JP4291036B2 - 回路遮断器及び分電盤 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は回路遮断器に関し，外形サイズの異なる回路遮断器，特に高さ方向の異なる回路遮断器を部品の共用化を図りながら提供する技術に関する。
【０００２】
【従来の技術】
第８図は特許文献１に示された従来の回路遮断器の内部構成概略図である。回路遮断器の筐体はカバーと，カバーに接して取付けるケースとからなり，回路遮断器を構成する主要内部構成部品，例えば筐体の外部に突出し回路遮断器の開閉操作が可能な取っ手部を有するハンドルや，電路に接続される導電端子部や，固定接点を有する固定接触子と該固定接触子に対向して接離する可動接点を有する可動接触子とからなる接点装置や，該接点装置を駆動するハンドルと連結された開閉機構や，異常電流に応動して前記開閉機構を動作させる引き外し装置等の構成部品はカバーとケースに収容されている。
【０００３】
【特許文献１】
特開平４−７１１３３号公報（第１図）
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の回路遮断器においては，筐体はカバーと１つのケースから構成されている。このため，回路遮断器の取り付け面側を底面側とし，ハンドル方向に向かう方向を，高さ方向とした場合に，高さ方向の異なる回路遮断器を提供する場合には，高さを違えたケースを種々用意し，前述の主要内部構成部品も遮断器高さに合わせたものを種々用意して，ケース毎に組み立てる必要があった。
【０００５】
組立にはそれぞれのケース高さに合わせた組立が必要となり，特に自動機による組立の場合にはそれぞれに冶具の設定や，組立の制御プログラム設定が必要となり生産ラインが複雑になるという問題があった。
【０００６】
また，高さが異なる回路遮断器毎に主要内部構成部品の在庫ストック等が必要になり，作り置きが必要になるなどの問題があった。
【０００７】
さらに回路遮断器の高さは同一でも定格電流の種類に応じて部品種類が異なるので，高さが異なる場合はその高さ毎に定格電流種類に応じた部品を用意しておかなければならずその種類は膨大であった。
【０００８】
本件発明は，上述のような問題点を解決するためになされたもので，高さの異なる回路遮断器を提供する場合において，内部構成部品やカバー，ケースの共用化が行え，部品管理や在庫管理が容易になり，生産ラインを共用化でき，組立工数が削減できる回路遮断器および該回路遮断器を使用した分電盤を提供することを目的としている。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため，本件発明の請求項１では，電路に流れる電流を検出し，過電流や漏洩電流等の異常電流が発生した場合には，電路を強制的に開路し電流を遮断する回路遮断器において，該回路遮断器の器体を，該回路遮断器の接点を開閉操作するハンドルの一部を露出させるハンドル挿通孔を設けたカバーと，該カバーが取り付けられて，器体の外部に突出し回路遮断器の開閉操作可能な取っ手部を有するハンドルの一部と，電路に接続される導電部と，
固定接点を有する固定接触子と該固定接触子に対向して接離する可動接点を有する可動接触子とからなる接点装置と，該接点装置を駆動するハンドルと連結された開閉機構と，異常電流に応動して前記開閉機構を動作させる引き外し装置等の，回路遮断器の主要内部構成部品を収容するケースと，該ケースに取り付けられて回路遮断器の取付け面を構成する裏蓋とから構成し，回路遮断器の取付け面からハンドルに向かう方向の寸法が異なる複数の種類の前記裏蓋を用意して，該裏蓋をケースに選択的に組み合わせることで，該回路遮断器の取付け面から操作面までの高さを違えて形成することを特徴として回路遮断器を提供したものである。
【００１０】
請求項２では，前記ケースの遮断器取付面側に，所定の裏蓋を取付けることで器体の寸法を電灯分電盤協約形配線用遮断器の寸法に沿った大きさに形成することを特徴として請求項１記載の回路遮断器を提供したものである。
【００１１】
請求項３では，請求項１記載，もしくは請求項２記載の回路遮断器を具備したことを特徴として分電盤を提供したものである。
【００１２】
【発明の実施の形態】
