JP2020028823A - 水処理装置 - Google Patents

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幸夫 大原
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Abstract

【課題】 硝化処理及び脱窒処理される処理水の溶存酸素濃度の管理を容易に行うことができる水処理装置を提供する。【解決手段】処理水に含まれるアンモニア性窒素を硝化する硝化処理が行なわれる硝化槽と、硝化槽において硝化処理された処理水を受け入れ、該受け入れた処理水に含まれる硝酸性窒素を還元する脱窒処理が行なわれる脱窒槽と、そして脱窒槽に受け入れられる又は受け入れられた処理水に含まれる溶存酸素濃度を低下させる溶存酸素低下手段と、を備えてなる水処理装置である。【選択図】図3

Description

本発明は、水処理装置に関し、より詳細には、処理水に含まれるアンモニア性窒素を硝化処理及び脱窒処理によって除去する水処理装置に関する。
以前から、処理水に含まれるアンモニア性窒素を硝化処理及び脱窒処理によって除去し浄化する水処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1は、排水中の窒素を除去する生物学的窒素除去(生物学的脱窒)即ち、『嫌気性細菌である脱窒菌の無酸素状態における硝酸呼吸を利用して、窒素を除去するものである。生物学的脱窒においては、まず、排水を好気条件下で硝化処理して排水中のアンモニア態窒素を亜硝酸態窒素や硝酸態窒素とする。(亜硝酸態窒素や硝酸態窒素は、単に硝酸態窒素又は硝酸と呼ばれることもある。)続いて、硝化処理された処理水に、メタノールなどの水素供与体を添加して無酸素状態にすることにより、脱窒処理を行う。』(特許文献1の発明の詳細な説明中の段落番号0002)ことに関し、『流動床式の窒素含有排水処理工程を改善する』(特許文献1の要約の課題)ためになされた発明が開示されている。具体的には、『窒素含有排水に含まれるアンモニア態窒素や有機態窒素を硝化菌により硝酸態窒素や亜硝酸態窒素へと酸化する硝化工程と、硝化工程の処理水に水素供与体を添加することでその処理水を嫌気条件下に晒し、脱窒菌によって硝酸態窒素等を窒素へと還元して窒素を除去する脱窒工程と、脱窒工程において残留した水素供与体を好気性微生物により分解する再曝気工程とを有し、脱窒工程において第1の孔を有する多孔質からなる第1の流動担体を被処理水中に流動させ、再曝気工程において第1の孔より大きい第2の孔を有する多孔質からなる第2の流動担体を被処理水中に流動させ、第1の孔は、脱窒菌が棲息しうると共に脱窒菌が第1の流動担体の奥深くに入り込まないように形成され、第2の孔は、脱窒菌を捕食する原生動物が棲息しうるように形成される。』(特許文献1の要約の解決手段)という窒素含有排水の処理装置が開示されている。
かかる窒素含有排水の処理装置によれば、『脱窒工程において孔径の小さな流動担体を採用することにより、脱窒菌が担体の奥深くまで入り込むことが困難になると共に、担体内部への酸化態窒素および水素供与態の拡散が起こり難くなる。このため、ガス発生に伴う担体の浮上や流動不良が起こり難くなり、低い攪拌動力でも良好な担体流動を確保することができ、結果として、脱窒能力を安定的に持続させることができる。・・・・・脱窒工程後の工程において、脱窒菌を捕食する原生動物が棲息しうる大きさの孔を備える多孔質からなる第2の流動担体を、再曝気槽に流動させるため、このような原生動物を担体に棲息させることができる。すると、脱窒槽から流出し分散した脱窒菌を、この原生動物が捕食するため、脱窒菌由来の汚泥発生量が大きく低減することになる。さらに、第2の流動担体から剥落するフロックは、これが比較的粗大であるため、汚泥の凝縮性・沈降性が大きく向上する。従って、SS除去設備における凝集剤の量を減らすことができ、沈殿槽の大きさを小さく抑えることができる。』(特許文献1の発明の詳細な説明中の段落番号0009〜0010)というものである。
特開2007−296499号公報(例えば、要約、発明の詳細な説明中の段落番号0001〜0010、第1図等)
特許文献1に開示の窒素含有排水の処理装置においては、処理水(特許文献1においては被処理水)が、好気条件の硝化処理を受けた後、嫌気条件の脱窒処理がなされるものであるが、硝化処理は十分な溶存酸素を要するのに対し、脱窒処理は溶存酸素がほぼ存在しない環境を要する。このように硝化処理と脱窒処理とでは好適な溶存酸素濃度が大幅に異なるため、これら両処理を続けて受ける処理水の溶存酸素濃度の管理は難しかった。
そこで、本発明では、硝化処理及び脱窒処理される処理水の溶存酸素濃度の管理を容易に行うことができる水処理装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上述の課題を解決するため鋭意研究の結果、十分な溶存酸素を要する硝化処理を受けた処理水をそのまま脱窒処理しようとすると、硝化処理された処理水が多くの溶存酸素を有することから、そのままでは脱窒処理が効率的に進まないことを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の水処理装置(以下「本装置」という。)は、処理水に含まれるアンモニア性窒素を硝化する硝化処理が行なわれる硝化槽と、硝化槽において硝化処理された処理水を受け入れ、該受け入れた処理水に含まれる硝酸性窒素を還元する脱窒処理が行なわれる脱窒槽と、そして脱窒槽に受け入れられる又は受け入れられた処理水に含まれる溶存酸素濃度を低下させる溶存酸素低下手段と、を備えてなる水処理装置である。
