JP3593504B2 - フロアダクト構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の床に設置され、空調用空気を案内するためのパイプ状の部品であるフロアダクト構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、フロアダクトは、フロアパネルとフロアカーペットとの間に設置され、例えば、インスツルメントパネル内のエアミックス装置からの空気をインスツルメントパネルから離れた箇所にある吹出口(エアーアウトレット、エアーノズル等)へ送るために用いられる。
近年、乗用車のスタイルも、ユーザーのライフスタイルの多様化に対応して変化している。その一つの例としては、一人掛けの座席を並列に設置し、その間を通路にし、この座席の間を通って後席との間を行き来できるようにした、いわゆるウオークスルータイプの座席配置が用いられている。そのため、センタートンネルを低く乃至は無くして床全体をほぼフラットにして、歩き易くする工夫もみられる。
【0003】
一方、そのようなウオークスルータイプの座席レイアウトをした車両にあっても、後席に快適な風を送ることができる空調性能が求められる。
そこで、床を利用してダクトを通し、エアコンユニットなどからの風を後席に送るフロアダクトを利用する場合があるが、この場合、フロアダクトのレイアウトは出来る限り歩行ゾーンを避けて行われるものゝ、前記ウオークスルータイプの場合には、個々の一人分の座席が他と独立しており、その周囲の通常三周辺部が歩行ゾーンになるのであり、完全に歩行ゾーンに重ならないようにダクトを配置するのは困難である。
【0004】
又、車両の運行上必要な電気配線(ワイヤーハーネス)も、歩行ゾーンを避けるように引き回すのが好ましいが、床面のほぼ全体が歩行ゾーンになってしまう条件下では、ダクトと電気配線に利用可能なゾーンは限られた僅かな場所を共有することになる。
特開昭59−34944号には、ダクトをフロアカーペットの下に配置し、そのダクトに沿ってワイヤーハーネスを配索した構造の記載がある。この公報に記載のものは、断面台形状のダクトの一方に庇状に張出した傾斜面部を設けて格納部とし、そこにワイヤーハーネスを通して格納し、フロア面上に段差を生じさせることなく、安全に配索でき、経路も確実化できるとの効果を奏すると説明されている。
【0005】
【従来技術の課題】
しかしながら、このように傾斜面部を形成し、段差を抑制する構造は、フロアトンネルを覆うフロアカーペットのこのフロアトンネルの畝形状を利用して段差をぼかすという美観上の効果を奏するものの、後方の室内スケッチ(後方図1参照)はセダン車などに特徴的なフロア形状を前提としており、ウオークスルータイプのダクトの上も含めて歩行ゾーンとして利用するような態様に於ては、傾斜面でワイヤーハーネスを保護できる程度の強度はなく、上記近年の床形式における通常の使用形態においては、傾斜部を介してワイヤーハーネスを踏み付ける結果となり、信頼性確保の点でさらなる改良が求められる。
【0006】
特に、従来のラジオ、空気清浄機等の電装品用の電源の要求とは異なり、近年のワイヤーハーネスは種々の安全装置のための電源回路、信号回路のための電気配線としての役割をも担っている。
例えば、個々の座席周りのセンサー(シートベルト装着センサースイッチ、アイソフィックスチャイルドシート装着確認センサー、側突センサー等)を考慮すると、ワイヤーハーネスの保護信頼性に対する要求は従前よりも高まっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、改善された保護性能を有するプロテクタ部を形成したフロアダクトを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記問題点を解決することを目的とし、車両の床面に設置されるフロアダクト構造であって、床面に沿って設置され内部に通気路を有するダクト本体部と、このダクト本体部の通気方向に沿って形成されるプロテクタ部とを有し、前記プロテクタ部は、下側にワイヤーハーネスを通すため所定の離間距離を確保できるように保護プレート部の板厚が前記ダクト本体部の板厚の2〜4倍にして床面と平行に形成したこと、また請求項1記載のフロアダクト構造であって、プロテクタ部が第1パネル部と、この第1パネル部から前方に延設された第2パネル部とからなり、前記第1パネル部は、前記ダクト本体部の下面に対しほぼ平行で、前記第2パネル部はダクト本体部の下面に対し前方に傾斜させたこと、さらに請求項2記載のフロアダクト構造であって、第2パネル部にはダクト本体部に、ワイヤーハーネスの保持用クリップを取り付ける位置に対応して切欠きを設けたことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を実施例に基づいて詳細に説明する。
図1はフロアダクト1を車体フロア2に取り付けた状態を示す外観斜視図、図2は車体フロア2に於けるフロアダクト1と座席31との位置関係を説明した平面図、図3はフロアダクト1の単体外観斜視図、図4、図5は図3のA部、B部における各断面図である。
【0010】
座席3は、前列の座席31が車幅方向に独立して二席、車両中央の通路5により離間され、後列は車幅方向に一体のベンチシート32となっている。フロアダクト1は、車体フロア2のパネル面2aに置かれ、インスツルメントパネル6内のエアコンユニット7の吹出口7aに接続され、冷暖風がフロアダクト1内に導かれる。
フロアダクト1は図3に示すように、起立状に形成された供給ダクト11、扁平に形成されたダクト本体部12、保護プレート部14から略構成され、ポリプロピレン樹脂のブロー成形法により製造される。
【0011】
