JP3598313B2 - 可撓性構造物のデンプンフィラメントを作製するための電気スピニング - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、澱粉フィラメントを含んでなる可撓性構造物、更に具体的には特異領域を有する可撓性構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
発明の背景
紙などのセルロース性の繊維質ウェブは、当該技術分野で周知である。低密度繊維質ウェブは、今日紙タオル、トイレットペーパー、化粧紙、ナプキンなどに普通に用いられている。このような紙生成物の需要が大きいため、改良された製品やそれらの製造法の需要が生まれてきている。このような需要を満たすには、製紙御者は機械類および資源の原価を、製品を消費者に届ける総コストと釣り合わせなければならない。
【0003】
通常の製紙作業については、木材のセルロース繊維を再パルプ化、打ち延ばし、または精製してある程度の繊維水和度とし、水性パルプスラリーを形成する。ティシュー、タオル地や生理用品に用いる紙製品の製造法は、一般に水性スラリーの調製、および次にスラリーから水を除去し、同時にその中で繊維を再配置して紙ウェブを形成することを含む。脱水に続いて、ウェブを乾燥巻取またはシート形態に加工し、最終的に消費者用包装に加工する。脱水工程および加工作業をやりやすくするには、様々な種類の機械類を用いなければならず、かなりの投資資金を必要とする。
【0004】
通常の製紙作業のもう一つの態様は、パルプに添加剤を配合して、特異的な最終特性を得ることを含んでいる。例えば、強度樹脂、デボンディング界面活性剤(debonding surfactants)、軟化剤、顔料、格子、合成微小球、難燃剤、染料、香料などの添加剤が、製紙に用いられることが多い。製紙工程のウェットエンドにおけるこれらの添加剤の効率的保持は、保持されない部分がプラントから流出する部分となる場合には、経済的損失となるだけでなく、著しい汚染問題を生じるので製造業者にとって困難な問題となる。添加剤は、当該技術分野でよく知られているコーティングまたは飽和工程を介して脱水の後に紙ウェブに加えることができる。これらの工程は、通常はコーティング後に紙を再乾燥する目的で過剰の熱エネルギーを消費する必要がある。更に、幾つか場合には、コーティング系は、溶剤を基剤とする必要があり、これによりコストが嵩み、また規制要件を満たすために揮発性物質を回収する必要がある。
【0005】
セルロース以外の様々な天然繊維、並びに様々な合成繊維が製紙に用いられてきているが、これらの代替品はいずれもコストが高く、結合特性がよくなく、化学的に不適合性であり、製造装置における取扱いが難しいため、商業的に許容可能なセルロースの代替品を提供することには成功していない。製紙工程の様々な態様において、澱粉フィラメントがセルロースの代替品として示唆されているが、このような澱粉フィラメントを使用する商業的試みは不成功に終わっている。従って、紙製品は、未だほぼ独占的に木材を基材とするセルロース成分のみから製造されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、長い澱粉フィラメントを含んでなる可撓性構造物、およびこれの製造法を提供する。詳細には、本発明は、複数の澱粉フィラメントを含んでなる可撓性構造物であって、この構造が、強度、吸収力および柔軟性を向上させるための明確な集中特性(intensive properties)を有する2つ以上の領域を含んでなることを特徴とするものを提供する。
【0007】
本発明は、澱粉フィラメントの製造法も提供する。特には、本発明は、複数の澱粉フィラメントを生産する電気スピニング法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明の概要
可撓性構造物は、複数の澱粉フィラメントを含んでなる。複数の澱粉フィラメントの少なくとも幾つかは、大きさが約0.001dtex〜約135dtexであり、更に具体的には0.01dtex〜5dtexである。少なくとも幾つかの澱粉フィラメントの主軸の長さ対澱粉フィラメントの主軸に垂直な断面の等しい直径のアスペクト比は100/1より大きく、更に具体的には500/1より大きく、更に一層具体的には1000/1より大きく、更により具体的には5000/1より大きい。
【0009】
この構造は、少なくとも第一の領域と第二の領域を含んでなり、第一および第二の領域のそれぞれは密度、基礎重量、高さ(elevation)、不透明度、クレープ頻度(crepe frequency)、およびそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つの共通した集中特性を有する。第一の領域の少なくとも1つの共通した集中特性は、第二の領域の少なくとも1つの共通した集中特性と値が異なる。
【0010】
一態様において、第一および第二の領域の一方は実質的に連続的な網状構造を含んでなり、第一および第二の領域の他方は実質的に連続的な網状構造中に分散した複数の不連続部分を含んでなる。もう一つの態様では、第一の領域および第二の領域の少なくとも一方は、半連続的網状構造を含んでなる。
【0011】
可撓性構造物は、第一の領域の集中特性および第二の領域の集中特性と共通しておりかつ値が異なる少なくとも1つの集中特性を有する少なくとも1つの第三の領域をも含んでなることができる。一態様では、第一、第二および第三の領域の少なくとも1つは、実質的に連続的な網状構造を含んでなることができる。もう一つの態様では、第一、第二および第三の領域の少なくとも1つは、個別または不連続的部分を含んでなることができる。更にもう一つの態様では、第一、第二および第三の領域の少なくとも1つは、実質的に半連続的部分を含んでなることができる。更にもう一つの態様では、第一、第二および第三の領域の少なくとも1つは、実質的に連続的な網状構造中に分散した複数の個別的部分を含んでなることができる。
【0012】
可撓性構造物が実質的に連続的な網状構造と、実質的に連続的な網状構造中に分散した複数の個別的部分とを含んでなる態様では、実質的に連続的網状構造領域は複数の個別的部分の密度が比較的低いのに対して比較的高密度を有することができる。構造が水平な参照平面上に配置されるときには、第一の領域は第一の高さを画定し、第二の領域は第一の領域から外側に伸びて、第一のたかさより(水平な参照平面と比較して)大きな第二の高さを画定する。
【0013】
少なくとも3つの領域を含んでなる態様では、構造が水平な参照平面に配置されるときには、第一の領域は第一の高さを画定することができ、第二の領域は第二の高さを画定することができ、第三の領域は第三の高さを画定することができる。第一、第二および第三の高さの少なくとも1つは、他の高さの少なくとも1つと異なることができ、例えば第二の高さは第一の高さおよび第三の高さの中間であることができる。
【0014】
一態様では、第二の領域は複数の澱粉ピロー(starch pillow)であって、それぞれのピローが第一の高さから第二の高さに伸びているドーム部と第二の高さにおけるドーム部から横に伸びている片持ち梁部を含んでなることができるものを含んでなる。澱粉片持ち梁部の密度は第一の領域の密度およびドーム部の密度の少なくとも一方に等しいかまたは異なり、または第一の領域の密度およびドーム部の密度の中間であることができる。片持ち梁部は、典型的には第一の平面から高くなって、第一の領域と片持ち梁部との間に実質的に中空部を形成している。
【0015】
可撓性構造物は、複数の澱粉フィラメントを溶融紡糸、乾燥紡糸、湿潤紡糸、電気紡糸、またはそれらの任意の組合せによる複数の澱粉フィラメントを製造し、複数の澱粉フィラメントを収容する目的で構築した三次元フィラメント収容側部を有する成形部材を提供し、成形部材のフィラメント収容側部に複数の澱粉フィラメントを入れ、複数の澱粉フィラメントがそのパターンに少なくとも部分的に一致するようにし、成形部材から複数の澱粉フィラメントを分離することによって製造することができる。
【0016】
複数の澱粉フィラメントを成形部材のフィラメント収容側部に入れる段階は、複数の澱粉フィラメントを成形部材の三次元パターンに少なくとも部分的に一致させることを含むことができる。これは、例えば複数の澱粉フィラメントに流体圧力差を加えることによって行うことができる。
【0017】
一態様では、複数の澱粉フィラメントを成形部材に入れる段階は、成形部材のフィラメント収容側部に対して鋭角に澱粉フィラメントを入れ、この鋭角が約5度〜約85度となるようにすることを含んでなる。
【0018】
成形部材は、一態様では、強化要素に接合した樹脂性フレーム構造を含んでなる。成形部材は、流体透過性、流体不透過性または部分的に流体透過性であることができる。強化要素は、フィラメント収容側部とフレーム構造の裏面の少なくとも一部との間に配置することができる。フィラメント収容側部は、実質的に連続的パターン、実質的に半連続的パターン、不連続パターン、またはそれらの任意の組合せを含んでなることができる。フレーム構造は、フレーム構造は、複数の開口であって、フレーム構造のパターンと同様にまたは逆に連続的、不連続的、半連続的にすることができる開口を含んでなることができる。
【0019】
一態様では、成形部材は、第一の高さで配置された強化要素と、強化要素に対面関係で接合されかつ強化要素から外側に伸び出して第二の高さを形成している樹脂性フレーム構造とによって形成される。成形部材は、複数の織り合わせた糸(interwoven yarns)、フェルト、またはそれらの任意の組合せを含んでなることができる。
【0020】
複数の澱粉フィラメントを成形部材のフィラメント収容側部に配置するときには、それらが柔軟性でありおよび/または流体圧力差が加えられる結果、少なくとも部分的に成形部材の三次元パターンに順応し、それによってパターン化したフレーム構造によって支持された複数の澱粉フィラメントの第一の領域と、開口または複数の開口に偏向しかつ強化要素によって支持されている複数の澱粉フィラメントの第二の領域を形成しやすい。
【0021】
一態様では、成形部材は、懸垂部分を含んでなる。このような成形部材の樹脂性フレーム構造は、強化要素から外側に伸び出している複数の基材と、第二の高さにおける基剤から横方向に伸びている複数の片持ち梁部を含んでなり、片持ち梁部と強化要素との間に中空部を形成し、複数の基材と複数の片持ち梁部が組み合って成形部材の三次元フィラメント収容側部を形成している。このような成形部材は、互いに対面関係で接合して少なくとも2つの層で形成し、これらの層の一方のフレーム構造の一部が他の層の開口に相当するようにすることができる。懸垂部を含んでなる成形部材は、特異的不透明部分を含んでなるパターンを有するマスクを介する感光樹脂層の特異的硬化によって形成することもできる。
【0022】
本発明の可撓性構造物の製造法は、更に複数の澱粉フィラメントに機械的圧力を加えることなどによって複数の澱粉フィラメントの選択された部分を緻密にする段階をも含むことができる。
【0023】
この方法は、更に複数の澱粉フィラメントを予め縮めておく段階を含むこともできる。この予備短縮は、クレーピング(creping)、微小収縮、またはそれらの組合せによって行うことができる。
【0024】
澱粉フィラメントを製造するための電気紡糸法(electro−spinning process)は、伸び粘度が約50パスカル・秒〜約20,000パスカル・秒であることを含んでなる澱粉組成物を提供し、澱粉組成物を電気紡糸することによって、大きさが約0.001dtex〜約135dtexの澱粉フィラメントを生成する段階を含んでなる。澱粉フィラメントを電気紡糸する段階は、典型的にはダイを通す澱粉組成物の電気紡糸を含んでなる。
【0025】
澱粉組成物中の澱粉は、重量平均分子量が約1,000〜約2,000,000であり、澱粉組成物の細管数(capillary number)が少なくとも0.05であり、更に具体的には少なくとも1.00である。一態様では、澱粉組成物は、アミロペクチン約20重量%〜約99重量%を含んでなる。澱粉組成物中の澱粉は、重量平均分子量が約1,000〜約2,000,000であることができる。澱粉組成物は、重量平均分子量が少なくとも500,000である高重合体を含むことができる。
【0026】
澱粉組成物は、澱粉約10重量%〜約80重量%および添加剤約20重量%〜約90重量%を含んでなることができる。このような澱粉組成物の伸び粘度は、約20℃〜約180℃の温度で約100パスカル・秒〜約15,000パスカル・秒であることができる。
【0027】
澱粉組成物は、澱粉約20重量%〜約70重量%および添加剤約30重量%〜約80重量%を含んでなることができる。このような澱粉組成物の伸び粘度は、約20℃〜約100℃の温度で約200パスカル・秒〜約10,000パスカル・秒であることができる。
【0028】
伸び粘度が約200パスカル・秒〜約10,000パスカル・秒である澱粉組成物の細管数は、約3〜約50であることができる。更に具体的には、伸び粘度が約300パスカル・秒〜約5,000パスカル・秒である澱粉組成物の細管数は約5〜約30であることができる。
【0029】
一態様では、澱粉組成物は、澱粉と実質的に適合性でありかつ平均分子量が少なくとも500,000である高重合体約0.0005重量%〜約5重量%を含んでなる。
【0030】
澱粉組成物は、可塑剤および希釈剤からなる群から選択される添加剤を含んでなることができる。このような澱粉組成物は、更にタンパク質であって、トウモロコシから誘導されたタンパク質、大豆から誘導されたタンパク質、小麦から誘導されたタンパク質、またはそれらの任意の組合せを含んでなるタンパク質約5重量%〜約95重量%を含んでなることもできる。
【0031】
澱粉フィラメントの製造法は、澱粉フィラメントを気流で繊細化(attenuating)する段階をも含んでなることができる。
【0032】
一態様では、澱粉フィラメントを含んでなる可撓性構造物の製造法は、伸び粘度が約100パスカル・秒〜約10,000パスカル・秒である澱粉組成物を提供し、三次元フィラメント収容側部およびそれと反対の裏側部であって、実質的に連続的パターン、実質的に半連続的パターン、不連続パターンまたはそれらの任意の組合せを含んでなるフィラメント収容側部を有する成形部材を提供し、澱粉組成物を電気紡糸することによって、複数の澱粉フィラメントを生成させ、成形部材のフィラメント収容側部に複数の澱粉フィラメントを入れ、澱粉フィラメントがフィラメント収容側部の三次元パターンに一致するようにする段階を含む。
【0033】
工業的方法では、成形部材は、機械方向で連続的に移動する。
【0034】
発明の具体的な説明
本明細書で用いられる、下記の用語は下記の意味を有する。
【0035】
「澱粉フィラメントを含んでなる可撓性構造物」または単に「可撓性構造物」とは、機械的に相互に絡ませて所定の微視的幾何学的、物理的および審美特性を有するシート様生成物を形成する複数の澱粉フィラメントを含んでなる配置である。
【0036】
