JP3591246B2 - 搬送中継装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、搬送物を搬送する際、搬送方向を変えるのに用いられる搬送中継装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車(車両)の組み立てを行う工場では、工場内部に種々のラインを階層的に据え付けて、工場内のスペースを有効活用することが行われている。
こうした組立ラインでは、上階のラインから下階のライン、又は異なる向きの下階のラインなどへ、組立途中の車体を搬送することが求められる。
【0003】
そこで、両者のラインを中継する装置として、搬送中継装置が用いられている。多くは上階の受渡位置と下階の受渡位置との間を昇降(中継)するリフターを用いた昇降式の可動ステーションを採用している。
【0004】
ところで、自動車の組立ラインでは、同一ラインで、複数車種の車体の組み立てが行えるよう、車体に組み付けられた部品を利用して、車体を搬送することが行われている。例えば車体に付けられたタイヤを転がして移動させる搬送方式がある。具体的には、ラインに沿って車体の受渡位置へ延びるレールを据え付け、このレールに沿って搬送機を走行させ、車体を移動させる。
【0005】
こうした組立ライン間を中継するリフターには、車体搬送に用いられているレール式の搬送機をそのまま流用して、つぎのラインへ中継するために、レールが付いた昇降部を昇降させるリフターが用いられる。
【0006】
従来、このようなリフターには、中継地点となる上階と下階との間に、昇降駆動部で昇降されるテーブルフレームを据え付け、このテーブルフレームの上部に中継レールを取り付けた昇降部を採用して、昇降駆動部でテーブルフレームを上階あるいは下階で停止させて、中継レール端を上階あるいは下階の組立工程へ向かう受渡地点の固定レール端に位置決めることが行われている。
【0007】
そして、組立ラインの搬送機が、直列に並ぶ中継レール、固定レールを走行することにより、例えば上階のラインから上階で停止するリフターの昇降部へ車体を受け渡し、この車体を下階で停止する昇降部から下階のラインへ受け渡すようにしていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、中継レールと固定レールとで連結部に段差があると、同レール間を乗り移る搬送機に衝撃が加わる。
ところが、リフターの昇降部は、最も重量のあるテーブルフレームに中継レールの重量を加えた重量物、さらにはこれに車体重量(搬送物の重量)を加えた重量物となって移動する。しかも、同昇降部は、組立ラインの流れを保つために、かなり早い速度での昇降動作が求められるので、慣性力の影響を受ける。
【0009】
このため、中継レールの停止位置はばらつきやすく、固定レールの端部からずれた位置で停止してしまうのがほとんどで、搬送機の乗り移り不良が発生したり、レール端の段差をもたらす衝撃によりレール上を走行する搬送機の走行ローラに大きな負担を与えることがある。
【0010】
そこで、慣性力の影響を抑えるよう、リフターの昇降速度を遅くすることが考えられる。
しかし、これだと組立ラインの流れに影響を与える結果となる。
【0011】
このため、組立ラインでの生産性に影響を与えずに、中継レールの位置決め精度が図れる技術が要望されている。
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、可動ステーションの移動速度を低下させずに、中継レール端を固定レール端に対して近接させ、高い精度で位置決めることができる搬送中継装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載の搬送中継装置は、ワーク搬送用の固定レールの端部に設けられたワークの受渡地点と、昇降により前記受渡地点へ近づく可動ステーションと、前記可動ステーションに前記固定レール位置と対応する位置からレール片側が下側へ傾く状態で配置されかつ傾いた下側のレール端が持ち上げ可能に搭載された、前記固定レールと組み合う中継レールと、前記受渡し地点へ近づく前記可動ステーションを、前記中継レールの下側へ傾いたレール端が前記固定レールのレール端と近い該レール端より下側の地点で停止させる停止手段と、前記停止した位置から前記中継レールの下側へ傾いたレール片側を持ち上げて中継レール端を前記固定レール端に位置決める位置決め機構とを採用した。
