JP3599257B2 - 半導体熱処理用ダミーウエハ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は半導体熱処理用ダミーウエハに関し、詳しくは、半導体熱処理工程においてウエハボートに配置して用いるダミーウエハで熱等により変形しても多数回にわたり再使用が可能な形状に形成された半導体熱処理用ダミーウエハに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、シリコンウエハ等の半導体基板は、炉芯管等の熱処理炉内で各種の処理が施されている。これら処理は、一般にウエハボード等の支持載置装置に被処理ウエハをセットして加熱した熱処理炉内に装入し、更に昇温加熱し、処理ガスを導入して行われる。例えば、図7に示すように、ウエハボート10の保持棒11にほぼ等間隔に設けた複数の保持溝12に、被処理シリコンウエハSWを支持させて載置し、所定の熱処理炉芯管内に装入する。熱処理炉としては、ウエハを垂直に横方向に複数並列させる横型炉と、ウエハを水平に縦方向に複数並列させる縦型炉とのいずれかが処理条件に応じて用いられている。これらの熱処理炉においては、従来から上記のようなウエハボートの所定箇所に複数のダミーウエハを、被処理シリコンウエハと同様に保持溝で支持させ配置している。これらダミーウエハのウエハボードへの配置は、炉内に導入されるガスが被処理ウエハに直接あたらないようにして被処理ウエハ上に形成される膜厚の均一性を向上させたり、また、ガス流を制御して炉内の均熱化のためである。
【0003】
上記の熱処理炉で用いられるダミーウエハとしては、一般的にはシリコン板でその他の材質としてはアルミナ単結晶板、石英板またはSiC膜板があるが、近年、半導体の高集積化に伴い、基板においてもより高い均質性が求められ、従来より更に処理時の汚染を防止でき、炉内の熱の不均一を防止するべく、また、それにより熱処理工程での歩留の向上を図るように、ダミーウエハの改良が種々提案されている。例えば、特開平5−283306号公報においては、ダミーウエハとして要求される所定波長光の非透過性の改良を主たる目的に、珪素含浸の炭化珪素基材表面に所定のアルミナ及びシリカからなるCVD膜を形成したダミーウエハが提案されている。ダミーウエハは、上記不透光性である外に、上記公報にも記載されるように、高清浄度、高耐食性、耐熱性、高強度等がよいことが一般に要求されている。
【0004】
また、特開平7−240401号公報には、特にプラズマエッチング装置のチャンバー内を清浄化するために、実質的にガラス状カーボンでダミーウエハを構成して用いることが提案されている。ここで提案のエッチング用ダミーウエハは、被処理シリコンウエハと同時に用いるものでなく、単独でエッチングチャンバーの対向電極上にセットし、それ自体はエッチングされること無くチャンバー内に堆積したり付着したシリコン飛散物等をエッチング除去し、チャンバーを清浄化するものである。一方、出願人が所定のガラス状カーボンをプラズマエッチング用電極板に用いることを特開平3−285086号公報で提案したように、ガラス状カーボンは高強度、耐熱性、耐食性であり、半導体エッチング用電極として用いてもパーティクル等のダストを発生することなく長期間安定であることが知られている。従って、上記提案のエッチング用ダミーウエハは、ガラス状カーボンが耐食性に優れプラズマエッチングされ難いという既に特開平3−285086号公報で開示された特性を、それ自体が汚染源となることなく単にプラズマチャンバーの清浄化に適用したものといえる。
【0005】
