JP3598555B2 - 凝集シリカ大粒子水性分散体の製造法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、遠心沈降法によって測定される 0.1〜10ミクロンの粒子径を有する凝集シリカ大粒子の水性分散体の製造法に関する。この凝集シリカ大粒子の水性分散体を乾燥することにより得られる粉体粒子は、多孔質の性質を示し、特に、インク吸収剤、触媒担体などに有用である。
【0002】
【従来の技術】
米国特許第 2680721号明細書は、緻密な構造と球状を有する非晶質シリカのゾルが少量の電解質又は多価金属塩で汚染されたとき、これら球状のシリカ粒子間に結合が起こって、凝集シリカ粒子がこのゾル中に生成すること、そしてこの凝集シリカ粒子含有ゾルがイオン性シリカ又は微細シリカを含有するときは、そのゾルを加熱するとこの凝集シリカ粒子上へのシリカの沈着によってこの凝集シリカ粒子の成長が起こることを説明しているが、このような凝集シリカ粒子からなるゾルよりも、凝集していない球状シリカゾルの方が有用性が高いことを説明している。
【0003】
特開平 1−317115 号公報には、5〜40 nm の一様な太さの伸長を有し、そして動的光散乱法で測定される40〜500 nmの粒子径を有する細長い形状の非晶質シリカのゾルが示されている。そしてこの公報は、かかるゾルの製造法として、 0.5〜25重量%のSiO2濃度と1〜5のpHと3〜30 nm のシリカ粒子径を有するシリカ水性ゾルに、水溶性のCa塩、Mg塩などをゾルのSiO2に対しCaO 又は MgOとして0.15〜1.00重量%に添加した後、アルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基、水溶性珪酸塩などのアルカリを、このアルカリをM2O で表すときSiO2/M2Oモル比として20〜300 の比率に添加し、そして60〜300 ℃で 0.5〜40時間加熱することからなる方法を開示している。
【0004】
特開平 4−214022 号公報には、7〜100 nmの厚みとこの厚みの10〜150 倍であるが 100〜1000 nm の範囲内の平面方向粒子サイズを有する偏平形状シリカゾルが示されている。更にこの公報は、かかるゾルの製造法として、2〜50重量%のSiO2濃度と2〜5のpHを有する7〜30 nm の負帯電シリカの水性ゾルに、塩基性Al塩、塩基性Zr塩などを加え、更にアルカリを加えて正帯電シリカの水性ゾルに変換し、次いでこの正帯電シリカの水性ゾルに上記負帯電シリカの水性ゾルを加え、更にアルカリを加えて負帯電シリカの水性ゾルに変換することを、これら塩基性Al塩、塩基性Zr塩などの量と加える負帯電シリカの水性ゾル量とを調節しながら繰り返すことにより製造する方法を開示している。
【0005】
特開平 3−215312 号公報は、珪弗化水素酸又はその塩とアルカリとを水媒体中で反応させることにより、数μ〜数十μの大きさを有する析出シリカ粒子が得られること、及びこの析出粒子の生成について、当初数nm〜数十nmの大きさを有するコロイダルシリカ (一次粒子) が生成し、次いでこのコロイダルシリカが結合することにより 150〜600 nm程度の大きさを有する凝集シリカ粒子 (二次粒子) が生成し、そしてこの凝集シリカ粒子が結合することにより数μ〜数十μの大きさを有する究極の析出粒子が生成するという機構を説明している。同公報は更に、この数μ〜数十μの大きさを有する析出シリカ粒子を湿式粉砕することにより、遠心沈降法で測定される 150〜700 nmの大きさを有するコロイダルシリカのゾルが得られることを開示している。
【0006】
特開平 5−301707 号公報には、7〜10重量%のSiO2濃度を有する珪酸アルカリの水溶液に、芒硝等塩類を添加すると共に20〜40%の中和率を与える量の鉱酸を10〜45℃で添加し、これにより得られた液をその沸点〜95℃で熟成し、次いでこの液に鉱酸を添加して液のpHを5以下に調節することにより、8〜50 nm の大きさを有する一次粒子の凝集によって形成された1〜500 μの大きさを有する含水珪酸 (SiO2・nH2O) を製造する方法が開示されている。そしてこの含水珪酸は、100 〜300 m2/gの比表面積を有すること、50000 オングストローム以下の細孔半径を有する細孔を 1.9〜4.0 ml/gの積算容積に、3000〜40000 オングストロームの細孔半径を有する細孔を 0.5 ml/g 以上の積算容積に、そして 100〜1000オングストロームの細孔半径を有する細孔を 0.6 ml/g 以上の積算容積に保有する構造を有すること、及び紙用の填量として使用されることなどが示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記米国特許第 2680721号明細書は、ゾル中汚染量の電解質又は多価金属塩による球状コロイダルシリカ粒子の凝集と、ゾル中イオン性シリカ又は微細シリカによるこの凝集シリカ粒子の成長を教えているが、そのような凝集シリカ粒子からなるゾル又は分散液の好ましい製造方法を開示していない。
【0008】
上記特開平 1−317115 号公報に記載の細長い形状のシリカ粒子のゾルは、その媒体中に遊離のCaイオン、Mgイオンなどを含まず、生成した細長い形状のシリカ粒子がこれらを不純物として含有する。上記特開平 4−214022 号公報に記載の偏平形状を有するシリカ粒子もやはり、Al分、Zr分などを不純物として含有する粒子である。
【0009】
上記特開平 3−215312 号公報に記載の数μ〜数十μの大きさを有する究極の析出シリカ粒子、これを湿式粉砕することにより得られる 150〜700 nmの大きさを有するコロイダルシリカ粒子などは高い純度を有するが、一次粒子が緻密に凝集した構造を有し、これら究極粒子の水性スラリー、湿式粉砕によるゾルなどは、これらを乾燥したとき高いインク吸収性を示す粉体を与えない。
【0010】
上記特開平 5−301707 号公報に記載のシリカ粒子は、多孔質ではあるがSiO2・nH2Oで表される含水珪酸の粒子である。
