JP3896865B2 - マルチチャンネルオーディオシステム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のスピーカを備えたマルチチャンネルオーディオシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、複数のスピーカを備えたマルチチャンネルオーディオシステムにおいて、高品質の音場再生を実現するために種々の提案がなされている。
例えば、スピーカから測定用信号を再生し、近接4点法に基づくリスニングポイントに設置された複数のマイクロフォンを用いて音響特性を測定して、各チャンネルの音量、遅延時間、周波数特性、各チャンネルの混合割合などを自動的に調整することが提案されている(特開2000−354300号公報)。
また、実開平5−53400号公報には、聴視者の位置を赤外線センサを用いて検出し、聴視者に対して最適な音場制御を行うことが提案されている。
さらに、特開平8−179786号公報には、一つのスピーカから測定信号を発し、他のスピーカをマイクロフォンとして受音させて遅延情報信号を得、再生される音楽信号の遅延時間を最適状態に制御することが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、マルチチャンネルオーディオシステムにおいて高品質な音場再生を実現するために種々の方法が提案されているが、いずれも、一般家庭において実現することは困難である。
聴取位置において近接4点法に基づく測定を行う方法は、そのために特殊なマイクロフォンを用意し、測定のためのセッティングを行うことが必要となる。また、演算処理が複雑であり、ソフトウェアやメモリ容量などの負荷が大きいという問題点がある。
また、聴視者の位置を赤外線センサで検出し、音場制御を行う方法は、スピーカの設置状態が適切であるという前提が必要となり、また、赤外線センサの出力を装置本体に接続するための配線が複雑となるという問題点がある。
さらに、スピーカの一つから測定信号を発し、他のスピーカを受音用として測定した遅延情報信号によって音楽信号の遅延時間及び周波数特性を調節する方法においては、測定した遅延時間は車室内寸法を推定するために用いられているにすぎず、スピーカの配置位置の推定やどのように聴取位置を設定するかについては示されていない。車載用ということで聴取位置がある程度限定されるという条件付きであれば可能性があるかもしれないが、一般家庭のリスニングルームでの適用は困難である。
【0004】
そこで本発明は、マルチチャンネルオーディオシステムのスピーカ配置を推定し、適切な聴取位置を示したり、あるいは、各チャンネルのディレイやレベルを調節することにより、理想的なスピーカ配置が困難な一般家庭でも適切な音場再生を可能とするマルチチャンネルオーディオシステムを提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のマルチチャンネルオーディオシステムは、複数のスピーカを有するマルチチャンネルオーディオシステムであって、前記複数のスピーカのうちのリアスピーカに対して既知の距離だけ離隔して設けられたマイクロフォンと、測定用信号を発生する測定用信号発生器と、前記複数のスピーカのうちの任意のスピーカに前記測定用信号発生器で発生された測定用信号を供給する切換手段と、前記複数のスピーカのうちの任意のスピーカに対し、再生信号を出力するか、あるいは、そのスピーカで受音された信号を入力するかを切り換える入出力切換手段と、前記切換手段により前記測定用信号を供給されたスピーカと前記入出力切換手段によりそのスピーカで受音された信号を入力するとされたスピーカおよび前記マイクロフォンとの間における前記測定用信号の伝搬遅延時間を測定する遅延時間測定手段と、前記遅延時間測定手段により測定された伝搬遅延時間に基づいて、前記複数のスピーカそれぞれの三次元座標を推定する推定手段と、前記推定手段により推定された三次元座標に基づいて、聴取位置において適切な音場再生を可能とするように、各チャンネル毎の遅延時間と再生レベルを制御する制御手段とを有するものである。
【0006】
また、前記制御手段は、さらに、前記推定手段により推定された前記複数のスピーカそれぞれの三次元座標に基づいて、パンパラメータを制御するようになされたものである。
