JP3600404B2 - 管推進機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、前方にカッタヘッドを有し後端部に埋設管が取り付けられる先導体を備え、先導体を推進しつつカッタヘッドで地山を掘削するとともに掘削土砂へ粘性付与液を注入して塑性流動性のある泥土を生成し、その泥土を、埋設管の後端部に取り付けられた埋設管の外周に導くようにした管推進機に関する。
【0002】
【従来の技術】
管を地中に埋設する工法として、管推進工法と称する工法が従来から知られている。この管推進工法では、カッタヘッドを有する先導体の後方にヒューム管等で形成した埋設管を順次連結し、これらの埋設管を発進立坑内に設置した元押しジャッキで推進しながら前方の地山をカッタヘッドで掘削して、各埋設管を順次地中に押し込んで埋設して行く方法が一般に用いられている。管推進機は、こうした管推進工法を実施するため、先導体と元押しジャッキとで構成された装置である。カッタヘッドで掘削した掘削土砂は、先導体の内部に取り込んで排土装置で地上に排出するが、この排土装置での掘削土砂の排出を容易に行えるようにするため、管推進機では、通常、粘性付与液としての添加剤を掘削土砂に注入、撹拌混合することにより泥土を生成して、排土装置で排出する掘削土砂に流動性をもたせるようにしている。
【0003】
この管推進機は、最近、その性能が向上し、これに伴って長距離推進、カーブ推進といったニーズが生まれてきている。埋設管を長距離にわたって埋設する長距離推進では、推進距離の増加に伴って埋設管を推進する推力が増大し、また、埋設管をカーブさせて埋設するカーブ推進では、埋設管と周辺地山との摩擦抵抗の増大により推力が増大し、ともに元押しジャッキで大きな推力を加えてやることが必要となる。
【0004】
しかしながら、この管推進機で通常埋設される下水工事用の埋設管は、ヒューム管であって許容推力(圧縮強度)がそれほど大きくないため、高推力をかけることにより座屈してしまう事故が発生している。こうした事故を防ぐため、仮に許容推力の大きな埋設管を用いて高推力をかけるとしても、発進立坑では、地盤の強度上、その高推力を得るのに十分な反力がとれないため、発進立坑周辺の地盤について地盤改良を行って十分な反力がとれるように地山を固めるという新たな作業が必要になる。また、こうして高推力が得られたとしても、地盤によっては、その高推力のためにカッタヘッドで地山を掘削しないまま地山に圧入する状態で推進され、これにより、掘削土砂が排出されることなく地山を隆起させてしまうというような事態も生じ、さまざまな問題が発生する。したがって、管推進工法では、低推力で推進できる工法が強く望まれる。こうしたことを実現する方策として、最近、掘削土砂へ粘性付与液を注入して生成した泥土を埋設管の外周に導いて、埋設管と周辺地山との摩擦抵抗を低減する方法が一般的に行われるようになった。
【0005】
そこで、こうした管推進工法を実施するための従来の管推進機の例を、図2乃至図4を用いて説明する。図2は、第1従来例の管推進機の縦断面図、図3は、図2の管推進機を改良した第2従来例の改良型管推進機の一例を示す縦断面図、図4は、図3のA−A線断面図である。図2乃至図4において、同一の符号を付けた部分は同等の部分を表す。
【0006】
まず、図2の第1従来例の管推進機について説明する。図2において、20は先導体の前部を構成する前胴部、21は先導体の後部を構成する後胴部であり、前胴部20は、前方にカッタヘッド14を有するとともに、後胴部21の後端部には、管推進工法の実施時に埋設管7が取り付けられる。前胴部20と後胴部21とは、隣接端部を互いに揺動可能に嵌合するとともに少なくとも3基の中折れジャッキ10で接続し、これらの中折れジャッキ10のストローク差により先導体を上下左右に中折れできるようにしている。カッタヘッド14は、カッタ駆動装置11により回転駆動され、前方の地山を掘削する。埋設管7は、ヒューム管等で単位長さに製作され、推進工法による管埋設の出発点となる図示していない発進立坑内で後胴部21の後端部に接続され、順次継ぎ足されながら発進立坑内の元押しジャッキで推進される。
