JP3596303B2 - エンジンの回転速度検出装置 - Google Patents
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- Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明はエンジンの回転速度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン回転速度の検出装置として、所定のクランク角毎に出力する信号間に要する経過時間を計測し、この計測値の逆数に比例させてエンジン回転速度を得るものが一般的である(特開平6−459127号公報参照)。
【0003】
たとえばクランク角の基準位置毎に出力する信号にREF信号があり、このREF信号は、6気筒エンジンの場合、120度毎の信号となる。このREF信号間の時間間隔をTREF(単位ms)とすれば、後述する数1式によりエンジン回転速度KNRPM(単位rpm)が計算されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の検出装置ではREF信号がコントロールユニットに入力したタイミングで回転速度が更新されるので、REF信号の入力間隔が長くなっていくアイドルからのエンジン停止時には、更新のタイミングが遅くなり、実際のエンジン回転速度からのズレが大きくなる。これを具体的に図2に示すと、実際の回転速度がほぼ直線的に落ちてゆくのに対して、上記のエンジン回転速度KNRPMは破線で示したように階段状に落ちてゆく。この場合、回転速度の低下とともに、REF信号間の時間間隔が長くなってゆくため、エンジン停止に近づくほどREF信号の入力直前での実回転速度からのズレが大きくなっている。
【0005】
特に、エンジン停止後にはREF信号が入力されないので、エンジンは停止しているのに、エンジン停止直前のREF信号の入力タイミングで計算された回転速度N3がそのまま保持されてしまう。
【0006】
これに対処するため、REF信号間の時間間隔を計測しているタイマと所定値を比較し、そのタイマが所定値を超えたときにエンジン停止と判定し、回転速度KNRPMを0にしているのであるが、このエンジン停止の判定タイミングは実際のエンジン停止タイミングよりもかなり遅れることになってしまう。
【0007】
そこで本発明は、新たなエンジン回転速度(後述する第2回転速度、第3回転速度)を創造することにより、運転中の点火停止から直線的に低下する実回転速度を精度良くトレースさせることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図8に示すように、クランク角の基準位置信号の時間間隔TREFを計測する手段21と、この計測された時間間隔TREFの逆数に比例するエンジン回転速度を第1回転速度KNRPMとして前記基準位置信号の入力毎に演算する手段22と、前記基準位置信号の今回の入力タイミングでの第1回転速度KNRPM(new)を2倍した値より前記基準位置信号の前回の入力タイミングでの第2回転速度RNRPM(old)を差し引いた値を前記基準位置信号の今回の入力タイミングでの第2回転速度RNRPM(new)として演算し、この今回の入力タイミングでの第2回転速度RNRPM(new)を、検出すべきエンジン回転速度とする手段23とを備える。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において前記第2回転速度RNRPMの所定時間当たりの変化量DNを計算する手段と、この計算された所定時間当たりの変化量DNと前記今回の入力タイミングでの第2回転速度RNRPMとを用いて次回の基準位置信号の入力までの間、実回転速度をトレースするエンジン回転速度を第3回転速度TNRPMとして演算し、この第3回転速度TNRPMを、検出すべきエンジン回転速度とする手段とを備える。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において前記第3回転速度TNRPMが0または負の値となったときエンジンが停止したと判定する。
【0011】
第4の発明では、第2または第3の発明において前記第2回転速度RNRPMの所定時間当たりの変化量DNの過去複数回の平均値または前記第2回転速度RNRPMの所定時間当たりの変化量DNの加重平均値AVDNを計算するとともに、前記第3回転速度TNRPMを演算するのに際して、前記所定時間当たりの変化量DNに代えてこの平均値を用いる。
【0012】
第5の発明では、第4の発明において前記第1回転速度 KNRPM が所定値未満となったときからまたは前記平均値が所定値未満となったときから前記第2回転速度RNRPMの演算を行わない。
【0013】
【発明の効果】
第1の発明によれば、第2回転速度RNRPMにより、運転中の点火停止から直線的に低下する実回転速度を精度良くトレースすることができる。
【0014】
第2の発明によれば、第3回転速度TNRPMにより、運転中の点火停止から直線的に低下する実回転速度を、次回のクランク角の基準位置信号が入力するまでの間も、精度良くトレースすることができる。
【0015】
第3の発明によれば、エンジン停止の判定タイミングを実際のエンジン停止タイミングに近づけることができる。
【0016】
第4の発明によれば、第3回転速度の折れ曲がり点がクランク角の基準位置信号の入力タイミングと外れるときでも、第3回転速度を0に向かって収束させることができる。
【0017】
第5の発明によれば、エンジン停止直前にエンジンの揺り戻し(逆転)が発生してもその影響を受けることがない。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は光電式クランク角センサの検出原理を説明するための配置図である。なお、光電式クランク角センサそのものは広く実用化されている(特開平2−233880号公報)。
【0019】
同図において、光電式クランク角センサ1は、発光ダイオード、受光ダイオード、信号発生用ロータプレート2からなる。
【0020】
なお、クランク角センサの取り付け位置は図示しないが、たとえば直列6気筒DOHCエンジンの場合、排気側カムシャフト先端にロータープレート駆動用の溝が設けられている。
