JP3601302B2 - ダイバーシチ受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動通信におけるフェージング対策として用いられるダイバーシチ受信装置に関する。特に、選択合成法と適応アルゴリズムによる最大比合成法を併用する際のダイバーシチブランチの合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ダイバーシチブランチを合成する方法として、選択合成法、最大比合成法等が用いられてきた。最大比合成法の合成アルゴリズムとしてCMA(Constant Modulus Algorithm) 等の適応アルゴリズムが考えられてきたが、合成するダイバーシチブランチの数が増加すると制御すべきタップ係数の数も増え、CMAのフェージング追随性が劣化するという欠点がある。そのため図3の様な選択合成法とCMAによる最大比合成法を併用したダイバーシチブランチ合成法が考えられてきた。
【0003】
この従来方式ではまず、ダイバーシチブランチを複数のグループに分け、各グループごとに最大の電力を有するブランチを切り替え器31で選択する選択合成法が用いられる。この図ではブランチ1,2,3をグループaとし、ブランチ4,5,6,7をグループbとして切り替え器31a,31bがそれぞれブランチ1,ブランチ6を選択している場合を示している。ただし、切り替え動作はブランチの電力を監視する選択合成制御部34が行う。各切り替え器の後段にタップ係数乗算器32が設けられていて、選択された各切り替え器の出力は、希望信号を同相合成するように、タップ係数乗算器においてタップ係数を掛けられすべての切り替え器に亘り加算器33で加算されて、最大比合成法により合成される。適当なタップ係数はCMAを指導原理とするタップ係数制御部により生成される。この制御部は各切り替え器の出力と加算器出力を用いてタップ係数を逐次更新する。そして加算器の出力がダイバーシチの総合合成出力として用いられる。
【0004】
以上述べた様に選択合成法と最大比合成法を併用することにより制御すべきタップ係数の数を減らしCMAの収束時間を短くすることができ、CMAのフェージング追随特性を良好にすることができる。
【0005】
しかしこの従来方式は選択合成における切り替え時に、切り替え元のブランチの信号の位相と切り替え先のブランチの信号の位相が異なるため、切り替え先の位相に即時にタップ係数を適応させることができず、希望信号の同相合成が不可能となる。ただし時間の経過とともにタップ係数は適応し、同相合成が実現される。
【0006】
しかしこの従来方式は一時的にせよ同相合成ができなくなるので、ディジタル復調装置として見た時、切り替え時にバースト的に誤りが発生し平均誤り率特性が劣化するという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、選択ブランチの切り替え時に生ずるタップ係数の不適応によるバースト的な誤りの発生を防ぐダイバーシチブランチ合成法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、選択ブランチの切り替え時に加算器において当該切り替え器に接続されるタップ係数乗算器の出力を一時的に他のタップ係数乗算器出力と加算しないことを最も主要な特徴とする。具体的には、当該切り替え器に接続されるタップ係数乗算器の出力オンオフを制御するスイッチをオフにすることにより、当該タップ係数乗算器の出力を加算器に入力しないことにより実現される。従来技術は常にすべてのタップ係数乗算器出力を加算器で加算するが、本発明は一時的に切り替えを行った切り替え器に接続されるタップ係数乗算器出力を加算しない点で異なる。
【0009】
本発明は、選択ブランチの切り替え時に加算器において当該切り替え器に接続されるタップ係数乗算器の出力を一時的に加算の対象からはずすため、切り替え時に生ずるタップ係数の不適応によるバースト的な誤りの発生を防ぐ効果が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を実現する一実施例を示す。まず複数のダイバーシチブランチを複数のグループに分け、それぞれのグループで最大の電力を有するブランチに切り替え器11を切り替える。この図では、ブランチ1,2,3をグループaとしブランチ4,5,6,7をグループbとして、切り替え器11a,11bがそれぞれブランチ1,6を選択している場合を示している。なお選択合成制御部15がブランチの受信電力を監視して切り替え器の制御を行う。
【0011】
次に切り替え器の出力はタップ係数乗算器12に入力され、切り替え器出力にタップ係数が乗算される。各乗算器の出力はスイッチ13に入力され、乗算器のオンオフが制御される。スイッチがオンの時はスイッチの入力がそのままスイッチの出力となり、オフの時はスイッチの出力はハイインピーダンスとなる。スイッチの出力は第一の加算器14に入力されすべてのスイッチにわたり加算される。そして加算器14の出力が総合合成出力となる。
【0012】
一方、タップ係数乗算器において用いられるタップ係数はCMAを適応アルゴリズムとするCMAタップ係数制御部16において生成される。CMAは係数を逐次更新するために、タップ係数が乗算される前の信号の値と、すべての乗算器の出力を加算した値を必要とする。ここで第一の加算器の出力の値はすべての乗算器の出力を加算した値とは異なることに注意しておかなければならない。なぜなら乗算器と第一の加算器の間にはスイッチが配置されており、あるスイッチがオフの時には当該乗算器の出力は第一の加算器に入力されないからである。それで本発明では別にすべての乗算器の出力の値を加算するための第二の加算器17を設ける。
【0013】
そしてタップ係数制御部は第二の加算器の出力と、乗算される前の信号の値である切り替え器の出力を用いて係数の逐次更新を行う。
