JP3601357B2 - 含浸用組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は特に木質系材料に対して含浸硬化性に優れた含浸用組成物に関するものである。また、この含浸用組成物は発泡材料に含浸硬化すると共に被着材との間に優れた接着能を発現する(以下「含浸接着性」と称する。)ため発泡材料の接着にも用いることができるもので、木質系材料の加工業界および発泡材料の接着工程で好適に利用されるものである。
【0002】
【従来の技術】
木質系材料の一種として、例えばハードボード、パーティクルボード、インシュレーションボード、MDF(Mid Density Fiberboad )等と呼ばれる、木をチップ化して製造される繊維板が、カラーボックス、収納ケース、家具類の部品や自動車、家電製品の部品として広く用いられている。
【0003】
繊維板は、木造住宅の建て壊しの残骸や製材所の屑等の廃材を原料とするため、原料の入手先によって材料強度にばらつきが生じ易い。また、繊維板の強度は単板や合板に比べると圧倒的に弱いために、加工や成型時には該板の端部や湾曲部に欠損が起こり易く、接合時には十分な接着強度が得られないといった欠点があった。
この欠点を補うために、従来より、尿素樹脂、メラミン樹脂またはフェノール樹脂等を繊維板に含浸、硬化させる方法による補強が行われてきた。しかしながら、これらの樹脂は水または有機溶剤に溶解させて使用しなければならないために、繊維板の含浸部分が膨潤したり変形する恐れがあり、さらには硬化に長時間を必要とするために後工程までの時間が長く、生産性が悪いという問題があった。
【0004】
この問題を解決する方法として、木質系材料、特に比重が1.0以下の軽比重の多孔性木質系材料の接合予定箇所に、2−シアノアクリレートまたはそれを主成分とする組成物を含浸硬化させて、該接合箇所を補強する方法が提案されている(特開昭57−11006号)。
【0005】
しかしながら、前記の木質系材料の補強法に記載されている2−シアノアクリレートまたはそれを主成分とする組成物では、木質系材料への含浸硬化性が不十分であり、生産性が要求される作業現場には合わないものであった。
【0006】
一方、発泡ウレタンに代表される発泡樹脂は緩衝材等として、また発泡ゴムは断熱用配管のプロテクター等として、自動車や家電製品等に広く用いられている。これら発泡樹脂や発泡ゴム等の発泡材料を被着材と接着する場合、或いは発泡材料同士を接着する場合には、従来、ゴム系溶剤型接着剤やホットメルト型接着剤が多く用いられていたが、接着作業の簡略化や時間短縮を目的としてシアノアクリレート系接着剤が採用されるようになった。
【0007】
しかしながら、シアノアクリレート系接着剤を用いても、通常の材料と異なり発泡材料の場合は接着速度は十分ではなく、生産性が要求される作業現場での使用には合わないものであった。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、特に木質系材料、中でもハードボード、パーティクルボード、インシュレーションボード、MDF(Mid Density Fiberboad )等の繊維板に対して優れた含浸硬化性を有し、作業現場での補強、補修が容易で生産性を向上させると共に、発泡材料に対して優れた含浸接着性を有し、作業現場での補修、接着が容易で生産性を向上させることができる含浸用組成物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の含浸用組成物の主成分である2−シアノアクリレートは、工業用、医療用および家庭用として広く使用されている瞬間接着剤の主成分であり、アニオン重合性を有するモノマーである。2−シアノアクリレートは一液、常温で硬化し、かつ低粘度であるために木質系材料への浸透性に優れることから、含浸用樹脂としても使用されている。
一般的に2−シアノアクリレートの硬化性を向上させるには、後述のアニオン重合促進剤を添加すると共に、できるだけモノマー中の不純物、特に強酸成分を除去すべきことは周知のことである。しかしながら、本発明者等は木質系材料の含浸硬化用および発泡材料の接着に使用する場合に限っては、ある特定の酸を添加する方が含浸硬化性および含浸接着性が著しく向上するという全く予期できない事実を見出して、本発明を完成したのである。
【0010】
即ち本発明は、2−シアノアクリレート、シアノ酢酸またはピルビン酸、並びにアニオン重合促進剤からなる含浸用組成物である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の含浸用組成物(以下「本含浸用組成物」と称する。)について詳細に説明する。
(2−シアノアクリレート)
