JP3597315B2 - 汚水処理装置の生物脱臭・脱窒素方法及びその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粉砕厨芥を含む生活雑排水や屎尿排水等を処理する汚水処理装置に関し、詳しくは汚水処理装置の嫌気処理槽内で発生する悪臭ガスの生物脱臭・脱窒素方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の生物脱臭は、汚水処理装置の臭気を嫌気処理槽の外部に設置した生物脱臭装置で吸引し、吸気を反応槽内に導入し希薄な臭気とする第1工程と希薄な臭気に新鮮な空気を反応槽内に導入し、希薄な臭気を更に薄めて反応槽外へ取り出す第2工程との2段階で脱臭している。
【0003】
又、脱窒素は嫌気分解槽と好気処理槽と処理水槽を有する浄化装置に於いて、処理水槽の処理水の一部を嫌気分解槽に返送して脱窒素を行っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
生物脱臭は悪臭の成分である硫化水素、アンモニア、アミン類、メチルメルカプタン、硫化メチル、二硫化メチル等を含有したガスが水と接触すると悪臭成分は水に溶解し、水に溶解した悪臭成分は硫黄酸化細菌、硫黄細菌、硝酸菌、亜硝酸菌等の微生物と接触し、微生物は悪臭成分を分解しエネルギー源として利用するもので、その装置としては、担体に散水パイプより散水し、悪臭ガスが担体に沿って通過する構造と成っている。そして多孔質の担体として、ポリプロピレン製の繊維や多孔質セラミックスが使用されている。
しかし、脱臭装置を汚水処理装置と別途に設置すると、汚水処理装置が拡大化し、広い設置スペースを必要とすると共に、装置費用及びそれに伴うメンテナンスも必要となる。
【0005】
又、汚水中の窒素、リン等の栄養塩濃度が増加すると、これを利用して光合成を行う藻類や水生植物が異常に増殖する富栄養化現象が生じ、湖のアオコや海の赤潮等の発生する原因ともなっている。
そこで、従来は上記の様な方法で窒素の除去を行っているが、この方法は処理水槽の中の処理水の一部を嫌気分解槽内に返送し、嫌気分解槽内に繁殖する脱窒素菌により、嫌気分解槽に返送された処理水の亜硫酸イオンや硝酸イオン中の酸素が取られ、この還元作用によって、亜硫酸イオンや硝酸イオン中の窒素はNガスとして大気へ放出され、排水中の無機性窒素の除去が行われるものである。
しかし、この方法では嫌気分解槽内の脱臭機能を有するものではない。
【0006】
上記点より、本発明は生物脱臭を利用し、従来の生物脱臭装置の設置による汚水処理装置の拡大化を防止できると共に、より簡易な方法及び装置で効率よく嫌気処理槽内の脱臭機能を発揮できると共に、併わせて好気処理槽より返送された硝化処理水中の窒素の除去もできる汚水処理装置の生物脱臭・脱窒素方法及びその装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明方法は、嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面付近の下方に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部より水面の上方まで多孔質担体を充填し、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を返送し散水することにより生物脱臭と窒素除去を併わせて行うことを特徴とするものである。
【0008】
又、本発明方法は、嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面付近の上方に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部に多孔質担体を充填し、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を返送し散水することにより生物脱臭と窒素除去を併せて行うことを特徴とするものである。
【0009】
又、本発明方法は、嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部に多孔質担体を充填し、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を返送し散水することにより生物脱臭と窒素除去を併せて行うことを特徴とする
【0010】
又、本発明装置は、嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面付近の下方に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部より水面の上方まで多孔質担体が充填され、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を散水する返送手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0011】
又、本発明装置は、嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面付近の上方に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部に多孔質担体が充填され、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を散水する返送手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
又、本発明装置は、嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部に多孔質担体が充填され、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を散水する返送手段が設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
依って、本発明方法及び装置は、嫌気処理槽内の汚水中の悪臭ガスは水面上より上昇するが、水面付近の下方、水面付近の上方又は水面に横設された担体流出防止用網状体の上部に水面の上方に多孔質担体が充填され、この多孔質担体の充填層の上部より好気処理槽の硝化処理水の一部が返送され散水されるため、多孔質担体は水分を吸収し湿潤状態になり、この多孔質担体に沿って悪臭ガスが通過すると多孔質担体の微細気孔中に硫黄酸化細菌、硫黄細菌、亜硝酸菌等の微生物が棲息・繁殖して微生物が多量に付着し、この微生物によりアンモニア。アミン類、硫化水素等の悪臭の成分が分解し、微生物はエネルギー源として吸収し、増殖する。依って、分解された悪臭成分は無臭状態となる。
【0014】
