JP3598798B2 - 混床式脱塩装置の再生方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば火力発電所用復水処理設備等に用いられている混床式脱塩装置のイオン交換樹脂床の再生方法に係り、特に該樹脂床の再生に当り、イオン交換樹脂に付着した金属酸化物を効率的に除去すると共に、イオン交換樹脂からの溶出物の生成を防止して、効果的な再生を行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
火力発電所等の復水処理設備は、通常の場合、復水中の鉄錆などの懸濁性物質を除去する電磁フィルタよりなる復水フィルタと、復水中に含まれる不純物イオンを除去する復水脱塩装置とから構成される。この復水脱塩装置は、水素形強酸性カチオン交換樹脂(H形カチオン交換樹脂)と、遊離塩基形強塩基性アニオン交換樹脂(OH型アニオン交換樹脂)とが混合状態で充填された混床式イオン交換樹脂装置(混床式脱塩装置。以下「脱塩塔」と称す場合もある。)で構成されている。
【0003】
この混床式脱塩装置のイオン交換樹脂床の再生に当たっては、再生剤等の薬品がボイラ等へ混入するのを防止するために、混床塔内のイオン交換樹脂を再生専用の塔へ移送し、一般的には、次のような工程を経ることにより再生処理が行われる。
【0004】
逆洗工程(脱塩塔におけるイオン交換樹脂床の逆洗)→第1移送工程(脱塩塔から分離再生塔へのイオン交換樹脂の移送)→逆洗分離工程(分離再生塔でのイオン交換樹脂の逆洗とアニオン交換樹脂/カチオン交換樹脂分離)→第2移送工程(分離再生塔から再生塔へのアニオン交換樹脂又はカチオン交換樹脂の移送)→スクラビング工程(再生塔及び分離再生塔における各イオン交換樹脂のスクラビング)→再生工程(再生塔及び分離再生塔における各イオン交換樹脂の再生)→押し出し・水洗工程(再生剤の押し出しと洗浄)→第3移送工程(再生塔及び分離再生塔から貯槽へのイオン交換樹脂の移送)→混合工程(貯槽でのアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混合)
逆洗工程は、脱塩塔内に水を上向流で通水してイオン交換樹脂床をほぐす工程であり、この水と共に空気を供給する場合もある。逆洗・分離工程は、分離再生塔に水を上向流で通水した後静置してカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とを比重差で分離して成層化する工程であり、この際、十分な撹拌作用を得るために空気を同時に供給することもある。この逆洗・分離は、脱塩塔内で行う場合もあるが、一般的には分離再生塔において行われる。そして、逆洗分離を分離再生塔で行う場合に、逆洗分離に先立ち、脱塩塔内のイオン交換樹脂を移送水によって分離再生塔に移送するのが、第1移送工程である。この移送に当っては、通常水と気体(通常は空気)が併用される。なお、逆洗工程及び逆洗分離工程においては、復水の脱塩処理で捕捉した金属酸化物などの濁質分の剥離除去も行われる。
【0005】
また、分離再生塔でアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが分離成層化された後、いずれか一方のイオン交換樹脂を水或いは水と気体(空気)により再生塔へ移送するのが第2移送工程である。
【0006】
その後、再生工程では、分離再生塔において、第2移送工程後残留するイオン交換樹脂の再生が、また、再生塔において、第2移送工程で移送されたイオン交換樹脂の再生が行われる。この再生に先立ち、イオン交換樹脂床下方から気体を供給し、次いで水を上向流で供給する操作を数回繰り返すスクラビングを行う。このスクラビング工程で、イオン交換樹脂に付着している金属酸化物を十分に除去する。その後、再生剤を供給してイオン交換樹脂の再生を行う。
【0007】
イオン交換樹脂の再生後は、押し出し・水洗工程にて、各塔に純水を通水し、再生剤の押し出しと水洗浄を行う。
【0008】
このようにして各塔で再生、洗浄されたイオン交換樹脂は、イオン交換樹脂貯槽に移送され(第3移送工程)、貯槽内で混合された後、次の使用時まで貯留される。
【0009】
ところで、復水脱塩装置では、復水中の鉄酸化物などの金属酸化物(クラッド)をイオン交換樹脂との電荷的な作用でイオン交換樹脂に付着させることにより除去しており、従って、脱塩処理により、イオン交換樹脂には金属酸化物が徐々に蓄積してその付着量が増加する。
【0010】
