JP3596136B2 - スクリーン印刷方法およびスクリーン印刷装置 - Google Patents
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- H05K3/00—Apparatus or processes for manufacturing printed circuits
- H05K3/10—Apparatus or processes for manufacturing printed circuits in which conductive material is applied to the insulating support in such a manner as to form the desired conductive pattern
- H05K3/12—Apparatus or processes for manufacturing printed circuits in which conductive material is applied to the insulating support in such a manner as to form the desired conductive pattern using thick film techniques, e.g. printing techniques to apply the conductive material or similar techniques for applying conductive paste or ink patterns
- H05K3/1216—Apparatus or processes for manufacturing printed circuits in which conductive material is applied to the insulating support in such a manner as to form the desired conductive pattern using thick film techniques, e.g. printing techniques to apply the conductive material or similar techniques for applying conductive paste or ink patterns by screen printing or stencil printing
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は主として、クリーム半田および厚膜回路形成用ペーストなどの印刷用ペーストを、プリント基板などの電子回路形成基板などに印刷を行なうスクリーン印刷方法およびスクリーン印刷装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、スクリーン印刷装置は、電子部品の回路実装工程におけるクリーム半田印刷工程などに使用されているが、電子機器の小型化に伴って、電子部品実装基板の微細化が進み、それに応じて、クリーム半田などの高精度印刷も要求されている。そのような中で、スクリーン印刷装置は高精度に印刷を行なうものとして、各種のいろいろな工夫が凝らされている。
【０００３】
以下、図面を参照しながら、従来のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法の一例について説明する。
【０００４】
図５は従来の一般的なスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法の一例について説明する概略図、図６は図５の動作を示す動作フローチャート、図７は図５、図６の印刷過程を示す印刷状態フロー図を示す。図５において、１は被印刷物、２は位置決めステージ、３は位置決めステージ用昇降駆動手段、４はスクリーン版、５ａは左スキージ、５ｂは右スキージ、６ａは左スキージ用昇降駆動手段、６ｂは右スキージ用昇降駆動手段、７ａ、７ｂは左スキージ５ａ、右スキージ５ｂの下限位置を調整するストッパー、８は水平往復移動駆動手段、９はクリーム半田等の印刷用ペーストを示す。
【０００５】
被印刷物１は位置決めステージ２に位置決め固定ができる。位置決めステージ２は位置決めステージ用昇降駆動手段３により昇降可能で、通常印刷時は被印刷物１の上面がスクリーン版４下面に当接する付近まで上昇する。位置決めステージ用昇降駆動手段３としてはエアーシリンダ、パルスモータ、ＡＣサーボモータなどが一般的であるが、低速下降させると、にじみ、かすれの少ない精度良い印刷状態が容易に得られるので、特にＡＣサーボモータが適している。左スキージ５ａ、右スキージ５ｂは主に弾性体で、ウレタンゴム（硬度はＨｓ６０〜９０°）が一般的である。左スキージ用昇降駆動手段６ａ、右スキージ用昇降駆動手段６ｂは両ロッドのエアーシリンダが一般的で、スキージ５ａ、５ｂの下限位置、すなわちスクリーン版４への押し込みストロークをストッパー７ａ、７ｂの位置調整で決める。水平往復移動駆動手段８はＡＣサーボモータが一般的で、左スキージ５ａ、右スキージ５ｂが下降時に、スクリーン版４上を当接した状態で、水平移動（Ｘ方向）させる。以上のように構成されたスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法について、以下その動作を説明する。
