JP3596869B2 - 配電盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配電盤に関するものであり、特に比較的多くの配線用遮断器を装着している配電盤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
船舶用配電盤の中には、給電盤と呼ばれる電気負荷に電源を供給するために多くの配線用遮断器を装着したものがある。
【0003】
図9及び図10は、従来技術の一例として、実公平1−40256号公報に開示された配電盤を示している。この配電盤の前面部には複数の配線用遮断器100、101及び102が取付けられている。それぞれの配線用遮断器(例えば、配線用遮断器100)は、絶縁材料製のケースの内部に開閉接点を収納している。絶縁ケースから突き出た取っ手100aを上下方向に操作することによって開閉接点を操作することができる。
【0004】
この絶縁ケースの表面の取っ手100aが突き出る部分には、取っ手100aを取り囲むように正面から見たとき方形をした土手部分100bが形成されている。一方、配電盤の表面パネル103には、配線用遮断器100の土手部分100bがはまり込むための開口部が形成されている。この開口部は、安全性や美観の点から、土手部分100bの外形形状に略一致するような形状とされている。また、配線用遮断器100と高さが異なる配線用遮断器106が取付部材105に取付けられている。配線用遮断器100の取付部材104と取付部材105とは、溶接によって連結されている。
【0005】
次に、この配電盤の主回路導電部について説明する。この配電盤は三相電源システムに用いられるものであって、その内側には、銅帯製の縦導体111および、縦導体111に接続された水平方向に延びる銅帯製の横導体112が配置されている。縦導体111は、電源に接続されたメインバー110に接続される。横導体112は、端子接続導体113によって、配線用遮断器の電源側端子100cに接続されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述のような構成となっている配線用遮断器を、従来の配電盤に取付けるに際して次のような問題点があった。すなわち、表面パネル103を閉じたとき配線用遮断器の土手部分100bが表面パネルの開口部にはまり込むように、配線用遮断器100の上下、左右、奥行きの取付位置を微調整する必要があった。さらに、互いに種類の異なる配線用遮断器100と配線用遮断器106のように高さの異なるものに対しては、表面パネル103からの寸法がそれぞれd1及びd2になるような二つの取付部材104及び105を溶接によって連結する必要があった。このため、仕様変更などにより配線用遮断器を種類の異なるものに取り替える必要性が出てきたときは、取付部材や表面パネルを作り替えなければならないという問題もあった。
【0007】
本発明の目的は、上記の問題を解決する配電盤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に従った請求項1に係る配電盤は、開閉接点を操作するための接点操作部を持つ配線用遮断器を内部に収納し、その前面パネルに上記接点操作部を露出させるための開口部を形成している。上記配電盤は、上記前面パネルの表面から同じ奥行き寸法位置に設けられた位置共通の取付面に取付けられた大きさの異なる第1配線用遮断器と第2配線用遮断器とを備え、第1配線用遮断器と第2配線用遮断器とは、上記前面パネルから奥行き方向に離れて位置し、上記配電盤の前面パネルには、上記第1配線用遮断器の接点操作部を露出させるための第1開口部と、上記第2配線用遮断器の接点操作部を露出させるための第2開口部とが形成されており、上記第1開口部には、上記第1開口部から上記第1配線用遮断器の表面にいたる周囲を取囲み、その端部において上記第1配線用遮断器の接点操作部を露出するように形成された奥行き方向に延びる壁を有する第1フレーム部材が装着され、上記第2開口部には、上記第2開口部から上記第2配線用遮断器の表面にいたる周囲を取囲み、その端部において上記第2配線用遮断器の接点操作部を露出するように形成された奥行き方向に延びる壁を有する第2フレーム部材が装着され、上記第1開口部および第2開口部は、同じ形状で同じ大きさであり、上記前面パネルから上記第1配線用遮断器の表面までの間隔は、上記前面パネルから上記第2配線用遮断器の表面までの間隔よりも大きく、上記第1開口部に装着される第1フレーム部材の奥行き寸法は、上記第2開口部に装着される第2フレーム部材の奥行き寸法よりも大きく設けられている。