【0007】
カッタヘッド14には、その前端中心部分に、粘性付与液としての添加剤を放射状に注入するように、図示していない添加剤注入孔が設けられており、この添加剤注入孔から注入した添加剤を掘削土砂に撹拌混合して塑性流動性のある泥土6を生成できるようにしている。また、カッタヘッド14は、前胴部20と後胴部21とで構成される先導体の外径dよりも大きい外径の穴が掘削できるように掘削外径Dが定められており、カッタヘッド14で掘削された掘削穴の内周壁と先導体や埋設管7の外周壁との間に、泥土6を通過させるための環状の泥土通路5が形成されるようにしている。添加剤の注入により生成した泥土6は、カッタヘッド14の後方のチャンバに送られて、先導体の隔壁に設けた土砂取り込み口15aから排土装置としてのスクリュコンベア12aに取り込まれて地上に排出されるとともに、一部は、泥土通路5に送られて先導体外周を通過する。図2の第1従来例の管推進機は、こうして、泥土6を、泥土通路5を通じて通過させて、先導体後部に接続された埋設管7の外周に導くようにし、これにより、埋設管7を推進する際、埋設管7と周辺地山との摩擦抵抗を低減して埋設管7の貫入抵抗を軽減できるようにしたものである。
【0008】
この第1従来例の管推進機は、先導体を地盤の反力により支持することによりその姿勢を保っているため、図2に示すように掘削外径Dを先導体外径dよりも大きくして、摩擦抵抗の小さい泥土6が先導体外周を通過できるようにすると、先導体と地山との摩擦も小さくなって、カッタヘッド14の掘削時の回転力に対抗するための掘削回転力の反力や先導体の姿勢を支持するための姿勢支持反力も小さくなる。そのため、施工中、礫や玉石等の障害物22の出現により掘削抵抗が大きくなると、掘削回転力の反力や姿勢支持反力が掘削抵抗に負けて、先導体がローリングしたり、ピッチングやヨーイングを起こしてふらついたりすることがあり、先導体の姿勢安定性を損なう。こうした問題は、掘削外径Dを先導体外径dに対して大きくすればするほど助長されて施工精度に悪影響を及ぼすため、第1従来例の管推進機では、泥土通路5の間隙をきわめて小さくすることを余儀なくされて、埋設管7の外周に十分な量の泥土を導くことができなかった。
【0009】
一方、この種の管推進機では、切羽の崩落を防止するため、泥土通路5を含む先導体の周囲の空間を泥土圧室とするとともにスクリュコンベア12aでの泥土6の排出量を制限することにより土圧を立てるようにしているが、図2に示すように土砂取り込み口15aを前方に設けている場合において、前記のように泥土通路5の間隙をきわめて小さくすると、泥土6は、粘性があるため、土砂取り込み口15aの方に流入して泥土通路5の後側まで十分には行き渡らず、埋設管7の外周に良好な泥土層を形成することが困難であった。以上のように、第1従来例の管推進機では、泥土通路5の間隙がきわめて小さいことと、土砂取り込み口15aを前方に設けていることとにより、埋設管7の外周に泥土6を導く上で二重の困難が伴った。
【0010】
こうした困難を軽減する管推進機として、従来、図3に示すような管推進機も開発されている。この第2従来例の管推進機は、前方にカッタヘッド14を有する前胴部20と後端部に埋設管7が取り付けられる後胴部21とを中折れジャッキ10で接続して先導体を上下左右に中折れできるように構成している等の点において、図2の第1従来例の管推進機と基本的な構造に差はないが、次の点で構造が異なる。すなわち、泥土通路5の間隙を図2のものより大きくするように掘削外径Dを大きくするとともに、リブ状突起をなす反力伝達部材23を、前胴部20と後胴部21とに、図4に示すように間隔を置いて円周上複数個所に突設して、先導体を反力伝達部材23で地山に支持できるようにしている。また、土砂取り込み口15を特に後胴部21の側に設けるとともに排土装置としての土砂圧送ポンプ12を設置して、泥土6の一部を特に先導体の後側で取り込んで、排土管13を通じて土砂圧送ポンプ12で地上に圧送して排出するようにしている。
【0011】
