JP3590759B2 - 静電荷像現像用トナーおよび二成分現像剤 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真画像形成装置に使用されるトナー及び二成分現像剤に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来の技術による二成分現像剤用のトナーは、ポリエステル樹脂やスチレン／アクリル酸エステル共重合体等の結着樹脂を主成分とし、これにカーボンブラック等の着色剤とを溶融混練、粉砕、分級して作製されていた。
このうち結着樹脂がポリエステル樹脂の場合は、ポリエステル樹脂自体が強い負帯電性を有するために負帯電トナーとして用いた場合、多数枚連続コピー時や低温低湿環境下において徐々にトナーの摩擦帯電性が高くなり画像濃度が低下し画像に悪い影響を与えるという根本的な問題を有するものであった。
また、中速度（Ａ４横４０枚／分）以上の複写機等で使用する現像剤は現像槽内で強い攪拌力を常に受けているため経時で帯電量が変化し、結果として印字濃度の低下や地カブリの増加などの画像欠陥が生じ易いという問題を有するものであった。特に二成分現像剤では、多数枚の連続コピーの過程でキャリアのコート膜が剥がれやすく、また、トナーがキャリア表面に付着するスペントも生じやすいため、帯電量の変化を起し易く、多数枚の連続コピー後では、上記画像欠陥が顕著に発生した。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、特に中速度以上の複写機等で使用する場合において、トナーに高流動性を付与し、二成分現像剤でのキャリアの帯電性を抑え、これにより、帯電量を安定させ、環境依存性が少なく、地カブリを低減させ、多数枚連続コピーを通じて高品質な画像を得られるようにすることを目的とする。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、少なくともイソブチルトリメトキシシランとトリメチルシロキシケイ酸とで表面処理された酸化チタンを、結着樹脂を主成分とするトナー粒子表面に付着させること、及び、コア粒子の表面を、カーボンブラックを５〜２０重量％含有する樹脂コート剤で被覆したキャリアを併用することで、帯電量を安定させ、多数枚連続コピー後まで高品質な画像を維持できるトナー及び二成分現像剤を提供することを可能とした。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくともイソブチルトリメトキシシランとトリメチルシロキシケイ酸とで表面処理された酸化チタンを、結着樹脂を主成分とするトナー粒子表面に付着させて構成される。これによりトナーの流動性が向上し、帯電量をコントロールできる。当該酸化チタンの付着量は、トナー粒子に対し、０．０５〜０．８０重量％であることが好ましい。酸化チタンの添加量が０．０５重量％未満では環境変化によって帯電量が不安定である。０．８０重量％を越えると地カブリが多くなる。
【０００６】
酸化チタンの表面処理剤としては、一般的には、各種のシランカップリング剤類が使用されているが、本発明は、イソブチルトリメトキシシランとトリメチルシロキシケイ酸とを併用するところに特徴がある。この場合、両者を単独で使用したり、両者以外の他のシランカップリング剤で表面処理した酸化チタンをトナー粒子に付着させた場合は、高温高湿環境でトナーの帯電量が低下したり、低温低湿環境で上昇するなど帯電特性が不安定になることが判明した。従って少なくとも前記の２種のシランカップリング剤を併用することが必須である。また、酸化チタンの一次平均粒子径は、０．０５μｍ以下が好ましい。平均一次粒子径が０．０５μｍを越える酸化チタンではトナーの流動性を充分に向上させることができない。
【０００７】
また、二成分現像剤においては、本発明で特定する酸化チタンの使用により、キャリアの帯電量も安定する効果が出る。さらにキャリア表面に、カーボンブラックをコート剤に対し、５〜２０重量％含有する樹脂コート剤を使用することで、カーボンを含まないコート層に比べ表面の帯電性を低くし、膜剥がれが生じた際でも相対的に帯電量低下を少なくすることができる。キャリアのコート用樹脂にはフッ素系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、スチレンアクリル共重合樹脂、シリコン樹脂、シリコングラフト樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂等があるが、本発明は、アクリル系樹脂に対して効果が顕著である。
