JP3601162B2 - 発泡シ−トの製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品等包装材、容器等に広く利用出来るポリスチレン発泡シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂発泡シートから得られる成形体は、多種多用の分野で多量に使用されているが、使用される発泡シートの性能は製造条件に大きく依存する。特にスチレン系樹脂発泡シートの製造においては、一定の製造条件においても冬場や夏場などの季節要因や朝、夜など一日の気温差等の変動により、得られるシートの性能は刻々と変化するし、また、縦横の延伸のバランスを正確に把握することが難しく、好適な製造条件に設定することが非常に困難なものであった。これまで、この様な製造条件の不適格さによって、容器等の製品へ加工する際に、割れ等の不良品が発生するなどの深刻な問題が生じていた。
【0003】
従来より、この様な問題を回避すべく、スチレン系樹脂発泡シートの製造条件を調製する方法としては、シート製造時において適宜シートのサンプリングを行いこれを加熱収縮させて、延伸の程度を把握し、その結果から製造条件を調節する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この様な加熱収縮による測定方法においては、延伸方向にのみ収縮するだけでなく延伸の直角方向の部分は加熱により膨らむので、発泡シ−ト全体の正確な延伸の状態が把握できないという欠点があり、結局、安定的に配向の揃った発泡シートを得ることができないものであった。
【0005】
特に、この製品性能の不安定さは、近年とみに需要の高まりを見せている電子レンジ内で加熱可能な食品容器に用いられる、耐熱性が高いスチレン系樹脂を用いた発泡製品では特に大きく、そのために使用範囲が大幅に制限されているのが現状であった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、スチレン系樹脂の発泡シートの製造方法において、延伸に伴う配向の不揃いがなく、その結果、成形性、特に深物容器への成形性が著しく良好な発泡成形シートが得られる、発泡シートの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、前記課題に鑑みて、樹脂押出発泡体に要求される容器成形性に優れた樹脂押出発泡体を安定に得るべく鋭意研究を重ねた結果、発泡押出し成形時に、得られた発泡シートを適宜サンプリングし、マイクロ波透過強度を測定し、特定の数値範囲となるように発泡押出成形を制御することにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明はスチレン系樹脂(ポリスチレンを含む)と、発泡剤とを押出機内で溶融混練後、押出し、発泡押出成形する発泡シ−トの製造方法であって、得られるシ−トの押出方向のマイクロ波透過強度(MD)とシ−トの押出方向に直角のマイクロ波透過強度(TD)の比TD/MDが0.4〜3.0となる様に押出しを制御することを特徴とする発泡シ−トの製造方法に関する。
【0009】
本発明で用いるスチレン系樹脂は、特に制限されるものではないが、スチレン系モノマー単独の重合体、または、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、アクリロニトリル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸n−ブチル等の不飽和カルボン酸系モノマーとの共重合体、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸と高級脂肪酸の高級亜鉛塩との共重合体、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレンーアクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂(ABS樹脂)、ゴム変性スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(MBS樹脂)、ゴム変性スチレン−メタクリル酸共重合樹脂等が挙げられる。
【0010】
これらのなかでも特に、スチレン系モノマーと不飽和カルボン酸系モノマーとの共重合体、および、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸と高級脂肪酸の高級亜鉛塩との共重合体は、耐熱性及び機械的強度に著しく優れるものの、これらの樹脂から得られる発泡シートは、溶融状態においてその流動性が悪く、発泡シートにした際の配向不揃いを生じ易い為、本発明による改善効果が著しく顕著なものとなる。よって、これらの樹脂を用いることが、耐熱性並びに機械的強度に優れた深物容器の成形体を安定に得ることができる点から好ましい。
【0011】
また、上記スチレン系樹脂の内、スチレン系モノマーと不飽和カルボン酸系モノマーとの共重合体において、不飽和カルボン酸系モノマーの含有量は特に限定されるものではないが、共重合体中2〜25重量%であることが好ましい。
【0012】
即ち、不飽和カルボン酸系モノマーの含有量は25重量%以下の場合、加熱成形性の良好なものとなり、シ−ト巻き取りの際に破断することなく製造する事ができる。一方、2重量%以上の場合は、耐熱性及び機械的強度の向上効果が良好なものとなる。
【0013】
従って、耐熱性、機械的強度と加熱成形とのバランスから不飽和カルボン酸系モノマーの含有量は3〜18重量%であるのが好ましい。
【0014】
また、これらのスチレン系樹脂を製造する方法としては、特に制限されず、懸濁法や塊状重合法等の定法により製造することができる。
【0015】
また、前記したスチレン系樹脂の内、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレンーアクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂(ABS樹脂)、ゴム変性スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(MBS樹脂)、ゴム変性スチレン−メタクリル酸共重合樹脂等のゴム強化樹脂は、強度補強用としてその他のスチレン系樹脂を混合して使用することもできる。尚、強度補強用としては、その他、ポリブタジエンやスチレン−ブタジエンブロック共重合体等のゴム質が挙げられる。
【0016】
芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタリン、エチルスチレン、モノクロルスチレン等のスチレン系化合物が挙げられるが、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンが好ましい。なかでもスチレンおよびスチレンとα−メチルスチレンの混合物が流動性向上効果が優れる点から好ましく、特にスチレンモノマーが好ましい。
【0017】
前記スチレン樹脂の重量平均分子量(Mw)は180,000〜400,000であることが好ましい。即ち、Mwが180,000以上においては、得られる発泡シ−トの強度が高まり、発泡シ−ト化工程におけるシ−ト巻き取りの際の破断やトリミング時にひび割れなどの発生を著しく低下させることができ、一方、Mwが40,000以下においては、流動性が向上して生産性が向上する他、得られる発泡シ−トの分子配向を小さく抑えることができるので、やはり、シ−ト巻き取りの際の破断やトリミング時にひび割れなど良好に抑えることができる。