本装置は、硝化槽と脱窒槽と溶存酸素低下手段とを備えてなる。
硝化槽は、アンモニア性窒素を含有する処理水を受け入れ、該処理水に含まれるアンモニア性窒素を硝化する硝化処理を行なう。この硝化処理は、アンモニア性窒素を硝化菌により硝酸態窒素や亜硝酸態窒素へ酸化するものである。
脱窒槽は、硝化槽において硝化処理された処理水を受け入れ、該受け入れた処理水に含まれる硝酸性窒素(硝酸態窒素や亜硝酸態窒素)を還元する脱窒処理を行なう。
そして、溶存酸素低下手段は、脱窒槽に受け入れられる処理水又は脱窒槽に受け入れられた処理水に含まれる溶存酸素濃度を低下させるものであり、特に限定されるものではないが、一例としては、処理水に含まれる溶存酸素を生物が消費するもの、処理水の温度を上昇させて溶存酸素を減少させるもの、処理水の圧力を減少させて溶存酸素を減少させるもの等を挙げることができる。脱窒槽に受け入れられる処理水とは、脱窒槽に受け入れられる前の処理水をいい、脱窒槽に受け入れられた処理水とは、脱窒槽に既に受け入れられた後の処理水をいう。溶存酸素低下手段は、溶存酸素低下手段を備えない場合に比して、脱窒槽に受け入れられる処理水又は脱窒槽に受け入れられた処理水に含まれる溶存酸素濃度を低下させるので、脱窒槽中の処理水の溶存酸素濃度を低下させ、嫌気下で脱窒処理を効果的に行うことができる。
本装置においては、溶存酸素低下手段が、処理水に含まれる溶存酸素を生物が消費するもの(以下「酸素生物消費本装置」という。)であってもよい。
溶存酸素低下手段は、上述の如く、脱窒槽に受け入れられる処理水又は脱窒槽に受け入れられた処理水に含まれる溶存酸素濃度を低下させるものであればよいが、処理水に含まれる溶存酸素を生物が消費することで該処理水に含まれる溶存酸素濃度を低下させるようにすれば、該処理水に該生物を接触させるという簡単な構成により溶存酸素低下手段を構成できる。
酸素生物消費本装置においては、前記生物が、貧酸素下において硝酸性窒素を窒素にまで還元する能力を有する脱窒菌であってもよい。
酸素生物消費本装置において処理水に含まれる溶存酸素を消費する生物としては、脱窒処理に悪影響を与えないものや、本装置により処理された処理済み水に悪い成分が残留しないものが好ましく、例えば、貧酸素下において硝酸性窒素を窒素にまで還元する能力を有する脱窒菌を挙げることができる。
とりわけ貧酸素下において硝酸性窒素を窒素にまで還元する能力を有する脱窒菌とすれば、かかる脱窒菌が脱窒槽に移動しても脱窒処理を行うことができるものであるので、脱窒処理を妨げることがない。
酸素生物消費本装置においては、前記生物が、担体に担持されているもの(以下「担体使用本装置」という。)であってもよい。
こうすることで、処理水に含まれる溶存酸素を該処理水に接触して消費することで該処理水の溶存酸素濃度を低下させる生物を担体に付着させ担持できるので、該生物を確実に保持することができ、該生物を該処理水に接触させ該処理水の溶存酸素濃度を確実に低下させることができる。
担体としては、少なくとも必要な量の該生物の活性を保ったまま、該生物を該担体に担持できるものを広く用いることができ、一例としては、新光ナイロン株式会社製の商品名「ヘチマロン」、蠣ガラ、塊状セラミック、ハニカムチューブ、ラッシヒリング等を挙げることができる。
また、該生物が担持された該担体は、固定床方式と流動床方式とのいずれの方式とされてもよい。
担体使用本装置においては、脱窒槽が、前記生物を担持した前記担体が存する担体領域と、前記生物を担持した前記担体が存しない非担体領域と、を含んでなり、硝化槽から脱窒槽へ流入した処理水が、担体領域を通過した後、非担体領域に進入するもの(以下「担体領域本装置」という。)であってもよい。
脱窒槽が、前記生物を担持した前記担体が存する担体領域と、前記生物を担持した前記担体が存しない非担体領域と、を含む。そして、硝化槽から脱窒槽へ流入する処理水が、担体領域を通過した後、非担体領域に進入することにより、担体領域を通過する際、処理水の溶存酸素濃度を担体に担持された生物が消費し低下させるので、非担体領域の溶存酸素濃度を低く保持することができ、非担体領域における脱窒処理を効果的に進めることができる。
担体領域本装置においては、担体領域が、脱窒槽内に存する処理水の液面に沿って形成され、非担体領域が、担体領域の下方に存するものであり、硝化槽から脱窒槽に受け入れられる処理水が、担体領域の上方から注入されるものであってもよい。
こうすることで脱窒槽が含む担体領域と非担体領域とのうち、担体領域が、脱窒槽内に存する処理水の液面に沿って形成され、非担体領域が、担体領域の下方に形成される。そして、硝化槽から脱窒槽に受け入れられる処理水が、担体領域の上方から注入され、担体領域を通過した後、非担体領域に進入する。これによって、担体領域を脱窒槽内の処理水の液面に沿って形成し、処理水を担体領域の上方から注入するという簡単な構成により、硝化槽から脱窒槽へ流入する処理水を担体領域を通過させて非担体領域に進入させることができる。
担体領域本装置においては、前記担体が、脱窒槽内に存する処理水に一部又は全部が浸漬されているものであってもよい。
こうすることで、前記生物を担持する前記担体の少なくとも一部が、脱窒槽内の処理水に浸漬されるので(担体領域の少なくとも一部が、脱窒槽内の処理水中に形成される。)、前記担体の該少なくとも一部に処理水を接触させることで該少なくとも一部に担持された前記生物の活性を保つことができると共に、空中に配設した担体領域を処理水が流下する場合に比し、担体領域の処理水の滞留時間を増加させることで担体領域を通過した処理水の溶存酸素濃度を確実に低下させることができる。
