JP3595904B2 - 彫刻刀類の刃研ぎ具 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、木版画用、木彫用などの彫刻刀類が、使用を経ることによりまた長期にわたる放置のごときによって切れ味の鈍ったとき、刃先を鋭利に研ぎ直して切れ刃を完全に再生更新すると共に切れ味の持続性向上を図り、快削性ならびに彫刻作業性の飛躍増強に資することが出来る彫刻刀類の刃研ぎ具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来彫刻刀類の刃の手作業による刃研ぎ具は、研ぎ板と平行においた添え木に沿って刀身を研ぎ板の長手方向に動かす往復運動の反覆によるものが知られていた(意匠公報1054628号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の技術によるとき、元来練達した刃研ぎ技能を有する場合には当たらぬことが多い一般的なユーザーにあって、刃研ぎの往復運動のストローク中又は特にストローク端でしばしば刃身の保持があまくなりがちなため、ゆれや妄動を生じて刃先に不規則だれを起こす原因となり、このようにしてさしたる切れ味の回復もその永続性ものぞめず、作品の出来栄えに影響する欠点があった。
【0004】
本発明は上記問題を解決するために、砥面上で表刃を砥面に対する適切な接触状態の下に往復摺動させる刃研ぎ運動を、確実に案内する新規手段を講じた、彫刻刀類の刃研ぎ具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明による彫刻刀類の刃研ぎ具は、平滑平面に整えられた砥面をもつ砥石と、その砥面に平行な面上でこれに全面接触しつつ摺動自在な滑走台とをそなえ、滑走台は柄付き刃物をその刀身前端にて研ぎ下ろしをすべき表刃が全面又は少なくとも母線(表刃が曲面よりなる例えば丸刀のとき)にて砥面と接する姿勢となるべき、長手方向の傾斜角度及び軸心のまわりの回転角度の調節と、その抑止拘束を可能として保持する刃物受けを有し、この刃物受けは滑走台3との間に介装したクッションスポンジを有することを特徴とするものである。またこの場合において本発明は刃物受けが、柄付き刃物の軸心の向きに間隔をおく一対の弧状凹溝形部片をもち、かつ両弧状凹溝形部片の相対的揺動を導く昇降調節具を有するものである。さらに刃物受けが、その一対の弧状凹溝形部片に支持される円筒治具との組み合わせになり、円筒治具は柄付き刃物がそのにぎりを内部に納めて固定されるチャ
によるライナーを含む多段構造であることがよりのぞましい。また刃先側の弧状凹溝形部片が、刃先受けの側壁対に設けた各勾配付長溝孔内を摺動調節し得るガイド翼片を有するものであることが一層のぞましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に従う彫刻刀類の刃研ぎ具の基本的な実施形態を図解し、1は平滑平面に整えられた砥面2をもつ砥石、3は砥面2に平行な面S上でこれに全面接触しつつ摺動自在な滑走台であり、4は刃物受けである。(図2の場合も参照のこと)。
【0007】
刃物受け4は、多くの場合につき図1に示すように長径×短径が18mm×12mm程度の長円断面(長手方向に一様な)のにぎりをもつ柄付き刃物5を、その刀身前端にて研ぎおろしをすべき表刃が全面又は少なくとも母線にて砥面2と接する姿勢となるべき長手方向の傾斜角度及び軸心のまわりの回転角度を調節し、かつその抑止拘束を可能として保持する機能をもつ。
すなわち刃物受け4は柄付き刃物5の軸心の向きに間隔をおいて柄付き刃物5のにぎりの外周上の2点でそれぞれ接する一対の弧状凹溝形部片6,7をもち、かつ両弧状凹溝形部片6,7の相対的揺動を導く昇降調節具8を有し、柄付き刃物5が弧状凹溝形部片6,7で支持された上記回転角度の調整及び昇降調節具8による傾斜角度の調整をすることができる。
【0008】