【0018】
発泡剤としては特に限定されるものではないが、たとえばブタン、プロパン、ペンタンなどの低沸点の炭化水素化合物、水、窒素ガス、炭酸ガス、加熱により分解してガスを発生するアゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどが挙げられる。これらは単独に使用されてもよいし、または2種以上併用してもよい。発泡剤の使用量はスチレン系樹脂に対して1〜20重量%が好ましい。
【0019】
本発明においては、スチレン系樹脂及び発泡剤に加え、更に必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、などの造核剤、滑剤、顔料、ゴム状物質、HIPS樹脂・MBS樹脂等のゴム強化樹脂、メチルメタクリレ−ト(MAA)などの樹脂およびその他改質剤を適宜配合して用いてもよい。
【0020】
本発明においては、上記したスチレン系樹脂と発泡剤、更に必要に応じその他の成分を押出機内で溶融混練した後、発泡押出成形して発泡シートとするものである。そして、その際に発泡シ−トのマイクロ波透過強度比が、押出方向のマイクロ波透過強度(MD)と発泡シ−トの押出方向に直角のマイクロ波透過強度(TD)の比TD/MDが0.4〜3.0となる様に調節するものである。
【0021】
ここで、マイクロ波透過強度とは、マイクロ波がポリマー製のシートを透過する程度を示す値であり、ボルト(V)で示されるものである。即ち、マイクロ波電磁波(300MHz〜30GHz)と高分子物質の分子の双極子との相互作用は、両者のベクトルの内積に関係していて、従って、試料をマイクロ波偏波電界の中で回転させると、角度によってその相互作用が異なり、結果として分子鎖の配向性を知ることが出来るという原理に従って測定できるものであり、具体的にはマイクロ波分子配向計により測定されるものである。その値は分子配向が大きくなるにつれて小さい値を示すものである。
【0022】
本発明においては、マイクロ波透過強度比、即ち、押出方向のマイクロ波透過強度(MD)と発泡シ−トの押出方向に直角のマイクロ波透過強度(TD)の比TD/MDが0.4未満の場合、押出発泡シ−トを引き取る際に、シ−ト強度が十分でなくなり発泡シ−トが破断しやすくなる。また、3.0をこえると容器を成形した場合成形体の強度や耐熱性が充分でなくなり、成形体が割れやすくなる。
【0023】
特に、発泡体をシート状の食品容器類に使用する場合はTD/MDの比は0.8〜2.5であることが、発泡シ−トを加熱成形して良成形体が得られる点から好ましい。
【0024】
次に、押出方向のマイクロ波透過強度(MD)として0.3ボルト(V)〜0.8ボルト(V)、押出方向に直角のマイクロ波透過強度(TD)として0.3ボルト(V)〜0.8ボルト(V)とするのが好ましい。
【0025】
マイクロ波透過強度のMD値とTD値が、0.3ボルト(V)以上にすることにより、発泡シートから加熱成形による成形品を得る際の成形性が良好となり、また、成形品の表面外観が良好となる他、成形体のトリミング打ち抜き性も良好なものとなる。一方、0.8ボルト(V)以下においては、成型品の機械的強度が著しく優れたものとなる。
【0026】
この様なマイクロ波透過強度の値を所望の値に調節する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、発泡シート製造後、適宜サンプリングしてマイクロ波分子配向計にかけて測定すればよい。サンプリングの頻度については特に制限されないが、10分〜1時間に1回の割合で、ダイスから押し出された発泡シートから切り出して、1辺が5〜20cmの正方形または長方形のサンプルとして測定する方法が挙げられる。また、サンプリングの時期については、押出直後から切り出してもよいが、押出開始後1〜3時間すると発泡シートが安定してくるのでその時点でサンプリングを開始することが好ましい。
【0027】
この際、サンプルにおける押出方向を明確にして置く必要があり、その為には例えばサンプルにおける各辺が、押出方向及び押出方向と直角の方向に一致させておくことが好ましい。
【0028】
また、サンプリング並びにマイクロ波透過強度の値を所望に調節する方法としては、樹脂の変更、ダイス温度および引き取り速度、冷却用エアーの風量及び温度をコントロールする方法が挙げられる。即ち、分子配向に影響を及ぼす要因としては、樹脂の種類、共重合組成、分子量、溶融粘度等の樹脂の性質的な要因と、押出発泡シート製造時の温度(シリンダー、ダイス)、発泡剤・各種添加剤の添加量、押出量、金型の環状細隙、ブロー比(マンドレル径/サーキュラーダイ径の比)、マンドレルの温度、冷風、温風の温度、風量やシートの引き取り速度等の物理的な要因とがあるが、サンプリングした試験片のマイクロ波透過強度の値がもし適切な値とならなかった場合には、これらの要因を適宜変更することによって調節することができる。
【0029】
次に、本発明の製造方法を更に詳述すると、例えば、上記した各成分を必須の成分として供給された押出装置内で160〜300℃、好ましくは180〜270℃で加熱溶融した樹脂中に発泡剤を圧入し混練り後、発泡剤を含有するスチレン系樹脂のゲルとする。このゲルを押出装置の先端に取着されている環状細隙を有する金型である、90〜170℃、好ましくは120〜150℃に加熱されたサーキュラーダイから大気中に吐出させ、前記ゲルを発泡せしめつつ円筒状のシ−トとなし、該シ−トを更に前記サーキュラーダイの直径よりも実質的に大きいマンドレルの径まで拡大させ、これを通過させる事により前記溶融樹脂の温度が発泡、即ち配向に適した温度に制御されるとともに、引き取り速度とブロー比(マンドレルの径とサーキュラーダイの径の比)に応じて押出方向に配向させると同時に押出方向と直角方向にも配向をかけ、前記マンドレルを通過後、円筒状シ−トを切開して発泡シ−トとされる。この際、ブロー比は一般的には2〜6の範囲に設定されるが、3〜4の範囲がより好ましい。
【0030】
得られる発泡シ−トの性能については特に限定しないが、スチレン系樹脂が持つ性質を有効に発揮させるためには、先ず、発泡シ−トの厚さは1〜5mmが好ましいが、特に発泡シートを薄肉断熱材等に使用する場合、その厚さは2〜5mmであることが成形品の強度、断熱性及び耐熱性に優れる点から好ましく、中でも1.5mm〜3mm程度の発泡体は、真空および/又は圧空成形工程に十分対応出来る食品容器発泡体として有用であり、耐熱性にすぐれるため電子レンジ内で加熱、調理が出来る点から好ましい。
【0031】
次に、発泡シ−トの発泡倍率は3〜20倍とするのが好ましい。発泡倍率が3倍より小さい場合には、得られる発泡シ−トが硬くなり割れやすくなる。また遮温効果や保温効果が小さく電子レンジ等で加熱した場合容器の温度が高くなり容器として使用できなくなる場合がある。発泡倍率が20倍より高い場合、剛性が乏しくなって柔軟な成形体となるほか強度が低下する傾向にある。
【0032】