【０００６】
動作については、図６に示す第１〜第７工程の動作フローが一般的である。
第１工程で被印刷物１を位置決めステージ２に位置決め固定し、第２工程で被印刷物１がスクリーン版４の下面付近まで上昇する。第３工程で左スキージ５ａを下降させ、第４工程で左スキージ５ａをＸ方向に移動させて印刷を行なう。その後、第５工程で被印刷物１をスクリーン版４から、低速で引き離した後、第６工程で左スキージ５ａを上昇させ、第７工程で被印刷物１を取り除く。次に右スキージ５ｂ側での印刷動作も上記同様に行ない、以降その動作を交互に繰り返す。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来構成のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法では、にじみ、かすれのない良い印刷が連続して得られるが、スクリーン版４に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、精度良く印刷ができず、図７の状態（ｃ）に示すように、コーナ部にツノ１０が形成されてしまい、このツノ１０の印刷用ペースト９が印刷後、徐々にだれてきて、被印刷物１上に落下し、印刷不良を引き起こすという課題を有していた。一例として、クリーム半田印刷を代表とする電子部品実装工程においては、その後工程の半田付けリフロー後、だれて落下したクリーム半田が、半田ボール、半田ブリッジなどの半田付け不良を引き起こしていた。
【０００８】
このツノ１０が発生するメカニズムを図７の状態（ａ）〜（ｃ）の順に示している。
【０００９】
状態（ａ）は図６の第４工程終了状態、状態（ｂ）は第５工程の初期状態、状態（ｃ）は第５工程の末期状態をそれぞれ示す。状態（ａ）では比較的精度良く印刷状態１１ａが形成されている。この時、左スキージ５ａがスクリーン版４への押し込みストローク分のみ湾曲している。状態（ｂ）で、押し込みストローク分のみ左スキージ５ａが、スクリーン版４を押し下げることでスクリーン版４が傾き、この影響で印刷形状が印刷状態１１ｂのように徐々に崩れ始め、最後に状態（ｃ）に示す印刷状態１１ｃのように、コーナ部にツノ１０ができる。
【００１０】
また、スクリーン版４の押し込みストローク分の湾曲を防止するため、被印刷物１をスクリーン版４から、低速で引き離す第５工程と、左スキージ５ａを上昇させる第６工程の順番を逆転させると、左スキージ５ａがスクリーン版４を引き上げるため、スクリーン版４が上下動し印刷形状を悪化させる。
【００１１】
本発明は上記課題を解決するもので、スクリーン版４に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、コーナ部にツノ１０がなく、精度良い印刷ができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供するものである。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のスクリーン印刷装置及び印刷方法は、位置決めステージが下方へ移動して被印刷物を前記スクリーン版の下面から引き離す前に、スクリーン版上を前記印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみスキージを上昇させる際の速度及びこの速度に伴い変化する加速度を多段階的又はＳ字曲線状に設定して前記印刷用スキージを上昇させ、位置決めステージが下方に移動して被印刷物をスクリーン版の下面から引き離すことを特徴とする。
【００１３】
これにより、スキージがスクリーン版から離れる際にスキージを引き上げることによるスクリーン版の上下動を抑止することができ、スリーン版に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、コーナ部にツノがない精度良い印刷をすることができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、昇降可能な位置決めステージにセットされた被印刷物に、回路パターンが形成されているスクリーン版上面を印刷用スキージが押し込みながら水平移動して印刷ペーストを印刷塗布して回路パターンを印刷するに際し、位置決めステージが下方へ移動して被印刷物を前記スクリーン版の下面から引き離す前に、スクリーン版上を前記印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ印刷用スキージを上昇させる際の速度及びこの速度に伴い変化する加速度を多段階的又はＳ字曲線状に設定して前記印刷用スキージを上昇させ、位置決めステージが下方に移動して被印刷物をスクリーン版の下面から引き離すスクリーン印刷方法としたものである。