「澱粉フィラメント」は、澱粉を含んでなりかつ主軸に垂直な2本の相互直交軸と比較して非常に長い主軸を有する細長く、薄くかつ極めて柔軟な物体である。主軸に垂直なフィラメントの断面の等しい直径に対する少なくとも幾つかの澱粉フィラメントの主軸の長さの比のアスペクト比は100/1より大きく、更に具体的には500/1より大きく、更に一層具体的には1000/1より大きく、更により具体的には5000/1より大きい。澱粉フイラメントは他の物質、例えば水、可塑剤および他の任意の添加剤を含むことができる。
【0037】
「等しい直径」は、本明細書では、断面積の形状を考慮せずに個々の澱粉フィラメントの断面積および表面積を定義するのに用いられる。等しい直径は、式S=1/4πD(式中、Sは澱粉フィラメントの断面積(幾何学的形状は考慮しない)であり、π=3.14159であり、Dは等しい直径である)を満足するパラメーターである。例えば、2つの相互に向かい合った側部「A」と2つの相互に向かい合った側部「B」とによって形成される長方形の断面は、S=A×Bと表すことができる。同時に、断面積は、等しい直径Dを有する円の面積として表すことができる。次に、等しい直径Dは、式S=1/4πD(式中、Sは長方形の既知面積である)から計算することができる。(円の等しい直径は、円の真の直径であることは勿論である。)等しい半径は、等しい直径の1/2である。
【0038】
「材料」または「組成物」に関する「擬似熱可塑性」は、高温、適当な溶媒中での溶解などの影響によって、流動可能な状態にすることができる程度まで軟化させ、この条件において所望な通りに成形し、更に具体的には加工を行って、可撓性構造物の形成に適する澱粉フィラメントを形成することができる材料および組成物を表すものである。擬似熱可塑性材料は、例えば熱および圧力の組み合わせた影響下で形成することができる。擬似熱可塑性材料は、擬似熱可塑性樹脂の軟化または液化が、含まれている軟化剤または溶媒によって引起されるのであり、擬似熱可塑性樹脂はそのままでは「融解」しないので、これらが存在しなければ、如何なる温度または圧力によっても成形に必要な柔軟なまたは流動性特性を生じることはできない。澱粉のガラス転移温度および融解温度に対する水含量の影響は、Zeleznak and Hoseny「穀物化学(Cereal Chemistry)」, Vol. 64, pp. 121−124, 1987に記載の示唆走査測熱法によって測定することができる。擬似熱可塑性樹脂溶融体は、流動性状態では擬似熱可塑性材料である。
【0039】
「微小幾何学」およびその入れ替え(permutations)は、全体的(すなわち、「巨視的」)幾何学とは異なり構造の全体的形態は考慮せずに、例えば表面テクスチャーのような可撓性構造物の比較的小さな(すなわち、微視的)詳細部を表す。「巨視的」または「巨視的に」を含む用語は、X−Y平面のような二次元配置に置かれるときの考慮している構造の全体的幾何学またはその一部を指す。例えば、巨視的水準では、可撓性構造物は平坦な表面に置かれているときには、比較的薄くかつ平坦なシートを含んでなる。しかしながら、微視的水準では、構造は、第一の高さを有する第一平面を形成する複数の第一の領域と、フレーム構造領域中に分散しかつ外側に伸び出して第二の高さを形成している複数のドームまたは「ピロー」を含んでなることができる。
【0040】
「集中特性(intensive properties)」は、可撓性構造物の平面内の集合によって変化する値を持たない特性である。共通集中特性は、2以上の領域によって所有される集中特性である。本発明の可撓性構造物のこのような集中特性としては、密度、基本重量、高さ、不透明度、およびクレープ頻度(構造を予備短縮しようとするとき)が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、密度が2つの特異的領域の共通の集中特性であるときには、1つの領域での密度の値は他方の領域における密度の値と異なる可能性がある。領域(例えば、第一の領域および第二の領域)は、明確な集中特性によって互いに識別することができる確認可能な部分である。
【0041】
「基礎重量」は、澱粉の可撓性構造物の単位面積であって、澱粉フィラメント構造の平面についての単位面積の重量(グラム力で測定)である。基本重量を測定する単位面積の大きさおよび形状は、特異的基本重量を有する領域の相対的および絶対的大きさおよび形状によって変化する。
【0042】
「密度」は、基本重量対(可撓性構造物の平面に対して垂直な)領域の厚みの比である。見掛け密度は、試料の基本重量を適当な単位変換を組込んだキャリパーで割ったものである。本発明で用いられる見掛け密度の単位は、グラム/立方センチメートル(g/cm)である。
【0043】
「キャリパー」は、下記のようにして測定した試料の巨視的厚みである。キャリパーは、領域の微視的特徴である特異的領域の高さと区別すべきである。
【0044】
「ガラス転移温度」Tは、物質が粘稠またはゴム状状態から硬質かつ比較的脆い状態へ変化する温度である。
【0045】
「機械方向」(またはMD)は、製造装置によって製造される可撓性構造物の流れに平行な方向である。「横機械方向」(またはCD)は、機械方向に垂直でかつ製造される可撓性構造物の基本平面に平行な方向である。
【0046】
「X」、「Y」および「Z」は、通常のデカルト座標系であって、相互に垂直な座標「X」および「Y」は参照X−Y平面を画定し、「Z」はX−Y平面に直交している。「Z方向」は、X−Y平面に垂直な任意の方向を示す。同様に、「Z次元」という用語は、Z方向に平行に測定した寸法、距離またはパラメーターを意味する。例えば成形部材のような要素が湾曲していたりまたは非平面化する場合には、X−Y平面はこの要素の形状に従う。
【0047】
「実質的に連続的な」領域(面積/網状構造/フレーム構造)は、場であって、任意の2点を線の長さ中のこの場内で完全に直線の中断されない線で結合することができる場を表す。すなわち、実質的に連続的領域は、第一の平面に平行な総ての方向において実質的な「連続性」を有し、その領域の両端でのみ終結している。連続的に連結している「実質的に」という用語は、絶対的連続性が好ましいが、絶対的連続性からの微小な逸脱が、設計されかつ目的とされた可撓性構造物(または成形部材)の能力にかなり影響を与えない限り、これらの逸脱は許容し得るものであることを示唆しようとするものである。
【0048】
「実質的に半連続的」領域(面積/網状構造/フレーム構造)は、第一の平面に平行な少なくとも1方向を除く総ての方向で「連続性」を有する場であり、任意の2点を線の長さ中のこの場内で完全に直線の中断されない線で結合することができない場を表す。半連続的フレーム構造は、第一の平面に平行な1方向においてのみ連続性を有することができる。上記した連続的領域と同様に、少なくとも1方向を除く総ての方向における絶対的連続性が好ましいが、絶対的連続性からの微小な逸脱が、構造(または偏向部材)の能力にかなり影響を与えない限り、これらの逸脱は許容し得るものである。
【0049】
「不連続領域」は、個別的であり、かつ第一の平面に平行な総ての方向において不連続である互いに分離した場を表す。
【0050】
「吸収性」は、毛細管、浸透、溶媒または化学作用などの様々な手段によって流体を吸収し、この流体を保持する材料の能力である。吸収性は、本明細書に記載の試験に従って測定することができる。
【0051】
「柔軟性」は、所定の負荷の下で材料または構造を破壊することなく変形させる能力であって、材料または構造が変形前の形状に復することができるかまたはできないかは関係ない。
【0052】
「成形部材」は、本発明の可撓性構造物の製造工程において入れることができる澱粉フィラメントの支持として、および本発明の可撓性構造物の所望な微視的形態を形成(または「成形」)するための形成単位として用いることができる構造要素である。成形部材は、製造される構造に三次元パターンを賦与する能力を有する任意の要素を含んでなることができ、固定板、ベルト、織布、およびバンドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
「強化要素」は、主として、例えば樹脂性材料を含んでなる成形部材の完全性、安定性および耐久性を提供しまたは促進する働きをする、成形部材の幾つかの態様における所望であるが、必要ではない要素である。強化要素は、流体透過性、流体半透性、部分的に流体透過性であることができ、複数の織り合わせた糸、フェルト、プラスチック、他の適当な合成材料、またはそれらの任意の組合せを含んでなることができる。
【0054】
「プレス表面」は、澱粉フィラメントを陥凹/突出の三次元パターンを有する成形部材中に澱粉フィラメントを少なくとも部分的に偏向させるために、複数の澱粉フィラメントを有する成形部材のフィラメント収容側部に対してプレスすることができる表面である。
【0055】
「デシテックス」または「dtex」は、10,000mあたりのグラム数(g/10,000m)で表した澱粉フィラメントについての測定の単位である。
【0056】
「溶融紡糸」は、熱可塑性または擬似熱可塑性材料を繊細化力を用いて繊維状材料にする方法である。溶融紡糸としては、機械的伸張、メルト−ブローイング(melt−blowing)、スパン−ボンディング(spun−bonding)、および電気紡糸を挙げることができる。
【0057】
「機械的伸張」は、繊維糸を被動表面、例えばロールと接触させ、力を溶融体に加えることによって繊維を製造する、繊維糸に力を誘導する工程である。
【0058】
「メルト−ブローイング」は、フィラメントを繊細化するために高速空気または別の適当な力を用いてポリマーまたは樹脂から直接繊維ウェブまたは製品を製造する方法である。メルト−ブローイング法では、材料がダイまたは紡糸口金からでてくるときに、繊細化力を高速空気の形態で加える。
【0059】
「スパン−ボンディング」は、流れおよび重力の下で繊維を所定距離落下させた後、高速空気または別の適当な供給源を介して力を加える方法を含んでなる。
【0060】
「電気紡糸」は、繊維を繊細化するための力として電位を用いる方法である。
【0061】
「溶液紡糸」としてもよく知られている「乾紡」では、繊維形成を安定化する目的で溶媒乾燥の使用を伴う。材料を適当な溶媒に溶解し、機械的伸張、メルト−ブローイング、スパン−ボンディング、および/または電気紡糸によって繊細化する。溶媒が蒸発するに従って、繊維は安定になる。
【0062】
「潤紡」は、材料を適当な溶媒に溶解して、機械的伸張、メルト−ブローイング、スパン−ボンディング、および/または電気紡糸によって小さな繊維を形成することを含んでなる。繊維が形成されると、通常は所望な材料を固化する適当な溶液を満たした浴を含んでなる凝固系に入ることによって、安定な繊維を生成する。
【0063】
「澱粉と実質的に適合性の」高重合体は、軟化および/または融解温度を上回る温度まで加熱するとき、高重合体が澱粉と実質的に均質な混合組成物(すなわち、裸眼で透明または半透明に見える組成物)を形成することができることを意味する。
【0064】
「融解温度」とは、澱粉組成物が十分に融解または軟化して本発明による澱粉フィラメントを加工することができる温度またはそれ以上の温度範囲を意味する。幾つかの澱粉組成物は擬似熱可塑性組成物であり、そのままでは純粋な「融解」挙動を示すことができないことを理解すべきである。
【0065】
「加工温度」とは、澱粉組成物の温度であって、本発明の澱粉フィラメントを繊細化などによって形成することができる温度を意味する。
【0066】
可撓性構造物
図1〜3について説明すれば、擬似熱可塑性澱粉フィラメントを含んでなる可撓性構造物100は、少なくとも第一の領域110と第二の領域120を含んでなる。第一および第二の領域のそれぞれは、例えば基本重量または密度のような少なくとも1つの共通の集中特性を有する。第一の領域110の共通集中特性は、第二の領域120の共通集中特性と値が異なる。例えば、第一の領域110の密度は、第二の領域120の密度より高い可能性がある。
【0067】
本発明の可撓性構造物100の第一および第二の領域110および120は、それぞれの微小形態で区別することもできる。例えば、図1では、構造100を平坦表面上に配置するときには第一の領域110は第一の高さでの第一の平面を形成する実質的に連続的な網状構造を含んでなり、第二の領域120は実質的にレン測的な網状構造中に分散された複数の個別領域を含んでなることができる。これらの個別領域、幾つかの態様では、網状構造から外側に伸び出して、第一の平面に対して第一の高さより大きな第二の高さを形成する個別の突出部または「ピロー」を含んでなることができる。ピローは、資質に連続的パターンおよび実質的に半連続的パターンを含んでなることもできることを理解すべきである。
【0068】
一態様では、実質的に連続的網状構造領域は比較的高密度を有することができ、ピローは比較的低密度を有する。もう一つの態様では、実質的に連続的網状構造領域は基本重量を比較的低くすることができ、ピローは基本重量を比較的高くすることができる。更にもう一つの態様では、実質的に連続的網状構造領域は比較的低密度を有することができ、ピローは比較的高密度を有することができる。実質的に連続的網状構造領域は比較的高い基本重量を有することができ、ピローは比較的低い基本重量を有する態様が考えられる。
【0069】
他の態様では、第二の領域120は半連続的網状構造を含んでなることができる。図2において、第二の領域120は、図1に示したものと同様な個別領域122、およびX−Y平面(すなわち、平坦表面上に配置された構造の第一の領域110によって形成される平面)に見られるように、少なくとも1方向に伸びている半連続的領域121を含んでなる。
【0070】
図2に示される態様では、可撓性構造物100は、第一の領域110の集中特性および第二の領域120の集中特性と共通でありかつ値が異なる少なくとも1つの集中特性を有する第三の領域130を含んでなる。例えば、第一の領域110は、第一の値を有する共通集中特性を有することができ、第二の領域120は第二の値を有する共通集中特性を有することができ、第三の領域130は第三の値を有する共通集中特性を有することができ、第一の値は第二の値と異なることができ、第三の値は第二の値および第一の値と異なることができる。
【0071】
上記のように、少なくとも3つの特異的領域110、120、130を含んでなる構造100を水平な参照平面(例えば、X−Y平面)に配置すると、第一の領域110は第一の高さを有する平面を画定し、第二の領域120はそこから伸び出して第二の高さを画定する。第三の領域130が第三の高さを画定し、第一、第二および第三の高さの少なくとも1つは他の高さの好くな1つと異なっている態様が、考えられる。例えば、第三の高さは、第一および第二の高さの中間とすることができる。
【0072】
下表に、特異的(すなわち、高い、中程度、または低い)集中特性を有する少なくとも3つの領域を含んでなる構造100の態様の幾つかの可能な組合せを示すが、これらに限定されない。これらの態様の総ては、本発明の範囲に包含される。
【0073】
Figure 0003598313
【0074】
