JP3599234B2 - 硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリビニルベンジルエーテル化合物を硬化して得られる樹脂の難燃化を実現する硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物に関し、難燃化のために、ビニルベンジル基をもつ反応性のハロゲン化フェノール化合物を配合することにより難燃化する組成物に関するものである。さらに詳しくはポリビニルベンジルエーテル化合物から得られる樹脂の特徴である高周波特性、耐熱性、低誘電率、低誘電正接、低吸水率等の特徴を損なわず、電子機器、電子部品、回路基板に要求される難燃化を実現するための組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信情報の急増に伴い、通信機器の小型化、軽量化、高速化が強く望まれている。これに対し、低誘電率材料の要求があり、特に携帯電話等の携帯移動体通信、衛星放送に使用される電波の周波数領域はGHz帯の高周波領域のものが使用されている。
【0003】
これらの通信手段として、使用される通信機器の急速な発展の中で、筐体および基板、電子部品の小型高密度実装化等が図られている。これに対応するためには優れた高周波伝送特性と低誘電特性とを併せもつ電気絶縁材料の開発が必要である。すなわち、素子回路内では誘電損失といわれる伝送過程におけるエネルギー損失が生じる。このエネルギー損失は熱エネルギーとして素子回路内に消費され、熱として放出されるため、好ましくない。このエネルギー損失は高周波領域ではイオン分極、電子分極により生じるものである。誘電損失は比誘電率と誘電正接の積に比例するため、誘電正接は高周波領域では周波数の増加に従い、増大する。また、電子素子の高密度実装化により、単位面積あたりの発熱量が増加するため、絶縁材料の誘電損失を少しでも小さくするためには誘電正接の少ない材料を用いる必要がある。誘電損失の小さい低誘電率材料を用いることで、誘電損失および電気抵抗による発熱が抑制され、その結果、信号の誤作動も少なくなることから、高周波通信分野においては伝送損失の少ない材料が強く望まれているのが実情である。
【0004】
一方で、有機電気絶縁材料は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹時に大別されるが、ハンダリフロー等で要求される耐熱性という点で熱硬化性樹脂が電子機器、基板にて使用されることがほとんどである。
【0005】
その熱硬化性樹脂においても要求される特性も年々厳しくなってきているのが実情であり、その場合、従来から使用されている樹脂では対応できない場合が多々ある。
【0006】
例えば、プリント配線板においては伝播速度の高速化(高周波化)に伴う低誘電率、低誘電正接化、鉛レス半田使用による高耐熱化、特性インピーダンスのドリフトを抑制するために誘電特性が温度、湿度に対して依存性の少ないことが要求されている。
【0007】
また、電子部品においても使用される携帯電話、パソコン等の高周波化に伴い、100MHz〜10GHzという周波数領域において低誘電率化、低誘電正接化が求められており、プリント配線板と同じ理由で高耐熱化、特性インピーダンスのドリフトを抑制するために誘電特性が温度、湿度に対して依存性の少ないことが要求されている。
【0008】
現在、市場にて主に使用されている樹脂としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド(エーテル)樹脂、ビスマレイミドトリアジン(シアネートエステル)樹脂等が挙げられるが、これらの樹脂は電子部品、配線基板に要求される次の特性、すなわち、
i) 低誘電正接、低誘電率
ii) 耐熱性
iii) 低吸水率
iv) 誘電特性の温度、湿度依存性
を完全に満足するものではない。
【0009】
上記課題を解決するために特開平9−31006号公報には、「ポリビニルベンジルエーテル化合物およびその製造方法」が開示されており、広い周波数領域で良好で一定で、なおかつ温度や吸湿性に依存しにくい誘電特性をもち、さらに耐熱性に優れるポリビニルベンジルエーテル化合物の硬化物が提案されている。
【0010】
一方で電子機器、電子部品、回路基板に要求される重要な特性として、樹脂の難燃化が挙げられる。こうした難燃化に対する要求特性を示す具体例として、UL94の燃焼性試験が挙げられ、建築関係を除くほとんどの産業分野においてこの試験方法が利用されており、実際に電子機器、電子部品、回路基板において、この試験でのV−0認定が材料に対して求められることが多い。
【0011】
しかしながら、特開平9−31006号公報に開示のポリビニルベンジルエーテル化合物の硬化物の難燃性はUL94の燃焼性試験においてはHBである。
【0012】
また、上記公報には難燃化処理を施す旨の記載はない。
【0013】
