はじめに、本開示の実施の形態について図面を参照しながら説明する。各図面において、同一の符号を付したものは、同一またはこれに相当するものであり、このことは明細書の全文において共通する。なお、明細書の全文に示されている構成要素はあくまで例示であってこれらの記載に限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は本実施の形態1に係る室内機を示す透視図である。図1に示すように、室内機1は筐体2と、その筐体2の内部に、熱交換器3と遠心送風機4とを有する。筐体2の上部に本体吸い込み口2aと、筐体2の下部に本体吹き出し口2bとを備える。本体吸い込み口2aは筐体外部から筐体内部へと空気を取り込むための開口部である。本体吹き出し口2bは筐体内で熱交換された空気を筐体外部へ吹き出すための開口部である。
図2は図1から筐体2を取り除いた室内機内部の斜視図である。遠心送風機4は、筐体内部に空気を取り込み、熱交換した空気を筐体外部へ吹き出す空気の流れを作る。遠心送風機4は、羽根車5と渦巻ケーシング6とを有する。図2に示すように、遠心送風機4は、駆動モータ7に連結された回転軸8に沿って、互いに所定の間隔をもって、2台以上配置される。羽根車5は、駆動モータ7により回転し、回転により生じた遠心力で空気を羽根車5の半径方向へ送風する。
図3は室内機内部の要部断面図である。図3に示すように、羽根車5は、主板9と、主板9の両面に取り付けられた複数の羽根10とを有する。主板9は回転軸8を中心とし、回転可能に取り付けられた円盤である。複数の羽根10は、主板9の円周上に、互いに所定の間隔をおいて配置される。羽根10の高さ方向が回転軸方向となるように、羽根10の一端を主板9に固定される。
図4は遠心送風機の斜視図である。渦巻ケーシング6は、内部を空気が流れる空間を形成する、たとえば中空の円筒である。羽根車5は、ケーシング吸い込み口6aから渦巻ケーシング6内部へ空気を吸込み、半径方向外側に空気を送風する。渦巻ケーシング6は、羽根車5が半径方向外側に送風した空気を整流し、渦巻ケーシング6の吹き出し口であるケーシング吹き出し口6bから吹き出す。渦巻ケーシング6は、羽根車5の回転方向に羽根車5の周囲を渦巻状に囲む壁面12と、羽根車5が空気を吸い込むためのケーシング吸い込み口6aが形成された側面13と、渦巻ケーシング6の外へ空気を吹き出すケーシング吹き出し口6bとを有する。また、渦巻ケーシング6は、ケーシング吸い込み口6aにおいて空気の流れを滑らかにするベルマウス11を有する。ベルマウス11は、たとえば、環状の板材である。また、渦巻ケーシング6は、羽根車5の回転によって生じた気流をケーシング吹き出し口6bに向かわせる舌部14を備える。
側面13は、ベルマウス11と接続して羽根車5を覆う、二つの端面である。側面13は、回転軸8に垂直となる方向に面を成す。壁面12は、舌部14を起点にケーシング吹き出し口6bに向かって、回転軸まわりの回転角度が大きくなるにつれて回転軸8との距離が大きくなるように設けられる。壁面12は回転軸8に対して平行な面を成す。
図4に示すように、渦巻ケーシング6の壁面12と側面13とが接続する部分を接続部15とする。接続部15は、角を落とすように面取りされた曲面であり、壁面12と側面13とを面取り状に接続する。図4では、半月状に面取りされた接続部15を示したが、接続部15の面取り形状はこれに限定されるものではない。また、接続部15と壁面12とは連続するように接続部15が設けられる。連続するように接続部15を設けることで、熱交換器3を通過した空気は、接続部15の曲面に沿って滑らかにケーシング吸い込み口6aへと流れることができる。なお、渦巻ケーシングの壁面12と側面13との角部が面取りされることで、渦巻ケーシング内部の流路において、角部に形成される渦による空気の乱れを抑制することもでき、送風効率の向上と騒音の低減効果も得られる。
また、図3に示すように、隣り合う渦巻ケーシング間の距離をLcと定義し、渦巻ケーシングの壁面12の回転軸方向の長さを壁面の回転軸方向の長さHcと定義する。なお、隣り合うケーシング間距離Lcとは、回転軸方向に隣り合う二つの遠心送風機4において、渦巻ケーシングの側面同士の距離を指す。
壁面12の回転軸方向の長さHcは、接続部15の大きさにより変化するため、接続部15において、面取りを大きく形成すれば、壁面の回転軸方向の長さHcは短くなり、面取りを小さく形成すれば、壁面12の回転軸方向の長さHcは長くなる。回転軸方向に沿って、所定の間隔を保って並べられた複数の遠心送風機4は、壁面12の回転軸方向の長さHcを調整することで、隣り合う渦巻ケーシング間の接続部同士の距離が広がる。
