JP3590760B2 - 静電荷現像用トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真複写機、電子写真プリンターに用いられる静電荷現像用トナー、特に非磁性一成分現像方法に於て有用な静電荷現像用トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より電子写真法に使用される現像方法としては、二成分現像方式と一成分現像方式が挙げられる。上記二成分現像方式とは、結着樹脂を主成分とする絶縁性微粉末、すなわち絶縁性トナーと磁性キャリアとを摩擦により帯電させて磁気ブラシを形成し、感光体上に形成した静電潜像を現像する方式である。又、上記一成分現像方式は、更に磁性一成分現像方式と、非磁性一成分現像方式に分けることができる。上記磁性一成分現像方式とは、磁性一成分用トナーで現像する方式であり、非磁性一成分現像方式とは、非磁性一成分トナーを現像ローラー上に薄層で形成させ、感光体と接触又は非接触で現像する方式である。
【0003】
前記の非磁性一成分方式では、良好な可視画像を得るため、二成分現像方式と同様に、非磁性一成分現像用トナーに十分な帯電量を付与することが必要である。又、現像ローラー上の非磁性一成分現像用トナーの厚さを均一に制御することが必要不可欠である。現在のところ、十分な帯電量を付与するため、又はトナーの厚さを均一に制御するため、現像ローラーにゴム又は金属製の層規制部材を圧接していることが多い。
【0004】
又、従来の非磁性一成分現像用トナーは、スチレン−アクリル共重合体樹脂などの結着樹脂と着色剤とを主成分とし、これに含金アゾ染料などの帯電制御剤を含有させることで比較的高い電荷を持たせるという技術が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の非磁性一成分現像用トナーは、現像ローラーに圧接するように設けられた層規制部材への圧接力により、現像が繰り返し行われるうちにブレード部材や現像ローラー表面の磨耗が著しくなり、それらの表面に凹凸が発生し、この凹凸のためにトナーがブレード部材と現像ローラーとの間を通過する際に与えられる力が不均一となったり、部分的に現像ローラー上のトナー層が厚くなるという現象が生じた。その結果、トナーが必要とする電荷量が不足し、画像上に濃度ムラやカブリが発生するという問題が生じた。特に非接触現像方法に於ては、連続コピー時に現像ローラーから感光体へトナーが飛翔する問題が生じ、現像特性が低下しやすかった。又、従来の非磁性一成分現像用トナーでは、現像ローラーにトナーが圧接力或は熱により融着する現象、いわゆるローラー融着の問題を生ずることがあった。
【0006】
又、近年、特にフルカラー画像の出力ニーズが高まっているが、画質上、画像面にある程度の光沢性を付与する必要がある。光沢性を得るためには、画像表面は適度に平滑である必要がある。この場合、トナーに用いる樹脂は定着過程に於て、速やかに熱融解し平滑に押し拡がる必要がある。このような熱融解しやすいトナーは、一般に機械的な強度が低く、上記ブレードや現像スリーブなどの部材に融着しやすい問題があった。
【0007】
本発明は、現像スリーブで均一なトナー層が得られ、適度な光沢性を容易に調整でき、低温定着性が良好で、長期連続複写に於ける現像ローラー上及びブレードへの融着や、トナー飛散、カブリ等の発生がなく、かつ、安定した画像特性を実現できる新規な静電荷現像用トナーを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる問題を鋭意検討した結果、適度な光沢性を有し、低温定着性が良好で、非磁性一成分現像法における長期連続複写に於て安定した現像性を得るために、特定の樹脂の熱特性及び樹脂組成からなる静電荷現像用トナーを使用することによって、現像ローラー及びブレードへのトナーの融着を防止できることを見出し本発明に至ったものである。
【0009】