本発明は、高い純度、疎な凝集構造、及び遠心沈降法で測定される 0.1〜10ミクロンの粒子径を有する安定な凝集シリカ大粒子の水性分散体を、簡易且つ効率よく製造する方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の遠心沈降法で測定される 0.1〜10ミクロンの粒子径を有する凝集シリカ大粒子水性分散体の製造方法は、100 重量部の水性媒体と、SiO2として 0.5〜30重量部の5〜1000 nm の平均粒子径を有する非晶質シリカ粒子とからなる当該シリカ粒子の水性分散体に、この非晶質シリカ粒子のSiO2分に対し0.05〜25重量%量の遊離弗素イオンを供給することによって、この非晶質シリカ粒子の粒子間結合体からなる凝集シリカ粒子の水性分散体を形成させること、及びこの凝集シリカ粒子の水性分散体中その水性媒体 100重量部に対し 0.5〜25重量部の全SiO2分が維持される量で、珪弗化水素酸又はその塩と、当該珪弗化水素酸又はその塩からシリカを生成させるに十分な量のアルカリとを、この生成凝集シリカ粒子の水性分散体中で反応させることからなる。
【0012】
遠心沈降法による凝集シリカ大粒子の粒子径の測定は、例えば、株式会社島津製作所製の遠心沈降式粒度分布測定装置などの市販の測定装置を使用することにより容易に行うことができる。
5〜1000 nm の平均粒子径を有する非晶質シリカ粒子は、シリカの緻密なビルトアップによって形成された粒子であって、電子顕微鏡写真によって容易にその形状と粒子径を観測することができる。この非晶質シリカ粒子は、公知の方法によりアルカリ性又は酸性のシリカ水性ゾルとして容易に製造することができ、或いは市販品としても入手することができる。
【0013】
100 nm以下の平均粒子径を有する球状の非晶質シリカのアルカリ性水性ゾルは、例えば、米国特許第 3440174号明細書に記載の方法で製造することができ、そして100 nm以上の平均粒子径を有する球状の非晶質シリカのアルカリ性水性ゾルは、例えば、米国特許第 3538015号明細書に記載の方法で製造することができる。これらアルカリ性水性ゾルを陽イオン交換樹脂で脱陽イオンすることにより、そして所望に応じ更に陰イオン交換樹脂で脱陰イオンも行うことにより、酸性水性ゾルを製造することができる。
【0014】
100 重量部の水性媒体と、SiO2として 0.5〜30重量部の5〜1000 nm の平均粒子径を有する非晶質シリカ粒子からなる当該シリカ粒子の水性分散体としては、上記比率に水を含有する上記大きささの非晶質シリカの水性ゾルをそのまま使用してもよく、或いは上記比率を与えるように、水と上記非晶質シリカの水性ゾルを混合することにより得られたものでよい。好ましくは、100 重量部の水性媒体に対しSiO2として1〜25重量部の比率を有する上記非晶質シリカの水性ゾルが使用される。
【0015】
遊離弗素イオンは、水溶性の弗化物、好ましくは、弗化アンモニウム、弗化ナトリウム、弗化カリウム、水溶性のアミン弗酸塩、水溶性の弗化第四級アンモニウムなどの水溶性の塩として供給することができる。この遊離弗素イオンの供給は、例えば、上記非晶質シリカ粒子の水性分散体に上記水溶性の弗化物を添加することにより行うことができ、或いは上記非晶質シリカ粒子の水性分散体中で発生させてもよい。
【0016】
遊離弗素イオンを上記非晶質シリカ粒子の水性分散体中で発生させる方法としては、例えば、水溶性の珪弗化水素酸又はその塩と、水溶性の塩基と、上記非晶質シリカ粒子の水性分散体とを混合することにより、上記非晶質シリカ粒子の水性分散体中でシリカと水溶性の弗化物とを生成させる反応を起こさせる方法が挙げられる。
【0017】
珪弗化水素酸と塩基の代表として水酸化アンモニウムとの反応は下記 (1)式
H2SiF6+6 NH4OH → SiO2 + 6 NH4F + 4 H2O ・・・・・・・ (1)
によって表され、そして珪弗化水素酸塩の代表として珪弗化アンモニウムと塩基の代表として水酸化アンモニウムとの反応は下記 (2)式
(NH4)2SiF6+4 NH4OH → SiO2 + 6 NH4F + 2 H2O ・・・・・ (2)
によって表される。上記(1) 式及び上記(2) 式における NH4OHを、上記他の塩基で置き換えた化学式は、当業者に容易に表記することができる。
【0018】
好ましい水溶性の塩基としては、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどの水溶性アミン、ジメチルジエタノールアンモニウム水酸化物、ジエチルジエタノールアンモニウム水酸化物などの水溶性第四級アンモニウム水酸化物などが挙げられる。好ましい水溶性の珪弗化水素酸塩としては、上記の如き水溶性の塩基と珪弗化水素酸との塩、例えば、珪弗化アンモニウム、珪弗化ナトリウム、珪弗化カリウム、珪弗化モノエタノールアミン、珪弗化ジメチルジエタノールアンモニウムなどが挙げられ、特に珪弗化アンモニウムが好ましい。
【0019】
上記非晶質シリカ粒子の水性分散体に添加される珪弗化水素酸又はその塩としては、 0.5〜30重量%の水溶液が好ましく、そしてこの水性分散体に添加される水溶性の塩基としては、2〜20重量%の水溶液が好ましい。
上記非晶質シリカ粒子の水性分散体中に、そのシリカのSiO2分に対し0.05〜25重量%量、好ましくは、 0.1〜20重量%量の上記遊離弗素イオンを供給することによって、上記非晶質シリカ粒子の粒子間結合体からなる凝集シリカ粒子が生成し、凝集シリカ粒子の水性分散体が形成される。液のpH及び温度には特に制限はないが、 7.0〜11.5のpH及び液の氷点以上 100℃以下、特に40〜100 ℃の温度が好ましい。
【0020】
凝集シリカ大粒子は、上記生成した凝集シリカ粒子の水性分散体と、水溶性の珪弗化水素酸又はその塩と、水溶性の塩基とを混合して、これら水溶性の珪弗化水素酸又はその塩と水溶性の塩基とをこの水性分散体中で反応させることによって生成し、これによって遠心沈降法により測定される 0.1〜10ミクロンの粒子径を有する凝集シリカ大粒子の水性分散体が得られる。この反応も、上記 (1)式又は(2) 式によって表され、混合液の氷点以上 100℃以下、特に40〜100 ℃の温度で、そしてこの反応後混合液が 7.0〜11.5のpHを有するように行わせるのが好ましい。