かくして得られる本発明のスチレン系樹脂発泡シ−トは単独で使用してもよく、また装飾性、発泡シ−ト表面の保護および成形容器の耐熱性を向上させるために、2軸延伸機やインフレ−ション法で製造されるポリスチレンフィルム、HIPS含有ポリスチレンフィルム、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂フィルム、ゴム強化スチレン−メタクリル酸共重合樹脂フィルム、などのポリスチレン系フィルム、ポリプロピレン、高密度ポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエステルやポリメチルペンテン、ポリアミドなどの耐熱樹脂フィルムなどを該発泡シ−トの表面に積層して使用してもよい。
【0033】
【実施例】
以下に参考例及び実施例を示すが、設定した条件はこれらに限定されるものではない。
【0034】
尚、発泡シートの分子配向測定及び各評価方法は以下の方法で行なった。
[発泡シートの分子配向測定]
幅1040mmの発泡シートを巻取り途中において、該発泡シートの中央部から一辺が該発泡シートの押出方向と平行になるように100mm角の正方形に切り出した発泡シートサンプルを、分子配向計(KSシステムズ株式会社製MOA−2001)のサンプルホールダー内に、該ホールダーに記載されている矢印と該発泡シートサンプルの押出方向とを合わせて設置し、該発泡シートサンプルを回転させながら全周にわたり4GHzのマイクロ波でマイクロ波透過強度を測定し、押出方向とこれに直角な方向のマイクロ波透過強度〔単位:ボルト(V)〕を求めた。
【0035】
上記本発明の発泡シートのマイクロ波透過強度の測定において、本来マイクロワット(μW)であるはずのマイクロ波透過強度の単位がボルト(V)で表示されている理由は、測定に用いたKSシステムズ株式会社製の分子配向計MOA−2001が、測定したマイクロ波透過強度の単位をマイクロワット(μW)からボルト(V)に自動的に換算して表示する機構となっているためである。尚、この分子配向計MOA−2001では、下記換算式(I)によりマイクロワット(μW)からボルト(V)へ換算している。
【0036】
【式1】
A=750×0.5×B/1000・・・(I)
〔式中、Aはボルト(V)に換算されたマイクロ波透過強度、Bはマイクロワット(μW)単位のマイクロ波透過強度を表す。〕
【0037】
[発泡シート製造の難易性]
以下の判定基準で発泡シートの製造性を判定した。
判定基準
◎:巻取り時シ−トの割れなし、成形温度圧力の上昇もない。
【0038】
○:巻取り時シ−トの割れなし。
△:巻取り時シ−トの割れが入る。巻取り可。
×:巻取り時シ−トの割れが入り、巻取り不可。
【0039】
[二次成形加工性]
実施例及び比較例で得られた発泡シ−トを7日間常温で放置した後、発泡スチレンシ−ト成形用の単発真空成形機で内径170mmφ、深さ60mmの丼状容器に成形し、容器の形状および外観を下記判定基準で判定した。
【0040】
判定基準
◎:金型に合致した形状が得られ、外観も優れている。
○:金型の形状にそった成形品が得られる。成形品表面に不良部分がない。
【0041】
△:金型の低部凹凸部および角部が金型形状に合っていない。
成形品表面に小さな割れがある。
×:金型形状に程遠い形状で、深さなど寸法がでていない。
【0042】
成形品表面に多くの割れがある。
【0043】
[発泡シートの外観評価]
実施例及び比較例で得られた発泡シ−トの光沢を目視により判定した後、これらを鋭利な刃物等で切断し、その切断面から拡大鏡(50倍)で、シ−ト表面の凹凸の程度を下記判定基準で判定した。
判定基準
◎:シ−ト表面の凹凸が0.05mm未満であり、かつ光沢が良好である。
【0044】
○:シ−ト表面の凹凸が0.05mm未満であるが、光沢はやや劣る。
△:シ−ト表面に0.05mm〜0.1mmの凹凸があり、光沢も劣る。
×:シ−ト表面に0.1mmより大きい凹凸があり、光沢も劣る。
【0045】
参考例1(スチレン系樹脂の製造方法)
タ−ビン型攪拌翼を備えた5Lステンレス製反応器に、蒸留水2000mLを仕込み、懸濁安定剤として部分ケン化ポリビニルアルコ−ル10gおよびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.05gを溶解後、スチレン920g、メタクリル酸80g、流動パラフィン10g、ペルオキシへキサヒドロテレフタル酸ジ第三級ブチル1gおよび過安息香酸第三ブチル1gを順次仕込んだ。器内を窒素ガスで置換後、500rpmの攪拌下で昇温して90℃で10時間懸濁重合させ、さらに120℃で3時間反応させた。生成した粒状スチレン−メタクリル酸共重合体を洗浄し、脱水し、乾燥した。次いで、この共重合体に該共重合体に対して0.5%のステアリルアルコ−ルをタンブラ−により混合し、ついでこれを44mmの2軸押出機で、窒素気流中にて、シリンダ−温度230℃の条件下でペレット化せしめた。以下、これを共重合体(A−1)と略記する。
【0046】
参考例2(スチレン系樹脂の製造方法)
表−1に示す組成で各モノマ−を用いた以外は参考例1と同様にして共重合体(A−2)を得た。
【0047】
実施例1
大日本インキ化学工業株式会社製発泡シート用PS樹脂(ディックスチレンCR−5800、重量平均分子量280,000、以下「CR−5800」と略記する)のペレット原料100重量部と気泡調整剤としてタルク1重量部を加え、短管で接続された50mmφおよび65mmφのタンデム型押出機の第1段目の50mmφ押出機に投入して温度220〜260℃で溶融混練しながら、これにブタンを3重量部圧入し、ついで混練後、第2段目の65mmφ押出機に移送し、約110〜150℃に冷却後、該65mmφ押出機に取り付けたサ−キュラ−ダイの110φmm環状細隙から大気中に発泡させながら円筒状に押出し(吐出量:45Kg/Hr)、該シ−トをさらに335φmmのマンドレルに至る間に押出方向と、押出方向と直角方向にマンドレル内に設けられた温度調節された冷風(30℃)等により膨らまさせるとともに円筒状シ−ト外部に温度調節された冷風(30℃)等により適正な配向をかけ、前記マンドレルで冷却(30℃)通過後、前記円筒状シ−トを切開して平板シ−ト状に引取り配向を有する発泡シ−トを得た。尚、この際の発泡シ−トの引き取り速度は2.0m/min.とし、製造開始から2時間経過時にサンプリングを行ない、分子配向測定を行なった。以後、分子配向の測定は20分に一回の割合で行った。押出開始後2時間経過時における分子配向の測定結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.77ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.4ボルト(V)、TD/MD比=1.9であった。尚、得られた発泡シートは厚さ2.5mm、発泡倍率10倍であった。このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0048】
実施例2