この第2従来例の管推進機では、先導体を反力伝達部材23で支持するようにしているので、前記の姿勢支持反力や掘削回転力の反力も増加することができて先導体の姿勢安定性を損なわず、しかも、第1従来例の管推進機と比べて泥土通路5の間隙を十分大きくとることができる。また、第2従来例の管推進機では、このように泥土通路5の間隙を大きくできることに加えて、土砂取り込み口15を特に先導体の後側に設けて泥土6を土砂圧送ポンプ12で排出するようにしているため、泥土6は、泥土通路5の後側まで十分に行き渡って、埋設管7の外周に良好な泥土層を形成することができ、埋設管7と周辺地山との間の管推進時の摩擦抵抗を低減することができる。この種の管推進機は、特に直径略800mm以下の小口径の埋設管7を埋設する小口径管推進機に実用化して良好な成果を収めている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
第2従来例の管推進機は、以上述べたような利点をもつが、先導体を支持する面が反力伝達部材23の端面だけであって先導体の支持面積が少ないため、このままでは、施工する地山が軟弱土であるときに先導体の支持力が不足する。そのため、施工中にこうした地山に遭遇したときに備え、反力伝達部材23の端面を掘削穴の壁面よりも若干突出させるようにして地山に貫入できるようにすることにより、姿勢支持反力や掘削回転力の反力を増加できるようにしている。しかしながら、その場合、反力伝達部材23の地山への貫入部23aがカッタヘッド14で形成した掘削穴壁を不必要に乱し、そのため、掘削穴壁が崩落して管推進の施工精度を損なう恐れがある。一方、施工中、礫や玉石等の障害物22や圧密された硬い地山に遭遇したときには、反力伝達部材23の貫入部23aが先導体を推進するための推進抵抗となってこの点で推力が増加する。すなわち、埋設管7については、その外周に良好な泥土層を形成することができて推進抵抗を低減することができる反面、先導体については、反力伝達部材23の貫入部23aにより推進抵抗が増加するという難点があった。
【0013】
本発明は、こうした従来の技術にみられる問題を解消しようとするものであって、その技術課題は、先導体の姿勢安定性を損なうことなく埋設管外周に良好な泥土層を形成できるという第2従来例がもつ利点を保持しならがらも、掘削穴壁を不必要に乱すことなく先導体の推進抵抗が増加することのない管推進機を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のこうした技術課題は、「前方にカッタヘッドを有し後端部に埋設管が取り付けられる先導体を備え、先導体を推進しつつカッタヘッドで地山を掘削するとともに掘削土砂へ粘性付与液を注入して塑性流動性のある泥土を生成し、その泥土を後方へ送ってその送られた泥土の一部を先導体に取り込んで地上に排出するとともに残りを先導体の後端部に取り付けられた埋設管の外周に導くようにした管推進機」において、
「前方にカッタヘッドを有し後端部に埋設管が取り付けられる管体と、泥土を通過させるための泥土通路を形成するように管体の周囲に間隔を置いて取り付けられ地山で支持される円筒状の支持部材とで先導体を構成し、管体の後側部分に土砂取り込み口を設けて、この土砂取り込み口から取り込まれた泥土を地上に排出するための排土装置を管体の内部に設置するとともに、円筒状の支持部材をカッタヘッドの掘削外径を超えない外径にするように形成した」ことにより達成される。
【0015】
本発明の管推進機は、こうした技術手段を採用しているので、先導体を推進しつつカッタヘッドで地山を掘削すると、粘性付与液を掘削土砂へ注入して塑性流動性のある泥土を生成し、泥土を後方へ送る。そうすると、泥土は、円筒状の支持部材で形成された泥土通路を通過して、一部は、管体の後側部分に設けた土砂取り込み口に取り込まれて排土装置により地上に排出されるとともに、残りは、先導体の後端部に取り付けた埋設管の外周に導かれて泥土層を形成する。本発明の管推進機は、こうして埋設管の外周に形成された泥土層で埋設管の貫入抵抗を軽減しながら先導体を支持部材で地山に支持して掘進する。
