JP3597902B2 - 動圧流体軸受の製造方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、動圧流体軸受の製造方法であって、2枚のスラストプレートを備えかつそれらのスラストプレート間の軸線方向距離を厳密な寸法公差下に制御されており、特にスピンドルモータの軸受として使用するのに最適な、新規な動圧流体軸受の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、各種の機器において広く使用されている図10に示すような例えばスピンドルモータにおける動圧流体軸受1においては、スリーブ2の孔3と、そこを貫通しているシャフト4と、の間においてラジアル方向の動圧を保持し、また、スリーブ2の突縁部5の上面6及び下面7と、これらの面6、7に対向する位置にあって前記シャフト4に中心部分が固定されている上側スラストプレート8及び下側スラストプレート9と、の間においてスラスト方向の動圧を保持している。より詳細には、これらのラジアル方向動圧発生部である孔3及びシャフト4、更にはスラスト方向動圧発生部であるスリーブ突縁部5の上面6、下面7及びこれらに対向する上側スラストプレート8の下面、下側スラストプレート9の上面には、それぞれ対向するいずれかに動圧溝が設けてあり、これの溝にオイルが充填されており、そのオイルが円滑な軸受作用を提供している。
【0003】
ここで、もしスラスト方向の動圧発生部に所定値以上の間隙が生じていると、スピンドルモータを回転したときに、シャフト4が当該シャフト4の軸線方向に沿って振動運動を発生する危険がある。もしこのような軸線方向の振動運動を発生する危険があるスピンドルモータが、例えば情報記録/読取り用のハードデイスク等を回転するような場合には、通常、該ハードデイスクとこれに対置する公知のヘッドとの間の寸法がミクロンオーダに制御されている必要があるため、事実上、かかるスピンドルモータは、そのような用途には使用出来ないことになる。従って、特にこのような分野において使用されるスピンドルモータにあっては、シャフト4の軸線方向に沿った振動運動の発生は極力防止されねばならない重大な事項となっている。またスラスト方向の間隙が所定値以下の場合は、軸損トルクが上昇し、モータ消費電力が大きくなる。
【0004】
このため、これまでのスピンドルモータの軸受においては、このような軸線方向の遊びを制限するため、例えば図11に示すように、シャフト4の下方部分に下側スラストプレート9を一体的に形成し、又は、予め形成した下側スラストプレート9をシャフト4の下方部分に公知の手段によって固定し、該シャフト4の上方部分に厳しい寸法精度のもとに成形した位置決め基準となる段部10へ上側スラストプレート8を嵌め込み固定していた。また、別の場合には、図12に示すように、シャフト4の上端部と上側スラストプレート8の上面とが同一平面に成るようにシャフトを構成するようにしていた。更にはまた、シャフト4の上端部分に段付き加工を施すことなく、所定の治具を取り付け、上側スラストプレート8を所定位置に取り付けていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような公知の動圧流体軸受の製造法においては、段部10の成形が非常に厳しい寸法精度のもとに加工されねばならないという課題があった。また予めシャフト4の上端部分に加工した段部10に上側スラストプレート8を嵌め込み固定する場合に、スラストプレートがシャフトに食い込んだりする危険がある。その上側スラストプレート8が該段部10上に適切に嵌め込まれたか否かを判定することが極めて困難であるという課題があった。
【0006】
もし、上側スラストプレート8を幾分でも押し込み過ぎると軸受け面が噛み合いを生じたり、押し込みが緩いと軸線方向に余分な遊びが発生する。かかる課題は、上側スラストプレート8をシャフト4の端面と同一面まで押し込む際にも同様に存在する。もし、上側スラストプレート8を幾分でも押し込み過ぎると軸受け面が噛み合いを生じたり、押し込みが緩いと軸線方向に余分な遊びが発生するからである。このため上側スラストプレート8の嵌め込み制止位置を規定することが非常に困難であるという課題があった。
【0007】