【0013】
すると、中継レール端は、中継レールだけあるいは搬送物を受けている中継レールという軽い部分だけの移動を利用して、固定レール端に位置決められる。
これにより、中継レールと固定レールとは精度良く位置決められる。
【0014】
しかも、たとえ可動ステーションの停止位置が同ステーションの移動に伴う慣性力の影響でばらついていたとしても、中継レールが固定レールに位置決めされるまでの間で吸収されるので、可動ステーションの移動速度を低下させることなく高い精度が保てる。
【0015】
それ故、レール端での段差の発生が抑制され、搬送機がスムーズに移れるようになり、搬送機の乗り移り不良が防止される。しかも、搬送機の走行ローラに大きな衝撃(負担)を与えることもない。そのうえ、組立ラインの生産性などに影響を与えずにすむ。
【0016】
請求項2に記載の搬送中継装置では、高い位置決め精度が求められる固定側集電レールと中継側集電レールとの位置決めも良好に行われ、集電子もスムーズに乗り移れるようになる。
【0017】
請求項3に記載の搬送中継装置は、中継レールが持ち上げ可能に搭載された昇降部を昇降させるリフターと、昇降部を中継レールのレール端が固定レールのレール端の近傍となる地点で停止させる制御部と、固定レール側から受渡地点で停止している昇降部へ向かって突き出るピン部材および中継レール側に形成され突き出るピン部材を係合して中継レール端と固定レール端とを位置合わせするピン受部を有した位置決め機構とを組み合わせて構成し、リフターの昇降動作に伴う中継レールの位置ずれを防ぐのに最も適した構造にしたことにある。
【0018】
請求項4に記載の搬送中継装置は、中継レールが旋回可能にして、昇降動作,旋回動作に伴う中継レールの位置ずれを防ぐのに最も適した構造にしたことにある。
【0019】
請求項5に記載の搬送中継装置は、ピン部材が差し込まれる差込路を有するブロックを有し、差込路を挟む少なくとも上下側/左右側に中継レールの位置を位置決める位置決めローラを有するピン受部を採用して、ピン部材を差し込むという挙動だけで、中継レールの上下方向、左右方向の位置決めが確実に行えるようにした。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図7に示す第1の実施形態にもとづいて説明する。
図1は、例えば自動車の組み立てを行う工場に据え付けた組立ラインの一部を示し、図中1は例えば工場の上階(2階)の前後方向に延びる組立ラインから続いている一対の平行な走行帯、11は例えば工場の階(1階)の左右方向に延びる組立ラインから続いている一対の平行な走行帯である。これら各走行帯1,11がそれぞれ上階の受渡地点A、下階の受渡地点Bまで延びている。
【0021】
各走行帯1、走行帯11で挟まれる上/下階部分はピット2(下階側しか図示せず)が形成してあり、これら各ピット2内には上/下階の組立ラインから続く一対の固定レール3,13が据え付けてある。
【0022】
各固定レール3,13には、例えば縦方向に向く一対の帯板を所定の間隔で平行に据え付けた構造が採用してある。そして、これら固定レール3,13が受渡地点A,Bまで延びている。
【0023】
各固定レール3,13上には、走行帯1,11に載せた車体20(搬送物)に付いているタイヤ、例えば前輪21を前後方向から挟む二対のアーム22をもつ搬送機23(上階側しか図示せず)が走行するようになっていて、各搬送機23が前輪21を前後から挟みながら走行すると、前/後輪が走行帯1,11上をころがるようにして車体20を移動させる構造にしてある。
【0024】
上階の受渡地点Aと下階の受渡地点Bとの間は、レール式の搬送機23をそのまま流用した昇降式の可動ステーション、具体的には旋回機能付きのリフター30で連絡してあり、搬送中継装置を構成している。
【0025】