図5はケーシング吸い込み口6a側から見た平面図である。筐体2を小型にするために、熱交換器3は筐体内部において、遠心送風機4と近づけて配置される。図5に示すように、熱交換器3は筐体内部において、遠心送風機4よりも上流側にあって、全体として曲がった形状を有することで壁面12の周囲を取り巻き、壁面12との間の距離が変化するように、配置される。
ここで、回転軸8の径方向における熱交換器3と壁面12との径方向の距離を径方向距離LHと定義し、回転軸8まわりの角度を回転角度θと定義し、渦巻ケーシング6の巻き始めの舌部14をθ=0°とする。径方向距離LHは、室内機1を回転軸に垂直な面できった断面において、壁面12外周面から外周面と向かい合う熱交換器3までの距離を指す。全体として曲がった形状を有し、壁面の周囲を取り巻き、径方向距離LHが変化するように熱交換器3を配置するとは、たとえば、図5のように、外周面が曲線を描く渦巻ケーシングの壁面12に対して、2枚の平板形状の熱交換器3を配置することである。
このような平坦な熱交換器3が、渦巻型の外径を有する遠心送風機4に近づけて設置されるので、回転軸のまわりの回転角度によって、熱交換器3と壁面12との径方向距離LHが大きく変化する。また、遠心送風機4の回転軸の中心と熱交換器3との距離も大きく変化する。熱交換器3を遠心送風機4に近づけて配置するとは、熱交換器3と壁面12との間の径方向距離LHが、回転軸の中心から壁面12までの距離よりも小さくなるように箇所を有するように配置することである。例えば、熱交換器3と壁面12との間の径方向距離LHが回転軸の中心から壁面12までの距離の半分以下である。
先行技術文献は、一枚の熱交換器を、ケーシング吸込み口と対向するように、遠心送風機側ではなくケーシング吸込み口側に設けたものであって、熱交換器とケーシングとの距離は、遠心ファンの回転軸中心からケーシングまでの距離よりも長い。このような場合、筐体の小型化の要求に対し、熱交換容量を確保することができない。
一方で、本実施の形態1にかかる熱交換器3は、全体として曲がった形状を有し、壁面の周囲を取り巻き、径方向距離LHが変化するように熱交換器3を配置されることで、筐体の小型化の要求に対しても、熱交換容量を十分確保することができる。
また、本実施の形態1にかかる室内機1は、径方向距離LHが短い回転角度における壁面12の回転軸方向の長さHcが、径方向距離LHが長い回転角度における壁面12の回転軸方向の長さHcよりも短い。すなわち、回転角度における径方向距離LH短くなるほど、壁面12の回転軸方向長さHcを短くなるよう接続部15を設ける。たとえば、熱交換器3が渦巻ケーシング6に近接して配置される回転角度において、それ以外の回転角度に比べて、渦巻ケーシングの壁面12の回転軸方向の長さHcを短くなるように、接続部15の面取りを大きさ調整する。
また、本実施の形態1に係る熱交換器3は、熱交換器3のうち渦巻ケーシングの壁面12との距離が近接する箇所を2つ有するように配置する。たとえば、図5に示すように、
二枚の熱交換器3が逆V字を描くように、回転軸8まわりの角度θ0≦θ≦θ1、θ2≦θ≦θ3範囲に熱交換器3を配置する。二枚の熱交換器3は、回転軸8に垂直な面で切った断面において、第一の熱交換器3aと第二の熱交換器3bとがそれぞれの一方の端が近づきあい他方の端が離れあうように、相互に傾斜させて配置される。第一の熱交換器3aと第二の熱交換器3bとの離れあう他方の端の間に遠心送風機4が位置するように配置される。これにより、熱交換器3が渦巻ケーシングに近接している箇所と、近接していない箇所とにおいて、径方向距離LHを変化させることができる。また、熱交換器全体でみてもが回転軸8の周りで曲がった構成となり、熱交換器3が遠心送風機4の外側を取り巻く配置となる。そして、それぞれの熱交換器3が回転軸8まわりで占める角度θ0≦θ≦θ1、θ2≦θ≦θ3範囲が合計で、120°以上、望ましくは150°以上となるようにするとよい。このように熱交換器を配置することで、熱交換容量を確保しつつ、筐体の小型化が可能となる。
ここで、回転角度をθに対して、径方向距離LHが変化する関係を関数LH(θ)と定義する。近接する箇所とは、熱交換器3と壁面12とが向かい合う回転角度の範囲θ0≦θ≦θ1、θ2≦θ≦θ3において、関数LH(θ)が極小値となる回転角度θに対応する箇所を指す。なお、関数LH(θ)が極小値となる回転角度θには、θの前後約20°の角度も含む。