さらに、聴取位置を入力する手段を有し、前記制御手段は、該入力された聴取位置を対象として、チャンネル毎の遅延時間と再生レベルを制御するようになされたものである。
さらにまた、前記推定手段により推定された前記複数のスピーカそれぞれの三次元座標に基づいて最適な聴取位置を決定する手段と、該決定された最適な聴取位置を表示する手段とを有するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明のマルチチャンネルオーディオシステムの一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、ここでは、5.1chのホームシアターシステムの場合を例にとって説明するが、7.1ch等のシステムでも同様である。
図1は、本発明の実施の形態におけるスピーカの配置を示す図である。ここで、フロントの左、右およびセンター(L/R/Center)のスピーカをそれぞれFL,FRおよびFCで表わし、リアの左および右(L/R)のスピーカをそれぞれRLおよびRRで表わす。なお、低域のチャンネルは室内の音響条件による特性変化が大きいため、積極的なコントロールはしないこととする。そのため、図1では低域のチャンネルは示していない。
また、図2に示すように、RL,RRのスピーカには、スピーカの音響中心から高さ方向にdだけ離隔した位置にマイクロフォン(RLmic,RRmic)が内蔵されている。
【0008】
図3は、本発明のマルチチャネルオーディオシステムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
この図において、1−1〜1−5はFL、FR、FC、RLおよびRRの各チャンネルの信号が入力される各チャンネル対応に設けられた入力端子、2−1〜2−5はそれぞれ対応するチャンネルの入力信号に対し処理部14から供給されるディレイ値に基づく遅延を施す各チャンネル対応に設けられた遅延回路、3−1〜3−5は前記各遅延回路2−1〜2−5の出力に対しそれぞれ所定のエフェクトを付与する各チャンネル対応に設けられた効果回路、4は前記効果回路3−1〜3−5からの各チャンネルの信号に対し、処理部14からのレベル制御信号に基づいて個別にレベル制御を行うとともに、指定された割合でミキシングを行うレベル制御及びミキシング回路(以下、単に「ミキシング回路」とよぶ)である。
【0009】
また、5はインパルス信号などの測定用信号を発生する測定用信号発生器、6−1〜6−5は前記ミキシング回路4からの各チャンネルの信号と前記測定用信号発生器5からの測定用信号出力のいずれかを選択して出力する各チャンネル対応に設けられた切換回路、7は前記切換回路6−1〜6−5からの各チャンネルの信号のレベルを全体として制御するマスターボリューム制御回路、8−1〜8−5は前記マスターボリューム制御回路7からの各チャンネルの出力をそれぞれ増幅する各チャンネル対応に設けられたパワーアンプ、9−1〜9−5は前記各チャンネルのパワーアンプ8−1〜8−5の出力をそれぞれのチャンネルのスピーカ(FL,FR,FC,RL,RR)10−1〜5に出力するか、あるいは、前記各スピーカ10−1〜5をマイクロフォンとして使用した場合に各スピーカからの信号を入力するかを切り換える各チャンネル対応に設けられた入出力切換回路、10−1〜10−5はFL,FR,FC,RL,RRの各スピーカ、11−1および11−2はリアのスピーカ(RL,RR)にそれぞれ設けられている前述したマイクロフォン(RLmicおよびRRmic)である。
【0010】
さらに、12−1〜12−7は前記入出力切換回路9−1〜9−5からの前記スピーカ10−1〜10−5で受音した信号および前記リアのスピーカにそれぞれ設けられたマイクロフォン11−1および11−2で受音した信号をそれぞれ増幅するヘッドアンプ、13は前記測定用信号発生器5の出力と前記ヘッドアンプ12−1〜12−7の各出力の時間差である前記測定用信号の伝搬遅延時間を測定する遅延時間測定部、14は前記切換回路6−1〜6−5および前記入出力切換回路9−1〜9−5を切り換え制御するとともに、前記遅延時間測定部13により測定された遅延時間に基づいて前記各スピーカ10−1〜10−5の位置を推定するとともに、聴取位置を決定したり、あるいは、ユーザから入力される聴取位置情報に基づいて、前記遅延回路2−1〜2−5および前記ミキシング回路4に対する制御信号を生成する処理部、15は前記処理部14から出力される聴取位置情報を表示する聴取位置表示部、16はユーザにより指定された聴取位置を前記処理部14に入力する聴取位置入力部である。