このようなイオン交換樹脂による金属酸化物の除去性能は、イオン交換樹脂の表面が清浄であり、金属酸化物の付着量が少ない場合には高いが、イオン交換樹脂の表面が汚染してくると、金属酸化物の付着能力が低下し、金属の除去機能も低下する。
【0011】
このため、イオン交換樹脂の再生に当っては、イオン交換樹脂の逆洗工程及び再生工程のスクラビング処理でイオン交換樹脂を水中で十分に撹拌することにより付着している金属酸化物を剥離除去し、イオン交換樹脂の表面を清浄化している。
【0012】
この際、使用する水に導電性を持たせることにより、より一層効果的な金属酸化物の剥離除去を行えることが確認されており、特開平9−99244号公報には、イオン交換樹脂の逆洗に先立ち、或いは、逆洗時に炭酸ガスを供給し、金属酸化物の剥離効果を高めることが記載されている。
【0013】
なお、近年、イオン交換樹脂がその再生時に酸化されることが明らかとなり、PWR(加圧水型原子炉)の混床式脱塩装置におけるイオン交換樹脂の再生時の酸化については、火力原子力発電誌Vol.45No.8に報告されている。この研究報告によれば、ヒドラジン形やアンモニア形のイオン交換樹脂(カチオン交換樹脂)が酸化物の共存下で十分な酸素供給を受けることにより酸化剤が生成し、この酸化剤によりカチオン交換樹脂が酸化分解を受けると推定されている。しかして、本発明者らは、検討の結果、この酸化物は、主にイオン交換樹脂に付着している金属酸化物が触媒として作用することで、金属酸化物の存在下にカチオン交換樹脂に吸着したヒドラジンと水中の溶存酸素とが反応して生成する過酸化水素であることを知見した。
【0014】
ところで、イオン交換樹脂は一般に不溶性といわれてきたが、近年の水質の高度化の要求に応じてイオン交換樹脂からの微量な有機物の溶出に関する調査がなされ、イオン交換樹脂はカチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂を問わずその一部が溶出することが解明された。即ち、カチオン交換樹脂からはその官能基であるスルホン酸を主成分とする有機物が溶出し、アニオン交換樹脂からは同様にその官能基に由来するトリメチルアミンが溶出してくる。
【0015】
通常、この溶出物量は微量であって殆ど問題とされないが、高度な処理水が要求される系統では、これら溶出物によるイオン交換樹脂の性能低下が問題となっている。
【0016】
特に、カチオン交換樹脂からの溶出物であるスルホン酸系の有機物は、混床内でアニオン交換樹脂に強く吸着するが、その吸着容量は小さく、比較的短期間のうちにこのスルホン酸系の溶出物を吸着除去し得なくなる。そして、このスルホン酸系の溶出物を吸着したアニオン交換樹脂は脱塩能力が低下し使用に耐えなくなる。この場合には、アニオン交換樹脂で除去し得なくなったカチオン交換樹脂からのスルホン酸系の溶出物が徐々に処理水中に含まれることによって、処理水の水質が低下する。このため、イオン交換樹脂を早目に新品に交換する必要があった。
【0017】
このカチオン交換樹脂からの溶出物は、主に、次のような原理で発生する。
【0018】
即ち、火力発電所やPWR形原子力発電所の復水の混床式脱塩装置では、復水の水質管理薬剤として注入されているアンモニアやヒドラジンがカチオン交換樹脂に吸着される。脱塩が終了したイオン交換樹脂は、前述の如く、脱塩塔から分離再生塔及び再生塔に移送されるが、この際、イオン交換樹脂の移送には、加圧空気や水が使用される。この移送操作時において、移送水中にはほぼ飽和状態の酸素が存在し、一方でカチオン交換樹脂にはアンモニアやヒドラジンが吸着されていると共に、金属酸化物が付着している。従って、前述の研究報告にあるように、ヒドラジンと金属酸化物と溶存酸素との共存で酸化剤が生成し、カチオン交換樹脂が酸化される。
【0019】
カチオン交換樹脂が酸化されると、例えばスチレンの鎖や架橋剤が酸化分解されて低分子化するため、スチレンの鎖と鎖の間隔が広がることとなり、この間隙から低分子化した有機物が外部に流出しやすくなる。このようなことから、酸化されたカチオン交換樹脂からの有機溶出物が増加することとなる。
【0020】
このカチオン交換樹脂の酸化の要因の一つである金属酸化物の剥離除去には、前述の如く、逆洗やスクラビングを行うのが好ましく、この際の樹脂混合動力源としては、最も安価であることから空気の使用が望ましいが、空気中には約20%の酸素が含まれているため、むしろ酸素を供給することとなり、酸化剤の生成量が増してイオン交換樹脂の酸化が促進される。
