JP3598714B2 - 音響処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のスピーカユニットを有するオーディオシステムなどに採用できる音響処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2チャンネルオーディオステレオシステムでは、L、Rの2チャンネルのスピーカからの音波が同一タイミングで聞こえるようにするため、各スピーカをリスニングポイントから等距離となる位置に配置することが好ましいとされる。
これと同様の理由で、2チャンネル、4チャンネル、6チャンネルなどの車載用オーディオシステムでも、リスニングポイントから各スピーカまでの距離が等距離となるようにすることが好ましい。
しかしながら、自動車内では、リスニングポイントとしては、運転席、助手席、後部座席左右などが考えられるとともにスピーカの設置位置も車種などに応じて限定されてしまう。
車載用のオーディオシステムでは例えば運転席前面のコンソールの左右に高域用のスピーカが配置され、また後部座席後方左右に低域用のスピーカが配置されることが多い。また6チャンネルの場合は例えば運転席側及び助手席側のドアに中域用のスピーカが設置される。
なお、本明細書では、「チャンネル」とは、異なる位置に配置されるスピーカユニットのそれぞれに対応する音声信号供給系を意味することとしている。
【0003】
このようなスピーカ配置状況では、車室内のどの席でも、全スピーカから均等な距離とはならない。
このためチャンネル毎に音声信号に遅延時間を設定してスピーカ出力時間を調整することですることで、リスニングポイントにおいて擬似的に全スピーカから等距離で音波が届くようにすることで理想的なリスニング状態となるようにする機能(タイムアライメント機能)が搭載されているものがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このタイムアライメント機能では、リスニングポイントと各スピーカとの間の距離に基づいて、各スピーカへ供給される音声信号に所要の遅延時間を与えるものである。リスニングポイントからの距離が異なる2つのスピーカについて簡単に説明する。
リスニングポイントからの距離が異なる2つのスピーカが存在する場合、近い方のスピーカからの音波の方がリスニングポイントに早く到達することになる。そこで近い方のスピーカとリスニングポイントの距離DNと、遠い方のスピーカとリスニングポイントの距離DFの差(DF−DN)を算出すると、この差は音波到達時間差に相当する距離差となり、この距離差に相当する時間だけ、近い方のスピーカへ供給する音声信号に遅延を与えれば、リスニングポイントでは擬似的に両スピーカから同タイミングの音波が同時に到達することになる。つまりスピーカやリスニングポイントの実際の位置関係に関わらず、理想的なリスニング環境を得ることができる。
【0005】
ところが、このような機能を生かすためには、ユーザーは各スピーカの位置、リスニングポイントの位置等、もしくはリスニングポジションから各スピーカまでの距離を音速で割った遅延時間などの情報を機器に入力しておかなければならない。
スピーカの位置については通常固定であるため、初期設定時などに入力するのみでよいが、リスニングポイントについては使用に際して変更されることが多い。例えば運転席をリスニングポイントと設定した場合は、そのタイムアライメント効果は助手席や後部座席では得られず、例えば助手席でタイムアライメント効果を得る場合は新たに助手席の位置に関するパラメータを入力しなければならないことになり、その設定操作が非常に面倒なものとなる。
そしてこのような面倒によって、タイムアライメント機能が有効に利用されないといった問題が生ずる。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明はこのような問題点に鑑みて、複数のリスニングポイントが考えられる場合でも、その各リスニングポイントの設定操作が非常に簡易に実行できるようにし、タイムアライメント機能が手軽かつ有効に利用できるようにすることを目的とする。
【0007】