また刃物受け4は図2のように、図1に示したのと基本的に同様な一対の弧状凹溝形部片6,7に支持される、円筒治具9との組み合わせになるものとすることができ、この場合円筒治具9は図1に比しやや細い、例えば外径13mm程度の円形断面又は15mm×11mm程度の長円断面(長手方向異径、図2の破線参照)のにぎりをもつ柄付き刃物5’のにぎりを内部に納めて柄付き刃物5’の刀身を固定するチャック10をそなえるものとする。
【0009】
チャック10は円筒治具9の一端に開口する一対の切り込み溝9a,9bにそれぞれ緊密に挿入固着された前板13a及び後板13bよりなる受け板13と、この受け板13に前板13a、後板13bにまたがって設けた平行一対の長溝孔13c、13d内を上下に摺動し得る一対の脚壁14a、14bを有する方形枠14とから主として成り、方形枠14の底壁14c上に、受け板13の下面との間に柄付き刃物5’の刀身を 挟持するアンビル15を載置する一方、方形枠14の頂壁には押ねじ16をねじ込み、その下端の当板17をねじ圧下することにより方形枠14を受板13に対し吊り上げて、上記刀身の挟持を実現するようにしまた図中18a、18bで示したように円筒治具9は柄付き刃物5’のにぎりを内部に納めて保持する押しねじを有するものとする。
【0010】
図1に示したとおり、柄付き刃物5を直接刃物受け4上に載せ、また柄付き刃物5’のにぎりがやや細いようなものであるとき、よりのぞましくは図2に示す円筒治具9内に納めてチャック10と押しねじ18a、18bにより保持してから刃物受け4上に載せると、弧状凹溝形部片6,7によるの支持のもとに柄付き刃物5,5’の軸心の回りまわりの回転角度を調整することができる。
なお図2ではこの回転角度の調整の便宜のため、円筒治具9に刻んだ指標Nと照応すべき目盛Dを弧状凹溝部片7に設けた場合を示した。
【0011】
刃物受け4は図示例でピン軸をV溝12で支持した場合を示す昇降調節具8により弧状凹溝形部片6,7の相対的な揺動を導いて、柄付き刃物5,5’の長手方向の傾斜角度を調整でき、ここでとくに刃物受け4の下面前半にクッションスポンジ19を貼着しておき滑走台3との間に介装することにより上記調節を円滑微妙に行うことができ、このクッションスポンジ19は、トウションスプリングやリーフスプリングなどのばねによる代替使用が可能である。
【0012】
弧状凹溝形部片6,7の溝形状は場合により例えば谷形溝の如きに変形してもよく、また昇降調節具8はピン軸をブッシュで軸受けしたりその他のピポット軸などでも代用できる。なお弧状凹溝形部片7を図2のように刃物受け4と別体につくり、例えば長溝孔7aとビス7bとにより残りの弧状凹溝部片6に対する高さ調整を可能とするように変形しても良い。
またこの場合長溝孔7aの長手方向に沿って直目盛りD’を設け、刃物受け4の後縁を指標N’として上記高さ調整の目安にすることができる。
【0013】
図1の柄付き刃物5は、版画刀で印刀、彫刻刀で小刀と呼ばれている斜めの切刃を有する場合の例を示すが、これらのほかにいわゆるのみに似た切刃をもつ平刀やV字形切刃を有する三角刀など、刀身前端で裏刃とともに刃縁を形成する表刃が平面をなす場合には、この平面より成る表刃が砥面2と全面接触する柄付き刃物5の姿勢を、長手方向の傾斜角度及び軸心のまわりの回転角度の調節によって導く。
【0014】
図1の例ではこの姿勢を、柄付き刃物5のにぎりの上面を作業者の指先により刃物受け4上に抑止して保持し乍ら、滑走台3を砥面2と平行な面S上でこれに全面接触しつつ摺動させることにより表刃を研ぎ下ろすことが出来る。面sは例えばフッ素樹脂系のすべりがよいコーチングを施したシートの如きを用いればよい。
【0015】
円筒治具9を用いる場合も上記したと同様指先による抑止保持を行い、何れの場合も三角刀のように切刃面が二面よりなるときには、上記の研ぎ下ろしを各面につきそれぞれ同様に行う。
【0016】
