JP3596129B2 - ダイバーシティ受信機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無線通信等に用いられるダイバーシティ受信機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、アンテナの受信信号からフェージングによる影響を取り除くのに有効な手段としてダイバーシティ受信機が用いられている。
【0003】
ダイバーシティ方式としては、検波後最大比合成ダイバーシティ方式や検波後選択ダイバーシティ方式などがある。検波後最大比合成ダイバーシティ方式は、複数の受信部からのベースバンド信号を各受信部での受信電界強度値の2乗で重み付けして合成し、復号を行なうものであり、検波後選択ダイバーシティ方式は、複数の受信信号の中から最も高い受信電界強度を持つ信号を選択して復号を行なうものである。現在、検波後選択ダイバーシティ方式に比べて、検波後最大比合成ダイバーシティ方式の方が優れていることが知られている。
【0004】
従来、検波後最大比合成ダイバーシティ受信機としては図3に記載されたものが知られている。図3は、従来のダイバーシティ受信機を示すブロック図である。図3において、1、2は電波を受信して受信信号を出力するアンテナ、3、4はアンテナ1、2の受信信号を入力して受信電界強度(RSSI)信号a1、a2とベースバンド信号b1、b2とを出力する受信部、5は受信部3、4からのRSSI信号a1、a2とベースバンド信号b1、b2とをデジタル信号に変換するA/D変換器、6、7はデジタル化されたRSSI信号の値を指数変換する指数変換器、8、9は重み付けを行なう乗算器、10は乗算器8、9からの信号を加算して出力する加算器である。指数変換器6、7では、入力されるデジタル化されたRSSI信号の値(RSSI値)がdB値に比例した値となっているので、それらの値を指数変換して真数とする。また、乗算器8、9では、指数変換器6、7から得られるRSSI信号の大きさ(指数変換されたRSSI値)により、A/D変換器5から得られるベースバンド信号b1、b2に重み付けを行なう。
【0005】
以上のような構成の検波後最大比合成ダイバーシティ受信機について、その動作について説明する。図3において、アンテナ1、2の受信電界強度の値を各々s1、s2とすると、A/D変換器5から出力されるRSSI値はそれぞれ、20log(s1)、20log(s2)となる。従って、指数変換器6、7からはそれぞれ、指数変換されたRSSI値s1、s2が出力される。次に、乗算器8、9で、ベースバンド信号b1、b2に対して受信電界強度値s1、s2の2乗の重み付けがなされ、値がs12b1、s22b2の重み付けされたベースバンド信号がそれぞれ出力される。最後に、それぞれの重み付けされたベースバンド信号は加算器10により加算され、値がs12b1+s22b2のベースバンド出力信号が復調出力信号sとして出力される。このようにして、ベースバンド信号b1、b2に対して受信電界強度値s1、s2の2乗の重みを付けた合成出力信号(復調出力信号)sを得ることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のダイバーシティ受信機では、指数変換や乗算の処理を含むので、複雑な論理回路または高速なデジタルシグナルプロセッサ(DSP、Digital Signal Processor)が必要となり、回路構成が複雑で製造コストも高くなるという問題点があった。
【0007】
このダイバーシティ受信機においては、回路構成が簡単で製造コストが安いことが要求されている。
【0008】
本発明は、簡単な構成かつ簡単な演算処理で実現可能なダイバーシティ受信機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この課題を解決するために本発明は、アンテナの受信信号を入力して受信電界強度信号およびベースバンド信号を出力する受信部と、受信電界強度信号のレベルに応じた重み付けをベースバンド信号に対してビットシフトにより行う重み付け回路と、重み付けされたベースバンド信号を加算してベースバンド出力信号を出力する加算回路とを有するように構成したものである。
【0010】
これにより、簡単な構成かつ簡単な演算処理で実現可能なダイバーシティ受信機が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、アンテナの受信信号を入力して受信電界強度信号およびベースバンド信号を出力する受信部と、受信電界強度信号のレベルに応じた重み付けをベースバンド信号に対してビットシフトにより行う重み付け回路と、重み付けされたベースバンド信号を加算してベースバンド出力信号を出力する加算回路とを有することとしたものであり、ベースバンド信号の重み付けがビットシフトにより行なわれるという作用を有する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、重み付け回路と加算回路とがマイクロプロセッサにより実現されることとしたものであり、ビットシフトによるベースバンド信号の重み付けがマイクロプロセッサで行なわれるという作用を有する。
【0013】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、受信部が入力側に減衰器を有し、減衰器の減衰量を受信電界強度信号の値に加算することとしたものであり、減衰器の有無にかかわらず、同じような演算処理が行なわれるという作用を有する。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図1、図2を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の一実施の形態によるダイバーシティ受信機を示すブロック図である。図1において、1、2はアンテナ、3、4は受信部、5はA/D変換器、10は加算器であり、これらは図3と同様のものなので、同一符号を付して説明は省略する。21、22はA/D変換された2つのRSSI信号の差信号を出力する減算器、23、24は減算器21、22から出力される差信号の値に応じた右ビットシフトを行なう重み付け回路としてのビットシフタである。
【0015】