図3は、本発明の可撓性構造物100の更にもう一つの態様であって、第二の領域120が複数の澱粉ピローを含んでなり、ピローの少なくとも幾つかは澱粉ドーム部128およびこの澱粉ドーム部128から伸びている澱粉片持ち梁部129を含んでなるものを示している。澱粉片持ち梁部129はX−Y平面から持ち上がって、一定角度でドーム部128から伸びて、第一の領域110、そこから伸び出している澱粉ドーム128および澱粉片持ち梁部129の間に実質的な中空部または「ポケット」115を形成している。
【0075】
広い部分において、かなりの量の流体を収容して保持することができるこれらの実施例な中空部115が有るため、図3に模式的に示された可撓性構造物100は、所定のきほん重量に対して極めて高い吸収特性を示すものと思われる。ポケット115は、その中に澱粉フィラメントを全くまたはほとんど持たないことを特徴とする。
【0076】
当業者であれば、以下に説明する可撓性構造物100の製造法により、および澱粉フィラメントおよび可撓性構造物100が全体として極めて柔軟性に富むので、ポケット115に含まれる幾らかの量の個々の澱粉フィラメントは、これらの澱粉フィラメントが構造100の設計パターンおよびその意図した特性を妨げない限り許容可能とすることができることを理解されるであろう。これに関して、「実質的」中空部115という用語は、構造100および構造100を含んでなる個々の澱粉フィラメントの柔軟性が高いため、澱粉フィラメントまたはその部分はポケット115にごく僅かの量しか見出されないことを認めようとするものである。ポケット115の密度は0.005グラム/立法センチメートル(g/cc)以下であり、更に具体的には0.004g/cc以下であり、更に一層具体的には0.003g/cc以下である。
【0077】
もう一つの態様では、片持ち梁部129を含んでなる可撓性構造物100は、片持ち梁部129を持たない類似の構造と比較して、全表面積が増加していることを特徴とする。当業者であれば、個々の片持ち梁部129の数およびそれぞれの微視的表面積が大きくなれば、生成する微視的比表面積(すなわち、平坦な表面上に配置された構造の全巨視的面積の単位当たりの生成する微視的表面積)が大きくなることを理解されるであろう。また、構造の吸収表面積が大きくなれば、その吸収容量が大きくなり、他のパラメーターは同じであることも理解されるであろう。
【0078】
片持ち梁部129を含んでなる構造100の態様では、片持ち梁部129は構造100の第三の領域を含んでなることができる。例えば、澱粉片持ち梁部129の密度が第一の領域110の密度とドーム(1または複数)を含んでなる第二の領域120の密度との中間である態様が考えられる。もう一つの態様では、ドーム部128の密度は、第一の領域110の比較的高密度と片持ち梁部129の比較的低密度との中間とすることができる。同様に、片持ち梁部129の基本重量を、第一の領域110とドーム部128の一方または両方に等しいか、中間であるか、またはこれらより大きくすることができる。
【0079】
可撓性構造物の製造法
図8および9は、澱粉フィラメントを含んでなる可撓性構造物100の製造法の2態様を模式的に示している。
【0080】
最初に、複数の澱粉フィラメントを提供する。本発明による可撓性構造物100用の澱粉フィラメントは、当該技術分野で知られている様々な手法によって製造することができる。例えば、澱粉フィラメントは、様々な溶融紡糸法によって擬似熱可塑性溶融澱粉組成物から製造することができる。澱粉フィラメントの大きさは約0.001dtex〜約135dtexであり、更に具体的には約0.005dtex〜約50dtexであり、更に一層具体的には約0.01dtex〜約5.0dtexの範囲とすることができる。
【0081】
1979年2月13日にHemandez et al.に発行された米国特許第4,139,699号明細書、1989年8月1日にEden et al.に発行された米国特許第4,853,168号明細書、および1981年1月6日にHernandez et al.に発行された米国特許第4,234,480号明細書などの幾つかの文献。Buehler et al.の米国特許第5,516,815号および第5,316,578号明細書は、溶融紡糸法を用いる澱粉フィラメントを製造するための澱粉組成物に関する。溶融澱粉組成物を紡糸口金から押出して、紡糸口金のダイ開口の直径より若干大きい直径を有する(すなわち、ダイの膨張効果による)フィラメントを製造することができる。フィラメントを、次に延伸ユニットによって機械的または熱機械的に引き下げ、繊維直径を減少させる。
【0082】
押出したポリマーから熱可塑性の不織布構造を製造するための幾つかの装置は当該技術分野で知られており、長い柔軟な澱粉フィラメントの製造に適合させることができる。例えば、押出した澱粉組成物を紡糸口金(図示せず)から押出して、下方向に伸びる澱粉フィラメントの垂直に配向したカーテンを形成することができる。澱粉フィラメントを、吸引型延伸または繊細化空気スロットと共に空気によって急冷することができる。1994年3月8日にZeldin, et al.に発行された米国特許第5,292,239号明細書には、気流の著しい乱れを減少させ、澱粉フィラメントに延伸力を均一かつ一貫して加える装置が開示されている。この特許明細書の開示内容は、澱粉フィラメントを形成するときに気流の乱れを減少させる方法および装置を教示する限定した目的で本明細書に引用される。
【0083】
本発明について、澱粉、水、可塑剤、および他の任意の添加剤を含んでなる混合物から澱粉フィラメントを製造することができる。例えば、適当な澱粉混合物を押出機で擬似熱可塑性溶融体に転換し、紡糸口金を介して遠心ユニットに送り、下方向に伸びる澱粉フィラメントの垂直に配向したカーテンを形成することができる。紡糸口金は、当該技術分野で知られているアセンブリを含んでなることができる。紡糸口金は、澱粉フィラメントの製造に適する断面積を有する穴と共に複数のノズル口径を挙げることができる。紡糸口金は、澱粉組成物の流動性に適合させ、所望ならばそれぞれのノズルが同一流速を有するようにすることができる。あるいは、特異的なノズルの流速を変化させることができる。
【0084】
延伸ユニット(図示せず)は押出機の顆粒に配置することができ、開放上端、それと反対側の開放下端、および圧縮空気を下向き方向で配置された内部ノズルに供給する空気供給マニホールドを含んでなることができる。圧縮空気は内部ノズル中を流れるので、空気は延伸ユニットの開放上端中に引かれ、下向き方向の速やかに移動する気流を形成する。この気流により、澱粉フィラメントに対する延伸力が生じ、フィラメントを繊細化または延伸した後、延伸ユニットの開放下端から出て行く。
【0085】
可撓性構造物100に適合する澱粉フィラメントは、電気紡糸法であって、電界を澱粉溶液に加えて、帯電した澱粉ジェットを形成することを特徴とする方法によって製造することができる。電気紡糸法は、当該技術分野で知られている。Doshi, Jayeshによる「電気紡糸法および電気紡糸繊維の応用(The Electro−Spinning Process and Applications of Electro−Spun Fibers)」と題する論文, Natwarlal, Ph.D., 1994には、電気紡糸法が記載されており、この方法に関与する力の研究が行われている。この論文は、電気紡糸フィラメントの幾つかの商業的応用についても検討を加えている。この論文の内容は、電気紡糸法の原理を説明するために、参考として本明細書に引用される。
【0086】
米国特許第1,975,504号(1934年10月2日)、第1,123,992号(1938年7月19日)、第2,116,942号(1938年5月10日)、第2,109,333号(1938年2月22日)、第2,160,962号(1939年6月6日)、第2,187,306号(1940年1月16日)、および第2,158,416号明細書(1939年5月16日)であって、いずれもFormhalsに発行された特許明細書には、電気紡糸法およびそのための装置が記載されている。電気紡糸法について記載されている他の文献としては、Simonsに発行された米国特許第3,280,229号明細書(1966年10月18日)、Martin et al.に発行された第4,044,404号明細書(1977年8月30日)、Simm et al.に発行された第4,069,026号明細書(1978年1月17日)、Simmに発行された第4,143,196号明細書(1979年3月6日)、Fine et al.に発行された第4,223,101号明細書(1980年9月16日)、Guignardに発行された第4,230,650号明細書(1980年10月28日)、Enjo et al.に発行された第4,232,525号明細書(1980年11月11日)、Guignardに発行された第4,287,139号明細書(1981年9月1日)、Bornatに発行された第4,323,525号明細書(1982年4月6日)、Howに発行された第4,552,707号明細書(1985年11月12日)、Bornatに発行された第4,689,186号明細書(1987年8月25日)、Middleton et al.に発行された第4,904,272号明細書(1990年2月27日)、Satterfield et al.に発行された第4,968,238号明細書(1990年11月6日)、Barryに発行された第5,024,789号明細書(1991年1月18日)、Scardino et al.に発行された第6,106,913号明細書(2000年8月22日)、およびZarkoob et al.に発行された第6,110,590号明細書(2000年8月29日)が挙げられる。上記特許明細書の開示内容は、電気紡糸法の一般原理およびそのための装置の説明の限定された目的で参考として本明細書に引用される。
【0087】
上記文献は様々な電気紡糸法およびそのための装置を教示しているが、澱粉組成物を良好に加工して、本発明の可撓性構造物100の形成に適した薄い実質的に連続的な澱粉フィラメントに押し出すことができることは教示されていない。天然に存在する澱粉は電気紡糸法によって加工することができないが、これは天然の澱粉が一般に顆粒構造を有するからである。本発明により、改質した「脱構造化(destructured)」澱粉組成物を電気紡糸法を用いて良好に加工することができることを見出した。
【0088】
本願の出願日に出願された「溶融加工可能な澱粉組成物」(Larry Neil Mackey et al., Attorney Docket #7967R)と題する共通譲渡特許出願明細書には、本発明の可撓性構造物100に用いられる澱粉フィラメントの製造に適する澱粉組成物が開示されている。この澱粉組成物は重量平均分子量が約1,000〜約2,000,000の範囲の澱粉を含んでなり、澱粉と実質的に和合性の高重合体を含ことができ、重量平均分子量が少なくとも500,000である。一態様では、この澱粉組成物は、アミロペクチン約20重量%〜約99重量%を有することができる。この共通譲渡された出願の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0089】
本発明によれば、澱粉ポリマーを水、可塑剤、および他の添加剤と混合することができ、生成する溶融体を加工(例えば、押出)し、形成させ、本発明の可撓性構造物に適する澱粉フィラメントを製造することができる。澱粉フィラメントは、澱粉を微量から100%まで有することができ、または澱粉と、セルロース、合成材料、タンパク質および任意のそれらの組合せのような他の適当な材料との混合物であることもできる。
【0090】
澱粉ポリマーとしては、天然に存在する澱粉、物理改質澱粉、または化学改質澱粉を挙げることができる。適当な天然に存在する澱粉としては、トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、甘蔗澱粉、小麦澱粉、サゴヤシ澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、大豆澱粉、アロールート澱粉、ワラビ澱粉、ハス澱粉、ワキシートウモロコシ澱粉、高アミローストウモロコシ澱粉、および市販のアミロース粉末を挙げることができる。天然に存在する澱粉、特にトウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、および小麦澱粉は、それらの有用性により特に好ましい澱粉ポリマーである。
【0091】
物理的改質澱粉は、その次元構造を変化させることによって形成される。物理改質澱粉としては、α−澱粉、分別澱粉、水分および熱処理澱粉、および機械処理澱粉が挙げられる。
【0092】
化学改質澱粉は、そのOH基と、アルキレンオキシド、および他のエーテル−、エステル−、ウレタン−、カルバメート−またはイソシアネート−形成物質との反応によって形成させることができる。ヒドロキシアルキル、アセチル、またはカルバメート澱粉、またはそれらの混合物は、化学改質澱粉の態様に入れられる。化学改質澱粉の置換度は、0.05〜3.0であり、更に具体的には0.05〜0.2である。
【0093】
元の水分含量は、約5重量%〜約16重量%、更に具体的には約8%〜約12%とすることができる。澱粉のアミロース含量は、0%〜約80%であり、更に具体的には約20%〜約30%である。
【0094】
可塑剤を澱粉ポリマーに添加して、製造される澱粉フィラメントのガラス転移温度を下げることによって、その柔軟性を高めることができる。また、可塑剤が含まれると、溶融粘度が低下し、これにより溶融押出工程を容易にすることもできる。可塑剤は、例えばポリオールのような少なくとも1個のヒドロキシル基を有する有機化合物である。ソルビトール、マンニトール、D−グルコース、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、スクロース、フルクトース、グリセロール、およびそれらの混合物が、適合することが分かっている。可塑剤の例としては、ソルビトール、スクロースおよびフルクトースの約0.1重量%〜約70重量%、更に具体的には約0.2重量%〜約30重量%、更に一層具体的には約0.5重量%〜約10重量%の範囲の量のものが挙げられる。
【0095】
他の添加剤を、典型的には澱粉ポリマーと共に、加工助剤として、および押出した澱粉フィラメントの弾性、常態引張強さ、および湿潤強度などの物理的性質を改質する目的で加えることができる。添加剤は、典型的には不揮発性物質換算(水のような揮発性物質を除外することによって、量を計算することを意味する)で0.1重量%〜70重量%の範囲の量で含まれる。添加剤の例としては、尿素、尿素誘導体、架橋剤、乳化剤、界面活性剤、滑沢剤、タンパク質およびそれらのアルカリ塩、生物分解性合成ポリマー、ワックス、低融点合成熱可塑性ポリマー、粘着付与樹脂、エキステンダー、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。生物分解性合成ポリマーの例としては、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリラクチド、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の添加剤としては、蛍光増白剤、酸化防止剤、難燃剤、染料、含量および充填剤が挙げられる。本発明には、尿素を0.5重量%〜60重量%の範囲の量で含んでなる添加剤を、澱粉組成物に加えるのが有利である。