ところが、実際にはHBより厳しいV−O認定の材料の使用を要求される場合がほとんどで、このままでは電子部品、回路基板に使用できない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、硬化物としたとき、広い周波数領域で良好で一定で、かつ温度や吸湿性に依存しにくい誘電特性を示し、さらに耐熱性にも優れるポリビニルベンジルエーテル化合物の優れた物性を損なわず、難燃化が可能な硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物を提供することであり、特に、硬化物としたとき、100MHzから10GHzの周波数領域における誘電特性に優れ、なおかつ誘電特性のドリフトの少ない硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、下記の本発明によって解決することができる。
(1) 式(1)で表されるポリビニルベンジルエーテル化合物と、ハロゲン化フェノール化合物の有するフェノール性水酸基の少なくとも一つをビニルベンジルオキシ基としたハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物とを含有する硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
【0016】
【化2】
【0017】
[式(1)中、R1はメチル基またはエチル基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、R3は水素原子またはビニルベンジル基(ただし、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は60:40〜0:100)を表し、nは2〜4の数である。]
(2) ポリビニルベンジルエーテル化合物とハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物の含有量が、ハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物/ポリビニルベンジルエーテル化合物の質量比で表したとき5/95〜70/30である上記(1)の硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
(3) さらに、少なくとも1種類の添加型難燃剤を含有する上記(1)または(2)の硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
(4) 少なくとも1種類の添加型難燃剤の含有量が、添加型難燃剤/ポリビニルベンジルエーテル化合物の質量比で表したとき5/95〜70/30である上記(3)の硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
(5) 100MHz〜10GHzの周波数領域で使用される材料に用いられる上記(1)〜(4)のいずれかの硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物は、硬化性ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物を硬化して得られる樹脂を難燃化するための組成物であり、ポリビニルベンジルエーテル化合物に対し、難燃剤として、ハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物を配合したものである。このハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物は、ハロゲン化フェノール化合物の有するフェノール性水酸基の少なくとも1つをビニルベンジルオキシ基としたものであり、上記樹脂組成物におけるポリビニルベンジルエーテル化合物とビニルベンジル基という共通の反応部をもち、ポリビニルベンジルエーテル化合物と重合ないし硬化が可能である。このように、ハロゲン化フェノールのビニルエーテル化合物は反応型難燃剤に属するものであり、ポリビニルベンジルエーテル化合物と重合ないし硬化することによって、得られる樹脂の難燃化が実現する。
【0019】
こうした反応型難燃剤の特徴は、重合ないし硬化の反応に寄与することから、その添加量を多くしても強度等の機械的物性などに対する影響が少なく、強度の低下などが生じにくい。したがって、樹脂中に、特性改善のための粉体を多量に含有させる必要があるときなど、樹脂成分を少なくして難燃化を図ることができるため有利であり、このような構成においてペースト化するときも有利である。
【0020】
また、難燃化しても、誘電特性のような電気的特性に悪影響を及ぼすことはない。
【0021】
本発明に用いるポリビニルベンジルエーテル化合物は、式(1)で表されるものである。
【0022】
【化3】
【0023】
式(1)中、Rはメチル基またはエチル基を表す。
【0024】
は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表す。Rで表される炭化水素基は、各々置換基を有していてもよいアルキル基、アラルキル基、アリール基、等である。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等であり、アラルキル基としてはベンジル基等であり、アリール基としてはフェニル基等である。
【0025】
は水素原子またはビニルベンジル基を表し、水素原子は式(1)の化合物を合成する場合の出発化合物に由来するものであり、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は60:40〜0:100が好ましく、より好ましくは40:60〜0:100である。