次に本件発明の実施例を図面を用いて詳細に示す。図１は，本発明の回路遮断器において所定の裏蓋を取付けた場合の外観を示した図である。器体は，ＪＩＳに規定されている電灯分電盤協約形配線用遮断器の単位寸法の３個分になるよう構成されている。
【００１３】
図中１はカバー，２はケース，３は裏蓋，４はハンドルを示している。カバー１には，回路遮断器の接点を開閉操作するハンドル４の一部を露出させるハンドル挿通孔１０１が設けられている。図において，裏蓋３の側を遮断器取付け面側，ハンドル４の側を操作面側とし，取付け面側から操作面側の方向を回路遮断器の高さ方向として以後説明を行う。
【００１４】
ケース２は，一端面に前記カバー１が取付けられ，他端面には裏蓋３が取付けられている。これら，カバー１とケース２と裏蓋３を分離した図を図２に示している。ハンドル４の一部と，電路に接続される導電部５と，固定接点を有する固定接触子（図示しない）と，該固定接触子に対向して接離する可動接点を有する可動接触子（図示しない）と，からなる接点装置と，該接点装置を駆動するハンドルと連結された開閉機構６と，異常電流に応動して前記開閉機構を動作させる引き外し装置７等の回路遮断器の主要内部構成部品はカバー１と，ケース２にて収容されるように構成されている。
【００１５】
前記主要内部構成部品を収容したカバー１と，ケース２において，ケース２の回路遮断器取付け面側に裏蓋３を取付けることで，回路遮断器の器体が構成されるようになっている。器体には，回路遮断器を取付け台等へねじにて取付けるための貫通孔が設けられており，カバー１には１０２と１０３，ケース２には２０２と２０３，裏蓋３には３０２と３０３が配設されている。１０２と２０２と３０２，１０３と２０３と３０３は各々同心円に配設されるようになっており，また，図３には裏蓋３を底面側から見た図を示している。回路遮断器をＩＥＣレールに取付けることができるよう，取付け部材３０４が設けられている。
【００１６】
図４は，本発明の回路遮断器において，前述の裏蓋と比較して高さの低い裏蓋を用いた場合の外観図を示している。この場合の裏蓋を裏面絶縁保護板１０と呼ぶ。
図中，カバー１，ケース２，ハンドル４等，裏面絶縁保護板１０以外は先に説明したものと同様である。裏面絶縁保護板１０をケース２の底面側に貼り付けられることで回路遮断器の器体が構成されている。
【００１７】
図５には，カバー１とケース２と裏面絶縁保護板１０を分離した図を示している。先と同様，器体には回路遮断器を取付け台へねじで取付けるための貫通孔が設けられており，カバー１には１０２と１０３，ケース２には２０２と２０３，裏面絶縁保護板１０には５０２と５０３が配設されている。１０２と２０２と５０２，１０３と２０３と５０３は各々同心円状に配置されるようになっており，ねじが貫通できるようになっている。なお，裏面絶縁保護板１０は高さが低いため，ＩＥＣレールに取り付けるための取り付け部は設けていない。
【００１８】
本実施例の場合も先に述べた回路遮断器の主要内部構成部品を，カバー１とケース２に収容しているため，裏蓋３を裏面絶縁保護板１０に取り替えることで，部品の共用化を行いながら２種類の高さの回路遮断器を提供することができる。外形寸法において，高さは，前記協約形配線用遮断器に比べて取付け面からハンドルに向かう方向の高さが裏蓋３と裏面絶縁保護板１０の差分だけ低くなるよう構成される。
【００１９】
回路遮断器の組立工程においては高さが異なることを意識せずにハンドル４や，開閉機構６，引き外し装置７等の組立を２のケースだけに同一工程及び同一手順で行えばよく，定格容量等が同一の場合であれば，一種類の組立作業でケースへの組立は完了する。その後裏蓋３もしくは裏面絶縁保護板１０を取り付けることで高さの異なる２種類の回路遮断器の提供を行うことができる。
【００２０】