参考例1で得られた共重合体(A−1)のペレット原料100重量部と気泡調整剤としてタルク1重量部及びブタジエン−g−スチレン−メチルメタクリレート(MBS樹脂:鐘淵化学工業(株)社製カネエースB−22)3重量部を加え、短管で接続された50mmφおよび65mmφのタンデム型押出機の第1段目の50mmφ押出機に投入して温度220〜270℃で溶融混練しながら、これにブタンを4重量部圧入し、ついで混練後、第2段目の65mmφ押出機に移送し、約120〜150℃に冷却後、該65mmφ押出機に取り付けたサーキュラーダイの110φmm環状細隙から大気中に発泡させながら円筒状に押出し(吐出量:40Kg/Hr)、該シ−トをさらに335φmmのマンドレルに至る間に押出方向と、押出方向と直角方向にマンドレル内に設けられた温度調節された温風(60℃)等により膨らまさせるとともに円筒状シ−ト外部に温度調節された温風(60℃)等により適正な配向をかけ、前記マンドレルで冷却(60℃)通過後、前記円筒状シ−トを切開して平板シ−ト状に引取り配向を有する発泡シ−トを得た。尚、この際の発泡シ−トの引き取り速度は3m/min.とし、実施例1と同様にして分子配向の測定を行なった。その結果、押出開始後2時間経過時の分子配向の測定結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.75ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.38ボルト(V)、TD/MD比=2.0であった。また、得られた発泡シートは厚さ2mm、発泡倍率5倍であった。
【0049】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0050】
実施例3
参考例2で得られた共重合体(A−2)のペレット原料とブタンを3重量部用いる以外は実施例2と同様にして2.2m/min.で引き取り、分子配向を測定した。押出開始後2時間経過時の分子配向の測定結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.7ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.7ボルト(V)、TD/MD比=1.0であった。得られた発泡シートは、厚さ2mm、発泡倍率12であった。
【0051】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0052】
実施例4
ペレット原料としてCR−5800を用い、ブタンを3重量部用い、かつ、5.0m/min.で引き取る以外は実施例1と同様にして発泡シートを製造し、開始後2時間経過時にサンプリングを行なった処、TD方向のマイクロ波透過度0.8ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.15ボルト(V)TD/MD比=5.3の結果となった。そこで、押出量を37Kg/Hr、引き取り速度を3m/min.に条件変更を行い、更に2時間経過時にサンプリングを行って分子配向を測定したところ、TD方向のマイクロ波透過強度0.78ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過強度0.37ボルト(V)、TD/MD比=2.1、厚さ1.8mm、発泡倍率10倍の発泡シートが得られた。
【0053】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0054】
比較例1
ペレット原料としてCR−5800を用い、5.0m/min.で引き取る以外は実施例1と同様にして、発泡シートを製造した。押出開始後2時間経過時において、サンプリングし、これを170℃で60秒処理した処、押出方向(MD方向)の収縮率が40%、これと直角方向(TD方向)の収縮率が30%となった。この結果のみから判断するに製造条件は最適条件にあるものと云わざるを得なかった。
【0055】
一方、このサンプリングと同時にサンプリングしたものを用いて分子配向の測定を行なった。その結果、TD方向のマイクロ波透過度0.8ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.15ボルト(V)TD/MD比=5.3となった。また、得られた発泡シートは、厚さ1.8mm、発泡倍率10倍であった。
【0056】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0057】
比較例2
ペレット原料としてCR−5800を用い、発泡剤であるブタンを4重量部添加し、550φmm径のマンドレルを用い、1.5m/min.で引き取る以外は実施例1と同様にして発泡シートの製造並びに分子配向の測定を行なった。その結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.2ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.7ボルト(V)TD/MD比=0.29であった。また、得られた発泡シートは、厚さ2.7mm、発泡倍率12倍であった。
【0058】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0059】
比較例3
ペレット原料として共重合体(A−1)を用い、ブタン3重量部、25℃の冷風を用い、2.2m/min.で引き取る以外は実施例2と同様にして発泡シートの製造並びに分子配向の測定を行なった。その結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.75ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.2ボルト(V)、TD/MD比=3.8であった。得られた発泡シートは、厚さ2mm、発泡倍率5倍であった。
【0060】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0061】
比較例4
大日本インキ化学工業株式会社製ポリスチレン樹脂(ディックスチレンUX−560、重量平均分子量450000)、「ポリスチレン(A−3)」を用い、35Kg/Hrの速度で押出し、2.2m/min.で引き取る以外は実施例2と同様にして発泡シートの製造並びに分子配向の測定を行なった。その結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.8ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.2ボルト(V)、TD/MD比=4.0であった。得られた発泡シートは、厚さ2mm、発泡倍率10倍であった。
【0062】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
この例においては、高分子量、高粘度のため吐出圧力が高く、押出量が減少するとともに、分子配向も大きくその結果発泡シートの外観が悪い上に、成形加工性が大きく劣った。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】
本発明は発泡シ−トの製造中に迅速、且つ正確な分子配向を測定し、得られた結果を製造条件にフィードバックさせることにより、常に最適な分子配向の範囲内で製造することが可能となり、二次成形性や外観に優れた高性能な発泡シ−トを安定的に製造出来る。
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品等包装材、容器等に広く利用出来るポリスチレン発泡シートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スチレン系樹脂発泡シートから得られる成形体は、多種多用の分野で多量に使用されているが、使用される発泡シートの性能は製造条件に大きく依存する。特にスチレン系樹脂発泡シートの製造においては、一定の製造条件においても冬場や夏場などの季節要因や朝、夜など一日の気温差等の変動により、得られるシートの性能は刻々と変化するし、また、縦横の延伸のバランスを正確に把握することが難しく、好適な製造条件に設定することが非常に困難なものであった。これまで、この様な製造条件の不適格さによって、容器等の製品へ加工する際に、割れ等の不良品が発生するなどの深刻な問題が生じていた。