【0021】
特開平9−99244号公報に記載されるように、炭酸ガスを用いるならば、金属酸化物の剥離効果も高い上に、酸素の増加も防止できる。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平9−99244号公報記載の方法では、一連の再生工程における酸化剤の生成及びそれによるイオン交換樹脂の酸化について認識されておらず、このため、逆洗前の移送工程の水等についての配慮がなされていないために、イオン交換樹脂の酸化を十分に防止することはできない。しかも、炭酸ガスはその気化時や膨張時に吸熱するため、炭酸ガスの供給のためには気化装置(この気化装置には加熱のための熱量を必要とし、この熱量は炭酸ガス使用量に比例する。)が必要となること、更には最近の地球温暖化防止の観点から、その使用量は極力少ないことが望まれる。
【0023】
本発明は上記従来の問題点を解決し、混床式脱塩装置のイオン交換樹脂床の再生に当り、イオン交換樹脂に付着した金属酸化物を効果的に剥離除去すると共に、イオン交換樹脂の酸化劣化を防止することができる混床式脱塩装置の再生方法を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】
請求項1の混床式脱塩装置の再生方法は、混床式脱塩装置のイオン交換樹脂床に水を供給して、イオン交換樹脂を逆洗、分離又は移送する際に、該樹脂床に供給する水として、炭酸ガスと窒素ガスとの混合気体により溶存酸素減少処理された水を使用することを特徴とする。
【0025】
請求項2の混床式脱塩装置の再生方法は、混床式脱塩装置のイオン交換樹脂床に水と気体を供給して、イオン交換樹脂を逆洗、分離又は移送する際に、該樹脂床に供給する水として、炭酸ガスと窒素ガスとの混合気体により溶存酸素減少処理された水を使用し、該樹脂床に供給する気体として、炭酸ガスと窒素ガスとの混合気体を使用することを特徴とする。
【0026】
再生時に樹脂床に供給する水として、炭酸ガスと窒素ガスとの混合気体(以下「N2−CO2混合ガス」と称す。)により溶存酸素減少処理された水を用いることにより、再生系内に金属酸化物とヒドラジンが存在しても、溶存酸素の供給が抑制されるため、前述の過酸化水素等の酸化剤の生成は防止され、結果として、イオン交換樹脂の酸化劣化、イオン交換樹脂からの溶出物の生成は低減される。
【0027】
また、N2−CO2混合ガスにより処理された水は、炭酸ガスの溶解でpHが酸性となるため、イオン交換樹脂の荷電を中和してイオン交換樹脂に付着している金属酸化物を剥離し易くする。そして、このように、再生時に過酸化水素等の酸化剤生成の触媒として作用する金属酸化物を容易に剥離除去することができ、イオン交換樹脂から金属酸化物が早期に除去されることからも、より一層酸化剤の生成は防止される。
【0028】
また、併せて、再生時に樹脂床に供給する気体としてN2−CO2混合ガスを用いることにより、上記と同様に、系内の酸素量を低減して酸化剤の生成及びそれによるイオン交換樹脂の酸化劣化を防止すると共に、炭酸ガスのpH低減効果で金属酸化物を効率的に剥離除去することができるようになる。
【0029】
しかも、本発明ではN2−CO2混合ガス使用するため、炭酸ガスのみを用いる場合に比べて、炭酸ガス使用量を大幅に低減できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0031】
本発明においては、混床式脱塩装置のイオン交換樹脂の再生に当り、逆洗、分離又は移送時に供給する水(以下「再生用水」と称する場合がある。)として、N2−CO2混合ガスにより溶存酸素減少処理された水(一般的には純水を用いる。)を用いる。
【0032】
この溶存酸素減少処理としては、例えば、次のような方法が挙げられる。
【0033】
(1) 再生用水の貯留タンクをN2−CO2混合ガスでシールして、空気との接触を防止し、水中への酸素の溶解を防止する。
【0034】
(2) 上記(1)の貯留中に更に、貯留タンク内の水中にN2−CO2混合ガスを供給して溶存酸素を低減する。
【0035】
本発明で用いる再生水は、このような溶存酸素減少処理により、溶存酸素量が4ppm以下、特に2ppm以下程度に低減されたものが好ましい。なお、通常イオン交換樹脂の再生に用いられる水は、溶存酸素8ppm程度の飽和状態となっている。
【0036】