【0096】
本発明で用いるのに適するエキステンダーとしては、ゼラチン、トウモロコシタンパク質、ヒマワリタンパク質、大豆タンパク質、綿実タンパク質のような植物性タンパク質、およびアルギン酸塩、カラゲニン、グアールガム、寒天、アラビアゴムおよび関連ゴム、およびペクチンのような水溶性多糖類、およびアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシメチルセルロースなどのようなセルロースの水溶性誘導体が挙げられる。また、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのような水溶性の合成ポリマーを用いることもできる。
【0097】
滑沢剤化合物を、本発明の工程中の澱粉材料の流動特性を改良する目的で加えることもできる。滑沢剤化合物としては、動物および植物性脂肪、好ましくはそれらの水素化形態、特に室温で個体であるものを挙げることができる。他の滑沢剤材料としては、モノグリセリドおよびジグリセリド、およびホスファチド、特にレシチンが挙げられる。本発明には、モノグリセリドであるグリセロールモノステアレートなどの滑沢剤化合物が、好ましいと考えられる。
【0098】
マグネシウム、アルミニウム、ケイ素およびチタンの酸化物のような無機充填剤などの他の添加剤を、廉価な充填剤または加工助剤として加えることができる。また、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、ホスフェート塩などの無機塩を、加工助剤として用いることもできる。
【0099】
他の添加剤は、意図した生成物の特定の使用目的によって望ましいことがある。例えば、トイレットペーパー、使い捨てタオル、化粧紙、および他の同様な製品のような生成物では、湿潤強度が望ましい特性である。従って、澱粉ポリマーに当該技術分野で知られている架橋剤を「湿潤強度」樹脂として加えるのが望ましいことが多い。
【0100】
製紙技術で用いられる湿潤強度樹脂の種類に関する一般的論文は、TAPPIモノグラフシリーズNo.29,紙および厚紙の湿潤強度、パルプおよび紙工業の技術的関連(Wet Strength in Paper and Paperboard, Technical Association of the Pulp and Paper Industry)(ニューヨーク,1965年)に見ることができ、上記論文の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。最も有用な湿潤強度樹脂は、一般にカチオン性のものであった。ポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂は、特に有用であることが分かっているカチオン性のポリアミドアミン−エピクロルヒドリン湿潤強度樹脂である。このような樹脂の適当な種類は、1972年10月24日発行の米国特許第3,700,623号および1973年11月13日発行の第3,772,076号明細書であって、いずれもKeimに発行されたものに開示されており、これらの特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。有用なポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂の1つの商業的供給源は、Hercules, Inc. 、ウィルミングトン、デラウェアであり、この会社はこれらの樹脂をKymeneTMの商品名で発売している。
【0101】
グリオキシル化ポリアクリルアミド樹脂も、湿潤強度樹脂として有用であることが分かっている。これらの樹脂は、Coscia, et al.に1971年1月19日に発行された米国特許第3,556,932号およびWilliams, et al.に1971年1月19日に発行された第3,556,933号明細書に記載されており、それらの開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。グリオキシル化ポリアクリルアミド樹脂の1つの商業的供給源は、Cytec Co.、スタンフォード、コネチカットであり、この会社はこの樹脂をParezTM 631 NCの商品名で発売している。
【0102】
本発明で用いることができる更に他の水溶性のカチオン性樹脂は、尿素ホルムアルデヒドおよびメラミンホルムアルデヒド樹脂である。これらの多官能価樹脂の更に一般的な官能基は、窒素含有基、例えばアミノ基および窒素に結合したメチロール基である。ポリエチレンイミン型樹脂も、本発明で用いることができる。更に、一時湿潤強度樹脂、例えばCaldas 10(Japan Carlit製)およびCoBond 1000(National Starch and Chemical Company製)を本発明で用いることもできる。
【0103】
本発明について、架橋剤は湿潤強度樹脂KymeneTMであり、約0.1重量%〜約10重量%、更に具体的には約0.1重量%〜約3重量%の範囲の量である。
【0104】
本発明の可撓性構造物100に適する澱粉フィラメントを製造するには、澱粉組成物は加工の際に一定のレオロジー挙動、例えば一定の伸び粘度および一定の細管数を示さなければならない。加工の種類(例えば、メルト−ブローイング、電気紡糸など)によって澱粉組成物の必要なレオロジー的性質が規定される可能性があることは勿論である。
【0105】
伸びまたは伸張粘度(η)は澱粉組成物の溶融伸張性に関係し、澱粉フィラメントの製造のような伸張工程に特に重要である。伸び粘度としては、組成物の変形の種類によって3種類の一軸または単純伸び粘度、二軸伸び粘度、および純粋な剪断伸び粘度が挙げられる。一軸伸び粘度は、機械的伸張、メルト−ブローイング(melt−blowing)、紡糸結合、および電気紡糸のような一軸伸張工程に特に重要である。他の2種類の伸び粘度は、フィルム、フォーム、シートまたはパーツ製造のための二軸伸張または二次成形工程に重要である。
【0106】
ポリオレフィン、ポリアミドおよびポリエステルのような通常の繊維紡糸熱可塑性樹脂については、これらの通常の熱可塑性材料およびそれらの混合物の伸び粘度と剪断粘度との間には強い相関がある。すなわち、紡糸性は主として溶融伸び粘度によって制御される特性であるが、材料の紡糸性は溶融剪断粘度によって簡単に決定することができる。この相関は極めてしっかりとしたものであり、繊維工業は溶融紡糸材料の選択および処方では溶融剪断粘度に依存している。溶融伸び粘度は、工業的スクリーニング手段としてはめったに用いられていない。
【0107】
従って、本発明の澱粉組成物が剪断および伸び粘度との間にこのような相関を必ずしも示さないことを見出したことは予想外のことである。本発明の澱粉組成物は、非ニュートン流の溶融流れ挙動を示し、そのままで歪硬化挙動を示すことができ、すなわち、伸び粘度は歪または変形の増加と共に増加する。
【0108】
例えば、本発明によって選択された高重合体を澱粉組成物に加えると、組成物の選択粘度は相対的に変化しないままであるか、または若干減少する。従来の知見に基づけば、このような澱粉組成物は溶融加工性が減少することが予想されかつ溶融伸び工程には適さないことが予想される。しかしながら、意外なことには、本発明の澱粉組成物は、少量の高重合体を加えると、伸び粘度が著しく増加することを見出した。従って、本発明の澱粉組成物は、溶融伸張性を高め、溶融伸び工程、特にメルト−ブローイング、紡糸結合、および電気紡糸などの工程に適することが見出されている。
【0109】
以下に開示される試験法によって測定した剪断粘度が約30パスカル・秒(Pa・s)以上であり、更に具体的には約0.1Pa・s〜約10Pa・sであり、更に一層具体的には約1〜約8Pa・sである澱粉組成物は、本発明の繊細化工程に有用である。本発明の幾つかの澱粉組成物は溶融粘度が低く、粘性流体で典型的に用いられる伝統的なポリマー加工装置、例えば計量ポンプおよび紡糸口金を備えた固定ミキサーで混合、搬送あるいは加工することができる。澱粉組成物の剪断粘度は、澱粉の分子量および分子量分布、高重合体の分子量、および使用した可塑剤および/または溶媒の量によって効果的に改質することができる。澱粉の平均分子量を減少させることは、組成物の剪断粘度を低下させるための効果的な方法であると思われる。
【0110】
本発明の一態様では、溶融加工可能な澱粉組成物は、伸び粘度は所定温度で約50Pa・s〜約20,000Pa・sであり、更に具体的には約100Pa・s〜約15,000Pa・sであり、更に具体的には約200Pa・s〜約10,000Pa・sであり、更に一層具体的には約300Pa・s〜約5,000Pa・sの範囲であり、より一層具体的には約500Pa・s〜約3,500Pa・sの範囲である。伸び粘度は、分析法の項で以下に記載されている方法によって計算される。
【0111】
多くの因子が、澱粉そのレオロジー(伸び粘度など)挙動に影響を与える可能性がある。このような因子としては、用いるポリマー成分の量および種類、澱粉および高重合体などの成分の分子量および分子量分布、澱粉のアミロース含量、添加剤(例えば、可塑剤、希釈剤、加工助剤)の量および種類、加工の種類(例えば、メルト−ブローイングまたは電気紡糸)および加工条件、例えば温度、圧力、変形速度、および相対湿度、および非ニュートン性材料の場合には、変形履歴(すなわち、時間または歪履歴依存性)が挙げられるが、これらに限定されない。材料によっては、歪硬化を起こす(すなわち、歪が増加すると、伸び粘度が増加する)ことができる。これは、絡み合ったポリマー網状構造の伸張によるものと考えられる。応力を材料から除くと、伸張した絡み合ったポリマー網状構造は、温度、ポリマー分子量、溶媒または可塑剤濃度、および他の因子の関数である緩和時間定数によって低水準の歪にまで緩和する。
【0112】
高重合体の存在および特性は、澱粉組成物の伸び粘度に著しい影響を与えることができる。本発明で用いられる澱粉組成物の溶融伸張性を高めるのに有用な高重合体は、典型的には高分子量の実質的に線状のポリマーである。更に、高重合体は澱粉と実質的に適合性であり、澱粉組成物の溶融伸張性を高める上で極めて効果的である。
【0113】
溶融伸張工程に有用な澱粉組成物は、選択された高重合体を組成物に添加すると、典型的にはその伸び粘度は少なくとも10倍だけ増加することを見出した。典型的には、本発明の澱粉組成物は、選択された高重合体を添加すると、伸び粘度が約10〜約500倍、更に具体的には約20〜約300倍、更に一層具体的には約30〜約100倍の増加を示す。高重合体の濃度が高くなれば、伸び粘度の増加は大きくなる。高重合体を加えて、伸び粘度をヘンキー歪6で200〜2000Pa・sの値に調整することができる。例えば、分子量(MW)が100万〜1500万のポリアクリルアミドを0.001%〜0.1%の濃度で添加して、澱粉組成物を構成することができる。
【0114】
用いる澱粉の種類および濃度は、澱粉組成物の伸び粘度に影響を与えることもできる。一般に、澱粉のアミロース含量が減少すると、伸び粘度が増加する。また、一般に、所定範囲内の澱粉の分子量が増加すると、伸び粘度が増加する。最後に、一般的に、組成物の澱粉濃度が増加すると、伸び粘度が増加する。(逆に、一般的に、組成物中の添加剤の濃度が増加すると、伸び粘度は減少する。)
【0115】
澱粉組成物の温度は、澱粉組成物の伸び粘度に著しく影響を与えることができる。本発明の目的について、澱粉組成物の温度を制御する総ての通常の手段が用いられる特定の工程に適合する場合には、用いることができる。例えば、澱粉フィラメントをダイからの押出によって製造する態様では、ダイ温度がそこから押出される澱粉組成物の伸び粘度に重要な影響を与える可能性がある。一般に、澱粉組成物の温度が増加すると、澱粉組成物の伸び粘度は減少する。澱粉組成物の温度は約20℃〜約180℃の範囲であることができ、更に具体的には約20℃〜約90℃の範囲であり、更に一層具体的には約50℃〜約80℃の範囲であることができる。澱粉組成物に固形物が含まれているまたは含まれていないことは、組成物の所要温度に影響を与える可能性があることを理解すべきである。
【0116】
トルートン比(Tr)を用いて、伸び流れ挙動を表すことができる。トルートン比は、伸び粘度(η)と剪断粘度(η)との比として定義される。
【数1】
Figure 0003598313
(式中、伸び粘度ηは、変形速度(ε)および時間(t)によって変化する。ニュートン流体については、一軸伸張トルートン比は一定値3である。本発明の澱粉組成物のような非ニュートン流体については、伸び粘度は変形速度(ε)および時間(t)によって変化する。本発明の溶融加工可能な組成物では、トルートン比が典型的には少なくとも約3であることも分かっている。典型的には、トルートン比は、ヘンキー歪6において加工温度および700秒−1の伸張速度で測定したとき、約10〜約5,000の範囲にあり、具体的には約20〜約1,000の範囲にあり、更に具体的には約30〜約500の範囲にある。
【0117】
本発明者らは、澱粉フィラメントを押出によって製造する態様では、澱粉組成物が押出ダイ中を通るので、その細管数(Ca)は溶融加工性にとって重要であることも見出した。細管数は、粘性流体力対表面張力の非を表す数である。細管ダイの出口付近では、粘性力が表面張力より余り大きくない場合には、流体フィラメントは小滴になり、これは一般に「噴霧化」と呼ばれている。細管数は、下式によって計算される。
Ca=(η・Q/(π・r・σ)
(式中、η・は3000s−1の剪断速度で測定したパスカル・秒での剪断粘度であり、Qはm/sでの細管ダイ中の容積流体流量であり、rはメートルでの細管ダイの半径であり(非円形オリフィスについては、同等な直径/半径を用いることができる)、σはニュートン/メートルでの流体の表面張力である。)
【0118】
細管数は上記の剪断粘度に関係するので、剪断粘度に同様に影響を与える同じ因子によって影響される。本明細書で用いる細管数または表面張力に関する「固有」という用語は、例えば電界の存在のような外部因子によっては影響を受けない澱粉組成物の特性を示す。「有効」という用語は、例えば電界の存在のような外部因子によって影響を受けている澱粉組成物の特性を示している。
【0119】
本発明の一態様では、溶融加工可能な澱粉組成物は、ダイ中を通過するので固有細管数が少なくとも0.01であり、有効細管数が少なくとも1.0である。静電気がなければ、細管数は安定性には1より大きく、好ましくは形成されるフィラメントの強い安定性には5より大きい必要がある。静電気があれば、帯電反発により表面張力の硬化が中和されるので、電荷の存在なしで測定した固有細管数は1未満であることができる。形成されるフィラメントに電位を加えると、有効表面張力は減少し、有効細管数は下式に基づいて増加する。
【0120】
細管数は様々な形態で表すことができるが、材料の固有細管数の決定に用いることができる代表的な式は、下記の通りである。
Ca固有=η・υ/σ
(式中、Ca固有は固有細管数であり、
η・は流体の剪断粘度であり、
υは流体の線形速度であり、
σは流体の表面張力である。)
【0121】
細管数は本発明に関するので、代表的試料は下記の組成および特性を有していた。
Figure 0003598313