【0003】
従来より、この様な問題を回避すべく、スチレン系樹脂発泡シートの製造条件を調製する方法としては、シート製造時において適宜シートのサンプリングを行いこれを加熱収縮させて、延伸の程度を把握し、その結果から製造条件を調節する方法が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この様な加熱収縮による測定方法においては、延伸方向にのみ収縮するだけでなく延伸の直角方向の部分は加熱により膨らむので、発泡シ−ト全体の正確な延伸の状態が把握できないという欠点があり、結局、安定的に配向の揃った発泡シートを得ることができないものであった。
【0005】
特に、この製品性能の不安定さは、近年とみに需要の高まりを見せている電子レンジ内で加熱可能な食品容器に用いられる、耐熱性が高いスチレン系樹脂を用いた発泡製品では特に大きく、そのために使用範囲が大幅に制限されているのが現状であった。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、スチレン系樹脂の発泡シートの製造方法において、延伸に伴う配向の不揃いがなく、その結果、成形性、特に深物容器への成形性が著しく良好な発泡成形シートが得られる、発泡シートの製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明者等は、前記課題に鑑みて、樹脂押出発泡体に要求される容器成形性に優れた樹脂押出発泡体を安定に得るべく鋭意研究を重ねた結果、発泡押出し成形時に、得られた発泡シートを適宜サンプリングし、マイクロ波透過強度を測定し、特定の数値範囲となるように発泡押出成形を制御することにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明はスチレン系樹脂(ポリスチレンを含む)と、発泡剤とを押出機内で溶融混練後、押出し、発泡押出成形する発泡シ−トの製造方法であって、得られるシ−トの押出方向のマイクロ波透過強度(MD)とシ−トの押出方向に直角のマイクロ波透過強度(TD)の比TD/MDが0.4〜3.0となる様に押出しを制御することを特徴とする発泡シ−トの製造方法に関する。
【0009】
本発明で用いるスチレン系樹脂は、特に制限されるものではないが、スチレン系モノマー単独の重合体、または、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、N−フェニルマレイミド、アクリロニトリル、メタクリル酸メチルおよびメタクリル酸n−ブチル等の不飽和カルボン酸系モノマーとの共重合体、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸と高級脂肪酸の高級亜鉛塩との共重合体、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレンーアクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂(ABS樹脂)、ゴム変性スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(MBS樹脂)、ゴム変性スチレン−メタクリル酸共重合樹脂等が挙げられる。
【0010】
これらのなかでも特に、スチレン系モノマーと不飽和カルボン酸系モノマーとの共重合体、および、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸と高級脂肪酸の高級亜鉛塩との共重合体は、耐熱性及び機械的強度に著しく優れるものの、これらの樹脂から得られる発泡シートは、溶融状態においてその流動性が悪く、発泡シートにした際の配向不揃いを生じ易い為、本発明による改善効果が著しく顕著なものとなる。よって、これらの樹脂を用いることが、耐熱性並びに機械的強度に優れた深物容器の成形体を安定に得ることができる点から好ましい。
【0011】
また、上記スチレン系樹脂の内、スチレン系モノマーと不飽和カルボン酸系モノマーとの共重合体において、不飽和カルボン酸系モノマーの含有量は特に限定されるものではないが、共重合体中2〜25重量%であることが好ましい。
【0012】
即ち、不飽和カルボン酸系モノマーの含有量は25重量%以下の場合、加熱成形性の良好なものとなり、シ−ト巻き取りの際に破断することなく製造する事ができる。一方、2重量%以上の場合は、耐熱性及び機械的強度の向上効果が良好なものとなる。
【0013】
従って、耐熱性、機械的強度と加熱成形とのバランスから不飽和カルボン酸系モノマーの含有量は3〜18重量%であるのが好ましい。
【0014】
また、これらのスチレン系樹脂を製造する方法としては、特に制限されず、懸濁法や塊状重合法等の定法により製造することができる。
【0015】
また、前記したスチレン系樹脂の内、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、スチレンーアクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂(ABS樹脂)、ゴム変性スチレン−メタクリル酸メチル共重合樹脂(MBS樹脂)、ゴム変性スチレン−メタクリル酸共重合樹脂等のゴム強化樹脂は、強度補強用としてその他のスチレン系樹脂を混合して使用することもできる。尚、強度補強用としては、その他、ポリブタジエンやスチレン−ブタジエンブロック共重合体等のゴム質が挙げられる。
【0016】
芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、ビニルキシレン、ビニルナフタリン、エチルスチレン、モノクロルスチレン等のスチレン系化合物が挙げられるが、スチレン、α−メチルスチレン、p−t−ブチルスチレンが好ましい。なかでもスチレンおよびスチレンとα−メチルスチレンの混合物が流動性向上効果が優れる点から好ましく、特にスチレンモノマーが好ましい。
【0017】
前記スチレン樹脂の重量平均分子量(Mw)は180,000〜400,000であることが好ましい。即ち、Mwが180,000以上においては、得られる発泡シ−トの強度が高まり、発泡シ−ト化工程におけるシ−ト巻き取りの際の破断やトリミング時にひび割れなどの発生を著しく低下させることができ、一方、Mwが40,000以下においては、流動性が向上して生産性が向上する他、得られる発泡シ−トの分子配向を小さく抑えることができるので、やはり、シ−ト巻き取りの際の破断やトリミング時にひび割れなど良好に抑えることができる。
【0018】
発泡剤としては特に限定されるものではないが、たとえばブタン、プロパン、ペンタンなどの低沸点の炭化水素化合物、水、窒素ガス、炭酸ガス、加熱により分解してガスを発生するアゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸アミドなどが挙げられる。これらは単独に使用されてもよいし、または2種以上併用してもよい。発泡剤の使用量はスチレン系樹脂に対して1〜20重量%が好ましい。