ダクト本体部12は中間部に複数の、本実施例では4箇所のつき当て部13を形成してあり、ダクト本体部12の上下方向の圧縮に対抗する補強効果を得、さらに後方にほぼ真っ直ぐに延びるL側ダクト部15と供給ダクト11から右方向に大きく曲げられたR側ダクト部16とを有し、各端末側にはノズル部17,18が設けられており、図示しないカーペットに形成されたスリットから二列目の座席32に座る乗員の足元に空気を吹出すようになっている。
保護プレート部14は、R側ダクト部16の前側側縁に沿って形成される板状のもので、R側ダクト部16の側縁に連続的に接続される第1パネル部21と、第1パネル部21から更に前方に延設された第2パネル部22を有している。第1パネル部21はダクト本体部12の下面に対してほぼ平行であり、第2パネル部22はダクト本体部12の下面に対して前方におよそ10度程傾斜している。23は切欠きであり、クリップ24の取付け位置に対応する(図3、図4参照)。図5中の25はワイヤーハーネスで、種々の装置の電源系、信号系の配線を束ねたものである。
【0012】
ブロー成形工程を図6、図7、図8に基いて説明する。金型Tは上下方向から見た要部断面として示してある。
先ず、図6に示すように、横断面略円形のパリソンPを、解放した金型Tを構成する金型T1,T2の間に垂下させ、矢印C方向に金型Tを動かして、金型T1,T2をそれぞれそれらの中間に位置するパリソンPに押し当たる方向に移動させ、図7に示すように金型T1,T2を閉じる。この状態で、キャビティT3に入りきらなかったパリソンPは、金型T1,T2のクランプ面T4に挟まれ、パリソンPの板厚のおよそ2倍の厚みの中実の板を形成する。クランプ面T4は第1パネル部21および第2パネル部22を形成する約10度の面傾斜を有している。
【0013】
次に、パリソンP内に図示しない吹きこみピンから6Kgf/cm2程度の空気圧を加え、図8に示すように、キャビティT3の内壁に押し当て、キャビティT3に沿ってダクト部16を管状に形成する。以上のように賦形されたパリソンPが金型Tから取り出し可能な程度に冷やされたところで、金型T1,T2を開き、保護プレート部14の端末を所定の形状にカットして、フロアダクト1を得る。
【0014】
なお、パリソンPは3.5ミリメートルの一定肉厚の溶融変形可能な樹脂パイプとしてブローダイスから吐出形成され、得られたフロアダクト1はR側ダクト部16の前側側縁と上面部がそれぞれ1.9ミリメートル、3.3ミリメートルの板厚を有し、保護プレート部14は第1、第2パネル部21,22とも6.8ミリメートルで、R側ダクト部16の前側側縁と上面部に対して、それぞれ3.5倍、2.1倍であった。
【0015】
次に作用を説明する。
上述のように、クランプ面T4によって挾持されたパリソンPはR側ダクト部16の側面から一体でR側ダクト部16の厚みのおよそ2倍〜4倍の厚みの保護プレート部14を形成する。従って、R側ダクト部16のような立体形状によって強度の得ることの困難な単一構造の板状であっても、その下側にワイヤーハーネス25を通すための十分な空間を確保することができる。
従って、図2に示すような歩行ゾーンにダクトを配設し、ダクトに沿ってワイヤーハーネス25を引き回しても、確実に保護することができる。
【0016】
【発明の効果】
本発明は、車両の床面に設置されるフロアダクト構造であって、床面に沿って設置され内部に通気路を有するダクト本体部と、このダクト本体部の通気方向に沿って形成されるプロテクタ部とを有し、前記プロテクタ部は、下側にワイヤーハーネスを通すため所定の離間距離を確保できるように保護プレート部の板厚が前記ダクト本体部の板厚の2〜4倍にして床面と平行に形成しているので、歩行ゾーンにダクトを配設し、ダクトに沿ってワイヤーハーネスを引き回しても確実に保護することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】フロアダクトを車体のフロアに取り付けた状態を示す外観斜視図である。
【図2】車体フロアに於けるフロアダクトと座席との位置関係を説明した平面図である。
【図3】フロアダクトの単体外観斜視図である。
【図4】図3のA部断面図である。
【図5】図3のB部断面図である。
【図6】パリソンを金型T1,T2間に垂下させた平面図である。
【図7】図6の金型を閉じた平面図である。
【図8】図7のパリソンをキャビティT3の内壁に押し当てキャビティT3に沿ってダクト部16を管状に形成した図である。
【符号の説明】
1 フロアダクト
2 フロア
3 座席
31 座席
32 ベンチシート
5 通路
6 インスツルメントパネル
7 エアコンユニット
7a 吹出口
11 供給ダクト
12 ダクト本体部
13 つき当て部
14 保護プレート部
15 L側ダクト部
16 R側ダクト部
17,18 ノズル部
21 第1パネル部
22 第2パネル部
23 切欠き
24 クリップ
25 ワイヤーハーネス
P パリソンP

Claims (3)

  1. 車両の床面に設置されるフロアダクト構造であって、床面に沿って設置され内部に通気路を有するダクト本体部と、このダクト本体部の通気方向に沿って形成されるプロテクタ部とを有し、前記プロテクタ部は、下側にワイヤーハーネスを通すため所定の離間距離を確保できるように保護プレート部の板厚が前記ダクト本体部の板厚の2〜4倍にして床面と平行に形成したことを特徴とするフロアダクト構造。
  2. 請求項1記載のフロアダクト構造であって、プロテクタ部が第1パネル部と、この第1パネル部から前方に延設された第2パネル部とからなり、前記第1パネル部は、前記ダクト本体部の下面に対しほぼ平行で、前記第2パネル部はダクト本体部の下面に対し前方に傾斜させたことを特徴とするフロアダクト構造。
  3. 請求項2記載のフロアダクト構造であって、第2パネル部にはダクト本体部に、ワイヤーハーネスの保持用クリップを取り付ける位置に対応して切欠きを設けたことを特徴とするフロアダクト構造。
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