【0021】
上記のロータプレート2を挟むようにして一対の発光ダイオード11、12と受光ダイオード13、14が組みつけられており、ロータプレート2が排気側カムシャフトと一体で回転すると、発光ダイオード11と受光ダイオード13の間を1°信号用スリット(外周に360個)3が通過したとき、あるいは発光ダイオード12と受光ダイオード14の間をREF信号用スリット(内周に6個)4、5、6、7、8、9が通過したとき発光ダイオードからの赤外光が受光ダイオードに照射され、各スリットが遠のくと、受光ダイオードへの赤外光が遮断される。受光ダイオードは、ダイオードの接合面に外部から光を当てると電気抵抗が小さくなる性質をもっており、この抵抗変化を電圧変化に変換して“1”、“0”の各信号が作られる(つまり受光ダイオードは、光が当たれば電圧を発生し、光が当たらなければ電圧を発生しない)。そして、クランク角センサからのこれら2種類の信号がコンピュータからなるコントロールユニット(図示しない)に入力され、クランク角信号として(受光ダイオード13からの信号は1°信号として、受光ダイオード14からの信号はREF信号として)利用される。
【0022】
なお、6個のREF信号用スリットのうち、一つだけ他のスリットに比べて周方向に幅の広いものが作られ、その幅広のスリット4が通過するときには他のスリットが通過するときに発生するREF信号より幅(角度)が大きくなる。この幅広のREF信号と他のREF信号とが違うということがコンピュータにより判別できるので、その幅広のREF信号が1番気筒ということにしておけば、気筒の判別ができることになる。
【0023】
さて、上記のREF信号の入力毎にREF信号間の時間間隔(以下「REF信号周期」という)TREF(単位ms)をタイマにより計測し、
【0024】
【数1】
KNRPM=60000÷TREF×(120÷360)=20000÷TREF
の式によりエンジン回転速度KNRPM(単位rpm)を得ることが従来より一般的である。
【0025】
しかしながら、このような従来の回転速度の検出によれば、REF信号が入力したタイミングで上記の回転速度KNRPMが最新の値へと更新されるので、REF信号の入力間隔が長くなっていくアイドルからのエンジン停止にかけては、更新のタイミングが遅くなり、実際のエンジン回転速度からのズレが大きくなる。
【0026】
これを図2に示すと、実線で示す実際の回転速度がほぼ直線的に落ちてゆくのに対して、破線で示す上記の回転速度KNRPMはREF信号の入力毎に階段状に落ちてゆく。この場合、回転速度の低下とともに、REF信号周期TREFが長くなるため、エンジン停止に近づくほどREF信号の入力直前での実回転速度からのズレが大きくなっている。
【0027】
特に、エンジン停止後にはREF信号が入力されないので、エンジンは停止しているのに、エンジン停止直前のREF信号の入力タイミングで計算された回転速度がそのまま保持されてしまう。
【0028】
そこで、REF信号周期TREFを計測しているタイマと所定値を比較させ、そのタイマが所定値を超えたときにエンジン停止と判定し回転速度KNRPMを0にしているのであるが、このエンジン停止の判定タイミングは実際のエンジン停止タイミングよりもかなり遅れることになる。
【0029】
ところで、図2に示したように、アイドル状態から点火を停止した場合のエンジン回転速度の低下速度はほぼ一定である(たとえば1ms間に1rpm程度のスピードで低下する)。この低下速度はエンジンフリクションや補機負荷によって変動するものの短い時間でみると一定である。
【0030】
そこで本発明の実施の形態では、運転中に点火を停止した後のエンジン回転速度の低下速度はほぼ一定で、エンジン停止まで継続するとして、実回転速度を予測する。
【0031】
これを図3を用いてさらに詳述すると、図3は図2のA部を拡大したものである。
【0032】
図3において、t2のREF信号の入力タイミングで計測されるREF信号周期TREF(old)より計算される回転速度KNRPMは、TREF(old)間の平均値、つまりN1とN2の平均値であり、この平均値(=(N1+N2)/2)が次のREF信号の入力タイミングのt3まで保持される。同様にして、t3のタイミングで計測されるREF信号周期TREF(new)より計算される回転速度KNRPMは、TREF(new)間の平均値、つまりN2とN3の平均値であり、この平均値(=(N2+N3)/2)が次のREF信号の入力タイミングまで保持される。このようにして更新されるKNRPM(破線で示す)は、実回転速度(実線で示す)よりも離れた位置を階段状に落ちていくことになる。なお、後述する一点鎖線の回転速度と重なると、見にくくなるので、少しずらした位置に示している。
【0033】
いま、階段状の破線特性を下方にシフトさせて、角が実回転速度と一致させた新たな回転速度(一点鎖線の特性)を考える。上記の回転速度KNRPMと区別するため、以下では上記のKNRPMを第1回転速度、この新たな回転速度を第2回転速度RNRPMという。このとき、t3のタイミングでの第2回転速度をRNRPM(new)、t2のタイミングでの第2回転速度をRNRPM(old)とおけば、第1回転速度KNRPM(new)は第2回転速度RNRPM(old)とRNRPM(new)の平均値である。これを式に表せば、
【0034】
【数2】
KNRPM(new)={RNRPM(old)+RNRPM(new)}/2
であり、この数2式を第2回転速度RNRPM(new)について解くことにより次式が得られる。
【0035】
【数3】
RNRPM(new)=2×KNRPM(new)−RNRPM(old)
つまり、この数3式により、実回転速度を階段状にトレースする回転速度である第2回転速度が得られる。
【0036】
ただし、エンジン停止に近づくほど、前述したようにREF信号周期が長くなり、第2回転速度RNRPM(new)といえども実回転速度からのズレが大きくなるので、一定時間毎(たとえば10ms毎)に回転速度を更新することを考える。
【0037】
ここで、第2回転速度RNRPMの所定時間当たり(10ms当たり)の変化量DN(new)は
【0038】
【数4】