本発明の請求項２に記載の発明は、昇降可能な位置決めステージにセットされた被印刷物に、回路パターンが形成されているスクリーン版上面を印刷用スキージが押し込みながら水平移動して印刷ペーストを印刷塗布して回路パターンを印刷するスクリーン印刷装置において、位置決めステージが下方へ移動して被印刷物を前記スクリーン版の下面から引き離す前に、スクリーン版上を前記印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ印刷用スキージを上昇させる際の速度及びこの速度に伴い変化する加速度を多段階的又はＳ字曲線状に設定して前記印刷用スキージを上昇させてから位置決めステージが下方に移動して被印刷物をスクリーン版の下面から引き離すように印刷スキージ用昇降駆動部と位置決めステージ用昇降駆動部を運転する制御手段を設けたスクリーン印刷装置としたものである。
請求項１から２のようにすると、スキージがスクリーン版から離れる際にスキージを引き上げることによるスクリーン版の上下動を抑止し、且つスクリーン版が傾かない水平状態を保ちながら被印刷物をスクリーン版から引き離すことができるので、スクリーン版に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、コーナ部にツノがない精度良い印刷ができる。
【００１５】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、従来のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法と同じ機能を有する各構成要素については、同一の符号をつけて、説明を省略するとともに、動作説明も簡略化して説明する。
【００１６】
（実施の形態１）
図１は本発明のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法について説明する概略図、図２は図１の動作を示す動作フローチャート、図３は図１、図２の印刷状態フロー図、図４は、図３に示したスキージ動作における版離れ速度、版離れ加速度と時間の関係図を示す。
【００１７】
図１において、１２ａは左スキージ５ａを昇降させる駆動用の左スキージ昇降用パルスモータ、１２ｂは右スキージ５ｂを昇降させる駆動用の右スキージ昇降用パルスモータ、１３ａは左ボールネジ、１３ｂは右ボールネジ、１４ａは左ボールネジナット、１４ｂは右ボールネジナット、以上主要構成部品により印刷スキージ用昇降駆動手段が構成されている。
【００１８】
１５は位置決め制御手段で、上記印刷スキージ用昇降駆動手段により、左スキージ５ａ、右スキージ５ｂの上昇待機位置、スキージ押し込みストロークの位置、スキージのスクリーン版４上面に接触する瞬間の位置を、テンキーからの数値入力、または、メモリー保存からのプログラムデータの呼出し入力で、それぞれの所定位置に、位置決めができる。
【００１９】
以上のように構成されたスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法について、以下その動作を説明する。
【００２０】
動作について、図２に示す第１〜第８工程の動作フローに示す。従来の技術との主な相違点は、第５工程が、従来の技術の説明における図２の第４工程と第５工程の間に付加されたことである。
【００２１】
第１工程、第２工程を経て、第３工程で左スキージ５ａをスキージ押し込みストロークの位置まで下降させ、第４工程で左スキージ５ａをＸ方向に移動させて印刷を行なう。その状態を図３の状態（ａ）に示す。その後、第５工程でスクリーン版４上を印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ左スキージ５ａをスクリーン版４上面に接触する瞬間の位置まで速度、加速度を制御しながら上昇させる。その状態を図３の状態（ｂ）に示す。第６工程で被印刷物１を、図３の状態（ｃ）に示すように、スクリーン版４から引き離した後、第７工程で左スキージ５ａを上昇待機位置まで上昇させ、第８工程を経る。次に右スキージ５ｂ側での印刷動作も上記同様に行ない、以降その動作を交互に繰り返す。
【００２２】
上記、第５工程でスクリーン版４上を印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ左スキージ５ａをスクリーン版４上面に接触する瞬間の位置まで上昇させる際の版離れ速度、版離れ加速度と時間の関係を図４に示す。図４（ａ）に示すように、版離れ速度、版離れ加速度を低速度（10mm/s⇒0.5mm/s）かつ低加速度（100mm/s ２ ⇒25mm/s ２ ）にすることにより、左スキージ５ａがスクリーン版４を引き上げることによるスクリーン版４の上下動を抑止し、精度良い印刷ができる。
【００２３】
また、図４（ｂ）の版離れ速度と時間グラフに示すように、スキージの版離れ速度及びこの速度に伴い変化する版離れ加速度を多段階的に設定することにより、左スキージ５ａがスクリーン版４を引き上げることによるスクリーン版４の上下動を抑止し、かつ、サイクルタイムの短縮が図られ、精度良く効率的な印刷ができる。
【００２４】
また、図４（ｃ）の版離れ速度と時間グラフに示すように、版離れ速度及びこの速度に伴い変化する版離れ加速度をＳ字曲線（ｓｉｎカーブ）で制御することにより、左スキージ５ａがスクリーン版４を引き上げることによるスクリーン版４の上下動を更に抑止し、精度良い印刷ができる。
【００２５】