図6は図5を一例として回転角度θに対する径方向距離LHと壁面の回転軸方向長さHcとの関係を示したグラフである。図6において回転角度θは回転軸から舌部の方向を0°とし、2つの下向きに凸の曲線(実線)は2つの熱交換器3a、3bのLHを示している。また、破線はHcを示している。なお、LHは角度θにおける回転軸中心から熱交換器3までの距離から回転軸中心から渦巻ケーシングの壁面12までの距離を差し引いて、熱交換器3の厚みで除した値を用いた。なお、熱交換器3の厚みが回転角度θに対して変化する場合は、その中央部など典型的な箇所の厚み、または平均厚みを用いるとよい。また、Hcは面取り部が形成されていない回転角度θにおける側面13間の距離、つまり渦巻ケーシング6の軸方向の長さを基準として壁面12の軸方向の長さを示す。
図6の2つの下向きに凸の曲線のうち、回転角度70°~155°の実線は図5において舌部に近い左側に位置する熱交換器3aのLHを示し、回転角度165°~255°の実線は図5において吹き出し口に近い右側に位置する熱交換器3bのLHを示す。このように、2つの熱交換器3a、3bにより回転角度において合計で約175°の範囲でケーシングを取り巻くように配置されている。
図5において左側に位置する熱交換器3aは回転角度が70°から大きくなるにつれてLHが小さくなり、約100°付近で極小となり、さらに回転角度が大きくなるにつれてLHは大きくなる。図5において右側に位置する熱交換器3bは回転角度が165°から大きくなるにつれてLHが小さくなり、約220°付近で極小となり、さらに回転角度が大きくなるにつれてLHは大きくなる。回転角度70°未満、155°より大きく165°未満、255°より大きいの範囲は、熱交換器3が配置されていない範囲である。なお、回転角度θの範囲は任意に変更可能である。
LHの極小値は熱交換器3の厚みに比べて小さくなっており、熱交換器3の厚みの0.5以下とされるなど、熱交換器3が渦巻ケーシングの壁面12と非常に接近して配置されていることを示している。一方、図5のように平板形状の熱交換器3を用いた場合は、回転角度θによるLHの変化が極めて大きく、極小値と最大値との比は5倍以上にもなる。
Hcは回転角度θが増加する方向に見ていくと、0°(舌部)から70°付近までは1であり、70°付近から減少し、約115°付近で極小となったのち、増加して155°付近で1になり、165°付近から再び減少し、約220°付近で極小となったのち、増加して255°付近で1となっている。回転角度θによるLHの変化とHcの変化はおおむね似た変化となり、LHが極小値となる回転角度θにおいておおよそHcが極小となる。なお、LHが極小値となる回転角度θとHcが極小となる角度とが20°程度ずれてもよい。
図6のように、LHとHcの回転角度θに対する変化は2次関数に似ており、極小値付近での変化が緩やかで、LHが極小値となる回転角度θにおけるHcは、少しずれた回転角度で極小値となるHcの値と大きく違わないので、本開示の効果を得ることができる。また、製造上においても完全に一致させることは難しい。本開示において、径方向距離LHが短い回転角度θにおける壁面の回転軸方向の長さHcが、径方向距離LHが長い回転角度θにおける壁面の回転軸方向の長さHcよりも短いとは、径方向距離LHが極小値となる回転角度θにおいて面取り部によってHcが極小値となる程小さくされていることを意味する。たとえば、LHが極小値となる回転角度θとHcが極小値となる回転角度θとの差が20°以下の場合も含むものとする。
本実施の形態1に係る熱交換器3は、遠心送風機4よりも上流側で、かつ、熱交換器3と壁面12とが向かい合う回転角度の範囲において、熱交換器3と渦巻ケーシングの壁面12との距離である径方向距離LHの関数LH(θ)が極小値を二つ有するように配置される。二つの極小値の角度をβ1、β2とし、それぞれの角度における壁面12の回転軸方向長さをHc1、Hc2で表すとすると、θ0≦θ<β1、β1<θ<β2、β2<θ≦θ3における各軸方向長さHcよりも、θがβ1、β2となる回転角度におけるHc1、Hc2の方が短くなるように、熱交換器が配置される。
また、より好ましくは、関数LH(θ)が最小値となる回転角度θにおいて、壁面12の回転軸方向の長さHcが最小となるように接続部15を設ける。関数LH(θ)が最小値となるのは、熱交換器3と渦巻ケーシングの壁面12とが最も近接する、すなわち、径方向距離LHが最も短いことを示す。よって、径方向距離LHが最小になる角度において、壁面12の回転軸方向の長さHcが最小となるように、面取りを大きくした接続部15を設ける。面取りを大きくするには、例えば、面取りの幅を大きくすればよく、半円状に面取りする場合は、半径を大きくすればよい。径方向距離LHが最小になる回転角度において、面取りの幅が一番大きくなるように、壁面12と側面13とで形成される角を落とせばよい。なお、関数LH(θ)が最小値となる回転角度θには、θの前後約20°の角度も含む。