【0009】
上記構成からなる配電盤によれば、上記のようなフレーム部材を用いることにより、配電盤の表面パネルから奥行き方向に離して配線用遮断器を取り付けても、周囲を取囲んで奥行き方向に延びる壁があるため操作上安全である。また、配線用遮断器の土手部が配電盤の内部に位置するので、土手部とフレーム部材の内側の開口部が多少ずれても美観を損ねることがない。さらに、前面パネルへの取り付けに関しては、第1フレーム部材および第2フレーム部材は互換性がある。したがって、種類の異なる配線用遮断器を取付ける場合であっても、対応するフレーム部材と組合せるようにすれば配線用遮断器を共通の取付面に取付けることができる。言換えれば、配電盤を少なくとも部分的に標準化でき、配電盤の組立完了後であっても、配線用遮断器の種類の変更を容易に行なうことができる。
【0012】
好ましくは、上記第1フレーム部材は、上壁、下壁、右側壁および左側壁の奥行き端に接続された背面壁を有しており、上記背面壁に、上記接点操作部を露出させるための第1開口が形成されている。上記第2フレーム部材は、上壁、下壁、右側壁および左側壁の奥行き端に接続された背面壁を有しており、上記背面壁に、上記接点操作部を露出させるための第2開口が形成されている。
【0015】
配電盤は、好ましくは、上下方向に配置された直方体形状の複数のユニット筐体を有する。この場合、配電盤の前面パネルは、ユニット筐体の前面壁によって形成される。前面パネルの表面から同じ奥行き寸法位置に設けられた各ユニット筐体の取付面には、配線用遮断器が取付けられ、各ユニット筐体の前面壁には、フレーム部材が取付けられている。このようにすれば、ユニット筐体ごとに配線用遮断器およびそれに適合するフレーム部材を取付けておくことができるので、種類の異なる配線用遮断器ごとに取付のための特別の工夫をすることが不要になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1及び図2において、この配電盤は、六面体構造であって、複数の配線用遮断器が取付けられた前部と、配線用遮断器に接続される導体を配置した中央部と、詳細は図示していないが各種制御線などを配置した後部とに分けられる。
【0020】
前部の構造に注目すると、ベース部材1の上に、ユニット筐体2、3、4、5が順次上方向に積み上げられている。ユニット筐体2とベース部材1との間、及び上下方向に隣接する各ユニット筐体相互間がねじで連結されている。ユニット筐体2には比較的大形の配線用遮断器6が横一列に複数取付けられ、ユニット筐体3には各列複数の比較的小形の配線用遮断器7が上下二列に取付けられている。ユニット筐体4もユニット筐体3と同様に配線用遮断器8が取り付けられている。ユニット筐体5は、高い位置にあり操作が困難であるため配線用遮断器は取付けられていない。
【0021】
ユニット筐体2、3および4は、ほとんど同じ構造であるため特記しない限りユニット筐体4を代表として説明する。図3、図4及び図5において、ユニット筐体4は薄板鋼板からなり、U字状のユニットベース9と、前面壁10とによって略直方体形状に構成されている。
【0022】
ユニットベース9は、その端縁に、側方直角曲片9aと前面直角曲片9bとを有する。ユニット筐体2、3,4および5は、互いに同じ幅寸法(正面から見て観察される幅寸法)と同じ奥行き寸法とを有している。
【0023】
配電盤の側板11は、前部側板11a、中間側板11b、後部側板11cからなる薄鋼板製で、その周囲には直角曲片が形成されており、それぞれの直角曲げされた耳部をねじでつなぎ合わせた構造となっている。ユニットベース9は、側方直角曲片9aにおいて、配電盤の側板11とねじで結合されている。このように共に直角曲げされたユニットベースと配電盤の側板を結合することにより、薄板部材で強度のある全体筐体を構成できる。
【0024】
なお、前面壁10の一方の側部は、ユニットベース9の前面直角曲片9bにヒンジ12によって取付けられ、前面壁10の他方の側部は、ねじ13を側板に設けられためねじ部材に螺合させることによって、側板に連結されて閉じた状態を保つ。
【0025】