実験的には、流体に静電荷がなければ、この材料はノズル尖端中を流れ、小さな液滴を形成した後、重力下で不連続な液滴の状態で落下する。系の電位が増加すると、液滴のサイズは小さくなり、粉砕機構が速くなる。電位(この試料については25キロボルト)が臨界値に達すると、液滴はノズル尖端では形成されず、小さな連続繊維がノズル尖端から射出される。このようにして、加えられた電位により、表面張力を克服し、不十分な細管モードをなくする。有効細管数は、1より大きくなる。上記の溶液および実験設定での実験室実験では、本質的に連続繊維が製造された。繊維を繊維マットの形態で真空スクリーン上に集めた。光学顕微鏡法によって分析したところ、生成する繊維は連続的であり、直径は3〜5ミクロンであった。
【0122】
幾つかの態様では、固有細管数は、少なくとも1であり、更に具体的には1〜100であり、更に一層具体的には約3〜約50であり、皿により一層具体的には約5〜約30であることができる。
【0123】
本発明の澱粉組成物は、典型的には少なくとも「融解温度」以上の温度で存在する流動可能な状態で加工される。従って、加工温度範囲は、本明細書に詳細に記載されている試験法に従って測定される澱粉組成物の「融解温度」によって制御される。本発明の澱粉組成物の融解温度は、約20℃〜約180℃の範囲であり、更に具体的には約30℃〜約130℃の範囲であり、更に一層具体的には更に一層具体的には約50℃〜約90℃の範囲である。澱粉組成物の融解温度は、澱粉のアミロース含量(アミロース含量が高くなると、融解温度が高くなる)、水含量、可塑剤含量、および可塑剤の種類によって変化する。
【0124】
澱粉組成物に適する代表的な一軸伸張工程としては、溶融紡糸、メルト−ブローイング、および紡糸結合が挙げられる。これらの方法は1977年12月27日にAkiyama et al.に発行された米国特許第4,064,605号明細書、1983年11月29日にBlackie et al.に発行された米国特許第4,418,026号明細書、1989年8月8日にBourland et al.に発行された米国特許第4,855,179号明細書、1990年3月20日にCuculo et al.に発行された米国特許第4,909,976号明細書、1992年9月8日にJeezicに発行された米国特許第5,145,631号明細書、1996年5月14日にBuehler et al.に発行された米国特許第米国特許第5,516,815号明細書、および1994年8月30日にRhim et al.に発行された米国特許第5,342,335号明細書に詳細に記載されており、これらの特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0125】
図7、8および9には、本発明の可撓性構造物100に適する澱粉フィラメントを製造するための装置10が模式的に示されている。装置10は、当該技術分野で知られているように、一軸スクリューまたは二軸スクリュー押出機、容量型ポンプ、またはそれらの組合せなどで構成することができる。澱粉溶液は、総水含量、すなわち水和水と添加した水とを合わせたものが、澱粉材料の総重量の約5%〜約80%の範囲であり、更に具体的には約10%〜約60%の範囲とすることができる。澱粉材料を、擬似熱可塑性溶融体を形成するのに十分な高温に加熱する。このような温度は、典型的には形成される材料のガラス転移温度および/または融解温度より高い。本発明の擬似熱可塑性溶融体は、当該技術分野で知られているように、剪断速度依存粘度を有するポリマー流体である。粘度は、剪断速度の増加並びに温度の増加と共に減少する。
【0126】
澱粉材料は、低濃度の水の存在下で閉鎖容積中で加熱して、澱粉材料を擬似熱可塑性溶融体に転換することができる。閉鎖容積は、閉鎖容器、または押出設備のスクリューで起こるような供給材料のシール作用によって生じる容積であることができる。閉鎖容器中に生じた圧力としては、水の蒸気圧による圧力、並びに押出機のスクリュー軸における材料の圧縮によって生じる圧力が挙げられる。
【0127】
澱粉高分子でのグリコシド結合の開裂により分子量を減少させ、澱粉の平均分子量を減少させる鎖の分断触媒を用いて、擬似熱可塑性溶融体の粘度を減少させることができる。適当な触媒としては、無機および有機酸が挙げられる。適当な無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、並びに多塩基酸、例えばNaHSOまたはNaHPOなどの部分塩が挙げられる。適当な有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、グリコール酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸、イタコン酸、コハク酸、および当該技術分野で知られている他の有機酸、例えば多塩基酸の部分塩が挙げられる。塩酸、硫酸およびクエン酸、およびそれらの混合物を、本発明において有利に用いることができる。
【0128】
用いる非改質澱粉の分子量の減少は、2〜5000分の1,更に具体的には4〜4000分の1だけとすることができる。触媒の濃度は、アンヒドログルコース単位1モル当たり10−6〜10−2モル触媒の範囲であり、更に具体的には澱粉のアンヒドログルコース1モル当たり0.1×10−3〜5×10−3モル触媒の範囲である。
【0129】
図7では、本発明の可撓性構造物100の製造に用いる澱粉フィラメントの電気紡糸による製造のための装置10に、澱粉組成物を供給する。装置10は、ハウジング11に保持され、ダイヘッド13のジェット14を通って押出して(矢印D)澱粉フィラメント17aとすることができる澱粉組成物17を収容するように(矢印A)構築され、形成されたハウジング11を含んでなる。環状キャビティ12を設けて、澱粉組成物を所望の温度に加熱する加熱流体を循環させる(矢印BおよびC)ことができる。当該技術分野で周知の他の加熱手段、例えば電気加熱、パルス燃焼、水および水蒸気加熱などを用いて、澱粉組成物を加熱することもできる。
【0130】
電界を、帯電プローブなどを介して澱粉溶液に、またはハウジング11および/または押出ダイ13に直接加えることができる。所望ならば、押出される澱粉フィラメントの電荷とは反対の電荷で、成形部材を帯電させることができる。あるいは、成形部材を粉砕することができる。電位差は、5kV〜60kVであることができ、更に具体的には20kV〜40kVであることができる。
【0131】
次に、複数の押出した澱粉フィラメントを、装置10から一定距離にある機械方向MDに移動する成形部材200に置くことができる。この距離は、澱粉フィラメントを伸張した後に乾燥し、同時にジェットノズル14から出てくる澱粉フィラメントと成形部材との間に電荷差を保持するのに十分なものであるべきである。その目的のため、乾燥空気の流れを複数の澱粉フィラメントに加えて、ある角度で向きを変えさせることができる。これにより、ジェットノズル14と成形部材200との最小距離を保持して、両者間の電荷差を保持し、同時にノズルと成形部材200の間のフィラメントの一部の長さを最大にし、フィラメントを効果的に乾燥することができる。このような配置では、成形部材200を、繊維フィラメントがジェットノズル14から出てくるとき(図7の矢印D)繊維フィラメントの方向に対してある角度で配置することができる。
【0132】
場合によっては、繊細化空気を静電力と組み合わせて用いて延伸力を供給して、澱粉フィラメントを繊細化または延伸した後、成形部材200に配置することができる。図7Aは、繊細化空気について、ジェットノズル14の回りの1個の環状オリフィス15と、ジェットノズル14の回りに120°で等間隔に配置された3個の他のオリフィス16とを備えた澱粉ヘッドの代表的態様を示している。当該技術分野で知られているように、繊細化空気の他の配置も本発明で考えられることは勿論である。
【0133】
本発明によれば、澱粉フィラメントは、大きさが約0.01デシテックス〜約135デシテックスであり、更に具体的には約0.02デシテックス〜約30デシテックスであり、更に一層具体的には約0.02デシテックス〜約5デシテックスである。澱粉フィラメントは、円形、楕円形、矩形、三角形、六角形、十字形、星形、不規則形、およびそれらの任意の組合せなどの様々な断面形状を有することができるが、それらに限定されない。当業者であれば、これらの様々な形状は、澱粉フィラメントの製造に用いるノズルの様々な形状によって形成することができることを理解されるであろう。
【0134】
図10Aは、澱粉フィラメントの幾つかの可能な断面積を模式的に示しているが、これらに限定されない。澱粉フィラメントの断面積は、澱粉フィラメントの主軸に垂直でありかつこの断面の平面において澱粉フィラメントの外側表面によって形成される円周によって描かれる面積である。澱粉フィラメントの表面積(その長さまたは重量の単位当たり)が大きくなれば、澱粉フィラメントを含んでなる可撓性構造物10の不透明度が高くなると考えられる。従って、澱粉フィラメントの表面積を、澱粉フィラメントの相当する直径を増加することによって最大にすると、生成する本発明の可撓性構造物100の不透明度を増加する上で有利にすることができると考えられる。澱粉フィラメントの対応する直径を増加させる1つの方法は、非円形、多表面の断面形状を有する澱粉フィラメントを形成することを含んでなる。
【0135】
更に、澱粉フィラメントは、フィラメントの長さまたはその部分に亘って均一な厚みおよび/または断面積を有する必要はない。例えば、図10は、長さに沿って異なる断面積を有する澱粉フィラメントの断片を模式的に示している。このような様々な断面積は、例えばダイ中の圧力を変化させることによって、またはメルト−ブローイング法またはメルト−ブローイングと電気紡糸法との組合せにおける繊細化空気または乾燥空気の特徴(例えば、速度、方向など)の少なくとも1つを変化させることによって形成させることができる。
【0136】
幾つかの澱粉フィラメントは、フィラメントの長さまたはその部分に沿って所定間隔で分布された「ノッチ」を有することができる。フィラメントの長さに沿った澱粉フィラメントの断面積におけるこのような変動は、フィラメントの柔軟性を助長し、製造される可撓性構造物100において相互に絡み合うフィラメントの能力を促進し、製造される可撓性構造物100の柔らかさおよび柔軟性に積極的に影響すると考えられる。澱粉フィラメントにおけるノッチまたは他の有利な不規則性は、澱粉フィラメントを下記のように鋭い尖端または突出部を有する表面と接触させることによって形成させることができる。
【0137】
この方法の次段階は、成形部材200を提供することを含んでなる。成形部材200は、パターン化シリンダー(図示せず)または他のパターン形成部材、例えばベルトまたはバンドを含んでなることができる。成形部材200は、フィラメント接触側部201、およびこのフィラメント接触側部201とそれと反対の裏側部202を含んでなる。流体圧力差(例えば、ベルト下またはドラム内に存在することができる真空圧力)により、澱粉フィラメントを成形部材中に押し込め、製造される可撓性構造物内に識別可能な領域を形成することができる。
【0138】
本発明の構造100の製造工程の経過中に、澱粉フィラメントをフィラメント接触側部201に配置する。第二の側部202は、典型的には特定の工程によって必要とされるような支持ロール、ガイドロール、真空装置などのような装置に接触する。フィラメント接触側部201は、突出部および/または陥凹部の三次元パターンを含んでなる。典型的には(必ずしも必要というわけではないが)、パターンは非ランダムでありかつ反復性のものである。フィラメント接触側部201の三次元パターンは、実質的に連続的パターン(図4)、実質的に半連続的パターン(図5)、複数の不連続な突出部を含んでなるパターン(図5)またはそれらの任意の組合せを含んでなることができる。複数の澱粉フィラメントを成形部材200のフィラメント接触側部201に配置するときには、複数の柔軟な澱粉フィラメントは少なくとも部分的に成形部材200の成形パターンに一致する。
【0139】
成形部材200は、参照X−Y平面であって、Z方向がX−Y平面に垂直である面にあるときには、巨視的に単一平面であるベルトまたはバンドを含んでなることができる。同様に、可撓性構造物100は巨視的には単一平面でありかつX−Y平面に平行な面にあるものと考えることができる。Z方向はX−Y平面に垂直であり、可撓性構造物100のキャリパーまたは厚み、または成形部材200または可撓性構造物100の特異的領域の高さ(elevations)が伸びている。
【0140】
所望ならば、ベルトを含んでなる成形部材200は、プレスフェルトとして作成することができる。本発明によって用いるのに適したプレスフェルトは、1996年8月27日にPhanに発行された米国特許第5,549,790号、1996年9月17日にTrokhan et al.に発行された第5,556,509号、1996年12月3日にAmpulski et al.に発行された第5,580,423号明細書、1997年3月11日にPhanに発行された第5,609,725号、1997年3月13日にTrokhan et al.に発行された第5,629,052号、1997年6月19日にAmpulski et al.に発行された第5,637,194号、1997年10月7日にMcFarland et al.に発行された第5,674,663号、第1997年12月2日にAmpulski et al.に発行された第5,693,187号、1998年1月20日にTrokhan et al.に発行された第5,709,775号明細書、1998年7月7日にAmpulski et al.に発行された第5,776,307号、1998年8月18日にAmpulski et al.に発行された第5,795,440号、1998年9月29日にPhanに発行された第5,814,190号、1998年10月6日にTrokhan et al.に発行された第5,817,377号、1998年12月8日にAmpulski et al.に発行された第5,846,379号、1999年1月5日にAmpulski et al.に発行された第5,855,739号、および1999年1月19日にAmpulski et al.に発行された第5,861,082号明細書の教示に従って製造することができ、上記特許明細書の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。もう一つの態様では、成形部材200は1996年1029日にCameronに発行された米国特許第5,569,358号明細書の教示内容に従ってプレスフェルトとして作成することができる。
【0141】
