Bに対して非接触状態になる。上記第2の脚部77の第6ガイド部16は、上記下ハーフ33の第2ガイド部12の第1フラット面20Aに接触する。
【0070】
一方、図22(B)、図23(B)に示したように、上記第2の脚部77の第7ガイド部17は、上記上ハーフ32の第3ガイド部13の第2フラット面20Cに対して非接触状態になる。上記第1の脚部76の第8ガイド部18は、上記下ハーフ33の第4のガイド部14の第2フラット面20Cに対して非接触状態になる。上記第2の脚部77の第7ガイド部17は、上記上ハーフ32の第3ガイド部13の第2フラット面20Cに接触する。上記第2の脚部77の第8ガイド部18は、上記下ハーフ33の第4ガイド部14の第2フラット面20Cの部分に位置し,該第2フラット面20Cに接触する。 (III)第2の位置にスライドしてきたとき
図24(A)、図25(A)に示したように、上記第1の脚部76の第5ガイド部15は、上記上ハーフ32の第1ガイド部11の第2フラット面20Cに接触している。上記第1の脚部76の第6ガイド部16は、上記下ハーフ33の第2ガイド部12の第2フラット面20Cに接触している。上記第2の脚部77の第5ガイド部15は、上記上ハーフ32の第1ガイド部11の第2フラット面20Cの部分に位置して、該第2フラット面20Cに接触する。上記第2の脚部77の第6ガイド部16は、上記下ハーフ33の第2ガイド部12の第2フラット面20Cの部分に位置し、該第2フラット面20Cに対して非接触状態になっている。
【0071】
一方、図24(B)、図25(B)に示したように、上記第1の脚部76の第7ガイド部17は、上記上ハーフ32の第3ガイド部13の第2フラット面20Cに対して非接触状態になっている。上記第1の脚部76の第8ガイド部18は、上記下ハーフ33の第4ガイド部14の第2フラット面20Cに対して非接触状態になっている。上記第2の脚部77の第7ガイド部17は、上記上ハーフ32の第3ガイド部13の第2フラット面20Cに接触している。上記第2の脚部77の第8ガイド部18は、上記下ハーフ33の第4ガイド部14の第2フラット面20Cに接触している。
【0072】
(7)他の実施例
上記実施例では、第1,第2のシャッター板41,42を上,下ハーフ32,33のシャッタースライド面5に対して傾斜することなく、平行状態でスライドさせるために、上記第1,第2のスライド部71,72の第1,第2の脚部76,77を、それぞれの異なるガイド部に設けた勾配面で同時に傾斜させる構成にしたが、第1,第2のシャッター板41,42が上,下ハープ32,33のシャッタースライド面5に対して傾斜させてもよい場合には、上記第1,第2スライド部71,72の第1,第2の脚部76,77を、同じガイド部に設けた勾配面で時間的に前後させて操作して傾斜させる構成にしてもよい。
【0073】
また、図1〜図4に示したように、第1,第2のシャッター板41,42の一端部は、スライドガイド板52によって反り上がるのを防止されている。図5に示したように、上記スライドガイド板52は、合成樹脂等によって、上下面がフラットな板状に形成されている。しかし、上記スライドガイド板52の下面(上記第1,第2のシャッター板41,42が接触する面)52aがフラット面であると、上記第1,第2のシャッター板41,42が図26に1点鎖線で示す第2の位置(シェルの開口部を解放している位置)から2点鎖線で示す第1の位置(シェルの開口部を解放している位置)にスライドするときに、上記第1,第2のシャッター板41,42が上記スライドガイド板52の下面52aから離れていき、上記第2の位置においては上記スライドガイド板52の下面52aと上記第1,第2のシャッター板41,42に隙間が発生してしまうために、上記スライドガイド板52が本来の機能を果たすことができなくなるという不具合が発生する。
【0074】
そこで、図27に示したように、上記スライドガイド板52の肉厚を変化させるなどして、上記スライドガイド板52の下面52aに段差を設けて、上記第1の位置においても、上記スライドガイド板52の下面52aに上記第1,第2のシャッター板41,42が接触するようにして、上記第1,第2のシャッター板41,42の一端部が反り上がるのを確実に防止できる構成にしてもよい。
【0075】
なお、上記実施例ではシャッター接離操作部20をガイド機構8を構成する第1〜第4ガイド部11〜14の対向する内側面に形成した場合を示したが、上記第1〜第4ガイド部11〜14とは別個にシャッター接離操作部20を形成してもよい。また、ガイド機構8も実施例のものに限定されず、スライド部材を円滑にスライドさせることができものであればよい。また、請求項1において、ガイド機構8にシャッター接離操作部20を設けるというのは、ガイド機構8によるスライド時にシャッターをシェルのシャッタースライド面に接離させるという意味であり、ガイド機構8とシャッター接離操作部20が一見、別個に形成されているような場合でも、ガイド機構8によりスライドしているときにシャッターをシェルのシャッタースライド面に接離させるものであれば当然に本発明の技術範囲に含まれる。