すなわち、請求項1に記載の発明は、少なくとも、着色剤と荷電制御剤、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定されるクロマトグラムでピークトップ分子量(Mp)が3000以上、数平均分子量(Mn)が2700以上の架橋型ポリエステル樹脂(A)、及びテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定されるクロマトグラムでピークトップ分子量(Mp)が3000以上、数平均分子量(Mn)が2700以上の架橋型ポリエーテルポリオール樹脂(B)を用いたことを特徴とする静電荷現像用トナーであり、請求項2に記載の発明は、少なくとも、着色剤と荷電制御剤、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定されるクロマトグラムでピークトップ分子量(Mp)が7000以上、数平均分子量(Mn)が4500以上であり、重量平均分子量Mwとの比、Mw/Mnが2≦Mw/Mn≦10の線状ポリエステル樹脂(C)、及びテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定されるクロマトグラムでピークトップ分子量(Mp)が3000以上、数平均分子量(Mn)が2700以上の架橋型ポリエーテルポリオール樹脂(B)を用いたことを特徴とする静電荷現像用トナーである。
【0010】
又、請求項3の発明は、BET比表面積が100m2/g以上の無機微粒子(a)と60m2/g以下の無機微粒子(b)の混合物を表面に担持することを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナーであり、請求項4に記載の発明は、湿式法により平均粒子径が0.7μm以上に粉砕された荷電制御剤が、トナー粒子表面に固着されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナーであり、更に、請求項5の発明は、現像スリーブが金属製である非磁性一成分現像装置に用いることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナーであり、請求項6の発明は、現像スリーブが金属製以外の弾性を有する物質からなる非磁性一成分現像装置に用いることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナーである。なお又、請求項7の発明は、トナーのガラス転移点は50〜70℃、フロー軟化点が105〜135℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナーである。
【0011】
本発明に於いて使用する架橋ポリエステル樹脂、及び架橋型ポリエーテルポリオール樹脂は、ピークトップ分子量(Mp)が3000以上であることが必要であり、好ましくは、3200以上、より好ましくは、3500以上である。Mpが3000未満の場合は、オリゴマー領域の低分子が増加し、トナーと現像器部材間での摩擦力により、トナーの部材への融着が発生しやすくなり、カブリ、トナー飛散などの問題が発生し好ましくない。又、数平均分子量(Mn)は2700以上であることが必要であり、好ましくは、3000以上、より好ましくは、3500以上である。Mnが2700未満の場合は、オリゴマー領域の低分子が増加し、トナーと現像器部材間での摩擦力により、トナーの部材への融着が発生しやすくなり、カブリ、トナー飛散などの問題が発生し好ましくない。
【0012】
通常、架橋型ポリエステル樹脂(A)に於て、本発明の架橋型ポリエーテルポリオール樹脂(B)と同等の分子量分布を有する場合、現像器部材へのトナー融着が発生する場合があるが、本発明に用いる架橋型ポリエーテルポリオール樹脂は、トナー融着が発生しない。この理由については、必ずしも明らかではないが、架橋型ポリエステル樹脂との比較で、組成的に靱性に富み、弾性が高いことが効果的であるものと推測される。又、靱性が高いことは、定着性に於ても有利であり、非オフセット温度幅が広く、定着ローラーに塗布するオイル量が少なくて済むことなどの他、特に、ソリッド画像を折り曲げた時のトナー剥離が少ないなどの利点を有する。
【0013】
このように、架橋型ポリエーテルポリオール樹脂は、耐久性及び定着性の両立化に於て架橋型ポリエステル樹脂との比較に於て良好な特性を示すものの、架橋型ポリエステル樹脂との比較に於て、樹脂組成から水酸基価が高い場合がある。水酸基価が高い場合、負帯電性が劣り、カブリ、トナー飛散を生ずる場合がある。一方、架橋型ポリエステル樹脂は、水酸基価を低く抑えることが可能である。架橋型ポリエーテルポリオール樹脂を単独で使用して、上記のような、カブリ、トナー飛散などの問題を生ずる場合は、定着性及び耐久性の両立化は若干劣るものの、本発明のように架橋型ポリエステル樹脂を単独で用いるか、架橋型ポリエーテルポリオール樹脂と混合することで良好な帯電性を得ることができ、カブリ、トナー飛散などの不具合を回避することが可能である。