以上のように本実施の形態によれば、左スキージ昇降用パルスモータ１２ａ、右スキージ昇降用パルスモータ１２ｂの主要構成部品からなる印刷スキージ用昇降駆動手段と位置決め制御手段１５を設けることにより、左スキージ５ａ、右スキージ５ｂがスクリーン版４上面に接触する瞬間の位置及び速度、加速度を任意に入力設定ができ、かつ、被印刷物１をスクリーン版４から引き離す前に、左スキージ５ａ、右スキージ５ｂが、スクリーン版４上面に接触する瞬間の位置まで速度、加速度を制御しながら上昇できる結果スクリーン版４が傾かない水平状態を保ちながら、被印刷部１をスクリーン版４から引き離すことができるため、スクリーン版４に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、コーナ部にツノ１０がなく、印刷状態１６のような精度良い印刷ができる。
【００２６】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、被印刷物をスクリーン版下面から位置決めステージで下方へ引き離す前に、スクリーン版上を印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ印刷用スキージを低速度及び低加速度にして上昇させることにより、スクリーン版が傾かない水平状態を保ち、且つスキージがスクリーン版を引き上げることによるスクリーン版の上下動を抑止して、被印刷部をスクリーン版から引き離すことができるため、スクリーン版に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、コーナ部にツノがなく、精度良い印刷ができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法について説明する概略図
【図２】図１の動作を示す動作フローチャート
【図３】図１、図２の印刷過程を示す図
【図４】図３に示したスキージ動作における版離れ速度、版離れ加速度と時間の関係図
【図５】従来の一般的なスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法の一例について説明する概略図
【図６】図５の動作を示す動作フローチャート
【図７】図５、図６の印刷過程を示す図
【符号の説明】
１ 被印刷物
２ 位置決めステージ
３ 位置決めステージ用昇降駆動手段
４ スクリーン版
５ａ 左スキージ
５ｂ 右スキージ
９ 印刷用ペースト
１２ａ 左スキージ昇降用パルスモータ
１２ｂ 右スキージ昇降用パルスモータ
【発明の属する技術分野】
本発明は主として、クリーム半田および厚膜回路形成用ペーストなどの印刷用ペーストを、プリント基板などの電子回路形成基板などに印刷を行なうスクリーン印刷方法およびスクリーン印刷装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
近年、スクリーン印刷装置は、電子部品の回路実装工程におけるクリーム半田印刷工程などに使用されているが、電子機器の小型化に伴って、電子部品実装基板の微細化が進み、それに応じて、クリーム半田などの高精度印刷も要求されている。そのような中で、スクリーン印刷装置は高精度に印刷を行なうものとして、各種のいろいろな工夫が凝らされている。
【０００３】
以下、図面を参照しながら、従来のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法の一例について説明する。
【０００４】
図５は従来の一般的なスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法の一例について説明する概略図、図６は図５の動作を示す動作フローチャート、図７は図５、図６の印刷過程を示す印刷状態フロー図を示す。図５において、１は被印刷物、２は位置決めステージ、３は位置決めステージ用昇降駆動手段、４はスクリーン版、５ａは左スキージ、５ｂは右スキージ、６ａは左スキージ用昇降駆動手段、６ｂは右スキージ用昇降駆動手段、７ａ、７ｂは左スキージ５ａ、右スキージ５ｂの下限位置を調整するストッパー、８は水平往復移動駆動手段、９はクリーム半田等の印刷用ペーストを示す。
【０００５】
被印刷物１は位置決めステージ２に位置決め固定ができる。位置決めステージ２は位置決めステージ用昇降駆動手段３により昇降可能で、通常印刷時は被印刷物１の上面がスクリーン版４下面に当接する付近まで上昇する。位置決めステージ用昇降駆動手段３としてはエアーシリンダ、パルスモータ、ＡＣサーボモータなどが一般的であるが、低速下降させると、にじみ、かすれの少ない精度良い印刷状態が容易に得られるので、特にＡＣサーボモータが適している。左スキージ５ａ、右スキージ５ｂは主に弾性体で、ウレタンゴム（硬度はＨｓ６０〜９０°）が一般的である。左スキージ用昇降駆動手段６ａ、右スキージ用昇降駆動手段６ｂは両ロッドのエアーシリンダが一般的で、スキージ５ａ、５ｂの下限位置、すなわちスクリーン版４への押し込みストロークをストッパー７ａ、７ｂの位置調整で決める。水平往復移動駆動手段８はＡＣサーボモータが一般的で、左スキージ５ａ、右スキージ５ｂが下降時に、スクリーン版４上を当接した状態で、水平移動（Ｘ方向）させる。以上のように構成されたスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法について、以下その動作を説明する。
【０００６】