さらに好ましくは、図4に示すように、接続部15を設けた回転角度の範囲において、壁面12の回転軸方向の長さHcが羽根車5の回転軸方向の長さHbよりも短くなるように、面取りされた接続部15を設ける。たとえば、関数LH(θ)が極小値となる回転角度θにおいて、羽根車5の回転軸方向の長さHbよりも短い接続部15を設ける。羽根車5の回転軸方向の長さHbは、羽根車5の高さであり、主板と主板の両面に取り付けられた羽根を合わせた長さである。すなわち、熱交換器3が渦巻ケーシング6に近接する箇所において、壁面12の回転軸方向の長さHcが羽根車5の回転軸方向の長さHbよりも短くなるように、面取りの幅を大きくした接続部15を設けるとよい。
次に、本実施の形態1の室内機1の動作について説明する。駆動モータ7により羽根車5が回転し、筐体外部の空気を本体吸い込み口2aから取り込む。筐体内部に取り込まれた空気は、遠心送風機4よりも上流側に配置された熱交換器3で熱交換され、渦巻ケーシングの接続部15を通過し、ケーシング吸い込み口6aから渦巻ケーシングの内部に吸い込まれる。吸い込まれた空気は、渦巻ケーシングの内部において羽根車5の回転により風量と静圧を獲得し、ケーシング吹き出し口6bから送り出される。ケーシング吹き出し口6bから送り出された空気は、ケーシング吹き出し口6bと連通した本体吹き出し口2bから室内機1の筐体外部へと送風される。
室内機1を小型化する場合、熱交換器3を渦巻ケーシング6に近づけて配置すること考えられる。たとえば、図7に示すように、熱交換器3を配置した場合、熱交換器3と渦巻ケーシング6とが対向する角度範囲θ0≦θ≦θ1、θ2≦θ≦θ3の中でも、それぞれの回転角度において熱交換器3と壁面12との距離が異なるため、熱交換器3と遠心送風機4が近接する回転角度θ付近では、それ以外の角度範囲と比較して、ケーシング吸い込み口6aに向かう空気の流れが遅くなる。すなわち、遠心送風機4の回転軸まわりをみた場合、径方向距離LHが最も短いところで空気の流れが遅くなるため、全体としてケーシング吸い込み口6aに向かう空気の流れに速度分布が生じる。空気の流れが一様でない場合、熱交換器3からケーシング吸い込み口6aに向かう流路において圧力損失が生じ、送風効率が低下する虞がある。
先行技術文献では、単に、渦巻ケーシングの吹き出し孔の反対側に切り欠きを設けたものであって、このような切り欠きが設けられた渦巻ケーシングの近くに、熱交換器3を壁面の周囲を取り囲むように配置した場合、熱交換器3と渦巻ケーシングとの距離が考慮されていないため却って空気の流れの不均一性を増大させる虞がある。
そこで、本実施の形態1に係る室内機1は、本体吸い込み口と本体吹き出し口2bとを有する筐体2と、筐体内部に設けられ、回転軸8を中心に回転する主板9と主板9に配置された複数の羽根10とを有する羽根車5と、羽根車5の回転方向に羽根車5を囲む渦巻状の壁面12、及び壁面12と接続され、羽根車5が空気を吸い込むための吸い込み口6aが形成された側面13とを備えた渦巻ケーシング6とを、有する遠心送風機4と、筐体内部に設けられ、全体として曲がった形状を有することで、壁面12の周囲を取り巻く熱交換器3と、を備えた。さらに、回転軸8まわりの角度を回転角度θ、壁面12と熱交換器3との間の距離を径方向距離LH、壁面12の回転軸方向の長さをHcとすると、熱交換器3は、回転角度θによって径方向距離LHが変化するように配置され、渦巻ケーシング6は、壁面12と側面13とを面取り状に接続する接続部15を有し、径方向距離LHが短い回転角度θにおける壁面の回転軸方向の長さHcは、径方向距離LHが長い回転角度θにおける壁面の回転軸方向の長さHcよりも短くなるように構成した。
詳細には、径方向距離LHが短い回転角度の接続部15の面取りを、熱交換器3と渦巻ケーシングの壁面12との径方向距離LHが長い回転角度の接続部15の面取りよりも大きく形成する。これにより、径方向距離LHが短い回転角度における壁面12の回転軸方向の長さHcが、径方向距離LHが長い回転角度における壁面12の回転軸方向の長さHcよりも短くなる。
したがって、かかる構成により、径方向距離LHの変化に合わせて、渦巻ケーシング6に接続部15を設けることで、熱交換器3から渦巻ケーシングのケーシング吸い込み口6aに向かう流路を適切に確保でき、筐体2の小型化に伴い熱交換器3が遠心送風機4の近くに配置された室内機1であっても、熱交換容量を確保しつつ、室内機1の送風効率を向上できる。