このために、表示手段に複数のスピーカユニットにより形成される音響空間に対応する画像を表示させるとともに、その音響空間の表示画面上で、操作手段によるポインタ移動操作に応じた位置にポインタ画像を表示させることのできる表示制御手段と、ポインタ画像の表示位置に応じた音響空間内の位置をリスニングポイントとし、このリスニングポイントと各スピーカユニットの間の距離情報の算出結果から、音響処理手段での各チャンネルの音声信号に与えるべき遅延時間を設定制御する遅延制御手段とを備えるようにする。
つまりリスニングポイントの設定を画面上の操作で可能とし、特にリスニングポイント位置やスピーカまでの距離などの値を入力する必要をなくす。
例えば遅延制御手段が、音響空間に相当する座標と、該音響空間における各スピーカユニットの位置を座標値として保持していることで、画面上でユーザーが指示したリスニングポイントを座標値で把握でき、座標計算により距離及びそれに応じた遅延時間を算出できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図1から図6により、本発明の実施の形態としての一例を説明する。この例は車載用の6チャンネルステレオオーディオシステムに搭載される音響処理装置であるとする。説明は次の順序で行う。
1.音響処理装置の構成
2.初期設定
3.タイムアライメント調整
【0009】
1.音響処理装置の構成
図1はL/R各3ウエイの6チャンネルステレオオーディオシステムに搭載される実施の形態の音響処理装置のブロック図である。
この音響処理装置には例えばCDプレーヤ等からのユニットから音声信号SINが入力され、その音声信号SINを6チャンネルのスピーカユニットに供給するためのデジタルプリアンプユニット(クロスオーバーネットワーク)としての処理を行うものである。
音声信号SINは音響処理装置のプリアンプユニット2に入力され、パワーアンプとしての増幅処理や6チャンネル信号(周波数帯域毎の3ウエイ信号)への変換が行われる。またこのプリアンプユニット2にはタイムアライメントのための遅延機能を備えている。
プリアンプユニット2からは6チャンネルの各スピーカに供給する6チャンネルの音声信号が出力される。本例での6チャンネルの信号とは、L、Rの各チャンネルの信号がそれぞれ高域、中域、低域に分けられるため、Lチャンネル高域成分である音声信号SHL、Lチャンネル中域成分である音声信号SML、Lチャンネル低域成分である音声信号SLL、Rチャンネル高域成分である音声信号SHR、Rチャンネル中域成分である音声信号SMR、Rチャンネル低域成分である音声信号SLRとなる。
【0010】
音声信号SHLは、例えば図4に示すように自動車内のフロントコンソール左側に設置されている高域左スピーカHLに供給される。
音声信号SMLは、例えば助手席側ドアに設置されている中域左スピーカMLに供給される。
音声信号SLLは、例えば後部座席後方左側に設置されている低域左スピーカLLに供給される。
音声信号SHRは、例えば自動車内のフロントコンソール右側に設置されている高域右スピーカHRに供給される。
音声信号SMRは、例えば運転席側ドアに設置されている中域右スピーカMRに供給される。
音声信号SLRは、例えば後部座席後方右側に設置されている低域右スピーカLRに供給される。
【0011】
プリアンプユニット2での処理は、制御部1の制御に基づいて実行される。制御部1はマイクロコンピュータにより構成される。
ROM5、不揮発性メモリ6には、プログラム、設定データ、処理係数等が記憶され、制御部1はこれらの情報を用いて必要な制御動作を実行する。
制御部1は、さらに操作部3を用いたユーザー操作の監視及び操作に応じた処理や、表示部4に対する表示制御等を行うことになる。
操作部3には、例えばメニューキー、モード設定キー、数値入力キー、エンターキー、ポインタ移動キーなどが用意され、後述する初期設定動作やタイムアライメント調整動作に関してユーザーが行うべき操作入力が可能とされる。
【0012】
表示部4に対して制御部1は、オーディオシステムのパワーアンプユニットとして必要な表示の他、後述するタイムアライメント調整の際のリスニングポイント設定のための表示を行う。