キャリアのコア粒子を被覆する樹脂に対して、カーボンが５重量％未満の場合、帯電量を低くする効果が少ない。カーボンが２０重量％を越えると帯電量が低く成りすぎ地カブリが増加する。
【０００８】
本発明の、キャリアのコア粒子としては、鉄粉、マグネタイト、フェライト等の磁性体を使用することができるが、特にマグネタイトが好ましい。フェライト粒子としては、ＭｅＯ―Ｆｅ _２ Ｏ _３ の混合焼結体が本発明に使用される。この場合のＭｅはＭｎ、Ｚｎ、Ｎｉ、Ｂａ、Ｃｏ、Ｃｕ、Ｌｉ、Ｍｇ、Ｃｒ、Ｃａ、Ｖ等であり、そのいずれか１種又は２種以上が用いられる。また、マグネタイト粒子としてはＦｅ _３ Ｏ _４ の焼結体が使用される
【０００９】
本発明におけるトナー粒子は、少なくとも結着樹脂、及び着色剤からなり、その他ポリプロピレンやポリエチレン等のオフセット防止剤、帯電制御剤、離型剤等を適宜含有せしめたものであり、溶融混練粉砕法や重合法等により製造するものである。
【００１０】
上記結着樹脂としては、スチレン、α−メチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸アルキルエステル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アルキルエステル等のメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、マレイン酸、マレイン酸エステル、塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニル単量体等を単独重合したもの、又は共重合したスチレン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等を挙げることができる。
【００１１】
本発明は、上記結着樹脂の内、ポリエステル樹脂の場合、ポリエステル樹脂自体が強い負帯電性を有するため、帯電性安定の効果が著しい。
前記のポリエステル樹脂は、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合により得られる。多価カルボン酸としては、例えばマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などの脂肪族二塩基酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸などの脂肪族不飽和二塩基酸、無水フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族二塩基酸及びこれらの低級アルキルエステルが用いられる。
また、多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、１，２−プロピレングリコール、１，３−プロピレングリコール、１，３−ブチレングリコール、１，４−ブチレングリコール、１，６−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、水添ビスフェノールＡ、ビスフェノールＡエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールＡプロピレンオキサイド付加物などのジオール、及びグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどのトリオールが用いられる。
ポリエステル樹脂の製造方法としては、公知の高温重縮合、溶液重縮合などが用いられる。
また、ポリエステル樹脂には、変性ポリエステル樹脂、例えばウレタン架橋ポリエステル樹脂も含む。
【００１２】
本発明のトナー粒子は、適宜、着色剤を含有する。
着色剤としては、トナー粒子に一般的に使用されているカーボンブラックや、キナクリドン顔料、アゾ系顔料、ナフトール系顔料、フタロシアニンブルー、ベンジジンイエロー、ベンズイミダゾロンアニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロライド、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガルおよびこれらの混合物、その他を挙げることができる。これらの着色剤は、十分な濃度の可視像が形成されるに十分な割合で含有されることが必要であり、通常トナー粒子中に０．１〜２０重量％、好ましくは１〜１０重量％添加される。