動作については、図６に示す第１〜第７工程の動作フローが一般的である。
第１工程で被印刷物１を位置決めステージ２に位置決め固定し、第２工程で被印刷物１がスクリーン版４の下面付近まで上昇する。第３工程で左スキージ５ａを下降させ、第４工程で左スキージ５ａをＸ方向に移動させて印刷を行なう。その後、第５工程で被印刷物１をスクリーン版４から、低速で引き離した後、第６工程で左スキージ５ａを上昇させ、第７工程で被印刷物１を取り除く。次に右スキージ５ｂ側での印刷動作も上記同様に行ない、以降その動作を交互に繰り返す。
【０００７】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来構成のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法では、にじみ、かすれのない良い印刷が連続して得られるが、スクリーン版４に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、精度良く印刷ができず、図７の状態（ｃ）に示すように、コーナ部にツノ１０が形成されてしまい、このツノ１０の印刷用ペースト９が印刷後、徐々にだれてきて、被印刷物１上に落下し、印刷不良を引き起こすという課題を有していた。一例として、クリーム半田印刷を代表とする電子部品実装工程においては、その後工程の半田付けリフロー後、だれて落下したクリーム半田が、半田ボール、半田ブリッジなどの半田付け不良を引き起こしていた。
【０００８】
このツノ１０が発生するメカニズムを図７の状態（ａ）〜（ｃ）の順に示している。
【０００９】
状態（ａ）は図６の第４工程終了状態、状態（ｂ）は第５工程の初期状態、状態（ｃ）は第５工程の末期状態をそれぞれ示す。状態（ａ）では比較的精度良く印刷状態１１ａが形成されている。この時、左スキージ５ａがスクリーン版４への押し込みストローク分のみ湾曲している。状態（ｂ）で、押し込みストローク分のみ左スキージ５ａが、スクリーン版４を押し下げることでスクリーン版４が傾き、この影響で印刷形状が印刷状態１１ｂのように徐々に崩れ始め、最後に状態（ｃ）に示す印刷状態１１ｃのように、コーナ部にツノ１０ができる。
【００１０】
また、スクリーン版４の押し込みストローク分の湾曲を防止するため、被印刷物１をスクリーン版４から、低速で引き離す第５工程と、左スキージ５ａを上昇させる第６工程の順番を逆転させると、左スキージ５ａがスクリーン版４を引き上げるため、スクリーン版４が上下動し印刷形状を悪化させる。
【００１１】
本発明は上記課題を解決するもので、スクリーン版４に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、コーナ部にツノ１０がなく、精度良い印刷ができるスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法を提供するものである。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のスクリーン印刷装置及び印刷方法は、位置決めステージが下方へ移動して被印刷物を前記スクリーン版の下面から引き離す前に、スクリーン版上を前記印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみスキージを上昇させる際の速度及びこの速度に伴い変化する加速度を多段階的又はＳ字曲線状に設定して前記印刷用スキージを上昇させ、位置決めステージが下方に移動して被印刷物をスクリーン版の下面から引き離すことを特徴とする。
【００１３】
これにより、スキージがスクリーン版から離れる際にスキージを引き上げることによるスクリーン版の上下動を抑止することができ、スリーン版に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、コーナ部にツノがない精度良い印刷をすることができる。
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項１に記載の発明は、昇降可能な位置決めステージにセットされた被印刷物に、回路パターンが形成されているスクリーン版上面を印刷用スキージが押し込みながら水平移動して印刷ペーストを印刷塗布して回路パターンを印刷するに際し、位置決めステージが下方へ移動して被印刷物を前記スクリーン版の下面から引き離す前に、スクリーン版上を前記印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ印刷用スキージを上昇させる際の速度及びこの速度に伴い変化する加速度を多段階的又はＳ字曲線状に設定して前記印刷用スキージを上昇させ、位置決めステージが下方に移動して被印刷物をスクリーン版の下面から引き離すスクリーン印刷方法としたものである。
本発明の請求項２に記載の発明は、昇降可能な位置決めステージにセットされた被印刷物に、回路パターンが形成されているスクリーン版上面を印刷用スキージが押し込みながら水平移動して印刷ペーストを印刷塗布して回路パターンを印刷するスクリーン印刷装置において、位置決めステージが下方へ移動して被印刷物を前記スクリーン版の下面から引き離す前に、スクリーン版上を前記印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ印刷用スキージを上昇させる際の速度及びこの速度に伴い変化する加速度を多段階的又はＳ字曲線状に設定して前記印刷用スキージを上昇させてから位置決めステージが下方に移動して被印刷物をスクリーン版の下面から引き離すように印刷スキージ用昇降駆動部と位置決めステージ用昇降駆動部を運転する制御手段を設けたスクリーン印刷装置としたものである。
