JP3591678B2 - 感熱記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱によって得られた発色画像の消失のない、記録画像の保存安定性に優れた感熱記録材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
感熱記録材料は一般に、支持体上に電子供与性の通常無色ないし淡色の染料前駆体と電子受容性化合物とを主成分とする感熱記録層を設けたものであり、熱ヘッド、熱ペン、レーザー光等で加熱することにより、染料前駆体と電子受容性化合物とが瞬時反応し記録画像が得られるもので、特公昭43−4160号公報、同45−14039号公報等に開示されており、広く実用化されている。
【0003】
これらの感熱記録システムはファクシミリ、プリンター、ラベル等広範囲に使用されている。しかし、一般にこのような感熱記録材料は、可塑剤および油等の接触により発色体が変質、退色してしまう欠点を有しているために、ラベル類、伝票類等の分野においては特に商品価値を著しく損ねてきた。
【0004】
通常無色ないし淡色のラクトン環化合物を染料として使用する感熱記録システムにおいて、この消色現象を改良すべく、数多くの電子受容性化合物が開示されてきた。例えば、特開昭62−169681号公報に見られるような特定のサリチル酸誘導体の金属塩を電子受容性化合物として用いるもの、特開平5−147357号公報に見られるようなスルホニル尿素誘導体を電子受容性化合物として用いるもの、特開平7−214916号公報、および同7−290832号公報に見られるようなN−置換安息香酸誘導体の金属塩を電子受容性化合物として用いるもの等が知られている。
【0005】
前述の特定のサリチル酸金属塩を用いるものは、耐油性(例えば、サラダ油を発色面に接触させた場合の一定時間後の画像濃度の残像率)、耐可塑剤性(例えば、可塑剤を含有するラップフィルムを発色面に接触させた場合の一定時間後の画像濃度の残像率)はある程度改良されるが、長時間の試験では消色は避けられない。
【0006】
一方、スルホニル尿素誘導体を用いるものは、印字画像の耐油性、耐可塑剤性は改良されるが、未発色部(以下「地肌」と言う)の白色度が著しく損なわれてしまう。また、発色感度が低かったり、色調が悪い場合が多く意図する色調を呈さない等の問題点がある。
【0007】
さらに、N−置換安息香酸誘導体の金属塩を用いるものは、印字画像の耐油性、耐可塑剤性は改良され、地肌の白色度も良好であるが、高温高湿雰囲気下で保存した場合に地肌の白色度が損なわれる場合が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度で、耐油性、耐可塑剤性、耐湿性、耐熱性等の発色画像の長期保存性に優れた、かつ白色度の高い感熱記録材料を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明が解決しようとする課題は、支持体上に電子供与性無色染料と電子受容性化合物を含有する感熱発色層を設けた感熱記録材料において、該電子受容性化合物として、一般式(1)で表される化合物の多価金属塩の少なくとも1種を含有することで達成された。
【0010】
【化2】
【0011】
(式(1)中、Rは置換基を有していても良い芳香環、あるいは複素芳香環残基を表し、芳香環あるいは複素芳香環残基が、フェニル基、ナフチル基、チエニル基、及びピリジル基の少なくとも何れかであり、置換基が低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン基、シアノ基、トリフルオロメチル基、スルファモイル基、N−置換スルファモイル基、及びN,N−ジ置換スルファモイル基の少なくとも何れかである。Aは1,2−フェニレン基、2,3−ナフタレン基、CH 2 −CH 2 、又はシス−CH=CH基を表す。)
【0012】
一般式(1)で表される化合物中、Rの好ましい例としてはフェニル基、ナフチル基、チエニル基、ピリジル基であり、特に好ましいのは、置換フェニル基である。また、その置換基については低級アルキル基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、トリフルオロメチル基、スルファモイル基、N−置換スルファモイル基、N,N−ジ置換スルファモイル基が効果的であり、特に好ましいのは、トリフルオロメチル基、N,N−ジ置換スルファモイル基である。
【0013】
一般式(1)で表される化合物中、Aは炭素数1から10の炭化水素基であり、特に好ましいのは1,2−フェニレン基である。
【0014】
一般式(1)で表される化合物は、そのカルボキシ基を多価金属塩に変換するとさらに優れた顕色能を示す。この場合の多価金属はマグネシウム、カルシウム、錫等の典型元素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等の遷移元素である。このうち特に亜鉛が好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