DN(new)=10×{RNRPM(new)−RNRPM(old)}/TREF(new)
の式により計算されるので、図3においてt3以後も同じ低下速度であると仮定すれば、図4に示したように、数3式で第2回転速度RNRPM(new)を計算した後、10ms毎に数4式の10ms当たりの変化量DN(new)を加えてゆけば(ただし、数4式の左辺の値はマイナスなので実質的には減算になる)、エンジン停止までの実回転速度を精度良くトレースすることができる。次回のREF信号の入力までの間、実回転速度をトレースするこのエンジン回転速度(図4の二点鎖線参照)は第3回転速度TNRPMとして、後述するように演算する。
【0039】
コントロールユニットで実行されるこの制御の内容を以下のフローチャートにしたがって説明する。
【0040】
まず図5はREF信号の入力毎に実行するものである。なお、以下で得られるエンジン回転速度の単位はすべてrpm(revolutions par minute)である。
【0041】
ステップ1ではREF間周期TREF(=TREF(new))を読み込み、このTREFを用いステップ2において上記の数1式により、従来と同じに第1回転速度KNRPM(=KNRPM(new))を計算する。
【0042】
ステップ3ではフラグ#FESYOYをみる。このフラグは#FESYOY=1のときエンスト予約状態(今後エンストすることが避けられない状態)にあることを、また#FESYOY=0のときエンスト予約状態にないことを示すフラグである。エンジンの始動時には#FESYOY=0となっているので、アイドル状態からイグニッションキースイッチをOFFにして点火を停止した直後であれば、#FESYOY=0であり、したがってステップ4以降に進む。
【0043】
ステップ4では、上記の第1回転速度KNRPMを用いて上記の数3式により第2回転速度RNRPMを求め、この求めた第2回転速度RNRPMの値をステップ5において第3回転速度TNRPMに移す。TNRPMは第2回転速度RNRPMの変化速度に基づいて次回のREF信号の入力までの間の実回転速度を予測したもので、第2回転速度RNRPMが更新されたときTNRPM=RNRPMとなり、図6のステップ21で後述するように、その後にREF信号が入力されるまで所定時間(10ms)毎に更新される。
【0044】
なお、数3式のRNRPM(old)の値は、図5の処理を開始する直前にRNRPM(new)の値をRNRPM(old)に移すことによって得られる。また、RNRPM(old)の初期値としては、たとえばエンジン停止に際してイグニッションキースイッチがOFFにされたときの第1回転速度KNRPMを用いればよい。
【0045】
ステップ6では第2回転速度RNRPM(new)とRNRPM(old)およびREF信号周期TREFを用いて、上記の数4式により第2回転速度の10ms当たりの変化速度DN(=DN(new))を計算する。ここで、DNは第2回転速度の低下時は負の値となり、上昇時は正の値となる。
【0046】
ステップ7ではこの変化速度DNを用いて
【0047】
【数5】
AVDN(new)=DN×K+AVDN(old)×(1−K)
ただし、AVDN(old):AVDN(new)の前回値
K:加重平均係数(0から1.0までの値)
の式により変化速度DNの加重平均値AVDNを計算する。
【0048】
なお、AVDN(old)の初期値としては、DN(new)の初回計算値を用いればよい。
【0049】
ここで、加重平均値としたのは次の通りである。後述する第3回転速度TNRPMは、図7に示したように、あるタイミングより折れ曲がって下降することになる。この場合に、折れ曲がり点がREF信号の入力タイミングと外れるときは(図7の一点鎖線参照)、第3回転速度TNRPMが0に向かって収束しないことが分かった。そこで、DNに対して加重平均をとると、折れ曲がり点がREF信号が入力しないタイミングにきたときでも第3回転速度TNRPMを0に向かって収束させることがでは(図7の実線参照)、DNに対して加重平均をとらなくても、0に向かって第3回転速度TNRPMが収束することはいうまでもない。
【0050】
図5のステップ8、9はエンスト予約状態判定条件が成立したかどうかをみる部分である。具体的には、第1回転速度KNRPMと所定値NESYO#(たとえば400rpm程度)を、またDNと所定値DNESYO#(たとえば−1rpm/ms程度)を比較する。
【0051】
比較の結果、KNRPM≧NESYO#またはDN≧NESYO#のときは、エンスト予約状態判定条件が不成立と判断してステップ8、9からステップ10に進み、カウンタCESYOYを0にリセットして図5の処理を終了する。アイドル状態でイグニッションキースイッチをOFFにした直後には、第1回転速度KNRPMが所定値NESYO#以上であるので、ステップ8、9からステップ10に進むわけである。
【0052】
一方、KNRPM<NESYO#かつDN<NESYO#のときは、エンスト予約状態判定条件が成立したと判断してステップ11に進み、カウンタCESYOYをインクリメントし、このカウンタCESYOYと所定値JESYO#(たとえば3回程度)をステップ12において比較する。このカウンタCESYOYはエンスト予約状態判定条件が成立した回数を数えるカウンタである。CESYOY>JESYO#になると、ステップ12よりステップ13に進み、エンスト予約状態判定フラグ#FESYOY=1として図5の処理を終了する。
【0053】
エンスト予約状態判定フラグ#FESYOYの実際の動きを説明すると、図3に示したように、エンジン停止よりも少し前に0から1へと切換えられる。エンジン停止よりも少し前に1に切換えるようにしたのは、エンジン停止直前にエンジンの揺り戻し(逆転)が発生する場合への対処のためである。
【0054】
これを説明すると、たとえばV6気筒エンジンの点火順序を#1−#2−#3−#4−#5−#6としたとき、1番気筒のREF信号の入力後は、2番気筒のREF信号の入力までの120度区間のREF信号周期を計測しなければならない。しかしながら、エンジンが揺り戻した場合は1番気筒のREF信号が入力した後、逆にエンジンが回って再び1番気筒のREF信号が入ることがあり、揺り戻すクランク角位置によってはREF信号間周期が短くなり、第1回転速度KNRPMが前回よりも上昇する。しかしながら、この上昇した第1回転速度KNRPMは誤った計測である。つまり、図5においてステップ3、ステップ8〜13がないときは、エンジン停止直前にエンジンの揺り戻し(逆転)が発生する場合に、誤計測が生じてしまうのである。