2−シアノアクリレートは、本含浸用組成物の主成分であり、各種のものが使用できる。具体的には、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、クロロエチル、n−プロピル、i−プロピル、アリル、プロパギル、n−ブチル、i−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、フェニル、テトラヒドロフルフリル、ヘプチル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、オキソノニル、n−デシル、n−ドデシル、2−エトキシエチル、3−メトキシブチル、2−エトキシ−2−エトキシエチル、ブトキシ−エトキシ−エチル、2,2,2−トリフルオロエチルおよびヘキサフルオロイソプロピル等のエステルが挙げられ、これらは一種だけでなく、二種以上を混合して使用することもできる。
【0012】
これらの中では、メチルおよびエチルエステルが、含浸硬化性および含浸接着性が良いとの理由から好ましい。
【0016】
(シアノ酢酸、ピルビン酸)
本発明では、シアノ酢酸またはピルビン酸を、含浸硬化性および含浸接着性を向上させる目的で配合する。
【0017】
本成分の配合量は、2−シアノアクリレートに対して、10〜2000ppm、好ましくは50〜1000ppmである。10ppm未満であると十分な含浸硬化性および発泡材料に対する十分な含浸接着性が得られ難く、また2000ppmを超えると本含浸用系組成物の酸分が高くなりすぎ、アニオン重合性が低下するためにやはり含浸硬化性および含浸接着性が悪くなる恐れがある。
【0018】
(アニオン重合促進剤)
本発明に用いられるアニオン重合促進剤としては、▲1▼ポリアルキレンオキサイド、▲2▼ポリアルキレンオキサイドの誘導体、▲3▼クラウンエーテル、▲4▼シラクラウン化合物および▲5▼カリックスアレン等が挙げられる。
第一のものとしてポリアルキレンオキサイドまたはその誘導体を挙げることができ、それらは特公昭60−37836、特公昭60−26513、特公平1−43790、特開昭63−128088および特開平3−167279等で既に公知化されているものである。その具体例としては、次のようなものが挙げられる。
【0019】
▲1▼ポリアルキレンオキサイド
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ1,3−プロピレングリコール、ポリトリメチレンオキシド、ポリテトラメチレンオキシド、ポリエピクロルヒドリン、ポリ3,3−ビス(クロロメチル)ブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリ1,3−ジオキソラン、ポリ2,2−ビス(クロロメチル)プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイドブロックポリマー、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、ホルムアルデヒド縮合体、アセトアルデヒド縮合体およびトリオキサン重合体等。また、ポリエーテル型ウレタン硬化用ポリオールとして市販されている各種のポリアルキレンオキサイドも本発明の硬化促進剤として使用可能である。
【0020】
▲2▼ポリアルキレンオキサイド誘導体
代表的なポリアルキレンオキサイド誘導体としては、前記ポリアルキレンオキサイドと酸とのエステル(▲2▼−1)および前記ポリアルキレンオキサイドとヒドロキシ基含有化合物とのエーテル(▲2▼−2)等が挙げられ、それらが好ましく用いられる。また、特開平4−248886に開示されている化合物、例えばイソシアナートエチルメタクリレートとポリエチレングリコールとの反応生成物等のポリアルキレンオキサイド誘導体も、本発明の硬化促進剤として好適に使用される。更に、それらに限定されることなく、分子末端に種々の置換基を有するもの、ポリアルキレンオキサイドの内部に他の結合を有するもの等、分子内部にポリアルキレンオキサイド構造を有するものであれば本発明の硬化促進剤として使用可能である。
【0021】
▲2▼−1 ポリアルキレンオキサイド誘導体(エステル)
上記エステルを構成しうる酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、ペンタノイック酸、n−ヘキサノイック酸、2−メチルペンタノイック酸、n−オクタノイック酸、n−デカノイック酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、シクロヘキシルカルボン酸、シクロペンチルカルボン酸、シクロプロピルカルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ナフテン酸、安息香酸、β−ナフチルカルボン酸、p−トルエンカルボン酸、フランカルボン酸、p−クロル安息香酸、モノクロル酢酸、シアノ酢酸、グリコール酸、乳酸、フェニルオキシプロピオン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン酸、ブタンテトラカルボン酸、アコニット酸、プロパン−1,2,3−トリカルボン酸、クエン酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸およびピロメリット酸等を挙げることができる。