なお、接続部15を設けることで、隣り合う渦巻ケーシングの側面同士よりも、接続部同士の距離の方が長くなるので、隣り合うケーシングの間の距離を広げた効果と同じような効果も得られる。
また、遠心送風機4よりも上流側で、かつ、熱交換器3と壁面12とが向かい合う回転角度の範囲において、径方向距離LHの関数LH(θ)が極小値を二つ有するように熱交換器3を配置することで、筐体の小型化に伴い熱交換器の設置領域が限られた場合でも、熱交換容量を十分に確保しながら、送風効率を向上させることが可能となる。
また、渦巻ケーシングの接続部15を、径方向距離LHの関数LH(θ)が極小値をとるθを含む角度範囲θ0≦θ≦θ1、θ2≦θ≦θ3にのみ形成することで、不必要に渦巻ケーシング6内部の流路を縮小させることがなくなる。そのため、室内機1を小型化し、複数並列に配置される遠心送風機4の隣り合う渦巻ケーシングの間の距離が狭くなる場合においても、空気吸い込み部の流路と渦巻ケーシング内部の流路の双方を確保し、圧力損失を低減し、送風効率を良くすることができる。
また、径方向距離LHの関数LH(θ)が最小値となるθにおいて、壁面12の回転軸方向の長さHcが最小となるように接続部15を設けることで、熱交換器3からケーシング吸い込み口6aまでの流路における送風効率を向上させることが可能となる。すなわち、径方向距離LHの関数LH(θ)が最小値となるθにおいて、最も大きく面取りされることで、ケーシング吸い込み口6aに向かう流路を十分に確保でき、圧力損失を低減できる。よって、熱交換器3を遠心送風機4に近づけて配置しても、室内機1の送風効率を向上できる。
また、接続部15を設けた回転角度の範囲において、壁面12の回転軸方向の長さHcが羽根車5の回転軸方向の長さHbよりも短くなるように面取りされた接続部15を設けることで、熱交換器3からケーシング吸い込み口6aに向かう流路において、さらに圧力損失を低減できる。よって、熱交換器3を遠心送風機4に近づけて配置しても、さらに室内機1の送風効率を向上できる。
なお、本実施の形態1に係る熱交換器3は、外周面が曲線を描く渦巻ケーシングの壁面12との距離が、回転軸8の回転方向において変化して、渦巻ケーシングの周囲を取り巻けばよいため、図8に示したように、1枚の熱交換器3を折り曲げて配置してもよい。
また、本実施の形態1に係る熱交換器3は、遠心送風機4よりも上流側で、かつ、壁面12との間の距離が変化する位置であって、近接箇所が2か所である場合を説明したが、近接箇所が2か所に限定されるものではなく、2か所以上あってもよい。すなわち、関数LH(θ)が極小値を二つ以上有していてもよい。
また、熱交換器3が複数の近接箇所を有して渦巻ケーシング6の周りを取り巻く構成において、1つの近接箇所が他の近接箇所に比べて熱交換器3と渦巻ケーシング6との距離(径方向距離LH)が離れるように設置される場合は、径方向距離LHが離れている箇所の面取りを小さく、すなわち、壁面の回転軸方向の長さHcが他の箇所に比べて長くなるようにしてもよい。
また、複数の近接箇所のうち、1つの箇所が熱交換器3と渦巻ケーシングとの距離(径方向距離LH)が十分に離れる場合には、その箇所に面取りを設けずに他の箇所にのみ面取りを設けるようにしてもよい。
また、複数の近接箇所を有する場合に、回転角度において舌部14に近い近接位置の面取りに比べて遠い位置の面取りを大きく、すなわち壁面の回転軸方向の長さHcが短くなるようにしてもよい。特に舌部の回転角度を起点0°としたとき、その反対となる180°よりも大きな回転角度に近接位置があるように熱交換器を設置してその位置における面取りを最も大きくしてもよい。すなわち、180°よりも小さな回転角度における壁面の回転軸方向の長さHcよりも、180°よりも大きな回転角度の近接箇所の壁面の回転軸方向の長さHcが短くなるようにしてもよい。大きな回転角度の位置では小さな回転角度の位置に比べて羽根10と壁面12のとの間の径方向距離が大きくなっているので、このように大きな面取りを形成しても、渦巻ケーシング内部の風の流れの損失が小さくすることができる。
また、本実施の形態1に係る壁面の回転軸方向の長さHcは、接続部15の面取りの形成によって短くされるが、側面13全体を傾斜させるなどにより面取り部が形成されていない部分でHcの長さが変化してもよい。また、面取り部の形成される角度範囲が熱交換器3を形成する角度範囲とほぼ一致する例を示したが、熱交換器3を形成する角度範囲に対して、少し狭い範囲、また少し広い範囲に面取り部を形成してもよい。
実施の形態2.