【0055】
これに対して、本発明では、上記の揺り戻しによる1番気筒のREF信号の再入力で第1回転速度KNRPMが前回よりも上昇したとしても、その時点では、エンスト予約状態判定フラグ=1の状態にあるので、図5においてステップ4以降に進むことがない。つまり、エンスト予約状態判定フラグが1に切換わったタイミングで演算された第3回転速度TNRPMが、エンジン停止直前のエンジンの揺り戻し(逆転)の発生に関係なく、エンジン停止まで保持されるのである。
【0056】
図6は図5とは独立に10ms毎に実行する。
【0057】
ステップ21では
【0058】
【数6】
TNRPM(new)=TNRPM(old)+AVDN
ただし、TNRPM(old):TNRPM(new)の前回値
の式により第3回転速度TNRPMをサイクリックに更新する。
【0059】
なお、数6式のTNRPM(old)の値は、図6の処理を開始する直前にTNRPM(new)の値をTNRPM(old)に移すことによって得られる。また、TNRPM(old)の初期値としては、たとえば運転中のイグニッションキースイッチのOFF時の第1回転速度KNRPMを用いればよい。また、AVDN(new)は図5により得られている。
【0060】
数6式のAVDNはマイナスの値であるので、第3回転速度TNRPMは10ms毎にAVDNの分ずつ小さくなってゆく。
【0061】
ステップ22以降はエンジンが停止したかどうかを判定する部分である。
【0062】
ステップ22では第3回転速度TNRPM(new)と0を比較し、TNRPM(new)<0となれば、エンジンが停止したと判定し、ステップ23に進んで、第3回転速度TNRPM(new)に0を入れる。第3回転速度TNRPM(new)は予測値であるため、エンジン停止直前のエンジンの揺り戻し(逆転)の発生に関係なく、一定のスピードで減少し、やがて負の値になる。そこで、第3回転速度が負の値になったときは、エンジン停止とみなすわけである。
【0063】
ステップ24、25ではエンジン停止判定フラグ=1、エンスト予約状態判定フラグ#FESYOY=0として図6の処理を終了する。エンスト予約状態判定フラグ#FESYOY=0としたのは、次回運転時に備えるためである。エンジン停止判定フラグ=1としたのは、このフラグを確認して行わせる作業(たとえばセルフシャットオフ処理の実行)があるためである。
【0064】
このように、本発明の実施の形態では、REF信号周期TREFの逆数に比例するエンジン回転速度を第1回転速度KNRPMとして演算し、運転中の点火停止から直線的に低下する実回転速度を、REF信号の入力毎に階段状にトレースするエンジン回転速度を第2回転速度RNRPMとして、前記第1回転速度KNRPMに基づいて演算し、この第2回転速度RNRPMの所定時間当たりの変化量DNを計算し、この計算された所定時間当たりの変化量DNと第2回転速度RNRPMとを用いて次回のREF信号の入力までの間、実回転速度をトレースするエンジン回転速度を第3回転速度TNRPMとして演算するようにしたので、第3回転速度TNRPMによれば、運転中の点火停止から直線的に低下する実回転速度を精度良くトレースすることができる。
【0065】
また、第3回転速度TNRPMが0となったときエンジンが停止したと判定するので、エンジン停止の判定タイミングを実際のエンジン停止タイミングに近づけることができる。
【0066】
また、エンスト予約状態判定フラグ#FESYOYを導入し、エンジン停止よりも少し前に1に切換え、これ以後はREF信号が入力しても、第2回転速度RNRPM、RNRPMの所定時間当たりの変化量DNの演算を行わないようにしたので、エンジン停止直前にエンジンの揺り戻し(逆転)が発生してもその影響を受けることがない。
【0067】
また、所定時間当たりの変化量DNの加重平均値AVDNを計算し、第3回転速度TNRPMを演算するのに際して、前記所定時間当たりの変化量DNに代えてこの加重平均値AVDNを用いるようにしたので、第3回転速度TNRPMの折れ曲がり点がREF信号の入力タイミングと外れるときでも、第3回転速度TNRPMを0に向かって収束させることができる。
【0068】
実施形態では、加重平均値で説明したが、DNの過去複数回の平均値でもかまわない。
【0069】
実施形態ではクランク角センサが光電式である場合で説明したが、これに限られるものでなく、磁気式にも適用することができる。さらに6気筒DOHCエンジンに限られるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】光電式クランク角センサの検出原理を説明するための配置図。
【図2】アイドル状態から点火を停止した場合のエンジン回転速度の変化を示す波形図。
【図3】図2のA部拡大図。
【図4】第3回転速度TNRPMの10ms毎の変化を示す波形図。
【図5】REF信号の入力毎に処理されるフローチャート。
【図6】10ms毎に処理されるフローチャート。
【図7】第3回転速度TNRPMの折れ曲がり点を説明するための波形図。
【図8】第1の発明のクレーム対応図。
【符号の説明】
2 ロータプレート
11、12 発光ダイオード
13、14 受光ダイオード
【発明の属する技術分野】
この発明はエンジンの回転速度検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジン回転速度の検出装置として、所定のクランク角毎に出力する信号間に要する経過時間を計測し、この計測値の逆数に比例させてエンジン回転速度を得るものが一般的である(特開平6−459127号公報参照)。
【0003】
