JP3592734B2 - Mos型電界効果トランジスタおよびその製造方法 - Google Patents

Mos型電界効果トランジスタおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、耐圧向上のためのフィールドオフセット構造を有するMOS型電界効果トランジスタ (以下MOSFETと記す) 及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
MOSFETの耐圧向上のために、電圧の印加されるドレイン電極の接触するドレイン領域に隣接してそれより低不純物濃度の領域を形成してドレイン領域近傍での電界緩和を図るフィールドオフセット構造が提案されている。このようなフィールドオフセット構造をもつ高耐圧MOSFETは、40Vから300 Vまで高耐圧化が可能であり、多くのICに集積されている。
【0003】
図2は、従来のフィールドオフセット構造をもつMOSFETを示す。この構造を作るには、まずN形基板1上のPウエル2に、LOCOS構造形成のための窒化膜をマスクとしてセルフアラインで低不純物濃度N形拡散領域3を形成し、そのあと本来のLOCOS技術で選択酸化膜4を、さらにゲート酸化膜5を形成する。次いで、多結晶シリコン層を堆積し、パターニングしてゲート電極6とし、さらに選択酸化膜4をマスクとして金属配線との接触抵抗を低くするための高不純物濃度N++領域7を形成する。そして、層間絶縁膜8とそれに明けられたコンタクトホールでN++領域7と接触するAl配線9を形成する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のフィールドオフセット構造をもつMOSFETには、静電気に対する耐量が大幅に低下する問題がある。耐量低下の原因は、フィールドオフセット構造のドレインを形成している低不純物濃度拡散領域3に静電気による電流が流れると、低不純物濃度であるため熱暴走がおこりやすく図のAとして示す個所のPウエル2との接合が破壊されやすいためである。N領域3の不純物濃度を上げ、Aの個所の接合破壊を起こりにくくして静電破壊を起こりにくくすることは可能であるが、高耐圧素子とすることはできない。また、面積を大きくする方法、あるいは出力保護ダイオードを作りこむなどの方法があるが、MOSFET素子の占有面積増加となり、半導体装置の集積度増大には反する結果となる。
【0005】
本発明の目的は、上述の問題を解決し、素子の占有面積を増大させることなく、静電破壊耐量を向上させた高耐圧MOSFET及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、第2導電型の半導体基板上に形成された第1導電型の第1ウエルと、前記第1ウエル内に、該第1ウエルの不純物濃度より僅かに高不純物濃度の第1導電型の高不純物濃度領域である複数の第2ウエルと、該第1ウエルの表面層チャネル領域をはさんで設けられる帯状のソース・ドレイン層であって、少なくともソース・ドレイン電極が接触し、前記複数の第2ウエルの表面層に形成され該第2ウエルの不純物濃度より高い不純物濃度の第2導電型の高不純物濃度領域と、前記第2導電型の高不純物濃度領域よりチャネル領域に近接して選択酸化膜下に形成された第2導電型の低不純物濃度領域とを有する帯状のソース・ドレイン層と、を有し、前記第1ウエルと前記第2導電型低不純物濃度領域との接合により前記ソース・ドレイン層と前記第1ウエルとの耐圧を規定し、前記第2ウエルの不純物濃度を、前記第2導電型の高不純物濃度領域−第2ウエル間の耐圧が前記ソース・ドレイン層と前記第1ウエルとの間の耐圧より低くなるように選択する高耐圧MOS型電界効果トランジスタにおいて、前記高耐圧MOS型電界効果トランジスタの外周部を方形に囲み、前記第1ウエルの外周部の表面層に設けられた第1導電型の高不純物濃度表面層を備え、前記ソース・ドレイン層のうち、外周の三辺が高不純物濃度表面層の内周の三辺に対向するものをドレイン領域として使用し、そのドレイン領域の外周の三辺と対向する高不純物濃度表面層の内周の各辺との距離が実質的に等しいものとする。その場合、前記高不純物濃度領域の幅が10μm以上であることが有効である。