【0013】
プリアンプユニット2の内部構成を図2に示す。
音声信号SINはプリアンプユニット2においてまずA/D変換器21においてデジタルデータに変換される。そしてデジタル音声データとしてDSP22(DIGITAL SIGNAL PROCESSER)に供給される。DSP22は音声信号に対してクロスオーバーネットワークとしての処理等の必要なフィルタ処理、イコライジング処理等を施す。またこれらの必要な演算処理を施したデータについて、D−RAM23を用いてタイムアライメント等のためのチャンネル毎の遅延処理を行う。即ちD−RAM23での書込、読出タイミングを調整することで、各チャンネルの音声信号に対して制御部1から指示された所要の遅延時間を与える。制御部1からは例えば遅延量がサンプル数として与えられ、D−RAM23への書込タイミングそのサンプル数に相当するサンプルクロックタイミングだけ読出タイミングを遅らせることになる。
【0014】
各チャンネルについてのデジタル音声信号はそれぞれD/A変換器24〜29においてアナログ音声信号とされ、音量調整部30でパワーアンプユニットとしての増幅及び音量調節処理が施される。そしてプリアンプユニット2から出力される各チャンネルの音声信号SHL、SML、SLL、SHR、SMR、SLRが、6つのスピーカユニットに供給されることになる。
【0015】
2.初期設定
このような音響処理装置においてタイムアライメント機能のために行われる初期設定動作について説明する。
タイムアライメント機能は、前述したように複数の各スピーカユニットから実際には等距離とはならないリスニングポイントで、擬似的に等距離での理想的なリスニング環境を形成するために、チャンネル毎の音声信号に対してそれぞれ所要の遅延を与え、同一タイミングの各チャンネルの音声(音波)が同時的にリスニングポイントに到達するようにする機能である。
【0016】
この機能を実現するためには各スピーカユニットからリスニングポイントまでの距離の差がわからなければならないが、本例ではこのために制御部1があらかじめ車室内に相当する空間の座標と各スピーカユニットの位置に相当する座標値を記憶するようにしている。この記憶設定のための作業として初期設定動作が行われる。
【0017】
即ち初期設定としてはユーザーが車室内の空間の縦及び横のサイズを入力し、制御部1はそのサイズの車室空間をxy座標系とするとともに、例えば6チャンネルシステムの場合は、ユーザーが6つのスピーカの位置を入力して制御部1が各スピーカの位置を座標値として保持する処理となる。図4は車室内のイメージを示しているが、初期設定としては、ここに示すのx,yのサイズ及び各スピーカユニットHL、ML、LL、HR、MR、LRの位置を入力し、制御部が各スピーカユニットのxy座標系での座標値として、図5に示すように、
スピーカユニットHLの位置=(HLx,HLy)
スピーカユニットMLの位置=(MLx,MLy)
スピーカユニットLLの位置=(LLx,LLy)
スピーカユニットHRの位置=(HRx,HRy)
スピーカユニットMRの位置=(MRx,MRy)
スピーカユニットLRの位置=(LRx,LRy)
という値を把握することになる。
【0018】
この初期設定のためのユーザーの操作方式は各種考えられるが、ここでは3種類の初期設定操作例を述べておく。
【0019】
まず第1の初期設定方式としては、ユーザーの操作が最も簡単となる方式である。
車室内の空間のサイズは車種によって決まっている。また、そのスピーカ搭載位置もほとんどの場合は固定である(つまり車種によってきまっている)。
そこで、あらかじめROM5や不揮発性メモリ6などに車種(メーカー名、車名、年式)のデータに対応させてテーブル形式でxyサイズ及び各スピーカ位置の座標値を記憶しておく。
【0020】
初期設定動作が開始された場合は、制御部1は表示部4に車種データの一覧表示を行い、ユーザーに対して選択操作を促す。このとき、例えばメーカー名選択画面、車名選択画面、年式選択画面とメニュー階層式に表示を進めてユーザーの選択を順次促すようにするとよい。