たとえばクランク角の基準位置毎に出力する信号にREF信号があり、このREF信号は、6気筒エンジンの場合、120度毎の信号となる。このREF信号間の時間間隔をTREF(単位ms)とすれば、後述する数1式によりエンジン回転速度KNRPM(単位rpm)が計算されることになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の検出装置ではREF信号がコントロールユニットに入力したタイミングで回転速度が更新されるので、REF信号の入力間隔が長くなっていくアイドルからのエンジン停止時には、更新のタイミングが遅くなり、実際のエンジン回転速度からのズレが大きくなる。これを具体的に図2に示すと、実際の回転速度がほぼ直線的に落ちてゆくのに対して、上記のエンジン回転速度KNRPMは破線で示したように階段状に落ちてゆく。この場合、回転速度の低下とともに、REF信号間の時間間隔が長くなってゆくため、エンジン停止に近づくほどREF信号の入力直前での実回転速度からのズレが大きくなっている。
【0005】
特に、エンジン停止後にはREF信号が入力されないので、エンジンは停止しているのに、エンジン停止直前のREF信号の入力タイミングで計算された回転速度N3がそのまま保持されてしまう。
【0006】
これに対処するため、REF信号間の時間間隔を計測しているタイマと所定値を比較し、そのタイマが所定値を超えたときにエンジン停止と判定し、回転速度KNRPMを0にしているのであるが、このエンジン停止の判定タイミングは実際のエンジン停止タイミングよりもかなり遅れることになってしまう。
【0007】
そこで本発明は、新たなエンジン回転速度(後述する第2回転速度、第3回転速度)を創造することにより、運転中の点火停止から直線的に低下する実回転速度を精度良くトレースさせることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の発明は、図8に示すように、クランク角の基準位置信号の時間間隔TREFを計測する手段21と、この計測された時間間隔TREFの逆数に比例するエンジン回転速度を第1回転速度KNRPMとして前記基準位置信号の入力毎に演算する手段22と、前記基準位置信号の今回の入力タイミングでの第1回転速度KNRPM(new)を2倍した値より前記基準位置信号の前回の入力タイミングでの第2回転速度RNRPM(old)を差し引いた値を前記基準位置信号の今回の入力タイミングでの第2回転速度RNRPM(new)として演算し、この今回の入力タイミングでの第2回転速度RNRPM(new)を、検出すべきエンジン回転速度とする手段23とを備える。
【0009】
第2の発明では、第1の発明において前記第2回転速度RNRPMの所定時間当たりの変化量DNを計算する手段と、この計算された所定時間当たりの変化量DNと前記今回の入力タイミングでの第2回転速度RNRPMとを用いて次回の基準位置信号の入力までの間、実回転速度をトレースするエンジン回転速度を第3回転速度TNRPMとして演算し、この第3回転速度TNRPMを、検出すべきエンジン回転速度とする手段とを備える。
【0010】
第3の発明では、第2の発明において前記第3回転速度TNRPMが0または負の値となったときエンジンが停止したと判定する。
【0011】
第4の発明では、第2または第3の発明において前記第2回転速度RNRPMの所定時間当たりの変化量DNの過去複数回の平均値または前記第2回転速度RNRPMの所定時間当たりの変化量DNの加重平均値AVDNを計算するとともに、前記第3回転速度TNRPMを演算するのに際して、前記所定時間当たりの変化量DNに代えてこの平均値を用いる。
【0012】
第5の発明では、第4の発明において前記第1回転速度 KNRPM が所定値未満となったときからまたは前記平均値が所定値未満となったときから前記第2回転速度RNRPMの演算を行わない。
【0013】
【発明の効果】
第1の発明によれば、第2回転速度RNRPMにより、運転中の点火停止から直線的に低下する実回転速度を精度良くトレースすることができる。
【0014】
第2の発明によれば、第3回転速度TNRPMにより、運転中の点火停止から直線的に低下する実回転速度を、次回のクランク角の基準位置信号が入力するまでの間も、精度良くトレースすることができる。
【0015】
第3の発明によれば、エンジン停止の判定タイミングを実際のエンジン停止タイミングに近づけることができる。
【0016】
第4の発明によれば、第3回転速度の折れ曲がり点がクランク角の基準位置信号の入力タイミングと外れるときでも、第3回転速度を0に向かって収束させることができる。
【0017】
第5の発明によれば、エンジン停止直前にエンジンの揺り戻し(逆転)が発生してもその影響を受けることがない。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は光電式クランク角センサの検出原理を説明するための配置図である。なお、光電式クランク角センサそのものは広く実用化されている(特開平2−233880号公報)。
【0019】
同図において、光電式クランク角センサ1は、発光ダイオード、受光ダイオード、信号発生用ロータプレート2からなる。
【0020】
なお、クランク角センサの取り付け位置は図示しないが、たとえば直列6気筒DOHCエンジンの場合、排気側カムシャフト先端にロータープレート駆動用の溝が設けられている。
【0021】
上記のロータプレート2を挟むようにして一対の発光ダイオード11、12と受光ダイオード13、14が組みつけられており、ロータプレート2が排気側カムシャフトと一体で回転すると、発光ダイオード11と受光ダイオード13の間を1°信号用スリット(外周に360個)3が通過したとき、あるいは発光ダイオード12と受光ダイオード14の間をREF信号用スリット(内周に6個)4、5、6、7、8、9が通過したとき発光ダイオードからの赤外光が受光ダイオードに照射され、各スリットが遠のくと、受光ダイオードへの赤外光が遮断される。受光ダイオードは、ダイオードの接合面に外部から光を当てると電気抵抗が小さくなる性質をもっており、この抵抗変化を電圧変化に変換して“1”、“0”の各信号が作られる(つまり受光ダイオードは、光が当たれば電圧を発生し、光が当たらなければ電圧を発生しない)。そして、クランク角センサからのこれら2種類の信号がコンピュータからなるコントロールユニット(図示しない)に入力され、クランク角信号として(受光ダイオード13からの信号は1°信号として、受光ダイオード14からの信号はREF信号として)利用される。
