JP3593106B2 - 室内ユニット及び空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房又は冷房により快適な室内環境を提供する室内ユニット及び空気調和機に係り、特に、送風性能の低下を抑えながらも騒音低減を達成できる室内ユニット及び空気調和機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5は、従来の空気調和機に備えられている室内ユニットの一例を示す縦断面図である。同図に示す室内ユニットでは、ベース1に対して前面パネル2を組み合わせることで箱形の筐体(以下、これをケーシング3と呼ぶ)が形成されている。この前面パネル2には、その前面および上面にそれぞれ空気吸い込み口4,5,6が形成されている。
【0003】
ケーシング3内には、プレートフィンチューブ形の室内熱交換器7およびクロスフローファンであるタンジェンシャルファン8が配置されている。室内熱交換器7は、複数のプレートフィンを平行に配列するとともにその両側にそれぞれ側板を配置し、かつこれら側板および複数のプレートフィンの間に冷媒の流れるチューブを配設した構成をなしている。タンジェンシャルファン8は、ケーシング3内の風路ケース1A中に配設されている。
【0004】
室内熱交換器7は、タンジェンシャルファン8が図中矢印aに示す方向へ回転した際の空気の吸い込み側に、タンジェンシャルファン8を取り囲むように配設されている。この室内熱交換器7は、複数部分すなわち第1段部分7a,第2段部分7b,第3段部分7cに3分割されている。一方、フロントパネル2の空気吹出し口2aには、冷風および温風の送風方向を変える風向き変更装置9が設けられている。
また、上述したタンジェンシャルファン8の空気の吸い込み側に、風路ケース1Aから突出延長する吸い込みノーズ1aとベース1に取り付け設置されたスタビライザ1bがベース1と一体に設けられている。このスタビライザ1bは、室内熱交換器7で発生するドレン(凝縮液)を受けるドレンガイドを兼用しており、タンジェンシャルファン8の外周面に対して所定隙間を置いて平行をなす、概ね平板形状をなしている。
【0005】
タンジェンシャルファン8が矢印aに示す方向へ回転すると、周囲の空気がフロントパネル2の前面の空気吸い込み口4および上面の各空気吸い込み口5,6からそれぞれ吸い込まれ、室内熱交換器7の第1〜第3段部分7a〜7cに送られる。
そして、これら室内熱交換器7の第1〜第3段部分7a〜7cで空気が熱交換され、得られた冷風または温風Kがタンジェンシャルファン8の駆動により、上述した吸い込み側から当該タンジェンシャルファン8を横断して、図中矢印で示す方向に向かう流れとなり、やがて、空気吹出し口2aから送風されていく。このときの冷風または温風Kは、風向き変更装置9により、その吹出し方向が変更されるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記説明の平板形状のスタビライザ1bは、前記ドレンを受け止めるべく、室内熱交換器7の第1段部分7aとタンジェンシャルファン8との間に割り込むように設けられている。このため、このスタビライザ1bが、第1段部分7aから送られてくる冷風または温風Kを阻止することから、タンジェンシャルファン8に流入する冷風または温風Kに、このスタビライザ1bを迂回させる必要があり、その分、当該冷風または温風Kの流速が速くなる傾向があった。
そして、タンジェンシャルファン8においては、このように送られてくる冷風または温風Kの流速の速い部分と遅い部分とが生じることにより、流速の速い部分では、冷風または温風Kの流れとタンジェンシャルファン8の羽根とが干渉し、NZ音(タンジェンシャルファン8の回転数をN[rpm]、その羽根の枚数をZ[枚]とした場合に、その発生周波数fがNZ/60[Hz]で表される騒音。)と称される挟帯域騒音が発生する問題があった。
【0007】