リフター30は、受渡地点Aと受渡地点Bとの間を昇降する昇降部31を有して構成される。
この昇降部31は、昇降駆動部32によって昇降方向に駆動される例えば枠状の昇降フレーム33(フレーム部材に相当)の上部に、旋回駆動される例えば長方形状のテーブルフレーム36を組み付け、このテーブルフレーム36の上部に固定レール3,13と組み合う一対の中継レール34を取り付け、この中継レール34の両側に走行帯1,11と組み合う一対の中継用走行帯35とを取り付けて構成される。
【0026】
すなわち、テーブルフレーム36の中央部は、昇降フレーム33の中央部に回転自在に支持してある。テーブルフレーム36の下部は、円形のガイドレール37を介して、昇降フレーム33の各部に取り付けた複数の受ローラ38にて回転自在に支持される。またテーブルフレーム36は、例えば同フレーム36の下部に据え付けた回転駆動部37a(例えばモータ、歯車等を組み合わせて構成されるもの)にて回転駆動されるようになっていて、中央部を支点にテーブルフレーム全体が水平方向に旋回するようにしてある。
【0027】
このテーブルフレーム上部の幅方向中央に上記中継レール34が据え付けられ、この中継レール34を挟む両側に上記中継用走行帯35が脚部35aを介して所定高さに据え付けてある。
【0028】
これにより、上階の受渡位置Aと下階の受渡位置Bとの間を連絡するよう、昇降駆動部32および回転駆動部37aにて、昇降部31を旋回させつつ昇降させることにより、受渡地点Aにおいては搬送機23で搬送される車体20の受け渡しが行え、また下階の受渡地点Bにおいては中継レール34に載せて運んだ車体20の受け渡しが行われるようにしてある。
【0029】
昇降部31には、各受渡地点A,Bへ至る中継レール34(長手方向とは直角方向から固定レールへ向かって近付くレール)が固定レール端に対して良好に位置決められる工夫が施してある。
【0030】
この工夫には、中継レール34を移動可能に搭載する構造、例えば中継レール34を持ち上げ可能に支持する構造と、この中継レール端を固定レール端に近い地点、例えば固定レール端の下側近傍で停止させる構造と、この停止位置から中継レール端を持ち上げて固定レール端に位置決める構造とが採用してある。
【0031】
すなわち、中継レール34の支持構造には、例えば凹凸嵌合を用いて、一対の中継レール34を支持するレール支持部材34aを持ち上げ可能に支持する構造が採用されている。
【0032】
具体的には、図2に示されるようにレール支持部材34aは、例えば一対の中継用走行帯35で挟まれるテーブルフレーム36の中央部分の形状にならう長方形の平板状に形成された台部40を有している。そして、この台部40の上面には一対の中継レール34を支持させる複数のレール支持ブラケット部41が組み付けてある。台部40の下面には、断面が例えば三角形状をなした一対の並行な嵌合溝42が長手方向に沿って直線状に形成してある。
【0033】
また一対の中継用走行帯35で挟まれるテーブルフレーム36の上面には、嵌合溝42と組み合う、角部が上側に向く断面がほぼ三角形状をなした一対の凸条部43が長手方向に沿って直線状に形成してある。
【0034】
この凸条部43と嵌合溝42とが互いに嵌まり合うようにして、レール支持部材34aがテーブルフレーム36の中央部に載せられ、図7に示されるようにレール支持部材34aを持ち上げ可能、すなわち一対の中継レール34を持ち上げ可能に支持させている。
【0035】
また昇降駆動部32を昇降制御する制御部32aには、中継レール34が、受渡地点A,Bの固定レール端の下側近傍、具体的には慣性力によるばらつき範囲を超える距離、例えば10mm程度下側の地点で停止させる設定がなされていて、昇降部31が受渡地点A,Bに停止するときには、常に中継レール端が固定レール端より下側に配置されるようにしてある。
【0036】
本実施形態では、中継レール34を固定レール位置と対応する基準位置から片側が斜め下側に向くように支えて(凸条部43、嵌合溝42による)、車体20が出入りする中継レール34の片側だけを固定レール端の下側の地点に停止させるようにしてある。
【0037】