エッチングに対する耐食性等を鑑みてなされたガラス状カーボンをプラズマエッチング装置に適用する上記出願人等の提案とは別に、発明者らは、その優れた特性を十分発揮させることを検討した結果、特定のガラス状カーボンを半導体熱処理用のダミーウエハとして用いることを、先に特願平7−322328号及び同7−322329号において提案した。これらの提案は、プラズマエッチングの約250℃以下の比較的低温とは異なり、半導体熱処理が、通常、500℃以上の高温で処理され、被処理ウエハを均一に熱処理するためには均熱性を保持する必要があることと、成膜熱処理ではダミーウエハ上にも形成される成膜による汚染を防止できることが共に要求されることから、単にガラス状カーボンの高強度、耐食性、耐熱性等の優れた特性に加え、特に、熱処理工程での成膜による汚染物の発生防止を検討し、その表面状態及び熱膨張係数を特定化することにより良好な熱処理用ダミーウエハとしたものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
発明者らは、特に上記提案のガラス状カーボンの半導体熱処理用ダミーウエハの研究開発を更に継続し、長期間の使用による変化を観察した。その結果、成膜熱処理時にその高温及び膜形成の影響によりガラス状カーボン製ダミーウエハが変形し、所定のウエハボートにセットできなくなるおそれが生じることが知見された。発明者らは、それらの知見から、ガラス状カーボン製のみならずシリコン製等の一般的なダミーウエハにおいても同様な現象は避けられないことを確認し、そのような変形による不都合を回避すべく、ダミーウエハの形状について鋭意検討した結果、本発明を完成した。
即ち、発明者らは、ダミーウエハの形状について種々検討し、半導体熱処理工程の拡散炉等の熱処理炉内でウエハを保持するために使用するボートの溝幅や溝深さとの関係を考慮し、成膜処理後にダミーウエハに反り等の変形を生じてもボートの溝に支持され得るダミーウエハの最適形状を得ることを目的として鋭意検討し、ダミーウエハのボートへ保持するための機械的強度を低下させることなく外周縁部の肉厚を所定の幅をもって薄くすることにより、熱処理後に洗浄や反り変形回復処理等の後処理をすることなく繰り返し多数回継続再使用できることを見出したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、円形状のダミーウエハであって、該ダミーウエハの外周部が、ウエハ上下表面の少なくとも一方において、階段状に該外周部の肉厚が中心部より薄く形成されており、前記外周部のみがウエハボートの保持溝に接触する構造であることを特徴とする半導体熱処理用ダミーウエハが提供される。
また、円形状のダミーウエハであって、該ダミーウエハの外周部が、ウエハ上下表面の少なくとも一方において、中心部を形成する円周部から外周端まで徐々に肉厚が減少する傾斜形状であり、前記外周部のみがウエハボートの保持溝に接触する構造であることを特徴とする半導体熱処理用ダミーウエハが提供される。
【0008】
本発明の半導体熱処理用ダミーウエハにおいて、中心部の肉厚が300μm以上であり、且つ、外周部の肉厚が中心部の肉厚の40%〜70%であることが好ましい。また、その外周部がウエハ外周端部よりウエハ直径の2.5〜4%の幅を有すると共に、その幅がウエハボードの保持溝の溝深さより広く形成されることが好ましい。更に、本発明のダミーウエハが、ガラス状カーボンで形成されることが好ましい。
なお、本発明において、外周部の肉厚とは、ボートの保持溝とダミーウエハ外周部とが接触する部分の肉厚を意味する。
【0009】
本発明は上記のように構成され、半導体熱処理用ダミーウエハの外周部をウエハボードの保持溝の深さより広い所定幅でその肉厚を薄く形成することから、シリコンウエハの成膜熱処理炉内に配設するウエハボードの保持溝に、その外周部で支持されて配置される。そのため、熱成膜処理時のダミーウエハへの伝熱を低減させることができ、ダミーウエハの面内温度が均一となり変形が抑制される。また、反り等の変形が生じた場合でも保持溝での支持に不都合が生じることがない。しかも、ダミーウエハの機械強度を低下させることもないため、破損等の問題がなく安定して繰り返し使用することができる。特に、ダミーウエハをガラス状カーボンで形成することにより、長期間繰り返して安定的に使用することができる。その結果、半導体熱処理工程においてダミーウエハの交換を頻繁に行う必要がなくなり、生産性が向上する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図面に基づき詳しく説明する。