成形部材200の1つの主要な態様は、強化要素250に結合した樹脂性フレーム構造210を含んでなる。樹脂性フレーム構造210は、所定の予め選択したパターンを有することができる。例えば、図4は、複数の開口220を有する実質的に連続的フレーム構造210を示している。幾つかの態様では、強化要素250は実質的に流体透過性であることができる。流体透過性の強化要素250は、織布スクリーン、または開口要素、フェルト、またはそれらの任意の組合せを含んでなることができる。成形部材200における開口220と共に表される強化要素250の部分は、澱粉フィラメントが成形部材200中を通過するのを妨げ、これによって生成する可撓性構造物100にピンホールが生じるのを少なくする。織布を強化要素250に用いることを望まない場合には、不織布要素、スクリーン、ネット、プレスフェルト、または複数の貫通孔を有するプレートまたはフィルムにより、フレーム構造210を適当に支持し、強度を与えることができる。適当な強化要素250は、1996年3月5日にStelljes et al.に発行された米国特許第5,496,624号、1996年3月19日にTrokhan et al.に発行された第5,500,277号明細書、および1996年10月22日にTrokhan et al.に発行された第5,566,724号明細書に従って製造することができ、上記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0142】
様々な種類の流体透過性強化要素250は、幾つかの米国特許明細書、例えば第5,275,700号明細書および第5,954,097号明細書に記載されており、上記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。強化要素250は、通常の製紙で用いられているように「プレートフェルト」とも呼ばれるフェルトを含んでなることができる。フレーム構造210は1996年8月27日にPhanに発行された米国特許第5,549,790号、1996年9月17日にTrokhan et al.に発行された第5,556,509号、1996年12月3日にAmpulski et al.に発行された第5,580,423号、1997年3月11日にPhanに発行された第5,609,725号、1997年5月13日にTrokhan et al.に発行された第5,629,052号、1997年6月10日にAmpulski et al.に発行された第5,637,194号、1997年10月7日にMcFarland et al.に発行された第5,674,663号、1997年12月2日にAmpulski et al.に発行された第5,693,187号、1998年1月20日にTrokhan et al.に発行された第5,709,775号、1998年8月18日にAmpulski et al.に発行された第5,795,440号、1998年9月29日にPhanに発行された第5,814,190号、1998年10月6日にTrokhan et al.に発行された第5,817,377号、および1998年12月8日にAmpulski et al.に発行された第5,846,379号明細書によって教示されるように、強化要素250に適用することができ、上記特許明細書の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0143】
あるいは、強化要素250は、流体不透過性であることができる。流体不透過性強化要素250は、例えば本発明の成形部材200のフレーム構造210の製造に用いた材料と同一のまたは異なるポリマー性樹脂材料、可塑性材料、金属、任意の他の適当な天然または合成材料、またはそれらの任意の組合せを含んでなることができる。当業者であれば、流体不透過性強化要素250は、成形部材10を全体として流体不透過性ともすることを理解されるであろう。強化要素250は、部分的に流体透過性でありかつ部分的に流体不透過性であることができることを理解すべきである。すなわち、強化要素250のある部分は流体透過性であることができ、強化要素250のもう一つの部分は流体不透過性であることができることを理解すべきである。成形部材200は、全体として流体透過性、流体不透過性、または部分的に流体透過性であることができる。部分的に流体透過性の成形部材200では、成形部材200の巨視的領域または複数の領域の一部分のみまたは複数の部分が流体透過性である。
【0144】
所望ならば、ジャカード織りを含んでなる強化要素250を用いることができる。ジャカード織りを有するベルトの例は、1995年7月4日にChiu et al.に発行された米国特許第5,429,686号、1997年9月30日にWendt et al.に発行された第6,017,417号、1998年5月5日にWendt et al.に発行された第5,746,887号、および2000年1月25日にWendt et al.に発行された第6,017,417号明細書に見出すことができ、上記特許明細書の内容は、ジャカード織りの主要な構成を示す限定した目的のため参考として本明細書に引用される。本発明では、ジャカード織りパターンを有するフィラメント接触側部201を含んでなる成形部材200が考えられる。このようなジャカード織りパターンは、フォーミング部材500、成形部材200、プレス表面などとして用いることができる。ジャカード織りは、典型的にはヤンキー乾燥ドラムへの移送時に起こるようなニップにおいて構造を圧縮しまたは押印したくない場合に特に有用であることが文献に記載されている。
【0145】
本発明によれば、成形部材200の開口220の1つ、数個、または総ては、1999年10月26日にPolat et al.に発行された米国特許第5,972,813号明細書に記載されているように、「ブラインド」にしたりまたは「閉鎖」することができ、上記特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。直ぐ上に引用した特許明細書に記載されているように、ポリウレタンフォーム、ゴムおよびシリコーンを用いて、開口220を流体不透過性にすることができる。
【0146】
図6に示される成形部材200の一態様は、複数の基材部211から(典型的には横方向に)伸びている複数の懸垂部219を含んでなる。この懸垂部219は、強化要素250から持ち上げられて中空部215を形成し、この中に本発明の澱粉フィラメントを偏向させて、図3に関して上記したように、片持ち梁部129を形成することができる。懸垂部219を含んでなる成形部材200は、互いに対面関係で接合されている少なくとも2層(211,212)によって形成される多層構造を含んでなることができる(図6)。これらの層のそれぞれは、上記の参考として本明細書に引用されている幾つかの特許明細書の1つと同様な構造を含んでなることができる。それぞれの層(211,212)は、最上部表面および底部表面の間に伸びている少なくとも1つの開口(220,図4,4A)を有することができる。接合した層を、1つの層の少なくとも1つの開口が上記の懸垂部219を形成している他の層のフレーム構造の部分と(成形部材200の基本平面に垂直な方向で)重なり合うように配置される。
【0147】
複数の懸垂部を含んでなる成形部材のもう一つの態様は、感光性樹脂または他の硬化性材料の層の、透明領域および不透明領域を含んでなるマスクを介する分画硬化(differential curing)法によって製造することができる。不透明領域は、分画不透明性、例えば比較的不透明度の高い(黒のような不透明)領域と、比較的低い部分的不透明な(すなわち、幾分半透明の)領域とを有する領域を含んでなる。
【0148】
フィラメント収容側部と反対側の第二の側部とを有する硬化性層をコーティングのフィラメント収容側部に隣接するマスクを通して硬化放射線に暴露すると、マスクの不透明領域が最初にコーティング部分を硬化放射線から遮蔽して、コーティングの第一の部分のコーティングの厚み全体に亘る硬化を妨げる。マスクの部分不透明領域は、コーティングの第二の部分を部分的にのみ遮蔽し、硬化放射線により第二の部分をコーティングの厚み未満の所定の厚みまで(コーティングのフィラメント収容側部からコーティングの第二の側部まで)硬化させる。マスクの透明領域は、コーティングの第三の部分を遮蔽しないままにし、硬化放射線により第三の部分をコーティングの厚み全体に亘って硬化させる。
【0149】
従って、未硬化材料を、部分的に形成した成形部材から除くことができる。生成する硬化したフレーム構造は、コーティングのフィラメント収容側部から形成したフィラメント接触側部201およびコーティングの第二の側部から形成した裏面202を有する。生成するフレーム構造は、裏面202を含んでなりかつコーティングの第三の部分から形成される複数の基材211,およびウェブ接触側部201を含んでなりかつコーティングの第二の部分から形成される複数の懸垂部219を有する。複数の基材は、上記のように、実質的に連続的パターン、実質的に半連続的パターン、不連続パターン、またはそれらの任意の組合せを含んでなることができる。懸垂部219は、複数の基材からある角度(典型的には約90°であるが、必ずしもこの角度とは限らない)で伸び出し、生成するフレーム構造の裏面202から間隔を置いて、懸垂部と裏面201との間に中空部を形成している。典型的には、強化要素250を含んでなる成形部材200を用いるときには、中空部215は、図6に非常に良好に示されるように、懸垂部219と強化要素250との間に形成される。
【0150】
次の段階は、図7〜9に模式的に示されるように、成形部材200のフィラメント接触側部201に複数の擬似熱可塑性澱粉フィラメントを配置し、複数の澱粉フィラメントを成形部材200の三次元パターンに少なくとも部分的に一致させることを含んでなる。図7に模式的に示されている態様を説明すれば、延伸ユニットから出ると、澱粉フィラメント17bは成形部材200の三次元フィラメント接触側部201に配置される。工業的連続法では、成形部材200は、図7〜9に模式的に示されるように、機械方向MDに連続的に移動するエンドレスベルトを含んでなる。次に、澱粉フィラメントを、様々な常法によって互いに結合させかつ相互に絡み合わせることができる。直径が減少したフィラメントからなる紡糸結合した不織布ウェブの製造法および装置を教示している1997年11月18日にLuに発行された米国特許第5,688,468号明細書の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0151】
幾つかの態様では、複数の澱粉フィラメントを図9に模式的に示されるように、成形部材10ではなく、フォーミング部材500に最初に配置することができる。この段階は任意であり、製造される構造10の幅全体の複数の澱粉フィラメントの基本重量における均一性を促進する目的で用いることができる。ワイヤーを含んでなるフォーミング部材500が、本発明によって考えられる。図9の代表的態様では、フォーミング部材500は、ロール500aおよび500bについての機械方向に移動する。フォーミング部材は流体透過性であり、フォーミング部材500の下に配置されかつその上に配置された複数の澱粉フィラメントに流体圧力差を加える真空装置550によって、フォーミング部材500の収容表面中の澱粉フィラメントの多かれ少なかれ平坦な分布が助長される。
【0152】
所望ならば、フォーミング部材200を用いて、澱粉フィラメントに、特にフィラメントの表面に様々な不規則形状を形成することもできる。例えば、フォーミング部材のフィラメント収容表面は、比較的柔らかいままの澱粉フィラメントを押印するように構成された様々なシャープなエッジ(図示せず)を含んでなり、澱粉フィラメントにノッチ(図11に模式的に示されている)または他の不規則形状をデザインすることができ、これは上記のように、製造される可撓性構造物100にとって有利である。
【0153】
図9の態様では、複数のフィラメントを、当該技術分野に知られている任意の通常の手段によって、例えばフォーミング部材500に置かれた複数の澱粉フィラメントをそこから分離させ、成形部材200に接着させるのに十分な真空圧力を加える真空シュー(vacuum shoe)600によって、フォーミング部材から成形部材200に移行させることができる。
【0154】
可撓性構造物100の連続製造法において、成形部材200はフォーミング部材500より低い線形速度を有することができると考えられる。トランスファーポイントにおける速度差を用いることは製紙業界でよく知られており、典型的には、低コンシステンシーの湿潤ウェブに適用するときに効率的であると考えられるいわゆる「微小収縮」に用いることができる。微小収縮の主要な機構を記載する目的で参考として本明細書に開示内容が引用されている米国特許第4,440,597号明細書には「湿潤微小収縮」が詳細に記載されている。簡単に説明すれば、湿潤微小収縮は、低繊維コンシステンシーを有するウェブを第一の部材(例えば、有孔性部材)から、第一の部材より移動速度が遅い第二の部材(例えば、目の荒い織物のループ)まで移動させることを含む。従って、澱粉フィラメントを形成し、複数の澱粉フィラメントを、比較的低速移動する支持体(例えば、フォーミング部材500)から比較的高速移動する支持体(例えば、成形部材200)への移動時間によって十分に柔軟な状態に保持することができる場合には、複数の澱粉フィラメントに微小収縮を有効に施し、これによって製造される可撓性構造物100を短縮することができると考えられる。成形部材200の速度は、フォーミング部材500の速度より約1%〜約25%大きくすることができる。
【0155】
図9Aは、本発明によるポリの一態様を示しており、1°〜89°、更に具体的には約5°〜約85°とすることができる角度Aで、澱粉フィラメントを成形部材200に配置することができる。この態様は、懸垂部219を有する成形部材200を用いるときに特に有利であると考えられる。澱粉フィラメント17aの成形部材200に対するこのような「角度をつけた」配置によって、懸垂部219と強化要素250との間に形成される中空部を長い柔軟な澱粉フィラメント17aに一層接近可能にし、澱粉フィラメントが一層容易に中空部215を満たすのを助長する。図9Aでは、澱粉フィラメント17aは2段階で成形部材200に配置され、これらの中空部219はいずれも(上流の中空部215aおよび下流の中空部215b)成形部材200に対して角度をつけたフィラメントの配置により有利となる可能性がある。成形部材200の具体的形状、特に懸垂部219の形状および/または配向によっては、下流の角度Aは上流の角度Bと同じにもまたは異なることもある。
【0156】
複数の澱粉フィラメントを成形部材200のフィラメント接触側部201に配置すると、複数のフィラメントはその三次元パターンと少なくとも部分的に一致する。更に、様々な手段を用いて、澱粉フィラメントを成形部材200の三次元パターンに一致させ、またはこれを促進することもできる。一つの方法は、流体圧力差を複数の澱粉フィラメントに加えることを含んでなる。この方法は、成形部材200が流体透過性であるときには特に有利であることができる。例えば、流体透過性成形部材200の裏面202に配置された真空装置550を、真空圧力を成形部材200に、従ってその上に配置された複数の澱粉フィラメントに加えるように配置することができる(図8)。真空圧力の影響下では、澱粉フィラメントの幾つかは成形部材200の開口220および/または中空部215に偏向することができ、あるいはその三次元パターンに一致することができる。
【0157】