【0022】
なお、6個のREF信号用スリットのうち、一つだけ他のスリットに比べて周方向に幅の広いものが作られ、その幅広のスリット4が通過するときには他のスリットが通過するときに発生するREF信号より幅(角度)が大きくなる。この幅広のREF信号と他のREF信号とが違うということがコンピュータにより判別できるので、その幅広のREF信号が1番気筒ということにしておけば、気筒の判別ができることになる。
【0023】
さて、上記のREF信号の入力毎にREF信号間の時間間隔(以下「REF信号周期」という)TREF(単位ms)をタイマにより計測し、
【0024】
【数1】
KNRPM=60000÷TREF×(120÷360)=20000÷TREF
の式によりエンジン回転速度KNRPM(単位rpm)を得ることが従来より一般的である。
【0025】
しかしながら、このような従来の回転速度の検出によれば、REF信号が入力したタイミングで上記の回転速度KNRPMが最新の値へと更新されるので、REF信号の入力間隔が長くなっていくアイドルからのエンジン停止にかけては、更新のタイミングが遅くなり、実際のエンジン回転速度からのズレが大きくなる。
【0026】
これを図2に示すと、実線で示す実際の回転速度がほぼ直線的に落ちてゆくのに対して、破線で示す上記の回転速度KNRPMはREF信号の入力毎に階段状に落ちてゆく。この場合、回転速度の低下とともに、REF信号周期TREFが長くなるため、エンジン停止に近づくほどREF信号の入力直前での実回転速度からのズレが大きくなっている。
【0027】
特に、エンジン停止後にはREF信号が入力されないので、エンジンは停止しているのに、エンジン停止直前のREF信号の入力タイミングで計算された回転速度がそのまま保持されてしまう。
【0028】
そこで、REF信号周期TREFを計測しているタイマと所定値を比較させ、そのタイマが所定値を超えたときにエンジン停止と判定し回転速度KNRPMを0にしているのであるが、このエンジン停止の判定タイミングは実際のエンジン停止タイミングよりもかなり遅れることになる。
【0029】
ところで、図2に示したように、アイドル状態から点火を停止した場合のエンジン回転速度の低下速度はほぼ一定である(たとえば1ms間に1rpm程度のスピードで低下する)。この低下速度はエンジンフリクションや補機負荷によって変動するものの短い時間でみると一定である。
【0030】
そこで本発明の実施の形態では、運転中に点火を停止した後のエンジン回転速度の低下速度はほぼ一定で、エンジン停止まで継続するとして、実回転速度を予測する。
【0031】
これを図3を用いてさらに詳述すると、図3は図2のA部を拡大したものである。
【0032】
図3において、t2のREF信号の入力タイミングで計測されるREF信号周期TREF(old)より計算される回転速度KNRPMは、TREF(old)間の平均値、つまりN1とN2の平均値であり、この平均値(=(N1+N2)/2)が次のREF信号の入力タイミングのt3まで保持される。同様にして、t3のタイミングで計測されるREF信号周期TREF(new)より計算される回転速度KNRPMは、TREF(new)間の平均値、つまりN2とN3の平均値であり、この平均値(=(N2+N3)/2)が次のREF信号の入力タイミングまで保持される。このようにして更新されるKNRPM(破線で示す)は、実回転速度(実線で示す)よりも離れた位置を階段状に落ちていくことになる。なお、後述する一点鎖線の回転速度と重なると、見にくくなるので、少しずらした位置に示している。
【0033】
いま、階段状の破線特性を下方にシフトさせて、角が実回転速度と一致させた新たな回転速度(一点鎖線の特性)を考える。上記の回転速度KNRPMと区別するため、以下では上記のKNRPMを第1回転速度、この新たな回転速度を第2回転速度RNRPMという。このとき、t3のタイミングでの第2回転速度をRNRPM(new)、t2のタイミングでの第2回転速度をRNRPM(old)とおけば、第1回転速度KNRPM(new)は第2回転速度RNRPM(old)とRNRPM(new)の平均値である。これを式に表せば、
【0034】
【数2】
KNRPM(new)={RNRPM(old)+RNRPM(new)}/2
であり、この数2式を第2回転速度RNRPM(new)について解くことにより次式が得られる。
【0035】
【数3】
RNRPM(new)=2×KNRPM(new)−RNRPM(old)
つまり、この数3式により、実回転速度を階段状にトレースする回転速度である第2回転速度が得られる。
【0036】
ただし、エンジン停止に近づくほど、前述したようにREF信号周期が長くなり、第2回転速度RNRPM(new)といえども実回転速度からのズレが大きくなるので、一定時間毎(たとえば10ms毎)に回転速度を更新することを考える。
【0037】
ここで、第2回転速度RNRPMの所定時間当たり(10ms当たり)の変化量DN(new)は
【0038】
【数4】
DN(new)=10×{RNRPM(new)−RNRPM(old)}/TREF(new)
の式により計算されるので、図3においてt3以後も同じ低下速度であると仮定すれば、図4に示したように、数3式で第2回転速度RNRPM(new)を計算した後、10ms毎に数4式の10ms当たりの変化量DN(new)を加えてゆけば(ただし、数4式の左辺の値はマイナスなので実質的には減算になる)、エンジン停止までの実回転速度を精度良くトレースすることができる。次回のREF信号の入力までの間、実回転速度をトレースするこのエンジン回転速度(図4の二点鎖線参照)は第3回転速度TNRPMとして、後述するように演算する。
【0039】
コントロールユニットで実行されるこの制御の内容を以下のフローチャートにしたがって説明する。
【0040】
まず図5はREF信号の入力毎に実行するものである。なお、以下で得られるエンジン回転速度の単位はすべてrpm(revolutions par minute)である。
【0041】
ステップ1ではREF間周期TREF(=TREF(new))を読み込み、このTREFを用いステップ2において上記の数1式により、従来と同じに第1回転速度KNRPM(=KNRPM(new))を計算する。