一般式(1)で表されるの化合物の具体例としては以下に示す(1−34)〜(2−24)が挙げられるが本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】
【化5】
【0019】
【化6】
【0020】
【化7】
【0021】
【化8】
【0022】
【化9】
【0023】
一般式(1)で表される化合物の使用量は染料前駆体に対し50重量%以上1000重量%以下であり、好ましくは100重量%以上500重量%以下である。これらの化合物は単独でも、または2種以上を併用してもよい。また、所望の効果を阻害しない範囲でフェノール類、または有機酸からなる既知の顕色剤と併用することもできる。
【0024】
本発明に用いられる通常無色ないし淡色の電子供与性染料前駆体としては、一般に感圧記録紙や感熱記録紙等に用いられる公知な化合物に代表されるが、特に制限はない。具体的な例としては、例えば下記に挙げるものなどがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
(1)トリアリールメタン系化合物
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(クリスタルバイオレットラクトン)、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−フェニルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3−(p−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−メチルピロール−2−イル)−6−ジメチルアミノフタリド等。
【0026】
(2)ジフェニルメタン系化合物
4,4´−ビス(ジメチルアミノフェニル)ベンズヒドリルベンジルエーテル、N−クロロフェニルロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等。
【0027】
(3)キサンテン系化合物
ローダミンBアニリノラクタム、ローダミンB−p−クロロアニリノラクタム、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−フェニルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3,4−ジクロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2−クロロアニリノ)フルオラン、
【0028】
3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−トリル)アミノ−6−メチル−7−フェネチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(4−ニトロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−シクロヘキシル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフリル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン等。
【0029】
(4)チアジン系化合物
ベンゾイルロイコメチレンブルー、p−ニトロベンゾイルロイコメチレンブルー等。
【0030】
(5)スピロ系化合物
3−メチルスピロジナフトピラン、3−エチルスピロジナフトピラン、3,3´−ジクロロスピロジナフトピラン、3−ベンジルスピロジナフトピラン、3−メチルナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピルスピロベンゾピラン等。
【0031】
前記通常無色ないし淡色の染料前駆体はそれぞれ1種または2種以上を混合して使用しても良い。
【0032】
本発明の感熱記録材料の製造方法の具体例としては、本発明の化合物と染料前駆体を主成分として、これらを支持体上に塗布して感熱記録層を形成する方法が挙げられる。
【0033】
本発明の化合物と染料前駆体を感熱記録層に含有させるための塗液作製方法としては、各々の化合物を分散媒に分散してから混合する方法、各々の化合物を混ぜ合わせてから分散媒に分散する方法、各々の化合物を加熱溶解し均一化した後冷却し、分散媒に分散する方法等が挙げられるが特定されるものではない。分散時には必要なら分散剤を用いても良い。水が分散媒の場合の分散剤としてはポリビニルアルコール等の水溶性高分子や各種の界面活性剤が挙げられる。
【0034】