又、脱臭と共に好気処理槽で処理水中に残存しているアンモニア態窒素を完全に亜硝酸、硝酸態窒素へと硝化された硝化処理水の一部が嫌気処理槽の多孔質担体上に散水されると、嫌気処理槽に繁殖する脱窒素菌により硝化処理水の亜硝酸イオンや硝酸イオン中の酸素が取られ、この還元作用によって、亜硝酸イオンや硝酸イオン中の窒素はNガスとして大気へ放出され窒素の除去が行われる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は本発明方法及び装置の一実施の形態を示し、担体流出防止用網状体を水面付近の下方に横設した場合の構成図、図2は同上の担体流出防止用網状体を水面付近の上方に横設した場合の構成図、図3は同上の担体流出防止用網状体を水面に横設した場合の構成図である。
【0016】
而して、図中1は汚水処理装置の嫌気処理槽であり、嫌気処理槽1内の水面付近の下方(図1に示す)、又は水面付近の上方(図2に示す)或いは水面(図3に示す)に担体流出防止用網状体2が横設されている。
担体流出防止用網状体2は、水面付近の下方、水面付近の上方或いは水面の全面に張設してもよく、又一部に張設してもよい。担体流出防止用網状体2を水面又は水面付近に設置するのは脱臭が効率的に行われるためである。
【0017】
担体流出防止用網状体2上に多孔質担体3が水面の上方に充填され充填層が形成されている。担体流出防止用網状体2が水面付近の下方に横設されたものは、水中より水面上まで多孔質担体3が充填されている。
多孔質担体3は、セル数20〜50ケ/インチ、大きさ10〜20mm角、見掛け比重0.95〜1.1のポリウレタンフォームより成っているが、これに限定されるものではなく、多孔質セラミック、樹脂成形品、繊維、樹脂発泡品、多孔石等でもよい。
【0018】
多孔質担体3は、水分を吸収すると悪臭ガスの通過により微細気孔中に硫黄酸化細菌、硫黄細菌、硝酸菌、亜硝酸菌等の微生物を担持する。
4は嫌気処理槽1に後続する好気処理槽であり、好気処理槽4では嫌気処理済みの処理水が好気微生物の働きにより、処理水中に残存しているアンモニア態窒素が亜硝酸、硝酸態窒素へと硝化処理水される。
【0019】
5は好気処理槽4より硝化処理水の一部をポンプ6で嫌気処理槽1上へ返送する返送管であり、返送管5の嫌気処理槽1上の部分には下向きに多数の孔が穿設され散水可能となっている。
尚、図中7は汚水流入管であり、汚水を嫌気処理槽1内に導入する。
8は嫌気処理槽1の処理済水を好気処理槽4へ導入する移流管である。
【0020】
【発明の効果】
本発明に依れば、嫌気処理槽で悪臭ガスは多孔質担体に棲息・繁殖する微生物によりその成分が分解され、特に好気処理槽の硝化処理水の一部を散水することにより多孔質担体のみでは除去の不可能な硫化メチル等の悪臭成分までも除去でき無臭状態で嫌気処理槽外へ排気される。
又、脱臭と併せて好気処理槽で硝化処理水中の窒素も除去されるから、排水されても富栄養化現象が生じることもなく、自然環境の保護にも寄与し得る。
又、別途に生物脱臭装置を嫌気処理槽外に設ける必要がなく、設備費が軽減でき、又装置もコンパクトとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法に依る装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】本発明方法に依る装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図3】本発明方法に依る装置の一実施の形態を示す構成図である。
【符号の説明】
1 嫌気処理槽
2 担体流出防止用網状体
3 多孔質担体
4 好気処理槽
5 返送管
6 ポンプ
7 汚水流入管
8 移流管

Claims (6)

  1. 嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面付近の下方に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部より水面の上方まで多孔質担体を充填し、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を返送し散水することにより生物脱臭と窒素除去を併せて行うことを特徴とする汚水処理装置の生物脱臭・脱窒素方法。
  2. 嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面付近の上方に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部に多孔質担体を充填し、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を返送し散水することにより生物脱臭と窒素除去を併せて行うことを特徴とする汚水処理装置の生物脱臭・脱窒素方法。
  3. 嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部に多孔質担体を充填し、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を返送し散水することにより生物脱臭と窒素除去を併せて行うことを特徴とする汚水処理装置の生物脱臭・脱窒素方法。
  4. 嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面付近の下方に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部より水面の上方まで多孔質担体が充填され、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を散水する返送手段が設けられていることを特徴とする汚水処理装置の生物脱臭・脱窒素装置。
  5. 嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面付近の上方に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部に多孔質担体が充填され、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を散水する返送手段が設けられていることを特徴とする汚水処理装置の生物脱臭・脱窒素装置。
  6. 嫌気処理槽及び嫌気処理槽に後続する好気処理槽を有する汚水処理装置に於いて、前記嫌気処理槽の水面に担体流出防止用網状体が横設され、この担体流出防止用網状体の上部に多孔質担体が充填され、この多孔質担体の充填層に上部より前記好気処理槽の硝化処理水の一部を散水する返送手段が設けられていることを特徴とする汚水処理装置の生物脱臭・脱窒素装置。
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