むろん、中継用走行帯35の高さ寸法は、この停止位置分、高くしてあり、昇降部31が受渡地点A,Bで停止すると、中継用走行帯35が受渡地点A,Bの走行帯1,11に合わせられるようにしてある。
【0038】
また中継レール端を持ち上げる構造には、例えばピン差込み構造で、停止した昇降台31から中継レール端を持ち上げて固定レール端に位置決める位置決め機構50が採用されている。
【0039】
この位置決め機構50には、例えば図3〜図6に示されるように受渡地点A,Bの固定レール間の中央に据え付けたピン突出機構51aと、中継レール側に据え付けた位置決め体51b(ピン受部に相当)とを組み合わせた構造が採用してある。
【0040】
具体的には、ピン突出機構51aは、例えばシリンダ52のピストン端に、先端がテーパ状に形成された断面が角形のピン53(ピン部材に相当)を連結して構成してある。なお、ピン53の上下左右は、ガイドローラ54によって進退自在に支えられていて、大きな荷重が加えられても、ピン53がスムーズに進退動作し得るようにしてある。
【0041】
シリンダ52は、例えば制御部32aの制御により、受渡地点A,Bに昇降部31が停止しているとき、前進側に動作して、ピン53を停止している昇降部31、具体的にはテーブルフレーム36の上側の地点へ向かって平行に突出させ、車体20の受け渡しを終えると、後退動作して、ピン53を昇降部31から退避させるようにしてある。
【0042】
また位置決め体51bは、テーブルフレーム36の端部中央に、突き出るピン53が差し込まれる角形の差込路56を有するブロック57を形成し、この差込路56の周囲、具体的には少なくとも上側、左右両側に、差し込まれるピン53の上部分、左右部分を受けて回転する位置決めローラ58を配設して構成してある。
【0043】
そして、ブロック57の差込路56は、ピン53の据付位置を基準として、昇降部31の停止位置の変更に伴い下側にずれた地点(10mm程度)に配置されていて、ピン53が差込路56に差し込まれるにしたがい、図7に示されるように中継レール34を持ち上げ(変位)、この持ち上げているときに上下、左右方向の位置を正しつつ中継レール端を固定レール端に位置合わせるようにしてある。なお、位置決め体51bは、中継レール34の両端部から車体20の受入れを可能とするために、テーブルフレーム36の両端側にそれぞれ据え付けてある。
【0044】
この位置合わせにより、昇降する中継レール端を各受渡地点A,Bの固定レール端に高い精度で位置決められるようにしている。
すなわち、この位置決め作用を組立ラインの動きと共に説明すれば、今、図1に示されるように車体20(車両)が上階の受渡地点Aに待機しており、この間に昇降部31が下階の受渡地点Bから旋回しながら上階の受渡地点Aへ向かって上昇しているとする。
【0045】
この旋回しながら上昇している昇降部31は、制御部32aの制御により、図3に示されるように中継レール端が、図3(b)に示されるように受渡地点Aの固定レール端の下側近傍のX地点(約10mm程度下方の地点)となる位置で停止する。この停止に伴い、昇降部31の中継用走行帯35と受渡地点Aの走行帯1とは位置決められる。
【0046】
このとき、かなりの重量物である昇降部31は、上昇/旋回動作から停止に至るので、多くは慣性力の影響を受けて、図3(a)に示されるように中継レール端が設定した停止位置から周方向へずれたり、図3(b)に示されるように中継レール端から上下方向へずれたりして停止する。図3(a)中の符号Yは、中継レール端の周方向の位置ずれ誇張して示し、図3(b)中の符号Xは中継レール端の上下方向の位置ずれを示している。
【0047】
昇降部31の停止を終えると、制御部32aはシリンダ52を前進動させ、図4および図5中の矢印のようにピン53を位置決め体51bの差込路56へ差し込ませる。
【0048】
ここで、差込路56は、固定レール3の下側に配置されているから、図4および図6に示されるようにピン53の差し込みが進むにしたがい上側の位置決めローラ58がピン53の上部で押し上げられる。
【0049】