【0019】
本発明においては、スチレン系樹脂及び発泡剤に加え、更に必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、などの造核剤、滑剤、顔料、ゴム状物質、HIPS樹脂・MBS樹脂等のゴム強化樹脂、メチルメタクリレ−ト(MAA)などの樹脂およびその他改質剤を適宜配合して用いてもよい。
【0020】
本発明においては、上記したスチレン系樹脂と発泡剤、更に必要に応じその他の成分を押出機内で溶融混練した後、発泡押出成形して発泡シートとするものである。そして、その際に発泡シ−トのマイクロ波透過強度比が、押出方向のマイクロ波透過強度(MD)と発泡シ−トの押出方向に直角のマイクロ波透過強度(TD)の比TD/MDが0.4〜3.0となる様に調節するものである。
【0021】
ここで、マイクロ波透過強度とは、マイクロ波がポリマー製のシートを透過する程度を示す値であり、ボルト(V)で示されるものである。即ち、マイクロ波電磁波(300MHz〜30GHz)と高分子物質の分子の双極子との相互作用は、両者のベクトルの内積に関係していて、従って、試料をマイクロ波偏波電界の中で回転させると、角度によってその相互作用が異なり、結果として分子鎖の配向性を知ることが出来るという原理に従って測定できるものであり、具体的にはマイクロ波分子配向計により測定されるものである。その値は分子配向が大きくなるにつれて小さい値を示すものである。
【0022】
本発明においては、マイクロ波透過強度比、即ち、押出方向のマイクロ波透過強度(MD)と発泡シ−トの押出方向に直角のマイクロ波透過強度(TD)の比TD/MDが0.4未満の場合、押出発泡シ−トを引き取る際に、シ−ト強度が十分でなくなり発泡シ−トが破断しやすくなる。また、3.0をこえると容器を成形した場合成形体の強度や耐熱性が充分でなくなり、成形体が割れやすくなる。
【0023】
特に、発泡体をシート状の食品容器類に使用する場合はTD/MDの比は0.8〜2.5であることが、発泡シ−トを加熱成形して良成形体が得られる点から好ましい。
【0024】
次に、押出方向のマイクロ波透過強度(MD)として0.3ボルト(V)〜0.8ボルト(V)、押出方向に直角のマイクロ波透過強度(TD)として0.3ボルト(V)〜0.8ボルト(V)とするのが好ましい。
【0025】
マイクロ波透過強度のMD値とTD値が、0.3ボルト(V)以上にすることにより、発泡シートから加熱成形による成形品を得る際の成形性が良好となり、また、成形品の表面外観が良好となる他、成形体のトリミング打ち抜き性も良好なものとなる。一方、0.8ボルト(V)以下においては、成型品の機械的強度が著しく優れたものとなる。
【0026】
この様なマイクロ波透過強度の値を所望の値に調節する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、発泡シート製造後、適宜サンプリングしてマイクロ波分子配向計にかけて測定すればよい。サンプリングの頻度については特に制限されないが、10分〜1時間に1回の割合で、ダイスから押し出された発泡シートから切り出して、1辺が5〜20cmの正方形または長方形のサンプルとして測定する方法が挙げられる。また、サンプリングの時期については、押出直後から切り出してもよいが、押出開始後1〜3時間すると発泡シートが安定してくるのでその時点でサンプリングを開始することが好ましい。
【0027】
この際、サンプルにおける押出方向を明確にして置く必要があり、その為には例えばサンプルにおける各辺が、押出方向及び押出方向と直角の方向に一致させておくことが好ましい。
【0028】
また、サンプリング並びにマイクロ波透過強度の値を所望に調節する方法としては、樹脂の変更、ダイス温度および引き取り速度、冷却用エアーの風量及び温度をコントロールする方法が挙げられる。即ち、分子配向に影響を及ぼす要因としては、樹脂の種類、共重合組成、分子量、溶融粘度等の樹脂の性質的な要因と、押出発泡シート製造時の温度(シリンダー、ダイス)、発泡剤・各種添加剤の添加量、押出量、金型の環状細隙、ブロー比(マンドレル径/サーキュラーダイ径の比)、マンドレルの温度、冷風、温風の温度、風量やシートの引き取り速度等の物理的な要因とがあるが、サンプリングした試験片のマイクロ波透過強度の値がもし適切な値とならなかった場合には、これらの要因を適宜変更することによって調節することができる。
【0029】
次に、本発明の製造方法を更に詳述すると、例えば、上記した各成分を必須の成分として供給された押出装置内で160〜300℃、好ましくは180〜270℃で加熱溶融した樹脂中に発泡剤を圧入し混練り後、発泡剤を含有するスチレン系樹脂のゲルとする。このゲルを押出装置の先端に取着されている環状細隙を有する金型である、90〜170℃、好ましくは120〜150℃に加熱されたサーキュラーダイから大気中に吐出させ、前記ゲルを発泡せしめつつ円筒状のシ−トとなし、該シ−トを更に前記サーキュラーダイの直径よりも実質的に大きいマンドレルの径まで拡大させ、これを通過させる事により前記溶融樹脂の温度が発泡、即ち配向に適した温度に制御されるとともに、引き取り速度とブロー比(マンドレルの径とサーキュラーダイの径の比)に応じて押出方向に配向させると同時に押出方向と直角方向にも配向をかけ、前記マンドレルを通過後、円筒状シ−トを切開して発泡シ−トとされる。この際、ブロー比は一般的には2〜6の範囲に設定されるが、3〜4の範囲がより好ましい。
【0030】
得られる発泡シ−トの性能については特に限定しないが、スチレン系樹脂が持つ性質を有効に発揮させるためには、先ず、発泡シ−トの厚さは1〜5mmが好ましいが、特に発泡シートを薄肉断熱材等に使用する場合、その厚さは2〜5mmであることが成形品の強度、断熱性及び耐熱性に優れる点から好ましく、中でも1.5mm〜3mm程度の発泡体は、真空および/又は圧空成形工程に十分対応出来る食品容器発泡体として有用であり、耐熱性にすぐれるため電子レンジ内で加熱、調理が出来る点から好ましい。
【0031】
次に、発泡シ−トの発泡倍率は3〜20倍とするのが好ましい。発泡倍率が3倍より小さい場合には、得られる発泡シ−トが硬くなり割れやすくなる。また遮温効果や保温効果が小さく電子レンジ等で加熱した場合容器の温度が高くなり容器として使用できなくなる場合がある。発泡倍率が20倍より高い場合、剛性が乏しくなって柔軟な成形体となるほか強度が低下する傾向にある。
【0032】
かくして得られる本発明のスチレン系樹脂発泡シ−トは単独で使用してもよく、また装飾性、発泡シ−ト表面の保護および成形容器の耐熱性を向上させるために、2軸延伸機やインフレ−ション法で製造されるポリスチレンフィルム、HIPS含有ポリスチレンフィルム、スチレン−メタクリル酸共重合樹脂フィルム、ゴム強化スチレン−メタクリル酸共重合樹脂フィルム、などのポリスチレン系フィルム、ポリプロピレン、高密度ポリエチレンなどのポリオレフィン系フィルム、ポリエステルやポリメチルペンテン、ポリアミドなどの耐熱樹脂フィルムなどを該発泡シ−トの表面に積層して使用してもよい。
【0033】
【実施例】
以下に参考例及び実施例を示すが、設定した条件はこれらに限定されるものではない。
【0034】
尚、発泡シートの分子配向測定及び各評価方法は以下の方法で行なった。
[発泡シートの分子配向測定]