【0021】
この凝集シリカ粒子の水性分散体との混合に使用される水溶性の珪弗化水素酸塩としては、上記例示の珪弗化水素酸塩が好ましく、そしてこの混合に使用される水溶性の塩基としても上記例示の塩基が好ましい。この混合に供される水溶性の珪弗化水素酸又はその塩と水溶性の塩基は、上記混合によって得られる水性分散体の水性媒体 100重量部に対し 0.5〜25重量部、好ましくは、1〜20重量部の全SiO2分が維持される量で使用される。この全SiO2分としては、5〜1000 nm の平均粒子径を有する非晶質シリカ粒子に由来のSiO2分と上記混合によって生成したシリカのSiO2分との合計量が採用される。この混合に供される水溶性の珪弗化水素酸又はその塩と水溶性の塩基の量は、5〜1000 nm の平均粒子径を有する非晶質シリカ粒子のSiO2分に対し、SiO2として0.03〜5重量倍、特に0.03〜3重量倍のシリカを生成させる量が好ましい。この混合に供される珪弗化水素酸又はその塩は、好ましくは、 0.5〜30重量%の水溶液として使用され、そして水溶性の塩基は、好ましくは、2〜20重量%の水溶液として使用される。
【0022】
本発明による凝集シリカ大粒子の水性分散体の製造は、種々の好ましい態様で行うことができる。例えば、態様(1) として、 0.5〜23重量%のSiO2濃度を有する上記5〜1000 nm の平均粒子径を有する非晶質シリカの水性ゾルに、 0.5〜30重量%の珪弗化水素酸又はその塩の水溶液と、2〜20重量%の塩基の水溶液とを連続的に供給する方法、態様(2) として、上記5〜1000 nm の平均粒子径を有する非晶質シリカの水性ゾルに、上記濃度に調整した塩基の水溶液を混合し、これにより得られた塩基含有シリカの水性ゾルに、上記濃度に調整された珪弗化水素酸又はその塩の水溶液を連続的に供給する方法、態様(3) として、上記5〜1000 nm の平均粒子径を有する非晶質シリカの水性ゾルに、上記濃度に調整された珪弗化水素酸又はその塩の水溶液を混合し、これにより得られた珪弗化水素酸又はその塩含有のシリカ水性ゾルに、上記濃度に調整された塩基の水溶液を連続的に供給する方法などが挙げられる。
【0023】
凝集シリカ粒子の水性分散体中のこのシリカの生成速度としては、用いられた5〜1000 nm の粒子径を有する上記非晶質シリカ粒子の表面積1000 m2 当たり、毎時 0.5〜5g 程度が好ましく、高い温度程、大きいシリカ生成速度が許容される。
このシリカの生成速度は、十分量の塩基によって毎時反応する珪弗化水素酸又はその塩の量を調節することによって行うことができる。例えば、上記態様(1) の方法では、珪弗化水素酸又はその塩の水溶液と塩基の水溶液の供給速度によって、上記態様(2) の方法では、珪弗化水素酸又はその塩の水溶液の供給速度によって、そして上記態様(3) の方法では、塩基の水溶液の供給速度によって、それぞれシリカの生成速度が調節される。
【0024】
凝集シリカ大粒子の粒子径が 0.1〜0.4 ミクロン程度のときは、その水性分散体はシリカ水性ゾルの形態を有し、そして 0.4〜10ミクロン程度のときは、その水性分散体はシリカのゾルとスラリーの混合形態を有する。この凝集シリカ大粒子の水性分散体を、通常の精製方法、例えば、限外ろ過法、イオン交換法などで精製することにより、この凝集シリカ大粒子の水性分散体から不所望の溶解物質、イオンなどを除去することができる。また、この凝集シリカ大粒子の水性分散体から凝集シリカ大粒子をろ別し、得られた凝集シリカ大粒子の湿ケーキを水洗した後水性媒体に再度分散させることにより、純度の高い凝集シリカ大粒子の水性分散体が得られる。
【0025】
【作用】
約20 nm の粒子径を有するコロイダルシリカの2重量%アルカリ性水性ゾル中に、珪弗化アンモニウム水溶液と水酸化アンモニウム水溶液とを連続的に供給して行くと、この供給の途中から水性ゾルが白濁を起こすこと、更にこの供給を続けるとこの白濁が益々強まること、そしてこの白濁を起こしたゾルのシリカ粒子を電子顕微鏡写真で観察すると、約20 nm の粒子径を有するコロイダルシリカ粒子が疎に凝集した構造を有する凝集シリカ大粒子であることが見出され、前記特開平 3−215312 号公報に記載の微細なシリカ粒子が密に凝集した形態を有する析出シリカ粒子とは相違していることが判明した。更にこの電子顕微鏡写真で観察される凝集シリカ大粒子の形状は、前記特開平 1−317115 号公報に記載の細長い形状とも、或いは前記特開平 4−214022 号公報に記載の偏平な形状とも相違している。この凝集シリカ大粒子は、緻密にビルトアップされた5〜1000nmの粒子径を有する非晶質シリカ粒子の粒子間結合体からなっていることが認められた。
【0026】
別途、約20 nm の粒子径を有するコロイダルシリカの4重量%水性ゾル中に、このゾルに対して 0.8重量% 量の弗化アンモニウムをその水溶液として添加したときも水性ゾルの白濁が観測され、この白濁した水性ゾル中に上記同様珪弗化アンモニウム水溶液と水酸化アンモニウム水溶液とを連続的に供給すると、上記同様に約20 nm の粒子径を有するコロイダルシリカ粒子が疎に凝集した構造を有する凝集シリカ大粒子が生成し、やはり前記特開平 3−215312 号公報に記載の微細なシリカ粒子が密に凝集した形態を有する析出シリカ粒子が生成していないことが見出された。しかし、約20 nm の粒子径を有するコロイダルシリカの4重量%水性ゾル中に、このゾルに対して 0.8重量% 量の弗化アンモニウムを加えて形成させた凝集シリカ粒子は不安定であって、強攪拌、強アルカリなどによりその粒子形状は破壊されやすい。
【0027】