このような選択メニュー表示に対してユーザーが操作部3による選択操作を行うことで、制御部1には当該オーディオシステムが搭載された車の車種がわかり、従って車種に対応してテーブルデータを参照することで、車室サイズx、y及び各スピーカユニットの座標値が把握できる。
【0021】
制御部1はそのxy値及びスピーカユニット位置の座標を例えば不揮発性メモリ6の所定領域に記憶する(もしくは選択された車種情報、又はデータテーブル上のナンバ又はアドレスを記憶するなどでもよい)。
このような動作によって制御部1には図4のような配置状態が座標として把握できることになり、初期設定を終了する。
【0022】
第2の初期設定方式とは、スピーカユニットの位置はユーザー自身が入力するものである。
車室内の空間のサイズは車種によって決まっているが、スピーカ搭載位置はユーザー自身が変更したり新たに追加することができる。
そこで、車室空間としてのx、y値については、上記第1の方式と同様に、ROM5などに各種の車種に対応して記憶しておき、メニュー選択方式でユーザーが車種を選択することで、制御部1がx、y値を把握できるようにする。
【0023】
続いて表示部1に各スピーカユニットについての位置を入力すべき表示を行い、ユーザーはそれに応じて実際に計測した数値を入力する。計測に際しては例えば特定の計測起点ポイントを(取扱説明書などで)ユーザーに指示しておく。例えば車室内の前方右端などとして、ユーザーはその起点位置からスピーカ位置までのx、y軸上のサイズを実測し、その値を入力する。
各スピーカユニットに対して実測値が入力されてくることに伴って制御部1はそれを不揮発性メモリ6に記憶していく。
このような動作によって制御部1には図4のような配置状態が座標として把握できることになり、初期設定を終了する。
【0024】
第3の初期設定方式としては、車室空間としてのx,y値とスピーカ位置を全てユーザーが計測し、計測値を入力するものである。
つまりまず車室空間としての縦、横のサイズを計測してそれを入力し、続いて上記第2の初期設定方式のように各スピーカユニットについての位置を計測して入力していく。
制御部1は、車室空間としてのx、y値及び各スピーカユニットに対して実測値が入力されてくることに伴って、それを不揮発性メモリ6に記憶していく。
このような動作によって制御部1には図4のような配置状態が座標として把握できることになり、初期設定を終了する。
なお、例えば自動車のカタログなどに車室空間のサイズが記載されていれば、ユーザーは、実際に計測しなくても、もちろんその記載されているサイズをx、yサイズとして入力すればよい。
【0025】
3.タイムアライメント調整
次に実際にタイムアライメント機能を実施するためのリスニングポイントの設定、もしくは設定されていたリスニングポイントの変更の際に行われるタイムアライメント調整動作について説明する。
このタイムアライメント調整動作の際の制御部1の処理を図3に示す。
【0026】
制御部1はステップF100での操作部3の操作を監視しているが、ユーザーが行った操作がタイムアライメント調整を実行すべき操作であった場合はステップF101からF102に進み、表示部4にタイムアライメント調整用の画像を表示させる。
この調整用の画像とは、例えば図4のように車室内の座席やスピーカ位置の配置イメージを表す画像である。
この調整用画像としての画像データは、車種に対応してそれぞれROM5などに記憶しておき、上記した初期設定で入力された車種に応じて画像データを選択して表示させるようにしてもよいし、さらにユーザーの車室空間やスピーカユニットの位置の実測値の入力に応じて生成される座標を元に、座席等のイメージの画像を加えて制御部1が生成するようにしてもよい。
また、特に実際の車室内の状況とはサイズや配置的に一致しなくても、車種等に関わらず固定の画像データを用意しておいて表示させてもよい(スピーカ位置は必ずしも表示しなくてもよい)。
【0027】
この調整用の車室内の画像上には、さらにポインタPとしてのキャラクタ画像を表示させる。このポインタPは操作部3のポインタ移動操作により、調整用画像上で任意の位置に移動させることができるようにする。ただし画面上でのポインタPの移動可能位置をリスニングポイントとなりうる場所、つまり各座席の位置などに限定してもよい。