(8)作用
第1,第2のシャッター板41,42が第1の位置にあるとき、これら第1,第2のシャッター板41,42は、上記ガイド機構8のシャッター接離操作部20によって、上記上,下ハーフ32,33のシャッタースライド面5に接触して、該シャッタースライド面5に設けられている開口部31を密閉している。
【0076】
そして、図1に示したように、上記上ハーフ32を上にし、下ハーフ33を下にした姿勢(以下、正規の姿勢という)で上記カートリッジ1をドライブ装置に挿入すると、該ドライブ装置に設けたシャッター開放部材が第2のスライド部72のシャッター開放部材係合部75に係合して、上記第2のスライド部72が上記ガイド機構8によって矢印B方向にスライドし、図3に裏返して示したように、上記第2のスライド部72に取付けられている第2のシャッター板42を上記下ハーフ33の開口部31を開放する第2の位置にスライドさせる。このとき、上記ガイド機構8のシャッター接離操作部20によって、第2のシャッター板42は、上記下ハーフ33のシャッタースライド面5から離れるので、上記第2のシャッター板42は、上記シャッタースライド面5に対して摩擦を生じることなく円滑にスライドする。
【0077】
そして、上記第2のシャッター板42が第1の位置にスライドしたのち、上記下ハーフ33の開口部31を介して、図6に示したように、上記ディスク2のセンターハブ22はドライブ装置のターンテーブル301にチャッキングされて回転されると共に、光学ピックアップ302により、上記ディスク2の第1の記録媒体26の記録層24への記録及び/又は再生が行われる。
【0078】
また、図2に示したように、下ハーフ33を上にし、上ハーフ32を下にした姿勢(以下、逆の姿勢という)で上記カートリッジ1をドライブ装置に挿入すると、上記ドライブ装置に設けたシャッター開放部材が上記第1のスライド部72のシャッター開放部材係合部75に係合して、上記第1のスライド部71が上記ガイド機構8によって矢印B方向にスライドし、図4に裏返して示したように、上記第1のスライド部71に取付けられている第1のシャッター板41を上記上ハーフ32の開口部31を開放する第2の位置にスライドさせる。このときも、上記ガイド機構8のシャッター接離操作部20によって、第1のシャッター板41は、上記上ハーフ32のシャッタースライド面5から離れるので、上記第1のシャッター板41は、上記シャッタースライド面5に対して摩擦を生じることなく円滑にスライドする。そして、上記第1のシャッター板41が第1の位置にスライドしたのち、上記上ハーフ32の開口部31を介して、上記ディスク2のセンターハブ22はドライブ装置のターンテーブル301にチャッキングされて回転されると共に、光学ピックアップ302により、上記ディスク2の第2の記録媒体27の記録層24への記録及び/又は再生が行われる。
【0079】
上記正規の姿勢での記録及び/又は再生を行う場合も逆の姿勢で記録及び/又は再生を行う場合も記録及び/又は再生に直接関与しない他方(上方)の開口部31は閉じられた状態に維持されるので、該他方の開口部31からシェル3内に塵埃等が侵入して、ディスク1の表面に付着することが防止される。
【0080】
図3に示す第1のシャッター板41を第1の位置から第2の位置にスライドさせる場合と、図4に示す第2のシャッター板42を第1の位置から第2の位置にスライドさせる場合とは、上記第1,第2のシャッター板41,42のスライド方向は同じであるので、第1のシャッター板41を開放するシャッター開放部材を第2のシャッター板42を開放するシャッター開放部材として兼用できる。
【0081】
【発明の効果】
本発明の情報記録媒体カートリッジには次に述べるような効果がある。
【0082】
(1)請求項1の情報記録媒体カートリッジは、スライドガイド機構に設けたシャッター接離操作部により、シャッターがシェルの開口部を閉塞する位置にあるときは、シャッターをシェルのシャッタースライド面に密着させて、開口部を完全に閉じることができる。また、上記開口部を解放する方向にシャッターをスライドさせると、シャッターがシェルのシャッタースライド面から浮き上がるので、シャッターを円滑にスライドさせることができる。
【0083】
(2)請求項2の情報記録媒体カートリッジは、スライドガイド機構を、カートリッジケースのスライド部材組付部の内側面の対向部に設けられた一対の凸状のガイド部と、スライド部材のカートリッジケースへの脚部に設けられていて、該脚部を上記カートリッジケースのスライド部材組付部に挿入したときに、上記一対の凸状のガイド部に係合する一対の凹状のガイド部で構成したので、スライドガイド機構の構成が簡単で組み付けも容易である。
【0084】