かかる問題を解決するための手法の1つとして、従来では、例えばタンジェンシャルファン8の羽根を不等ピッチの間隔で配設するようにしたものが考案・実施されているものの、ピッチの広いところでは、ファン性能が低下し、ピッチの狭いところでは、通り抜ける冷風または温風Kの流速が同一であれば損失が増えることから、やはりファン性能の低下を起こしていた。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、送風性能の低下を防いでかつ、空気の流れとファンとの干渉に起因する騒音を低減することができる、室内ユニット及び空気調和機を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
すなわち、請求項1に記載の室内ユニットは、複数枚の羽根を環状配置して筒をなし、該筒をその軸線方向の複数箇所で該軸線に垂直をなす間板により補強したファンと、該ファンからの空気を送り出す風路を除き、該ファンの周囲に配置された室内熱交換器と、該室内熱交換器で発生するドレンを受けるべく該室内熱交換器と前記ファンとの間に配置されたスタビライザとを備え、前記ファンの回転により、前記室内熱交換器を経た空気を取り込んで前記風路より室内に吐出する室内ユニットにおいて、前記スタビライザの先端部の形状を、山部と谷部とを有する山谷形状とし、前記各山部間のピッチ寸法と、前記各間板間のピッチ寸法とを略等しくし、前記各羽根間のピッチ寸法と、前記山部及び前記谷部間のピッチ寸法とを、略等しくしたことを特徴とする。
【0010】
上記請求項1に記載の室内ユニットによれば、先端部を山谷形状としたことで、山部を通ってファンに向かう空気の流れと、谷部を通ってファンに向かう空気の流れとの間に、位相差を発生させることができ、ファンに流入する空気の流速が部分的に速くなるのを防止することができるようになる。
なおかつ、各山部間のピッチ寸法と各間板間のピッチ寸法とを略等しくしたことにより、各間板間のピッチ寸法よりも狭いピッチ寸法を各山部間に持たせる場合に比較して、ファンに向かう流れを遮る山部の数を最適な数に減らすことができる。
しかも、各羽根間のピッチ寸法と山部及び谷部間のピッチ寸法とを略等しくすることにより、使用するファンに合わせた最適な山谷形状の先端部を採用することができるので、送風量の十分な確保と騒音低減とを、同時かつ確実に達成することができるようになる。
【0011】
請求項2に記載の室内ユニットは、請求項1に記載の室内ユニットにおいて、前記山部と前記間板との相対位置を略一致させ、前記間板間の対向位置に前記谷部を配置したことを特徴とする。
上記請求項2に記載の室内ユニットによれば、ファンから送り出される空気の流れを、ファンの軸線方向に沿って見た場合、間板が配置された部分では他所に比較して風量の低下が生じるが、この間板部分に山部を一致させることで、送風部として特に有効な間板間位置に、送風流量の多い谷部を合わせることができ、ファンに流れ込む流量をより稼ぐことができる。
【0012】
請求項3に記載の室内ユニットは、請求項1または2に記載の室内ユニットにおいて、前記各羽根間のピッチ寸法をt1、前記山部及び前記谷部間のピッチ寸法をt2とした場合に、0.9≦t2/t1≦1.1としたことを特徴とする。上記請求項3に記載の室内ユニットによれば、請求項1の作用を確実に得ることができる。
【0013】
請求項4に記載の空気調和機は、室外熱交換器と、前記室内熱交換器に高温高圧の気体冷媒を送出する圧縮機と、各種電気回路素子よりなる室外ユニット制御部とを具備してなる室外ユニットと、請求項1〜3の何れかに記載の室内ユニットと、を備えたことを特徴とする。
上記 請求項4に記載の空気調和機によれば、請求項1と同様の作用を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の室内ユニット及び空気調和機の一実施形態を、図面を参照しながら以下に説明するが、本発明がこれのみに限定解釈されるものでないことは、勿論である。
まず、図1を参照しながら、空気調和機の全体構成を以下に説明する。なお、この図1は、本実施形態の室内ユニット及びこれを備えた空気調和機を示す斜視図である。
【0015】
同図に示す空気調和機は、室内ユニット10及び室外ユニット20から構成されている。これら室内ユニット10及び室外ユニット20は、冷媒が導通する冷媒配管21や図示しない電気配線等により接続されている。冷媒配管21は2本備えられており、冷媒は、その一方において室内ユニット10から室外ユニット20へ、また他方において室外ユニット20から室内ユニット10へと流れることになる。