【0026】
nは2〜4の数である。
【0027】
なお、Rの水素原子とビニルベンジル基とのモル比を上記範囲とすることにより、硬化反応を十分に進行させることができ、また十分な誘電特性を得ることができる。これに対し、Rが水素原子である未反応物が多くなると硬化反応が十分に進行しなくなり、十分な誘電特性が得られなくなる。
【0028】
式(1)で表される化合物の具体例をR等の組合せで以下に示すが、これらに限定されるものではない。
【0029】
【化4】
【0030】
式(1)で表される化合物は、式(1)においてR=Hであるポリフェノールと、ビニルベンジルハライドとを反応させることにより得られる。この詳細については、特開平9−31006号公報の記載を参照することができる。
【0031】
本発明のポリビニルベンジルエーテル化合物は単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
【0032】
本発明のポリビニルベンジルエーテル化合物は、前記の反応型難燃剤と共に、それのみを樹脂材料として重合して用いてもよく、他のモノマーと共重合させて用いてもよく、さらには、他の樹脂と組み合わせて使用することができる。
【0033】
共重合可能なモノマーとしては、例えばスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジビニルベンジルエーテル、アリルフェノール、アリルオキシベンゼン、ジアリルフタレート、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピロリドン等が挙げられる。これらのモノマーの配合割合は、ポリビニルベンジルエーテル化合物に対して、質量百分率で2〜50%程度である。
【0034】
また、組み合わせて使用することが可能な樹脂としては、例えばビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、ポリフェノールのポリシアナート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ビニルベンジル化合物等の熱硬化性樹脂や、例えばポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、ポリアセタール、ジシクロペンタジエン系樹脂等の熱可塑性樹脂がある。その配合割合は、本発明のポリビニルベンジルエーテル化合物に対して質量百分率で5〜90%程度である。中でも好ましくは、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、マレイミド樹脂、ポリフェノールのポリシアナート樹脂、エポキシ樹脂およびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0035】
本発明のポリビニルベンジルエーテル化合物と前記の反応型難燃剤、あるいはこれらの化合物と他のモノマーまたは熱硬化性樹脂とを含有する硬化性樹脂組成物の重合および硬化は、公知の方法で行うことができる。硬化は、硬化剤の存在下または不存在下のいずれでも可能である。硬化剤としては、例えば過酸化ベンゾイル、メチルエチルケトンパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t−ブチルパーベンゾエート等の公知のラジカル重合開始剤を使用することができる。使用量は、質量で、ポリビニルベンジルエーテル化合物100部に対して0〜10部である。
【0036】
硬化温度は、硬化剤の使用の有無および硬化剤の種類によっても異なるが、十分に硬化させるためには、20〜250℃、好ましくは50〜250℃である。
【0037】
また、硬化の調整のために、ハイドロキノン、ベンゾキノン、銅塩等を配合してもよい。
【0038】
本発明のポリビニルベンジルエーテル化合物自体(難燃剤の添加なし)の重合ないし硬化物は高周波領域において低誘電率(2GHzでの比誘電率ε=2.6程度)でかつ低誘電正接(2GHzでのtanδ=0.04程度)であり、しかも絶縁性および耐熱性に優れ、ガラス転移温度(Tg)が高く、かつ分解開始温度が高く、低吸水率の高分子材料である。
【0039】
ポリビニルベンジルエーテル化合物の重合ないし硬化物(VB)と、市販のFR−4、FR−5(住友ベークライト社製のエポキシ系樹脂)、BTレジン(三菱瓦斯化学製のビスマレイミド系樹脂)、およびポリフェニレンオキサイド(PPO)について、吸水率(85℃/85%RHで500時間)、示差走査熱量測定法(DSC法)によるガラス転移温度を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
