JP3591788B2 - 移動棚の車輪取付構造 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、床に敷設したレール上を走行する移動棚に関し、より詳しくは、この移動棚の車輪の取付けを容易にすることのできる車輪取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
書類、書籍等を収容する整理用棚のうち、棚本体を移動可能にした移動棚は、横方向つまり幅方向に移動させるタイプと、縦方向つまり奥行き方向に移動させるタイプとが知られている(実開昭58ー44933号、実公昭63ー5564号参照)。この種の移動棚は、通常、床に敷設したレールに沿って移動するようになっており、このため、移動棚には、床のレール上を転動する車輪が取付られている。
【0003】
従来、移動棚に対する車輪の取付は、例えば、車輪と、これを囲んで車輪を支持するケーシングとからなるサブ組立体を用意しておき、この車輪サブ組立体を移動棚の下部、具体的には移動棚のベースデッキにボルト等を利用して取り付けることが行なわれてきた。これによれば、移動棚への車輪の取付を容易なものにすることができるという利点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような車輪取付構造にあっては、車輪サブ組立体を組み立てること自体が手間の掛かることであり、製造コストの増大要因になる。また、ベースデッキがかなり頑丈なものであることを考え合わせると、車輪をベースデッキに直接組み付けることの方が合理的である。
【0005】
したがって、本発明の目的は、移動棚のベースデッキに、直接、車輪の取付けるとした場合に、車輪の取付を容易にするようにした移動棚の車輪取付構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】
上記課題を解決するために、本発明は、車輪を有し、該車輪が、床に敷設したレール上を転動することにより移動する移動棚を前提として、車輪の車軸の両端部が非円形断面を有すると共に、その下側に横方向に延びるスリットが形成され、移動棚の下部を構成するベースデッキには、前記レールに整列して延び且つ下方に向けて開口する断面コ字状のフレームが設けられ、該フレームには、前記車輪が取り付けられる箇所に下方に向けて開口し且つ上下方向に延びて、少なくとも深部の幅方向の大きさが前記車軸の端部の大きさに対応する第1の切欠で構成された車輪取付部が形成され、下方に向けて開口する断面コ字状の形状を有し且つ前記車輪の車軸を前記車輪取付部に設置した後に前記フレームを上方から覆うようにして取り付けられる車輪取付補助具を有し、該車輪取付補助具には、横方向に開口して前記車軸を受け入れ且つ上下方向の高さ寸法が前記車軸の大きさよりも若干小さく設定された第2の切欠が形成され、該車輪取付補助具を前記フレームに取り付けたときに、該車輪取付補助具が前記車軸のスリットと係合することを特徴とする移動棚の車輪取付構造を提供する。
【0007】
上記車輪の車軸の両端部において、好ましくは、互いに対向して上下方向に延びる一対の平坦面を有しており、これに対応して、上記車輪取付部を構成する第1の切欠の深部を、上下方向に延びる一対の縦縁で形成された略長方形の形状にするのが好ましい。
【0008】
また、上記車輪取付補助具は、ボルト・ナット等を利用して上記フレームに対して着脱自在に取り付けるのが好ましい。
【0009】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施例につき説明する。
【0010】
図1、図2は、本発明の実施例を適用した横引き式移動棚1の全体概要を示すものであって、図1はその正面図であり、図2は平面図である。
【0011】
横引き式移動棚1は、ここでは、横方向に並んだ3つの固定棚2と、固定棚2の前側に隣接して配置された2つの移動棚3とで構成され、固定棚2および移動棚3は、床4に固定された基台5に取付けられている。固定棚2は、その前面の上端縁に固定された横方向つまり左右方向に延びる第1のレール6を有している。また、基台5には、その前半部分に、第1のレール6と平行に左右方向に延びる第2のレール7が敷設されて、これら第1、第2のレール6、7によって、移動棚3用の案内手段が構成されている。
【0012】