なお、この図における前記切換回路6−1〜6−5の接点の位置および前記入出力切換回路9−1〜9−5の接点の位置は、前記入力端子1−1〜1−5から入力された各チャンネルの信号を前記各スピーカ10−1〜10−5に出力する音楽信号再生時の様子を示している。
【0011】
このように、本発明のマルチチャンネルオーディオシステムにおいては、前記スピーカ10−1〜10−5をマイクロフォンとして使用したときに各スピーカから入力される信号および前記リアスピーカにそれぞれ設けられたマイクロフォン11−1および11−2から入力される信号を増幅するヘッドアンプと、前記パワーアンプ8−1〜8−5の出力を前記スピーカ10−1〜10−5に出力するか、あるいは、前記スピーカ10−1〜10−5からの入力を前記ヘッドアンプ12−1〜12−5に供給するかを個別に切り換える入出力切換回路9−1〜9−5と、測定用信号を発生する測定用信号発生回路5と、前記測定用信号発生回路5からの測定用信号と前記ミキシング回路4からの各チャンネルの信号とを個別に切り換えてマスターボリューム回路7に供給する切換回路6−1〜6−5を有しており、これにより、前記切換回路6−1〜6−5および前記入出力切換回路9−1〜9−5を選択的に制御することにより、任意のチャンネルのスピーカから測定用信号を発生させ、他のチャンネルのスピーカをマイクロフォンとして使用してその出力をヘッドアンプに接続して、前記測定用信号の伝搬遅延時間を遅延時間測定部13において測定することができる。
そして、測定した各チャンネルのスピーカ間の遅延時間に基づいてその距離を知り、各スピーカの配置位置を推定することができる。その結果、適切な聴取位置を聴取位置表示部15に表示することが可能となる。また、聴取位置入力部16を用いてユーザが聴取位置を入力することもでき、決定した適切な聴取位置あるいはユーザにより入力された聴取位置と前記推定した各スピーカの配置位置の関係から、各チャンネルの信号に与えるべき遅延時間を設定することや各チャンネルの信号のレベル制御およびミキシング割合の制御を行うことが可能となる。
以下、前記処理部14において実行される処理の詳細について説明する。
【0012】
[1]スピーカ位置推定
まず、前記測定用信号発生回路5から発生された測定用信号を所定のチャンネルのスピーカから発生し、他のチャンネルのスピーカおよびマイクロフォンにより受音することにより、各チャンネルのスピーカ10−1〜10−5の位置を推定する処理について説明する。
ここで、前提条件として、フロント左スピーカFLの位置を3次元座標系の原点とする。また、フロント左スピーカFLとフロント右スピーカFRを結ぶ直線をx軸とする。FL、FR間の距離をr1とすると、FLとFRの3次元座標は、FL(0,0,0),FR(r1,0,0)となる。
【0013】
そして、以下のステップを実行する。
(1)まず、FLのスピーカから測定用信号を発生し、FR,RL,RLmic,RR,RRmic,FCの各スピーカあるいはマイクロフォンを用いて測定用信号到達までの遅延時間を測定し、距離に変換する。すなわち、前記図3中に破線で示すように、前記切換回路6−1を前記測定用信号発生器5を選択するように切り換え、前記入出力切換回路9−2〜9−5を各スピーカ10−2〜10−5が前記ヘッドアンプ12−2〜12−5に接続されるように設定する。そして、前記測定用信号発生器5からインパルス信号などの測定用信号を発生させ、前記遅延時間測定部13において、測定用信号発生器5の測定用信号発生タイミングと各ヘッドアンプ12−2〜12−7からの信号入力タイミングとの時間差(遅延時間)を測定する。そして、得られた各遅延時間を距離に変換し、FLとFR,RL,RLmic,RR,RRmic,FC間の各距離を求める。
【0014】
(2)次に、FRのスピーカから測定用信号を発生し、RL,RLmic,RR,RRmic,FCの各スピーカあるいはマイクロフォンを用いて、同様に測定用信号到達の遅延時間を測定し、距離に変換する。すなわち、前記切換回路6−2を前記測定用信号発生器5の出力を選択するように切り換え、前記入出力切換回路9−3〜9−5をスピーカ10−3〜10−5が各ヘッドアンプ12−3〜12−5に接続されるように切り換えて、スピーカ10−2から発生された測定用信号がスピーカ10−3〜10−5およびマイクロフォン11−1,11−2に到達する時間を測定し、それぞれ距離に変換する。