請求項１から２のようにすると、スキージがスクリーン版から離れる際にスキージを引き上げることによるスクリーン版の上下動を抑止し、且つスクリーン版が傾かない水平状態を保ちながら被印刷物をスクリーン版から引き離すことができるので、スクリーン版に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、コーナ部にツノがない精度良い印刷ができる。
【００１５】
以下本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、従来のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法と同じ機能を有する各構成要素については、同一の符号をつけて、説明を省略するとともに、動作説明も簡略化して説明する。
【００１６】
（実施の形態１）
図１は本発明のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法について説明する概略図、図２は図１の動作を示す動作フローチャート、図３は図１、図２の印刷状態フロー図、図４は、図３に示したスキージ動作における版離れ速度、版離れ加速度と時間の関係図を示す。
【００１７】
図１において、１２ａは左スキージ５ａを昇降させる駆動用の左スキージ昇降用パルスモータ、１２ｂは右スキージ５ｂを昇降させる駆動用の右スキージ昇降用パルスモータ、１３ａは左ボールネジ、１３ｂは右ボールネジ、１４ａは左ボールネジナット、１４ｂは右ボールネジナット、以上主要構成部品により印刷スキージ用昇降駆動手段が構成されている。
【００１８】
１５は位置決め制御手段で、上記印刷スキージ用昇降駆動手段により、左スキージ５ａ、右スキージ５ｂの上昇待機位置、スキージ押し込みストロークの位置、スキージのスクリーン版４上面に接触する瞬間の位置を、テンキーからの数値入力、または、メモリー保存からのプログラムデータの呼出し入力で、それぞれの所定位置に、位置決めができる。
【００１９】
以上のように構成されたスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法について、以下その動作を説明する。
【００２０】
動作について、図２に示す第１〜第８工程の動作フローに示す。従来の技術との主な相違点は、第５工程が、従来の技術の説明における図２の第４工程と第５工程の間に付加されたことである。
【００２１】
第１工程、第２工程を経て、第３工程で左スキージ５ａをスキージ押し込みストロークの位置まで下降させ、第４工程で左スキージ５ａをＸ方向に移動させて印刷を行なう。その状態を図３の状態（ａ）に示す。その後、第５工程でスクリーン版４上を印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ左スキージ５ａをスクリーン版４上面に接触する瞬間の位置まで速度、加速度を制御しながら上昇させる。その状態を図３の状態（ｂ）に示す。第６工程で被印刷物１を、図３の状態（ｃ）に示すように、スクリーン版４から引き離した後、第７工程で左スキージ５ａを上昇待機位置まで上昇させ、第８工程を経る。次に右スキージ５ｂ側での印刷動作も上記同様に行ない、以降その動作を交互に繰り返す。
【００２２】
上記、第５工程でスクリーン版４上を印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ左スキージ５ａをスクリーン版４上面に接触する瞬間の位置まで上昇させる際の版離れ速度、版離れ加速度と時間の関係を図４に示す。図４（ａ）に示すように、版離れ速度、版離れ加速度を低速度（10mm/s⇒0.5mm/s）かつ低加速度（100mm/s ２ ⇒25mm/s ２ ）にすることにより、左スキージ５ａがスクリーン版４を引き上げることによるスクリーン版４の上下動を抑止し、精度良い印刷ができる。
【００２３】
また、図４（ｂ）の版離れ速度と時間グラフに示すように、スキージの版離れ速度及びこの速度に伴い変化する版離れ加速度を多段階的に設定することにより、左スキージ５ａがスクリーン版４を引き上げることによるスクリーン版４の上下動を抑止し、かつ、サイクルタイムの短縮が図られ、精度良く効率的な印刷ができる。
【００２４】
また、図４（ｃ）の版離れ速度と時間グラフに示すように、版離れ速度及びこの速度に伴い変化する版離れ加速度をＳ字曲線（ｓｉｎカーブ）で制御することにより、左スキージ５ａがスクリーン版４を引き上げることによるスクリーン版４の上下動を更に抑止し、精度良い印刷ができる。
【００２５】