(3)請求項3の情報記録媒体カートリッジは、スライドガイド機構を、カートリッジケースのスライド部材組付部の内側面の対向部に設けられた凸状の第1、第2ガイド部と、これら凸状の第1、第2ガイド部の下部に設けられた凹状の第3、第4ガイド部と、スライド部材のカートリッジケースへの脚部に設けられていて、該脚部を上記カートリッジケースのスライド部材組付部に挿入したときに、上記凸状の第1、第2ガイド部に係合する凹状の第5、第6ガイド部と、上記凹状の第3、第4ガイド部に係合する凸状の第7、第8ガイド部とで構成したので、脚部を2箇所(2段)で支えることができ、シャッターを円滑にスライドさせることができる。
【0085】
(4)請求項4の情報記録媒体カートリッジは、カートリッジケースへの脚部を、スライド部材のスライド方向の一端側に設けられた第1の脚部と、上記スライド部材のスライド方向の中央部又は他端側に設けられた第2の脚部とで構成したので、上記第1の脚部と第2の脚部との間のスペースをバネ材等の配置スペースとして有効に利用することができる。
【0086】
(5)請求項5の情報記録媒体カートリッジは、シャッター接離操作部を、上記カートリッジケースに設けられた凸状の第1,第2ガイド部の内側面及び凹状の第3,第4ガイド部の内側面に、上記第1の位置において上記シャッターを上記カートリッジケースのシャッタースライド面に接触させた状態に支持する第1フラット面と、上記第1の位置から上記第2の位置へのスライド時に上記シャッターを上記カートリッジケースのシャッタースライド面から離間する方向にスライドさせる勾配面と、上記第2の位置において上記シャッター板を上記カートリッジケースのシャッタースライド面に対して離間させた状態に支持する第2フラット面を設けることにより構成したので、上記シャッター接離操作部の構成が簡素化され、かつシャッター接離操作部のための配置スペースも少ないものですみ省スペース化を図ることができる。
【0087】
(6)請求項6の情報記録媒体カートリッジは、上記カートリッジケースに設けられた上記凸状の第1,第2ガイド部の勾配面と、上記凹状の第3,第4のガイド部の勾配面とは、上記スライド部材のスライド方向に対して上記第1の脚部と第2の脚部との間隔と略等しい間隔の位相をもたせた状態に形成されていて、上記スライド部材のスライド時に上記第1の脚部と第2の脚部を同期的に操作するので、シャッターをシェルのシャッタースライド面に対して傾斜させることなくスライドさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カートリッジを表面側から見た斜視図(シャッター閉状態)。
【図2】カートリッジを裏面側から見た斜視図(シャッター閉状態)。
【図3】カートリッジを表面側から見た斜視図(シャッター開状態)。
【図4】カートリッジを裏面側から見た斜視図(シャッター開状態)。
【図5】カートリッジの分解斜視図。
【図6】ディスクの断面図。
【図7】図1のa−a断面図。
【図8】図1のb−b断面図。
【図9】シェルの前周壁側の断面図。
【図10】第1,第2のシャッター板の斜視図。
【図11】スライド部材の斜視図。
【図12】スライド部材の分解斜視図。
【図13】スライド部材の底面図。
【図14】シェルを組立てた状態の斜視図。
【図15】(A)は第1の脚部の組付工程図、(B)は第2の脚部の組付工程図。
【図16】(A)は第1の脚部の組付工程図、(B)は第2の脚部の組付工程図。
【図17】(A)は第1の脚部の組付工程図、(B)は第2の脚部の組付工程図。
【図18】スライド部材が組み付けられた状態の要部の平面図。
【図19】(A)第1,第2のガイド部の正面図、(B)は第3,第4のガイド部の正面図。
【図20】(A)は第1の位置における第1,第2のガイド部と第1,第2の脚部の関係を示す正面図、(B)は第1の位置における第3、第4のガイド部と第1,第2の脚部の関係を示す正面図。
【図21】第1,第2の脚部がそれぞれ異なるガイド部の勾配面をスライドする状態を示す説明図。
【図22】(A)は第1の位置と第2の位置の中間の位置における第1,第2のガイド部と第1,第2の脚部の関係を示す正面図、(B)は第1の位置と第2の位置の中間の位置における第3、第4のガイド部と第1,第2の脚部の関係を示す正面図。
【図23】(A)は第1の脚部部分の縦断面図、(B)は第2の脚部部分の縦断面図。
【図24】(A)は第2の位置における第1,第2のガイドのシャッター接離操作部と第1,第2の脚部の関係を示す正面図、(B)は第2の位置における第3、第4のガイドのシャッター接離操作部と第1,第2の脚部の関係を示す正面図。
【図25】(A)は第2の位置における第1の脚部部分の縦断面図、(B)は第2の位置における第2の脚部部分の縦断面図。
【図26】スライドガイド板の断面図。
【図27】スライドガイド板の変形例の断面図。
【図28】従来の一体型シャッターを使用したカートリッジの斜視図。
【図29】ドライブ装置へ装着した状態の断面図。
【図30】従来の分割型シャッターを使用したカートリッジの斜視図。