【0016】
室内ユニット10は、従来の技術において図5を用いて説明したものと略同一構成を有するので、従来のものとの相違点を後述において説明し、その他構成は、図5で説明した前記室内ユニットと同様であるとして、ここでは説明を省略する。
【0017】
室外ユニット20には、その筐体20a内に、室外熱交換器20b,プロペラファン20c,圧縮機20f,室外ユニット制御部20g等が備えられている。室外熱交換器20bは、周囲に多数のプレート状フィンを備えた冷媒配管により構成されており、冷媒と室外気との熱交換を実現するためのものである。プロペラファン20cは、筐体20a内に背面から前面へと抜ける空気流を生じさせることにより、新たな空気を常に筐体20a内に取り込んで、室外熱交換器20bにおける熱交換効率の向上を図るために設けられている。
【0018】
圧縮機20fは、低温低圧の気体冷媒を、高温高圧の気体冷媒に変換して吐出するものであり、冷媒回路を構成する部品の中では最も中心的な働きを担うものである。ちなみに冷媒回路とは、この圧縮機20fに加えて、前記室内熱交換器7、室外熱交換器20b、冷媒配管21、膨張弁、及び冷媒の流れ方向を規定する四方弁(膨張弁及び四方弁は共に不図示)等から概略構成され、冷媒を室内ユニット10と室外ユニット20との間で循環させる回路である。
室外ユニット制御部20gは、前記プロペラファン20c、圧縮機20f、その他室外ユニット20に備えられた各種機器に関する動作制御等を行うもので、各種電気回路素子から構成されているものである。
【0019】
以下では、これらの構成よりなる空気調和機の作用について、暖房運転時及び冷房運転時のそれぞれの場合に分けて説明する。
まず、暖房運転時には、圧縮機20fで高温高圧の気体とされた冷媒が、冷媒配管21を通って室内ユニット10の室内熱交換器7に送られる。室内ユニット10内では、タンジェンシャルファン8により前面パネル2から取り込まれた室内気に対して、室内熱交換器7を通過する高温高圧の気体冷媒から熱が与えられる。これにより、空気吹出し口2aから温風が吹き出されることになる。また同時に、高温高圧の気体冷媒は、室内熱交換器7において凝縮液化し、高温高圧の液冷媒となる。
【0020】
この高温高圧の液冷媒は、再び冷媒配管21を通って室外ユニット20における室外熱交換器20bに送られる。室外ユニット20では、図示しない膨脹弁を通過し減圧されて低温低圧の液冷媒となり、プロペラファン20cにより筐体20a内に取り込まれた新しい室外気から、室外熱交換器20bを通過する低温低圧の液冷媒が熱を奪うことになる。低温低圧の液冷媒は、これにより蒸発気化して低温低圧の気体冷媒となる。これが再び圧縮機20fに送出され、上記過程を繰り返すことになる。
【0021】
次に、冷房運転時には、冷媒は上記とは逆方向に冷媒回路中を流れる。すなわち、圧縮機20fで高温高圧の気体とされた冷媒が、冷媒配管21を通過して室外熱交換器20bに送られ、室外気に熱を与えて凝縮液化し高温高圧の液冷媒となる。この高温高圧の液冷媒は、図示しない膨張弁を通過して低温低圧の液冷媒となり、再び冷媒配管21を通って室内熱交換器7に送られる。低温低圧の液冷媒は、ここで室内気から熱を奪って当該室内気を冷却するとともに、冷媒自身は蒸発気化して低温低圧の気体冷媒となる。これが再び圧縮機20fに送出され、上記過程を繰り返すことになる。
【0022】
これらの運転は、室内ユニット10内に収められた室内ユニット制御部15及び室外ユニット20内に収められた室外ユニット制御部20gが協調することにより、制御されるようになっている。
【0023】
以下では、本実施形態の特徴部分である、前記ドレンガイドを兼ねたスタビライザを中心とする説明を、図2〜図4を参照しながら以下に行う。なお、以下の説明においては、従来の前記スタビライザ1bと区別するために、新たな符号30を本実施形態のスタビライザに付与するものとする。