恐らく、珪弗化アンモニウムと水酸化アンモニウムとの反応により生成したシリカは、その生成直後では珪酸又はその低重合度ポリマーであっても、この珪酸又はその低重合度ポリマーは独自に重合してシリカの核粒子を生成させることなく、液中に共存するコロイダルシリカ粒子上に沈着してこのコロイダルシリカ粒子をビルトアップさせ、上記反応で副生した弗化アンモニウムは液中に蓄積してコロイダルシリカ粒子を凝集させ、そして更に珪弗化アンモニウムと水酸化アンモニウムとの反応の進行により、増加した副生弗化アンモニウムは更にコロイダルシリカ粒子間、凝集シリカ粒子間又はこれら粒子間の凝集を進行させると共に、生じた珪酸又はその低重合度ポリマーはこの凝集シリカ粒子上に沈着を起こすことにより、形状を安定に維持できる凝集シリカ大粒子が生成するものと考えられる。そして更に詳しい研究に基づいて、凝集シリカ大粒子の好ましい製造法が完成された。
【0028】
遊離弗化物イオンによって凝集シリカ粒子を生成させる際に使用する5〜1000nmの粒子径を有する非晶質シリカ粒子の水性分散体が、その水性媒体 100重量部に対して30重量部より高いSiO2濃度を有するときは、非晶質シリカ粒子の水性分散体はゲル化を起こし易く、そして反対に 0.5重量部より低いSiO2濃度を有するときは、後に得られる凝集シリカ大粒子の水性分散体のシリカ濃度も低くなり、この分散体を乾燥して使用する用途、或いは濃縮して使用する用途のときに、除去すべき水量が多くなる。
【0029】
水性媒体 100重量部に対して 0.5〜30重量部のSiO2分を有する非晶質シリカ粒子の水性分散体に供給される遊離弗素イオンの量としては、この非晶質シリカ粒子を凝集させるに十分な量を必要とし、この遊離弗素イオンの量が多い程上記非晶質シリカ粒子を凝集させ易いが、非晶質シリカ粒子のSiO2分に対して25重量%以上もの多い量では、非晶質シリカ粒子の水性分散体をゲル化させ、その粘度を増加させる。
【0030】
凝集シリカ粒子の水性分散体中で、珪弗化水素酸又はその塩と上記塩基とを反応させる際、この凝集シリカ粒子の水性分散体中の全SiO2分の濃度が高過ぎると、珪弗化水素酸又はその塩と上記塩基との反応の続行中にこの水性分散体はゲル化を起こし易い。凝集シリカ粒子の水性分散体中の水性媒体 100重量部に対して、この水性分散体中の全SiO2分を25重量部以下に維持することによって、このようなゲル化を避けるとができる。しかし、この水性分散体中の水性媒体 100重量部に対して全SiO2分が 0.5重量部より低いときは、得られた凝集シリカ大粒子の水性分散体を上記同様乾燥又は濃縮する際に、除去すべき水量が多くなる。
【0031】
凝集シリカ粒子の水性分散体中で、珪弗化水素酸又はその塩と上記塩基との反応により生成させるシリカのSiO2量が、5〜1000nmの粒子径を有する非晶質シリカ粒子のSiO2量に対して5重量倍より多いときは、このシリカの生成速度が小さいときの他は、前記特開平 3−215312 号公報に記載の微細なシリカ粒子が密に凝集した形態のシリカ粒子が生成し易い。そしてこの反応において多量のシリカを小さい速度で生成させることは、反応の終了に要する時間が長くなり好ましくない。むしろ、安定な凝集シリカ大粒子が生成する限り、この反応による生成シリカ量は少ない方が好ましい。
【0032】
珪弗化水素酸又はその塩と上記塩基との反応は、速やかに進行すると考えられる。非晶質シリカ粒子又は凝集シリカ粒子の水性分散体中に、多量の珪弗化水素酸又はその塩とアルカリとを短時間に供給すると、この水性分散体中には短時間に多量の珪酸又はその低重合度ポリマーが生成し、この多量の珪酸又はその低重合度ポリマーは、これらシリカ粒子上への沈着の他に、独自に重合して新たにシリカの微細な核粒子を生成させる。そして多量の副生弗素イオンは、非晶質シリカ粒子の凝集の他に、この生成シリカの核粒子の凝集も起こさせ、かくして凝集シリカ大粒子と微細な核粒子が密に凝集した形態のシリカ粒子とが混在する水性分散体が形成される。このような微細な核粒子が密に凝集した形態のシリカ粒子は、前記特開平 3−215312 号公報に記載のシリカ粒子と同種のものであるから、このような微細な核粒子が密に凝集した形態のシリカ粒子の混在が好ましくない用途に使用するには、このような微細な核粒子が密に凝集した形態のシリカ粒子の生成を抑制する方法で凝集シリカ大粒子の水性分散体を製造するのが望ましい。上記の態様(1) の方法、態様(2) の方法及び態様(3) の方法は、いずれもこのような微細な核粒子が密に凝集した形態のシリカ粒子の生成を避けるのに有効である。更に、珪酸又はその低重合度ポリマーが速やかに、非晶質シリカ粒子又は凝集シリカ粒子上に沈着するように、珪弗化水素酸又はその塩と上記塩基との反応をなるべく高温で行う方法は、このような微細な核粒子が密に凝集した形態のシリカ粒子の生成を抑制するのに有効である。
【0033】
【実施例】
実施例及び比較例に使用するための珪弗化水素酸塩の水溶液(F1)、5〜1000nmの平均粒子径を有する非晶質シリカ粒子の水性分散体としてシリカ水性ゾル(S1)〜(S5)及びアルカリ水溶液(A1)及び(A2)を、下記のようにして調製した。
(イ) 珪弗化水素酸塩の水溶液
(F1): 40重量%の珪弗化水素酸水溶液を水で希釈することにより、 9.8重量%の珪弗化水素酸水溶液を調製した。別途、28重量%のアンモニア水を水で希釈することにより、10重量%のアンモニア水を調製した。この 9.8重量%の珪弗化水素酸水溶液 485.2重量部に、攪拌下この10重量%のアンモニア水 114.8重量部を加えることにより、10重量%の珪弗化アンモニウム水溶液を調製した。
【0034】
(ロ) シリカ水性ゾル
(S1): 40重量%のSiO2濃度、21 nm の粒子径及び 2.5のpHを有する市販の水性シリカゾル (日産化学工業株式会社製の商品名スノーテックスO−40) を用意した。
(S2): 40重量%のSiO2濃度、45 nm の粒子径及び 9.6のpHを有する市販の水性シリカゾル (日産化学工業株式会社製の商品名スノーテックスXL) を用意した。
【0035】
(S3): 40重量%のSiO2濃度、62 nm の粒子径及び 9.5のpHを有する市販の水性シリカゾル (日産化学工業株式会社製の商品名スノーテックスYL) を用意した。
(S4): 40重量%のSiO2濃度、83 nm の粒子径及び 9.3のpHを有する市販の水性シリカゾル (日産化学工業株式会社製の商品名スノーテックスZL) を用意した。
【0036】