すると、図7(a),(b)に示されるようにテーブルフレーム36に載せられていたレール支持部材34aの片側の端部が持ち上げられ、昇降部31から中継レール周辺の重量の軽い部分だけが離れていく。
【0050】
これにより、中継レール端およびレール支持部材34aの端を受けている片側部分だけが持ち上げられて、固定レール端へ向かう。
この持ち上げられる間で、左右の位置決めローラ58がピン53の左右部分を受けて、図7(b)に示されるように中継レール端の左右方向(昇降部31の周方向)の位置を正す。
【0051】
これにより、ばらつきを伴って停止している中継レール端は、上下/左右位置が正しい位置に補正されながら固定レール端へ向かう。
ピン53の差し込みを終えると、図4に示されるように中継レール端は、固定レール端に合致するように位置決められる。
【0052】
このことにより、たとえ昇降部31の停止位置が同昇降部31の移動に伴う慣性力の影響でばらついていたとしても、中継レール34と固定レール3とは高い精度で位置決められる。
【0053】
そして、この段差の発生が抑制されたレール端を通り、搬送機23が固定レール3から中継レール34へ乗り移り、中継用走行帯35上の車体20を受渡地点Aに引き出し、上階の組立ラインへ搬送していく。
【0054】
なお、中継用走行帯35、走行帯1は、タイヤがころがる部分、すなわちレールのような精度が求められるような部分ではないので、両者間に段差があっても問題はない。
【0055】
車体23の受け渡しを終えると、シリンダ52は後退動し、ピン53を位置決め体51bから引き抜く。すると、中継レール34は元の停止位置へ戻る。
この後、昇降部31は、例えば逆周り旋回しながら下階の受渡地点Bに向かって下降する。
【0056】
この昇降部31に対して、上階のときと同じく、受渡地点Bの固定レール端の下側近傍の地点(約10mm程度下方の地点)となる位置で中継レール34を停止させる工程、さらにはピン53を用いて中継レール34を持ち上げる工程が加わり、中継レール片側という軽い部分だけが変位して、中継レール端が固定レール端に位置決められていく。
【0057】
そして、受渡地点Aのときと同様、レール端を通り、下階の搬送機23が固定レール13から中継レール34へ乗り移り、走行帯11上の車体20を中継走行帯35へ搬送する。
【0058】
このように中継レール端を固定レール端に近い地点で停止させてから、中継レール34を変位させて固定レール端に位置決めるようにすると、慣性力の影響を避けて、中継レール34と固定レール3,13とが高い精度で位置決められるから、搬送機23がスムーズに移れるようになる。
【0059】
それ故、搬送機23の乗り移り不良が防止される上、搬送機23の走行ローラ(レールを走行するローラ)に衝撃(負担)を与えずにすむ。
しかも、昇降部31の停止位置のばらつきは、停止した中継レール34が固定レール3,13に位置決めされるまでの間で吸収されるから、昇降部31の移動速度(昇降、旋回)を低下させる必要はなく、上/下階の組立ラインの生産性などに影響を与えずに高い位置決め精度が保てる。
【0060】
そのうえ、ピン53の上部分、左右部分を受ける位置決め体51bを採用したことで、ピン53を差し込むという挙動だけで、中継レール34の上下/左右方向の位置決めが確実で行えるようになり、リフター30の昇降動作,旋回動作に伴う位置ずれを防ぐのに最も適した構造が実現される。
【0061】
図8〜図10は、本発明の第2の実施形態を示す。
本実施形態は、集電子60で、固定レール3に付いている固定側集電レール3a、中継レール34に付いている中継側集電レール34xから集電しながらレール上を走行させるパレット形搬送機、具体的には電動機(図示しない)で、車体20を載せたパレット本体61に付いている支持輪62を回転駆動する搬送機63を用いて、上階の受渡地点Aから、車体20を載せたまま搬送機63を受取り、下階の受渡地点Bへ車体20を載せたまま搬送機63を受け渡すリフター64に、本発明を適用した例である。
【0062】
本実施形態は、ピン構造を用いて、中継レール34を持ち上げ可能に支持する構造、位置決め機構50を左右2か所(複数)に設けた点に特徴がある。