本開示の実施の形態2における室内機1について図9から図13を用いて説明する。実施の形態2に係る室内機1は、実施の形態1の室内機1にさらにガイドプレート16を設けたものである。実施の形態1と重複する構成については説明を省略し、実施の形態1と同一又は相当する部分には同一符号を付す。
図9は本実施の形態2に係る室内機1内部の斜視図であり、図10は本実施の形態2に係るケーシングの吸い込み口側から見た平面図であり、図11は本実施の形態2に係る室内機1の内部を背面側からみた平面図である。
図9に示すように、本実施の形態2にかかる室内機1は、熱交換器3と対向するように設けられたガイドプレート16を有する。たとえば、図10に示すように、ガイドプレート16は渦巻ケーシングの側面側からみるとV字形状であり、熱交換器3よりも下流側であって、複数の熱交換器3のそれぞれの下流側の端部を繋ぐように、渦巻ケーシングの側面13に設けられる。熱交換器3と対向するようとは、回転軸に垂直な断面で見た場合に、熱交換器3が配置された回転角度から、ケーシング吸い込み口6aを挟んで、熱交換器3が設置されていない角度範囲に、ガイドプレート16を配置することである。
なお、ガイドプレート16は図10に示したものに限定されず、熱交換器3よりも下流側であって、熱交換器3と対向するように配置すればよく、複数の熱交換器3のそれぞれの下流側端部とガイドプレート16の端部とが離れていてもよい。また、ガイドプレート16はV字形状に限定されるもではなく、U字形状、その他の形状であってもよい。
図11に示すように、ガイドプレート16は、遠心送風機4が複数配置されている場合は、隣り合う渦巻ケーシング間および、両端の遠心送風機4の渦巻ケーシング6と筐体2との間に設けられる。
遠心送風機4が両吸い込み型である場合には、隣り合う渦巻ケーシング間に配置されるガイドプレート16は、隣り合う渦巻ケーシングの中間点においてケーシングの側面13と平行な面を軸に対称な形状である。ガイドプレート16は、隣り合う渦巻ケーシング間の中間点から渦巻ケーシングの側面13に向かって傾斜する。図11において、上下方向をガイドプレート16の高さとすると、隣り合う渦巻ケーシング間の中間点からケーシング吸い込み口6aに向かうにつれて、ガイドプレート16の高さが低くなる。すなわち、回転軸8が伸びている方向(図11の左右方向)おける渦巻ケーシングの側面13からの距離が長いほど、ガイドプレート16の高さが高くなるようにする。
また、遠心送風機4が片吸い込み型である場合には、隣り合う渦巻ケーシング間において、第一の遠心送風機の渦巻ケーシングの側面13のうち吸い込み口を有さない側面13と、第一の遠心送風機と隣り合う第二の遠心送風機の渦巻ケーシングの側面13のうち吸い込み口を有する側面13と繋ぐようにガイドプレート16が設けられる。ガイドプレート16は、第一の遠心送風機の渦巻ケーシングの側面13のうち吸い込み口を有さない側面13から、第二の遠心送風機の渦巻ケーシングの側面13のうち吸い込み口を有する側面13に向かって傾斜する形状である。複数の遠心送風機4のうち、両端に並べられた遠心送風機4の側面13と筐体2との間に設けられるガイドプレート16も同様の形状である。すなわち、筐体2から遠心送風機4の渦巻ケーシングの側面13に向かってガイドプレート16が傾斜する。
図12は、渦巻ケーシングの側面側からみた場合における室内機1の空気の流れを示す模式図であり、図13は、室内機1の内部を背面側からみた場合における室内機1の空気の流れを示す模式図である。
遠心送風機4のケーシング吸い込み口6aへの空気の流れが、熱交換器3が配置される上流側からのみであり、かつ、羽根車の回転方向と垂直である場合においては、熱交換器3を通った後の空気の一部は、吸い込み口に向かわずに、熱交換器3が配置されている反対側の筐体2の底面に向かい、底面の角部で渦を形成し、圧力損失を生じ、送風効率を低下させる。
ガイドプレート16を熱交換器3と対向するように、渦巻ケーシングの側面13に設けた場合、図12に示すように、ケーシング吸い込み口6aを通り過ぎた気流(図12中の破線)が、ガイドプレート16によって吸い込み口へと誘導される。これにより、筐体2の底面へ向かう流れが無くなり、筐体角部での渦の発生が無くなる。
遠心送風機4の上流側に配置された熱交換器3を通り、ケーシング吸い込み口6aに向かう流路において、熱交換器3が配置される反対側に傾斜したガイドプレート16を配置することで、吸い込み口に流れを誘導し、かつ、熱交換器3が配置される反対側の筐体底面の角部において生じる渦を抑制し、流路における圧力損失を低減することができる。
また、図13に示すように、遠心送風機4が両吸い込み型である場合においては、隣り合う渦巻ケーシングの間にガイドプレート16を配置することで、隣り合うケーシング吸い込み口6aに向かう気流(図13中の破線)を整流し、流れの合流による圧力損失も低減し、送風効率を向上させることができる。よって、熱交換器3をケーシングに近づけて配置した場合であっても送風効率が向上する室内機1及び空気調和機を提供することができる。
以上より、熱交換器3と対向するように、渦巻ケーシングの側面13にガイドプレート16を備えたことにより、実施の形態1の効果を得られるだけでなく、さらに、圧力損失の低減および送風効率を向上させることができる。
実施の形態3.