(S5): 20重量%のSiO2濃度、550 nmの粒子径及び 9.5のpHを有する水性シリカゾルを、米国特許第3538015 に記載の方法により調製した。
(ハ) アルカリ水溶液
(A1): 市販品試薬の28重量%のアンモニア水を用意した。
(A2): 市販品試薬の水酸化ナトリウムを水に溶解することにより、10重量%の水酸化ナトリウム水溶液を調製した。
【0037】
遠心沈降法によるシリカ粒子の測定には、 (株) 島津製作所製の遠心沈降式粒度分布測定装置 SA−CP3 型の機種が用いられた。
実施例1
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、1842 gの純水と、158 g のアルカリ水溶液(A1)とを投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに 200 gのシリカ水性ゾル(S1)を投入することにより、 2.6モルのNH4OH を含有し、そして100 重量部の水に対して 3.6重量部のSiO2分を含有する非晶質シリカ粒子の水性分散体を調製した。
【0038】
次いで、この非晶質シリカ粒子の水性分散体を 65 ℃に加熱しながら、攪拌下この水性分散体に 600 gの珪弗化アンモニウム水溶液(F1)を1分間当たり10 gの速度で連続的に供給した。この供給を開始してから20分の時点で、この非晶質シリカ粒子の水性分散体に白濁が生じた。この時点までに供給した珪弗化アンモニウムの全量から、前記(2) 式の反応により副生した弗素イオンの量は、非晶質シリカ粒子のSiO2量に対して16重量% と算出され、そして水性分散体中の水性媒体に対しては 1.0重量% の濃度と算出される。
【0039】
60分間を要して上記珪弗化アンモニウム水溶液(F1)全量の供給を終了した後、更に15分間攪拌を続けたところ、8.91のpH、18 mPa・s の20℃粘度及び3.6 重量%のSiO2濃度を有する未精製シリカの水性スラリー 2800 g が得られた。供給した珪弗化アンモニウムの量から前記(2) 式により生成したシリカのSiO2量は、シリカ水性ゾル(S1)に由来のSiO2量の0.25倍と算出される。
【0040】
この未精製シリカの水性スラリーのシリカ全量を東洋濾紙 No. 5C でろ別し、純水で洗浄することにより、シリカの湿ケーキ 426g が得られた。この湿ケーキ426 g に 52 g の純水を加えて攪拌したところ、20.5重量%のSiO2濃度、15 mPa・s の20℃粘度、及び 9.05 のpHを有する精製シリカ水性分散体 478g が得られた。シリカの収率はSiO2として98%と算出される。この精製シリカ水性分散体のシリカ粒子の粒子径を遠心沈降法で測定したところ4.09ミクロンであった。
【0041】
上記精製シリカ水性分散体に、そのpHが10.1となるように水酸化ナトリウムの水溶液を加えて強攪拌した後、シリカ粒子の粒子径を遠心沈降法で測定したところ4.01ミクロンであり、殆ど変化は認められなかった。
実施例2
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、 780 gの純水と、 350g のアルカリ水溶液(A1)とを投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに 125g のシリカ水性ゾル(S1)を投入することにより、 5.8モルのNH4OH を含有し、そして100 重量部の水に対して 4.0重量部のSiO2分を含有する非晶質シリカ粒子の水性分散体を調製した。
【0042】
次いで、この非晶質シリカ粒子の水性分散体を 65 ℃に加熱しながら、攪拌下この水性分散体に1500g の珪弗化アンモニウム水溶液(F1)を1分間当たり10g の速度で連続的に供給した。150 分間を要して上記珪弗化アンモニウム水溶液(F1)の全量の供給を終了した後、更に15分間攪拌を続けたところ、8.23のpH、22mPa ・s の20℃粘度及び3.6 重量%のSiO2濃度を有する未精製シリカの水性スラリー2755g が得られた。供給した珪弗化アンモニウムの量から前記(2) 式により生成したシリカのSiO2量は、シリカ水性ゾル(S1)に由来のSiO2量の1.0 倍と算出される。
【0043】
この未精製シリカの水性スラリーのシリカ全量を東洋濾紙 No. 5C でろ別し、純水で洗浄することにより、シリカの湿ケーキ 513g が得られた。この湿ケーキ全量に 43gの純水を加えて攪拌したところ、18.0重量%のSiO2濃度、18 mPa・s の20℃粘度、及び 8.59 のpHを有する精製シリカ水性分散体 556g が得られた。この精製シリカ水性分散体のシリカ粒子の粒子径を遠心沈降法で測定したところ7.75ミクロンであった。
【0044】
実施例3
この実施例では、非晶質シリカ粒子の水性分散体を 30 ℃に保って珪弗化アンモニウム水溶液(F1)を供給した他は、実施例1と同様にして、未洗浄シリカの水性スラリー2800g を得た。このスラリーは、8.99のpH、26 mPa・s の20℃粘度、及び3.6 重量%のSiO2濃度を有していた。
【0045】
次いで、実施例1と同様にして、精製したシリカの水性分散体 476g を得た。この精製シリカ水性分散体は、20.0重量%のSiO2濃度、20 mPa・s の20℃粘度、8.87のpH、及び5.64ミクロンの遠心沈降法シリカ粒子径を有していた。
実施例4
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、2403g の純水と、47g のアルカリ水溶液(A1)とを投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに 150g のシリカ水性ゾル(S1)を投入することにより、 0.8モルのNH4OH を含有し、そして100 重量部の水に対して 2.7重量部のSiO2分を含有する非晶質シリカ粒子の水性分散体を調製した。
【0046】