また、感熱記録層の強度を向上する等の目的でバインダーを感熱記録層中に添加することも可能である。バインダーの具体例としては、デンプン類、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸アミド/アクリル酸エステル/メタクリル酸三元共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩、エチレン/無水マレイン酸共重合体のアルカリ塩等の水溶性高分子、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステル、スチレン/ブタジエン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、アクリル酸メチル/ブタジエン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニリデン等のラテックス等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0035】
また、感熱記録層の発色感度を調節するための添加剤として、熱可融性物質を感熱記録層中に含有させることもできる。60℃〜200℃の融点を有するものが好ましく、特に80℃〜180℃の融点を有するものが好ましい。一般の感熱記録紙に用いられている増感剤を使用することもできる。これらの化合物としては、N−ヒドロキシメチルステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等のワックス類、2−ベンジルオキシナフタレン等のナフトール誘導体、p−ベンジルビフェニル、4−アリルオキシビフェニル等のビフェニル誘導体、1,2−ビス(3−メチルフェノキシ)エタン、2,2´−ビス(4−メトキシフェノキシ)ジエチルエーテル、ビス(4−メトキシフェニル)エーテル等のポリエーテル化合物、炭酸ジフェニル、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ビス(p−メチルベンジル)エステル等の炭酸またはシュウ酸ジエステル誘導体等が挙げられ、2種以上併用して添加することもできる。
【0036】
本発明の感熱記録材料に用いられる支持体としては、紙、各種不織布、織布、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂をラミネートした紙、合成紙、金属箔、ガラス等、あるいはこれらを組み合わせた複合シートを目的に応じて任意に用いることができるが、これらに限定されるものではなく、これらは不透明、半透明あるいは透明のいずれであっても良い。地肌を白色その他の特定の色に見せるために、白色顔料や有色染顔料や気泡を支持体中又は表面に含有させても良い。特にフィルム類等水性塗布を行なう場合で支持体の親水性が小さく感熱記録層の塗布困難な場合は、コロナ放電等による表面の親水化処理やバインダーに用いるのと同様の水溶性高分子類を、支持体表面に塗布するなどの易接着処理しても良い。
【0037】
本発明の感熱記録材料の層構成は、感熱記録層のみであっても良い。必要に応じて、感熱記録層上に保護層を設けることも又、感熱記録層と支持体の間に水溶性高分子や白色ないし有色染顔料や中空粒子のいずれか一つ以上を含む中間層を設けることもできる。この場合、保護層および/または中間層は2層ないしは3層以上の複数の層から構成されていても良い。感熱記録層も各成分を一層ずつに含有させたり層別に配合比率を変化させたりして2層以上の多層にしても良い。更に、感熱記録層中、他の層、および感熱記録層が設けられている面と反対側の面に、電気的、光学的、磁気的に情報が記録可能な材料を含んでも良い。また、感熱記録層が設けられている面と反対側の面にブロッキング防止、カール防止、帯電防止を目的としてバックコート層を設けることもできる。
【0038】
なお、本発明における各層を支持体上に積層し、本発明の感熱記録材料を形成する方法は特に制限されるものではなく、従来の方法により形成することができる。例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、カーテンコーター等の塗抹装置、平版、凸版、凹版、フレキソ、グラビア、スクリーン、ホットメルト等の方式による各種印刷機等を用いることができる。さらに通常の乾燥工程の他、UV照射・EB照射により各層を保持させることができる。
【0039】
感熱記録層は、各成分を微粉砕して得られる各々の分散液を混合し、支持体上に塗布乾燥する方法、各成分を溶媒に溶解して得られる各々の溶液を混合し、支持体上に塗布乾燥する方法などにより得ることができる。乾燥条件は水等の分散媒ないし溶媒によっても異なる。この他に各成分を混合し加熱して可融分を溶融し熱時塗布する方法もある。
【0040】
また、感熱記録層、保護層、および中間層には、ケイソウ土、タルク、カオリン、焼成カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ケイ素、水酸化アルミニウム、尿素−ホルマリン樹脂等の顔料、その他に、ヘッド摩耗防止、スティッキング防止等の目的でステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩、パラフィン、酸化パラフィン、ポリエチレン、酸化ポリエチレン、ステアリン酸アミド、カスターワックス等のワックス類を、また、ジオクチルスルホこはく酸ナトリウム等の分散剤、さらに界面活性剤、蛍光染料等を含有させることもできる。