本発明の反応型難燃剤は、ハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物であり、ハロゲン化フェノール化合物のフェノール性水酸基の少なくとも1つをビニルベンジルオキシ基としたものである。この場合のハロゲン化フェノール化合物は、フェノール性水酸基を1個有するハロゲン化モノフェノールであってもよいし、フェノール性水酸基を2個以上有するハロゲン化ポリフェノールであってもよい。また、ハロゲン化の度合も、目的とする難燃化の度合などに応じて、種々のものとすることができるし、フェノール性水酸基が2個以上存在するとき、少なくとも1個がビニルベンジルオキシ基となっていればよく、残存するフェノール性水酸基が誘電特性などに悪影響を及ぼす場合は、後述のように、適宜の方法により、残存水酸基を封止(ブロック)するなどすればよい。
【0042】
このようなハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物は、例えば特開平6−116194号公報に記載されている方法を用いて合成することができる。具体的には、フェノール水酸基をもつ化合物とビニルベンジルハライドをアルカリ存在下で極性溶剤中、もしくは相間移動触媒の存在下、水/有機溶剤混合溶液中で反応させる方法により合成することができる。
【0043】
本発明で使用されるハロゲン化フェノール化合物としては、市販のハロゲン化フェノール化合物を用いることができ、例えばジクロロフェノール、トリクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、テトラクロロビスフェノールAなどの塩素化物、ジブロモフェノール、トルブロモフェノール、ペンタブロモフェノール、テトラブロモカテコール、テトラブロモビスフェノールA、臭素化ノボラック等の臭素化物が挙げられる。
【0044】
本発明で使用されるハロゲン化フェノール化合物は、ハロゲン含有率が高いものほど得られるハロゲン含有ビニルベンジルエーテル化合物の難燃剤としての効果も高くなる。ハロゲン化フェノール化合物のハロゲン含有率は質量百分率で20%以上が好ましく、より好ましくは40%以上である。その上限に特に制限はないが、85%程度である。ハロゲン含有率が少なくなると得られるハロゲン含有ビニルベンジルエーテル化合物の難燃効果が低くなり、期待する性能が得られにくくなる。
【0045】
本発明で使用するビニルベンジルハライドとしてはp−ビニルベンジルクロライド、m−ビニルベンジルクロライド、p−ビニルベンジルブロマイド、m−ビニルベンジルブロマイドおよびこれらの混合物が挙げられる。
【0046】
ビニルベンジルハライドの使用量は使用するハロゲン化フェノール化合物の種類により異なるため、一概には規定できないが、ハロゲン化フェノール化合物のフェノール性水酸基1当量に対して0.1から1.5当量が好ましく、より好ましくは0.5から1.2当量である。
【0047】
ハロゲン化ポリフェノールを使用する場合、ハロゲン含有ビニルベンジルエーテル化合物の残存水酸基が耐水性や誘電特性など硬化物の特性に影響を与える場合には、必要に応じて反応系に炭化水素ハロゲン化合物を加え、残存水酸基を封止することができる。炭化水素ハロゲン化合物としては炭素数1から10のアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基を含有するハロゲン化合物であり、例えば、ブチルアイオダイド、ネオペンチルブロマイド、シクロヘキシルブロマイド、ベンジルクロライド等が挙げられ、その使用量は残存水酸基1当量に対して1.2当量までである。
【0048】
反応溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールメチルエーテル、1,3−ジメトキシプロパン、1,2−ジメトキシプロパン、テトラメチレンスルホン、ヘキサメチルホスホアミド、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、ブタノール、プロパノールおよびその混合物が挙げられ、これらの中から原料種や反応条件に応じて反応系が終始均一になるような溶剤種を選択すればよい。
【0049】
アルカリとしてはアルカリ金属あるいはアルカリ土類のアルコキサイド、水素化物、水酸化物であり、例えばナトリウムメトキサイド、ナトリウムエトキサイド、水素化ナトリウム、ホウ素化ナトリウム、水素化カリウム、水酸化カリウム等が挙げられ、反応系を非水系とするか、含水系とするかでアルカリ種を選択すればよい。アルカリ金属水酸化物の配合割合は原料の水酸基1当量に対し、1.1から3.0当量程度がよい。当量数が小さくなると樹脂中に残存するOH基濃度が高くなり、誘電特性のような電気的特性に好ましくない。また、当量数が大きくなると残存アルカリの除去に多量の洗浄水等の除去溶剤が必要となり、経済性から考えると好ましくない。
【0050】
相間移動触媒を用いる方法で反応を行う場合に使用される相間移動触媒としては各種オニウム塩、例えばテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロゲンサルフェート、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、トリカプリルメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム化合物、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウム化合物、ベンジルテトラメチレンスルホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム化合物、ベンジルジテトラメチレンスルホニウムブロマイド等の3級スルホニウム化合物およびこれらの化合物が挙げられる。