次いで、この非晶質シリカ粒子の水性分散体を 65 ℃に加熱しながら、攪拌下この水性分散体に 200g の珪弗化アンモニウム水溶液(F1)を1分間当たり6.7gの速度で連続的に供給した。30分間を要して上記珪弗化アンモニウム水溶液(F1)の全量の供給を終了した後、更に15分間攪拌を続けたところ、9.28のpH、 9 mPa・s の20℃粘度及び1.8 重量%のSiO2濃度を有する未精製シリカの水性スラリー2800g が得られた。供給した珪弗化アンモニウムの量から前記(2) 式により生成したシリカのSiO2量は、シリカ水性ゾル(S1)に由来のSiO2量の0.11倍と算出される。
【0047】
この未精製シリカの水性スラリーに純水を供給しながら、限外ろ過膜を使用して濃縮と脱塩を行ったところ、13.1重量%のSiO2濃度、 8 mPa・s の20℃粘度、及び 8.91 のpHを有する精製シリカ水性分散体 503g が得られた。この精製シリカ水性分散体のシリカ粒子の粒子径を遠心沈降法で測定したところ0.62ミクロンであった。
【0048】
実施例5
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、1127g の純水と、 221g のアルカリ水溶液(A1)とを投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに 624g のシリカ水性ゾル(S2)を投入することにより、 3.6モルのNH4OH を含有し、そして100 重量部の水に対して12.7重量部のSiO2分を含有する非晶質シリカ粒子の水性分散体を調製した。
【0049】
次いで、この非晶質シリカ粒子の水性分散体を 65 ℃に加熱しながら、攪拌下この水性分散体に828gの珪弗化アンモニウム水溶液(F1)を1分間当たり10.3g の速度で連続的に供給した。80分間を要して上記珪弗化アンモニウム水溶液(F1)の全量の供給を終了した後、更に15分間攪拌を続けたところ、8.64のpH、28 mPa・s の20℃粘度及び10.0重量%のSiO2濃度を有する未精製シリカの水性スラリー2800g が得られた。供給した珪弗化アンモニウムの量から前記(2) 式により生成したシリカのSiO2量は、シリカ水性ゾル(S1)に由来のSiO2量の0.11倍と算出される。
【0050】
この未精製シリカの水性スラリーのシリカ全量を東洋濾紙 No. 5C でろ別し、純水で洗浄することにより、シリカの湿ケーキ 769g が得られた。この湿ケーキ769gに 31 g の純水を加えて攪拌したところ、35.0重量%のSiO2濃度、92 mPa・s の20℃粘度、及び 8.62 のpHを有する精製シリカ水性分散体 800g が得られた。この精製シリカ水性分散体のシリカ粒子の粒子径を遠心沈降法で測定したところ4.11ミクロンであった。
【0051】
実施例6
この実施例では、非晶質シリカ粒子の水性分散体としてシリカ水性ゾル(S4)を使用した他は、実施例1と同様にして、未洗浄シリカの水性スラリー2793g を得た。このスラリーは、9.02のpH、 6 mPa・s の20℃粘度、及び3.6 重量%のSiO2濃度を有していた。
【0052】
次いで、実施例1と同様にして、精製したシリカの水性分散体 333g を得た。この精製シリカ水性分散体は、30.0重量%のSiO2濃度、17 mPa・s の20℃粘度、8.24のpH、及び0.32ミクロンの遠心沈降法シリカ粒子径を有していた。
実施例7
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、 790g の純水と、 718g のアルカリ水溶液(A1)とを投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに 129g のシリカ水性ゾル(S5)を投入することにより、11.8モルのNH4OH を含有し、そして100 重量部の水に対して 1.6重量部のSiO2分を含有する非晶質シリカ粒子の水性分散体を調製した。
【0053】
次いで、この非晶質シリカ粒子の水性分散体を攪拌下 65 ℃に加熱しながら、これに1745g の珪弗化アンモニウム水溶液(F1)を1分間当たり1.2gの速度で連続的に供給した。1440分間を要して上記珪弗化アンモニウム水溶液(F1)の全量の供給を終了した後、更に30分間攪拌を続けたところ、7.59のpH、12 mPa・s の20℃粘度及び2.5 重量%のSiO2濃度を有する未精製シリカの水性スラリー3380g が得られた。供給した珪弗化アンモニウムの量から前記(2) 式により生成したシリカのSiO2量は、シリカ水性ゾル(S5)に由来のSiO2量の2.28倍と算出される。 この未精製シリカの水性スラリーのシリカ全量を東洋濾紙 No. 5C でろ別し、純水で洗浄することにより、シリカの湿ケーキ 168g が得られた。この湿ケーキ 168g に 112g の純水を加えて攪拌したところ、35.0重量%のSiO2濃度、13 mPa・s の20℃粘度、及び7.59のpHを有する精製シリカ水性分散体 280g が得られた。この精製シリカ水性分散体のシリカ粒子の粒子径を遠心沈降法で測定したところ7.68ミクロンであった。
【0054】
実施例8
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、1591 gの純水と、40重量%の珪弗化水素酸水溶液 129 gとを投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに289 g のアルカリ水溶液(A2)とシリカ水性ゾル(S3) 215 gを投入しすることにより、0.36モルの珪弗化ナトリウムを含有し、そして100 重量部の水に対して 3.9重量部のSiO2分を含有する非晶質シリカ粒子の水性分散体を調製した。
【0055】
次いで、この非晶質シリカ粒子の水性分散体を攪拌下100 ℃に加熱しながら、これにアルカリ水溶液(A2)を1分間当たり4.1gの速度で連続的に供給した。140 分間を要して上記アルカリ水溶液(A2)の全量 576 gを供給した後、更に30分間攪拌を続けたところ、10.29 のpH、17 mPa・s の20℃粘度及び3.9 重量%のSiO2濃度を有する未精製シリカの水性スラリー 2800 g が得られた。供給した水酸化ナトリウムの量から前記(2) 式により生成したシリカのSiO2量は、シリカ水性ゾル(S3)に由来のSiO2量の0.25倍と算出される。