【0014】
本発明に用いる請求項2の線状ポリエステル樹脂(C)は、ピークトップ分子量(Mp)は7000以上が必要であり、より好ましくは7500以上、更に好ましくは8000以上が必要である。Mpが7000未満の場合は、オリゴマー領域の低分子が増加し、トナーと現像器部材間で摩擦力により、トナーの部材への融着が発生しやすくなり、カブリ、トナー飛散などの問題が発生し好ましくない。
【0015】
又、当該線状ポリエステル樹脂(C)の数平均分子量(Mn)は、4500以上が必要であり、好ましくは5000以上、より好ましくは5500以上である。Mnが4500未満の場合は、オリゴマー領域の低分子が増加し、トナーと現像器部材間での摩擦力により、トナーの部材への融着が発生しやすくなり、カブリ、トナー飛散などの問題が発生し好ましくない。
【0016】
又、本発明に用いる線状ポリエステル樹脂(C)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが、2≦Mw/Mn≦10であることが必要であり、好ましくは、2≦Mw/Mn≦8、より好ましくは2≦Mw/Mn≦5である。Mw/Mnが2未満の場合、線状ポリエステル樹脂(C)の脆性が強くなり、破砕し易くなる。その結果、機械的強度が低下し、現像器内でトナー粒子が破断され、現像に寄与しない微粉の増加が発生し易くなる。一方、Mw/Mn比が10を超す場合は、分子量分布が拡がりすぎて熱溶融しにくくなり、画像に光沢性が付与し難くなる他、低温定着性が損なわれる場合がある。本発明で使用する架橋型ポリエステル樹脂、及び又は、架橋型ポリエーテルポリオール樹脂の架橋度を低減することにより、画像に適度な光沢性を付与することが可能である。更に、上記の線状ポリエステル樹脂(C)を架橋型ポリエステル樹脂(A)及び又は、架橋型ポリエーテルポリオール樹脂(B)と併用することで、低温定着性と耐久性の両立化を果たした上で、光沢度を任意に調整することが可能となる。
【0017】
本発明の静電荷現像用トナーは、従来の混練粉砕法に於て荷電制御剤をトナー粒子中に内添する方法を用いるが、湿式法により平均粒子径が0.7μm以下に粉砕された荷電制御剤が、トナー粒子表面に固着されていることが望ましい。市販の通常使用されている荷電制御剤の平均粒子径は、ミクロンオーダーであり、小さくとも1μm程度であった。このように比較的大きめの荷電制御剤を、ハイブリダイザー(奈良機械製作所社製)等を使用し、機械的な歪力を用いてトナー粒子表面に固着しようとすると、殆どの荷電制御剤粒子はトナー粒子表面に埋没し、過大な粒子径を有する荷電制御剤粒子は、トナー粒子表面に固着しきれず、コピーの過程で、現像器や感光体などの電子写真部材を汚染することとなり、延いては、カブリ、トナー飛散などの問題を起こすこととなる。本発明では、このような問題を解決するため鋭意検討した結果、メディア式の微粉砕装置に於て、荷電制御剤を湿潤分散した溶媒中にて0.7μm以下のサブミクロン領域に微粉砕した荷電制御剤をトナー粒子表面に固着することで、良好な画像特性が得られることを見出した。この場合、トナー粒子は、その内部に荷電制御剤を含んでいても、或は、含まなくてもよい。
【0018】
このように湿式法によって微粉砕した荷電制御剤は、溶媒に湿潤状態のままトナー粒子に混合し乾燥することでトナー粒子表面に均一に荷電制御剤を分散付着することが容易にできる。本発明の静電荷現像用トナーを作製する上は、上記のように湿式法によって0.7μm以下に微粉砕した荷電制御剤を一旦乾燥してからトナー粒子に混合してもよい。ここに粒子径と称するのは、電子顕微鏡で1000倍の撮影により得られる粉砕荷電制御剤の粒子の写真に於いて、個々の粒子の長径と短径の平均値を個々の粒子の粒子径と定義し、任意に選ばれる200個の個々の粒子について測定した粒子径の平均値である。
本発明では前記のようにトナー粒子表面に荷電制御剤を分散付着させた後、前述のハイプリダイザーや、ヘンシェルミキサーを用いて、トナー粒子表面に荷電制御剤を埋没、固着することが可能である。
【0019】
本発明で特定する架橋型ポリオールポリエーテル樹脂(B)は、一般に帯電性が劣る場合があるが、通常の荷電制御剤をトナー粒子中に内包することに加えて、更に0.7μm以下にまで微粉砕した荷電制御剤をトナー粒子表面に埋没、固着することにより帯電性が良好となり、メモリーやカブリのない非常に良好な電子写真画像を得ることができる。
【0020】