その場合、先導体を支持する支持部材は、円筒状をなしていて支持面積が大きく、施工する地山が軟弱土であっても先導体の支持力が不足しないとともに、摩擦抵抗の小さい泥土は、専ら支持部材の内周側を通過して地山と接する外周側は通過しないため、掘削回転力の反力や姿勢支持反力が小さくなるようなこともない。その結果、支持部材をカッタヘッドの掘削外径を超えない外径にして端面を地山に貫入させないようにしているにもかかわらず、先導体の姿勢安定性は損なわれない。また、先導体をこのように支持部材で支持していて、先導体の姿勢安定性は、泥土通路の間隙の大小にかかわりなく保たれるため、泥土通路の間隙を十分大きくとることが可能になるとともに、泥土は、特に先導体の後側に設けた土砂取り込み口から取り込んで排土装置で排出するようにしているため、泥土通路の後側まで十分に行き渡る。その結果、埋設管の外周には良好な泥土層を形成することができて、埋設管と周辺地山との間の管推進時の摩擦抵抗を確実に低減することができる。本発明の管推進機は、このように先導体の姿勢安定性を損なうことなく埋設管外周に良好な泥土層を形成できるという利点を保持しならがらも、円筒状の支持部材をカッタヘッドの掘削外径を超えない外径にするように形成して端面を地山に貫入させないようにしたことにより、支持部材が掘削穴壁を不必要に乱すことなく、先導体の推進抵抗が増加することもない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が実際上どのように具体化されるのかを示す具体化例を図1に基づいて説明することにより、本発明の実施の形態を明らかにする。図1は、本発明の具体化例の管推進機の縦断面図である。図1において、図2乃至図4と同一の符号を付けた部分は、これらの図面と同等の部分を表すので、説明の重複を避けるため詳述しない。本発明の具体化例の管推進機は、図3及び図4に示した第2従来例の管推進機と同様、前方にカッタヘッド14を有し後端部に埋設管7が取り付けられる先導体を備え、先導体を推進しつつカッタヘッド14で地山を掘削するとともに、掘削土砂へ粘性付与液を注入して塑性流動性のある泥土6を生成し、その泥土6を泥土通路5を通じて後方へ送って、その送られた泥土6の一部を先導体後側の土砂取り込み口15から内部に取り込んで、排土管13を通じて土砂圧送ポンプ12で地上に排出するとともに、残りを先導体の後端部に取り付けられた埋設管7の外周に導くようにした点で基本的な構成が変わらない。また、前胴部及び後胴部の具体的な構造は第2従来例の管推進機と異なるが、先導体は、前方にカッタヘッド14を有する前胴部と後端部に埋設管7が取り付けられる後胴部とを中折れジャッキ10で接続して上下左右に中折れできるように構成しており、この点でも、第2従来例のものと基本的には変わらない。
【0017】
図1において、1は前方にカッタヘッド14を有し先導体の前胴部を構成する密封円筒状の前内管、2は後端部に埋設管7が取り付けられ先導体の後胴部を構成する密封円筒状の後内管、3は前内管1の周囲に間隔を置いて取り付けられ先導体の前胴部を構成する円筒状の前外管、4は後内管2の周囲に間隔を置いて取り付けられ先導体の後胴部を構成する円筒状の後外管である。前内管1と後内管2とは、これらの管1,2の外径d1 をカッタヘッド14の掘削外径Dよりも小さくなるように形成し、隣接端部を互いに揺動可能に中折れシールを介して嵌合するとともに少なくとも3基の中折れジャッキ10で接続し、これらの中折れジャッキ10のストローク差により管1,2を上下左右に中折れできるようにしている。先導体の後側部分に相当する後内管2には、下部周壁に土砂取り込み口15を設け、この土砂取り込み口15から取り込まれた泥土6を地上に圧送するための土砂圧送ポンプ12を内部に設置している。
【0018】