幅1040mmの発泡シートを巻取り途中において、該発泡シートの中央部から一辺が該発泡シートの押出方向と平行になるように100mm角の正方形に切り出した発泡シートサンプルを、分子配向計(KSシステムズ株式会社製MOA−2001)のサンプルホールダー内に、該ホールダーに記載されている矢印と該発泡シートサンプルの押出方向とを合わせて設置し、該発泡シートサンプルを回転させながら全周にわたり4GHzのマイクロ波でマイクロ波透過強度を測定し、押出方向とこれに直角な方向のマイクロ波透過強度〔単位:ボルト(V)〕を求めた。
【0035】
上記本発明の発泡シートのマイクロ波透過強度の測定において、本来マイクロワット(μW)であるはずのマイクロ波透過強度の単位がボルト(V)で表示されている理由は、測定に用いたKSシステムズ株式会社製の分子配向計MOA−2001が、測定したマイクロ波透過強度の単位をマイクロワット(μW)からボルト(V)に自動的に換算して表示する機構となっているためである。尚、この分子配向計MOA−2001では、下記換算式(I)によりマイクロワット(μW)からボルト(V)へ換算している。
【0036】
【式1】
A=750×0.5×B/1000・・・(I)
〔式中、Aはボルト(V)に換算されたマイクロ波透過強度、Bはマイクロワット(μW)単位のマイクロ波透過強度を表す。〕
【0037】
[発泡シート製造の難易性]
以下の判定基準で発泡シートの製造性を判定した。
判定基準
◎:巻取り時シ−トの割れなし、成形温度圧力の上昇もない。
【0038】
○:巻取り時シ−トの割れなし。
△:巻取り時シ−トの割れが入る。巻取り可。
×:巻取り時シ−トの割れが入り、巻取り不可。
【0039】
[二次成形加工性]
実施例及び比較例で得られた発泡シ−トを7日間常温で放置した後、発泡スチレンシ−ト成形用の単発真空成形機で内径170mmφ、深さ60mmの丼状容器に成形し、容器の形状および外観を下記判定基準で判定した。
【0040】
判定基準
◎:金型に合致した形状が得られ、外観も優れている。
○:金型の形状にそった成形品が得られる。成形品表面に不良部分がない。
【0041】
△:金型の低部凹凸部および角部が金型形状に合っていない。
成形品表面に小さな割れがある。
×:金型形状に程遠い形状で、深さなど寸法がでていない。
【0042】
成形品表面に多くの割れがある。
【0043】
[発泡シートの外観評価]
実施例及び比較例で得られた発泡シ−トの光沢を目視により判定した後、これらを鋭利な刃物等で切断し、その切断面から拡大鏡(50倍)で、シ−ト表面の凹凸の程度を下記判定基準で判定した。
判定基準
◎:シ−ト表面の凹凸が0.05mm未満であり、かつ光沢が良好である。
【0044】
○:シ−ト表面の凹凸が0.05mm未満であるが、光沢はやや劣る。
△:シ−ト表面に0.05mm〜0.1mmの凹凸があり、光沢も劣る。
×:シ−ト表面に0.1mmより大きい凹凸があり、光沢も劣る。
【0045】
参考例1(スチレン系樹脂の製造方法)
タ−ビン型攪拌翼を備えた5Lステンレス製反応器に、蒸留水2000mLを仕込み、懸濁安定剤として部分ケン化ポリビニルアルコ−ル10gおよびドデシルベンゼンスルフォン酸ナトリウム0.05gを溶解後、スチレン920g、メタクリル酸80g、流動パラフィン10g、ペルオキシへキサヒドロテレフタル酸ジ第三級ブチル1gおよび過安息香酸第三ブチル1gを順次仕込んだ。器内を窒素ガスで置換後、500rpmの攪拌下で昇温して90℃で10時間懸濁重合させ、さらに120℃で3時間反応させた。生成した粒状スチレン−メタクリル酸共重合体を洗浄し、脱水し、乾燥した。次いで、この共重合体に該共重合体に対して0.5%のステアリルアルコ−ルをタンブラ−により混合し、ついでこれを44mmの2軸押出機で、窒素気流中にて、シリンダ−温度230℃の条件下でペレット化せしめた。以下、これを共重合体(A−1)と略記する。
【0046】
参考例2(スチレン系樹脂の製造方法)
表−1に示す組成で各モノマ−を用いた以外は参考例1と同様にして共重合体(A−2)を得た。
【0047】
実施例1
大日本インキ化学工業株式会社製発泡シート用PS樹脂(ディックスチレンCR−5800、重量平均分子量280,000、以下「CR−5800」と略記する)のペレット原料100重量部と気泡調整剤としてタルク1重量部を加え、短管で接続された50mmφおよび65mmφのタンデム型押出機の第1段目の50mmφ押出機に投入して温度220〜260℃で溶融混練しながら、これにブタンを3重量部圧入し、ついで混練後、第2段目の65mmφ押出機に移送し、約110〜150℃に冷却後、該65mmφ押出機に取り付けたサ−キュラ−ダイの110φmm環状細隙から大気中に発泡させながら円筒状に押出し(吐出量:45Kg/Hr)、該シ−トをさらに335φmmのマンドレルに至る間に押出方向と、押出方向と直角方向にマンドレル内に設けられた温度調節された冷風(30℃)等により膨らまさせるとともに円筒状シ−ト外部に温度調節された冷風(30℃)等により適正な配向をかけ、前記マンドレルで冷却(30℃)通過後、前記円筒状シ−トを切開して平板シ−ト状に引取り配向を有する発泡シ−トを得た。尚、この際の発泡シ−トの引き取り速度は2.0m/min.とし、製造開始から2時間経過時にサンプリングを行ない、分子配向測定を行なった。以後、分子配向の測定は20分に一回の割合で行った。押出開始後2時間経過時における分子配向の測定結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.77ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.4ボルト(V)、TD/MD比=1.9であった。尚、得られた発泡シートは厚さ2.5mm、発泡倍率10倍であった。このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0048】
実施例2
参考例1で得られた共重合体(A−1)のペレット原料100重量部と気泡調整剤としてタルク1重量部及びブタジエン−g−スチレン−メチルメタクリレート(MBS樹脂:鐘淵化学工業(株)社製カネエースB−22)3重量部を加え、短管で接続された50mmφおよび65mmφのタンデム型押出機の第1段目の50mmφ押出機に投入して温度220〜270℃で溶融混練しながら、これにブタンを4重量部圧入し、ついで混練後、第2段目の65mmφ押出機に移送し、約120〜150℃に冷却後、該65mmφ押出機に取り付けたサーキュラーダイの110φmm環状細隙から大気中に発泡させながら円筒状に押出し(吐出量:40Kg/Hr)、該シ−トをさらに335φmmのマンドレルに至る間に押出方向と、押出方向と直角方向にマンドレル内に設けられた温度調節された温風(60℃)等により膨らまさせるとともに円筒状シ−ト外部に温度調節された温風(60℃)等により適正な配向をかけ、前記マンドレルで冷却(60℃)通過後、前記円筒状シ−トを切開して平板シ−ト状に引取り配向を有する発泡シ−トを得た。尚、この際の発泡シ−トの引き取り速度は3m/min.とし、実施例1と同様にして分子配向の測定を行なった。その結果、押出開始後2時間経過時の分子配向の測定結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.75ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.38ボルト(V)、TD/MD比=2.0であった。また、得られた発泡シートは厚さ2mm、発泡倍率5倍であった。