以上のように本実施の形態によれば、左スキージ昇降用パルスモータ１２ａ、右スキージ昇降用パルスモータ１２ｂの主要構成部品からなる印刷スキージ用昇降駆動手段と位置決め制御手段１５を設けることにより、左スキージ５ａ、右スキージ５ｂがスクリーン版４上面に接触する瞬間の位置及び速度、加速度を任意に入力設定ができ、かつ、被印刷物１をスクリーン版４から引き離す前に、左スキージ５ａ、右スキージ５ｂが、スクリーン版４上面に接触する瞬間の位置まで速度、加速度を制御しながら上昇できる結果スクリーン版４が傾かない水平状態を保ちながら、被印刷部１をスクリーン版４から引き離すことができるため、スクリーン版４に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、コーナ部にツノ１０がなく、印刷状態１６のような精度良い印刷ができる。
【００２６】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、被印刷物をスクリーン版下面から位置決めステージで下方へ引き離す前に、スクリーン版上を印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ印刷用スキージを低速度及び低加速度にして上昇させることにより、スクリーン版が傾かない水平状態を保ち、且つスキージがスクリーン版を引き上げることによるスクリーン版の上下動を抑止して、被印刷部をスクリーン版から引き離すことができるため、スクリーン版に設けた回路パターン形状にほぼ等しく、コーナ部にツノがなく、精度良い印刷ができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法について説明する概略図
【図２】図１の動作を示す動作フローチャート
【図３】図１、図２の印刷過程を示す図
【図４】図３に示したスキージ動作における版離れ速度、版離れ加速度と時間の関係図
【図５】従来の一般的なスクリーン印刷装置およびスクリーン印刷方法の一例について説明する概略図
【図６】図５の動作を示す動作フローチャート
【図７】図５、図６の印刷過程を示す図
【符号の説明】
１ 被印刷物
２ 位置決めステージ
３ 位置決めステージ用昇降駆動手段
４ スクリーン版
５ａ 左スキージ
５ｂ 右スキージ
９ 印刷用ペースト
１２ａ 左スキージ昇降用パルスモータ
１２ｂ 右スキージ昇降用パルスモータ
Claims (2)
- 昇降可能な位置決めステージにセットされた被印刷物に、回路パターンが形成されているスクリーン版上面を印刷用スキージが押し込みながら水平移動して印刷ペーストを印刷塗布して回路パターンを印刷するに際し、位置決めステージが下方へ移動して被印刷物を前記スクリーン版の下面から引き離す前に、スクリーン版上を前記印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ印刷用スキージを上昇させる際の速度及びこの速度に伴い変化する加速度を多段階的又はＳ字曲線状に設定して前記印刷用スキージを上昇させ、位置決めステージが下方に移動して被印刷物をスクリーン版の下面から引き離すスクリーン印刷方法。
- 昇降可能な位置決めステージにセットされた被印刷物に、回路パターンが形成されているスクリーン版上面を印刷用スキージが押し込みながら水平移動して印刷ペーストを印刷塗布して回路パターンを印刷するスクリーン印刷装置において、位置決めステージが下方へ移動して被印刷物を前記スクリーン版の下面から引き離す前に、スクリーン版上を前記印刷用スキージが押し込んでいる押し込みストローク分のみ印刷用スキージを上昇させる際の速度及びこの速度に伴い変化する加速度を多段階的又はＳ字曲線状に設定して前記印刷用スキージを上昇させてから位置決めステージが下方に移動して被印刷物をスクリーン版の下面から引き離すように印刷スキージ用昇降駆動部と位置決めステージ用昇降駆動部を運転する制御手段を設けたスクリーン印刷装置。
Priority Applications (1)
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| JP1056796A JP3596136B2 (ja) | 1996-01-25 | 1996-01-25 | スクリーン印刷方法およびスクリーン印刷装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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| JP1056796A JP3596136B2 (ja) | 1996-01-25 | 1996-01-25 | スクリーン印刷方法およびスクリーン印刷装置 |
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| JPH09201940A JPH09201940A (ja) | 1997-08-05 |
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-
1996
- 1996-01-25 JP JP1056796A patent/JP3596136B2/ja not_active Expired - Fee Related
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| JPH09201940A (ja) | 1997-08-05 |
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