本発明の静電荷現像用トナーは、BET比表面積が100m2/g以上の無機微粒子(a)と60m2/g以下の無機微粒子(b)の混合物をトナー粒子と混合して用いることが好ましい。100m2/g以上の無機微粒子(a)は、主にトナーに流動性を付与する目的で用いる。60m2/g以下の無機微粒子(b)は、主に、研磨効果が高く、トナー粒子の現像ローラーや、ブレードへの融着を防止する効果が高い。両者を併用することで、連続複写に於ても流動性の低下がなく、画像濃度の低下がない安定した画像が得ることができる。一方の無機微粒子(a)のBET比表面積が100m2/g未満である場合は、十分な流動性を得ることができず、画像濃度が不十分となる。又、もう一方の無機微粒子(b)のBET比表面積が60m2/gより大きいと、十分な研磨効果が得られず、トナーが現像ローラーやブレードに融着を生ずる場合がある。60m2/g以下の無機微粒子(b)は、トナー粒子100重量部に対して2.5重量部以下の添加量が望ましい。2.5重量部より多くを添加すると、流動性を損ねて十分な画像濃度が得られない場合がある。一方、100m2/g以上の無機微粒子(a)は、3重量部以下であることが望ましい。3重量部を超えて多くを添加した場合、無機微粒子のトナー粒子に対する被覆が過大となり、定着性を阻害する場合がある。
【0021】
無機微粒子(a)及び(b)としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、マグネタイト、酸化亜鉛、炭化珪素、ジルコニアなどの他、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛など、有機物との化合物なども好適に用いることができる。又、無機微粒子(a)及び(b)は以上に例示した化合物に限られるものではない。
【0022】
本発明に於て、現像スリーブが金属製である場合は、無機微粒子の混合物を比較的多めに使用する方がトナーの現像スリーブやブレードへの融着を良好に防ぐことができ望ましい。即ち、60m2/g以下の無機微粒子(b)はトナー粒子100重量部に対して2.5重量部以下の範囲で多く混合し、100m2/g以上の無機微粒子(a)は、3重量部以下の範囲で多く混合する場合に於て、耐久性が良好となる。一方、現像スリーブが、ゴムなどの金属製以外の弾性を有する物質である場合は、上記の無機微粒子添加範囲に於て、両者ともできるだけ少ない添加量であることが耐久性に於ては望ましく、流動性との兼ね合いで添加量は適宜に決めることができる。
【0023】
以下本発明で使用される材料について説明する。
本発明の静電荷現像用トナーで用いる架橋型ポリエステル樹脂(A)もしくは線状ポリエステル樹脂(C)は、2価カルボン酸とジオールの重縮合によって得られるものである。ここで言う2価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂肪族二塩基酸、及び無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族二塩基酸並びにこれらの低級アルキルエステル及びハロゲン化物等を例示することができる。
【0024】
又、ここで言うジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等を例示することができる。
【0025】
なお、架橋型ポリエステル樹脂の場合は通常不飽和二塩基酸の誘導体を用い、架橋開始剤によって架橋反応させて生成することができる。
【0026】
本発明の静電荷現像用トナーは、上記の特定のポリエステル樹脂(A)及び(C)と架橋型ポリエーテルポリオール樹脂(B)以外に下記に述べる結着樹脂を含有しても良い。即ち、ポリスチレン、ポリクロロスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−メタクリル酸フェニル共重合体)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体及びスチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単独重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、低分子ポリエチレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が本発明に適用できる。これらの樹脂を含有する場合の含有量は、上記特定のポリエステル樹脂、及び特定の架橋型ポリエーテルポリオール樹脂の総計100重量部に対して、60〜100重量部程度である。