具体的には、中継レール34の支持構造は、図8〜図10に示されるようにリフター64の円形のガイドレール37の上部に四角状に四個の受ブラケット70を設置し、一対の並行な中継レール34の下部にブラケット位置に対応して四個のレールブラケット71を設置し、両ブラケット70,71を同ブラケット70,71間を貫通する横方向に延びるピン72で回動自在に連結してある。そして、パレット本体61が出入りする中継レール端を支持するレールブラケット71のピン孔71aは、上下方向に延びる長孔で形成され、図9および図10に示されるようにパレット本体61が出入りする中継レール端だけを持ち上げることができるようにしてある。
【0063】
これにより、第1の実施形態と同様、受渡地点Aから突き出るピン53が位置決め体51bの差込路56に差し込まれると、図9および図10のように停止している昇降部31から中継レール端だけが持ち上げられて、受渡地点Aの固定レール端に位置決めされるようにしてある。
【0064】
このようにしても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。しかも、高い位置決め精度が求められる固定側集電レール3aと中継側集電レール34xとの位置決めも良好に行われるので、パレットと同様、集電子60もスムーズにレール間を乗り移れるようになる。
【0065】
なお、図8〜図10において、第1の実施形態を同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略した。
図11は、本発明の第3の実施形態を示す。
【0066】
本実施形態は、昇降機能だけのリフター80に本発明を適用した例である。
具体的には、リフター80は一対の並行な中継レール34が搭載された枠形の昇降フレーム33を昇降させるパンタグラフ式昇降装置から構成してあり、このリフター80の中継レール34の出入側の端部を支えるブラケット構造に、第2の実施形態で説明したピン孔71aに長孔を用いて中継レール34を持ち上げ可能に支持する構造が適用してある。
【0067】
このようにしても、第1の実施形態と同様の効果を奏する。しかも、リフター80の昇降動作に伴う位置ずれを防ぐのに最も適した構造が実現される。
なお、図11において、第1/第2の実施形態を同じ部分には同一符号を付して、その説明を省略した。
【0068】
なお、一実施形態では、本発明を、昇降機能だけのリフター、旋回機能が付いたリフターに適用したが、これに限らず、ターンテーブル装置等でもよく、可動ステーションの構造には限定されるものではない。むろん、車体以外の搬送物を中継して搬送する搬送中継装置にも適用してもよい。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、固定レールの近くの地点で停止させた可動ステーションから、中継レールだけあるいは搬送物を受ける中継レールという軽い部分だけを移動させるという、慣性力を避けた中継レール端の固定レール端に対する位置決めが行われるから、中継レールと固定レールとを精度良く位置決めることができる。しかも、たとえ可動ステーションの停止位置は同ステーションの移動に伴う慣性力の影響でばらついたとしても、中継レールが固定レール端に位置決めされるまで間で吸収されるので、可動ステーションの移動速度を低下させる必要なく高い精度が保てる。
【0070】
したがって、可動ステーションの移動速度を低下させずに、中継レール端を中継地点の固定レール端に対して高い精度で位置決めることができる。
この結果、中継レール端、固定レール端間の段差の発生を抑制でき、搬送機の乗り移り不良が防止できる。しかも、搬送機の走行ローラに大きな衝撃を与えることはない。
【0071】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、高い位置決め精度が求められる固定側集電レールと中継側集電レールとの位置決めも良好に行え、集電子のスムーズな移動ができる。