【0028】
制御部1は、ステップF103、F104で操作部3でのポインタ移動操作やエンター操作を監視している。
ユーザーがポインタPの移動操作を行った場合は、ステップF103からステップF105に進み、その移動操作量及び移動操作方向から、新たにポインタPを表示させるべき座標位置を算出し、ステップF106でポインタPの移動が行われた状態の画像データを表示部に送信する。
例えば図4の表示状態からユーザーがポインタPを運転席側に移動させるようなポインタ移動操作を行った場合は、図5のようにポインタPが運転席側に表示されることになる。
【0029】
ユーザーが、運転席の位置をリスニングポイントとして設定した場合は、この図5の状態でエンター操作を行う。
すると制御部1の処理はステップF104からF107に進み、その時点のポインタ表示位置に相当する座標値、即ち車室空間内のxy座標系におけるポインタ座標値(Px,Py)を、選択されたリスニングポイントとして確定する。
【0030】
そして、ステップF108で、このリスニングポイント(Px,Py)から、各スピーカユニットHL、ML、LL、HR、MR、LRまでのそれぞれの距離を算出する。つまり図5における距離dHL、dML、dLL、dHR、dMR、dLRを算出する。
上記したように各スピーカユニットHL、ML、LL、HR、MR、LRの位置に相当する座標値を、HL=(HLx,HLy)、ML=(MLx,MLy)、LL=(LLx,LLy)、HR=(HRx,HRy)、MR=(MRx,MRy)、LR=(LRx,LRy)とすると、距離dHL、dML、dLL、dHR、dMR、dLR(絶対値としての距離)は、それぞれ次の(数1)のようにして求めることができる。
【0031】
【数1】
【0032】
次に、ステップF109で、各チャンネルの音声信号に与えるべき遅延時間としての遅延サンプル数SPを求める。
スピーカユニットHLのチャンネルの音声信号SHLに与える遅延サンプル数をSPHL、スピーカユニットMLのチャンネルの音声信号SMLに与える遅延サンプル数をSPML、スピーカユニットLLのチャンネルの音声信号SLLに与える遅延サンプル数をSPLL、スピーカユニットHRのチャンネルの音声信号SHRに与える遅延サンプル数をSPHR、スピーカユニットMRのチャンネルの音声信号SMRに与える遅延サンプル数をSPMR、スピーカユニットLRのチャンネルの音声信号SLRに与える遅延サンプル数をSPLRとする。
【0033】
これらの各チャンネルについての遅延サンプル数SPHL、SPML、SPLL、SPHR、SPMR、SPLRを算出するためには、まずステップF108で算出された距離dHL、dML、dLL、dHR、dMR、dLRの中での最大値を検索する。
【0034】
算出された6つの距離の中の最大値をdMAXとし、サンプル数を求めたいチャンネルの距離をddとすると、この(dMAX−dd)の値、つまり最長距離のチャンネルとの間の距離の差を、音声信号データ1サンプルあたりの音速で割算すれば、タイムアライメントのためにそのチャンネルについて遅延させるべき遅延サンプル数SPが求められる。
例えば音速=330m/秒、A/D変換器21でのサンプリング周波数をFsとすると、遅延サンプル数SPは、
【数2】
として求められる。
【0035】
図5の例の場合で具体的にいえば、スピーカユニットLLまでの距離dLLが最長距離となるため、最大値dMAX=dLLとなる。
そして、スピーカユニットHL、ML、LL、HR、MR、LRのそれぞれについての遅延サンプル数SPHL、SPML、SPLL、SPHR、SPMR、SPLRは、次のように計算される。
【0036】
【数3】
【0037】
このようにして算出された各チャンネルの遅延サンプル数がステップF110でDSP22にセットされ、DSP22は各チャンネルの音声信号についてセットされた遅延サンプル数に応じて各チャンネルの信号を遅延させて出力する。
これによりタイムアライメント調整が終了し、図5の例でいえば、それ以降は運転席において、擬似的に全スピーカユニットが等距離にある状態が実現されることになる。