かかる課題は、シャフトの段付き加工誤差、スラストプレート8の加工誤差、スリーブ突縁部5の加工誤差、更にはそれらの部品の組み立て誤差が総合的に積算して発生するため、スピンドルモータの所定の精度を得るためには、部品の仕上げ加工又はその組付け作業に、非常に多くの時間と経験が必要となるという課題があった。更にまた、治具を用いる場合、上記の様な所定の高い精度を出すには、治具自体の精度以外に、その取り付け位置又はその位置の加工更には必要部品が増加する等の課題もあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明はシャフト21と、該シャフト21が貫通しており該シャフトの面との間においてラジアル方向の動圧発生部を提供している孔30を有するスリーブ22と、該スリーブ22の孔30の上下部分に保持されており該上下部分の面との間においてスラスト方向の動圧発生部を提供している上下一対のスラストプレートと、を有している動圧流体軸受20を製造するための新規な手段を提供するものであり、特にシャフト21の下方部分の所定位置へ下側スラストプレート24を固定し精度出ししたシャフト21を用意すること、軸線方向に貫通する孔30であって前記シャフト21を受け入れる孔30を備えたスリーブ22を用意すること、該スリーブ22の孔30の一方からシャフト21を挿通し該孔30の他方からシャフト21の上方部分を突き出すこと、シャフト21の下方部分に固定された下側スラストプレート24を保持しつつ、スリーブ22の孔30の他方から突き出しているシャフト21の上方部分に上側スラストプレート23を密嵌すること、該上側スラストプレート23を下側スラストプレート24の方へ押圧し、上下のスラストプレート23、24をスリーブ22の上下面に対して隙間なく密着させ、これらのスリーブとスラストプレートとシャフトとを一体的に仮止めすること、スリーブ22を所定位置に固定しかつ下側スラストプレート24とシャフト21とを自由な状態に維持したまま、該シャフト21の上方部分を押圧し、上側スラストプレート23の位置を僅かに押し戻す逆押しを行い、下側スラストプレート24とスリーブ22との間に間隙Lを設けること、から成る。
【0009】
【作用】
本発明においては、初めにスリーブに対してシャフトと上下のスラストプレートとを取り付けかつ所定位置に仮止めした後に、一方のスラストプレートをシャフトに沿って逆押しし、これによって該スラストプレートを僅かに戻すことによりスラスト方向の動圧発生部の間隔を規定する。こうしてスリーブの寸法に対して相対的にスラストプレートの位置を特定する。このため、スラスト方向の動圧発生部の間隔を特定するに際し、各部品の加工誤差や、各部品の組つけ誤差等の影響を全く受けることなく、最も適した間隔を確実に得ることが出来、上下振動やぶれ等のない優れた特性の動圧流体軸受を提供することが出来る。
【0010】
【実施例】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら述べる。この発明の動圧流体軸受20(図6)は、図1に示すようなシャフト21と、図2に示すような孔30とくぼみ31、32と突縁部33とを有するスリーブ22と、図3に示すような上側スラストプレート23と、下側スラストプレート24(図1)と、により構成されている。これらの部品は、好ましくは、金属又は適当な合成樹脂によって構成されており、それらの各表面は所定の仕上げ精度に加工されている。
【0011】
本発明の例えばスピンドルモータに使用される動圧流体軸受20においては、スリーブ22の孔30と、そこを貫通するシャフト21と、の間においてラジアル方向の動圧を保持し、また、スリーブ22の突縁部33の上面即ちくぼみ31及び下面即ちくぼみ32と、これらのくぼみ31、32に対向する位置にあって前記シャフト21に中心部分が固定されている上側スラストプレート23及び下側スラストプレート24と、の間においてスラスト方向の動圧を保持している。
【0012】
より詳細には、これらのラジアル方向動圧発生部である孔30及びシャフト21、更にはスラスト方向動圧発生部であるスリーブ突縁部33のくぼみ31、32及びこれらに対向する上側スラストプレート23の下面、下側スラストプレート24の上面には、それぞれ対向するいずれかに動圧溝が設けてあり、これの溝にオイルが充填されており、そのオイルが円滑な軸受作用を提供している。
【0013】
図1に示すように、円形断面を有するシャフト21の下方部分の所定位置には、同様に円形断面を有する鍔状の下側スラストプレート24がそこに密嵌状態に固定保持されている。この下側スラストプレート24は、シャフト21に対して接着剤により接合することも、またはシャフト21と一緒に一体的に形成されることも可能である。シャフト21の所定位置に予め下側スラストプレート24を固定することにより、シャフトの位置決めひいては軸受全体の精度出しを行うためである。
【0014】