可撓性構造物100の3つの領域総ては、通常は同等な基本重量を有することができると考えられる。澱粉フィラメントの一部を開口220に偏向することによって、第一の押印した領域110の密度と比較して生成するピロー120の密度を減少させることができる。開口220に偏向しない領域110は、圧縮ニップの可撓性構造物を圧縮することによって押印することができる。押印したならば、押印領域110の密度は、ピロー120の密度および第三の領域130の密度と比較して増加する。開口220に偏向しなかった領域110の密度および第三の領域130の密度は、ピロー120の密度より高い。第三の領域130は、押印領域110とピロー120との中間の密度を有すると思われる。
【0158】
更に図1Aについて説明すれば、本発明による可撓性構造物100は3種類の異なる密度を有すると考えられる。最高密度領域は、高密度押印領域110である。押印領域110は、位置および形状が成形部材200のフレーム構造210に相当する。可撓性構造物100の最低密度領域は、ピロー120の領域であり、位置および形状が成形部材200の開口220に相当する。成形部材200の向斜230に相当する第三領域130は、ピロー120と押印領域110との中間の密度を有する。「向斜」230は、成形部材200のフィラメント収容側部201からその裏面202に伸びているZ方向ベクトル成分を有するフレーム構造210の表面である。向斜230は、開口220のようには、フレーム構造210を完全に貫通して伸びてはいない。従って、向斜230と開口220との差は、開口220がフレーム構造210の貫通孔を表し、一方向斜230はフレーム構造210のブラインド孔、亀裂、溝、またはノッチを表すと考えることができる。
【0159】
本発明による構造100の第三の領域は、3種類の異なる高さで配置されているものと考えられる。本明細書で用いる領域の高さとは、参照平面(すなわち、X−Y平面)からの距離を表している。便宜上、参照表面を水平面として表し、参照表面からの高さ距離を垂直距離として表すことができる。澱粉フィラメント構造100の特定の領域の高さは、当該技術分野で周知であるこれらの目的に適する任意の非接触測定装置を用いて測定することができる。特に適当な測定装置は、50mmの範囲におけるビームサイズが0.3×1.2mmである非接触式Laser Displacement Sensorである。適当な非接触式Laser Displacement Sensorは、Idec CompanyからMX1A/Bモデルとして販売されている。あるいは、当該技術分野で知られているように、接触式スタイリスゲージ(contacting stylis gauge)を用いて、異なる高さを測定することができる。このようなスタイリスゲージは、Carstensに発行された米国特許第4,300,981号明細書に記載されており、その開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。本発明による構造100は、参照平面と接触している押印領域110と共に参照平面上に置かれる。ピロー120および第三領域130が、参照平面から垂直に伸び出している。領域110、120および130の特異的高さは、図5Aに模式的に示されるように、その三次元パターンの特異的深さまたは高さを有する成形部材200を用いて形成することもできる。特異的深さ/高さを有するこのような三次元パターンは、成形部材200の予め選択した部分を平らにすることによって製造し、それらの高さを減少させることができる。また、硬化性材料を含んでなる成形部材200を、三次元マスクを用いて製造することもできる。陥凹/突出部の特異的深さ/高さを含んでなる三次元マスクを用いることによって、特異的高さを有する相当するフレーム構造210を形成することができる。特異的な高さを有する表面を形成する他の常法を、上記の目的に用いることができる。
【0160】
フィラメントの幾らかまたはその部分を全面的に成形部材200を介して王圧することにより、生成する可撓性構造物にいわゆるピンホールを形成させる可能性のある真空装置550(図8および9)または真空ピックアップシュー(図9)による流体圧力差を急に加えることにより起こり得る負の効果を改善するため、成形部材の裏面に模様を織り込み、微視的表面不規則性を形成することができる。これらの表面不規則性は、成形部材200の幾つかの態様で用いることができ、成形部材200の裏面202と製紙装置の表面(例えば、真空装置の表面)との間に真空シールの形成を妨げることにより、それらの間に「漏れ」を生成し、本発明の可撓性構造物100の空気乾燥による製造法で真空圧力を加えることによる望ましくない結果を緩和するからである。このような漏れを生成する他の方法は、米国特許第5,718,806号、第5,741,402号、第5,744,007号、第5,776,311号および第5,885,421号明細書に開示されており、上記明細書の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0161】
漏れは、米国特許第5,624,790号、第5,554,467号、第5,529,664号、第5,514,523号、および第5,334,289号明細書に記載のいわゆる「示差光透過法(differential light transmission techniques)」を用いて生成することもでき、上記特許明細書の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。成形部材は、感光性樹脂のコーティングを不透明部分を有する強化要素に加えた後、コーティングを透明および不透明領域を有するマスクを介しておよび強化要素をも介して活性化波長の光線に露出することによって製造することができる。
【0162】
裏面の不規則性を生成するもう一つの方法は、米国特許第5,364,504号、第5,260,171号、および第5,098,522号明細書に記載のように、織り込フォーミング表面、または織り込みバリヤーフィルムの使用を含んでなり、上記特許明細書の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。成形部材は、強化要素が織り込み表面上を移動している間に強化要素上および中に感光性樹脂を注型した後、透明および不透明領域を有するマスクを通して活性化波長の光線にコーティングを露出することによって製造することができる。
【0163】
真空(すなわち、負の大気圧未満の)圧力を流体透過性成形部材200を介して複数のフィラメントに加える真空装置、または陽圧を複数のフィラメントに加えるファン(図示せず)のような手段を用いて、成形部材の三次元パターン中への複数のフィラメントの偏向を促進することができる。
【0164】
更に、図9は、本発明の方法の任意段階であって、複数の澱粉フィラメントを、ロール800aおよび800bの周囲を移動するエンドレスバンドを含んでなり、複数のフィラメントに接触する材料の柔軟シート800を被覆することを特徴とする段階を模式的に示している。すなわち、複数のフィラメントを成形部材200と材料の柔軟シート800との間に所定時間挟む。材料の柔軟シート800は、空気透過性を成形部材200より少なくすることができ、幾つかの態様では空気不透過性とすることができる。流体圧力差Pを柔軟シート800に加えると、柔軟シートの少なくとも一部が成形部材200の三次元パターン方向および幾つかの場合には中に偏向させ、これにより複数の澱粉フィラメントを負う篤、成形部材200の三次元パターンに緊密に一致する。米国特許第5,893,965号明細書であって、その開示内容がその開示の一部として本明細書に引用されているものには、材料の柔軟シートを用いる装置および方法の配置原理が記載されている。
【0165】
流体圧力差に加えてまたはの代わりに、機械的圧力を用いて,本発明の可撓性構造物100の微視的三次元パターンの形成を促進することもできる。このような機械的圧力は、例えばロールの表面またはバンドの表面を含んでなる任意の適当なプレス表面によって生成させることができる。図8は、表面圧縮の2種類の代表的態様を示している。一対または数対のプレスロール900aおよび900b、および900cおよび900dを用いて、成形部材200に配置された澱粉フィラメントをその三次元パターンにより完全に一致させることができる。プレスロールによって生じた圧力を段階的に導入することができ、所望ならば、例えばロール900cおよび900dの間に生じた圧力を、ロール900aおよび900bの間の圧力より大きくすることができる。あるいは、または更に、ロール900aおよび900bの回りを移動するエンドレスプレスバンド950を成形部材200のフィラメント側部201の一部にプレスし、可撓性構造物100をそれらの間に押印することができる。
【0166】
プレス表面は滑らかであることも、またはそれ自身の三次元パターンを有することもできる。後者の場合には、プレス表面をエンボス装置として用い、成形部材200の三次元パターンと共同しまたは独立して、可撓性構造物100に突出および/または陥凹の明確な微小パターンを形成させることができる。更に、プレス表面を用いて、例えば柔軟剤およびインキのような様々な添加剤を、製造する可撓性構造物200に加えることができる。例えばインキロール910または噴霧装置(またはシャワー)920のような常法を用いて、製造する可撓性構造物1200に様々な添加剤を直接的または間接的に加えることができる。
【0167】
構造100は、当該技術分野で知られているように、場合によっては短縮することができる。短縮は、剛性表面、更に具体的にはシリンダー、例えば図9に模式的に示されているシリンダー290からの構造100のクレイピング(creping)を伴うことができる。クレイピングは、当該技術分野で周知のように、ドクターブレード292によって行われる。クレイピングは、1992年4月24日にSawdaiに発行された米国特許第4,919,756号明細書に従って行うことができ、上記特許明細書の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。あるいはまたは更に、短縮は、上記のように微小収縮によって行うことができる。
【0168】
短縮される可撓性構造物100は、典型的には横機械方向より機械方向に一層伸張性であり、短縮工程によって形成されるヒンジラインの回りに容易に曲げることができ、このヒンジラインは、通常は横機械方向、すなわち可撓性構造物100の幅に沿って伸張する。クレイピングされないおよび/または短縮されない可撓性構造物100は、本発明の範囲内にあると考えられる。
【0169】
様々な生成物を、本発明の可撓性構造物100を用いて製造することができる。生成物は、空気、油および水用のフィルター、真空クリーナーフィルター、炉フィルター、面、コーヒーフィルター、茶またはコーヒーバッグ、断熱材料および遮音材料、オムツ、女性用パッドおよび失禁用品のような使い捨て衛生用品用の不織布、マイクロファイバーまたは呼吸可能な布帛のような水分吸収および着用の柔らかさを改良するための生物分解性編織布、集塵および除塵用の正電荷を有する構築ウェブ、包装紙、便箋、新聞紙、段ボールのような硬質級の紙用の強化材料およびウェブ、およびトイレットペーパー、紙タオル、ナプキンおよびティッシュペーパーのようなティッシュ級の紙のウェブ、外科用無菌布、創傷用包帯、包帯剤、皮膚パッチ、および自己溶解性縫合糸のような医療用途、およびデンタルフロス、および歯ブラシの荒毛のような歯科用用途に用いることができる。可撓性構造物としては、臭気吸収剤、シロアリ忌避剤、殺虫剤、殺鼠剤など特殊用途に用いられるものが挙げられる。生成物は水および油を吸収し、こぼれた油または水の掃除、または農業または園芸用の水の保持および放出の調節に用いることができる。生成する澱粉フィラメントまたは繊維ウェブはね鋸屑、木材パルプ、プラスチック、およびコンクリートのような他の材料に配合して、壁、支持梁、圧縮ボード、乾燥壁および下地、および天井タイルのような建築材料、ギブス包帯、副子、および舌圧子のような他の医療用途、および装飾用および/または燃焼目的の暖炉の丸太として用いることができる複合材料を形成することもできる。
【0170】
試験法
A. 剪断粘度
組成物の剪断粘度は、細管レオメーター(Model Rheograph 2003, Goettfert製)を用いて測定する。測定は、直径Dが1.0mmであり、長さLが30mm(すなわち、L/D=30)の細管ダイを用いて行う。ダイを、25℃〜90℃の範囲の試験温度(t)に固定されている胴部の下端に取り付ける。試験温度まで予備加熱した試料組成物をレオメーターの胴部に載荷し、胴部を実質的に満たす(試料約60gを使用)。胴部を、特定の試験温度(t)に固定する。載荷の後に空気が表面に泡だったならば、試験の実施の前に圧縮を用いて、閉じこめられた空気の試料を除去する。ピストンをプログラミングし、試料を選択した速度の組で細管ダイを通して胴部から押す。試料が細管ダイを介して胴部から出て行くので、試料は圧力降下を示す。見掛けの剪断粘度は、圧力降下および細管ダイを通る試料の流速から計算される。次に、log(見掛けの剪断粘度)をlog(剪断速度)に対してプロットし、このプロットを累乗則η=Kγn−1(式中、Kは材料定数であり、γは剪断速度である)によって適合させる。本発明の組成物の記録された剪断粘度は、累乗則関係を用いて3000s−1の剪断速度に補外したものである。
【0171】
B. 伸び粘度
伸び粘度は、細管レオメーター(Model Rheograph 2003, Goettfert製)を用いて測定する。測定は、初期直径(D初期(Dinitial))が15mmであり、最終直径(D最終(Dfinal))が0.75mmであり、長さ(L)が7.5mmである半双曲ダイデザインを用いて行う。
【0172】
ダイの半双曲形は、2つの式によって定義される。
【数2】
Figure 0003598313
(式中、Zは、初期直径からの軸距離であり、D(z)は、D初期からの距離zでのダイの直径である。)
【0173】
ダイを、澱粉組成物を加工する温度に相当する固定試験温度(t)に固定されている胴部の下端に取り付ける。試験温度(加工温度)は、試料の澱粉組成物の融解点を上回る温度である。試料の澱粉組成物をダイ温度まで予備加熱し、レオメーターの胴部に載荷した後、胴部を実質的に満たす。載荷の後に空気が表面に泡だったならば、試験の実施の前に圧縮を用いて、閉じこめられた空気の溶融試料を除去する。ピストンをプログラミングし、試料を選択した速度で双曲ダイを通して胴部から押す。試料がオリフィスダイを介して胴部から出て行くので、試料は圧力降下を示す。見掛けの剪断粘度は、圧力降下およびダイを通る試料の流速から下式に従って計算される。
伸び粘度=(ΔP/伸張速度/E)・10+5
(式中、伸び粘度はパスカル・秒で表したものであり、ΔPはバールで表した圧力降下であり、伸張速度は秒−1で表したダイを通る試料の流速であり、Eは無次元ヘンキー歪である。)ヘンキー歪は、時間または履歴依存性の歪である。非ニュートン流体で流体要素によって示される歪は、運動履歴によって変化し、すなわち、下式によって表される。
【数3】
Figure 0003598313
【0174】
このデザインのヘンキー歪(E)は、5.99であり、下式によって定義される。
=ln[D初期 /D最終
【0175】