前外管3及び後外管4は、それぞれ、前内管1及び後内管2との間に環状の泥土通路5を形成するように、前内管1及び後内管2の周囲に間隔を置いてスペーサ3a,4aで取り付けている。これらの前外管3及び後外管4は、こうした泥土通路5を形成する働きのほか、反力伝達部材23と同様、地山で支持されて先導体を支持するための支持部材としての働きもする。この筒状の支持部材としての前外管3及び後外管4は、この例では、カッタヘッド14の掘削外径Dと実質上同径に形成しているが、前内管1及び後内管2との間に、必要量の泥土6を通過させるに足るだけの間隔の泥土通路5を形成し、かつ、カッタヘッド14の掘削外径Dを実質上超えない外径にするのであれば、必ずしも、掘削外径Dと同径に形成する必要はない。前外管3と後外管4とは、前内管1と後内管2とを中折れ動作させた際にこの動作に追従して中折れ動作できるようにするため、隣接端部を互いに干渉しないように、図1に図示のごとく若干の間隔を設けて引き離しているが、前内管1及び後内管2と同様、隣接端部を互いに揺動可能に嵌合するようにしてもよい。しかしながら、図1に図示のごとく構成すれば、前外管3と後外管4の隣接端部同士を嵌合するようにするための加工や組立を要せず、製作費をその分安価にすることができる。このように、本具体化例の管推進機は、前内管1と前外管3とで先導体の前胴部を形成し、後内管2と後外管4とで先導体の後胴部を形成して、これら前胴部と後胴部とで中折れ可能な先導体を構成している。
【0019】
本具体化例の管推進機は、以上のような構造を備えているので、図示していない元押しジャッキで先導体を推進しつつカッタヘッド14を回転駆動すると、地山を掘削して掘削穴を形成する。また、こうして掘削穴を掘削する過程で、粘性付与液を掘削土砂へ注入しカッタヘッド14で撹拌混合して塑性流動性のある泥土6を生成し、泥土6を後方へ送る。そうすると、泥土6は、前外管3及び後外管4で形成された環状の泥土通路5に圧入、充填されて同通路5を通過し、一部は、後内管2に設けた土砂取り込み口15に取り込まれて土砂圧送ポンプ12により地上に圧送、排出されるとともに、残りは、後内管2の後端部に取り付けた埋設管7の外周に導かれて泥土層を形成する。本具体化例の管推進機は、こうして埋設管7の外周に形成された泥土層で埋設管7の貫入抵抗を軽減しながら先導体を前外管3及び後外管4で地山に支持して掘進する。
その場合、先導体を支持する支持部材としての前外管3及び後外管4は、円筒状をなしていて、前述の第2従来例の反力伝達部材23とは異なり支持面積が大きく、施工する地山が軟弱土であっても先導体の支持力が不足しない。加えて、摩擦抵抗の小さい泥土6は、専ら前外管3及び後外管4の内周側を通過して地山と接する外周側は通過しないため、掘削回転力の反力や姿勢支持反力が第1従来例のように小さくなることはない。これらの結果、前外管3及び後外管4をカッタヘッド14の掘削外径Dを超えない外径にして端面を地山に貫入させないようにしているにもかかわらず、先導体の姿勢安定性は損なわれない。また、先導体をこのように前外管3及び後外管4で支持していて、先導体の姿勢安定性は、泥土通路5の間隙の大小にかかわりなく保たれるため、泥土通路5の間隙を十分大きくとることが可能になる。加えて、泥土6は、特に先導体の後側の後内管2に設けた土砂取り込み口15から取り込んで土砂圧送ポンプ12で圧送して排出するようにしているため、泥土通路5の後側まで十分に行き渡ることとなる。これらの結果、埋設管7の外周には良好な泥土層を形成することができて、埋設管7と周辺地山との間の管推進時の摩擦抵抗を確実に低減することができる。本具体化例の管推進機は、このように先導体の姿勢安定性を損なうことなく埋設管7の外周に良好な泥土層を形成できるという第2従来例の管推進機の利点を保持しならがらも、前外管3及び後外管4をカッタヘッド14の掘削外径Dを超えない外径にするように形成して端面を地山に貫入させないようにしたことにより、前外管3及び後外管4が掘削穴壁を不必要に乱すことなく、先導体の推進抵抗が増加することもない。
【0020】