ユニット筐体4の配線用遮断器8は、その端子8aがユニットベース9の取付面9cに形成された開口部9dから裏側に突き出るように取付面9cに取付けられる。ユニット筐体4の前面壁10には、配線用遮断器8の取っ手8bと対向する位置に大きな開口部10aが形成され、この開口部10aにフレーム部材15が取付けられている。なお、図4及び図5においてフレーム部材15の図示は省略されている。
【0026】
図6及び図7において、フレーム部材15は、上部に銘板(ネームプレート)嵌込み領域15aが形成され下部が開口している前面部と、開口部15bが形成された背面壁15cと、前面部と背面壁15cとをつなぐ上下左右の壁15dと、前面部の裏側の上下に設けられた取付用の爪15e、爪15fとを有する。なお、このフレーム部材15は前面部の周囲が方形の枠15gで囲まれているため、水滴が背面壁15cまで入りにくい。たとえ水滴がフレーム部材15の前面部の開口に入ったとしても、下部の壁15hが背面から表面部に向けて下がるように傾斜しているので、水が配電盤の内部に入り込むことはない。
【0027】
図8に示すように、フレーム部材15を前面壁10に取付けるときには、下の爪15fの凹部を前面パネル10の開口部10aの下縁に差込み、フレーム部材15の上部を前面壁10に向かって押し付ける。すると、弾性のある上の爪15eが開口部10aの上縁に係合するので、フレーム部材15を前面壁10に簡単に(例えば、ワンタッチ式で)取付けることができる。
【0028】
このようにして取付けたとき、フレーム部材15の背面壁15cは、配線用遮断器8の表面8cに沿うように位置する。開口部15bは、配線用遮断器の土手部8dの外周にはまりこむ。フレーム部材15は、配線用遮断器8の操作を妨げず、かつ配線用遮断器を安全上支障なく位置決めできるように、その形状および取付位置が選ばれている。
【0029】
フレーム部材15の取付面15jから配線用遮断器の表面8cまでの寸法、及びフレーム部材15の開口部15bの上下左右方向の位置と大きさが上述の構造および位置関係を略満足するように、フレーム部材15は配線用遮断器8の種類に応じて製作される。例えば、ユニットベース9の取付面9cから配線用遮断器8の表面8cまでの寸法(図8中のH1)より小さい配線用遮断器に対しては、開口部10aから背面壁15cまでの寸法がより大きいフレーム部材を取り付ければよい。
【0030】
なお、配線用遮断器の土手部8dがパネルの表面から内部に入り込んだ位置にあるので、安全上、操作上及び美観上の問題がなければ、図8に示すようにフレーム部材の開口部15bは必ずしも土手部8dの周囲にはまり込む位置になくてもよい。また、上述した複数種類のフレーム15の取付部分の寸法(爪15eと爪15fとの間隔など。)は互いに同じで、前面壁10の開口部10aにはどのフレーム部材も取り付けることができる。
【0031】
図1に示すように、配電盤は、隣接する電源用配電盤から延びてくるメインバー16に接続されかつ絶縁スペーサ18を介して取付けられている銅帯製の縦導体17と、縦導体17に取付けられた銅帯からなる横導体19と、横導体19と配線用遮断器8の上側の端子8aとを接続する銅帯製の端子接続導体20とを有している。
【0032】
図面を参照して本発明の好ましい実施例を説明したが、この実施例は例示的なものである。本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基いて定められるものであり、本発明の均等の範囲内において種々の修正や変更が可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、配電盤を組み立てる際に、配線用遮断器の取付位置を微調整する必要がない。また、配電盤の前面パネルの開口部と配線用遮断器の土手部とが位置的に多少ずれたとしても、配線用遮断器が前面パネルから奥行き方向に離れて位置しているので、美観を損ねない。また、配線用遮断器を予めユニット筐体内に取り付け、このユニット筐体をベース部材、側板、天板などと結合することによって配電盤を完成するようにすれば、組立作業を容易にしかも迅速にできる。さらに、ユニット筐体自体が優れた強度を有するので、特別な補強部材を必要としない。奥行き寸法の異なる複数のフレーム部材を用意しておけば、種類の異なる配線用遮断器を同じユニット筐体内の背面壁に取付けることができるため、仕様変更があっても配線用遮断器を容易に取り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に従った配電盤の一実施例の内部構造を示す側面図である。