【0056】
この未精製シリカの水性スラリーのシリカ全量を東洋濾紙 No. 5C でろ別し、純水で洗浄することにより、シリカの湿ケーキ 454g が得られた。この湿ケーキ454gに86g の純水を加えて攪拌したところ、20重量%のSiO2濃度、8mPa・s の20℃粘度、及び 8.87 のpHを有する精製シリカ水性分散体540gが得られた。この精製シリカ水性分散体のシリカ粒子の粒子径を遠心沈降法で測定したところ1.12ミクロンであった。
【0057】
実施例9
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、1844g の純水と、40重量%の珪弗化水素酸水溶液83g とを投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに187gのアルカリ水溶液(A2)とシリカ水性ゾル(S3) 312g を投入することにより、0.23モルの珪弗化ナトリウムを含有し、そして100 重量部の水に対して 5.1重量部のSiO2分を含有する非晶質シリカ粒子の水性分散体を調製した。
【0058】
次いで、この非晶質シリカ粒子の水性分散体を攪拌下 70 ℃に加熱しながら、これにアルカリ水溶液(A2)を1分間当たり4.1gの速度で連続的に供給した。150 分間を要して上記アルカリ水溶液(A2)の全量 373g を供給した後、更に30分間攪拌を続けたところ、9.89のpH、12 mPa・s の20℃粘度及び5.0 重量%のSiO2濃度を有する未精製シリカの水性スラリー2800g が得られた。供給した水酸化ナトリウムの量から前記(2) 式により生成したシリカのSiO2量は、シリカ水性ゾル(S3)に由来のSiO2量の0.11倍と算出される。
【0059】
この未精製シリカの水性スラリーのシリカ全量を東洋濾紙 No. 5C でろ別し、純水で洗浄することにより、シリカの湿ケーキ 301g が得られた。この湿ケーキ301gに 349g の純水を加えて攪拌したところ、20重量%のSiO2濃度、12 mPa・s の20℃粘度、及び 9.24 のpHを有する精製シリカ水性分散体 650g が得られた。この精製シリカ水性分散体のシリカ粒子の粒子径を遠心沈降法で測定したところ0.27ミクロンであった。
【0060】
実施例 10
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、2032g の純水と、40重量%の珪弗化水素酸水溶液42g とを投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに93g のアルカリ水溶液(A2)とシリカ水性ゾル(S3) 230g を投入することにより、0.12モルの珪弗化ナトリウムを含有し、そして100 重量部の水に対して 3.8重量部のSiO2分を含有する非晶質シリカ粒子の水性分散体を調製した。
【0061】
次いで、この非晶質シリカ粒子の水性分散体を攪拌下 70 ℃に加熱しながら、これにアルカリ水溶液(A2)を1分間当たり4.4gの速度で連続的に供給した。100 分間を要して上記アルカリ水溶液(A2)の全量 187g を供給した後、更に30分間攪拌を続けたところ、9.28のpH、 9 mPa・s の20℃粘度及び3.87重量%のSiO2濃度を有する未精製シリカの水性スラリー2584g が得られた。供給した水酸化ナトリウムの量から前記(2) 式により生成したシリカのSiO2量は、シリカ水性ゾル(S3)に由来のSiO2量の0.075 倍と算出される。
【0062】
この未精製シリカの水性スラリーに純水を供給しながら、限外ろ過膜を使用して脱塩と濃縮を行ったところ、10重量%のSiO2濃度、 5 mPa・s の20℃粘度、及び 8.88 のpHを有する精製シリカ水性分散体1000g が得られた。この精製シリカ水性分散体のシリカ粒子の粒子径を遠心沈降法で測定したところ0.17ミクロンであった。
【0063】
実施例 11
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、1716g の純水と、158 g のアルカリ水溶液(A1)とを投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに 200 gのシリカ水性ゾル(S1)を投入し、次いで、10重量%の弗化アンモニウム水溶液 126g を投入したところ、この容器内の液は白濁した。
【0064】
この白濁した液を 65 ℃に加熱しながら、攪拌下この液に 600 gの珪弗化アンモニウム水溶液(F1)を1分間当たり10 gの速度で連続的に供給した。60分間を要して上記珪弗化アンモニウム水溶液(F1)全量の供給を終了した後、更に15分間攪拌を続けたところ、8.82のpH、23 mPa・s の20℃粘度及び3.6 重量%のSiO2濃度を有する未精製シリカの水性スラリー 2800 g が得られた。供給した珪弗化アンモニウムの量から前記(2) 式により生成したシリカのSiO2量は、シリカ水性ゾル(S1)に由来のSiO2量の0.25倍と算出される。
【0065】
実施例1と同様にしてシリカの湿ケーキを得た。この湿ケーキ 399g に90g の純水を加えて攪拌したところ、20.0重量%のSiO2濃度、18 mPa・s の20℃粘度、及び9.02のpHを有する精製シリカ水性分散体 488g が得られた。この精製シリカ水性分散体のシリカ粒子の粒子径を遠心沈降法で測定したところ5.23ミクロンであった。
【0066】
実施例 12
実施例1〜6で得られた精製シリカ水性分散体を、それぞれ150 ℃で乾燥することにより、乾燥した粉体を得た。
湯浅アイオニクス (株) 製のポロシメータ細孔分布測定装置オートスキャン−60の機種を使用して、水銀圧入法により、平均細孔径と細孔容積を測定したところ、第1表に記載の結果が得られた。
【0067】
比較例1