【0022】
該エステルの具体例としては、以下のものが挙げられる。
[1]ポリエチレングリコールモノアルキルエステル、ポリエチレングリコールジアルキルエステルおよびポリプロピレングリコールジアルキルエステル等(エステルとしては例えばアセテート、トリフルオロアセテート、ラウレート、ステアレート、オレートまたはメタクリレート等)。
[2]ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、トリメチロールプロパン、グリセリン、アジピン酸、トリメリット酸、イソシアネート化合物、リン酸またはケイ酸のポリアルキレンオキサイド付加物(アルキレンとしては、例えばエチレンまたはプロピレン等)。
[3]ポリオキシエチレンソルビタンエステル、テトラオレイン酸−ポリオキシエチレンソルビット、(ポリオキシアルキレン)ポリシラレートおよび(ポリオキシアルキレン)ポリホスフェート等(アルキレンとしては、例えばエチレンまたはプロピレン等)。
【0023】
▲2▼−2 ポリアルキレンオキサイド誘導体(エーテル)
上記エーテルを構成しうるヒドロキシ基含有化合物としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−エチルオクタノール、デカノール、ラウリルアルコール、セシルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、フェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、クレゾール、t−ブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、p−クロロフェノール、レゾール、ビスフェノールA、2−クロロエタノール、エチレンシアンヒドリン、トリフルオロエタノール、ベンジルアルコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、ソルビトール、水添ビスフェノールAまたはトリメチロールプロパン等を挙げることができる。
【0024】
該エーテルの具体例としては、以下のものが挙げられる。
[1]ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルおよびジプロピレングリコールジアルキルエーテル等(アルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピルまたはブチル等)
[2]ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルおよびポリエチレングリコールジアルキルエーテル等(アルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ラウリル、セシル、ステアリルまたはオレイル等);ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルおよびポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等(アルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ラウリル、セシル、ステアリル、オレイルまたはパーフルオロアルキル等)。
[3]ポリエチレングリコールモノアリールエーテルおよびポリエチレングリコールジアリールエーテル等(アリールとしては、例えばオクチルフェニルまたはノニルフェニル等)。
【0025】
これらのポリアルキレンオキサイドおよびその誘導体の分子量は、100〜10000の範囲であることが好ましい。100未満のものは硬化促進効果が少なく、また分子量が10000を超えると2−シアノアクリレートに溶解し難くなり硬化促進効果が低下する恐れがある。
【0026】
▲3▼クラウンエーテル
本発明のアニオン重合促進剤としては、クラウンエーテルまたはその誘導体を挙げることができ、これらは特公昭55−2238および特開平3−167279等で既に公知化されている。その具体例としては、次のようなものが挙げられる。
【0027】