図６には，高さが異なる裏蓋３を取付けた場合の回路遮断器を比較した例を示している。回路遮断器の主要内部構成部品をカバー１とケース２にて収容するようにしているため，Ｌ１，Ｌ２，Ｌ３を違えて裏蓋３を構成し，該裏蓋３をケース２に選択的に組合わせ被着することで，種々の高さの回路遮断器を提供することが可能である。先に説明したように，回路遮断器の組立工程においては高さが異なることを意識せずにハンドル４や，開閉機構６，引き外し装置７等の組立を２のケースだけに同一工程及び同一手順で行えばよく，定格容量等が同一の場合であれば，一種類の組立作業でケースへの組立は完了する。その後裏蓋３を取り付けることで高さの異なる複数種類の回路遮断器の提供を行うことができる。このように，ＪＩＳに規定された電灯分電盤協約形配線用遮断器の外形寸法に適合した回路遮断器や，該協約形配線用遮断器に比べて高さが低い回路遮断器や，または，裏蓋３の高さを高くすることにより高さの高い回路遮断器を効率よく提供することが可能である。
【００２１】
部品の生産面においては，同一の主要内部構成部品を製作することで多種の回路遮断器の生産が可能になるため，例えば自動機による組立の場合には，機械の設定や，組立の制御プログラムを外形の異なる回路遮断器それぞれに合わせて種々行うことが不要になり，生産ラインのコストダウンが行える。また，同定格容量の場合，主要内部構成部品は一種類でよく，複数種類対応のための在庫ストック等が不要になることから作り置き部品の種類や数を低減でき効率のよい生産が行える。
【００２２】
本発明の回路遮断器を分電盤に配設する場合，高さの異なる分電盤を構成し提供することができる。図７には，高さの異なる種々の裏蓋３を用いて構成した回路遮断器を用いて，高さの異なる分電盤を形成した例を示している。
【００２３】
例えば分電盤のフリースペースに設置機器があり，分電盤の高さが高くなるような場合には裏蓋３に適切な高さのものを用いて高さの高い回路遮断器１１を構成することで高さの高い分電盤１３を提供することが可能である。また，より高さの低い分電盤を提供する場合には回路遮断器の裏蓋の高さを低くしたもので器体を構成した高さの低い回路遮断器１２を用いることにより高さの低い分電盤１４を提供することができる。
【００２４】
【発明の効果】
以上のように本件発明によれば，高さの異なる回路遮断器を提供する場合において，内部構成部品やカバーの共用化が行え，部品管理や在庫管理が容易になり，ひいては生産ラインを共用化できると共に組立工数が削減できる回路遮断器および分電盤を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の回路遮断器の外観概略図。
【図２】カバー，ケース。裏蓋を分離した図。
【図３】裏蓋の底面側から見た図。
【図４】本発明の回路遮断器の外観概略図。
【図５】カバー，ケース，裏面絶縁保護板を分離した図。
【図６】種々の裏蓋を装着して回路遮断器の高さを比較した図。
【図７】高さの異なる分電盤を示した図。
【図８】従来の回路遮断器を示した図。
【符号の説明】
１ カバー
２ ケース
３ 裏蓋
４ ハンドル
５ 導電部
６ 開閉機構
７ 引き外し装置
１０１ ハンドル挿通孔
１０ 裏面絶縁保護板

Claims (3)

1. 電路に流れる電流を検出し，過電流や漏洩電流等の異常電流が発生した場合には，電路を強制的に開路し電流を遮断する回路遮断器において，該回路遮断器の器体を，該回路遮断器の接点を開閉操作するハンドルの一部を露出させるハンドル挿通孔を設けたカバーと，該カバーが取り付けられて，器体の外部に突出し回路遮断器の開閉操作可能な取っ手部を有するハンドルの一部と，電路に接続される導電部と，固定接点を有する固定接触子と該固定接触子に対向して接離する可動接点を有する可動接触子とからなる接点装置と，該接点装置を駆動するハンドルと連結された開閉機構と，異常電流に応動して前記開閉機構を動作させる引き外し装置等の，回路遮断器の主要内部構成部品を収容するケースと，該ケースに取り付けられて回路遮断器の取付け面を構成する裏蓋とから構成し，回路遮断器の取付け面からハンドルに向かう方向の寸法が異なる複数の種類の前記裏蓋を用意して，該裏蓋をケースに選択的に組み合わせることで，該回路遮断器の取付け面から操作面までの高さを違えて形成することを特徴とする回路遮断器。
2. 前記ケースの遮断器取付面側に，所定の裏蓋を取付けることで器体の寸法を電灯分電盤協約形配線用遮断器の寸法に沿った大きさに形成することを特徴とした請求項１記載の回路遮断器。
3. 請求項１記載，もしくは請求項２記載の回路遮断器を具備することを特徴とする分電盤。

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