また、第2導電型の半導体基板上に第1導電型の第1ウエルを形成する工程と、該第1ウエル内の複数の表面領域に該第1ウエルの不純物濃度より僅かに高い不純物濃度の第1導電型の第2ウエルを形成する工程と、前記第1ウエルに選択酸化膜を形成するためのマスクに自己整合して第2導電型の低不純物濃度領域を形成する工程と、前記低不純物濃度領域の表面を選択的に酸化して選択酸化膜を形成する工程と、前記第1ウエルの表面であって、第2ウエルおよび第2導電型の低不純物濃度領域が形成されていない領域にゲート電極を形成する工程と、該ゲート電極および前記選択酸化膜をマスクとして、前記第2ウエルの表面に第2導電型の高不純物濃度領域を形成する工程とを有し、前記第2導電型の低不純物濃度領域と前記第2導電型の高不純物濃度領域とから帯状のソース・ドレイン層をなし、前記第2ウエルを、前記第1ウエルと前記第2導電型低不純物濃度領域との接合によって規定されるソース・ドレイン層と前記第1ウエルとの間の耐圧より前記第2導電型の高不純物濃度領域−第2ウエル間の耐圧が低くなる不純物濃度にて形成し、前記高耐圧MOS型電界効果トランジスタの外周部を方形に囲み、前記第1ウエルの外周部の表面層に第1導電型の高不純物濃度表面層を設け、前記ソース・ドレイン層のうち、外周の三辺が高不純物濃度表面層の内周の三辺に対向するものをドレイン領域として使用し、そのドレイン領域の外周の三辺と対向する高不純物濃度表面層の内周の各辺との距離を実質的に等しくするものとする。
【0007】
【作用】
MOSFETのドレイン・ソース間の耐圧より、ドレイン電極の接触するドレイン層とチャネル領域の設けられるベース層との間の接合の耐圧を低くすることにより、静電気がドレインに入った場合、その接合を電流経路とし、フィールドオフセット構造のドレイン層の低不純物濃度拡散領域に静電気による電流が流れにくくすることにより、低不純物濃度拡散領域の接合破壊を防止するものである。さらに、電流経路が1点に集中しないように、耐圧を決める場所が平面型接合であり、接合に流せる電流容量を大きくするものである。
【0008】
また、ドレインとソースの間の一辺だけで対向する周辺長より、ドレインとベース層の露出表面層とを三辺で対向させて対向周辺長を長くすることにより、電流経路をドレイン・ベース層間にとりやすくなり、低不純物濃度拡散領域の接合破壊を防止する。このようにして低不純物濃度領域接合に電流が集中しにくくすることにより、静電気によって素子内に電流が注入する場合、その接合に流せる電流容量が増加する。
【0009】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。図2を含めて共通の部分には同一の符号を付し説明は省略する。
図1は本発明の実施例のMOSFETを示すものであり、 10 はP型の第2のウエルである。図5 (a) (e) を用いて前記MOSFETの製造工程説明する。
【001
図5(a)に示すように、N基板1に表面不純物濃度2×1016cm−3第1のPウエル2を形成した後、選択酸化前に表面濃度3×1016cm−3、深さ0.5μmの高不純物濃度P拡散領域である第2Pウエル10を形成する。選択酸化前に形成するのは、選択酸化工程以降は温度900 ℃以上に高められないため、接合が深く、濃度の低い拡散層は得にくいからである。次に図5(b) に示すように、窒化膜11を形成後、その窒化膜をマスクとしてAsを注入し、オフセット拡散領域である表面不純物濃度8×1016cm−3、拡散深さ0.5μmのN形低不純物濃度領域3を形成する。さらに図5(c) に示すように、厚さ0.8μmの選択酸化膜4を形成し、しきい値電圧調整用のチャンネルイオン注入をし、厚さ250 Åのゲート酸化膜5を形成する。最後に図5(d) に示すように、この上に厚さ5000Åの多結晶シリコン層を堆積し、パターニングしてゲート6を形成し、高ドーズ量のAs 注入してN++拡散領域7を形成する。その後、図5(e) に示すように、層間絶縁膜8、Al配線9を形成してフィールドオフセット構造のMOSFETを完成する。