15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6、ベンゾ−15−クラウン−5、ジベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−30−クラウン−10、トリベンゾ−18−クラウン−6、 asym−ジベンゾ−22−クラウン−6、ジベンゾ−14−クラウン−4、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−24−クラウン−8、シクロヘキシル−12−クラウン−4、1,2−デカリル−15−クラウン−5、1,2−ナフト−15−クラウン−5、3,4,5−ナフチル−16−クラウン−5、1,2−メチルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−メチルベンゾ−5,6−メチルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−tert−ブチル−18−クラウン−6、1,2−ビニルベンゾ−15−クラウン−5、1,2−ビニルベンゾ−18−クラウン−6、1,2−tert−ブチルシクロヘキシル−18−クラウン−6および1,2−ベンゾ−1,4−ベンゾ−5−オキシゲン−20−クラウン−7等。
【0028】
▲4▼シラクラウン化合物
また、シラクラウンまたはその誘導体もアニオン重合促進剤として用いられ、それらは特公昭62−31034および特開昭60−168775等で既に公知化されている。その具体例としては、次のようなものが挙げられる。
【0029】
ジメチルシラ−11−クラウン−4、ジメチルシラ−14−クラウン−5およびジメチルシラ−17−クラウン−6等。
【0030】
▲5▼カリックスアレン
更に、カリックスアレン誘導体もアニオン重合促進剤として用いられ、それらは特開昭60−179482、特開昭62−235379、特開昭63−88152および特開平6−92895等で既に公知化されている。
その具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
【0031】
5,11,17,23,29.35−ヘキサ−tert−butyl −37,38,39,40,41,42 −ヘキサヒドロオキシカリックス〔6〕アレン、37,38,39,40,41,42 −ヘキサヒドロオキシカリックス〔6〕アレン、37,38,39,40,41,42 −ヘキサ−(2−オキソ−2 −エトキシ)−エトキシカリックス〔6〕アレンおよび25,26,27,28 −テトラ−(2−オキソ−2−エトキシ)−エトキシカリックス〔4〕アレン等。
【0032】
重合促進剤の配合量は、2−シアノアクリレートに対して、0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜1重量%である。0.001重量%未満であると十分な含浸硬化性または発泡材料に対する十分な含浸接着性が得られ難く、また10重量%を超えると含浸硬化性および含浸接着性があまり大きくならない割に貯蔵安定性を著しく低下させる恐れがある。
【0033】
本含浸用組成物には、上記の必須成分の他に、従来シアノアクリレート系接着剤組成物に添加して用いられている安定剤、香料、染料、顔料または溶剤等を配合することができる。
【0034】
安定剤については、二酸化硫黄、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸および三弗化ホウ素錯体等のアニオン重合防止剤、並びにハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、カテコールおよびピロガロール等のラジカル重合防止剤が挙げられる。
このうち、アニオン重合防止剤は含浸硬化性および含浸接着性に影響を及ぼすため、酸の強度が適当なメタンスルホン酸等の脂肪族スルホン酸が好ましい。
【0035】
本含浸用組成物は、特に木質系材料、中でも繊維板の全体または一部に含浸・硬化して使用する。具体的には、木質系材料の端部やコーナー部の補強、木質系材料の欠損部に木屑を充填した後に本含浸用組成物を含浸・硬化させることによる欠損部の補修、並びに木質系材料に金具を固定させる際の補強等の用途が挙げられる。
【0036】
本含浸用組成物は、発泡ウレタン等の発泡樹脂または発泡ゴム等の発泡材料を他の被着体と接着したり、発泡材料同士の接着に用いることができる。
即ち、発泡材料に本含浸用組成物を塗布・含浸させた後に、被着材と貼り合わせて両者を接着する。この場合、通常のシアノアクリレート系接着剤を用いる場合よりも、優れた接着速度が発現される。
本含浸用組成物は、具体的には、発泡材料と表皮材とを他の接着剤を用いて接着した際に生じた接着不良箇所を急速に補修する等の用途が挙げられる。