本装置においては、脱窒槽において脱窒処理された処理水が、硝化槽に返送されるものであってもよい。
こうすることで、脱窒槽において有機物を添加する場合は、残留している有機物を硝化槽において分解することができると共に、脱窒槽内の処理水に含まれる未除去の窒素分を硝化処理し脱窒処理によって除去することができる。
本装置においては、硝化槽中の処理水を濾過する濾過手段をさらに備えるもの(以下「濾過具備本装置」という。)であってもよい。
こうすることで硝化槽中の処理水に含まれる浮遊物質(SS)を濾過手段により濾過し除去できる。
濾過手段としては、硝化槽中の処理水に含まれる浮遊物質(SS)を所望程度除去できるものであれば様々なものを用いることができるが、例えば、株式会社クボタ社製の平膜式(商品名「液中膜」)や住友電工株式会社の中空糸式「中空糸モジュール」等のような微細な浮遊物質を濾過し除去するのに適したものを好適に用いることができる。
濾過具備本装置においては、濾過手段により濾過された処理水を、本装置から処理済み水として排出するものであってもよい。
上述の如く、濾過手段により濾過された処理水は、硝化槽中の処理水から浮遊物質(SS)が除去されたものであると共に、硝化処理により毒性の強いアンモニア性窒素が減少しているので、本装置による浄化された処理済み水として排出するようにできる。とりわけ、脱窒槽において脱窒処理された処理水を硝化槽に返送する場合であれば、脱窒槽から硝化槽に返送される処理水に含まれる硝酸性窒素(硝酸態窒素や亜硝酸態窒素)分が減少しているので、硝化槽中の処理水中の硝酸性窒素(硝酸態窒素や亜硝酸態窒素)濃度を低下させ、濾過手段により濾過された処理水中の窒素分濃度を減少させることができる。従って、該濾過された処理水を本装置による浄化された処理済み水とすれば、本装置による浄化された処理済み水中の窒素分濃度及び浮遊物質(SS)を減少させることができる。
本装置においては、硝化槽中の処理水に空気を溶解させる空気溶解手段を備えるもの(以下「空気溶解手段具備本装置」という。)であってもよい。
硝化槽で行われる硝化処理は、アンモニア性窒素を硝化菌により硝酸性窒素(硝酸態窒素や亜硝酸態窒素)へ酸化するものであり、溶存酸素濃度が高い方が硝化処理が促進され好ましい。このため硝化槽中の処理水に空気を溶解させる空気溶解手段により、硝化槽中の処理水中の溶存酸素濃度を高く維持するようにしてもよい。
なお、空気溶解手段は、硝化槽中の処理水に空気を溶解させるものを広く用いることができ、例えば、曝気、エアレーション及び散気等を行うものを挙げることができる。
空気溶解手段具備本装置においては、硝化槽が、底面と、該底面から立ち上がるように形成された側面と、を含む有底の器状をなし、空気溶解手段が、該底面の縁部の少なくとも一部に沿って空気を吹き出すものであってもよい。
硝化槽は、底面と、該底面から立ち上がるように形成された側面と、を含み、底面の上方に形成された空間が該側面によって取り囲まれることで有底の器状をなすことが多い。この場合、該底面の縁部(即ち、底面と側面との境に近い部分)は、硝化槽中の処理水がよどみやすく浮遊物質(SS)等が蓄積しやすいため、空気溶解手段が、該底面の縁部の一部又は全部に沿って空気を吹き出して処理水を流通させ、浮遊物質(SS)等の蓄積を防止又は減少させるようにしてもよい。
空気溶解手段具備本装置においては、硝化槽中の処理水を濾過する濾過手段をさらに備えるものであり、濾過手段の濾過面が硝化槽中の処理水に浸漬されるものであり、空気溶解手段が、該濾過面に気泡が接触するように、空気を吹き出すものであってもよい。
硝化槽中の処理水を濾過する濾過手段を備えることで、上述の如く、硝化槽中の処理水に含まれる浮遊物質(SS)を濾過手段により濾過し除去できる。そして、ここでは濾過手段の濾過面が硝化槽中の処理水に浸漬され、該濾過面により浮遊物質(SS)を濾過し除去するが、該濾過面には浮遊物質(SS)等の濾残が付着し目詰まり等を生じることがある。このため空気溶解手段が、該濾過面に気泡を接触させ、該濾過面の濾残を除去するよう、空気を吹き出すようにしてもよい。
本発明は、本装置を含む魚介類の養殖設備(以下「本養殖設備」という。)を提供する。
即ち、本養殖設備は、魚介類の養殖槽と、該養殖槽中の水を処理水として処理する本装置と、を含んでなる魚介類の養殖設備である。
本養殖設備は、アンモニア性窒素を排出する魚介類の養殖槽中の水を処理水として本装置が処理するので、溶存酸素低下手段により脱窒槽に受け入れられる又は受け入れられた処理水に含まれる溶存酸素濃度を低下させ、脱窒槽中の処理水の溶存酸素濃度を低下させることで嫌気下で効果的に脱窒処理を行うことにより、魚介類が排出したアンモニア性窒素を、硝化槽において硝化処理し、脱窒処理により窒素ガスとして効果的に除去できる。
ここにいう本養殖設備にて養殖される魚介類としては、アンモニア性窒素を排出するものを広く含むが、例えば、鯛、フグ、うなぎ、ブリ、ハマチ、マグロ、コイ、フナ、ナマズ、チョウザメ等の魚類、イカ、タコ、エビ、カニ、カエル、亀等を例示的に挙げることができる。
本養殖設備においては、本装置による処理済みの水を、前記養殖槽に注入するものであってもよい。
こうすることで、アンモニア性窒素を排出する魚介類の養殖槽中の水を本装置が処理し、本装置により処理されアンモニア性窒素が低減された処理済みの水を再び該養殖槽に注入し水資源として再利用することにより、本養殖設備が形成する系外から養殖槽に注入する水量を減少させると共に、養殖槽からの廃水の排出量を減少させることができる。とりわけ、本養殖設備を定常的に運転している状態において、魚介類の養殖槽から抜き出した水の全量を本装置にて処理し、本装置により処理された処理済みの水の全量を再び該養殖槽に注入し水資源として再利用するようにすれば、環境負荷の小さないわゆる閉鎖系での養殖を可能ならしめる。