以上のように構成されたダイバーシティ受信機について、以下その動作を説明する。図3の場合と同様、アンテナ1、2における各RSSI値をそれぞれs1、s2、受信部3、4から出力される各ベースバンド信号をb1、b2、受信部3、4から出力される各受信電界強度信号をa1、a2とする。ベースバンド信号を最大比合成するとき、すなわちs1、s2の2乗の重み付けによって合成するとき、加算器10からの合成出力信号sの値としては、s1<s2の時は(s1/s2)2b1+b2、s1>s2の時はb1+(s2/s1)2b2という値が得られればよい(s1=s2の時はいずれの値でもよい)。
【0016】
一方、受信部3、4より出力されるRSSI信号a1、a2の値はdB値に比例した値であるので、RSSI信号a2の値からRSSI信号a1の値を減算する減算器21は、20log(s2)−20log(s1)という値の減算信号c1を出力する。この減算信号c1の値が“負”または“0”のときはビットシフタ23はベースバンド信号b1をそのまま出力する。上記減算信号c1の値が“正”のときは、c1の値が3dB増える毎にベースバンド信号b1に1/2を乗算、つまりベースバンド信号b1を右に1ビットシフトする。減算器22、ビットシフタ24もそれぞれ減算器21、ビットシフタ23と同様の動作をする。
【0017】
最後に、ビットシフタ23、24からの重み付けされたベースバンド信号d1、d2を加算器10で加算して出力する。
【0018】
例えば、20log(s1)=20[dB]、20log(s2)=5[dB]あったとすると、減算器21から出力される減算信号c1は“負”となるので、ビットシフタ23はベースバンド信号b1をそのまま出力する。また、減算信号c2は15dBとなるので、ビットシフタ24はベースバンド信号b2を5ビット右にシフトして出力する。このときMSBには「0」を入れる。これらのビットシフタ23、24から出力される重み付けベースバンド信号d1、d2を加算器10で加算することにより、ベースバンド信号b1、b2に重みを付けた合成出力信号sを得ることができる。このようにして、加算器10とビットシフタ(重み付け回路)23、24という簡単な構成で、2乗の重みを付けて合成されたベースバンド出力信号(合成出力信号)sを得ることができる。
【0019】
なお、受信部3、4の入力側に可変減衰器を有する場合は、受信部3、4は、その減衰量をRSSI値に加算する。
【0020】
以上のように本実施の形態によれば、ベースバンド信号b1、b2の重み付けをビットシフトという簡単な動作により行なうことができるので、加算器10とビットシフタ23、24という簡単な構成、かつビットシフトという簡単な演算処理で重み付けを実現することができる。
【0021】
(実施の形態2)
図2は本発明の第2の実施の形態によるダイバーシティ受信機を示すブロック図である。図2において、1、2はアンテナ、3、4は受信部、5はA/D変換器であり、これらは図1と同様のものなので、同一符号を付して説明は省略する。31は上述した重み付け、加算をソフトウェアにより行なうマイクロプロセッサである。
【0022】
以上のように構成されたダイバーシティ受信機について、その動作を説明する。
【0023】
マイクロプロセッサ31の動作は、第1の実施の形態における減算器21、22、ビットシフタ23、24および加算器10が行なう動作をソフトウェアによって定義された演算により行なうものである。このようなマイクロプロセッサ31の動作においては乗算の動作がないので、安価な汎用マイコンで十分に上記動作を実現することができる。
【0024】
なお、本実施の形態ではソフトウェアによって動作するマイクロプロセッサ31について述べたが、このプロセッサ31の代わりに専用プロセッサを使用してもよい。この場合にはプログラムは不要となる。
【0025】
以上のように本実施の形態によれば、ベースバンド信号b1、b2の重み付け及び加算の動作をマイクロプロセッサ31により行なうようにしたので、マイクロプロセッサ31という簡単な構成、かつビットシフトという簡単なソフトウェアによる演算処理で重み付けを実現することができる。
【0026】
【発明の効果】
以上のように本発明のダイバーシティ受信機によれば、ベースバンド信号の重み付けをビットシフトという簡単な動作により行なうことができるので、簡単な構成かつ簡単な演算処理で重み付けを実現することが可能なダイバーシティ受信機を実現することができるという有利な効果が得られる。また、重み付け回路と加算回路とをマイクロプロセッサにより実現させることにより、重み付け、加算等の演算処理の変更が容易なダイバーシティ受信機を実現することができるという有利な効果が得られる。さらに、受信部が入力側に減衰器を有し、減衰器の減衰量を受信電界強度信号の値に加算するようにしたことにより、減衰器の有無にかかわらず、同じような演算処理を行なうことが可能なダイバーシティ受信機を実現することができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるダイバーシティ受信機を示すブロック図
【図2】本発明の第2の実施の形態によるダイバーシティ受信機を示すブロック図
【図3】従来のダイバーシティ受信機を示すブロック図
【符号の説明】
1,2 アンテナ
3,4 受信部
5 A/D変換器
10 加算器
21,22 減算器
23,24 ビットシフタ(重み付け回路)
31 マイクロプロセッサ
Claims (3)
- アンテナの受信信号を入力して受信電界強度信号およびベースバンド信号を出力する受信部と、前記受信電界強度信号のレベルに応じた重み付けを前記ベースバンド信号に対してビットシフトにより行う重み付け回路と、前記重み付けされたベースバンド信号を加算してベースバンド出力信号を出力する加算回路とを有するダイバーシティ受信機。
- 前記重み付け回路と加算回路とはマイクロプロセッサにより実現される請求項1記載のダイバーシティ受信機。
- 前記受信部は、入力側に減衰器を有し、前記減衰器の減衰量を前記受信電界強度信号の値に加算する請求項1記載のダイバーシティ受信機。
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Families Citing this family (1)
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1995
- 1995-12-07 JP JP31875195A patent/JP3596129B2/ja not_active Expired - Fee Related
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