【0027】
着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオクサレート、ランプブラック、ローズベンガル、ローダミン系染料又は顔料、アントラキノン系染料、モノアゾ及びジスアゾ系染料又は顔料等が用いられる。カーボンブラックの場合は、一次粒子径が25〜75nm、特に30〜55nmであり、比表面積が110m2/gが好ましい。このようなカーボンブラックを使用すると、溶融・混練による解砕性及び材料との分散性が良好である。
着色剤の含有量は現像により可視像を形成することができるようなトナーを着色するに十分な量であればよく、例えば結着樹脂100重量部に対して2〜20重量部が好ましい。
【0028】
本発明の静電荷現像用トナーは他の添加剤、例えば荷電制御剤、離型剤等を含有してもよい。荷電制御剤としては、例えば含金アゾ染料、ニグロシン染料、第4級アンモニウム塩、トリフェニルメタン系制御剤、オイルブラック等の油溶性染料、ナフテン酸、サリチル酸、オクチル酸及びそれらのマンガン、コバルト、鉄、亜鉛、アルミニウム、鉛などの金属塩、アルキルサリチル酸金属キレート等が挙げられる。
【0029】
離型剤としては、例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のポリアルキレンワックス、パラフィンワックス、高級脂肪酸、脂肪族アミド等が挙げられる。その添加量は結着樹脂100重量部に対して0.5〜5重量部が好ましい。離型剤をトナーに含有させる方法としては、トナー内部に添加する方法と外添する方法があるが、内添する場合が一般的である。荷電制御剤はトナーに内添してもよい。その他、感光体を保護し、現像特性の劣化を防止して高品質の画像を得るため、高級脂肪酸、その他の金属塩を適宜添加してもよい。
【0030】
又、本発明の静電荷現像用トナーに配合する架橋型ポリエステル樹脂(A)及び架橋型ポリエーテルポリオール樹脂(B)のテトラヒドロフラン(以下、THFと略す)可溶分の分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下GPCと略す)によって測定されるクロマトグラムに於いて、架橋型ポリエステル樹脂(A)及び架橋型ポリエーテルポリオール樹脂(B)のピークトップ分子量(MP)が3000以上、数平均分子量(Mn)が2700であり、線状ポリエステル樹脂(C)のピークトップ分子量(MP)が7000以上、数平均分子量(Mn)が4500以上であり、重量平均分子量(Mw)が4500以上であり、重量平均分子量(Mw)との比、Mw/Mnが2≦Mw/Mn≦10であることを特徴とし、更には、静電荷現像用トナーとして、同様のGPC測定に於いて、分子量1000以下でピークを持たないことが望ましい。ここで言うクロマトグラムに於けるピークとは、ショルダーのようなカーブが上下の方向で反復の曲線が描けないものは除き、明らかにチャート曲線で山なり(上下の方向で反復の曲線が描ける)カーブのことを言う。
【0031】
更に又、本発明の静電荷現像用トナーに於ては、低温定着特性を得るために熱特性に於けるガラス転移点Tgは50〜70℃、フロー軟化点が105〜135℃が好ましく、なお、ガラス転移点Tgが50〜65℃、フロー軟化点が110〜130℃であることがより好ましい。この場合、トナーのガラス転移点Tgが50℃未満もしくはフロー軟化点が105℃未満では、主に高温側でのオフセットが発生しやすくなり、使用可能定着温度幅が狭くなる傾向にある。又、分子量を単に下げれば、現像槽内でトナークラックが発生しやすくなったり、耐久性が悪化する傾向があるので好ましくない。
逆にガラス転移点Tgが70℃を超えた場合又はフロー軟化点が135℃を超えた場合は、低温定着性が悪くなり易いので好ましくない。
なお、本発明でいうガラス転移点TgはDSC(示差走査熱量計)に於ける吸熱ピークのショルダー部の温度を言うものとする。
【0032】
一方、フロー軟化点は、島津製作所社製「高架式フローテスターCF−500」を使用し、下記の測定条件でプランジャーの降下開始温度から降下終了温度までの中点の温度を指すものとする。
【0033】
測定条件
・プランジャー;1cm2
・ダイの直径;1mm
・ダイの長さ;1mm
・荷重;20kgf
・予熱温度;50〜80℃
・予熱時間;300sec
・昇温速度;6℃/min
【0034】