柄付き刃物5が版画刀で駒透刀と呼ばれる丸刀(図2参照)や間透刀と言われる平丸刀、また彫刻刀の極浅、中浅丸、浅丸、中深丸、深丸そして極深丸などに区分される丸刀など、表刃が曲面よりなるとき、その母線にて砥面2と接する姿勢となるべき、上記傾斜角度及び回転角度の調節とその抑止拘束下の研ぎ下ろしを、刃物受け4上における柄付き刃物5の軸心のまわりの回転運動にあわせ行うことにより成就させ得る。このときとくに図2に示した円筒治具9を用いると回転運動がより円滑に行え、好ましい。すなわち刃物受け4の弧状凹溝形部片6,7に沿って円筒治具9を押しながら手前にまわしてほぼ1/4円弧分を、残りは引き乍ら逆に回すと良い。
【0017】
柄付き刃物5の刀身の刃先部分が長大で研ぎ下ろすべき表刃を砥面と全面的に接触させ得ないことがあり得るので、この場合滑走台3を図1に示したようにだぼ又はほぞ結合11によるライナー20を含む多段構造として分離可能ならしめる。図1にだぼ又はほぞ11’をもつライナー20を付記した。
【0018】
また図3に他の実施形態を示すように、刃先側の弧状凹溝形部片6が、刃物受け4の側壁対4a,4bに設けた各勾配付き長溝孔4c,4d内を摺動調整し得るガイド翼片6a,6bを有するものとすることができ、この場合とくににぎりの柄をすげる刀身の挿し込みつけ根を弧状凹溝形部片6に接触させた状態で表刃が全面又は少なくとも母線にて砥面2と接する姿勢となるまでガイド翼片6a,6bを勾配付き長溝孔4c,4dに沿って摺動させるのであり、また弧状凹溝形部片7につき、そのたて溝孔7aの助けにより、にぎり柄の尾端を支持する位置にビス7bでねじ止めするを可とする。図中7cはねじ抑止片であり、なおビス7bのねじ頭は図にあらわされていない。
ここに勾配付長溝孔4c,4dの下縁に沿って側壁対4a,4bには、ゴム摩擦シート4eを接着などによって固着しておき、ガイド翼片6a,6bの摺動運動を円滑にすると共にその保持を容易にするとなおのぞましい。なおこの例で昇降調節具8は、滑動台3に横架固定したピン軸8’と刃物受け4の下面に固着した半丸溝形サドル12”とよりなる場合を示し、19は図1,2でのべたのとおなじクッションスポンジである。
【0019】
【発明の効果】
本発明は彫刻刀類の刃の手研ぎ作業中にしばしば生じ勝ちな摺動ストローク中の妄動を生じることがないので、研ぎ下ろし面前縁の不規則だれがなく、すぐれた切れ味が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う刃研ぎ具の斜視図である。
【図2】部分の分解斜視図と要部断面図である。
【図3】別の実施例の斜視図である。
【符号の説明】
1砥石
2砥面
S平面
3滑走台
4刃物受け、4a,4b側壁、4c,4d勾配付長溝孔、4eゴム質摩擦シート
5,5’柄付き刃物
6弧状凹溝形部片、6a,6bガイド翼片
7弧状凹溝形部片、7aたて長溝孔、7bビス、7cねじ抑止片
8昇降調節具、8’固定ピン軸
9円筒治具、9a,9b切込み溝
N,N’指標
D,D’目盛
10チャック
11、11’だぼ(太柄)又はほぞ(柄)結合
12V溝、12’ブッシュ、12”半丸溝形サドル
13受板、13a前板、13b後板、13c,13d長溝孔
14方形枠、14a,14b側壁、14c底壁
15アンビル
16押しねじ
17当板
18a,18b押ねじ
19クッションスポンジ
20ライナー
【発明の属する技術分野】
本発明は、木版画用、木彫用などの彫刻刀類が、使用を経ることによりまた長期にわたる放置のごときによって切れ味の鈍ったとき、刃先を鋭利に研ぎ直して切れ刃を完全に再生更新すると共に切れ味の持続性向上を図り、快削性ならびに彫刻作業性の飛躍増強に資することが出来る彫刻刀類の刃研ぎ具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来彫刻刀類の刃の手作業による刃研ぎ具は、研ぎ板と平行においた添え木に沿って刀身を研ぎ板の長手方向に動かす往復運動の反覆によるものが知られていた(意匠公報1054628号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の技術によるとき、元来練達した刃研ぎ技能を有する場合には当たらぬことが多い一般的なユーザーにあって、刃研ぎの往復運動のストローク中又は特にストローク端でしばしば刃身の保持があまくなりがちなため、ゆれや妄動を生じて刃先に不規則だれを起こす原因となり、このようにしてさしたる切れ味の回復もその永続性ものぞめず、作品の出来栄えに影響する欠点があった。