【００１３】
本発明のトナー粒子は、正帯電性の荷電制御剤及び負帯電性の荷電制御剤を適宜含有する。
上記正帯電性の荷電制御剤としては、例えば、オリエント化学工業社の商品名：ボントロンＰ−５１等の第４級アンモニウム塩、オリエント化学工業社の商品名：ボントロンＮ−０１、ボントロンＮ−０２、ボントロンＮ−０３、ボントロンＮ−０４、ボントロンＮ−０５、ボントロンＮ−０７、ボントロンＮ−０９、ボントロンＮ−１１等のアジン化合物、オリエント化学工業社の商品名：オイルブラックＢＳ等のニグロシン系染料、オリエント化学工業社の商品名：ボントロンＡＦＰ−Ｂ等のポリアニリン系樹脂を挙げることができる。
また、負帯電性の荷電制御剤としては、例えば、オリエント化学工業社の商品名：ボントロンＳ−３１、ボントロンＳ−３２、ボントロンＳ−３４等の含金属アゾ染料、オリエント化学工業社の商品名：ボントロンＥ−８２、ボントロンＥ−８４等のサリチル酸の金属錯体化合物、藤倉化成社製の商品名：ＦＣＡ―１００１―ＮＳ等の樹脂系荷電制御剤、日本カーリット社製の商品名：ＬＲ−１４７等のボロン化合物を挙げることができる。
【００１４】
前記正帯電性の荷電制御剤と負帯電性の荷電制御剤との組み合わせは、各々１種類とは限らず２種類以上を適宜要求する特性に応じて用いればよい。
トナー粒子中に含有させる正帯電性の荷電制御剤と負帯電性の荷電制御剤の合計量は、結着樹脂１００重量部に対して０．２〜５重量部であることが望ましい。０．２重量部未満では、トナーの摩擦帯電量分布が広くなるため、十分な画像濃度を得にくく、また地カブリの程度も不良になりやすい。一方、５重量部を越えた場合には、トナーの帯電量が高くなりすぎるため地カブリが多くなることがある。
本発明において、結着樹脂がポリエステル樹脂の場合、良好な帯電性を得るには、負帯電性の含金属アゾ染料を用いることが好ましい。
【００１５】
本発明のトナー粒子には、離型剤を併用してもよい。離型剤には、ステアリン酸等の長鎖脂肪酸およびそのエステル・アミド・金属塩、低分子量ポリプロピレンワックス、低分子量ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、カルナウバワックスやキャンデリラワックスなどの天然ワックスなどがある。
【００１６】
また、本発明のトナーの粒子の表面には、請求項１に記載の酸化チタン以外の外添剤を付着させてもよい。外添剤としては、シリカ、アルミナなどの流動性向上剤やマグネタイト、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウムなどの研磨剤等が挙げられる。
トナー粒子にこれら外添剤等を付着させるには、スーパーミキサーやヘンシェルミキサーなど、攪拌羽根を有する混合機を利用することで達成できる。
【００１７】
本発明のトナーは、結着樹脂、正帯電性の荷電制御剤、負帯電性の荷電制御剤、着色剤、その他の成分を攪拌混合した後、溶融混練し、冷却後に粉砕分級してトナー粒子を得、その後必要に応じて外添剤などを混合機を用いて付着させることにより製造することができる。また、重合法により得ることもできる。
【００１８】
二成分現像剤に請求項１のトナーを使用する場合は、前記のように、請求項６記載のキャリヤと併用することで、効果が助長される。
【００１９】
【実施例】
以下、実施例にしたがって本発明を説明するがこれに限定されるものではない。なお、以下に記す部とは重量部を示す。

上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合した後、二軸混練機で熱溶融混練後、ジェットミル粉砕機で微粉砕して乾式気流分級機で分級を行い、体積平均粒子径が８．５μｍのトナー粒子を得た。
【００２０】
＜実施例１＞
シリカ（日本アエロジル社製 Ｒ９７２）をトナー粒子の重量に対して０．７％、イソブチルトリメトキシシランとトリメチルシロキシケイ酸とで表面処理した平均一次粒子径が０．０２μｍの酸化チタンをトナー粒子の重量に対して０．２％となる割合にてヘンシェルミキサーに投入し、攪拌羽根の周速が３０ｍ／ｓの条件にて、５分間混合して実施例１のトナーＡを得た。
次にマグネタイトからなるコア粒子の表面に、カーボンブラックをコート剤に対し、１０重量％含有するアクリル系樹脂コート剤をコートしたキャリアＡを１００重量部とトナー４重量部とを混合して現像剤Ａを作製した。
【００２１】
＜実施例２＞