すなわち、各移動棚3には、その後面の上端縁の左右両側に一対のコロ8が設けられ、また、その下面の前後方向中間部分の左右両側に一対の車輪9が設けられて、各移動棚3は、コロ6が第1のレール6に沿って走行すると共に、車輪9が第2のレール7に沿って走行することによって、その移動が行われる。この移動棚3の移動は、既知のように、手動式ハンドル又は電動駆動手段(例えばモータ)によって行われる。
【0013】
図3以降の図面は、移動棚3の車輪9の取付構造を示すものであり、図3は、各移動棚3の下部を構成するベースデッキ10の斜視図であり、図4はベースデッキ10を下方から見た部分図である。図5は車輪9の側面図であり、図6は、車輪9の下半分を断面した部分断面の側面図である。
【0014】
説明の都合上、車輪9を先に説明すると、車輪9は、車軸17と、車軸17にベアリング18を介して取付られた車輪本体19とで概略構成され、車輪本体19は、その両側面にフランジ19aを有している。車軸17は、図5から分かるように、非円形の断面を有し、具体的には、その軸線方向両端部の側面が互いに対向して上下に延びる一対の平坦面17aで構成されている。すなわち、車軸17は、対向する側面が平坦面17aで構成された縦長の形状を有し、また、両端部の下側には、横方向に延びるスリット17bが形成されている(図6参照)。
【0015】
次に、ベースデッキ10について説明すると、ベースデッキ10は、互いに前後に離置された前枠11、後枠12を有し、これら前枠11および後枠12は左右方向に延びて各端同士が一対の側枠13で連結され、全体として矩径の形状を有している。ベースデッキ10は、また、前枠11と後枠12との中間に配設された左右方向に延びる中間補強フレーム14を有し、補強フレーム14の各端は側枠13の長手方向中央部に連結されている。
【0016】
中間補強フレーム14は、下方に向けて開口する断面コ字状の形状を有し、上壁14aと、この上壁14aの前端および後端から、夫々、下方に垂下する前壁14b、後壁14cとで構成されている。この補強フレーム14の左右両端部には、夫々、車輪取付部15が形成されている。この車輪取付部15は、前壁14bおよび後壁14cの一部を切欠いた第1の切欠で構成されている。第1の切欠つまり車輪取付部15は、下方に向けて開口する縦長の段付き形状を有し、そして、入口部よりも幅狭の深部は、上下方向に延びる一対の縦縁15aで形成された略長方形の形状を有している。この一対の縦縁15a間の距離つまり車輪取付部15の深部の幅は、上述した車輪17における車軸両端部の一対の平坦面17a間の距離と略同一に設定されている。
【0017】
図3等に示す符号20は車輪取付用補助具を示す。補助具20は、下方に開口した断面コ字状の形状を有し、上板部20aと、この上板部20aの前端および後端から、夫々、下方に垂下する前板部20b、後板部20cとで構成されている。この補助具20の前板部20bと後板部20cとの間隔は、補強フレーム14の前壁14bと後壁14cとの間隔よりも若干大きく設定されている。この補助具20は、図3から明らかなように、補強フレーム14に対し、これを上方から覆うようにして嵌合される。
【0018】
補助具20の前板部20bおよび後板部20cには、側方に向けて開口する第2の切欠21が形成され、第2の切欠21は、横方向に延びる略長方形の形状を有し、この切欠21の上下方向の高さ寸法は、ここでは、車軸17の直径よりも若干小さく設定されているが、少なくとも、第2の切欠21を形成する下側の縁21aの高さ位置を次のように設定するのが好ましい。すなわち、第2の切欠21の下側縁21aと、フレーム14の第1の切欠(車輪取付部15)の上縁15bとの間隔が、車輪9の上下方向の寸法よりも若干小さくなるようにするのが好ましい。これにより、後述するように、車輪9を取り付けた後の車軸17の上下方向のガタを防止することができる。
【0019】
車輪17の取付について説明すると、先ず、車輪9の取付工程は、概略的に、3つの工程からなる。第1工程として、車輪9の車軸17を前後方向に向けた状態で、下方から中間補強フレーム14の車輪取付部15内に車軸17を挿入する。次に、第2工程として、車軸17の平坦面17aを上下方向に向けるように調整し、且つ、スリット17bを下に位置させて、フレーム14の車輪取付部15の深部まで車軸17を押し込む。この第2工程により、車軸17は、その両平坦面17aが車輪取付部15の一対の縦縁15aと係合して非回転状態となる。
【0020】