また、この再生水には、N2−CO2混合ガスで処理されることにより炭酸ガスが溶解してpHが低下し、これにより金属酸化物の剥離効果が得られるが、本発明では、この金属酸化物の剥離効果の面から、再生水のpHは2〜5、特に3〜4に低減されていることが好ましい。
【0037】
本発明において用いるN2−CO2混合ガスのN2/CO2混合比(容積比)は、4/1〜19/1であることが好ましい。この混合比よりも窒素ガスが多いとイオン性が損われ、上記pHの低減効果が得られず、金属酸化物の剥離促進効果が得られない。この混合比よりも炭酸ガスが多いと、N2−CO2混合ガスを用いることによる炭酸ガス使用量低減効果が得られず、気化装置の熱量コスト等が高騰する。一般に、上記混合比でN2−CO2混合ガスを用いることにより、炭酸ガスのみを使用する場合に比べて、炭酸ガス使用量を1/5〜1/20に削減することができ、極めて有利である。
【0038】
本発明では、再生水としてN2−CO2混合ガスで溶存酸素減少処理した水を用いると共に、再生時に供給する気体としてN2−CO2混合ガスを用いることで、水中への酸素の溶解を防止し、イオン交換樹脂と酸素との接触を防止して、酸化剤の生成を抑制すると共に、炭酸ガスの作用で金属酸化物の剥離を促進する。
【0039】
前述の如く、混床式脱塩装置のイオン交換樹脂の再生処理は、一般に、逆洗工程、第1移送工程、逆洗分離工程、第2移送工程、スクラビング工程、再生工程、押し出し・水洗工程、第3移送工程の手順で実施される。本発明においては、特に、これらの工程のうち、スクラビング工程までに供給する再生水としてN2−CO2混合ガスで溶存酸素減少処理した水を用いると共に、気体としてN2−CO2混合ガスを用いるのが好ましい。特に、スクラビング工程において、N2−CO2混合ガスとN2−CO2混合ガスで溶存酸素減少処理した水を用いることにより、優れた金属酸化物の剥離促進効果と酸化剤の生成防止効果を得ることができる。なお、再生工程以降においては、既に金属酸化物も除去され、また、ヒドラジンも再生工程で除去されるため、酸化剤の生成量も比較的少ないことから、必ずしもN2−CO2混合ガス及びN2−CO2混合ガスで溶存酸素減少処理した水を使用する必要はない。
【0040】
なお、N2−CO2混合ガスは、前工程で使用した使用済のN2−CO2混合ガスを回収して後工程で再使用するようにしても良い。
【0041】
【実施例】
以下に実験例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0042】
実験例1
▲1▼ 空気撹拌による再生
内径50mm、高さ2000mmの円筒形のアクリルカラムに、カチオン交換樹脂(三菱化学(株)製「ダイヤイオンPK228」)1.5Lとアニオン交換樹脂(三菱化学(株)製「ダイヤイオンPA312」)0.75Lを十分再生した状態で充填し、実際の復水処理において流入する鉄量の2倍量に相当するクラッド(Fe3O4)1g(Fe換算)とNH336g(13Nのアンモニア水163g)を投入し、加圧空気を下部から導入して均一に混合した後、1ケ月間放置した。
【0043】
その後、このカラム内の樹脂を空気曝気し、水逆洗分離して、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂それぞれを個別に塩酸と苛性ソーダで再生した。再生後、それぞれの再生樹脂を取り出してビーカー内で混合し、上記アクリルカラムに再度充填した。
【0044】
この空気曝気後の水逆洗分離排水、カチオン交換樹脂再生排水、アニオン交換樹脂再生排水、及び、ビーカー内で混合しカラムに充填した際の排水(混合、充填時排水)について、その鉄濃度を測定した結果、以下のような値を得た。
【0045】
【表1】
【0046】
この結果から、一連の再生操作でイオン交換樹脂に残留した鉄量は、(1000−580−26−24−10)=360mgであることがわかる。
【0047】
▲2▼ N2−CO2混合ガス撹拌による再生
上記▲1▼と同様の条件でカラムに樹脂を充填し、クラッド(Fe3O4)1g(Fe換算)とNH336gを投入し加圧空気を下部から導入してよく均一に混合した後、1ケ月間放置した。
【0048】
その後、このカラムの樹脂をN2/CO2=8/2のN2−CO2混合ガスを用いて曝気したこと以外は、上記▲1▼と同様にして再生し、同様に各排水の鉄濃度を測定した結果、以下のような値を得た。
【0049】
【表2】
【0050】