【0042】
ステップ3ではフラグ#FESYOYをみる。このフラグは#FESYOY=1のときエンスト予約状態(今後エンストすることが避けられない状態)にあることを、また#FESYOY=0のときエンスト予約状態にないことを示すフラグである。エンジンの始動時には#FESYOY=0となっているので、アイドル状態からイグニッションキースイッチをOFFにして点火を停止した直後であれば、#FESYOY=0であり、したがってステップ4以降に進む。
【0043】
ステップ4では、上記の第1回転速度KNRPMを用いて上記の数3式により第2回転速度RNRPMを求め、この求めた第2回転速度RNRPMの値をステップ5において第3回転速度TNRPMに移す。TNRPMは第2回転速度RNRPMの変化速度に基づいて次回のREF信号の入力までの間の実回転速度を予測したもので、第2回転速度RNRPMが更新されたときTNRPM=RNRPMとなり、図6のステップ21で後述するように、その後にREF信号が入力されるまで所定時間(10ms)毎に更新される。
【0044】
なお、数3式のRNRPM(old)の値は、図5の処理を開始する直前にRNRPM(new)の値をRNRPM(old)に移すことによって得られる。また、RNRPM(old)の初期値としては、たとえばエンジン停止に際してイグニッションキースイッチがOFFにされたときの第1回転速度KNRPMを用いればよい。
【0045】
ステップ6では第2回転速度RNRPM(new)とRNRPM(old)およびREF信号周期TREFを用いて、上記の数4式により第2回転速度の10ms当たりの変化速度DN(=DN(new))を計算する。ここで、DNは第2回転速度の低下時は負の値となり、上昇時は正の値となる。
【0046】
ステップ7ではこの変化速度DNを用いて
【0047】
【数5】
AVDN(new)=DN×K+AVDN(old)×(1−K)
ただし、AVDN(old):AVDN(new)の前回値
K:加重平均係数(0から1.0までの値)
の式により変化速度DNの加重平均値AVDNを計算する。
【0048】
なお、AVDN(old)の初期値としては、DN(new)の初回計算値を用いればよい。
【0049】
ここで、加重平均値としたのは次の通りである。後述する第3回転速度TNRPMは、図7に示したように、あるタイミングより折れ曲がって下降することになる。この場合に、折れ曲がり点がREF信号の入力タイミングと外れるときは(図7の一点鎖線参照)、第3回転速度TNRPMが0に向かって収束しないことが分かった。そこで、DNに対して加重平均をとると、折れ曲がり点がREF信号が入力しないタイミングにきたときでも第3回転速度TNRPMを0に向かって収束させることがでは(図7の実線参照)、DNに対して加重平均をとらなくても、0に向かって第3回転速度TNRPMが収束することはいうまでもない。
【0050】
図5のステップ8、9はエンスト予約状態判定条件が成立したかどうかをみる部分である。具体的には、第1回転速度KNRPMと所定値NESYO#(たとえば400rpm程度)を、またDNと所定値DNESYO#(たとえば−1rpm/ms程度)を比較する。
【0051】
比較の結果、KNRPM≧NESYO#またはDN≧NESYO#のときは、エンスト予約状態判定条件が不成立と判断してステップ8、9からステップ10に進み、カウンタCESYOYを0にリセットして図5の処理を終了する。アイドル状態でイグニッションキースイッチをOFFにした直後には、第1回転速度KNRPMが所定値NESYO#以上であるので、ステップ8、9からステップ10に進むわけである。
【0052】
一方、KNRPM<NESYO#かつDN<NESYO#のときは、エンスト予約状態判定条件が成立したと判断してステップ11に進み、カウンタCESYOYをインクリメントし、このカウンタCESYOYと所定値JESYO#(たとえば3回程度)をステップ12において比較する。このカウンタCESYOYはエンスト予約状態判定条件が成立した回数を数えるカウンタである。CESYOY>JESYO#になると、ステップ12よりステップ13に進み、エンスト予約状態判定フラグ#FESYOY=1として図5の処理を終了する。
【0053】
エンスト予約状態判定フラグ#FESYOYの実際の動きを説明すると、図3に示したように、エンジン停止よりも少し前に0から1へと切換えられる。エンジン停止よりも少し前に1に切換えるようにしたのは、エンジン停止直前にエンジンの揺り戻し(逆転)が発生する場合への対処のためである。
【0054】
これを説明すると、たとえばV6気筒エンジンの点火順序を#1−#2−#3−#4−#5−#6としたとき、1番気筒のREF信号の入力後は、2番気筒のREF信号の入力までの120度区間のREF信号周期を計測しなければならない。しかしながら、エンジンが揺り戻した場合は1番気筒のREF信号が入力した後、逆にエンジンが回って再び1番気筒のREF信号が入ることがあり、揺り戻すクランク角位置によってはREF信号間周期が短くなり、第1回転速度KNRPMが前回よりも上昇する。しかしながら、この上昇した第1回転速度KNRPMは誤った計測である。つまり、図5においてステップ3、ステップ8〜13がないときは、エンジン停止直前にエンジンの揺り戻し(逆転)が発生する場合に、誤計測が生じてしまうのである。
【0055】
これに対して、本発明では、上記の揺り戻しによる1番気筒のREF信号の再入力で第1回転速度KNRPMが前回よりも上昇したとしても、その時点では、エンスト予約状態判定フラグ=1の状態にあるので、図5においてステップ4以降に進むことがない。つまり、エンスト予約状態判定フラグが1に切換わったタイミングで演算された第3回転速度TNRPMが、エンジン停止直前のエンジンの揺り戻し(逆転)の発生に関係なく、エンジン停止まで保持されるのである。
【0056】
図6は図5とは独立に10ms毎に実行する。
【0057】
ステップ21では
【0058】
【数6】
TNRPM(new)=TNRPM(old)+AVDN
ただし、TNRPM(old):TNRPM(new)の前回値
の式により第3回転速度TNRPMをサイクリックに更新する。
【0059】