【0041】
次に、本発明の化合物の具体的製造方法についてその一部を例示するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0042】
合成例1
例示化合物(1−12)の合成。
攪拌機および塩化カルシウム乾燥管を付けたフラスコ内に、無水フタル酸14.8g、トリエチルアミン11.2g、テトラヒドロフラン(THF)100gを仕込み、室温下でo−アニシジン12.4gのTHF50g溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で反応混合物を2時間撹拌ののち、反応混合物を減圧下濃縮し、2%塩酸水溶液200gを投入した。析出した結晶を減圧下濾取し、得られた結晶を水洗、50℃で24時間乾燥したところ目的物22.2gを得た。融点167℃。
【0043】
合成例2
例示化合物(1−17)の合成。
攪拌機および塩化カルシウム乾燥管を付けたフラスコ内に、無水フタル酸14.8g、トリエチルアミン11.2g、THF100gを仕込み、室温下でp−クロロアニリン12.8gのTHF50g溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で反応混合物を2時間撹拌ののち、反応混合物を減圧下濃縮し、2%塩酸水溶液200gを投入した。析出した結晶を減圧下濾取し、得られた結晶を水洗、50℃で24時間乾燥したところ目的物22.0gを得た。融点181℃。
【0044】
合成例3
例示化合物(1−19)の合成。
攪拌機およ塩化カルシウム乾燥管を付けたフラスコ内に、無水フタル酸14.8g、トリエチルアミン11.2g、THF100gを仕込み、室温下でm−シアノアニリン11.9gのTHF60g溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で反応混合物を2時間撹拌ののち、反応混合物を減圧下濃縮し、2%塩酸水溶液200gを投入した。析出した結晶を減圧下濾取し、得られた結晶を水洗、50℃で24時間乾燥したところ目的物24.5gを得た。融点171℃。
【0045】
合成例4
例示化合物(1−22)の合成。
攪拌機および塩化カルシウム乾燥管を付けたフラスコ内に、無水フタル酸14.8g、トリエチルアミン11.2g、THF100gを仕込み、室温下でm−(トリフルオロメチル)アニリン16.1gのTHF50g溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で反応混合物を2時間撹拌ののち、反応混合物を減圧下濃縮し、2%塩酸水溶液200gを投入した。析出した結晶を減圧下濾取し、得られた結晶を水洗、50℃で24時間乾燥したところ目的物25.5gを得た。融点187℃。
【0046】
合成例5
例示化合物(1−32)の合成。
攪拌機および塩化カルシウム乾燥管を付けたフラスコ内に、無水フタル酸14.8g、トリエチルアミン11.2g、THF100gを仕込み、室温下でp−アミノベンゼンスルホン(N,N−ジメチル)アミド20.1gのTHF70g溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で反応混合物を2時間撹拌ののち、反応混合物を減圧下濃縮し、2%塩酸水溶液200gを投入した。析出した結晶を減圧下濾取し、得られた結晶を水洗、50℃で24時間乾燥したところ目的物28.0gを得た。融点133℃。
【0047】
合成例6
例示化合物(2−10)の合成。
攪拌機および塩化カルシウム乾燥管を付けたフラスコ内に、無水マレイン酸9.8g、トリエチルアミン11.2g、THF100gを仕込み、室温下でm−(トリフルオロメチル)アニリン16.1gのTHF50g溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、室温で反応混合物を2時間撹拌ののち、反応混合物を減圧下濃縮し、2%塩酸水溶液200gを投入した。析出した結晶を減圧下濾取し、得られた結晶を水洗、50℃で24時間乾燥したところ目的物20.0gを得た。融点156℃。
【0048】
合成例7
例示化合物(1−22)亜鉛塩の調製。
攪拌機を付けたフラスコ内に、例示化合物(1−22)9.3g、炭酸水素ナトリウム3.8g、および蒸留水120gを仕込み、60℃の湯浴上で撹拌溶解した。この混合物を室温まで放冷後、硫酸亜鉛7水和物4.8gの蒸留水50g水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後室温で更に5時間撹拌し、析出した結晶を減圧下濾取した。得られた結晶を水洗、40℃で24時間乾燥し、目的物8.4gを得た。
【0049】
合成例8
例示化合物(1−32)亜鉛塩の調製。