図1は本発明の半導体熱処理用ダミーウエハの一実施例の平面説明図で、図2は図1の断面説明図である。また、図3、図4及び図5は他の実施例の断面説明図である。
図1及び2において、ダミーウエハDWは、円形状で外周部1が中心部2に比べ肉厚が薄く形成される。本発明において、円形状のダミーウエハの形状の円形状は、完全な円形に限らずほぼ円形でよく、シリコンウエハのようにフラット部を有してもよいし、前記したようなウエハボードの保持溝に配置できればよい。また、ダミーウエハの中心部2は、通常の円板状のウエハと同一の表面及び肉厚Tを有する。一方、外周部1は、ウエハDWの直径Dの外周端からほぼ同一幅d で、外周に沿ってウエハの上下表面を厚さt 及びt で削り取ったような形状で階段状に形成され肉厚tとなる。また、図3においては、ダミーウエハDW が、外周端からd の幅に一表面のみをt の厚さだけ削り取ったような形状で肉厚tを有する外周部1を階段状に形成した以外は、図1及び2と同様であり中心部2を有する。
本発明において、図1及び図2に示したようなダミーウエハでは、t 及びt は、同一でもよいし異なってもよい。t ≠t であるときは、t :t の比率は任意に選択することができ、例えば、図3に示したダミーウエハのようにt =0とすることができる。上下の両表面を階段状に形成するときには、通常、t =t とほぼ同等にする。製造上簡便であるためである。
【0011】
また、本発明のダミーウエハの中心部より肉厚の薄い外周部は、上記図1〜3のように階段状な形状に制限されるものでなく、例えば、図4または図5に示すように中心部2を形成する所定径の円周部から所定の角度で傾斜し、外周端まで徐々に肉厚が減少するようにして中心部2より薄く形成することもできる。本発明において、外周部が傾斜形状の場合は、外周部の肉厚が上記図1〜3のように一定でなく、ウエハボートの保持溝底面に接触する部分を外周部肉厚tとして、中心部肉厚との比率が下記するように所定となるようにする。図4においては、ダミーウエハDW が、外周端からd の幅に一表面のみを外周端方向に傾斜させt’の厚さで削り取ったような形状で、周端部の肉厚がt’であり、ウエハボートの保持溝と接触する部位で肉厚tを有するように外周部1を片面傾斜状に形成した以外は、図3と同様であり中心部2を有する。図5においては、ダミーウエハDW が、外周端からd の幅に両表面を外周端方向に傾斜させt’及びt’の厚さで削り取ったような形状で、周端部の肉厚がt’であり、ウエハボートの保持溝と接触する部位で肉厚tを有するように外周部1を両面傾斜状に形成した以外は、図1及び2と同様であり中心部2を有する。図5において、両面傾斜切削厚さt’及びt’も、上記図1及び2のt 及びt と同様にt’=t’でも、t’≠t’でもよい。
【0012】
本発明の半導体熱処理用ダミーウエハにおいて、中心部2の厚さは300μm以上が好ましい。300μm未満であるとダミーウエハ全体での機械的強度が弱く破損し易く、また、熱履歴に伴い反りが生じ易く本発明の薄い外周部を有してもボートの保持溝で支持できなくなるためである。上記外周部1の肉厚tは、中心部2の厚さ、即ち、ダミーウエハの肉厚Tの40%〜70%であることが好ましい。40%未満ではダミーウエハの機械的強度が不十分となり、破損し易くなり繰り返し再使用できないためである。一方、70%を超えると反り等の変形が生じた場合に所定のボートの保持溝に支持できなくなるおそれがあり、本発明の目的を達成できない。本発明において、ダミーウエハは上記したようにウエハボートの保持溝で支持できるように、被処理シリコンウエハとほぼ同等の形態のほぼ円形状に形成され、全体的重量増加及びこれに伴うダミーウエハのたわみを考慮すれば最大1000μmが好ましく、特に、約600〜800μmの肉厚とすることが好ましい。従って、この場合、本発明の外周部1の肉厚tは、通常、約240〜560μmとなる。本発明において、外周部の肉厚を中心部より薄く、特に、上記のように中心部の肉厚の40〜70%と設定することにより配置するボードからダミーウエハへの伝熱が低減される。その結果、ダミーウエハの面内温度分布がより均一化され、ひいては特にダミーウエハに隣接する被処理半導体シリコンウエハの面内を均一に加熱することができ好ましい。