この結果から、このN2−CO2混合ガス撹拌による一連の再生操作でイオン交換樹脂に残留した鉄量は、(1000−819−17−14−3)=147mgと、上記▲1▼の空気撹拌による場合に比べて著しく少なく、イオン交換樹脂に付着したクラッドを効果的に剥離除去できることがわかる。
【0051】
実験例2
実験例1の▲1▼空気撹拌による再生及び▲2▼N2−CO2混合ガス撹拌による再生において、各々、鉄を新たに負荷することなく、NH3負荷と一連の再生操作(曝気、水逆洗、分離、再生、再混合、充填)とを30回繰り返し実施した後、NH30.5ppmを添加した模擬復水を通水し、得られる処理水(イオン交換水)の水質(導電率)の経時変化を調べ、結果を図1に示した。
【0052】
図1より、N2−CO2混合ガス撹拌を採用した場合の方が、空気撹拌の場合よりもイオン交換樹脂のイオン交換性能を長期間維持することができ、良好な水質の処理水を得ることができることがわかる。
【0053】
実施例1,2、比較例1
最も一般的なPWR復水脱塩装置の通常運転時のヒドラジン吸着量である、N2H5形樹脂量:10%,NH4形樹脂量60%,H形樹脂量30%のカチオン交換樹脂(樹脂の付着金属量:Fe3O40.1g,CuO 0.02g)1Lを、表3に示す水(水の成分:NH31ppm,N2H40.2ppm)2Lに、撹拌下、30分間接触させた後の水中の過酸化水素濃度及び鉄濃度を測定し、結果を表3に示した。
【0054】
【表3】
【0055】
表3より、N2−CO2混合ガスにより溶存酸素濃度が低減されると共にpHが弱酸性とされた水を用いることにより、再生中の過酸化水素の発生を大幅に低減でき、その結果、イオン交換樹脂の酸化分解及びそれによる溶出物の発生を有効に防止できると共に、金属酸化物を効果的に剥離除去できることがわかる。
【0056】
実施例3,4、比較例2,3
最も一般的なPWR復水脱塩装置の通常運転時のヒドラジン吸着量である、N2H5形樹脂量:10%,NH4形樹脂量60%,H形樹脂量30%のカチオン交換樹脂(樹脂の付着金属量:Fe3O40.1g,CuO 0.02g)1Lを、表4に示す水(水の成分:NH31ppm,N2H40.2ppm)2Lに入れ、表4に示す気体を散気ノズルで供給して30分間撹拌した後の、水中の過酸化水素濃度及び鉄濃度を測定し、結果を表4に示した。
【0057】
【表4】
【0058】
表4より、N2−CO2混合ガスにより溶存酸素濃度が低減された水を用いると共に、N2−CO2混合ガスで撹拌することにより、再生中の過酸化水素の発生を大幅に低減できると共に、金属酸化物を効果的に除去できることがわかる。
【0059】
なお、比較例3では、撹拌にCO2ガスを用いているため、過酸化水素の発生の低減効果、金属酸化物の剥離効果も得られるが、この比較例3では、実施例3,4の場合に比べて、5〜20倍ものCO2を必要とする。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の混床式脱塩装置の再生方法によれば、混床式脱塩装置のイオン交換樹脂の再生に当り、イオン交換樹脂に付着している金属酸化物を効率的に剥離除去すると共に、イオン交換樹脂の酸化劣化を防止して、イオン交換樹脂を極めて良好な状態に再生することができる。このため、本発明方法により再生されたイオン交換樹脂によれば、長期に亘りイオン交換性能及び金属酸化物の濾過性能を高く維持して良好な水質の処理水を得ることができる。
【0061】
しかも、本発明では、N2−CO2混合ガスを用いるため、CO2ガス単独で用いる場合に比べて、CO2使用量を大幅に低減することができ、処理コストの低減、地球温暖化防止に有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例2の結果を示すグラフである。
Claims (2)
- 混床式脱塩装置のイオン交換樹脂床に水を供給して、イオン交換樹脂を逆洗、分離又は移送する際に、該樹脂床に供給する水として、炭酸ガスと窒素ガスとの混合気体により溶存酸素減少処理された水を使用することを特徴とする混床式脱塩装置の再生方法。
- 混床式脱塩装置のイオン交換樹脂床に水と気体を供給して、イオン交換樹脂を逆洗、分離又は移送する際に、該樹脂床に供給する水として、炭酸ガスと窒素ガスとの混合気体により溶存酸素減少処理された水を使用し、該樹脂床に供給する気体として、炭酸ガスと窒素ガスとの混合気体を使用することを特徴とする混床式脱塩装置の再生方法。
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