スリーブ22は概ね円柱形状を有しており、図2に示すようにその中央部分には該スリーブを上下に貫通している孔30が設けてある。この孔30の直径は、前記シャフト21の直径より幾分大きな寸法を有している。該孔30の上端部分及び下端部分であって該スリーブ22の上面及び下面には、好ましくはそれぞれ前記スラストプレート23、24の厚みと同様又はそれよりも幾分大きい寸法を有するくぼみ31、32が形成されている。これらのくぼみ31、32の直径は前記孔30の直径よりも大きく、該孔30と同一軸芯上に例えばざぐり等の手段によって形成されている。このため、これらのくぼみ31、32の間には、中央に孔30を有する突縁部33が形成されることになる。
【0015】
図4に示すように、下側スラストプレート24が取り付けられているシャフト21は、スリーブ22の下方部分から、該スリーブ22の孔30内へ挿入される。シャフト21は、該シャフト21に一体的に形成され又はそこに固定されている下側スラストプレート24が、スリーブ22の下側くぼみ32に完全に収納される位置まで押し込まれる。スリーブ22の孔30内に挿入されたシャフト21の面と、当該孔30の面とは、互い余分遊びを持つことなく自由に回転出来る寸法を有しており、これらはラジアル方向の動圧発生部を形成している。
【0016】
次に図5に示すように、シャフト21を受け入れたスリーブ22を、前記下側スラストプレート24を下側にした保持した状態で、スラストプレート受け部材40上へ搭載する。スラストプレート受け部材40は、金属又は剛性の樹脂により形成されており、その上面中央部分に隆起部41を有している。この隆起部41の中心部には前記シャフト21の下端部を受け入れるような穴42が設けてある。
【0017】
隆起部41の外径はスリーブ22のくぼみ32の直径よりも小さく、概ね下側スラストプレート24の外径と同一の寸法を有している。またその隆起部41の高さは、該隆起部41が前記下側スラストプレート24に接したときに、スリーブ22の下面がスラストプレート受け部材40に接することのないような高さを有していれば良い。一般にはこの隆起部41の高さは下側スラストプレート24の厚み寸法程度あればよいであろう。
【0018】
また穴42は、前記隆起部41の中心部分から下方に向かって伸びており、前記シャフト21の下端部が該穴の壁面に触れることなく自由に受け入れられるような直径及び深さを有している。図示の例ではこの穴42は盲穴になっているが、受け部材40の下方まで突き抜けていても良い。また、この受け部材40はその上面中央部分に隆起部41を形成する構成を取ることなく、受け部材40全体が隆起部41と同一の直径を有している円柱体により構成することも出来る。
【0019】
図4に示すシャフト21付きスリーブ22の下端を図5に示すようにスラストプレート受け部材40に搭載し、該シャフト21付きスリーブ22を安定状態に保持した後、スリーブ22の中央部分から上方に突き出しているシャフト21に、図3に示す円形断面を有する鍔状の上側スラストプレート23を密な状態にて嵌め込み、このスラストプレート23をスリーブ22の上側くぼみ31内に装着する。
【0020】
該上側くぼみ31内に装着された上側スラストプレート23はスラストプレート押圧部材50により押圧される。このスラストプレート押圧部材50は、金属又は剛性の樹脂により形成されており、その下面中央部分に隆起部51を有している。この隆起部51の中心部には前記シャフト21の上端部を受け入れるような穴52が設けてある。隆起部51の外径はスリーブ22のくぼみ31の直径よりも小さく、概ね上側スラストプレート23の外径と同一の寸法を有している。
【0021】
またその隆起部51の高さは、該隆起部51が前記上側スラストプレート23に接したときに、スリーブ22の上面がスラストプレート押圧部材50に接することのないような高さを有していれば良い。一般にはこの隆起部51の高さは上側スラストプレート23の厚み寸法程度またはそれより幾分大きい寸法を有すればよいであろう。また穴52は、前記隆起部51の中心部分から上方に向かって伸びており、前記シャフト21の上端部が該穴の壁面に触れることなく自由に受け入れられるような直径及び深さを有している。
【0022】
図示の例では、該穴52は押圧部材50の上方に突き抜けているが、スラストプレート受け部材40の穴42のように盲穴であっても良い。また、この押圧部材50はその下面中央部分に隆起部51を形成するという構成を取ることなく、押圧部材50全体が隆起部51と同一の直径を有している円柱体により構成することも出来る。
【0023】
スラストプレート押圧部材50を、油圧装置その他の公知の手段を使って、下方に押圧する。スラストプレート押圧部材50はその隆起部51を介して上側スラストプレート23を、スリーブ22を介して下側スラストプレート24の方へ押圧する。このためスリーブ22の下側くぼみ32と下側スラストプレート24、及びスリーブ22の上側くぼみ31と上側スラストプレート23の間には、突縁部33を挟んで間隙のない密着状態が得られる。
【0024】