攪拌機を付けたフラスコ内に、例示化合物(1−32)10.5g、炭酸水素ナトリウム2.8g、および蒸留水120gを仕込み、60℃の湯浴上で撹拌溶解した。この混合物を室温まで放冷後、硫酸亜鉛7水和物4.7gの蒸留水50g水溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後室温で更に5時間撹拌し、析出した結晶を減圧下濾取した。得られた結晶を水洗、40℃で24時間乾燥し、目的物10.4gを得た。
【0050】
【実施例】
以下実施例によって本発明を更に詳しく説明する。実施例中の部数や百分率は重量基準である。
【0051】
参考例1
(A)感熱塗液の作成
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部を1.25%ポリビニルアルコール水溶液80部と共にペイントコンディショナーで平均粒径が1.5μm以下になるまで粉砕し、染料前駆体分散液(A液)を得た。次いで、例示化合物(1−2)20部を1.25%ポリビニルアルコール水溶液80部と共にペイントコンディショナーで平均粒径が1.5μm以下になるまで粉砕し、顕色剤分散液(B液)を得た。更に、ベンジルオキシナフタレン20部と1.25%ポリビニルアルコール水溶液80部を同様に平均粒径が1.5μm以下になるまで粉砕し、増感剤分散液(C液)を得た。上記A液35部、B液70部、およびC液70部に、30%炭酸カルシウム顔料分散液100部、40%ステアリン酸亜鉛分散液10部、および10%ポリビニルアルコール水溶液57部を添加、よく混合し、感熱塗液を作成した。
【0052】
(B)感熱記録材料の作製
(A)で作製した感熱塗液を上質紙に、固形分塗抹量3.4g/m2となる様に塗抹乾燥後、スーパーカレンダーで処理して感熱記録材料を得た。
【0053】
参考例2
参考例1で用いた例示化合物(1−2)の代わりに、例示化合物(1−4)を使用した他は、参考例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0054】
参考例3
参考例1で用いた例示化合物(1−2)の代わりに、例示化合物(1−13)を使用した他は、参考例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0055】
参考例4
参考例1で用いた例示化合物(1−2)の代わりに、例示化合物(1−16)を使用した他は、参考例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0056】
参考例5
参考例1で用いた例示化合物(1−2)の代わりに、例示化合物(1−19)を使用した他は、参考例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0057】
参考例6
参考例1で用いた例示化合物(1−2)の代わりに、例示化合物(1−22)を使用した他は、参考例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0058】
参考例7
参考例1で用いた例示化合物(1−2)の代わりに、例示化合物(1−32)を使用した他は、参考例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0059】
参考例8
参考例1で用いた例示化合物(1−2)の代わりに、例示化合物(2−2)を使用した他は、参考例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0060】
比較例1
参考例1で用いた例示化合物(1−2)の代わりに、ビスフェノールAを使用した他は、参考例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0061】
比較例2
参考例1で用いた例示化合物(1−2)の代わりに、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステルを使用した他は、参考例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0062】
比較例3
参考例1で用いた例示化合物(1−2)の代わりに、4−イソプロピルオキシ−4′−ヒドロキシジフェニルスルホンを使用した他は、参考例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0063】
試験1(地肌の白色度)
参考例1〜8および比較例1〜3で得た感熱記録材料を、ハンター白色度計によって、ブルーフィルターを用い、白色度測定を行った。
【0064】
試験2(発色試験)
参考例1〜8および比較例1〜3で得た感熱記録材料を、TDK製印字ヘッドLH4409付き大倉電気製感熱ファクシミリ印字試験機TH−PMDを用いて印字パルス1.2ミリ秒で印加電圧20.5ボルトの条件で印字し、マクベス濃度計(RD−918)を用いて発色画像濃度の濃度測定を行った。
【0065】
試験3(耐可塑剤性試験−画像安定性)
芯材(160mmφ)上に、感熱記録材料の印字面が上になるように巻き付け、その上からポリ塩化ビニリデン製ラップフィルム〔三井東圧化学(株)製〕を3重に巻き付けて、40℃で24時間放置した後の画像残像率を数1によって求めた。数値が大きいほど保存安定性が優れていることを示している。