本開示の実施の形態3における室内機1について図14から図17を用いて説明する。実施の形態3に係る室内機1は、実施の形態1の室内機1のベルマウス11を変形したものである。実施の形態1と重複する構成については説明を省略し、実施の形態1と同一又は相当する部分には同一符号を付す。
図14は、実施の形態3にかかる室内機1内部の斜視図であり、図15は、実施の形態3にかかる渦巻ケーシングの吸い込み口側から見た平面図であり、図16は図15のA-A断面図であり、図17は、図16の断面における室内機1の吸い込み空気の流れを示す模式図である。
図15に示すように、実施の形態3にかかる室内機1は、ケーシング吸い込み口6aにおけるベルマウス11において、熱交換器3が配置されている側を延伸するベルマウス延伸部17を有する。ベルマウス延伸部17は、接続部15が形成される角度範囲θ0≦θ≦θ1、θ2≦θ≦θ3において、ベルマウス11と渦巻ケーシングの側面13との境界線18が側面13上で、熱交換器3が配置される側に延伸して形成される。すなわち、図15において、接続部15が形成される角度範囲θ0≦θ≦θ1、θ2≦θ≦θ3において、ベルマウス11が回転軸8の径方向外側に向かって延伸される。
図16に示すように、ベルマウス11はケーシング吸い込み口6aにおいて、上流側の円形断面19の径が下流側の円形断面20の径よりも大きい。上流側の円形断面19と下流側の円形断面20とは、滑らかな曲面21で接続される。実施の形態3では、曲面21が長くなるように、ケーシング吸い込み口6aの上流側の円形断面19の径を大きくする。すなわち、ケーシング吸い込み口6aの上流側のベルマウス11の端部を熱交換器3が配置されている側へ延伸させることで、ベルマウス延伸部17を設けた。
図17に示すように、熱交換器3を通過した空気は接続部15及びベルマウス11を通り、羽根車5へと吸い込まれる。ベルマウス11の曲面21が長いほど、吸い込まれる空気が整流され、羽根車5に滑らかに吸い込まれるようになる。
よって、渦巻ケーシングの接続部15が形成される角度範囲において、ベルマウス11を熱交換器側に延伸させたベルマウス延伸部17を備えることで、熱交換器3および接続部15を通ってきた流れが、より滑らかに羽根車5へと吸い込まれ、送風性能が向上する。
以上より、実施の形態3に係る室内機1は、接続部15が形成された角度範囲において、ケーシング吸い込み口6aと側面13との接続部分であるベルマウス11が回転軸8の径方向外側に向かって延伸されたベルマウス延伸部17を備えたことで、実施の形態1の効果を得られるだけでなく、さらに、圧力損失の低減および送風効率を向上させることができる。
なお、図15では、ベルマウス延伸部17が2箇所に分かれている例で説明したが、これに限らず、その他種々の形状を適用できる。他の例としては、二つのベルマウス延伸部が繋がっている形状でもよく、2箇所に分かれている形状と同様の効果を得ることができる。
なお、実施の形態4では、ベルマウス11の曲面21を長くするために、上流側の円形断面19の径を大きくするように、回転軸8の径方向外側に向かって延伸させたベルマウス延伸部17を設けたが、他にも、回転軸方向で羽根車5と離れる向きに側面13に突出部を設ける構成も考えられる。しかし、羽根車5の回転軸方向に対して垂直方向から空気を吸い込む場合、吸い込み口に突出した突出部は吸入空気が突出部に衝突し、圧力損失を生じさせ、送風効率を低下させてしまうため、かかる場合は、実施の形態4に示すベルマウス延伸部17を備える方がよい。
実施の形態4.
本開示の実施の形態4における室内機1について図18から図20を用いて説明する。実施の形態4に係る室内機1は、実施の形態1の室内機1にさらに仕切り板22を備えたものである。実施の形態1と重複する構成については説明を省略し、実施の形態1と同一又は相当する部分には同一符号を付す。
図18は、実施の形態4にかかる室内機1内部の斜視図であり、図19は、実施の形態4にかかる渦巻ケーシングの吸い込み口側から見た平面図であり、図20は、実施の形態4に渦巻ケーシングの側面側からみた場合における室内機1の吸い込み空気の流れを示す模式図である。
図18に示すように、実施の形態4に係る室内機1は、第一の熱交換器3aと第二の熱交換器3bとの近づきあう一方の端の間から渦巻ケーシング6に向かってのびる仕切り板を有する。仕切り板22は、第一の熱交換器3aの上端部と第二の熱交換器3bの上端部との間から、渦巻ケーシング6に向かって延伸されるため、第一の熱交換器及び第二の熱交換器と、渦巻ケーシング6との空間を仕切る。遠心送風機4が複数台配置される場合は、遠心送風機4の回転軸8に沿って仕切り板22が設けられる。
図19に示すように、渦巻ケーシングの吸い込み口側から見た場合、仕切り板22は、遠心送風機4の上流側に配置された前面側の熱交換器(第一の熱交換器3a)と背面側の熱交換器(第二の熱交換器3b)のなす角側(紙面上方向)から、渦巻ケーシングの壁面12に向けて、流路を仕切る断面形状である。また、仕切り板22は図19の断面図に示すように接続部15が形成される角度範囲外θ1<θ<θ2に配置される。接続部15が形成される角度範囲以外に仕切り板22を設けることで、遠心送風機4に流れ込む流路を確保することが可能となる。
図20に示すように、遠心送風機4の上流側に、回転軸8を中心に渦巻ケーシング6を囲うように熱交換器が配置されている場合、前面側の熱交換器(第一の熱交換器3a)と背面側の熱交換器(第二の熱交換器3b)とは平行ではなく、角度αをなして配置される。このとき、前面側の熱交換器(第一の熱交換器3a)と背面側の熱交換器(第二の熱交換器3b)とが距離が近接している箇所においては、それぞれの熱交換器を通過した空気は、熱交換器を通過後に合流し、圧力損失を生じ、送風効率を低下されるおそれがる。
そこで、熱交換器3a、3bからケーシング吸い込み口6aまでの流路において、前面側の熱交換器(第一の熱交換器3a)と背面側の熱交換器(第二の熱交換器3b)との間に仕切り板22を配置することで、前面側から流入してくる気流と背面側からの気流が合流するのを防ぐことができ、流れの合流による圧力損失を低減させ、送風効率を向上させることができる。
また、仕切り板22を配置することで、熱交換器3a、3bを通った後の流れを、実施の形態1で示した渦巻ケーシングの接続部15に誘導し、実施の形態1よりさらに送風効率を向上できる。
以上より、実施の形態4に係る室内機1は、第一の熱交換器3aと第二の熱交換器3bとの近づきあう一方の端の間から渦巻ケーシング6に向かってのびる仕切り板22を備えたことで、実施の形態1の効果を得られるだけでなく、さらに、圧力損失の低減および送風効率を向上させることができる。
なお、実施の形態4では、熱交換器3が2枚に分かれている場合について説明したが、他の例としては、熱交換器3が1枚で構成されている場合も、同様の効果が得られるように仕切り板22を設置すればよく、熱交換器3の枚数や形状は実施の形態4に示したものに限定されない。
実施の形態5.