【0004】
本発明は上記問題を解決するために、砥面上で表刃を砥面に対する適切な接触状態の下に往復摺動させる刃研ぎ運動を、確実に案内する新規手段を講じた、彫刻刀類の刃研ぎ具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明による彫刻刀類の刃研ぎ具は、平滑平面に整えられた砥面をもつ砥石と、その砥面に平行な面上でこれに全面接触しつつ摺動自在な滑走台とをそなえ、滑走台は柄付き刃物をその刀身前端にて研ぎ下ろしをすべき表刃が全面又は少なくとも母線(表刃が曲面よりなる例えば丸刀のとき)にて砥面と接する姿勢となるべき、長手方向の傾斜角度及び軸心のまわりの回転角度の調節と、その抑止拘束を可能として保持する刃物受けを有し、この刃物受けは滑走台3との間に介装したクッションスポンジを有することを特徴とするものである。またこの場合において本発明は刃物受けが、柄付き刃物の軸心の向きに間隔をおく一対の弧状凹溝形部片をもち、かつ両弧状凹溝形部片の相対的揺動を導く昇降調節具を有するものである。さらに刃物受けが、その一対の弧状凹溝形部片に支持される円筒治具との組み合わせになり、円筒治具は柄付き刃物がそのにぎりを内部に納めて固定されるチャ
によるライナーを含む多段構造であることがよりのぞましい。また刃先側の弧状凹溝形部片が、刃先受けの側壁対に設けた各勾配付長溝孔内を摺動調節し得るガイド翼片を有するものであることが一層のぞましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に従う彫刻刀類の刃研ぎ具の基本的な実施形態を図解し、1は平滑平面に整えられた砥面2をもつ砥石、3は砥面2に平行な面S上でこれに全面接触しつつ摺動自在な滑走台であり、4は刃物受けである。(図2の場合も参照のこと)。
【0007】
刃物受け4は、多くの場合につき図1に示すように長径×短径が18mm×12mm程度の長円断面(長手方向に一様な)のにぎりをもつ柄付き刃物5を、その刀身前端にて研ぎおろしをすべき表刃が全面又は少なくとも母線にて砥面2と接する姿勢となるべき長手方向の傾斜角度及び軸心のまわりの回転角度を調節し、かつその抑止拘束を可能として保持する機能をもつ。
すなわち刃物受け4は柄付き刃物5の軸心の向きに間隔をおいて柄付き刃物5のにぎりの外周上の2点でそれぞれ接する一対の弧状凹溝形部片6,7をもち、かつ両弧状凹溝形部片6,7の相対的揺動を導く昇降調節具8を有し、柄付き刃物5が弧状凹溝形部片6,7で支持された上記回転角度の調整及び昇降調節具8による傾斜角度の調整をすることができる。
【0008】
また刃物受け4は図2のように、図1に示したのと基本的に同様な一対の弧状凹溝形部片6,7に支持される、円筒治具9との組み合わせになるものとすることができ、この場合円筒治具9は図1に比しやや細い、例えば外径13mm程度の円形断面又は15mm×11mm程度の長円断面(長手方向異径、図2の破線参照)のにぎりをもつ柄付き刃物5’のにぎりを内部に納めて柄付き刃物5’の刀身を固定するチャック10をそなえるものとする。
【0009】