【0066】
【数1】
A=(C/B)×100
A:画像残存率(%)
B:試験前の画像濃度
C:試験後の画像濃度
【0067】
試験4(耐可塑剤性試験−地肌安定性)
芯材(160mmφ)上に、感熱記録材料の印字面が上になるように巻き付け、その上からポリ塩化ビニリデン製ラップフィルム〔三井東圧化学(株)製〕を3重に巻き付けて、40℃で24時間放置した後の地肌の白色度を測定した。
【0068】
参考例1〜8及び比較例1〜3の試験1〜4の結果を表1に示した。
【0069】
【表1】
【0070】
実施例1
(A)感熱塗液の作成
3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン20部を1.25%ポリビニルアルコール水溶液80部と共にペイントコンディショナーで平均粒径が1.5μm以下になるまで粉砕し、染料前駆体分散液(A液)を得た。次いで、例示化合物(1−2)の亜鉛塩20部を1.25%ポリビニルアルコール水溶液80部と共にペイントコンディショナーで平均粒径が1.5μm以下になるまで粉砕し、顕色剤分散液(B液)を得た。更に、ベンジルオキシナフタレン20部と1.25%ポリビニルアルコール水溶液80部を同様に平均粒径が1.5μm以下になるまで粉砕し、増感剤分散液(C液)を得た。上記A液35部、B液70部、およびC液70部に、30%炭酸カルシウム顔料分散液100部、40%ステアリン酸亜鉛分散液10部、および10%ポリビニルアルコール水溶液57部を添加、よく混合し、感熱塗液を作成した。
【0071】
(B)感熱記録材料の作製
(A)で作製した感熱塗液を上質紙に、固形分塗抹量3.4g/m2となる様に塗抹乾燥後、スーパーカレンダーで処理して感熱記録材料を得た。
【0072】
実施例2
実施例1で用いた例示化合物(1−2)の亜鉛塩の代わりに、例示化合物(1−4)の亜鉛塩を使用した他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0073】
実施例3
実施例1で用いた例示化合物(1−2)の亜鉛塩の代わりに、例示化合物(1−13)の亜鉛塩を使用した他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0074】
実施例4
実施例1で用いた例示化合物(1−2)の亜鉛塩の代わりに、例示化合物(1−16)の亜鉛塩を使用した他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0075】
実施例5
実施例1で用いた例示化合物(1−2)の亜鉛塩の代わりに、例示化合物(1−19)の亜鉛塩を使用した他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0076】
実施例6
実施例1で用いた例示化合物(1−2)の亜鉛塩の代わりに、例示化合物(1−22)の亜鉛塩を使用した他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0077】
実施例7
実施例1で用いた例示化合物(1−2)の亜鉛塩の代わりに、例示化合物(1−32)の亜鉛塩を使用した他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0078】
実施例8
実施例1で用いた例示化合物(1−2)の亜鉛塩の代わりに、例示化合物(2−2)の亜鉛塩を使用した他は、実施例1と同様にして感熱記録材料を得た。
【0079】
実施例1〜8及び比較例1〜3の試験1〜4の結果を表2に示した。
【0080】
【表2】
【0081】
【発明の効果】
表1および表2から明らかなように、地肌および発色画像の保存安定性に優れる感熱記録材料を提供することが可能になった。
Claims (1)
- 支持体上に電子供与性無色染料と電子受容性化合物を含有する感熱発色層を設けた感熱記録材料において、該電子受容性化合物として、一般式(1)で表されるアミドカルボン酸誘導体の多価金属塩の少なくとも1種を含有することを特徴とする感熱記録材料。
Priority Applications (1)
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JP05885497A JP3591678B2 (ja) | 1997-03-13 | 1997-03-13 | 感熱記録材料 |
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JP9290737A Division JPH10251212A (ja) | 1997-10-23 | 1997-10-23 | アミドカルボン酸誘導体 |
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1997
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