【0014】
さて乗算器の出力のオンオフを制御するスイッチは選択合成制御部により制御され、切り替え器がブランチの切り替えを行った時、当該切り替え器に接続された乗算器に接続されるスイッチを一定時間オフにする。ここで一定時間とは、切り替え開始から、CMAによるタップ係数の更新アルゴリズムが切り替え先の信号に適応し希望信号を同相合成することが可能となるまでの時間のことを指す。よって一定時間スイッチをオフにするということは、タップ係数が切り替え先の信号の位相に適応していない間は、当該乗算器出力を第一の加算器に入力させないことにより、当該乗算器出力をCMAによる最大比合成法のブランチとして用いないということを意味する。この動作により従来方式で問題となっていたタップ係数の不適応によるバースト的な誤りの発生を防ぐことができる。
【0015】
図1の実施例が図3で示された従来方式と異なる点は、タップ係数乗算器の出力のオンオフを制御するスイッチを乗算器の後段に配置したことである。このスイッチのオンオフにより当該乗算器の出力を第一の加算器に入力するか否かを制御できる。また従来方式と異なるもう一つの点は、前記スイッチの出力を加算する加算器とは別のもう一つの加算器が必要となることである。これは既に述べた様にCMAによるタップ係数更新のために必要な乗算器出力の総和を得るためである。
【0016】
なお、一つのスイッチがオフになっている間は、加算器14の出力が低下するので、これを補償するために、オンになっているスイッチに関連するタップ係数を調節することが可能である。
【0017】
次に、本発明のダイバーシチ受信装置を復調器の中で用いた場合の復調器全体の構成の一例を挙げる。図1の実施例ではベースバンドのダイバーシチブランチをどの様に合成して総合合成出力を得るかという部分のみを説明したが、ここでは復調器全体に視野を広げ高周波の信号からデータを復号する過程も含めて説明する。図2に復調器の構成の一例を示す。この例ではCDMAを想定し、RAKE受信と空間ダイバーシチを併用した場合を考えた。以下、高周波からデータを得るまでの過程を順を追って説明する。まずアンテナから入力した高周波は受信機201でベースバンドの信号に変換され、信号の同相成分と直交成分に分離される。信号の同相成分と直交成分はマッチトフィルタ202に入力されて逆拡散が行われる。マッチトフィルタの出力は遅延線203に送られ、ここで先行波と遅延波に分離されRAKE受信のダイバーシチブランチとなる。この一つのアンテナ素子の受信高周波信号から得られる先行波、遅延波の総数をm個、アンテナ素子数をn個とすると、総合ダイバーシチブランチの数はN=m×n個となる。このN個のダイバーシチブランチに対して、既述の方法により選択合成法とCMAによる最大比合成法を用いたダイバーシチを実行する。そして、その結果得られた総合合成出力を検波器208で検波し識別器209で復号してデータを得ることができる。なお図2の実施例では、先行波遅延波m個を一グループ単位としn個のグループに分けて、既述の方法を適用した。
【0018】
【発明の効果】
本発明は、選択ブランチの切り替え時に当該切り替え器に接続されるタップ係数乗算器の出力を一時的に他のタップ係数乗算器出力と加算しない。このことはタップ係数が切り替え先の信号の位相に適応するまで当該切り替え器からの信号をCMAによる最大比合成法のブランチとして用いないことを意味する。それで切り替え時に生ずるタップ係数の不適応によるバースト的な誤りの発生を防ぐ効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダイバーシチブランチ合成法を示した図である。
【図2】本発明を実現する復調器全体の構成の一例を示した図である。
【図3】選択合成法とCMAによる最大比合成法を併用した場合の従来のダイバーシチブランチ合成法を示した図である。
【符号の説明】
11a,11b 切り替え器
12a,12b タップ係数乗算器
13a,13b スイッチ
14 第一の加算器
15 選択合成制御部
16 CMAタップ係数制御部
17 第二の加算器
201a,201b 受信機
202a,202b マッチトフィルタ
203a,203b 遅延線
204a,204b 切り替え器
205a,205b タップ係数乗算器
206a,206b スイッチ
207 第一の加算器
208 検波器
209 識別器
210 選択合成制御部
211 CMAタップ係数制御部
212 第二の加算器
31a,31b 切り替え器
32a,32b タップ係数乗算器
33 加算器
34 選択合成制御部
35 CMAタップ係数制御部
Claims (1)
- 移動通信におけるダイバーシチ受信装置において、
N個のダイバーシチブランチをn(2≦n≦N)個のグループに分け、
各グループごとのブランチが入力され、それらのブランチのうちの一つのブランチを出力するn個の切り替え器と
各ブランチの電力を監視して最も電力の大きいブランチを選択するよう切り替え器を制御する選択合成制御部と
前記切り替え器の出力に接続され、タップ係数を乗算し乗算結果を出力するn個のタップ係数乗算器と
各タップ係数乗算器の出力のオンオフを制御するn個のスイッチと
それらのスイッチの出力が入力され、加算して出力する第一の加算器と
前記n個のタップ係数乗算器の出力が入力され、それらを加算する第二の加算器と
各切り替え器の出力と第二の加算器の出力を用いてタップ係数を逐次更新するタップ係数制御部とを具備し、
前記選択合成制御部は切り替え器のブランチ切り替え時に、一定時間、当該切り替え器の出力を前記第一の加算器に印加しないように構成され、前記一定時間は、前記第一の加算器で同相合成が可能になるまでの時間であることを特徴とするダイバーシチ受信装置。
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