本発明の一実施形態に係る水処理装置(本装置)を含む魚の養殖設備(本養殖設備)を示す概念図である。 水処理装置の水平断面図(図1中のAーA断面図)である。 水処理装置の垂直断面図(図2中のCーC断面図)である。 水処理装置(実施例装置)による溶存酸素濃度変化(実施例)と、固定床を取り外した水処理装置(比較例装置)による溶存酸素濃度変化(比較例)と、を示す表である。 図4の溶存酸素濃度変化を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。しかしながら、これらによって本発明は何ら制限されるものではない。
図1は、本発明の一実施形態に係る水処理装置101を含む魚の養殖設備201を示す概念図である。図1を参照して、魚の養殖設備201について説明する。
魚の養殖設備201は、魚203を水205の中で養殖する養殖槽211(図1では養殖槽211の断面を示している。)と、養殖槽211の最下部(養殖槽211の下部は、頂点を下にした円錐形状をなしており、該頂点の位置)から水205を抜き出し養殖槽211に戻る循環ライン206a、206bに水205を循環させる循環ポンプ202a、202bと、循環ライン206a、206bを循環する水205に空気を溶解させる空気溶解装置204a、204bと、養殖設備201の水205を浄化する水処理装置101と、養殖槽211の該最下部から水205を抜き出し水処理装置101に移送する養殖水抜出ポンプ221と、水処理装置101に空気を圧送するエアーブロアー231と、水処理装置101の脱窒槽104b(後述)へメチルアルコールを注入するメチルアルコール注入ポンプ241と、脱窒槽104b(後述)へ注入されるメチルアルコールを貯蔵するメチルアルコールタンク243と、水処理装置101により浄化された水を水処理装置101から養殖槽211へ移送する処理水返送ポンプ251と、を含んでなる。
なお、図1及び図3に、上方向を矢印D1(鉛直上方向)にて示すと共に、下方向を矢印D2(鉛直下方向)にて示す。
養殖槽211は、ここでは約15000リットルの水205を保持すると共に、3000匹の魚203(図1においては、一部の魚203のみを図示している。魚203は、ここでは体長約35cm、体重約250gの魚種うなぎ(成魚)である。)を養殖している。
魚203の餌の食べ残しや魚203の排泄物によって、養殖槽211の水205が汚れるが、後述する水処理装置101により水を浄化し循環使用することで、養殖設備201から定常的な廃水を生じない。
また、空気溶解装置204a、204bが、循環ライン206a、206bを循環する水に空気を溶解させることで、養殖槽211中の水205の溶存酸素濃度を、魚203を養殖するのに適したものに保っている。
なお、循環ポンプ202a及び空気溶解装置204aを含む循環ライン206aの流量と、循環ポンプ202b及び空気溶解装置204bを含む循環ライン206bの流量と、は、水205中の溶存酸素量や養殖槽211中の要求水流量等に応じて独立して調節可能である。そして、ここでは循環ライン206a、206bの2系統を配設しているが、これを1系統にしたり、3系統以上にすることもできる。
空気溶解装置204a、204bは、ここでは特開2014−004554号の発明を実施するための形態に示された「気体溶解装置(本装置)1」をいずれも用いているが、これに限定されるものではなく、魚203を養殖するために適した養殖槽211中の水205の溶存酸素濃度を保持できるものであれば、種々のものを用いることができる。
図2は、水処理装置101の水平断面図(図1中のAーA断面図)を示しており、図3は、水処理装置101の垂直断面図(図2中のCーC断面図)を示している。図1に加え、図2及び図3も参照して、主として水処理装置101について説明する。
水処理装置101は、本体部103と、本体部103の内部103rに配設された濾過装置111と、内部103rの底部に配設された散気管121と、濾過装置111の上部の内部103rに配設された整流板131と、内部103rに配設された溢流管141と、内部103rに存する水を撹拌する撹拌装置151と、微生物を固定する固定床161と、内部103rの処理水を移送(後述の硝化槽104aから脱窒槽104bへ移送する。)する移送ポンプ171と、内部103rの処理水を系外に払い出す排出ポンプ181と、を備えてなる。
本体部103は、ここでは直円筒形状をなす無蓋無底(該直円筒の両端が開放)の側面部103aと、側面部103aの下面を塞ぐ円盤形状をなす底板部103bと、側面部103aの上面を塞ぐ円盤形状をなす蓋部103cと、主表面が長方形をなす仕切り板103dと、を含んでなる。
側面部103aと底板部103bとは同じ材質(ここではポリプロピレン等のような合成樹脂材料)により一体に形成されている。
仕切り板103d(ポリプロピレン等のような合成樹脂材料製)は、内部103rを硝化槽104aと脱窒槽104bとに分割するよう側面部103a内面及び底板部103b内面に液密的に取り付けられている。なお、ここでは硝化槽104aの容量(水面Pの位置で保持される水104awの量)は約3000リットルであり、脱窒槽104bの容量(水面Qの位置で保持される水104bwの量)は約2000リットルとされている。
蓋部103c(ポリプロピレン等のような合成樹脂材料製)は、側面部103aの上縁に載置されており、取り外し自在である。