この場合、下側スラストプレート24はシャフト21に予め固定されているので、実質的に、上側スラストプレート23が、シャフト21に沿って下側スラストプレート24に最も接近した位置まで押し下げられ、その位置に密な状態にて仮止めされかつ保持される。
【0025】
次いでこのシャフト21、スリーブ22、上下のスラストプレート23、24からなる仮止めされた軸受20を、スラストプレート受け部材40及びスラストプレート押圧部材50から取り外し、これを間隙形成装置60へ装着する。この間隙形成装置60は、前記スラストプレート受け部材40と同様に下側スラストプレート24を保持するスラストプレート保持部材61と、スリーブ22の下端部を保持するスリーブ保持部材62と、これらの保持部材61、62を互いに弾性的に連結する弾性部材63と、により形成されている。
【0026】
スラストプレート保持部材61は、金属又は剛性の樹脂により形成されており、その上面中央部分に隆起部65を有している。この隆起部65の中心部にはシャフト21の下端部を受け入れるような穴66が設けてある。隆起部65の外径はスリーブ22のくぼみ32の直径よりも小さく、概ね下側スラストプレート24の外径と同一の寸法を有している。またその隆起部65の高さは、該隆起部65が前記下側スラストプレート24に接したときに、スリーブ22の下面がスラストプレート保持部材61に接することのないような高さを有していれば良い。
【0027】
一般にはこの隆起部65の高さは下側スラストプレート24の厚み寸法程度あればよいであろう。また穴66は、前記隆起部65の中心部分から下方に向かって伸びており、前記シャフト21の下端部が該穴の壁面に触れることなく自由に受け入れられるような直径及び深さを有している。図示の例ではこの穴66は盲穴になっているが、保持部材61の下方まで突き抜けていても良い。
【0028】
該保持部材61は前記スリーブ22の直径よりも小さい直径を有している。この保持部材61はその上面中央部分に隆起部65を形成するという構成を取ることなく、保持部材61全体が隆起部65と同一の直径を有している円柱体により構成することも出来る。このような場合には、スラストプレート受け部材40とスラストプレート保持部材61とを同一の部材により形成することも可能である。なお、保持部材61は、シャフト21、下側スラストプレート24の万が一の落下防止具をなすと共に、シャフト21の案内を兼ねている。従って、必ずしも必要不可欠のものではないが備用することが望ましい。
【0029】
スリーブ保持部材62は、金属又は剛性の樹脂により形成されており、円筒壁部70と底壁部71とにより構成されている。該円筒壁部70の内壁面には段部72が形成されている。このため内壁面は、上方の直径の大きい第1内壁面73と、下方のこれよりも直径の小さい第2内壁面74とにより形成されている。
【0030】
ここで、第1内壁面73の内部直径はスリーブ22の外部直径とほぼ同様またはそれより幾分大きい直径となっており、該第1内壁面73がスリーブ22を遊びなく受け入れることが出来るようになっている。段部72はスリーブ22の外部直径よりも小さな直径を有する面を形成しており、この面にスリーブ22の下端部が受け止められるようになっている。第2内壁面74の内部直径は前記スラストプレート保持部材61の外部直径とほぼ同様またはそれより幾分大きい直径となっており、該第2内壁面74がスラストプレート保持部材61を遊びなく受け入れることが出来るようになっている。この保持部材61の下面とスリーブ保持部材62の底壁部71との間にはコイルばね、ゴム、等の弾性部材63が配置されている。弾性部材63により、保持部材61がたえず下側スラストプレート24に当接保持し、シャフト21を安定保持させることができる。
【0031】
図6に示すように、前記仮止めされた軸受20は間隔形成装置60に装着される。このため該仮止めされた軸受20のスリーブ22の下端部を間隔形成装置60の第1内壁面に沿って段部72まで落とし込む。この結果、この軸受20のスリーブ22の下面部分は円筒壁部70の段部72によって支持され、一方、シャフト1の下端部はスラストプレート保持部材61の中央の穴66内に受け入れられ、また下側スラストプレート24は、スラストプレート保持部材61の隆起部65によって保持される。ここでスリーブ22が段部72に接するときに保持部材61の隆起部65がスラストプレート24に接するような位置にあるように、弾性部材63は保持部材61を保持している。
【0032】