使用する酸化チタンの平均一次粒子径を０．０４μｍにした以外は実施例１と同様にして、トナーＢを得た。トナーＢとキャリアＡを実施例１と同様に混合して現像剤Ｂを得た。
【００２２】
＜実施例３＞
使用する酸化チタン量を０．１重量％にした以外は実施例１と同様にして、トナーＣを得た。トナーＣとキャリアＡを実施例１と同様に混合して現像剤Ｃを得た。
【００２３】
＜実施例４＞
使用する酸化チタン量を０．６重量％にした以外は実施例１と同様にして、トナーＤを得た。トナーＤとキャリアＡを実施例１と同様に混合して現像剤Ｄを得た。
【００２４】
＜実施例５＞
トナーと混合するキャリアに、マグネタイトからなるコア粒子の表面に、カーボンブラックをコート剤に対し５重量％含有するアクリル系樹脂コート剤をコートしたキャリアＢを使用した以外は実施例１と同様にして、現像剤Ｅを得た。
【００２５】
＜実施例６＞
トナーと混合するキャリアに、マグネタイトからなるコア粒子の表面に、カーボンブラックをコート剤に対し１５重量％含有するアクリル系樹脂コート剤をコートしたキャリアＣを使用した以外は実施例１と同様にして、現像剤Ｆを得た。
【００２６】
＜比較例１＞
いずれの酸化チタンも用いず、実施例１と同様にして、現像剤Ｇを得た。
＜比較例２＞
酸化チタンをイソブチルトリメトキシシランのみで表面処理した以外は実施例１と同様にして、現像剤Ｈを得た。
＜比較例３＞
酸化チタンをトリメチルシロキシケイ酸のみで表面処理した以外は実施例１と同様にして、現像剤Ｉを得た。
＜比較例４＞
トナーと混合するキャリアに、マグネタイトからなるコア粒子の表面に、カーボンブラックをコート剤に含まないアクリル系樹脂コート剤をコートしたキャリアＤを使用した以外は実施例１と同様にして、現像剤Ｊを得た。
＜比較例５＞
トナーと混合するキャリアに、マグネタイトからなるコア粒子の表面に、カーボンブラックをコート剤に対し３０重量％含有するアクリル系樹脂コート剤をコートしたキャリアＥを使用した以外は実施例１と同様にして、現像剤Ｋを得た。
【００２７】
上記実施例及び比較例の現像剤について下記の試験を実施した。
実施例及び比較例の現像剤を、市販の印刷速度４０枚／分（Ａ４横）の負帯電性２成分方式複写機に入れ、印字率５％の原稿で、画像濃度、地カブリ、帯電量の評価を行った。また、連続コピーをし、１５０，０００枚後の画像濃度、地カブリ、帯電量を測定した。環境依存性については、１０℃，２０％ＲＨと３０℃，８０％の環境下で上記と同様の評価を実施した。
摩擦帯電量（Ｑ／Ｍ）は、トナーの摩擦帯電量を東芝ケミカル社製のブローオフ摩擦帯電量測定装置で測定した。
画像濃度（ＩＤ）はマクベス社製の反射濃度計ＲＤ−９１４を使用して測定した。
地カブリ（ＢＧ）は日本電色工業社製のカラーメーターＺＥ２０００で測定した。
実施例の内容一覧を表１に、特性評価結果一覧を表２に示す。
表２の特性評価結果から明らかなように、本発明のトナーは、帯電量が安定し、環境依存性少なく、地カブリを低減させ、１５０，０００枚の連続コピーを通じて高品質な画像を与えることが確認された。
【００２８】
【表１】

【００２９】
【表２】

【００３０】
【発明の効果】
トナーに特定の表面処理を施した酸化チタンを使用することにより１５０，０００枚の連続コピー終了時まで高品質な画像を維持できる。
二成分現像剤の場合は、さらに特定の樹脂コート剤をキャリアのコア粒子表面に使用することで、上記の効果が助長される。

Claims (8)

1. 少なくともイソブチルトリメトキシシランとトリメチルシロキシケイ酸とで表面処理された酸化チタンが、結着樹脂を主成分とするトナー粒子表面に付着してなることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
2. 酸化チタンの付着量がトナー粒子に対し０．０５〜０．８０重量％である請求項１記載の静電荷像現像用トナー。
3. 酸化チタンの平均１次粒子径が０．０５μｍ以下である請求項１記載の静電荷像現像用トナー。
4. 結着樹脂が、ポリエステル樹脂である請求項１記載の静電荷像現像用トナー。
5. 請求項１記載のトナーが、負帯電であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
6. 請求項１記載のトナーと、コア粒子表面が、カーボンブラックを５〜２０重量％含有する樹脂コート剤で被覆されたキャリアとから成ることを特徴とする二成分現像剤。
7. 前記樹脂がアクリル系樹脂である請求項６記載の二成分現像剤。
8. 前記コア粒子がマグネタイトである請求項６記載の二成分現像剤。