濾過装置111は、硝化槽104a内部の水104aw中に配設されており、濾過器113と、濾過器113の側面を取り囲むケーシング115と、を有してなる(特に図3参照)。
濾過器113は、複数の膜分離器を含んでなり、それぞれの膜分離器は、一対の長方形の分離膜が平行に配置され、該一対の分離膜の間に外部と仕切られた分離器内部空間が形成されており、該一対の分離膜により水104awが濾過されて生成した濾過水が分離器内部空間に存在する。膜分離器同士は、隙間を空けて互いに平行に配置されている(隣接する一対の膜分離器は、一方の膜分離器の分離膜と、他方の膜分離器の分離膜と、の間に隙間が形成されており、該隙間には硝化槽104a内部の水104awが存在する。)。濾過器113は、具体的には、株式会社クボタ社製の商品名「MF膜カートリッジ」(型番:510型)により構成されている。
処理水返送ポンプ251は、濾過器113を構成する複数の前記した膜分離器の分離器内部空間(即ち、分離膜により濾過された濾過水が存在する。)から水を吸引し、養殖槽211に圧送する。
ケーシング115は、無底無蓋の中空の直方体形状をなす箱体を形成しており、その内部空間115cの上部には、濾過器113が、濾過器113が含む前記した膜分離器の分離膜が鉛直になるように配設されている。ケーシング115の内部空間115cの下部には、連通口115hにより外部と連通した連通空間115fが形成されている。連通空間115fの下部には、長手方向に沿って吹き出し穴が多数形成された中空の散気チューブ117が配設されており、エアーブロアー231から散気チューブ117内部に圧縮空気を供給することで、多数の該吹き出し穴から連通空間115fに空気を吹き出し、内部空間115cに存する水に多数の気泡を形成する。かかる多数の気泡は、連通空間115fから濾過器113方向に上昇することで、連通口115hから連通空間115fに水を吸入し、濾過器113の複数の膜分離器の間の隙間(分離膜同士の間の隙間)を上昇し、濾過器113上部から吹き出すような水流を形成する。この水流と上昇する気泡とによって、分離膜表面に付着する固形物を減少させ、濾過器113の目詰まりを減少させることができる。
散気管121は、長手方向に沿って吹き出し口が多数形成された中空の管により構成されており、硝化槽104aの底面104abの周囲に沿って配設されており、エアーブロアー231から圧縮空気が供給されることで、多数の該吹き出し口から空気を吹き出し、水104aw中に多数の気泡を形成する。この気泡が底面104ab周囲から上昇することにより、これに伴う上昇水流を形成する。この底面104ab周囲からの上昇水流により、硝化槽104aの底面104abの周囲近傍(底面104abの周囲近傍は、通常、水104awの流れが生じにくくよどみやすいので、固形物等が蓄積しやすい。)に、固形物が沈殿及び蓄積することを防止又は減少することができる。
整流板131は、下面131bが平面に沿った板状部材により形成されており、下面131bが水平面にほぼなるように仕切り板103dに取り付けられ支持されている。
整流板131は、下面131bが濾過器113上方を覆うように配置されており、濾過器113上部から吹き上がる前述の水流(散気チューブ117の吹き出し穴から吹き出される多数の気泡が水104aw中を上昇することで形成される濾過器113上部から吹き出すような水流)を図3において左方向へ導くためのものである(図3に矢印Fにて示す。)。この矢印Fに沿った水流により、硝化槽104a内部の水104awが循環する流れを形成する(濾過器113上部から吹き上がる水は、矢印fにて示す下降流を形成し、連通口115hを経由して連通空間115fに進入し、内部空間115cを上昇することで濾過器113上部から再び吹き上がることにより、循環する。)。
なお、硝化槽104aにおける水面Pが下面131bと同じ高さにほぼなるように、養殖水抜出ポンプ221によって養殖槽211から硝化槽104aに移送される水量が制御される。
溢流管141は、仕切り板103dに沿って脱窒槽104b内部に上下方向に取り付けられた本体管143と、本体管143の上端近傍に取り付けられた枝管145と、を含んでなる。本体管143は、上下両端が開放された中空の真っ直ぐなパイプ部材により形成され、枝管145は、左右両端が開放された中空の真っ直ぐなパイプ部材により形成されており、本体管143の長手方向(ここでは鉛直方向)に対して枝管145の長手方向が垂直になるように枝管145の一端が本体管143に取り付けられている。枝管145は、該一端が本体管143の内部に連通している。
枝管145は、脱窒槽104bと硝化槽104aとの間を連通させるように仕切り板103dを貫通しており、本体管143の下端から本体管143内部に進入した水が本体管143内部を上昇し枝管145の高さまで来ると、枝管145を経由して硝化槽104aに吐出される(吐出された水は、整流板131の上面に沿って流れ、整流板131の縁から流れ落ちて水104awに合流する。)。
撹拌装置151は、蓋部103cに取り付けられた駆動部153(モータ及び変速機を含む。)と、駆動部153に上端が取り付けられると共に蓋部103cを回転自在に貫通した回転シャフト155と、回転シャフト155の下端に取り付けられた撹拌羽根157と、を含んでなる。
これにより、脱窒槽104b内部に存する水104bwの中で、撹拌羽根157を所望の回転速度で回転させ、水104bwを撹拌することができる。
固定床161は、脱窒槽104b内部に存する水104bwに生存する菌(脱窒菌:硝酸イオンを窒素にまで還元する能力を備える硝酸還元菌)を表面に担持し固定するための固体であり、ここでは具体的には、新光ナイロン株式会社製の商品名「ヘチマロン」(型番:510)により構成されている。なお、固定床161は、ここでは側面部103a内面や仕切り板103d表面に取り付けられることで支持されている。