【0072】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、昇降動作に伴う中継レールの位置ずれを防ぐのに最も適する構造にできる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、昇降動作,旋回動作に伴う中継レールの位置ずれを防ぐのに最も適する構造にできる。
【0073】
請求項5に記載の発明によれば、請求項3の効果に加え、ピンを差し込むという挙動だけで、中継レールの上下方向、左右方向の位置決め確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる搬送中継装置を説明するための斜視図。
【図2】同装置の中継レールを持ち上げ可能に支持する構造を説明するための分解斜視図。
【図3】同装置の中継レールが、固定レールの下端近傍の地点で位置ずれを生じて停止した状態を示す図。
【図4】同停止した中継レール端が持ち上げられて固定レール端に位置決められる工程を説明するために図。
【図5】同中継レール端を持ち上げる位置決め機構の構造を説明するための斜視図。
【図6】同位置決め機構のピンが位置決め体に差し込まれたときを説明するための斜視図。
【図7】同ピンが位置決め体に差し込まれるに伴うレール支持部材の挙動を説明するための図。
【図8】本発明の第2の実施形態にかかる搬送中継装置を説明するための斜視図。
【図9】同装置の中継レールを持ち上げ可能に支持する構造を説明するための図。
【図10】同構造と共に、中継レール端を持ち上げる位置決め機構を説明するための図。
【図11】本発明の第3の実施形態にかかる搬送中継装置を説明するための斜視図。
【符号の説明】
1,11…走行帯
3,13…固定レール
3a,13a…固定側集電レール
20…車体(搬送物)
23,63…搬送機
30,64,80…リフター(可動ステーション)
31…昇降部
33…昇降フレーム(フレーム部材)
34…中継レール
34x…中継側集電レール
35…中継用走行帯
36…テーブルフレーム
42…嵌合溝
43…凸条部
50…位置決め機構
51a…ピン突出機構
51b…位置決め体(ピン受部)
53…ピン(ピン部材)
56…差込路
57…ブロック
58…位置決めローラ
60…集電子
A,B…受渡地点。

Claims (5)

  1. ワーク搬送用の固定レールの端部に設けられたワークの受渡地点と、
    昇降により前記受渡地点近づく可動ステーションと、
    前記可動ステーションに前記固定レール位置と対応する位置からレール片側が下側へ傾く状態で配置されかつ傾いた下側のレール端が持ち上げ可能に搭載された、前記固定レールと組み合う中継レールと、
    前記受渡し地点へ近づく前記可動ステーションを、前記中継レールの下側へ傾いたレール端が前記固定レールのレール端と近い該レール端より下側の地点で停止させる停止手段と、
    前記停止した位置から前記中継レールの下側へ傾いたレール片側を持ち上げて中継レール端を前記固定レール端に位置決める位置決め機構と
    を具備したことを特徴とする搬送中継装置。
  2. 前記固定レールは固定側集電レールを有し、
    前記中継レールは中継側集電レールを有し、
    前記中継側集電レールが、前記中継レールの持ち上げによって前記固定側集電レールに位置決めされることを特徴とする請求項1に記載の搬送中継装置。
  3. 前記位置決め機構は、前記固定レール側から前記受渡地点で停止している前記可動ステーションへ向かって突き出るピン部材と、前記中継レール側に形成され前記ピン部材と係合することにより前記中継レール端と前記固定レール端とを位置合わせするピン受部とを有して構成される
    ことを特徴とする請求項1に記載の搬送中継装置。
  4. 前記可動ステーションは、前記中継レール旋回可能としてあることを特徴とする請求項1に記載の搬送中継装置。
  5. 前記ピン受部は、前記ピンが差し込まれる差込路が形成されたブロックを有し、この差込路を挟む少なくとも上下側/左右側に前記中継レールの位置を位置決める位置決めローラが配設されて構成されることを特徴とする請求項3に記載の搬送中継装置。
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