【0051】
これらの相間移動触媒の使用量は触媒種、あるいは反応温度により効果が異なるため、一概に規定できないが、一般的には原料の水酸基1当量に対して0.01から0.2当量使用すればよい。
【0052】
反応速度、および反応時間はそれぞれ30から100℃、0.5から20時間であればよい。
【0053】
ビニルベンジルハライドのような高反応性化合物を使用する場合には必要に応じて熱重合禁止剤を反応系に添加してもよく、例えばt−ブチルカテコール、2,4−t−ブチルフェノール、2−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンメチルエーテル、t−ブチルハイドロキノン、レゾルシン、ピロガロール、フェノチアジン、銅塩等が挙げられる。さらに空気の適量の使用も重合禁止には効果がある。
【0054】
反応生成物の回収、精製には公知の方法を用いればよい。例えば反応液から生成塩を濾過分離した後、水洗し、有機層にメタノール等の非水溶媒を添加し、生成した沈殿を分離、減圧乾燥することにより、容易に目的物を得ることができる。
【0055】
ポリビニルベンジルエーテル化合物に対するハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物の配合比は、ハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物/ポリビニルベンジルエーテル化合物の質量比で表して、5/95〜70/30の範囲であることが好ましい。
【0056】
その配合比は得たい難燃性に応じて適時選択すればよいが、上記配合比より難燃剤量が少なくなると難燃効果の向上がほとんどなくなり、多くなるとポリビニルベンジルエーテル化合物から得られる硬化物の優れた物性を低下させる。
【0057】
本発明では、前記の反応型難燃剤とともに、添加型難燃剤を用いることができる。添加型難燃剤は大きく分けて下記のものが挙げられる。
1)ハロゲン系難燃剤
2)リン系難燃剤
3)チッソ系難燃剤
4)金属塩系難燃剤
5)水和金属系難燃剤
6)無機系難燃剤
【0058】
配合する添加型難燃剤は必要に応じ選択(1種類以上)すればよい。この中でも、一般的にはハロゲン化難燃剤と併用するのは水和金属系難燃剤、無機系難燃剤であり、これらは燃焼時に樹脂の脱水剤として作用し、炭化皮膜形成に寄与する。これらの難燃剤として、具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリカ、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マンガン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、酸化コバルト、酸化ビスマス、酸化クロム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化タングステン等の金属酸化物、アルミニウム、鉄、チタン、マンガン、亜鉛、モリブデン、コバルト、ビスマス、クロム、ニッケル、銅、タングステン、コバルト、スズ、アンチモン等の金属粉、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、などが挙げられる。
【0059】
また、水和金属系難燃剤、無機系難燃剤は1)分散性向上、2)ポリビニルベンジルエーテル化合物との界面状態を改良するために表面処理を行ってもよい。具体的にはシラン化合物(クロロシラン、アルコキシシラン、有機官能性シラン、シラザン)、チタネート系、アルミニウム系カップリング剤等による表面処理が挙げられる。表面処理の方法は、乾式法、湿式法、インテグラルブレンド法などがあるが、必要とされる特性、工程、設備によって随時選択する。
【0060】
ポリビニルベンジルエーテル化合物に対するハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物と添加型難燃剤の配合比は難燃剤/ポリビニルベンジルエーテル化合物=5/95〜70/30(質量比)の範囲で行うのが好ましい。
【0061】
ハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテルと添加型難燃剤の配合比は特に限定されないが、ハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル/添加型難燃剤=5/95〜95/5(質量比)の範囲であればよい。
【0062】
配合比は得たい難燃性に応じて適時選択すればよいが、上記配合比より難燃剤の全体量が少なくなると難燃効果の向上がほとんどなくなり、多くなるとポリビニルベンジルエーテル化合物から得られる硬化物の優れた物性を低下させる。
【0063】
反応型難燃剤と添加型難燃剤とを併用することによって、反応型難燃剤を単独使用する場合に比べて、本発明の組成物におけるポリビニルベンジルエーテル化合物の配合比を増しても、難燃効果のレベルを同等に保つことができる。
【0064】