なお、図2は、本実施形態の室内ユニットに備えられているタンジェンシャルファン8とスタビライザ30との相対位置を示す図であって、これらを、タンジェンシャルファン8の軸線に垂直な視線より見た視図である。また、図3は、同タンジェンシャルファン8を、その軸線に垂直な断面で見た場合の要部断面図である。
【0024】
図2及び図3に示すように、タンジェンシャルファン8(ファン)は、複数枚の羽根8a,・・・を環状配置して筒をなし、該筒をその軸線方向の複数箇所で該軸線に垂直をなす間板8b,・・・により補強した構成を有しており、図示されない駆動モータにより、前記軸線回りに回転可能となっている。なお、このタンジェンシャルファン8からの空気を送り出す風路を除いて、該タンジェンシャルファン8の周囲に前記室内熱交換器7が配置されている点や、該室内熱交換器7の第1段部分7aで発生するドレンを受けるべく、この第1段部分7aとタンジェンシャルファン8との間にスタビライザ30が配置されている点も、従来と同様である。
【0025】
スタビライザ30は、タンジェンシャルファン8に流入する冷風または温風Kとは逆の方向に突出延長されるが、その先端部に、タンジェンシャルファン8に流入する空気の流に位相差を発生させるため、図2に示すように高さt2をもった山谷形状が施されており、また、この山谷形状は、タンジェンシャルファン8の長さ方向に流路面積を効率的に広げるために、山部と山部間の間隔をタンジェンシャルファン8の間板8b間の間隔に合わせるように設けられた構成となっている。
【0026】
この位相差発生手段は、図2に示すように、スタビライザ30の先端部に形成された山部31,・・・と谷部32,・・・とを交互に有する山谷形状(傾斜部33,・・・を有する鋸刃形状)である。そして、この山谷形状は、その各山部31,31間のピッチ寸法P1が、各間板8,8間のピッチ寸法P2と等しくされている(P1=P2)。なおかつ、各山部31,・・・は、それぞれ、対向する間板8b,・・・との相対位置が一致しており、間板8b,8b間の対向位置に谷部32が配置されている。
【0027】
さらに、これら山部31及び谷部32間のピッチ寸法t2は、タンジェンシャルファン8側の各羽根8a,8a間のピッチ寸法t1(図3参照)と略等しくされている。具体的には、両ピッチ寸法t1,t2間の関係が、0.9≦t2/t1≦1.1となっている。
このt2/t1のピッチ比について、図4を参照しながら説明する。なお、図4は、スタビライザ30の山谷形状と、タンジェンシャルファン8の羽根ピッチ間隔との組み合わせによる、騒音性能及び送風性能の各傾向を示すグラフであり、横軸が前記ピッチ比t2/t1を示し、紙面左側の縦軸が騒音レベルを示し、紙面右側の縦軸が送風量を示している。
【0028】
同図に示すように、前記ピッチ比t2/t1を変えた場合の騒音レベルの傾向は、ピッチ比t2/t1が増加して1.0に近付くにつれて下がり、そして約1.0以上で略横這い状態(最低騒音レベル)となる。この横這いでの騒音レベルに対して許容できる騒音レベル上昇を例えば3dBとすると、これを達成できるピッチ比t2/t1としては約0.9以上を採用することが好ましいという結果が得られることになる(すなわち、0.9≦t2/t1)。
【0029】
一方、送風量(ファン特性)の観点から見た場合、同図に示すように、ピッチ比t2/t1が1.0に近付くまでは略一定を保ち、そして約1.0以上で減少する傾向にある。ピッチ比が1.0に近付くまでの一定送風レベルを100%とし、これからの送風量低下の許容量を例えば3%とした場合、これを達成できるピッチ比t2/t1としては、約1.1以下を採用することが好ましいという結果が得られることになる(すなわち、t2/t1≦1.1)。
以上説明の理由により、送風量の確保と、騒音レベルの低減との双方を同時に達成するには、ピッチ比t2/t1を、0.9以上かつ1.1以下にするのが好ましいということになる。
【0030】
以上説明の本実施形態の室内ユニット10は、そのスタビライザ30の先端形状を、山部31,・・・と谷部32,・・・とを有する山谷形状とし、各山部31,31間のピッチ寸法P1と各間板8b,8b間のピッチ寸法P2とを略等しくし、各羽根8a,8a間のピッチ寸法t1と山部31及び谷部32間のピッチ寸法t2とを略等しくする構成を採用した。