本開示の実施の形態5における空気調和機30について図21を用いて説明する。実施の形態5に係る空気調和機30は、実施の形態1から4にかかる室内機1を備えた空気調和機である。実施の形態1と重複する構成については説明を省略し、実施の形態1と同一又は相当する部分には同一符号を付す。
図21は、実施の形態5に係る空気調和機30を示す回路図である。空気調和機30は、室内の空気を調整する装置であり、図21に示すように、室外機31と、室内機1とを備えている。室外機31には、例えば圧縮機32、流路切替装置33、室外熱交換器34、室外送風機35及び膨張部36が設けられている。室内機1には、例えば室内熱交換器37、室内送風機38が設けられている。なお、実施の形態1から4における熱交換器3が室内熱交換器37に対応し、実施の形態1から4における遠心送風機4が室内送風機38に対応する。
圧縮機32、流路切替装置33、室外熱交換器34、膨張部36及び室内熱交換器37が冷媒配管39により接続されて冷媒回路が構成されている。圧縮機32は、低温且つ低圧の状態の冷媒を吸入し、吸入した冷媒を圧縮して高温且つ高圧の状態の冷媒にして吐出するものである。流路切替装置33は、冷媒回路において冷媒が流れる方向を切り替えるものであり、例えば四方弁である。室外熱交換器34は、例えば室外空気と冷媒との間で熱交換するものである。室外熱交換器34は、冷房運転時には凝縮器として作用し、暖房運転時には蒸発器として作用する。室外送風機35は、室外熱交換器34に室外空気を送る機器である。
膨張部36は、冷媒を減圧して膨張する減圧弁又は膨張弁である。膨張部36は、例えば開度が調整される電子式膨張弁である。室内熱交換器37は、例えば室内空気と冷媒との間で熱交換するものである。室内熱交換器37は、冷房運転時には蒸発器として作用し、暖房運転時には凝縮器として作用する。室内送風機38は、室内熱交換器37に室内空気を送る機器である。なお、冷媒は、水でもよく不凍液でもよい。
次に、空気調和機30の運転モードについて説明する。先ず、冷房運転について説明する。冷房運転において、圧縮機32に吸入された冷媒は、圧縮機32によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。圧縮機32から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置33を通過して、凝縮器として作用する室外熱交換器34に流入し、室外熱交換器34において、室外送風機35によって送られる室外空気と熱交換されて凝縮して液化する。凝縮された液状態の冷媒は、膨張部36に流入し、膨張部36において膨張及び減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。そして、気液二相状態の冷媒は、蒸発器として作用する室内熱交換器37に流入し、室内熱交換器37において、室内送風機38によって送られる室内空気と熱交換されて蒸発してガス化する。このとき、室内空気が冷やされ、室内において冷房が実施される。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置33を通過して、圧縮機32に吸入される。
次に、暖房運転について説明する。暖房運転において、圧縮機32に吸入された冷媒は、圧縮機32によって圧縮されて高温且つ高圧のガス状態で吐出する。圧縮機32から吐出された高温且つ高圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置33を通過して、凝縮器として作用する室内熱交換器37に流入し、室内熱交換器37において、室内送風機38によって送られる室内空気と熱交換されて凝縮して液化する。このとき、室内空気が暖められ、室内において暖房が実施される。凝縮された液状態の冷媒は、膨張部36に流入し、膨張部36において膨張及び減圧されて低温且つ低圧の気液二相状態の冷媒となる。そして、気液二相状態の冷媒は、蒸発器として作用する室外熱交換器34に流入し、室外熱交換器34において、室外送風機35によって送られる室外空気と熱交換されて蒸発してガス化する。蒸発した低温且つ低圧のガス状態の冷媒は、流路切替装置33を通過して、圧縮機32に吸入される。
以上より、空気調和機30に実施の形態1から4のいずれかに示した室内機1を配置することで、室内機1の小型化に伴い、熱交換器をケーシングに近づけて配置した場合にも、室内熱交換器37の容量を確保しつつ、送風効率を向上できる空気調和機を提供することができる。
なお、各実施の形態を、適宜、組み合わせたり、変形や省略したりすることも、実施の形態で示された技術的思想の範囲に含まれる。