本発明の組成物は、電子機器、電子部品、回路基板用の材料として使用されるが、成形用材料、粉体塗料としてはペレット(粉末)状で、接着材料、注型材料、レジスト等の絶縁材料としては、ワニスまたはペースト状で使用されるなど、種々の形態が可能である。
【0065】
このような材料を得る場合、ポリビニルベンジルエーテル化合物に難燃剤を分散させればよく、具体的には混練することによる。ポリビニルベンジルエーテル化合物と難燃剤の混練方法については混練機、ニーダ、ボールミル、撹拌機、ロール等の既知の機械による既知の方法を必要に応じて使用すればよい。
【0066】
また、混練の際、あるいは材料の形態によっては溶剤に溶解してペースト化する場合が考えられるが、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等の溶剤を使用すればよい。
【0067】
さらに、電気的特性の向上や機械的、物理物性の改良、材料形態の必要性に応じ、各種充填剤を混練し、複合材料とすることができる。具体的には酸化チタン等の誘電材料、フェライト、軟磁性金属等の磁性材料、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタン酸カリウムウイスカ、チタン酸バリウムウイスカ、酸化亜鉛ウイスカ、ガラス繊維、ガラスビーズ、カーボン繊維、酸化マグネシウム(タルク)等が挙げられ、必要とされる特性に応じて使い分ける。
【0068】
さらにガラスクロス等のクロス材料に上記ペーストを含浸することにより、プリプレグを得ることができ、さらにこれを用いて積層板、銅等の金属を貼りつけた金属箔付積層板とすることができる。
【0069】
クロス材料としてはガラス、アラミド、石英、ポリエチレン等が挙げられる。
【0070】
また、金型中にて加熱硬化することにより任意の形の成形品を作成することが可能であり、電子機器、電子部品、回路基板用材料として広範囲に使用することができる。
【0071】
上記充填剤、クロス材料は必要に応じ、絶縁コーティング処理やシラン化合物(クロロシラン、アルコキシシラン、有機官能性シラン、シラザン)、チタネート系、アルミニウム系カップリング剤等にて表面処理を行ってもよい。
【0072】
【実施例】
以下に実施例を挙げ本発明を詳しく説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0073】
まず、反応型難燃剤であるハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物の合成例を示す。
【0074】
合成例1
温度調整器、撹拌装置、冷却コンデンサ、滴下ロート、エアポンプを備えた1リットルの四つロフラスコに2,4,6−トリブロモフェノール248g(0.75mol)、メチルイソブチルケトン240gを加え、流量20ml/分で空気を吹き込みながら撹拌し、60℃まで温度を上げて均一の溶液とした。そこにテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド26.5g(0.025mol)を加えた後、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH69.5g(純度95% 1.65mol)/水69.5g)を5分間で滴下し、続いてセイミケミカル社製ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m−/p−異性体50:50質量%混合物)126g(純度91%、0.75mol)を5分間で滴下し、70℃で15時間撹拌を続けた。
【0075】
室温まで冷却した後、メチルイソブチルケトン200gを加えて希釈し、次に2mol/l(2N)塩酸0.5リットルを加えて反応混合物を中和し、有機層に1mol/l(lN)塩酸0.5リットルを加えて2回洗浄した後、有機層にイオン交換水1.0リットルを加えて洗浄した。
【0076】
次に有機層をメタノール1.0リットルに注いでビニルベンジルエーテル化合物を沈殿させ、さらにメタノール0.5リットルで2回洗浄した。固形物を濾過して採取した後、真空オーブン中にて50℃で乾燥して目的のビニルベンジルエーテル化合物を収率80%で得た。この化合物をTBP-VB(トリブロモフェノールのビニルベンジルエーテル化合物)とする。
【0077】
合成例2
温度調整器、撹拌装置、冷却コンデンサ、滴下ロート、エアポンプを備えた5リットルの四つロフラスコに2,2’,6,6’−テトラブロモビスフェノールA1360g(2.5mol)、メチルイソブチルケトン1600gを加え、流量50ml/分で空気を吹き込みながら撹拌し、60℃まで温度を上げて均一の溶液とした。そこにテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド53.0g(0.05mol)を加えた後、水酸化ナトリウム水溶液(NaOH463g(純度95% 11.0mol)/水463g)を5分間で滴下し、続いてセイミケミカル社製ビニルベンジルクロライドCMS−AM(m−/p−異性体50:50質量%混合物)840g(純度91%、5.0mol)を5分間で滴下し、75℃で6時間撹拌を続けた。
【0078】