【0037】
【作用】
本含浸用組成物は、構成する3成分の種類と量を調整することにより、木質系材料への浸透性と浸透した樹脂の重合速度を容易に制御することができ、また発泡材料への浸透性と接着速度の制御も可能とするものである。
しかし、本含浸用組成物は、主成分が通常のシアノアクリレート系接着剤と同一ではあるが使用方法が全く異なるために、従来のシアノアクリレート系接着剤の硬化速度を促進させる機構では説明ができないものである。
【0038】
但し、発泡材料に対する優れた含浸接着性については、次のように推測される。即ち、本含浸用組成物は、発泡材料に急激に浸透して硬化するため、表面には本含浸用組成物が薄膜状に存在し、これが被着材に対して速い接着速度を発揮することになる。これに対して通常のシアノアクリレート系接着剤は、発泡材料になかなか浸透しないため、表面に厚膜状として残存するため、被着材に対する接着速度が遅くなるのである。
【0039】
【実施例】
以下、実施例および比較例により更に詳しく本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
実施例1〜9、比較例1〜9
表1に記載の組成の含浸用組成物を作成し、含浸硬化性試験を行い、結果を表1に示した。なお、表1におけるPEG1000は、分子量約1000のポリエチレングリコール、PEG誘導体1は分子量約1000のメトキシポリエチレングレコールメタクリレート、PEG誘導体2は分子量約1000のポリエチレングリコールジメタクリレートを、MSはメタンスルホン酸を示す。
【0041】
【表1】
【0042】
なお、含浸硬化性試験の方法は以下の通りである。
▲1▼成型したパーティクルボードを中目ヤスリで研削して木粉とし、23℃×60%RH環境下に24時間保管する。
▲2▼この木粉約0.1gを盛り、含浸用組成物約0.1gを含浸させて、発煙するまでの時間を計測する。
発煙は、含浸用組成物が木質系材料に浸透し、かつ急速に重合したことを示すもので、それに要した時間は本含浸用組成物の含浸硬化性を表す指標となる。
【0043】
比較例10〜23
表2に記載の組成の2−シアノアクリレート系組成物を作成し、評価試験を行い、評価結果を表2に記載した。なお、表2におけるPEG1000は、分子量約1000のポリエチレングリコール、PEG誘導体1は分子量約1000のメトキシポリエチレングレコールメタクリレート、PEG誘導体2は分子量約1000のポリエチレングリコールジメタクリレートを、MSはメタンスルホン酸を示す。
【0044】
【表2】
【0045】
表1および2に示すようにアニオン重合防止剤がメタンスルホン酸と二酸化硫黄では酸の強度が異なるために含浸硬化性は異なるが、いずれの場合もシアノ酢酸またはピルビン酸の添加によって含浸硬化性は飛躍的に向上している。
【0046】
実施例10〜14、比較例24〜26
表3に記載の組成の含浸用組成物および2−シアノアクリレート系組成物を作成し、含浸接着性試験を行い、結果を表3に示した。なお、表3におけるPEG1000は、分子量約1000のポリエチレングリコール、PEG誘導体2は分子量約1000のポリエチレングリコールジメタクリレートを示す。なお、含浸接着性試験の方法は以下の通りである。
(1)25mm×50mmの発泡ウレタンおよび被着材である軟質PVCを準備する。
(2)発泡ウレタン側に本含浸用組成物または比較例の2−シアノアクリレート系組成物を2滴塗布し、所定時間手で圧締する。
(3)発泡ウレタンを固定して、軟質PVCを手で剥離した時に、発泡ウレタンが材料破壊するのに要した時間(セットタイム)を測定する。
【0047】
【表3】
【0048】
発泡ウレタンの破壊部分の断面を観察したところ、本含浸用組成物は発泡ウレタンに含浸して硬化していた。表3に示すようにシアノ酢酸またはピルビン酸の添加によって含浸接着性が飛躍的に向上していることが分かる。
【0049】
【発明の効果】
本発明の含浸用組成物は、特に木質系材料、中でもハードボード、パーティクルボード、インシュレーションボード、MDF(Mid Density Fiberboad )等の繊維板に対して優れた含浸硬化性を示すため、木質系材料の成型、加工或いは接合の際に容易に補強や補修が行え、作業効率を飛躍的に向上させるものであり、また発泡材料に対して優れた含浸接着性を示すため、発泡材料と被着材と貼り合わせて両者を接着する際に、通常のシアノアクリレート系接着剤を用いる場合よりも、優れた接着速度が発現され、作業効率を飛躍的に向上させるものである。
Claims (1)
- 2−シアノアクリレート、シアノ酢酸またはピルビン酸、並びにアニオン重合促進剤からなる含浸用組成物。
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