この固定床161は、回転シャフト155を回転自在に貫通させる部分と、溢流管141(本体管143)を貫通させている部分と、を除き、脱窒槽104bの水面Qから下方に厚さ(上下方向)約20cmにて配置されている。これにより、移送ポンプ171により硝化槽104aから脱窒槽104bに注入される水は、固定床161に接触する(これにより該注入される水に含まれる溶存酸素を固定床161に担持された菌が消費する。)と共に、水面Qが接触する空気から溶解する酸素が、固定床161の下方に存する水104bwに拡散することを防止することで、固定床161の下方に存する水104bw中の溶存酸素濃度を低く保つことができる。
養殖設備201の使用方法を説明する。
まず、養殖設備201の運転開始操作を説明する。
養殖槽211に、上述した量の水205及び魚203を装入する。
そして、循環ポンプ202a、202bを運転することで循環ライン206a、206bに養殖槽211の水205を循環させ、空気溶解装置204a、204bを運転し、魚203を養殖するために適した水205中の溶存酸素濃度を保つ。
養殖水抜出ポンプ221を運転し、養殖槽211から水205を硝化槽104aに注入する。濾過装置111が水に潜入した後、エアーブロアー231を運転し、散気チューブ117及び散気管121から空気を吹き出し、水中に気泡を形成する。
水面Pが、整流板131の下面131b近くまで上昇したら、移送ポンプ171を運転し、硝化槽104a中の水を脱窒槽104bに注入する。脱窒槽104bに注入された硝化槽104a中の水は、まず、固定床161に接触する。
撹拌羽根157が水に潜入するようになると、駆動部153を起動し、撹拌羽根157により水の撹拌を開始する。
脱窒槽104bの水104bwに固定床161が浸漬されると、水104bwに含まれる脱窒菌(硝酸イオンを窒素にまで還元する能力を備える硝酸還元菌)が固定床161表面に付着し固定される(該脱窒菌が固定床161に担持される。)。
脱窒槽104bの水面Qが、枝管145の高さまで来ると、枝管145を経由して脱窒槽104bから硝化槽104aに水が吐出される。
そして、脱窒槽104b中の水104bwに炭素源を添加する必要が生じたとき(具体的には、硝酸性窒素30ppm以上の状態)には、メチルアルコール注入ポンプ241を起動し、メチルアルコールタンク243に貯蔵されたメチルアルコールを断続的又は継続的に脱窒槽104bへ注入する。
以上のように養殖設備201の運転を開始すると、養殖槽211の水205は、空気溶解装置204a、204bにより、魚203の養殖に適した溶存酸素濃度が継続して保たれる。
養殖槽211の水205は、養殖水抜出ポンプ221により、養殖槽211から硝化槽104aに連続的又は断続的に注入される。硝化槽104aに注入された水は、アンモニアを含んでいるが、硝化槽104aの水104aw中に存する硝化菌によってアンモニアは亜硝酸から硝酸に変化する。なお、このアンモニアから硝酸への変化においては、散気チューブ117及び散気管121から水中に吹き込まれる空気による溶存酸素が消費される(水中の溶存酸素濃度は、ほぼ飽和状態の約7mg/リットルである。)。
そして、硝酸を含む硝化槽104aの水は、移送ポンプ171により脱窒槽104bに注入され、まず固定床161に接触する。固定床161の表面には、脱窒菌が担持されており、この担持された脱窒菌が、脱窒槽104bに注入された水中の溶存酸素を消費する(これにより注入された水の溶存酸素濃度は、貧酸素域(約0.5mg/リットル以下)まで低下する。)。
このように溶存酸素濃度が低下した水が、固定床161から下方に流下し、そこに存する脱窒菌により脱窒される。脱窒反応は溶存酸素濃度が高いとうまく進行しないが、上述の如く、脱窒槽104bに注入された水が固定床161を下方に向けて通過する間に、固定床161に担持された脱窒菌により該水の溶存酸素が消費され、溶存酸素濃度が低下した貧酸素状態で固定床161下方の水に混ざるので、硝化槽104aからの水(溶存酸素濃度が高い)が注入されることによる脱窒反応への悪影響を大幅に減少させることができる。なお、硝化槽104aからの水に含まれる硝酸性窒素(硝酸態窒素や亜硝酸態窒素)は、脱窒処理により還元され窒素ガスとなって水中から除去される。
そして、脱窒槽104bで脱窒された水104bwは、溢流管141の枝管145を経由して脱窒槽104bから硝化槽104aに返送される。これにより硝化槽104aの水104awに含まれる窒素分を減少させることができる。
そして、硝化槽104aの水104awは、濾過器113の分離膜により濾過されることで、SS分(懸濁物質)が低減され、処理水返送ポンプ251により養殖槽211に返送される。このように養殖槽211からの水205は、水処理装置101により処理されることで、水処理装置101から養殖槽211へ返送される水の窒素分及びSS分が減少し魚養殖に再利用できるので、養殖設備201から定常的な排水を不要とすることができる。
また、排出ポンプ181は、濾過装置111により水104awが濾過されることで硝化槽104aの水104awに蓄積する浮遊物質(SS)を必要に応じて排出するためのものであり、硝化槽104aの水104aw中の浮遊物質濃度(MLSS)を適正範囲(例えば、10000〜12000ppm)に保持し、安定的な運転を可能ならしめるものである。具体的には、浮遊物質濃度(MLSS)が大きくなった場合は、排出ポンプ181を運転し、水104awに蓄積している浮遊物質(SS)を系外に排出(SSが水104awに懸濁したスラリー状の液体として排出)することで浮遊物質濃度(MLSS)を下げて浮遊物質濃度(MLSS)を該適正範囲に保つ。