チャック10は円筒治具9の一端に開口する一対の切り込み溝9a,9bにそれぞれ緊密に挿入固着された前板13a及び後板13bよりなる受け板13と、この受け板13に前板13a、後板13bにまたがって設けた平行一対の長溝孔13c、13d内を上下に摺動し得る一対の脚壁14a、14bを有する方形枠14とから主として成り、方形枠14の底壁14c上に、受け板13の下面との間に柄付き刃物5’の刀身を 挟持するアンビル15を載置する一方、方形枠14の頂壁には押ねじ16をねじ込み、その下端の当板17をねじ圧下することにより方形枠14を受板13に対し吊り上げて、上記刀身の挟持を実現するようにしまた図中18a、18bで示したように円筒治具9は柄付き刃物5’のにぎりを内部に納めて保持する押しねじを有するものとする。
【0010】
図1に示したとおり、柄付き刃物5を直接刃物受け4上に載せ、また柄付き刃物5’のにぎりがやや細いようなものであるとき、よりのぞましくは図2に示す円筒治具9内に納めてチャック10と押しねじ18a、18bにより保持してから刃物受け4上に載せると、弧状凹溝形部片6,7によるの支持のもとに柄付き刃物5,5’の軸心の回りまわりの回転角度を調整することができる。
なお図2ではこの回転角度の調整の便宜のため、円筒治具9に刻んだ指標Nと照応すべき目盛Dを弧状凹溝部片7に設けた場合を示した。
【0011】
刃物受け4は図示例でピン軸をV溝12で支持した場合を示す昇降調節具8により弧状凹溝形部片6,7の相対的な揺動を導いて、柄付き刃物5,5’の長手方向の傾斜角度を調整でき、ここでとくに刃物受け4の下面前半にクッションスポンジ19を貼着しておき滑走台3との間に介装することにより上記調節を円滑微妙に行うことができ、このクッションスポンジ19は、トウションスプリングやリーフスプリングなどのばねによる代替使用が可能である。
【0012】
弧状凹溝形部片6,7の溝形状は場合により例えば谷形溝の如きに変形してもよく、また昇降調節具8はピン軸をブッシュで軸受けしたりその他のピポット軸などでも代用できる。なお弧状凹溝形部片7を図2のように刃物受け4と別体につくり、例えば長溝孔7aとビス7bとにより残りの弧状凹溝部片6に対する高さ調整を可能とするように変形しても良い。
またこの場合長溝孔7aの長手方向に沿って直目盛りD’を設け、刃物受け4の後縁を指標N’として上記高さ調整の目安にすることができる。
【0013】
図1の柄付き刃物5は、版画刀で印刀、彫刻刀で小刀と呼ばれている斜めの切刃を有する場合の例を示すが、これらのほかにいわゆるのみに似た切刃をもつ平刀やV字形切刃を有する三角刀など、刀身前端で裏刃とともに刃縁を形成する表刃が平面をなす場合には、この平面より成る表刃が砥面2と全面接触する柄付き刃物5の姿勢を、長手方向の傾斜角度及び軸心のまわりの回転角度の調節によって導く。
【0014】
図1の例ではこの姿勢を、柄付き刃物5のにぎりの上面を作業者の指先により刃物受け4上に抑止して保持し乍ら、滑走台3を砥面2と平行な面S上でこれに全面接触しつつ摺動させることにより表刃を研ぎ下ろすことが出来る。面sは例えばフッ素樹脂系のすべりがよいコーチングを施したシートの如きを用いればよい。
【0015】
円筒治具9を用いる場合も上記したと同様指先による抑止保持を行い、何れの場合も三角刀のように切刃面が二面よりなるときには、上記の研ぎ下ろしを各面につきそれぞれ同様に行う。
【0016】
柄付き刃物5が版画刀で駒透刀と呼ばれる丸刀(図2参照)や間透刀と言われる平丸刀、また彫刻刀の極浅、中浅丸、浅丸、中深丸、深丸そして極深丸などに区分される丸刀など、表刃が曲面よりなるとき、その母線にて砥面2と接する姿勢となるべき、上記傾斜角度及び回転角度の調節とその抑止拘束下の研ぎ下ろしを、刃物受け4上における柄付き刃物5の軸心のまわりの回転運動にあわせ行うことにより成就させ得る。このときとくに図2に示した円筒治具9を用いると回転運動がより円滑に行え、好ましい。すなわち刃物受け4の弧状凹溝形部片6,7に沿って円筒治具9を押しながら手前にまわしてほぼ1/4円弧分を、残りは引き乍ら逆に回すと良い。
【0017】