なお、数6式のTNRPM(old)の値は、図6の処理を開始する直前にTNRPM(new)の値をTNRPM(old)に移すことによって得られる。また、TNRPM(old)の初期値としては、たとえば運転中のイグニッションキースイッチのOFF時の第1回転速度KNRPMを用いればよい。また、AVDN(new)は図5により得られている。
【0060】
数6式のAVDNはマイナスの値であるので、第3回転速度TNRPMは10ms毎にAVDNの分ずつ小さくなってゆく。
【0061】
ステップ22以降はエンジンが停止したかどうかを判定する部分である。
【0062】
ステップ22では第3回転速度TNRPM(new)と0を比較し、TNRPM(new)<0となれば、エンジンが停止したと判定し、ステップ23に進んで、第3回転速度TNRPM(new)に0を入れる。第3回転速度TNRPM(new)は予測値であるため、エンジン停止直前のエンジンの揺り戻し(逆転)の発生に関係なく、一定のスピードで減少し、やがて負の値になる。そこで、第3回転速度が負の値になったときは、エンジン停止とみなすわけである。
【0063】
ステップ24、25ではエンジン停止判定フラグ=1、エンスト予約状態判定フラグ#FESYOY=0として図6の処理を終了する。エンスト予約状態判定フラグ#FESYOY=0としたのは、次回運転時に備えるためである。エンジン停止判定フラグ=1としたのは、このフラグを確認して行わせる作業(たとえばセルフシャットオフ処理の実行)があるためである。
【0064】
このように、本発明の実施の形態では、REF信号周期TREFの逆数に比例するエンジン回転速度を第1回転速度KNRPMとして演算し、運転中の点火停止から直線的に低下する実回転速度を、REF信号の入力毎に階段状にトレースするエンジン回転速度を第2回転速度RNRPMとして、前記第1回転速度KNRPMに基づいて演算し、この第2回転速度RNRPMの所定時間当たりの変化量DNを計算し、この計算された所定時間当たりの変化量DNと第2回転速度RNRPMとを用いて次回のREF信号の入力までの間、実回転速度をトレースするエンジン回転速度を第3回転速度TNRPMとして演算するようにしたので、第3回転速度TNRPMによれば、運転中の点火停止から直線的に低下する実回転速度を精度良くトレースすることができる。
【0065】
また、第3回転速度TNRPMが0となったときエンジンが停止したと判定するので、エンジン停止の判定タイミングを実際のエンジン停止タイミングに近づけることができる。
【0066】
また、エンスト予約状態判定フラグ#FESYOYを導入し、エンジン停止よりも少し前に1に切換え、これ以後はREF信号が入力しても、第2回転速度RNRPM、RNRPMの所定時間当たりの変化量DNの演算を行わないようにしたので、エンジン停止直前にエンジンの揺り戻し(逆転)が発生してもその影響を受けることがない。
【0067】
また、所定時間当たりの変化量DNの加重平均値AVDNを計算し、第3回転速度TNRPMを演算するのに際して、前記所定時間当たりの変化量DNに代えてこの加重平均値AVDNを用いるようにしたので、第3回転速度TNRPMの折れ曲がり点がREF信号の入力タイミングと外れるときでも、第3回転速度TNRPMを0に向かって収束させることができる。
【0068】
実施形態では、加重平均値で説明したが、DNの過去複数回の平均値でもかまわない。
【0069】
実施形態ではクランク角センサが光電式である場合で説明したが、これに限られるものでなく、磁気式にも適用することができる。さらに6気筒DOHCエンジンに限られるものでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】光電式クランク角センサの検出原理を説明するための配置図。
【図2】アイドル状態から点火を停止した場合のエンジン回転速度の変化を示す波形図。
【図3】図2のA部拡大図。
【図4】第3回転速度TNRPMの10ms毎の変化を示す波形図。
【図5】REF信号の入力毎に処理されるフローチャート。
【図6】10ms毎に処理されるフローチャート。
【図7】第3回転速度TNRPMの折れ曲がり点を説明するための波形図。
【図8】第1の発明のクレーム対応図。
【符号の説明】
2 ロータプレート
11、12 発光ダイオード
13、14 受光ダイオード
Claims (5)
- クランク角の基準位置信号の時間間隔を計測する手段と、
この計測された時間間隔の逆数に比例するエンジン回転速度を第1回転速度として前記基準位置信号の入力毎に演算する手段と、
前記基準位置信号の今回の入力タイミングでの第1回転速度を2倍した値より前記基準位置信号の前回の入力タイミングでの第2回転速度を差し引いた値を前記基準位置信号の今回の入力タイミングでの第2回転速度として演算し、この今回の入力タイミングでの第2回転速度を、検出すべきエンジン回転速度とする手段と
を備えることを特徴とするエンジンの回転速度検出装置。 - 前記第2回転速度の所定時間当たりの変化量を計算する手段と、
この計算された所定時間当たりの変化量と前記今回の入力タイミングでの第2回転速度とを用いて次回の基準位置信号の入力までの間、実回転速度をトレースするエンジン回転速度を第3回転速度として演算し、この第3回転速度を、検出すべきエンジン回転速度とする手段と
を備えることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの回転速度検出装置。 - 前記第3回転速度が0または負の値となったときエンジンが停止したと判定することを特徴とする請求項2に記載のエンジンの回転速度検出装置。
- 前記第2回転速度の所定時間当たりの変化量の過去複数回の平均値または前記第2回転速度の所定時間当たりの変化量の加重平均値を計算するとともに、前記第3回転速度を演算するのに際して、前記所定時間当たりの変化量に代えてこの平均値を用いることを特徴とする請求項2または3に記載のエンジンの回転速度検出装置。
- 前記第1回転速度が所定値未満となったときまたは前記平均値が所定値未満となったときから前記第2回転速度の演算を行わないことを特徴とする請求項4に記載のエンジンの回転速度検出装置。
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