【0013】
本発明において、ダミーウエハの薄い肉厚tを有する外周部1の幅d は、ウエハボートの保持溝の深さより広く形成される。例えば、図6は、前記図7に示したウエハボード10の保持棒11の保持溝12部分を拡大して示したものであり、通常の全体に均一な厚さのシリコンウエハSWは、そのままの厚さの外周部が保持溝12で支持されるのに対し、本発明のダミーウエハDW及びDW は、保持溝12で支持される部分が肉厚の薄い外周部1であり、中心部2は保持溝12の底部とは接触しないように形成される。本発明の外周部1の幅は、通常、ダミーウエハDWの直径Dの2.5〜4%であることが好ましい。肉厚の薄い外周部の幅が保持溝の深さより狭い場合、例えば、ダミーウエハの直径の2.5%未満では、一般的なボートの保持溝の深さ約4〜8mmに満たないため、従来のダミーウエハと実質的な相違が無く、本発明の外周部を薄くすることによる効果が得られず、後処理することなく繰り返し使用することきず、また、ボートからの熱伝導も低下しないため変形もより生じ易く、面内温度分布も不均一となり好ましくない。一方、4%を超えた場合には、中心部2の面積が小さくなり、ダミーウエハをボードの保持溝で保持して支持するための機械的強度が低下し使用中に破損等して落下するおそれがあるためである。また、肉薄の外周部がボートの保持溝より過度に長く出ることになり、炉内雰囲気に曝されるため成膜熱処理時に肉薄の外周部上にも膜形成されることから変形が顕著となるおそれがあるためである。更に、ガス流を制御して炉内の均熱化を図るというダミーウエハ本来の機能が十分に発揮できなくなるためである。
【0014】
本発明のダミーウエハはガラス状カーボン材により形成されることが好ましい。ガラス状カーボンは、外観がガラス状の高硬質炭素で、高純度性、耐摩耗性、ガス不透過性に特に優れた材料であるからである。本発明で使用するガラス状カーボンは一般にそのような概念に属するものであれば特に制限はないが、耐熱温度2000℃以上、カサ比重1.5〜1.6g/cm 、曲げ強度100MPa以上、熱伝導率5〜10DW/m・Kであり、特に、3.0〜3.5×10−6/℃の熱膨張率(石英押捧式測定法で室温から450℃の値)を有するものが好ましい。発明者等によれば、半導体熱処理により成膜処理される場合、ダミーウエハ上に形成される成膜組成物は、圧縮応力には強いが引張り応力には弱いことが知見されている。そのため、ダミーウエハの材質を成膜組成物の熱膨張係数より高い熱膨張係数を有する材質にすれば、高温のダミーウエハ上に形成される被膜は、成膜後の冷却時において膜の剥離が生じ難い。例えば、ポリシリコンを成膜する場合、ポリシリコンの熱膨張係数は約2.8×10−6/℃であり、そのポリシリコンの熱膨張係数よりも大きな3.0×10−6/℃以上の熱膨張係数を有するガラス状カーボン材を用いることにより、成膜の剥離や反りを大幅に改善することができる。一方、3.5×10−6/℃を超えるガラス状カーボン材は、成膜組成物との熱膨張との差が大きすぎ反りの原因となり好ましくない。
【0015】
本発明のダミーウエハはそれを形成するガラス状カーボンが、一般に、極めて高硬度であり加工が困難であることから、予め上記したような外周部が中心部より肉薄となる所定形状に成形した後、炭素化して製造する。例えば、フラン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、約800℃以上の温度で緩やかに長時間焼成することにより生成される。特に、本発明のガラス状カーボンとしては、特開平3−285086号公報に開示される方法で製造される高純度のものが好ましい。即ち、熱硬化性樹脂に有機スルホン酸を添加して常温重合させ流動状重合物とし、流動状態で成形型に注入して緩やかに昇温して硬化させて成形体を形成し、得られた成形体を800〜1200℃に徐々に昇温して焼成炭化し、要すれば表面加工した後、更に、2000〜2500℃に加熱して純化処理する方法である。この方法で得られるガラス状カーボン材は、粒界が存在することなく、最大気孔径が0.1μm以下の極小で開気孔率が0.01%以下のものも製造することができ、特に、カーボン微粒子等の飛散のおそれがなく、汚染を極端に嫌う場合に適用することができる。