このようにして車輪9を補強フレーム14にセットした後に、第3工程として、補強フレーム14の上方からこれを覆うようにして補助具20を設置し、補助具20の上板部20aが補強フレーム14の上壁14aに重ね合わせたら、横方向にスライドさせて、切欠21を車軸17に向けて押し込む。これにより、車軸17の下側のスリット17bに補助具20が係合して、車軸17の非回転状態が一層確実なものとなる。
【0021】
補強フレーム14に対する補助具20の取付は、例えば、補助具20の下端に形成された第1の孔20dと、これに対応する位置に設けられた補強フレーム14の第2の孔14dとを貫通するボルト22等の締結手段を利用して行われる。図4に示す符号23はナットを示し、ナット23は予め補強フレームの前後の壁14b、14cの裏面に溶接等によって固着され、このナット23にボルト22が螺合される。このように、補助具20を着脱自在に取り付けることにより、例えば、車輪9に不都合が生じたときには、その交換を容易に行うことができる。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明による移動棚の車輪取付構造は、ベースデッキに形成した車輪取付部に下方から車輪の車軸を挿入し、この車軸を補助具で止めるという作業だけで車輪のしっかりとした取り付けを行うことができる。したがって、移動棚のベースデッキに、直接、車輪の取付けるとした場合に、車輪の取付を容易にすることができる車輪取付構造を提供することができる。
【0023】
そして、このようにしてベースデッキに取り付けられた車輪は、その車軸の端部が非円形断面であること及びこの端部に形成したスリットと、ベースデッキのフレームに形成した車輪取付部の形状および補助具における切欠の上下高さの設定とによって、車軸が非回転状態になるため、車軸が回転してしまうことに伴う車軸及びその取付部の摩耗を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した横引き式移動棚の正面図。
【図2】図1に示す移動棚の平面図。
【図3】移動棚のベースデッキと車輪取付用補助具とを示す概略分解斜視図。
【図4】移動棚のベースデッキを下方から見た概略部分斜視図。
【図5】本発明の実施例に用いられる車輪の正面図。
【図6】図5に示す車輪の下半分を断面した部分断面側面図。
【図7】本発明の実施例の車輪取付構造を示すものであって、図8のVII−VII線にほぼ沿った部分断面図。
【図8】図7に対応する車輪取付構造の側面図。
【符号の説明】
3 移動棚
7 床に敷設されたレール
9 車輪
10 移動棚のベースデッキ
14 ベースデッキの補強フレーム
15 補強フレームに形成された車輪取付部
15a 車輪取付部を構成する切欠を形成する縦縁
17 車軸
17a 車軸に形成された一対の平坦面
20 車輪取付用補助具
21 車輪取付用補助具に形成された第2の切欠
22 ボルト
Claims (3)
- 車輪を有し、該車輪が、床に敷設したレール上を転動することにより移動する移動棚において、
前記車輪の車軸の両端部が非円形断面を有すると共に、その下側に横方向に延びるスリットが形成され、
前記移動棚の下部を構成するベースデッキには、前記レールに整列して延び且つ下方に向けて開口する断面コ字状のフレームが設けられ、
該フレームには、前記車輪が取り付けられる箇所に下方に向けて開口し且つ上下方向に延びて、少なくとも深部の幅方向の大きさが前記車軸の端部の大きさに対応する第1の切欠で構成された車輪取付部が形成され、
下方に向けて開口する断面コ字状の形状を有し且つ前記車輪の車軸を前記車輪取付部に設置した後に前記フレームを上方から覆うようにして取り付けられる車輪取付補助具を有し、該車輪取付補助具には、横方向に開口して前記車軸を受け入れる第2の切欠が形成され、該車輪取付補助具を前記フレームに取り付けたときに、該車輪取付補助具が前記車軸のスリットと係合することを特徴とする移動棚の車輪取付構造。 - 前記車軸の両端部が、互いに対向して上下方向に延びる一対の平坦面を有し、前記車輪取付部を構成する第1の切欠の前記深部が、上下方向に延びる一対の縦縁で形成された略長方形の形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の移動棚の車輪取付構造。
- 前記車輪取付補助具が、前記フレームに対して着脱自在に取付られることを特徴とする請求項1に記載の移動棚の車輪取付構造。
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