【0011】
作製されたMOSFETの特性は、ドレイン・ソース間耐圧60Vで、N++拡散領域7を第1のPウエルの表面層10との間に耐圧40Vの平面型接合が得られ、しきい値電圧として0.75Vを得ることができる。静電気がドレインに入ると、フィールドオフセット構造のMOSFETのドレイン・ソース間耐圧より耐圧の低い平面型接合に電流は流れ、低不純物濃度拡散領域3には電流は流れにくくなる。これにより、静電破壊耐量を上げることができる。
図3にPウエル2の表面不純物濃度とN++拡散領域7との間の平面型接合耐圧の関係を、図4にMOSFETのドレイン・ソース間耐圧が60VのときのPウエル2の表面不純物濃度と静電破壊耐量との関係を示す。
【0012】
しきい値電圧の関係より、Pウエル2の不純物濃度をげることができない場合や、MOSFETのドレイン・ソース間耐圧が低い場合には、Pウエルの不純物濃度の調整のみでは接合耐圧を調整できない。本発明は、Pウエルの不純物濃度に関係なく、N++領域10との接合耐圧を最適化する方法である。
【0013】
以上の実施例としては、NチャネルMOSトランジスタを示したがPチャネルMOSトランジスタにおいても同様の効果を得ることができる。
本発明はまた、素子の配置を規定することにより、さらに静電破壊耐量を上げることができる。図6に本発明の素子配置を示す。Pウエル2と接続するためにPウエルの外周部の表面層に設けられるP++拡散領域13がMOSFETの周囲を囲ってあり、コンタクト14が設けられている。これはCMOS素子で重要なラッチアップ防止のための拡散領域も兼用する。ゲート6は2本配置してある。P++領域13の内側に近接して設けられたN++領域71がドレイン領域として外部回路と接続され、P++領域13とN++領域71との間の距離、aおよびbは等しい。この構造を用いることにより、三方でP++領域13に近接しているドレイン領域71の対向している周辺長が、ドレイン領域71とソース領域72の対向している一辺だけの周辺長より長いため、ドレインからソースへ流れる電流は多くならずに、ドレインからP++領域13を介してPウエルへ流れる電流が支配的となり、静電気に対して弱い接合であるドレインの低不純物濃度拡散領域の保護ができる。この実施例のMOSFETは、図7に示すソース領域72が外側にある従来構造のMOSFETよりも200 V耐量を向上することが可能となった。
【0014】
しかし、図6の素子配置でもゲート6の有効幅が小さくなると静電破壊耐量が低下する。これはN++拡散領域7とPウエル表面層10との間の平面接合領域が小さくなるためである。図8に実験で得たドレイン幅wと静電破壊耐量との関係を示す。この図よりドレイン幅wが10μm以上必要なことがわかる。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、フィールドオフセット構造のドレイン層とチャネルの形成されるベース層との間の耐圧をドレイン・ソース間耐圧より低くすることにより、あるいはドレイン層と半導体基体外周のベース層露出領域との対向周辺長をドレイン・ソース対向周辺長より長くすることにより、低不純物濃度領域に静電気により流れる電流を抑制し、低不純物濃度領域の接合破壊を防止する。これにより、フィールドオフセット構造と高い静電破壊耐量とを両立させたMOSFETを得ることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のMOSFETの要部断面図
【図2】従来のフィールドオフセット型MOSFETの要部断面図
【図3】Pウエル表面不純物濃度とドレイン領域との間の耐圧との関係線図
【図4】Pウエル表面不純物濃度とMOSFETの静電破壊容量との関係線図
【図5】本発明の実施例のMOSFETの製造工程を(a) から(e) への順に示す断面図