室温まで冷却した後、メチルイソブチルケトン1.0リットルを加えて希釈し、次に2mol/l(2N)塩酸2.5リットルを加えて反応混合物を中和し、有機層に1mol/l(1N)塩酸2.5リットルを加えて2回洗浄した後、有機層にイオン交換水4.0リットルを加えて洗浄した。
【0079】
次に有機層をメタノール4.0リットルに注いでビニルベンジルエーテル化合物を沈殿させ、さらにメタノール2.0リットルで2回洗浄した。固形物を濾過して採取した後、真空オーブン中にて50℃で乾操して目的のビニルベンジルエーテル化合物を収率75%で得た。この化合物をTBBA-VB(テトラブロモビスフェノールAのビニルベンジルエーテル化合物)とする。
【0080】
この化合物は、2個のフェノール性水酸基がともにビニルベンジルオキシ基となったものである。
【0081】
実施例1
ポリビニルベンジルエーテル化合物、合成例1のトリブロモフェノールのビニルベンジルエーテル化合物、合成例2のテトラブロモビスフェノールAのビニルベンジルエーテル化合物のトルエン溶液を次のようにして調製した。
【0082】
ポリビニルベンジルエーテル化合物55gと重合禁止剤(フェノチアジン)0.32gとトルエン45gを同一容器中で完全に溶解するまで撹拌し、55質量%の固形分を含む溶液を調製した。これを溶液Aとする。
【0083】
トリブロモフェノールのビニルベンジル化合物55gとトルエン45gを同一容器中で完全に溶解するまで撹拌し、55%(質量百分率)の固形分を含む溶液を調製した。これを溶液Bとする。
【0084】
テトラブロモビスフェノールAのビニルベンジル化合物55gとトルエン45gを同一容器中で完全に溶解するまで撹拌し、55%(質量百分率)の固形分を含む溶液を調製した。これを溶液Cとする。
【0085】
なお、ポリビニルベンジルエーテル化合物(VB)は、式(1)において、Rがメチル基、Rが炭素数1〜10のアルキル基(ベンジル基等のアラルキル基などであってもよく、これらを含め、炭素数1〜10の範囲にあるアルキル基が混在したもの)、Rの水素原子とビニルベンジル基とのモル比が、水素原子:ビニルベンジル基=0:100、n=3のものである。
【0086】
これらの溶液について、粘度、ゲル化時間、不純物イオン濃度を調べ、溶液中の固形分の平均分子量および融点を次のようにして測定した。これらの結果を溶液A〜Cの配合比とともに、表2に示す。
【0087】
i)分子量
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより重量平均分子量Mwを求めた。測定条件は次のとおりである。
昭和電工製ShodexGPC System−21
(カラムKF−802,KF−803,KF−805)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:1ml/min
【0088】
ii)融点
熱板法(昇温速度:2℃/分)によった。
【0089】
iii)粘度
BROOKFIELD社製アナログ粘度計(型式LVF)により、25℃にて測定した。
【0090】
iv)ゲル化時間
熱板法により、180℃にて求めた。
【0091】
v)ナトリウムイオン
原子吸光法(Seiko Instruments社製Atomic Absorption Spectrophotometer SAS7500)により測定した。
【0092】
vi)可鹸化塩素量
水酸化カリウムアルコール溶液を用い、110℃30分で加熱後、硫酸銀水溶液を用いた電位差滴定法によって測定した。
【0093】
【表2】
【0094】
実施例2
表3に示す配合に従い、各種反応型難燃剤、添加型難燃剤を添加し、凝集がなく、均一に分散されるまで混合、撹拌を行い、配合溶液を調製した。
【0095】
例えば、サンプルNo.2、No.7用の配合溶液に用いた溶液等は以下のとおりである。溶液A、Cは実施例2と同様のものである。
【0096】
サンプルNo.2用
溶液A:ポリビニルベンジルエーテル化合物(VB)の55%(質量百分率)トルエン溶液:70g
溶液C:テトラブロモビスフェノールAのビニルベンジル化合物(TBBA−VB)の55%(質量百分率)トルエン溶液:30g
【0097】
サンプルNo.7用
溶液A:ポリビニルベンジルエーテル化合物(VB)の55%(質量百分率)トルエン溶液:154.55g
溶液C:テトラブロモビスフェノールAのビニルベンジル化合物(TBBA−VB)の55%(質量百分率)トルエン溶液:27.27g
【0098】
三酸化アンチモンSb(フレームカット610R、チッソ株式会社製):7.5g
次に、ガラスクロス入プリプレグを以下のようにして作成した。ガラスクロス(1080タイプ、厚み50μm 、旭シェーベル株式会社製)を上記で調製した配合溶液により含浸塗工し、110℃2時間の仮硬化処理を行い、ガラスクロスを内蔵したプリプレグを得た。得られた厚みは100μm であった。
【0099】
さらに、以下のようにして、ガラスクロス入積層板を作成した。上記のプリプレグを10枚重ね、温度プロファイル120℃30分、150℃30分、180℃6.5時間、圧力300MPaにて加熱、加圧硬化を行い、ガラスクロス入り積層板を得た。厚みは800μm であった。
【0100】
このような同一手順により、表3に示す配合によるガラスクロス入積層板のサンプルを作成した。サンプルNo.1は、難燃剤を配合しないガラスクロス入積層板のサンプルである。