【0049】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0050】
実施例3
参考例2で得られた共重合体(A−2)のペレット原料とブタンを3重量部用いる以外は実施例2と同様にして2.2m/min.で引き取り、分子配向を測定した。押出開始後2時間経過時の分子配向の測定結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.7ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.7ボルト(V)、TD/MD比=1.0であった。得られた発泡シートは、厚さ2mm、発泡倍率12であった。
【0051】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0052】
実施例4
ペレット原料としてCR−5800を用い、ブタンを3重量部用い、かつ、5.0m/min.で引き取る以外は実施例1と同様にして発泡シートを製造し、開始後2時間経過時にサンプリングを行なった処、TD方向のマイクロ波透過度0.8ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.15ボルト(V)TD/MD比=5.3の結果となった。そこで、押出量を37Kg/Hr、引き取り速度を3m/min.に条件変更を行い、更に2時間経過時にサンプリングを行って分子配向を測定したところ、TD方向のマイクロ波透過強度0.78ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過強度0.37ボルト(V)、TD/MD比=2.1、厚さ1.8mm、発泡倍率10倍の発泡シートが得られた。
【0053】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0054】
比較例1
ペレット原料としてCR−5800を用い、5.0m/min.で引き取る以外は実施例1と同様にして、発泡シートを製造した。押出開始後2時間経過時において、サンプリングし、これを170℃で60秒処理した処、押出方向(MD方向)の収縮率が40%、これと直角方向(TD方向)の収縮率が30%となった。この結果のみから判断するに製造条件は最適条件にあるものと云わざるを得なかった。
【0055】
一方、このサンプリングと同時にサンプリングしたものを用いて分子配向の測定を行なった。その結果、TD方向のマイクロ波透過度0.8ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.15ボルト(V)TD/MD比=5.3となった。また、得られた発泡シートは、厚さ1.8mm、発泡倍率10倍であった。
【0056】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0057】
比較例2
ペレット原料としてCR−5800を用い、発泡剤であるブタンを4重量部添加し、550φmm径のマンドレルを用い、1.5m/min.で引き取る以外は実施例1と同様にして発泡シートの製造並びに分子配向の測定を行なった。その結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.2ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.7ボルト(V)TD/MD比=0.29であった。また、得られた発泡シートは、厚さ2.7mm、発泡倍率12倍であった。
【0058】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0059】
比較例3
ペレット原料として共重合体(A−1)を用い、ブタン3重量部、25℃の冷風を用い、2.2m/min.で引き取る以外は実施例2と同様にして発泡シートの製造並びに分子配向の測定を行なった。その結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.75ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.2ボルト(V)、TD/MD比=3.8であった。得られた発泡シートは、厚さ2mm、発泡倍率5倍であった。
【0060】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
【0061】
比較例4
大日本インキ化学工業株式会社製ポリスチレン樹脂(ディックスチレンUX−560、重量平均分子量450000)、「ポリスチレン(A−3)」を用い、35Kg/Hrの速度で押出し、2.2m/min.で引き取る以外は実施例2と同様にして発泡シートの製造並びに分子配向の測定を行なった。その結果は、TD方向のマイクロ波透過度0.8ボルト(V)、MD方向のマイクロ波透過度0.2ボルト(V)、TD/MD比=4.0であった。得られた発泡シートは、厚さ2mm、発泡倍率10倍であった。
【0062】
このものの発泡シート製造の難易性、二次成形加工性及び発泡シートの外観評価について評価した。結果を表−2に示す。
この例においては、高分子量、高粘度のため吐出圧力が高く、押出量が減少するとともに、分子配向も大きくその結果発泡シートの外観が悪い上に、成形加工性が大きく劣った。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】
本発明は発泡シ−トの製造中に迅速、且つ正確な分子配向を測定し、得られた結果を製造条件にフィードバックさせることにより、常に最適な分子配向の範囲内で製造することが可能となり、二次成形性や外観に優れた高性能な発泡シ−トを安定的に製造出来る。
Claims (7)
- スチレン系樹脂と、発泡剤とを押出機内で溶融混練後、押出し、発泡押出成形する発泡シ−トの製造方法であって、得られるシ−トの押出方向のマイクロ波透過強度(MD)とシ−トの押出方向に直角のマイクロ波透過強度(TD)の比TD/MDが0.4〜3.0となる様に押し出しを制御することを特徴とする発泡シ−トの製造方法。
- 押出方向のマイクロ波透過強度(MD)が0.3ボルト(V)〜0.8ボルト(V)であって、かつ、押出方向に直角のマイクロ波透過強度(TD)が0.3ボルト(V)〜0.8ボルト(V)である請求項1記載の製造方法。
- スチレン系樹脂と、発泡剤とを押出機内で溶融混練後、押出し、連続的に発泡押出成形して発泡シ−トを製造し、適宜サンプリングしてマイクロ波透過強度を測定し、温度条件及び/又は引き取り速度を調節してTD/MDが0.4〜3.0となる様にする請求項1又は2記載の製造方法。
- 発泡シ−トの厚みが、1〜5mmとなる様に発泡押し出し成形する請求項1、2又は3記載の製造方法。
- 発泡倍率が、3〜20倍である請求項4記載の製造方法。
- 芳香族ビニルモノマーとメタクリル酸又は無水マレイン酸との共重合体が、芳香族ビニルモノマーを98〜75重量%と、メタクリル酸又は無水マレイン酸を2〜25重量%含有する共重合体である請求項1〜5の何れか1つに記載の製造方法。
- スチレン系樹脂が、重量平均分子量が180,000〜400,000のものである1〜6の何れか1つに記載の製造方法。
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