JP3600857B2 - 車輌用ネット - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は車輌用のネットに係わり、特に、後部荷室に搭載された荷物が急ブレーキ時に前席に飛び込むのを防止する車輌用ネットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から車輌用仕切ネットとして、フロントシートバックの後部に設けられた荷室の積載物が車輌の急ブレーキ等でフロントシート側に飛び込み、搭乗者に損傷を与えるのを防止するために車輌用仕切ネットが架張されている。
【0003】
この様な車輌用仕切ネットとして特開平4−2534号には荷止用ネット1として、図10に示す様に、矩形状の網体の外周縁紐2の内周に沿って配置された三角形桝目状の内周桝目3と、この内周桝目3の内部に網体の対角線方向に交差する様に配設された矩形桝目状の内周桝目4とで構成し、外周縁紐2に係止したフック金具5によってフロントシートバックの後部と荷室間にネット1を架張させる様に成したものが開示されている。
【0004】
又、実開平4−18044号公報には図11に示す様にゴムの様な伸縮性のある紐体で略矩形状に編成された弾性ネット体6の上下2辺側にシートバックの枕部と、シート下方枠体とに係止する上下係止部7及び8を設けて、車輌のフロントシートバックの背面にネット1を着脱自在に装着しながら車内の物品の収納整理が行なえ、且つ簡単に取り換え可能なネット1が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来構成で説明した特開平4−2354号公報に開示された荷止め用ネット1は外周縁紐にネットを網込んだものであり、フック金具も単に金属或は合成樹脂で構成されているため、外周縁紐は固目のものとなり折り畳みに問題があり、ネットを架張しない場合の収納等で問題を残すだけでなく、フック金具が自動車の揺れ時にガタ付く問題があった。
【0006】
更に実開平4−18044号公報に開示されたネットでは収納に便であるが、ネットが伸縮性を有しているためショックや急停止時に積載荷物がネットに当っても、ネットが伸張してシートバックを越えてフロントシート内に飛び込んで来る可能性を有している。
【0007】
本発明は叙上の問題点を解消した車輌用ネット及びその取付金具を提供するもので、その目的とするところはネットを架張した時に常に一定の緊張状態が保たれ取付金具がガタ付くことなく、荷物が飛び込んで来ても最小限に伸びて抑えられてフロントシートに入り込む様なことのない車輌用ネットを提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明の車輌用ネットは、シートと荷物室間に架張される車輌用ネットにおいて、
ネットの少なくとも四隅内の1カ所に架張部材が設けられ、
該架張部材は非伸縮部材と弾性部材を並設した連結部材を具備することを特徴とする。
【0009】
また、シートと荷物室間に架張される車輌用ネットにおいて、
ネットの上辺および下辺のうち、いずれか一方に軸棒が装着され、軸棒が装着されない他方の辺の少なくとも一隅に架張部材が設けられ、
該架張部材は非伸縮部材と弾性部材を並設した連結部材を具備することを特徴とする。
【0010】
さらに本発明の車輌用ネットは、前記非伸縮部材が伸び縮みの少ないベルトで構成され、前記弾性部材は該ベルトより短いゴムベルトあるいは紐であることを特徴とする。
【0011】
【作用】
本発明の車輌用ネットによれば、架張部材は、非伸縮部材と弾性部材を並設した連結部材で形成されているので、フロントシートと荷物室間に架張した時、弾性部材で常に緊張状態が保たれると共に、ネット及び取付金具のガタ付きが防止できる。
また、ショック時に荷物がネットに当っても、非伸縮部材でネットの伸びは最小限に抑えられるとともに、弾性部材では得られない強度を非伸縮部材で得ることができる。
【0012】
【実施例】
以下、本発明の車輌用ネットの一実施例を図面について詳記する。図1は本例の車輌用ネットの取付状態を示す斜視図、図2は架張部材を車輌の係止部に架張する前の斜視図、図3は架張時の架張部材の斜視図を示すものである。
【0013】