【0015】
(3)最後に、FCのスピーカから測定用信号を発生し、RLのスピーカ及びRLmicのマイクロフォンで測定用信号到達遅延時間を測定し、距離に変換する。すなわち、前記切換回路6−3を前記測定用信号発生器5の出力を選択するように切り換え、前記入出力切換回路9−4を前記スピーカ10−4の出力が前記ヘッドアンプ12−4に供給されるように切り換え、前記遅延時間測定部13で、前記ヘッドアンプ12−4と12−6からの信号入力の遅延時間を測定し、距離に変換する。
【0016】
このようにして、各スピーカ間の距離が求められる。それらを以下のように定義する。FL→FR:r1,FL→RL:r2,FL→RLmic:r2’,FL→RR:r3,FL→RRmic:r3’,FR→RL:r4,FR→RLmic:r4’,FR→RR:r5,FR→RRmic:r5’,FC→RL:r6,FC→RLmic:r6’,FL→FC:r7,FR→FC:r8
図4に、この様子を示す。
【0017】
また、各スピーカの座標を、FL(x0,y0,z0),FR(x1,y1,z1),RL(x2,y2,z2),RR(x3,y3,z3),FC(x4,y4,z4)とする。
このとき、各座標は、
【数1】
Figure 0003896865
という式で求めることができる。
以上により、各スピーカの三次元空間における位置を決定することができた。なお、上述したステップ(1)〜(3)は各スピーカ位置を決定するための処理の一例にすぎず、異なるスピーカを測定用信号発生用として用い、異なる順序で測定してもよい。
【0018】
[2]最適聴取位置の算出、遅延時間及び出力レベルの設定
ここでは、本マルチチャンネルオーディオシステムの適切なスピーカ配置および聴取位置は、図5に示すITU−R勧告BS.775-1によるものとして説明する。
(1)最適聴取位置の算出
図5より、最適な聴取位置の座標は、(r1/2,(√3)r1/2,0)となる。すなわち、FLとFRを結ぶ直線の中点から(√3)r1/2だけ離れた点となる。そこで、前記処理部14により、該最適な聴取位置を前記聴取位置表示部15に表示する。このユーザへの表示形態としては、例えば、FLとFRを結ぶ直線からの距離などでよい。
しかし、ユーザが実際に採用することができる聴取位置は最適なものとは限らない。そこで、ユーザが前記聴取位置入力部16を用いて前記FLとFRの直線から実際の聴取位置までの距離などを入力することにより、聴取位置を変更することができる。
【0019】
(2)遅延時間、出力レベル調整
前記測定結果に基づく最適な聴取位置、あるいはユーザ入力により決定された聴取位置をR(xr,yr.zr)とする。また、スピーカSiの位置を(xi,yi,zi)(i=0,...,4)とする。すなわち、ここでは、スピーカFL,FR,RL,RR,FCをスピーカS0,…,S4と表わす。
各スピーカから聴取位置Rまでの距離をaiとすると、
【数2】
Figure 0003896865
となる。
iの最大値をamaxとする。このamaxに合わせて、各チャンネルの遅延時間とレベルを調整する。すなわち、各チャンネルのディレイ値を、amax−aiに相当する時間に設定する。また、各チャンネルの信号レベルを、元の値に対して、10log(ai/amax)だけ補正した値とする。これにより、各スピーカは、聴取位置から等距離に配置されたことと等価になる。
なお、ユーザの聴取位置Rが移動した場合、上記で求めた各スピーカの座標は変らず、新たな聴取位置の座標で再度上記[数2]の計算を行い、同様の補正を行う。
【0020】
[3]角度調整(音像定位調整)
角度の調整は、隣り合うチャンネル間でミキシングの割合を変えることで実現する。この調整はz一定の2次元平面上で行なう。すなわち、z=0と仮定し、各スピーカの正面からの角度を求める。
例えば、図6に示すように、RLの実際の位置がRL’にあったとする。RL’とRを通る線と中心線(FLとFRを結ぶ線の中央とRとを結ぶ線)とのなす角度をαとすれば、αは、次式で表わされる。
【数3】
Figure 0003896865