以上説明した水処理装置101(以下「実施例装置」という。)と、水処理装置101から固定床161を取り外した水処理装置(以下「比較例装置」という。)と、を用いて、脱窒槽104bの水104bw中の溶存酸素濃度の変化を測定する。まず、硝化槽104aを水104aw及び脱窒槽104bを水104bwで満たす(水104aw及び水104bwいずれも、浮遊物質濃度(MLSS)5000ppm、温度25℃である。)。
その後、養殖水抜出ポンプ221、処理水返送ポンプ251、排出ポンプ181及びメチルアルコール注入ポンプ241のいずれも運転を行わず(即ち、実施例装置及び比較例装置のいずれも閉じた系)、実施例装置及び比較例装置のいずれも、まずエアーブロアー231を運転し、散気チューブ117及び散気管121から空気を吹き出し、水104awの溶存酸素をほぼ飽和させる。その後、エアーブロアー231を停止する。撹拌羽根157は、水104bwがほぼ均一になるように十分な撹拌速度で回転させる。
その後、移送ポンプ171を運転し、硝化槽104aから脱窒槽104bに処理水を注入(流量:10.4リットル/分)し、それと同量の処理水が枝管145を経由し脱窒槽104bから硝化槽104aに吐出される。この状態で水104bwの上下方向の中間位置にて脱窒槽104bの水104bw中の溶存酸素濃度を測定する。
図4は、実施例装置による実験(実施例)と、比較例装置による実験(比較例)と、を示す図である。移送ポンプ171の運転開始を経過時間0とし、実施例及び比較例それぞれについて、5分毎の溶存酸素濃度(mg/リットル)を示す。
また、図5は、図4の測定値をグラフにしたものである。横軸に経過時間をとり、縦軸に溶存酸素濃度(mg/リットル)をとっている。点線が比較例を示し、実線が実施例を示している。
貧酸素域(約0.5mg/リットル以下)まで溶存酸素濃度が低下するのに比較例では約100〜105分の時間であるのに比べ、実施例では約35分程度である。このように固定床161を備えない比較例装置に比して、固定床161を備える実施例装置は、水104bw中の溶存酸素濃度を極めて効果的に低下させ、脱窒反応が円滑に進行する貧酸素域に、脱窒槽104bの水104bw中の溶存酸素濃度を保つことができる。
以上説明の通り、水処理装置101は、処理水(ここでは養殖設備201の水205)に含まれるアンモニア性窒素を硝化する硝化処理が行なわれる硝化槽104aと、硝化槽104aにおいて硝化処理された処理水を受け入れ、該受け入れた処理水に含まれる硝酸性窒素を還元する脱窒処理が行なわれる脱窒槽104bと、そして脱窒槽104bに受け入れられる又は受け入れられた処理水に含まれる溶存酸素濃度を低下させる溶存酸素低下手段(ここでは生物(脱窒菌)が担持された固定床161)と、を備えてなる水処理装置である。
水処理装置101においては、溶存酸素低下手段(生物(脱窒菌)が担持された固定床161)が、処理水(ここでは脱窒槽104bに受け入れられた処理水)に含まれる溶存酸素を生物(脱窒菌)が消費するものである。
水処理装置101においては、前記生物(脱窒菌)が、貧酸素下において硝酸性窒素を窒素にまで還元する能力を有する脱窒菌である。
水処理装置101においては、前記生物(脱窒菌)が、担体(ここでは固定床161)に担持されているものである。
水処理装置101においては、脱窒槽104bが、前記生物(脱窒菌)を担持した前記担体(固定床161)が存する担体領域(ここでは水面Qから下方に厚さ(上下方向)約20cmにて固定床161が配置されている領域)と、前記生物(脱窒菌)を担持した前記担体(固定床161)が存しない非担体領域(固定床161の下方に存する領域)と、を含んでなり、硝化槽104aから脱窒槽104bへ流入した処理水が、担体領域(固定床161が配置されている領域)を通過した後、非担体領域(固定床161の下方に存する領域)に進入するものである。
水処理装置101においては、担体領域(固定床161が配置されている領域)が、脱窒槽104b内に存する処理水(水104bw)の液面(水面Q)に沿って形成され、非担体領域(固定床161の下方に存する領域)が、担体領域(固定床161が配置されている領域)の下方に存するものであり、硝化槽104aから脱窒槽104bに受け入れられる処理水が、担体領域(固定床161が配置されている領域)の上方から注入されるものである。
水処理装置101においては、前記担体(固定床161)が、脱窒槽104b内に存する処理水(水104bw)に一部又は全部が浸漬(ここでは全部が浸漬)されているものである。
水処理装置101においては、脱窒槽104bにおいて脱窒処理された処理水が、硝化槽104aに返送されるものである。
水処理装置101においては、硝化槽104a中の処理水(水104aw)を濾過する濾過手段(ここでは濾過装置111)をさらに備えるものである。
水処理装置101においては、濾過手段(濾過装置111)により濾過された処理水(濾過器113を構成する前記膜分離器により濾過された水)を、当該水処理装置(水処理装置101)から処理済み水として排出するものである。
水処理装置101においては、硝化槽104a中の処理水(水104aw)に空気を溶解させる空気溶解手段(ここでは散気チューブ117及び散気管121を含んで構成される。)を備えるものである。