【0101】
作成したサンプルを次のようにして評価した。サンプルは各々記述されている形状にカットして評価を行った。結果を表3、4に示す。
【0102】
i)UL94燃焼性試験
UL−94HBのUL94燃焼性試験、およびUL−94V−0、V−1、V−2のUL94燃焼性試験によった。サンプル形状は127mm×12.7mm×0.8mm(1/32インチ)とした。
【0103】
ii)誘電率、誘電正接
摂動法により、測定周波数:2GHzにて誘電率、誘電正接を測定した。サンプル形状は90mm×1.5mm×0.8mmとした。
【0104】
iii)体積抵抗率
JIS C 6481に準拠して求めた。サンプル形状は、電極部の径50mm、厚みt=0.8mmとした。
【0105】
iv)吸水率(%)
吸水条件は60℃90%RH下48時間とした。サンプル形状は50mm×50mm×0.8mmとした。
【0106】
v)線膨張係数(材料厚み方向)
熱分析装置:TMA−50(SHIMADZU)を用い、昇温条件を10℃/分とし、室温(18℃)〜250℃で、エア中で測定した。サンプル形状は10mm×10mm×0.8mmとした。
【0107】
vi)曲げ強度
万能荷重試験機:AGS1000D(SHIMADZU)を用い、JIS C 6481に準拠して求めた。サンプル形状は40mm×25mm×0.8mmとした。
【0108】
vii)銅箔ピール強度
万能荷重試験機:AGS1000D(SHIMADZU)を用い、JIS C 6481に準拠して求めた。サンプル形状は100mm×25mm×0.8mm(銅箔部分は100mm×10mm)とした。
【0109】
viii)分解開始温度(℃)
熱分析装置:DTG−50(SHIMADZU)を用い、昇温条件を20℃/分とし、室温(18℃)〜800℃で、エア中で測定した。サンプル形状は5mm×5mm×0.8mmとした。
【0110】
ix)腐食性試験(不純物イオンによる)
40℃90%RH下、250V(直流)を1000時間、銅線(0.06mm径)に印加したとき、銅線断線および腐食の有無を調べ、これらがないときを合格とした。サンプル形状は30mm×10mm×0.8mmとした。
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
表3、4より、本発明の組成物から得られたサンプルは、ポリビニルベンジルエーテル化合物の硬化物のもつ電気的特性を損なうことなく、難燃化を実現できることがわかる。特に、難燃剤の配合量を本発明の好ましい範囲にすると誘電率の上昇および誘電正接の増加がなく、機械的強度を良好に保つことができる(サンプルNo.2〜11とサンプルNo.12、13との比較)。なお、サンプルNo.7は燃焼性試験において、HBであったが、サンプルNo.1に比べて、明らかに燃焼時間が短くなっていることがわかった。また、難燃剤の添加量を多くすれば、難燃レベルを上げることも可能であると推定される。
【0114】
【発明の効果】
本発明によれば、硬化物としたとき、ポリビニルベンジルエーテル化合物のもつ誘電特性などの優れた特性を維持したままで、難燃化が可能となる組成物の提供が可能になる。

Claims (5)

  1. 式(1)で表されるポリビニルベンジルエーテル化合物と、ハロゲン化フェノール化合物の有するフェノール性水酸基の少なくとも一つをビニルベンジルオキシ基としたハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物とを含有する硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
    [式(1)中、R1はメチル基またはエチル基を表し、R2は水素原子または炭素数1〜10の炭化水素基を表し、R3は水素原子またはビニルベンジル基(ただし、水素原子とビニルベンジル基とのモル比は60:40〜0:100)を表し、nは2〜4の数である。]
  2. ポリビニルベンジルエーテル化合物とハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物の含有量が、ハロゲン化フェノールのビニルベンジルエーテル化合物/ポリビニルベンジルエーテル化合物の質量比で表したとき5/95〜70/30である請求項1の硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
  3. さらに、少なくとも1種類の添加型難燃剤を含有する請求項1または2の硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
  4. 少なくとも1種類の添加型難燃剤の含有量が、添加型難燃剤/ポリビニルベンジルエーテル化合物の質量比で表したとき5/95〜70/30である請求項3の硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
  5. 100MHz〜10GHzの周波数領域で使用される材料に用いられる請求項1〜4のいずれかの硬化性難燃化ポリビニルベンジルエーテル樹脂組成物。
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