本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも現像ローラーもしく現像フィルムと、層規制部材とによって構成される現像装置を用い、静電荷像を現像し、次いで転写材に転写を行う非磁性一成分現像方法に好適に使用される。
このような非磁性一成分現像方法の例としては、例えば特開平10−221949号公報に記載されている接触型の現像方法や、特開平9−160287号公報に記載されている非接触型の現像方法が挙げられる。
【0035】
【実施例】
以下に実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。なお、下記の例中の「部」は「重量部」を意味する。
【0036】
実施例1
以下の材料を計量した。
【0037】
以上の材料をヘンシェルミキサーで混合後、エクストルーダーで混練し、ジェットミルで微粉砕してトナー粒子を得た。
得られたトナー粒子100部に対して、日本アエロジル社製 商品名;NAX50(BET比表面積:50m2/g)0.5部、及びクラリアント社製 商品名;H−2000(BET比表面積:130m2/g)0.7部をヘンシェルミキサーで混合して、平均粒子径9.3μmの本発明の静電荷現像用トナーを得た。
【0038】
【0039】
実施例3
実施例1の架橋型ポリエーテルポリオール樹脂30部に代えて、以下の樹脂を使用した。
これ以外は、実施例1と同様にして平均粒子径が9.1μmの本発明による静電荷現像用トナーを得た。
【0040】
【0041】
【0042】
比較例1
実施例1の樹脂、全てを以下の樹脂に変更した以外は、全て、実施例1と同様にして、平均粒子径が8.8μmの比較用の静電荷現像用トナーを得た。
線状ポリエステル樹脂…(三井化学社製 商品名;XPE−1998
Mp…6300、Mn…3400、Mw/Mn=2.0) 100部
【0043】
比較例2
実施例1の樹脂の全てを以下の樹脂に変更した以外は、全て実施例1と同様にして、平均粒子径が8.8μmの比較用の静電荷現像用トナーを得た。
線状ポリエステル樹脂…(三井化学社製 商品名;XPE−2176)
Mp…6300、Mn…3200、Mw/Mn=2.0) 100部
【0044】
比較例3
実施例1の樹脂、全てを以下の樹脂に変更した以外は、全て、実施例1と同様にして、平均粒子径が8.8μmの比較用の静電荷現像用トナーを得た。
線状ポリエステル樹脂…(三井化学社製 商品名;XPE−2372
Mp…6300、Mn…3700、Mw/Mn=2.0) 100部
【0045】
以上の操作で得られた実施例及び比較例の静電荷現像用トナーに関して以下の諸特性を評価した。
(1)耐久性
表1にアルミニウム製の現像スリーブを有する非磁性一成分現像装置(松下電産社製 商品名;FP−C1A用現像器)の複写機に内蔵される現像装置における融着発生時間を示し、表2に、ウレタンゴム製の現像スリーブ(NEC社製 商品名;マルチライター2050用現像器)を有する非磁性一成分現像装置における融着発生時間を示す。
【0046】
いずれの試験に於ても現像器は、現像スリーブに当接するスポンジゴム製の攪拌部材を有する。層規制部材は、アルミニウム製スリーブの場合はウレタンゴム製であり、ウレタンゴム製スリーブの場合はりん青銅製を用いた。なお、現像器は、プリンター本体より取り外し、専用の駆動装置を用いてトナーを連続攪拌した。トナーの現像器への投入量は100gとした。融着時間は、攪拌開始から現像器を構成する現像スリーブ、層規制部材、攪拌部材のいずれかにトナーが融着するまでの時間を意味する。試験は4時間までとし、4時間を経過しても、上記の部材に何等トナー融着がない場合は4時間以上と記した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
以上の結果から、本発明の静電荷現像用トナーは良好な耐久性を有することが確認された。
【0050】
(2)定着性
次に定着試験の結果を表3に示す。定着性は、130〜220℃の間で10℃間隔で定着温度を変えて定着した2cm×2cmの正方形ソリッド部の擦り又は折り曲げ前後の反射濃度低下率(%)を測定し、この値を定着率(%)とした。定着装置(シャープ社製 商品名8300用定着装置)は上ローラーはアルミニウム製の円筒にフッ素樹脂(デュポン社商品名テフロン)コートを施したものであり、円筒内部にヒーターランプを挿入した構造を有するものを用いた。下ローラーは、シリコーンゴム製である。定着速度は200mm/secとした。上ローラーの表面温度は、130〜220℃の間で、連続可変にて調整が可能である。折り曲げ試験は、上記の定着装置を室温にて100mm/secで駆動し、ソリッド中央部を内側にして折り曲げた後、定着試験片を通し、得られた折れ目と直角方向に定着試験片を内側へ再度折り、同様にして定着ローラーを通した定着サンプルの折れ目がソリッド部内でクロスする部分を、擦り試験と同様にして擦ることにより行った。折り曲げ試験に於ては、定着率が60%となる定着温度を評価値とした。又、折り曲げ試験前後の反射濃度測定は、マクベス社製RD−914を用いた。定着性の試験結果は表3に示すとおりである。