ここで、60°≦α≦80°であれば、前記ITU−R勧告の範囲内であり、補正の必要はない。もし、α<60°であれば、RLチャンネルの信号をFLチャンネルにも割り振るように、ミキシング割合を制御する。ここで、RLとFLに割り振るレベルは、FL,RL,RL’の角度に応じて設定する。例えば、FL、R、RLのなす角とRL、R、RL’のなす角が同じであれば、本来RLに出力する信号はFLとRL’に均等に3dBレベルを下げて出力すればよい。
【0021】
[スピーカ位置補正における高さ情報の有用性]
上述のように、本発明においては、各スピーカの設置位置を三次元座標で推定し、各スピーカの高さ情報を取得するようにしている。このように高さ情報を用いてスピーカの位置補正を行うことの有用性について図7を参照して説明する。図7において、A、B、Cはスピーカであり、Aが聴取位置Rから最も遠い位置にあるとする。また、スピーカAから聴取位置Rまでの距離をa、スピーカAとBの距離をrとする。図示するように、スピーカAとBが水平面上にある場合、Bに対応するチャンネルには、x=2a−rに相当する遅延時間が設定される。これにより、スピーカBが等価的にB’の位置に配置されたこととなる。
【0022】
これに対し、実際のスピーカがCで示す高さhの位置にありながら、Bで示す水平面上にあるときと同様に遅延時間を設定された場合には、その聴取位置Rからの距離x’は、
【数4】
Figure 0003896865
から、次式のようになる。
【数5】
Figure 0003896865
【0023】
例えば、h=0のときは、cosθ=1であり、x’=aとなるが、h=2[m]、r=6[m]とすると、cosθ=0.94となり、x’=1.11aとなる。また、h=2[m]、r=3[m]の場合には、cosθ=0.75、x’=1.42aとなり、誤差が大きくなる。
そこで、本発明のように、スピーカの高さ情報を用いることにより、このような誤差の発生を防止することができ、品質の高い音場再生が可能となる。
【0024】
[高さ推定の精度]
次に、スピーカの高さの推定の精度について図8を参照して検討する。図8において、A、Cはスピーカ、DはスピーカCの高さ方向にdだけ離隔して設けられたマイクロフォンである。また、図示するように、スピーカAとCとの距離をr、スピーカAとマイクロフォンDとの距離をr’、スピーカCの高さをh、スピーカAとCとを結ぶ直線が水平面となす角度をθ、D,C,Aの角度をβとする。
図8より、
【数6】
Figure 0003896865
であるから、スピーカCの高さhは、
【数7】
Figure 0003896865
と表わされる。
ここで、r=r’のとき、h=−d/2である。
【0025】
測定時に、スピーカAとCの間の距離rとスピーカAとマイクロフォンDとの間の距離r’の差が出ないと、正しい推定はできない。
r、r’がどの程度の精度で測定できるかというと、サンプリング周波数44.1[kHz]で340[m/sec]の音波の到達距離の分解能は、340/44100=7.7×10-3[m]=7.7[mm]となる。
図8より、r’は次の式により求められる。
【数8】
Figure 0003896865
【0026】
例えば、r=3[m],h=2[m],d=10[cm]のとき、r’=3.068[m]となる。ここで、0.007[m]の誤差があり、r’=3.075[m]となったとすると、
h=((3.075)2 - (0.1)2 - 32) / 0.2=2.228[m]
となり、10%程度の誤差に収まる。r=6[m],h=2[m]のとき、d=20[cm]にすれば、やはり10%程度の誤差になる。このように、十分な精度を得ることができる。
【0027】
なお、前記図3に示した実施の形態においては、全てのスピーカ10−1〜10−5に対応してそれぞれ入出力切換回路9−1〜9−5およびヘッドアンプ12−1〜12−5を設けていたが、スピーカ位置推定のための基準となるスピーカが固定されている場合には、そのスピーカについては前記入出力切換回路9およびヘッドアンプ12を設ける必要はない。上述した例では、FLチャネルのスピーカ10−1は、最初に測定用信号の発生は行うものの、他のチャネルのスピーカから発生された測定用信号の受信は行わず、測定の基準となるスピーカである。したがって、前記入出力切換回路9−1およびヘッドアンプ12−1は実際には不要である。このように基準となるスピーカが固定されている場合には、そのスピーカに対応する入出力切換回路9とヘッドアンプ12は設ける必要がない。