【0016】
上記したように本発明のダミーウエハは、保持強度を低下させることなく、所定幅の外周部の肉厚を当初のダミーウエハの肉厚より薄く形成されており、特に、半導体の成膜熱処理後において反り等の変形が生じた場合でも、半導体熱処理炉用のボートを構成する複数の保持棒に刻まれた保持溝に安定して保持することができ、熱処理後の洗浄等の後処理をすることなく繰り返し再使用できる。また同時に、本発明のダミーウエハは、上記の優れた特性を有するガラス状カーボン材で形成されることから、熱処理時にその表面に生成した成膜を剥離、飛散することなく、被処理半導体ウエハを汚染することがなく、半導体製造工程の生産性が向上すると共に、半導体製造の歩留も向上する。
【0017】
【実施例】
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。但し、本発明は下記実施例により制限されるものでない。
実施例1〜4及び比較例1〜5
図1及び2に示した形状と同様の形状を有するダミーウエハDWと、図3に示した形状と同様の形状を有するダミーウエハDW とをそれぞれ製造した。即ち、フリフリルアルコールに0.4重量部のp−トルエンスルホン酸を添加重合して得られた流動性ポリマーを用い、直径(D)200mmφ、中心部2の厚さ(T)750μm、外周部1の幅(d )6mmであり、外周部1の厚さ(t)が表1に示した種々の値のものを成形し、加熱して硬化した。得られた硬化体を、窒素雰囲気中で1000℃まで加熱焼成し、更に、2300℃に昇温して純化処理してガラス状カーボン材製のダミーウエハDW及びDW をそれぞれ製造した。製造した各ガラス状カーボン材のダミーウエハは、気孔率0.1%、表面粗さ(接触式表面粗さ計測定)1μmであり、熱伝導率8DW/m・K、熱膨張率3.2×10−6/℃であった。
【0018】
次いで、縦形拡散炉を用いて、シリコンウエハ表面にポリシリコン膜を成膜する熱処理を行った。Si−SiC基材表面にCVD−SiC膜をコートした全長800mmで、溝数125個、ピッチ間隔が6.0mm、溝幅2.5mm、溝深さ5mmの縦型ボートに、上記で得られた16種の各ダミーウエハを、それぞれ2枚ずつセットし、また、直径200mmφ、厚さ750μmで、周辺部に0.1mmの面取りを施したのみで外周部1を有さないガラス状カーボン製ダミーウエハを2枚同様にセットし、合計34枚のダミーウエハをセットした。ダミーウエハがセットされたボートを、縦型炉心管に装入して炉内中央部温度が600℃になるように調節保持した。炉芯管には、処理ガスとしてSiH ガスを0.5リットル/分(標準状態)の流量で導入処理して30分間成膜した。
上記したダミーウエハのボートへのセット、ボートの炉芯管への装入、及び成膜熱処理工程を複数回繰り返し、ダミーウエハの連続使用回数を測定した。この連続使用回数は、2枚ある同一種類のダミーウエハのどちらか一方でも縦形ボートにセットできなくなるまでの回数とした。その結果を表1に示した。
【0019】
比較例1のガラス状カーボン製で肉薄の外周部を有さない通常形状のダミーウエハでは連続再使用2回目で、変形により外周縁部がボートの保持溝に達したが厚みにより保持溝に装入することできなくなった。これに対し、外周部1の厚さtが300〜525μm、即ち、中心部2の厚さの40〜70%である場合には、形状がDWまたはDW に拘らず10回以上連続して使用することができた。また、外周部1の厚さtが190μmのものは保持溝にセットする際に破損してしまい1回も使用することができなかった。外周部1の厚さtが640μmのものは、反りにより保持溝にセットできず形状DWで4回、形状DW で6回しか連続使用することができなかった。これら実施例及び比較例の結果より明らかなように、外周部の肉厚が所定のウエハの肉厚Tの40〜70%の範囲であれば、10回以上連続して再使用できることが分かる。