【図6】別の本発明の実施例のMOSFET半導体素体の平面図
【図7】従来のMOSFETの半導体素体の平面図
【図8】MOSFETのドレイン幅と静電破壊耐量との関係線図
【符号の説明】
1 N形シリコン基板
2 Pウエル
3 N形ドレイン層低不純物濃度領域
5 ゲート酸化膜
6 ゲート
7 N形ドレイン層高不純物濃度領域
8 層間絶縁膜
9 Al配線
10 第2Pウエル高不純物濃度領域
13 P++領域
71 ドレイン領域
72 ソース領域

Claims (3)

  1. 第2導電型の半導体基板上に形成された第1導電型の第1ウエルと、前記第1ウエル内に、該第1ウエルの不純物濃度より僅かに高不純物濃度の第1導電型の高不純物濃度領域である複数の第2ウエルと、該第1ウエルの表面層チャネル領域をはさんで設けられる帯状のソース・ドレイン層であって、少なくともソース・ドレイン電極が接触し、前記複数の第2ウエルの表面層に形成され該第2ウエルの不純物濃度より高い不純物濃度の第2導電型の高不純物濃度領域と、前記第2導電型の高不純物濃度領域よりチャネル領域に近接して選択酸化膜下に形成された第2導電型の低不純物濃度領域とを有する帯状のソース・ドレイン層と、を有し、
    前記第1ウエルと前記第2導電型低不純物濃度領域との接合により前記ソース・ドレイン層と前記第1ウエルとの耐圧を規定し、前記第2ウエルの不純物濃度を、前記第2導電型の高不純物濃度領域−第2ウエル間の耐圧が前記ソース・ドレイン層と前記第1ウエルとの間の耐圧より低くなるように選択する高耐圧MOS型電界効果トランジスタにおいて、
    前記高耐圧MOS型電界効果トランジスタの外周部を方形に囲み、前記第1ウエルの外周部の表面層に設けられた第1導電型の高不純物濃度表面層を備え、前記ソース・ドレイン層のうち、外周の三辺が高不純物濃度表面層の内周の三辺に対向するものをドレイン領域として使用し、そのドレイン領域の外周の三辺と対向する高不純物濃度表面層の内周の各辺との距離が実質的に等しいことを特徴とする高耐圧MOS型電界効果トランジスタ。
  2. 請求項1に記載の高耐圧MOS型電界効果トランジスタにおいて、
    前記第2導電型の高不純物濃度領域の幅が10μm以上であることを特徴とする高耐圧MOS型電界効果トランジスタ。
  3. 第2導電型の半導体基板上に第1導電型の第1ウエルを形成する工程と、該第1ウエル内の複数の表面領域に該第1ウエルの不純物濃度より僅かに高い不純物濃度の第1導電型の第2ウエルを形成する工程と、前記第1ウエルに選択酸化膜を形成するためのマスクに自己整合して第2導電型の低不純物濃度領域を形成する工程と、前記低不純物濃度領域の表面を選択的に酸化して選択酸化膜を形成する工程と、前記第1ウエルの表面であって、第2ウエルおよび第2導電型の低不純物濃度領域が形成されていない領域にゲート電極を形成する工程と、該ゲート電極および前記選択酸化膜をマスクとして、前記第2ウエルの表面に第2導電型の高不純物濃度領域を形成する工程とを有し、
    前記第2導電型の低不純物濃度領域と前記第2導電型の高不純物濃度領域とから帯状のソース・ドレイン層をなし、
    前記第2ウエルを、前記第1ウエルと前記第2導電型低不純物濃度領域との接合によって規定されるソース・ドレイン層と前記第1ウエルとの耐圧より前記第2導電型の高不純物濃度領域−第2ウエル間の耐圧が低くなる不純物濃度にて形成し、
    前記高耐圧MOS型電界効果トランジスタの外周部を方形に囲み、前記第1ウエルの外周部の表面層に第1導電型の高不純物濃度表面層を設け、
    前記ソース・ドレイン層のうち、外周の三辺が高不純物濃度表面層の内周の三辺に対向するものをドレイン領域として使用し、そのドレイン領域の外周の三辺と対向する高不純物濃度表面層の内周の各辺との距離を実質的に等しくすることを特徴とする高耐圧MOS型電界効果トランジスタの製造方法。
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