図1乃至図3に於いて、ネット1を構成する略矩形状に形成した周辺縁紐10及び、これら上下及び左右の縁紐間の碁盤目状に繰り込んだ網体11は共に伸縮性の少ない繊維で構成されてある。周辺縁紐10の四隅には、ネット1を例えばフロントシートのシートバック後面とバン等の荷物室間に架張する架張部材12が設けられる。
【0014】
架張部材12は、非伸縮部材13と弾性部材14を並設した連結部材と取付金具15とから構成される。
非伸縮部材13は、伸縮性の少ない繊維で形成した略長方形状のバンドや、強化繊維からなる紐などから成り、非伸縮部材13の一端はネット1の周辺縁部10の少なくとも四隅に縫合等の適宜手段で固着される。該非伸縮部材(以下、バンドと略称する)13の他端には自動車の左右側壁ボデー或は天井間又は床に設けたU字状の係止金具16に係止するための取付金具15が固定されている。
【0015】
取付金具15はロ字状又はO状のバンド受部15aとバンド受部15aの中央から突出した鉤状の係止部15bとより構成され、バンド13の他端は取付金具15のバンド受部15aに挿通されて縫合等の固定手段によって取付金具15と一体化される。
【0016】
また、バンド13には弾性部材14が並設される。例えば、バンド13に比べて長手方向の寸法が短くされた略長方形状の伸縮性があるゴム板等の弾性部材14を該バンド13に並設してネット1の周辺縁紐10への係止端と取付金具15間に配設固定する。
【0017】
従って、通常の架張部材12を係止金具16に係止しない状態では弾性部材14は収縮された状態であり、この弾性部材14によりバンド、即ち非伸縮部材13は図2に示す様に中央部で凸状にカールされた状態に成されている。
【0018】
次にネット1を架張するために架張部材12を車輌側に設けた係止金具16に係止させると弾性部材14は引き伸され、略々非伸縮部材13と同程度の長さに伸張される。架張部材12の四隅を係止金具16に係止させればネット1も緊張状態で架張されることになる。
【0019】
この時、伸縮性の少ないベルト13は弾性部材14に引き張られて中央部のカール部は引き伸され、弾性部材14のゴムが充分に伸びきってネット1の四隅を引っ張って緊張状態に成されたとき、ベルト13はいくらかの緩み17を持った状態に成され、図3に示す状態となる。
【0020】
この様にフロントシートのシートバックと荷室間に架張したネット1に荷物等が当った場合は架張部材12の伸縮性の少ないバンド13に生じた緩み17分だけフロントシート側に飛び出すだけである。従って前方への飛び出し量は極めて小さいことになる。勿論このとき基盤目状に織り込んだ網体11も伸びが少ない材料で選択されているのでこの部分での前方への飛び出しも殆どない。
【0021】
又、架張した架張部材12を係止金具16から外すと弾性部材14のゴムの伸び量だけ縮むため取付金具15はネット1の周辺縁紐10側に引っ張られ、非伸縮性のバンド13は弾性部材14の縮み量に比例して緩み、図2の様にカール状態となる。この状態でネット1を折り畳むか巻取って保管する。
尚、本発明に係る架張部材12は、本実施例のようにネット1の四隅に全て設ける必要はなく、少なくとも一隅に設ければよく、適宜選択できる。
【0023】
図5は本発明の車輌用ネットの更に他の実施例を示すものである。本例の場合は弾性部材として弾性力のある紐14bを用いたものである。この場合はバンド13の周辺縁紐10の四隅に縫合される側を折り曲げて輪18を作った後に周辺縁紐10に固定し、輪18に弾性紐13bを通す様にする。更にバンド14の他端は取付金具15のバンド受部15aのO字状透孔に挿通した後は輪18aを作って縫合し、この輪18a側にも弾性紐14bをO型の輪にして挿通させたものである。
【0024】
図5の場合は直接縫い合わせすることもなく、安易に取り付けることができる。また、図5の場合も輪ゴム状の弾性紐14bがネット架張時に緊張して、非伸縮部材のバンド13の緩み分だけの荷重変形のみを受けるネットが提供可能となる。
【0025】
図6は本発明の更に他の実施例を示すものである。本例はネット1の上辺に、両端にフック25が固着された軸棒26が装着され、下辺両端の隅に架張部材12が設けられた場合である。この場合は、軸棒26としてパイプを使用し、軸棒26はネット1の上辺に筒状部27を形成し、この筒状部27に挿通して取付けられている。