即ちリスニングポイントまで最長距離となるスピーカユニットLLのチャンネルの信号SLLについては遅延時間はゼロとされるが、他の各チャンネルについては、そのスピーカユニットからリスニングポイントまでの距離dHL、dML、dHR、dMR、dLRのそれぞれが、距離dLLより短い分に相当する遅延時間が与えられ、6チャンネルにおいて同一タイミングの音声は同一タイミングで運転席に座っているユーザーに届くことになる。
【0038】
このようにタイムアライメント調整が行われた後、ユーザーが設定を変更したい場合、つまりリスニングポイントを代えたい場合も、図3の処理による同一の操作で可能となる。
即ちタイムアライメント調整モードとすると画面には図5のような画像が表示されるが、この表示をみながらポインタPを所望の位置に移動させる。例えば図6のように後部座席左側に移動させる。
この状態でエンター操作を行うと、ステップF107以降の処理により、後部座席左側をリスニングポイントとした場合の、各チャンネルの音声信号に与えるべき遅延時間が算出される。
即ち図6に示すリスニングポイントから各スピーカユニットまでの距離dHL、dML、dLL、dHR、dMR、dLRが算出され、その中での最大値が検索される。そして最長距離のチャンネルとの間の距離の差を、音声信号データ1サンプルあたりの音速で割算することで各チャンネルについて遅延させるべき遅延サンプル数SPが求められ、DSP22にセットされることになる。
以降、後部座席左側で、擬似的に全スピーカユニットが等距離にある状態が実現されることになる。
【0039】
以上のように、タイムアライメントのためのリスニングポイントの設定操作は、ユーザーは表示部4の画面を見ながら、リスニングポイントとして設定したい位置にポインタを移動させ、エンター操作を行うだけでよく、リスニングポイント設定や変更に際して面倒な操作はいっさい必要ない。例えばユーザーがリスニングポイント設定のために自分の座る位置とスピーカとの距離を実測して入力したり、変更に際して計測及び入力をやり直すといった必要はない。
また例えば運転席上に設定されているリスニングポイントを、同じ運転席上ではあるがわずかに右側に寄せたいなどというような微調整に際しても、同様に画面上のポインタ移動で実現できる。
さらにこのように簡単にリスニングポイントの設定変更が可能であることから、車内に複数の人が乗っているときに、順番に最適なリスニング環境を提供するといった操作も容易となる。
【0040】
なお、図3の処理では、タイムアライメント調整を行う毎に、ステップF108、F109の演算が行われる毎になるが、例えば過去に設定されたリスニングポイントについてはそのリスニングポイントの座標値(Px、Py)とともに、遅延サンプル数SPHL、SPML、SPLL、SPHR、SPMR、SPLRを不揮発性メモリ6に記憶しておき、その後、タイムアライメント調整においてステップF107で確定された座標値として同一の座標値が記憶されていた場合は、それに対応して記憶されている遅延サンプル数を読み出してDSP22にセットするようにしてもよい。
【0041】
また、上記例はリスニングポイントと各スピーカユニットの距離を2次元的に計算して遅延サンプル数を算出する方式であるが、実際には車室空間は3次元空間であり、スピーカユニットとユーザーの耳の位置までの高さ方向の距離も、各スピーカ毎に異なる場合がある。
そこで、距離計算を3次元的に行うようにしてもよい。例えば初期設定時にパラメータとしてx、y軸と直交するz軸サイズについても入力し、また操作部3に3次元ポインティングデバイスを用意する。そして表示部4で3次元的な画像を表示させるなどしてタイムアライメント調整時にリスニングポイントとしてポインタの移動で高さ方向の位置設定もできるようにすればよい。
【0042】
また、上記例では再生周波数帯域をL、Rそれぞれ3チャンネルに分けるマルチウエイスピーカシステムとしての、6チャンネルオーディオシステムの例で説明したが、マルチウエイか否かに限らず、スピーカユニット数としての2チャンネル、4チャンネル等の複数チャンネルのオーディオシステムで本発明は全く同様に適用できることはいうまでもない。
さらに、車載用のオーディオシステムのみならず、特定の音響空間内で使用するオーディオシステムであれば本発明を適用できる。例えば自宅内の部屋に設置したオーディオシステムとしても有用である。