【図31】従来の分割型シャッターを使用したカートリッジを裏面側から見た斜視図。
【図32】ドライブ装置へ装着した状態の断面図。
【符号の説明】
1…カートリッジ、2…ディスク、3…シェル、4…シャッター、5…シャッタースライド面、7…スライド部材、11〜18…第1〜第8のガイド部、19…位置決め突起、20…シャッター接離操作部、20A…第1フラット面、20B…勾配面、20C…第2フラット面。

Claims (6)

  1. ディスク状の情報記録媒体と、
    上記情報記録媒体を収納したカートリッジケースと、
    上記カートリッジケースの表,裏面に設けた記録及び/又は再生用の開口部を開閉するシャッターと、
    上記シャッターを取付けたスライド部材と、
    上記スライド部材を上記カートリッジケースにスライド可能に取付けていて、上記シャッターを上記開口部を閉塞する第1の位置と上記開口部を開放する第2の位置との間でスライドさせるガイド機構と、を備え、
    上記ガイド機構は、上記第1の位置から上記第2の位置へのスライド時に上記シャッターを上記カートリッジケースのシャッタースライド面に対して離間方向に移動させるシャッター接離操作部を備えている
    ことを特徴とする情報記録媒体カートリッジ。
  2. 上記ガイド機構は、
    上記カートリッジケースに設けられたカートリッジケース側のガイド部と、上記スライド部材に設けられたスライド部材側のガイド部と、からなり、
    上記カートリッジケース側のガイド部は、
    上記カートリッジケースのスライド部材組付部の内面の対向部に設けられた一対の凸状のガイド部で構成され、
    上記スライド部材側のガイド部は、
    上記カートリッジケースのスライド部材組付部に組み付けられるスライド部材の脚部の外面に設けられていて、該脚部を上記カートリッジケースのスライド部材組付部に挿入したときに、上記一対の凸状のガイド部に係合する一対の凹状のガイド部で構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体カートリッジ。
  3. 上記ガイド機構は、
    上記カートリッジケースに設けられたカートリッジケース側のガイド部と、上記スライド部材に設けられたスライド部材側のガイド部と、からなり、
    上記カートリッジケース側のガイド部は、
    上記カートリッジケースのスライド部材組付部の内面の対向部に設けられた一対の凸状の第1,第2ガイド部と、これら一対の凸状の第1,第2ガイド部に隣接して設けられた一対の凹状の第3,第4ガイド部と、で構成され、
    上記スライド部材側のガイド部は、
    上記カートリッジケースのスライド部材組付部に組み付けられるスライド部材の脚部の外面に設けられていて、該脚部を上記カートリッジケースのスライド部材組付部に挿入したときに、上記一対の凸状の第1,第2ガイド部に係合する一対の凹状の第5,第6ガイド部と、上記一対の凹状の第3,第4ガイド部に係合する一対の凸状の第7,第8ガイド部と、で構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報記録媒体カートリッジ。
  4. 上記スライド部材の脚部は、
    上記スライド部材のスライド方向の一端側に設けられた第1の脚部と、上記スライド部材のスライド方向の中央部又は他端側に設けられた第2の脚部とで構成されている
    ことを特徴とする請求項3に記載の情報記録媒体カートリッジ。
  5. 上記シャッター接離操作部は、
    上記凸状の第1,第2ガイド部の対向する内面と、上記凹状の第3,第4ガイド部の背反する外面に、上記第1の位置において上記シャッターを上記カートリッジケースのシャッタースライド面に接触させた状態に上記スライド部材を支持する第1フラット面と、上記第1の位置から上記第2の位置へのスライド時に上記シャッターを上記カートリッジケースのシャッタースライド面から離間する方向に上記スライド部材をスライドさせる勾配面と、上記第2の位置において上記シャッターを上記カートリッジケースのシャッタースライド面に対して離間させた状態に上記スライド部材を支持する第2フラット面を設けることにより構成されている
    ことを特徴とする請求項4に記載の情報記録媒体カートリッジ。
  6. 上記凸状の第1,第2ガイド部の勾配面と、上記凹状の第3,第4ガイド部の勾配面とは、上記スライド部材のスライド方向に対して上記第1の脚部と第2の脚部との間隔と略等しい間隔をもたせた位置に形成されていて、上記スライド部材のスライド時に上記第1の脚部と第2の脚部を同時に同期させて操作し、シャッターをカートリッジケースのシャッタースライド面に対して平行状態に維持して移動させる
    ことを特徴とする請求項5に記載の情報記録媒体カートリッジ。
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