本例によればネット1の上辺を軸棒26により自動車の天井に近づけて取付けることができ、視界範囲を広くできる利点がある。
【0026】
また、図7は本発明の更に他の実施例を示すものである。本例はネット1の下辺に、両端にフック25が固着された軸棒26が装着され、上辺両端の隅に架張部材12が設けられた場合であり、軸棒26は、図6と同様にネット1の下辺に形成された筒状部27に挿通されて取付けられている。
本例によれば、車輌用ネットを仕切ネットとして車体に取付けた時、軸棒26がシートバックの背面に位置するため、荷物を確実に止めてシートバック背面への衝撃を避けることができる。
【0027】
さらに、図8は本発明の更に別の実施例を示すものであり、ネット1の上辺に軸棒26が装着されている点は図6と同様であるが、本例は下辺の一つの隅に本発明に係る架張部材12が設けられている場合である。
本例によれば架張部材12が1カ所だけですむ利点がある。
【0028】
尚、図1の実施例の車輌用ネットを、自動車22のボディーの天井と左右壁間並びに床と左右壁間に配設した係止金具16に取り付ける前の状態を図9Aに、取り付けて緊張状態に架張した状態を図9Bに示してある。これら図面でネット1の紙面の手前側がフロントシート側であり反対側が荷物室である。
【0029】
本発明の車輌用ネットは上述の様に構成したので仕切ネットとして車体に取り付けた時に緊張が保たれ、ネット及び取付金具が車体の揺動時にガタ付くことなく、架張部材の取付金具が係止金具から外れる弊害が除去され、且つ急ブレーキ等で積載物がネットに当っても伸び量が非伸縮部材の緩み分だけで極めて少ないのでフロントシート側まで飛び込む様な弊害も防止出来る。
【0030】
【発明の効果】
本発明の車輌用ネットによれば、ネットを車体に架張した時に緊張した状態で架張可能なのでネットと取付金具のガタ付が防止出来、また、急停車しても後方からの荷物の飛び込みもない。更に、取り付けた時緊張が保たれるのでフロントシートからの後方視界を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車輌用ネットの一実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明の架張部材の非架張時の斜視図である。
【図3】本発明の架張部材の架張時の斜視図である。
【図4】本発明の架張部材の他の実施例を示す斜視図である。
【図5】本発明の架張部材の更に他の実施例を示す斜視図である。
【図6】本発明の更に他の実施例を示す斜視図である。
【図7】本発明の更に他の実施例を示す斜視図である。
【図8】本発明の車輌用ネットの非架張時(図6A)及び架張時(図6B)の斜視図である。
【図9】従来の荷受けネットを示す平面図である。
【図10】従来の自動車座席背面用ネットの平面図である。
【符号の説明】
1 車輌用ネット
10 周辺縁紐
11 網体
12 架張部材
13 非伸縮部材(バンド)
14 弾性部材
14b 弾性紐
Claims (2)
- シートと荷物室間に架張される車輌用ネットにおいて、
ネット(1)の少なくとも四隅内の1カ所に架張部材(12)が設けられ、
該架張部材(12)は非伸縮部材(13)と弾性部材(14)を並設した連結部材を具備し、
前記非伸縮部材(13)が伸び縮みの少ないベルトで構成され、
前記弾性部材(14)は非伸縮部材(13)より短いゴムベルトあるいは紐であることを特徴とする車輌用ネット。 - シートと荷物室間に架張される車輌用ネットにおいて、
ネット(1)の上辺および下辺のうち、いずれか一方に軸棒(26)が装着され、軸棒(26)が装着されない他方の辺の少なくとも一隅に架張部材(12)が設けられ、
該架張部材(12)は非伸縮部材(13)と弾性部材(14)を並設した連結部材を具備し、
前記非伸縮部材(13)が伸び縮みの少ないベルトで構成され、
前記弾性部材(14)は非伸縮部材(13)より短いゴムベルトあるいは紐であることを特徴とする車輌用ネット。
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