ところで、泥土6は、泥土通路5に圧入、充填されて同通路5を通過する際に土石等の塊が混入して泥土通路5内に塊状になって詰まることがあり、塊状の泥土6が泥土通路5内に一旦詰まると容易には除去されず、泥土通路5内での泥土6の流れを阻害することにもなる。こうした事態の発生を防ぐには、前外管3及び後外管4に、その軸方向に向けて縦断するようにスリットを形成するとよい。すなわち、こうしたスリットを形成することにより、万一、塊状の泥土6が泥土通路5内に詰まった場合でも、泥土6の塊が先導体の推進過程でスリットからはみ出して地山に接触すると、泥土6の塊が地山に取り残されつつ前外管3及び後外管4だけが前進することとなるため、泥土6の塊が前外管3及び後外管4を縦断するスリットを経由して後方に抜け出して独りでに除去されることとなる。したがって、支持部材としての前外管3及び後外管4は、軸方向に向けて縦断するようにスリットが形成された円筒状のものであってもよい。本具体化例では、管推進機の例として、先導体を前内管1及び前外管3と後内管2及び後外管4とで中折れ可能に形成した例を示したが、管推進機を中折れ式のものにするか否かは本発明の要旨に直接関係なく、本発明の最大の特徴は、前方にカッタヘッドを有し後端部に埋設管が取り付けられる管体と、泥土を通過させるための泥土通路を形成するように管体の周囲に間隔を置いて取り付けられ地山で支持される円筒状の支持部材とで先導体を構成した点にある。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は、塑性流動性のある泥土の一部を先導体に取り込んで地上に排出するとともに残りを先導体の後端部に取り付けられた埋設管の外周に導くようにした管推進機において、「前方にカッタヘッドを有し後端部に埋設管が取り付けられる管体と、泥土を通過させるための泥土通路を形成するように管体の周囲に間隔を置いて取り付けられ地山で支持される円筒状の支持部材とで先導体を構成し、管体の後側部分に土砂取り込み口を設けて、この土砂取り込み口から取り込まれた泥土を地上に排出するための排土装置を管体の内部に設置するとともに、円筒状の支持部材をカッタヘッドの掘削外径を超えない外径にするように形成した」ので、本発明によれば、先導体の姿勢安定性を損なうことなく埋設管外周に良好な泥土層を形成できるという第2従来例がもつ利点を保持しならがらも、掘削穴壁を不必要に乱すことなく先導体の推進抵抗が増加することのない管推進機が得られる。本発明を具体化する場合、特に、特許請求範囲の請求項2に記載の技術手段を採用すれば、こうした効果を奏することに加えて、万一、泥土が泥土通路内に詰まった場合でも、泥土を泥土通路から独りでに除去できるという効果を併せ発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の具体化例の管推進機の縦断面図である。
【図2】第1従来例の管推進機の縦断面図である。
【図3】図2の管推進機を改良した第2従来例の改良型管推進機の一例を示す縦断面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【符号の説明】
1 前内管
2 後内管
3 前外管
4 後外管
5 泥土通路
6 泥土
7 埋設管
10 中折れジャッキ
11 カッタ駆動装置
12 土砂圧送ポンプ
13 排土管
14 カッタヘッド
15 土砂取り込み口
D カッタヘッド14の掘削外径
d1 内管1,2の外径
Claims (2)
- 前方にカッタヘッドを有し後端部に埋設管が取り付けられる先導体を備え、先導体を推進しつつカッタヘッドで地山を掘削するとともに掘削土砂へ粘性付与液を注入して塑性流動性のある泥土を生成し、その泥土を後方へ送ってその送られた泥土の一部を先導体に取り込んで地上に排出するとともに残りを先導体の後端部に取り付けられた埋設管の外周に導くようにした管推進機において、前方にカッタヘッドを有し後端部に埋設管が取り付けられる管体と、泥土を通過させるための泥土通路を形成するように管体の周囲に間隔を置いて取り付けられ地山で支持される円筒状の支持部材とで先導体を構成し、管体の後側部分に土砂取り込み口を設けて、この土砂取り込み口から取り込まれた泥土を地上に排出するための排土装置を管体の内部に設置するとともに、円筒状の支持部材をカッタヘッドの掘削外径を超えない外径にするように形成したことを特徴とする管推進機。
- 円筒状の支持部材に、その軸方向に向けて縦断するようにスリットが形成されていることを特徴とする請求項1記載の管推進機。
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