シリカ水性ゾル(S1)に水を加えてSiO2濃度を20重量%に調整したゾルに、攪拌下その水性媒体に対して、弗素イオンとして1000重量ppm 、2500重量 ppm、5000重量 ppm、及び10000 重量 ppmを供給する量の弗化アンモニウム水溶液を添加したところ、1000重量 ppmのときにはこのシリカ水性ゾルは白濁を起こさなかったが、2500重量 ppmのときには白濁を生じ、5000重量 ppmのときには更に強い白濁を起こし、そして10000 重量 ppmのときには増粘してゲル化を起こした。
【0068】
上記5000重量ppm の弗素イオンによって白濁した液のシリカ粒子は、遠心沈降法による 2.8ミクロンの粒子径を有していたが、この白濁した液を強攪拌することにより得られた液のシリカ粒子は、遠心沈降法による 0.6ミクロンの粒子径を示し、弗化物イオンによって凝集したのみである凝集シリカ粒子は不安定であることを認めた。
【0069】
比較例2
この例は、高いSiO2濃度を有する非晶質シリカ水性分散体中で、珪弗化水素酸塩と塩基との反応による弗素イオンを生成させた例である。
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、 259g のアルカリ水溶液(A1)を投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに1631g のシリカ水性ゾル(S1)を投入することにより、 1.5モルのNH4OH を含有し、そして100 重量部の水に対して34.5重量部のSiO2分を含有する非晶質シリカ粒子の水性分散体を調製した。
【0070】
次いで、この非晶質シリカ粒子の水性分散体を 65 ℃に加熱しながら、攪拌下この水性分散体に、10重量%の珪弗化アンモニウム水溶液を1分間当たり51g の速度で連続的に供給した。この供給を開始してから9分の時点で、この非晶質シリカ粒子の水性分散体はゲル化した。このゲルは、100 重量部の水に対して28.4重量部のSiO2分を含有し、そしてこのSiO2分に対して15000 重量 ppmの弗素イオンを含有する。
【0071】
比較例3
この例は、高いSiO2濃度を有する凝集シリカ水性分散体中で、珪弗化水素酸塩と塩基とを反応させた例である。
内容積5リットルのポリエチレン製容器に、 600g のアルカリ水溶液(A1)を投入し、この容器内の液を攪拌しながら、これに1631g のシリカ水性ゾル(S1)を投入することにより、 3.5モルのNH4OH を含有し、そして100 重量部の水に対して29.2重量部のSiO2分を含有する非晶質シリカ粒子の水性分散体を調製した。
【0072】
次いで、この非晶質シリカ粒子の水性分散体を 65 ℃に加熱しながら、攪拌下この水性分散体に、30重量%の珪弗化アンモニウム水溶液を1分間当たり20g の速度で連続的に供給した。この供給を開始してから10分の時点でゲル化した。このゲルは、100 重量部の水に対して27.7重量部のSiO2分を含有し、そしてこのSiO2分に対して9200重量 ppmの弗素イオンを含有する。
【0073】
【発明の効果】
本発明によれば、5〜1000 nm の非晶質シリカ粒子の水性ゾル又は水性分散体をゲル化させないで、この非晶質シリカ粒子をその凝集体粒子に変換させ、そしてこの凝集体粒子を簡易且つ効率的に安定化させることにより、遠心沈降法によって測定される 0.1〜10ミクロンの粒子径を有する凝集シリカ大粒子の水性分散体を製造することができる。
【0074】
この凝集シリカ大粒子は、強攪拌、強アルカリなどによってはその粒子形状が損なわれないという安定性を示し、そしてこの凝集シリカ大粒子の水性分散体を乾燥すると、多孔質の性質を有する粉体が得られる。
この凝集シリカ大粒子の水性分散体を、陽イオン及び陰イオン交換樹脂で処理することにより、或いは限外ろ過処理することにより、陽イオン及び陰イオンを含まない凝集シリカ大粒子の酸性水性分散体を得ることができる。そしてこの酸性水性分散体にアルカリを添加することにより、アルカリ性水性分散体を得ることができる。
【0075】
この凝集シリカ大粒子水性分散体の水性媒体を親水性有機溶媒で置換することにより、凝集シリカ大粒子の親水性有機溶媒分散体が得られる。この置換の方法としては、この凝集シリカ大粒子水性分散体に親水性溶媒を添加しながら、この添加によって形成される水と親水性溶媒との混合液を、限外ろ過膜を通して除去する方法、或いは蒸留で除去する方法など通常の方法でよい。凝集シリカ大粒子の親水性有機溶媒分散体は、同様にして疎水性有機溶媒で置換することができる。
【0076】
この凝集シリカ大粒子の水性分散体、或いは有機溶媒分散体の乾燥粉末は、大きな細孔容積、例えば、8〜300 nmにわたる調節された径を有する細孔をこの粉末1g 当たり 0.2〜3.0 ミリリットルの容積を有し、特に、インク吸収剤、触媒担体などに有用である他、紙の填料、樹脂中に混入させて使用する充填剤などとしても使用することができる。
【0077】
この凝集シリカ大粒子の水性分散体、有機溶媒分散体などは、これらと混和性を有する樹脂エマルジョンとの組成物として、塗料、その他従来から使用されている用途にも使用することができる。
Claims (1)
- 100 重量部の水性媒体と、SiO2として 0.5〜30重量部の5〜1000 nm の平均粒子径を有する非晶質シリカ粒子とからなる当該シリカ粒子の水性分散体に、この非晶質シリカ粒子のSiO2分に対し0.05〜25重量%量の遊離弗素イオンを供給することによって、この非晶質シリカ粒子の粒子間結合体からなる凝集シリカ粒子の水性分散体を形成させること、及びこの凝集シリカ粒子の水性分散体中その水性媒体 100重量部に対し 0.5〜25重量部の全SiO2分が維持される量で、珪弗化水素酸又はその塩と、当該珪弗化水素酸又はその塩からシリカを生成させるに十分な量のアルカリとを、この生成凝集シリカ粒子の水性分散体中で反応させることからなる、遠心沈降法によって測定される 0.1〜10ミクロンの粒子径を有する凝集シリカ大粒子水性分散体の製造法。
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