この構成によれば、先ず、スタビライザ30を高さt2をもった山谷形状としたことで、その傾斜線を越えてタンジェンシャルファン8に至る空気の流れは、0〜t2の高さが0〜360°の位相差を発生させることができ、これによって空気の流れとタンジェンシャルファン8の羽根8aとの衝突によって生じる圧力波の強さを抑制し、結果として騒音を低減させることが可能となる。
また、スタビライザ30の各山部間のピッチ寸法P1をタンジェンシャルファン8の間板8b間のピッチ寸法P2に合わせ、P1=P2としたことで、流路障害物としての抵抗の大きい山部の流れがファンの羽根作用のない間板8b部に流入し、流路障害物としての抵抗の小さい谷部の流れが間板8b間の中点、すなわち羽根8aの中央部に流入することになり、送風効果が向上する。
【0031】
なおかつ、各山部31,31間のピッチ寸法P2と各間板8b,8b間のピッチ寸法とを略等しくしたことにより、各間板8b,8b間のピッチ寸法よりも狭いピッチ寸法を各山部31,31間に持たせる場合に比較して、タンジェンシャルファン8に向かう流れを遮る山部31,31の数を最適な数に減らすことができる。したがって、タンジェンシャルファン8に向かう流れに与える抵抗を低く抑えることができるので、送風性能の低下を防ぐことも可能となっている。
【0032】
しかも、各羽根8a,8a間のピッチ寸法t1と山部31及び谷部32間のピッチ寸法t2とを略等しくすることにより、使用するタンジェンシャルファン8に合わせた最適な山谷形状のスタビライザ30を採用することができるので、送風量の十分な確保と騒音低減とを、同時かつ確実に達成することが可能となる。以上説明のように、本実施形態の室内ユニット10によれば、送風性能の低下を防ぐと共に、空気の流れとタンジェンシャルファン8との干渉による騒音を低減することが可能となる。
【0033】
また、本実施形態の室内ユニット10は、山部31,・・・と間板8b,・・・との相対位置を略一致させ、間板8b,8b間の対向位置に谷部32を配置する構成を採用した。なおかつ、本実施形態の室内ユニット10は、各羽根8a,8a間のピッチ寸法をt1、山部31及び谷部32間のピッチ寸法をt2とした場合に、0.9≦t2/t1≦1.1とする構成も採用した。
この構成によれば、タンジェンシャルファン8から送り出される空気の流れを、タンジェンシャルファン8の軸線方向に沿って見た場合、間板8b,・・・が配置された部分では他所に比較して風量の低下が生じるが、この間板8b部分に山部31を一致させることで、送風部として特に有効な間板8b,8b間位置に、送風流量の多い谷部32を合わせることができるので、間板8b,8b間位置に山部31を配置する場合に比較して、より送風性能を向上させることが可能となる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の室内ユニットは、スタビライザの先端形状を、山部と谷部とを有する山谷形状とし、各山部間のピッチ寸法と各間板間のピッチ寸法とを略等しくし、各羽根間のピッチ寸法と山部及び谷部間のピッチ寸法とを略等しくする構成を採用した。
この構成によれば、先端部を山谷形状としたことで、山部を通ってファンに向かう空気の流れと、谷部を通ってファンに向かう空気の流れとの間に、位相差を発生させることができ、ファンに流入する空気の流速が部分的に速くなるのを防止することができるようになる。したがって、部分的に速い流速を持つ空気の流れがファンに対して干渉することによる騒音を低減させることが可能となる。
なおかつ、各山部間のピッチ寸法と各間板間のピッチ寸法とを略等しくしたことにより、各間板間のピッチ寸法よりも狭いピッチ寸法を各山部間に持たせる場合に比較して、ファンに向かう流れを遮る山部の数を最適な数に減らすことができる。したがって、ファンに向かう流れに与える抵抗を低く抑えることができるので、送風性能の低下を防ぐことも可能となっている。
しかも、各羽根間のピッチ寸法と山部及び谷部間のピッチ寸法とを略等しくすることにより、使用するファンに合わせた最適な山谷形状を採用することができるので、送風量の十分な確保と騒音低減とを、同時かつ確実に達成することが可能となる。
以上説明のように、本発明の室内ユニットによれば、送風性能の低下を防ぐと共に、空気の流れとファンとの干渉による騒音を低減することが可能となる。