【0051】
【表3】
【0052】
表3から明らかなとおり、本発明の静電荷現像用トナーは、60%の定着率を確保するための定着温度が比較例のトナーに比べて低く、従って良好な定着性を有することが実証された。
【0053】
(3)画像特性の変化
連続使用時における画像特性の変化について試験した結果を表4に示す。アルミニウム製現像スリーブを用いた現像器に関しては、リコー社製 ipsio2100の複写装置を用いた。ウレタンゴム製現像スリーブを用いた現像器に関しては、NEC社製マルチライター2150機のプリンターを用いた。画像濃度は、マクベス社製RD−914を用いて測定した。カブリは、ハンター白色度計を用い、撮像前後の非画像部の白色度差を評価値とした。その結果は表4に示すとおりである。
【0054】
【表4】
【0055】
表4の結果から、本発明の静電荷現像用トナーは、画像濃度の変化が殆どなく、カブリが少ない良好な画像特性を有することが実証された。
【0056】
【発明の効果】
本発明によれば連続使用に於て金属スリーブでも非金属スリーブでも融着発生には長時間を要し、耐久時間が飛躍的に長くなり、又、折り曲げ試験に於ける定着温度は従来のものより低く、カブリの少ないトナーを提供することができた。
Claims (7)
- 少なくとも、着色剤と荷電制御剤、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定されるクロマトグラムでピークトップ分子量(Mp)が3000以上、数平均分子量(Mn)が2700以上の架橋型ポリエステル樹脂(A)、及びテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定されるクロマトグラムでピークトップ分子量(Mp)が3000以上、数平均分子量(Mn)が2700以上の架橋型ポリエーテルポリオール樹脂(B)を用いたことを特徴とする静電荷現像用トナー。
- 少なくとも、着色剤と荷電制御剤、テトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定されるクロマトグラムでピークトップ分子量(Mp)が7000以上、数平均分子量(Mn)が4500以上であり、重量平均分子量Mwとの比、Mw/Mnが2≦Mw/Mn≦10の線状ポリエステル樹脂(C)、及びテトラヒドロフラン可溶分のゲルパーミエイションクロマトグラフィーによって測定されるクロマトグラムでピークトップ分子量(Mp)が3000以上、数平均分子量(Mn)が2700以上の架橋型ポリエーテルポリオール樹脂(B)を用いたことを特徴とする静電荷現像用トナー。
- BET比表面積が100m2/g以上の無機微粒子(a)と60m2/g以下の無機微粒子(b)との混合物を表面に担持してなることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナー。
- 湿式法により平均粒子径が0.7μm以下に粉砕された荷電制御剤が、トナー粒子表面に固着されてなることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナー。
- 現像スリーブが金属製である非磁性一成分現像装置に用いることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナー。
- 現像スリーブが金属製以外の弾性を有する物質からなる非磁性一成分現像装置に用いることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナー。
- トナーのガラス転移点は50〜70℃、フロー軟化点が105〜135℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電荷現像用トナー。
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