前記仮止めされた軸受20が適切に間隔形成装置60に装着された後、シャフト21の上端部を、油圧装置その他の公知の加圧装置により下方に向かって所定の力で押圧する。このためスリーブ22の上側くぼみ31に圧接されている上側スラストプレート23とシャフト21との圧接嵌合力に抗して、シャフト21は逆押しされてシャフト21は僅かに下方に移動する。シャフト21の下方移動に伴って該シャフト21に固定されている下側スラストプレート23がスリーブ22の下側くぼみ32内から僅かに下方に押し離され、該くぼみ32とスラストプレート24との間に所定長さLの間隔が形成される。
【0033】
この長さLは、スラスト方向動圧発生部である、上側スラストプレート23とスリーブ22の上側くぼみ31との間の間隔と、下側スラストプレート24とスリーブ22の下側くぼみ32との間の間隔との合計距離となる。この距離Lが、適正な値よりも大きいと、シャフト21が上下方向に振れ、適切な回転を得ることが出来ない。一方、この距離Lが、適正な値よりも小さいと、上下のスラストプレート23、24がスリーブ22に食い込んで、同様に適切な回転を得ることが出来ない。従って、このシャフトの逆押力は最適な距離Lを形成するように厳格に制御されている。
【0034】
シャフト21の上端部を逆押しする際に、上側スラストプレート23がシャフト21の面をかじり、これによりシャフトにむしれが発生するという危険がある。その場合には、シャフト21の上端部に、超音波押圧装置により微振動を加えながら該シャフト21を逆押しすることにより極めて円滑の逆押作業が出来、これによりかかる危険を防止することが出来るのである。
【0035】
図7〜図9は、本件発明の動圧流体軸受製造方法を使用して組み立てたスピンドルモータの具体例を示している。図7に示すスピンドルモータ80では、シャフト21の下端部がブラケット81に、またシャフト21の上端部がトップカバー82に固定されており、このブラケット81に取り付けられたステータ83と、回転するスリーブ22に取り付けられたハブ84に固定されたロータマグネット85とが作用して、該ハブ84に搭載されたデイスク等を上下動させることなく、回転させることが出来るのである。
【0036】
図8に示すスピンドルモータ86では、シャフト21の下端部がブラケット81に、またシャフト21の上端部が図示していないトップカバーに固定されており、このブラケット81に取り付けられたステータ83と、回転するスリーブ22に取り付けられたロータマグネット85とが作用して、同様にスリーブ22に取り付けられたハブ84に搭載されたデイスク等を上下動させることなく、回転させることが出来るのである。
【0037】
図9に示すスピンドルモータ90では、シャフト21の上端部がハブ84に固定され、又はシャフト21とハブ84とが一体的に形成され、スリーブ22がブラケット81に固定され、又はスリーブ22とブラケット81とが一体的に形成され、スリーブ22に装着されたステータ83と、ハブ84に装着されたロータマグネット85とが作用して、ハブ84に搭載されたデイスク等を上下動させることなく、回転させることが出来るのである。なお、符号91は、油漏れ等を防止するためのキャップであり、必要に応じて装着することが出来る。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、スラスト方向の動圧発生部に適性距離を形成する場合、各部品が持つ加工公差は一切関係することなく、その公差の累積を考慮する必要がなく、常に一定の距離を得ることが出来るのである。このため、シャフトを非常に高速度で回転してもシャフトが上下方向へ対して振動運動を発生するということがなく極めて円滑で高精度なかつ非常に安定した特性を有する動圧流体軸受を提供することができる。更に、部品の加工公差が軸受の性能に関係してこないため、各部品の製造価格が安くなる。また、このように高精度な安定した作動を提供することができるため、とくにミクロン単位に制御されたハイテク機器の軸受に有効に使用出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本件発明のシャフトと該シャフトに組みつけた下側スラストプレートとを示す図である。
【図2】本件発明のスリーブを示す側面図である。
【図3】本件発明の上側スラストプレートを示す側面図である。
【図4】図2のスリーブに図1のシャフトを組みつけ軸受を構成している状態を示す図である。
【図5】図4に示す軸受の下側をスラストプレート受け部材にて支持し、上側を新たに上側スラストプレートを装着した後、スラストプレート押圧部材にて押圧し、スリーブとシャフトと上下のスラストプレートとを互いに仮止めしている状態を示している図である。
【図6】仮止めした軸受のシャフトを逆押しする工程を示している図である。
【図7】本発明の方法にて製造した動圧流体軸受を備えたシャフト固定型のスピンドルモータを示す図である。
【図8】本発明の方法にて製造した動圧流体軸受を備えたシャフト固定型のスピンドルモータの別の例を示す図である。