【0035】
また、請求項2に記載の室内ユニットは、山部と間板との相対位置を略一致させ、間板間の対向位置に谷部を配置する構成を採用した。この構成によれば、ファンから送り出される空気の流れを、ファンの軸線方向に沿って見た場合、間板が配置された部分では他所に比較して風量の低下が生じるが、この間板部分に山部を一致させることで、送風部として特に有効な間板間位置に、送風流量の多い谷部を合わせることができるので、間板間位置に山部を配置する場合に比較して、より送風性能を向上させることが可能となる。
【0036】
また、請求項3に記載の室内ユニットは、各羽根間のピッチ寸法をt1、山部及び谷部間のピッチ寸法をt2とした場合に、0.9≦t2/t1≦1.1とする構成を採用した。この構成によれば、請求項1の効果を確実に得ることが可能となる。
【0037】
また、請求項4に記載の空気調和機は、室外ユニットと、請求項1〜3の何れかに記載の室内ユニットとを備えた構成を採用した。この構成によれば、請求項1と同様の効果を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の室内ユニット及びこれを備えた空気調和機の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】同室内ユニットに備えられているタンジェンシャルファンとスタビライザの先端部との相対位置を示す図であって、これらを、タンジェンシャルファンの軸線に垂直な視線より見た視図である。
【図3】同タンジェンシャルファンを、その軸線に垂直な断面で見た場合の要部断面図である。
【図4】スタビライザの先端部の山谷形状と、ファンの羽根ピッチ間隔との組み合わせによる、騒音性能及び送風性能の各傾向を示すグラフであり、横軸は、各羽根間のピッチ寸法をt1、山部及び谷部間のピッチ寸法をt2とした場合のピッチ比t2/t1を示し、紙面左側の縦軸は、騒音レベルを示し、紙面右側の縦軸は送風量を示している。
【図5】従来の空気調和機に備えられている室内ユニットを示す縦断面図である。
【符号の説明】
7・・・室内熱交換器
8・・・タンジェンシャルファン(ファン)
8a・・・羽根
8b・・・間板
10・・・室内ユニット
20・・・室外ユニット
20b・・・室外熱交換器
20f・・・圧縮機
20g・・・室外ユニット制御部
30・・・スタビライザ(ドレンガイド)
31・・・山部
32・・・谷部
P1・・・各山部間のピッチ寸法
P2・・・各間板間のピッチ寸法
t1・・・各羽根間のピッチ寸法
t2・・・山部及び谷部間のピッチ寸法
Claims (4)
- 複数枚の羽根を環状配置して筒をなし、該筒をその軸線方向の複数箇所で該軸線に垂直をなす間板により補強したファンと、該ファンからの空気を送り出す風路を除き、該ファンの周囲に配置された室内熱交換器と、該室内熱交換器で発生するドレンを受けるべく該室内熱交換器と前記ファンとの間に配置されたスタビライザとを備え、
前記ファンの回転により、前記室内熱交換器を経た空気を取り込んで前記風路より室内に吐出する室内ユニットにおいて、
前記スタビライザの先端部の形状を、山部と谷部とを有する山谷形状とし、
前記各山部間のピッチ寸法と、前記各間板間のピッチ寸法とを略等しくし、
前記各羽根間のピッチ寸法と、前記山部及び前記谷部間のピッチ寸法とを、略等しくした
ことを特徴とする室内ユニット。 - 請求項1に記載の室内ユニットにおいて、
前記山部と前記間板との相対位置を略一致させ、前記間板間の対向位置に前記谷部を配置したことを特徴とする室内ユニット。 - 請求項1または2に記載の室内ユニットにおいて、
前記各羽根間のピッチ寸法をt1、前記山部及び前記谷部間のピッチ寸法をt2とした場合に、0.9≦t2/t1≦1.1としたことを特徴とする室内ユニット。 - 室外熱交換器と、前記室内熱交換器に高温高圧の気体冷媒を送出する圧縮機と、各種電気回路素子よりなる室外ユニット制御部とを具備してなる室外ユニットと、
請求項1〜3の何れかに記載の室内ユニットと、
を備えたことを特徴とする空気調和機。
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