また、上記においては、FLチャネルのスピーカを基準として測定を行う例を示したが、他のチャネル、例えば、FRチャネルのスピーカを基準として測定を行ってもよいことは明らかである。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のマルチチャンネルオーディオシステムによれば、手作業で距離を測定しなくても、各チャンネルのディレイ値を調整できるので、スピーカ配置位置の制約の大きい一般家庭でも適切なマルチチャンネル再生が可能になる。また、測定用音源、センサがシステムそのものの中に含まれているので、調整のための特別なセッティングが不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のマルチチャンネルオーディオシステムにおけるスピーカ配置を示す図である。
【図2】 本発明のマルチチャンネルオーディオシステムにおけるリアスピーカの構成を示す図である。
【図3】 本発明のマルチチャンネルオーディオシステムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図4】 各スピーカおよびマイクロフォン間の距離を説明するための図である。
【図5】 ITU−R勧告によるスピーカ配置および聴取位置を示す図である。
【図6】 音像定位調整について説明するための図である。
【図7】 高さ情報の有用性について説明するための図である。
【図8】 推定の精度について説明するための図である。
【符号の説明】
FL フロント左スピーカ、FR フロント右スピーカ、FC フロントセンタースピーカ、RL リア左スピーカ、RR リア右スピーカ、1−1〜5 入力端子、2−1〜5 遅延回路、3−1〜5 効果回路、4 レベル制御及びミキシング回路、5 測定用信号発生器、6−1〜5 切換回路、7 マスターボリューム制御回路、8−1〜5 パワーアンプ、9−1〜5 入出力切換回路、10−1〜5 スピーカ、11−1,2 マイクロフォン、12−1〜7 ヘッドアンプ、13 遅延時間測定部、14 処理部、15 聴取位置入力部、16聴取位置表示部

Claims (4)

  1. 複数のスピーカを有するマルチチャンネルオーディオシステムであって、
    前記複数のスピーカのうちのリアスピーカに対して既知の距離だけ離隔して設けられたマイクロフォンと、
    測定用信号を発生する測定用信号発生器と、
    前記複数のスピーカのうちの任意のスピーカに前記測定用信号発生器で発生された測定用信号を供給する切換手段と、
    前記複数のスピーカのうちの任意のスピーカに対し、再生信号を出力するか、あるいは、そのスピーカで受音された信号を入力するかを切り換える入出力切換手段と、
    前記切換手段により前記測定用信号を供給されたスピーカと前記入出力切換手段によりそのスピーカで受音された信号を入力するとされたスピーカおよび前記マイクロフォンとの間における前記測定用信号の伝搬遅延時間を測定する遅延時間測定手段と、
    前記遅延時間測定手段により測定された伝搬遅延時間に基づいて、前記複数のスピーカそれぞれの三次元座標を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定された三次元座標に基づいて、聴取位置において適切な音場再生を可能とするように、各チャンネル毎の遅延時間と再生レベルを制御する制御手段と
    を有することを特徴とするマルチチャンネルオーディオシステム。
  2. 前記制御手段は、さらに、前記推定手段により推定された前記複数のスピーカそれぞれの三次元座標に基づいて、パンパラメータを制御することを特徴とする請求項1記載のマルチチャンネルオーディオシステム。
  3. 聴取位置を入力する手段を有し、
    前記制御手段は、該入力された聴取位置を対象として、チャンネル毎の遅延時間と再生レベルを制御することを特徴とする請求項1あるいは2のいずれかに記載のマルチチャンネルオーディオシステム。
  4. さらに、前記推定手段により推定された前記複数のスピーカそれぞれの三次元座標に基づいて最適な聴取位置を決定する手段と、
    該決定された最適な聴取位置を表示する手段とを有することを特徴とする請求項1あるいは2のいずれかに記載のマルチチャンネルオーディオシステム。
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