【図2】図1に示した配電盤の正面図である。
【図3】ユニット筐体の構成要素であるユニットベースと前面壁を示す斜視図である。
【図4】配線用遮断器を収納したユニット筐体の内部構造を示す正面図である。
【図5】図4に示したユニット筐体の側面図である。
【図6】この発明に従ったフレーム部材の一実施例を示す斜視図である。
【図7】図6に示したフレーム部材の側面図である。
【図8】配線用遮断器およびフレーム部材を取付けたユニット筐体の要部構造を示す側面図である。
【図9】従来の配電盤の内部構造を示す側面図である。
【図10】図9に示した配電盤を裏面側から見た図である。
【符号の説明】
1 ベース部材、2,3,4,5 ユニット筐体、6,7,8 配線用遮断器、8a 端子、8b 取っ手、8c 表面、8d 土手部、9 ユニットベース、9a 側方直角曲片、9b 前面直角曲片、9c 取付面、9d 開口部、10 前面パネル、10a 開口部、11 側板、11a 前部側板、11b 中間側板、11c 後部側板、12 ヒンジ、15 フレーム部材、15a 銘板嵌込み領域、15b 開口部、15c 背面壁、15d 上下左右の壁、15e,15f 取付用の爪、15g 枠、15h 下部の壁、15j 取付面、16 メインバー、17 縦導体、19 横導体、19a,19b 導体、20 端子接続導体。
Claims (3)
- 開閉接点を操作するための接点操作部(8b)を持つ配線用遮断器(8)を内部に収納し、その前面パネル(10)に前記接点操作部(8b)を露出させるための開口部(10a)を形成している配電盤において、
前記配電盤は、前記前面パネル(10)の表面から同じ奥行き寸法位置に設けられる位置共通の取付面(9c)に取付けられた大きさの異なる第1配線用遮断器(8)と第2配線用遮断器(6)とを備え、
第1配線用遮断器(8)と第2配線用遮断器(6)とは、前記前面パネル(10)から奥行き方向に離れて位置し、
前記配電盤の前面パネル(10)には、前記第1配線用遮断器の接点操作部を露出させるための第1開口部(10a)と、前記第2配線用遮断器の接点操作部を露出させるための第2開口部とが形成されており、
前記第1開口部(10a)には、前記第1開口部(10a)から前記第1配線用遮断器(8)の表面にいたる周囲を取囲み、その端部において前記第1配線用遮断器の接点操作部を露出するように形成された奥行き方向に延びる壁(15d,15h)を有する第1フレーム部材(15)が装着され、
前記第2開口部には、前記第2開口部から前記第2配線用遮断器の表面にいたる周囲を取囲み、その端部において前記第2配線用遮断器の接点操作部を露出するように形成された奥行き方向に延びる壁を有する第2フレーム部材が装着され、
前記第1開口部および第2開口部は、同じ形状で同じ大きさであり、
前記前面パネル(10)から前記第1配線用遮断器(8)の表面までの間隔は、前記前面パネルから前記第2配線用遮断器の表面までの間隔よりも大きく、
前記第1開口部(10a)に装着される第1フレーム部材(15)の奥行き寸法は、前記第2開口部に装着される第2フレーム部材の奥行き寸法よりも大きい、配電盤。 - 前記第1フレーム部材(15)には、上壁、下壁、右側壁および左側壁の奥行き端に接続された背面壁(15c)を有しており、前記背面壁(15c)に、前記接点操作部(8b)を露出させるための第1開口部(15b)が形成され、
前記第2フレーム部材には、上壁、下壁、右側壁および左側壁の奥行き端に接続された背面壁を有しており、前記背面壁に、前記接点操作部を露出させるための第2開口部が形成されている、請求項1に記載の配電盤。 - 前記配電盤は、上下方向に配置された直方体形状の複数のユニット筐体(2,3,4)を有しており、前記配電盤の前面パネルは、前記ユニット筐体の前面壁(10)によって形成され、前記前面パネル(10)の表面から同じ奥行き寸法位置に設けられた前記各ユニット筐体の取付面(9c)には、前記配線用遮断器(8)が取付けられ、前記各ユニット筐体の前面壁(10)には、前記フレーム部材(15)が取付けられ、
前記複数のユニット筐体(2,3,4)は、前面側から見たとき同じ幅寸法を有しており、かつそれらの側面において前記配電盤の側板と連結される、請求項1または2に記載の配電盤。
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