見掛け伸び粘度は、累乗則関係を用いて250−1の伸張速度の関数として記録されている。半双曲ダイを用いる伸び粘度測定は、1994年10月25日にCollierに発行された米国特許第5,357,784号明細書に詳細に開示されており、上記特許明細書の開示内容は、その開示の一部として本明細書に引用される。
【0176】
C. 分子量および分子量分布
澱粉の重量平均分子量(Mw)および分子量分布(MWD)は、混合床カラムを用いるゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定される。装置の部品は、下記の通りである。
Figure 0003598313
【0177】
カラムを、分子量が245,000、350,000、480,000、805,000および2,285,000のデキストラン標準品を用いて較正する。これらのデキストラン較正標準品は、American Polymer Standards Corp.、メントール、オハイオから発売されている。較正標準品は、標準品を移動相に溶解して約2mg/mlの溶液を作成することによって調製する。溶液を一晩放置する。次に、緩やかにかき混ぜ、シリンジ(5ml、Norm−Ject、VWR製)を用いてシリンジフィルター(5μmナイロン膜、Spartan−25、VWR製)を介して濾過する。
【0178】
澱粉試料は、最初に40重量%澱粉/水道水の混合物を、この混合物がゼラチン化するまで加熱しながら、作成することによって調製する。次に、ゼラチン化混合物1.55gを移動相22gに加えて、5分間攪拌子、105℃のオーブンに混合物を1時間入れ、混合物をオーブンから取り出し、室温まで冷却することによって調製される3mg/ml溶液を作成する。溶液を、上記のようにシリンジおよびシリンジフィルターを用いて濾過する。
【0179】
濾過標準または試料溶液をオートサンプラーによって採取して、100μlインジェクションループ中の前の試験材料を流し去り、新たな試験材料をカラムに注入する。カラムから溶出した試料を、50℃に固定した示差屈折率検出器により、感度範囲を64に設定して、移動相バックグラウンドに対して測定する。移動相は、0.1%(w/v)LiBrを溶解したDMSOである。流速を1.0ml/分およびイソクラティックモード(isocratic mode)(すなわち、操作中の移動相が一定である)に設定する。それぞれの標準または試料をGPC中で3回測定し、結果を平均する。
【0180】
分子量分布(MWD)は、下記のように計算される。
MWD=重量平均分子量/数平均分子量
【0181】
D. 熱特性
本発明の澱粉組成物の熱特性を、化学文献に記載されているように、融解(開始)温度が156.6℃でありかつ融解熱が6.80カロリー/gであるインジウム金属標準を用いて覚醒したTA Instrument DSC−2910を用いて測定する。製造業者の操作マニュアルによる標準DSC操作法を用いる。DSC測定の際の澱粉組成物から揮発性物質(例えば、水蒸気)が放出されるため、o−リングシールを備えた高容積パンを用いて、試料パンから揮発成分が散逸するのを防止する。試料および不活性対照(典型的には、空のパン)を、制御した環境で同じ速度で加熱する。実際のまたは擬似的相変化が試料で起こるときには、DSC装置により不活性対照の熱流に対する試料へのまたはからの熱流を測定する。この装置をコンピューターとインターフェースで連結して、試験パラメーター(例えば、加熱/冷却速度)を調節し、データーを収集し、計算し、報告する。
【0182】
試料をパンに秤量し、o−リングと蓋で封入する。典型的な試料サイズは、25〜65mgである。封入パンを装置に入れ、コンピューターをプログラミングして、下記のようにして熱測定を行う。
1. 0℃で平衡させ、
2. 0℃で2分間保持し、
3. 120℃まで10℃/分で加熱し、
4. 120℃で2分間保持し、
5. 30℃まで10℃/分で冷却し、
6. 周囲温度で24時間平衡させ、この時間中に試料をDSC装置から取り出して、30℃の制御環境中に入れることができ、
7. 試料パンをDSC装置に戻して、0℃で平衡させ、
8. 2分間保持し、
9. 120℃まで10℃/分で加熱し、
10. 120℃で2分間保持し、
11. 30℃まで10℃/分で冷却して、平衡させ、
12. 用いた試料を取り出す。
【0183】
コンピューターにより、熱分析の結果を計算して、温度または時間に対する示差熱流(ΔH)として記録する。典型的には、示差熱量を重量換算で(すなわち、cal/mg)規格化し、記録する。試料がガラス転移のような擬似相転移を示す場合には、ΔH対時間/温度の差プロットを用いて、ガラス転移温度を一層容易に測定することができる。
【0184】
E. 水溶解度
成分同士を加熱しながら混合し、実質的に均質な混合物が得られるまで攪拌することによって、試料組成物を作成する。溶融組成物をTeflonシート上に塗布し周囲温度で冷却することによって、薄いフィルムにする。次に、フィルムを、100℃のオーブンで完全に乾燥する(すなわち、フィルム/組成物が水を全く含まない)。次に、乾燥フィルムを、室温まで平衡させる。平衡したフィルムを磨砕して、細粒とする。
【0185】
試料中の固形物%を測定するため、磨砕下試料2〜4gを予め秤量しておいた金属パンに入れ、パンと試料の総重量を記録する。秤量したパンおよび試料を100℃のオーブンに2時間入れた後、取り出して、直ちに秤量した。固形物%は、下記のようにして計算される。
Figure 0003598313
【0186】
試料組成物の溶解度を測定するため、磨砕試料10gを250mlビーカーに秤量する。脱イオン水を加えて、総重量を100gとする。試料および水を、攪拌プレート上で5分間混合する。攪拌後、攪拌試料を少なくとも2ml遠沈管に流し込む。10℃にて20,000gで1時間遠心分離する。遠心分離試料の上清を採取し、屈折率を読む。試料の溶解度%は、下記のようにして計算される。
Figure 0003598313
【0187】
F. キャリパー
試験前に、フィルム試料を相対湿度48%〜50%および温度22℃〜24℃でコンディショニングし、水分含量を約5%〜約16%とする。水分含量は、TGA(熱重量分析)によって測定する。熱重量分析には、高分解能TGA2950 Thermogravimetricアナライザー(TA Instruments製)を用いる。試料約20mgを、TGAパンに秤量する。製造業者の指示に従って、試料およびパンを装置に挿入し、温度を10℃/分の速度で250℃まで増加する。試料の水分%を、重量損失および初期重量を用いて、下記のようにして測定する。
Figure 0003598313
【0188】
予備コンディショニングした試料を、キャリパーの測定に用いるフートの大きさより大きな大きさに切断する。用いるフートは、3.14平方インチの面積の塩である。
【0189】
試料を水平な平坦表面に置き、平坦表面と水平な荷重表面を有するロードフート(load foot)との間に閉じこめられ、ロードフート荷重表面は円形表面積が約3.14平方インチであり、約15/cm(0.21psi)の拘束圧を試料に加える。キャリパーは平坦表面とロードフート荷重表面との間に生成する空隙である。このような測定値は、Thwing−Albert、フィラデルフィア、ペンシルバニアから発売されているVIR Electronic Thickness Tester Model IIで得ることができる。キャリパーの測定を繰返し、少なくとも5回記録する。結果は、ミルで記録する。
【0190】
キャリパー試験から記録された読みの和を、記録した読みの回数で割る。結果は、ミルで記録する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可撓性構造物の一態様の概略平面図。
【図1A】図1の線1A−1Aについての概略断面図。
【図2】本発明の可撓性構造物のもう一つの態様の概略平面図。
【図3】本発明の可撓性構造物のもう一つの態様の概略断面図。
【図4】本発明の可撓性構造物の形成に用いることができる成形部材の一態様の概略平面図。
【図4A】図4の線4A−4Aについての概略断面図。
【図5】本発明の可撓性構造物の形成に用いることができる成形部材のもう一つの態様の概略平面図。
【図5A】図5の線5A−5Aについての概略断面図。
【図6】本発明の可撓性構造物の形成に用いることができる成形部材の更にもう一つの態様の概略断面図。
【図7】澱粉フィラメントを含んでなる可撓性構造物の製造の電気紡糸法および装置の一態様の概略部分側面図および断面図。
【図7A】図7の線7A−7Aについての概略図。
【図8】本発明の方法の一態様の概略側面図。
【図9】本発明の方法のもう一つの態様の概略側面図。
【図9A】本発明の方法のもう一つの態様の概略側面図および部分図。
【図10】フィラメントの主(長)軸に垂直な特異的断面積を有する澱粉フィラメントの一態様の断片の概略図。
【図10A】澱粉フィラメントの断面積の幾つかの例示的で非限定的態様の概略図。
【図11】フィラメントの長さの少なくとも一部分に沿って複数のノッチを有する澱粉フィラメントの断片の概略図。
【符号の説明】
10 澱粉フィラメントの製造装置
11 10のハウジング
12 流体加熱用キャビティ
13 ダイヘッド
14 ジェットノズル
15 空気(環状)オリフィス
16 空気(個別)オリフィス
17 澱粉組成物
17a 澱粉フィラメント
100 可撓性構造物
110 100の第一の領域
120 100の第二の領域(幾つかの態様ではピロー)
130 300の第三の領域
115 100における実質的な中空部(ポケット)
(片持ち梁部と第一の領域との間)
128 ドーム部
129 100の片持ち梁部
200 成形部材
201 200のフィラメント収容側部
202 200の裏面
210 フレーム構造
211 (多層構造における)第一層
212 (多層構造における)第二層
215 219と250との間の中空部
219 懸垂部
220 開口
230 向斜
250 強化要素
290 (クレーピング)シリンダー
292 クレーピングナイフ
500 フォーミング部材
550 真空装置
600 真空ピックアップシュー
800 材料の柔軟シート(低圧偏向)
900a〜900c プレスロール
910 インクロール
920 噴霧装置(シャワー)
950 プレスバンド

Claims (21)

  1. 連続澱粉フィラメントの製造法であって、
    (a) 伸び粘度が50パスカル・秒〜20,000パスカル・秒であることを含む澱粉組成物を提供し、
    (b) 澱粉組成物を静電紡糸することによって、大きさが0.001dtex〜135dtexの澱粉フィラメントを生成する
    段階を含む、方法。
  2. 澱粉組成物を提供する段階が、澱粉の重量平均分子量が1,000〜2,000,000である澱粉組成物を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 静電紡糸の段階において、澱粉組成物の、外部因子により影響を受けない粘性流体力対表面張力の比である固有のキャピラリー数が少なくとも0.05である、請求項1に記載の方法。
  4. 澱粉組成物の固有のキャピラリー数が少なくとも1である、請求項2に記載の方法。
  5. 澱粉組成物を提供する段階が、20重量%〜99重量%がアミロペクチンである澱粉組成物を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
  6. 澱粉組成物が、澱粉10重量%〜80重量%および添加剤20重量%〜90重量%を含んでなり、澱粉組成物の伸び粘度が100パスカル・秒〜15,000パスカル・秒である、請求項5に記載の方法。
  7. 澱粉組成物が、澱粉20重量%〜70重量%および添加剤30重量%〜80重量%を含んでなり、澱粉組成物の伸び粘度が200パスカル・秒〜10,000パスカル・秒である、請求項5に記載の方法。
  8. 澱粉組成物の伸び粘度が200パスカル・秒〜10,000パスカル・秒であり、固有のキャピラリー数が3〜50である、請求項5に記載の方法。
  9. 澱粉組成物の伸び粘度が300パスカル・秒〜5,000パスカル・秒であり、キャピラリー数が5〜30である、請求項8に記載の方法。
  10. 澱粉組成物を提供する段階が、可塑剤および希釈剤からなる群から選択される添加剤を含んでなる澱粉組成物を提供することを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 澱粉組成物が、タンパク質であってトウモロコシから誘導されたタンパク質、大豆から誘導されたタンパク質、小麦から誘導されたタンパク質、またはそれらの任意の組合せを含んでなるタンパク質5重量%〜95重量%を更に含んでなる、請求項10に記載の方法。
  12. 澱粉フィラメントを気流で繊細化する段階を更に含む、請求項1に記載の方法。
  13. 澱粉フィラメントを含んでなる可撓性構造物の製造法であって、
    (a) 伸び粘度が100パスカル・秒〜10,000パスカル・秒である澱粉組成物を提供し、
    (b) 三次元フィラメント収容側部およびそれと反対の裏側部であって、実質的に連続的パターン、実質的に半連続的パターン、不連続パターンまたはそれらの任意の組合せを含んでなるフィラメント収容側部を有する成形部材を提供し、
    (c) 澱粉組成物を静電紡糸することによって、複数の澱粉フィラメントを生成させ、
    (d) 成形部材のフィラメント収容側部に複数の澱粉フィラメントを入れ、澱粉フィラメントがフィラメント収容側部の三次元パターンに一致するようにする
    段階を含む、方法。
  14. 澱粉組成物を提供する段階が、澱粉の重量平均分子量が1,000〜2,000,000である澱粉組成物を提供することを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 澱粉組成物を静電紡糸する段階が、ダイを通して澱粉組成物を静電紡糸することを含む、請求項13に記載の方法。
  16. 澱粉フィラメントを空気で繊細化する段階を更に含む、請求項15に記載の方法。
  17. 成形部材を提供する段階が、機械方向に連続的に移動するように構築した成形部材を提供することを含む、請求項13に記載の方法。
  18. 成形部材を提供する段階が、第一の高さに配置された強化要素と、強化要素に対面関係で接合されかつ強化要素から外側に伸び出して第二の高さを形成している樹脂性フレーム構造とによって形成される成形部材を提供することを含む、請求項13に記載の方法。
  19. 成形部材が流体透過性であり、複数の織り合わせた糸、フェルト、またはそれらの任意の組合せを含んでなる、請求項18に記載の方法。
  20. 樹脂性フレーム構造が、強化要素から外側に伸び出している複数の基材と、第二の高さで基材から横方向に伸び出している複数の片持ち梁とを含んでなり、片持ち梁部と強化要素との間に中空部を形成し、複数の基材と複数の片持ち梁部が組み合って成形部材の三次元フィラメント収容側部を形成している、請求項19に記載の方法。
  21. 複数の澱粉フィラメントを成形部材のフィラメント収容側部に配置する段階が、複数の澱粉フィラメントに流体圧力差を加えることを含む、請求項13に記載の方法。
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