【図9】本発明の方法にて製造した動圧流体軸受を備えたシャフト回転型のスピンドルモータを示す図である。
【図10】公知の動圧流体軸受を示す図である。
【図11】公知の動圧流体軸受を製造する工程を示す図である。
【図12】公知の動圧流体軸受を製造する別の工程を示す図である。
【符号の説明】
20 軸受
21 シャフト
22 スリーブ
23 上側スラストプレート
24 下側スラストプレート
30、42、52、66 孔
31 上側くぼみ
32 下側くぼみ
33 突縁部
40 スラストプレート受け部材
41、51、65 隆起部
50 スラストプレート押圧部材
60 間隔形成装置
61 スラストプレート保持部材
62 スリーブ保持部材
63 弾性部材
70 円筒壁部
71 底壁部
72 段部
80、86、90 スピンドルモータ
81 ブラケット
83 ステータ
84 ハブ
85 ロータリマグネット
Claims (9)
- シャフト21と、該シャフト21が貫通しており該シャフトの面との間においてラジアル方向の動圧発生部を提供している孔30を有するスリーブ22と、該スリーブ22の孔30の上下部分に保持されており該上下部分の面との間においてスラスト方向の動圧発生部を提供している上下一対のスラストプレートと、を有している動圧流体軸受20を製造する方法において、
シャフト21の下方部分の所定位置へ下側スラストプレート24を固定し精度出ししたシャフト21を用意すること、
軸線方向に貫通する孔30であって前記シャフト21を受け入れる孔30を備えたスリーブ22を用意すること、
該スリーブ22の孔30の一方からシャフト21を挿通し該孔30の他方からシャフト21の上方部分を突き出すこと、
シャフト21の下方部分に固定された下側スラストプレート24を保持しつつ、スリーブ22の孔30の他方から突き出しているシャフト21の上方部分に上側スラストプレート23を密嵌すること、
該上側スラストプレート23を下側スラストプレート24の方へ押圧し、上下のスラストプレート23、24をスリーブ22の上下面に対して隙間なく密着させ、これらのスリーブ22とスラストプレート23、24とシャフト21とを一体的に仮止めすること、
スリーブ22を所定位置に固定しかつ下側スラストプレート24とシャフト21とを自由な状態に維持したまま、該シャフト21の上方部分を押圧し、上側スラストプレート23の位置を僅かに押し戻す逆押しを行い、下側スラストプレート24とスリーブ22との間に間隙Lを設けること、
から成ることを特徴とする動圧流体軸受の製造方法。 - 該間隔Lがスリーブ22の上下部分に存するスラスト方向動圧発生部の合計寸法に等しいことを特徴とする請求項1の動圧流体軸受の製造方法。
- 逆押し工程の際に、スリーブ22を固定している部材と下側スラストプレート24と保持している部材とが弾性部材63を介して連結されていることを特徴とする請求項1又は2の動圧流体軸受の製造方法。
- 逆押し工程の際に、シャフト21を超音波振動押圧装置にて押し込むことを特徴とする請求項3の動圧流体軸受の製造方法。
- 下側スラストプレート24がシャフト21へ密嵌固定されていることを特徴とする請求項1の動圧流体軸受の製造方法。
- 下側スラストプレート24がシャフト21と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1の動圧流体軸受の製造方法。
- スリーブ22が孔30の上下位置であって、該スリーブ22の上下面において互いに近接する方向に向かってくぼみ31、32を有していることを特徴とする請求項1〜6に記載のいずれか1の動圧流体軸受の製造方法。
- 上側スラストプレート23をシャフト21に仮止めする際に、軸受20の下側が、該シャフト21の下側部分を遊嵌し、下側スラストプレート24を保持するスラストプレート受け部材40によって保持されていることを特徴とする請求項7の動圧流体軸受の製造方法。
- シャフト21を逆押しする際に、
軸受20の下側が、該シャフト21の下側部分を遊嵌し、下側スラストプレート24を保持するスラストプレート保持部材61によって保持され、
スリーブ22の下方部分がスリーブ保持部材62の内壁面に設けた段部72に保持されており、
スリーブ22の側面がスリーブ保持部材62の段部72の上方の内壁面内に支持されかつスラストプレート保持部材61の側面がスリーブ保持部材62の段部72の下方の内壁面内に支持されており、スラストプレート保持部材61とスリーブ保持部材62とが弾性部材63によって弾性連結されていることを特徴とする請求項8の動圧流体軸受の製造方法。
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