【0020】
【表1】
Figure 0003599257
【0021】
実施例5〜10及び比較例6〜9
図1及び2に示した断面形状DW、図3に示した断面形状DW を有するものについて、直径200mmφ、中心部2の厚さ(T)750μm、外周部1の厚さ(t)300μmで、外周部1の幅(d )を表2のように変えて成形した以外は、実施例1と同様の方法でダミーウエハをそれぞれ作成し、同様の条件下でダミーウエハの連続使用回数を測定した。その結果を表2に示した。
【0022】
【表2】
Figure 0003599257
【0023】
外周部1の幅d が5〜8mmであるものは、成膜熱処理後もボートの保持溝に安定して支持され連続して再使用できた。一方、形状DWで外周部1の幅d が4mmのものは、ボートの溝の深さが約5mmであるために肉厚の薄い外周部1が保持溝底部に接触しないため均熱性が不安定となり評価不可能となった。また、形状DW で外周部1の幅d が4mmのものは、上面部が削除されているため連続2回は使用できたが、それ以上は形状DWと同様に保持が不安定となり再使用できなかった。一方、外周部1の幅d を10mmと拡げたものは、形状DWで3回、形状DW で4回連続再使用できたが、ガラス状カーボンダミーウエハ自体の重量による反りが大きく使用できなかった。
上記の実施例及び比較例より明らかなように、肉薄の外周部の幅d がダミーウエハの直径Dの2.5〜4%である場合には、形状がDWであるかDW であるかに拘らず8回以上連続して再使用できることが分かる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の半導体熱処理用ダミーウエハは、所定の優れた特性を有するガラス状カーボンで形成され、且つ、ボートに保持するのに必要な機械強度を保持しながら外周部の肉厚を所定幅で所定に薄くすることで、半導体の成膜熱処理工程において処理後に洗浄等の後処理をすることなく連続して繰り返し再使用することができ、連続再使用しても半導体を汚染することもない。その結果、ダミーウエハの交換を頻繁に行う必要がなく、生産性が向上し、半導体の製造工程の歩留も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の半導体熱処理用ダミーウエハの一実施例の平面説明図
【図2】図1の断面説明図
【図3】本発明の他の実施例の断面説明図
【図4】本発明の他の実施例の断面説明図
【図5】本発明の他の実施例の断面説明図
【図6】本発明のダミーウエハをウエハボード保持溝に保持した拡大断面説明図
【図7】ウエハボードの断面説明図
【符号の説明】
DW、DW 、DW 、DW ダミーウエハ
SW シリコンウエハ
1 外周部
2 中心部
D ダミーウエハ直径
外周部幅
T ダミーウエハ肉厚
t 外周部肉厚
、t 、t 、t’、t’、t’ 表面削除厚さ
10 ウエハボード
11 支持棒
12 支持溝

Claims (4)

  1. 円形状のダミーウエハであって、該ダミーウエハの外周部が、ウエハ上下表面の少なくとも一方において、階段状に該外周部の肉厚が中心部より薄く形成されており、前記外周部のみがウエハボートの保持溝に接触する構造であることを特徴とする半導体熱処理用ダミーウエハ。
  2. 円形状のダミーウエハであって、該ダミーウエハの外周部が、ウエハ上下表面の少なくとも一方において、中心部を形成する円周部から外周端まで徐々に肉厚が減少する傾斜形状であり、前記外周部のみがウエハボートの保持溝に接触する構造であることを特徴とする半導体熱処理用ダミーウエハ。
  3. 前記中心部の肉厚が300μm以上であり、且つ、前記ダミーウエハ外周部のウエハボートの保持溝に接触する部分の肉厚が中心部の肉厚の40〜70%である請求項1または請求項2に記載の半導体熱処理用ダミーウエハ。
  4. 前記ダミーウエハが、ガラス状カーボンで形成される請求項1、2または3記載の半導体熱処理用ダミーウエハ。
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