水処理装置101においては、硝化槽104aが、底面104abと、該底面104abから立ち上がるように形成された側面(ここでは硝化槽104aの内面をなす仕切り板103d表面及び側面部103a内面)と、を含む有底の器状をなし、空気溶解手段(散気チューブ117及び散気管121)が、該底面104abの縁部の少なくとも一部(ここではほぼ全部)に沿って空気を吹き出すものである(散気チューブ117及び散気管121のうち散気管121がこれを行う。)。
水処理装置101においては、硝化槽104a中の処理水(水104aw)を濾過する濾過手段(濾過装置111)をさらに備えるものであり、濾過手段(濾過装置111)の濾過面(ここでは濾過器113に含まれる膜分離器の分離膜)が硝化槽104a中の処理水(水104aw)に浸漬されるものであり、空気溶解手段(散気チューブ117及び散気管121)が、該濾過面(濾過器113に含まれる膜分離器の分離膜)に気泡が接触するように、空気を吹き出すものである(散気チューブ117及び散気管121のうち散気チューブ117がこれを行う。)。
魚の養殖設備201は、魚介類の養殖槽211と、該養殖槽211中の水205を処理水として処理する水処理装置101と、を含んでなる魚介類の養殖設備である。
魚の養殖設備201においては、前記水処理装置101による処理済みの水(ここでは濾過手段(濾過装置111)により濾過された処理水)を、前記養殖槽211に注入するものである。なお、ここでは濾過手段(濾過装置111)により濾過された処理水の全量を養殖槽211に注入するものである。そして、硝化槽104aの水104awに蓄積する浮遊物質(SS)を排出する際に一緒に排出される水104awを除いて、魚の養殖設備201から廃水を生じない。
101 水処理装置
103 本体部
103a 側面部
103b 底板部
103c 蓋部
103d 仕切り板
103r 内部
104a 硝化槽
104ab 底面
104aw 水
104b 脱窒槽
104bw 水
111 濾過装置
113 濾過器
115 ケーシング
115c 内部空間
115f 連通空間
115h 連通口
117 散気チューブ
121 散気管
131 整流板
131b 下面
141 溢流管
143 本体管
145 枝管
151 撹拌装置
153 駆動部
155 回転シャフト
157 撹拌羽根
161 固定床
171 移送ポンプ
181 排出ポンプ
201 養殖設備
202a、202b 循環ポンプ
203 魚
204a、204b 空気溶解装置
205 水
206a、206b 循環ライン
211 養殖槽
221 養殖水抜出ポンプ
231 エアーブロアー
241 メチルアルコール注入ポンプ
243 メチルアルコールタンク
251 処理水返送ポンプ

Claims (15)

  1. 処理水に含まれるアンモニア性窒素を硝化する硝化処理が行なわれる硝化槽と、
    硝化槽において硝化処理された処理水を受け入れ、該受け入れた処理水に含まれる硝酸性窒素を還元する脱窒処理が行なわれる脱窒槽と、そして
    脱窒槽に受け入れられる又は受け入れられた処理水に含まれる溶存酸素濃度を低下させる溶存酸素低下手段と、を備えてなる水処理装置。
  2. 溶存酸素低下手段が、処理水に含まれる溶存酸素を生物が消費するものである、請求項1に記載の水処理装置。
  3. 前記生物が、貧酸素下において硝酸性窒素を窒素にまで還元する能力を有する脱窒菌である、請求項2に記載の水処理装置。
  4. 前記生物が、担体に担持されているものである、請求項2又は3に記載の水処理装置。
  5. 脱窒槽が、前記生物を担持した前記担体が存する担体領域と、前記生物を担持した前記担体が存しない非担体領域と、を含んでなり、
    硝化槽から脱窒槽へ流入した処理水が、担体領域を通過した後、非担体領域に進入するものである、請求項4に記載の水処理装置。
  6. 担体領域が、脱窒槽内に存する処理水の液面に沿って形成され、非担体領域が、担体領域の下方に存するものであり、
    硝化槽から脱窒槽に受け入れられる処理水が、担体領域の上方から注入されるものである、請求項5に記載の水処理装置。
  7. 前記担体が、脱窒槽内に存する処理水に一部又は全部が浸漬されているものである、請求項5又は6に記載の水処理装置。
  8. 脱窒槽において脱窒処理された処理水が、硝化槽に返送されるものである、請求項1乃至7のいずれか1に記載の水処理装置。
  9. 硝化槽中の処理水を濾過する濾過手段をさらに備えるものである、請求項1乃至8のいずれか1に記載の水処理装置。
  10. 濾過手段により濾過された処理水を、当該水処理装置から処理済み水として排出するものである、請求項9に記載の水処理装置。
  11. 硝化槽中の処理水に空気を溶解させる空気溶解手段を備えるものである、請求項1乃至10のいずれか1に記載の水処理装置。
  12. 硝化槽が、底面と、該底面から立ち上がるように形成された側面と、を含む有底の器状をなし、
    空気溶解手段が、該底面の縁部の少なくとも一部に沿って空気を吹き出すものである、請求項11に記載の水処理装置。
  13. 硝化槽中の処理水を濾過する濾過手段をさらに備えるものであり、濾過手段の濾過面が硝化槽中の処理水に浸漬されるものであり、
    空気溶解手段が、該濾過面に気泡が接触するように、空気を吹き出すものである、請求項11又は12に記載の水処理装置。
  14. 魚介類の養殖槽と、該養殖槽中の水を処理水として処理する請求項1乃至13のいずれか1に記載の水処理装置と、を含んでなる魚介類の養殖設備。
  15. 前記水処理装置による処理済みの水を、前記養殖槽に注入するものである、請求項14に記載の養殖設備。
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