柄付き刃物5の刀身の刃先部分が長大で研ぎ下ろすべき表刃を砥面と全面的に接触させ得ないことがあり得るので、この場合滑走台3を図1に示したようにだぼ又はほぞ結合11によるライナー20を含む多段構造として分離可能ならしめる。図1にだぼ又はほぞ11’をもつライナー20を付記した。
【0018】
また図3に他の実施形態を示すように、刃先側の弧状凹溝形部片6が、刃物受け4の側壁対4a,4bに設けた各勾配付き長溝孔4c,4d内を摺動調整し得るガイド翼片6a,6bを有するものとすることができ、この場合とくににぎりの柄をすげる刀身の挿し込みつけ根を弧状凹溝形部片6に接触させた状態で表刃が全面又は少なくとも母線にて砥面2と接する姿勢となるまでガイド翼片6a,6bを勾配付き長溝孔4c,4dに沿って摺動させるのであり、また弧状凹溝形部片7につき、そのたて溝孔7aの助けにより、にぎり柄の尾端を支持する位置にビス7bでねじ止めするを可とする。図中7cはねじ抑止片であり、なおビス7bのねじ頭は図にあらわされていない。
ここに勾配付長溝孔4c,4dの下縁に沿って側壁対4a,4bには、ゴム摩擦シート4eを接着などによって固着しておき、ガイド翼片6a,6bの摺動運動を円滑にすると共にその保持を容易にするとなおのぞましい。なおこの例で昇降調節具8は、滑動台3に横架固定したピン軸8’と刃物受け4の下面に固着した半丸溝形サドル12”とよりなる場合を示し、19は図1,2でのべたのとおなじクッションスポンジである。
【0019】
【発明の効果】
本発明は彫刻刀類の刃の手研ぎ作業中にしばしば生じ勝ちな摺動ストローク中の妄動を生じることがないので、研ぎ下ろし面前縁の不規則だれがなく、すぐれた切れ味が確保される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従う刃研ぎ具の斜視図である。
【図2】部分の分解斜視図と要部断面図である。
【図3】別の実施例の斜視図である。
【符号の説明】
1砥石
2砥面
S平面
3滑走台
4刃物受け、4a,4b側壁、4c,4d勾配付長溝孔、4eゴム質摩擦シート
5,5’柄付き刃物
6弧状凹溝形部片、6a,6bガイド翼片
7弧状凹溝形部片、7aたて長溝孔、7bビス、7cねじ抑止片
8昇降調節具、8’固定ピン軸
9円筒治具、9a,9b切込み溝
N,N’指標
D,D’目盛
10チャック
11、11’だぼ(太柄)又はほぞ(柄)結合
12V溝、12’ブッシュ、12”半丸溝形サドル
13受板、13a前板、13b後板、13c,13d長溝孔
14方形枠、14a,14b側壁、14c底壁
15アンビル
16押しねじ
17当板
18a,18b押ねじ
19クッションスポンジ
20ライナー
Claims (5)
- 平滑平面に整えられた砥面2をもつ砥石1と、その砥面2に平行な面S上でこれに全面接触しつつ摺動自在な滑走台3とをそなえ、滑走台3は柄付き刃物5をその刀身前端で研ぎおろしをすべき表刃が全面又は少なくとも母線にて砥面2と接する姿勢となるべき、長手方向の傾斜角度及び軸心のまわりの回転角度の調節と、その抑止拘束を可能として保持する刃物受け4を有し、この刃物受け4は滑走台3との間に介装したクッションスポンジ19を有することを特徴とする彫刻刀類の刃研ぎ具。
- 刃物受け4が、柄付き刃物5の軸心の向きに間隔をおく一対の弧状凹溝形部片6,7をもち、かつ両弧状凹溝形部片の相対的揺動を導く昇降調節具8を有するものであることを特徴とする請求項1に記載した彫刻刀類の刃研ぎ具。
- 刃物受け4が、その一対の弧状凹溝形部片6,7に支持される円筒治具9との組み合わせになり、円筒治具9は柄付き刃物5’がそのにぎりを内部に納めて固定されるチャック10をそなえることを特徴とする請求項2に記載した彫刻刀類の刃研ぎ具。
- 刃先側の弧状凹溝形部片6が、刃物受け4の側壁対4a,4bに設けた各勾配付き長溝孔4c,4d内を摺動調節しうるガイド翼片6a,6bを有することを特徴とする請求項2,3又は4に記載した彫刻刀類の刃研ぎ具。
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