【0043】
ところで、このタイムアライメント調整時のプリアンプユニット移動によるリスニングポイント設定操作は、上述した初期設定操作にも応用することができる。
例えば上述したようにROMデータやユーザーの数値入力により車室空間としてのx、y値が把握できたら、それに応じた図4のような車室イメージの画像を表示部4に表示する。そしてスピーカ位置指定用のアイコン・ポインタ等を使用して、その表示上でのポインタ移動及びエンター操作により、各スピーカユニットの位置を指定していく。そして制御部1はポインタで指定された座標位置をスピーカ位置として記憶していく。
このようにすれば、初期設定動作についてもより操作が簡易化される。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の音響処理装置は、表示手段に複数のスピーカユニットにより形成される音響空間に対応する画像を表示させるとともに、その音響空間の表示画面上で、ポインタ移動操作により設定された位置リスニングポイントとする。そしてこのリスニングポイントと各スピーカユニットの間の距離情報の算出結果から、音響処理手段での各チャンネルの音声信号に与えるべき遅延時間を設定制御するようにしている。これによってユーザーはリスニングポイントの設定を画面上のポインタ操作で行うことができ、リスニングポイント位置やスピーカまでの距離などの値を入力する必要はなくなるため、非常に容易かつ手軽にタイムアライメント調整を行うことができるという効果がある。
またポインタ移動操作であることからリスニングポイントの微調整なども簡易化され、これに伴ってタイムアライメント機能の有効利用を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の音響処理装置のブロック図である。
【図2】実施の形態の音響処理装置のプリアンプユニットのブロック図である。
【図3】実施の形態の音響処理装置のタイムアライメント調整処理のフローチャートである。
【図4】実施の形態のタイムアライメント調整時の表示動作の説明図である。
【図5】実施の形態のタイムアライメント調整動作の説明図である。
【図6】実施の形態のタイムアライメント調整動作の説明図である。
【符号の説明】
1 制御部、2 プリアンプユニット、3 操作部、4 表示部、5 ROM、6 不揮発性RAM、21 A/D変換器、22 DSP 23 D−RAM、24〜29 D/A変換器、30〜35 音量調整部、P ポインタ、HL 高域左スピーカ、HR 高域右スピーカ、ML 中域左スピーカ、MR 中域右スピーカ、LL 低域左スピーカ、LR 低域右スピーカ、
Claims (2)
- 複数のスピーカユニットに供給する各チャンネルの音声信号のそれぞれに対して少なくとも遅延処理を行うことのできる音響処理手段と、
表示手段と、
少なくともポインタ移動操作を行うことのできる操作手段と、
前記表示手段に、前記複数のスピーカユニットにより形成される音響空間に対応する画像を表示させるとともに、その音響空間の表示画面上で、前記操作手段によるポインタ移動操作に応じた位置にポインタ画像を表示させることのできる表示制御手段と、
前記ポインタ画像の表示位置に応じた音響空間内の位置をリスニングポイントとし、該リスニングポイントと各スピーカユニットの間の距離情報の算出結果から、前記音響処理手段での各チャンネルの音声信号に与えるべき遅延時間を設定制御する遅延制御手段と、
を備えたことを特徴とする音響処理装置。 - 前記遅延制御手段は、音響空間に相当する座標と、該音響空間における各スピーカユニットの位置を座標値として保持しており、リスニングポイントとされる前記ポインタ画像の表示位置に対応した座標値と、各スピーカユニットについて保持されている座標値から、リスニングポイントと各スピーカユニットの間の距離情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の音響処理装置。
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