JP3590657B2 - ロール曲げ装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ロール曲げ装置、とくに、上ロールとこれと平行に設けた下ロールとによりワークとしての金属板を挟圧して円弧状に曲げる装置に関するものである。
【0002】
【従来技術及び課題】
ウレタン層を外表面に形成した上ロールと下ロールのみからなるロール曲げ装置や、金属製の上ロールの下方に下ロールを設けてこの両側に一対のサイドロールを設けた4本ロール式のロール曲げ装置が、金属板を円弧状または円筒状に曲げる為のロール曲げ装置として利用される。
【0003】
この装置を用いて金属板(以下、ワークという)を曲げるとき、ワークの幅(ロールの軸線方向の長さ)が長い場合には、曲げられた製品の両端部の曲率と中央部の曲率とが必ずしも一致しない。
これは、共に円柱状に形成された上ロールと下ロールによってワークをクランプして曲げ加工するとき、前記クランプ圧力に応じて各ロールには曲げ応力が作用し、各ロール相互が中央部で離れるように撓む。このため、これらロールによってクランプされた部分の加圧力がワーク両端部と中央部とで相違するからである。
【0004】
かかる不都合を解消するために、図1−イのように、前記撓みを、ワークの板厚等に基づいて予め予測して、上ロール(1) 及び下ロール(2) を、両端部の直径に対して中央部の直径が大きくなるような太鼓形にする方法が知られている。
この場合には、上ロール(1) 及び下ロール(2) が撓むと、図1−ロのように、ワーク(W) をクランプする母線がほぼ平行になって、上記した加圧力の不均一が解消されて、製品の曲げ曲率が均一化される。
【0005】
ところが、このロール曲げ装置では、ワーク(W) の板厚や板幅、或は、曲げ曲率が変わると、これに合わせて、少なくとも上ロール(1) を別種の太鼓形のものに変更する必要がある。通常、この種の装置によって曲げ加工する場合、板厚や曲げ曲率に応じて上ロール(1) と下ロール(2) によるワーク(W) のクランプ力を変えなければならない。すると、上ロール(1) 及び下ロール(2) の撓みも変わることとなるから、これに応じた太鼓形にしなければならないからである。
【0006】
一方、同様な課題を解決するものとして、図2に示すように、下ロール(2) の中央下方にこれを上方に撓ませる為の支持装置(3) を装備させたものが、実公昭61−16891号として提案されている。このものでは、下ロール(2) の中央部が前記支持装置(3) によって強制的に押し上げられる。従って、この下ロール(2) が上方に撓むこととなって、ワーク(W) に対する上ロール(1) と下ロール(2) のクランプ力が均一化される。この結果、ワーク(W) に対する中央部での加圧不足が解消されて、上記図1の装置と同様の効果を有するものとなる。
【0007】
また、ワーク(W) の板厚や曲げ曲率が変わったとしても支持装置(3) による押上力を調節することによってこの板厚に適合した撓み量を設定できるから、ある程度の板厚の変更に対応できる。
ところが、このものでは、支持装置(3) によって下ロール(2) を持ち上げて、撓んでいる上ロール(1) に沿った形状に下ロール(2) を強制的に撓ませる必要があることから、図1の場合に比べて、下ロール(2) の撓みが大きくなり、この下ロール(2) の両端の軸受部に大きな負担がかかる。この結果、下ロール(2) の軸受部の強度不足が問題となり、この軸受部の耐久性が不足する。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、『上ロール(1) と下ロール(2) との間にワーク(W) をクランプして、このワーク(W) を円弧状又は円筒状に曲げるロール曲げ装置』において、ワーク(W) の板厚が変わっても各ロールを変更することなく、製品各部を均一な曲率に曲げられる様にするとともに、各ロールの軸受部の耐久性を向上させられるようにすることをその課題とする。
【0009】
【技術的手段】
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、『上ロール(1) は、両端の直径に比べて中央部の直径が大きな太鼓形とし、円柱状の下ロール(2) の中央部を上方に押上げると共に押上げ高さを調節可能にした支持装置(3) を設けた』ことである。(図3参照)
【0010】
【作用】
上記技術的手段を採用するものでは、上ロール(1) と下ロール(2) とによってワーク(W) をクランプしたとき、ワーク(W) の板厚や曲げ曲率によっては上ロール(1) の中央が上方に撓む。ところが、この上ロール(1) は太鼓型に形成されているから、ワーク(W) と接触する母線は略水平に近いものとなる。一方、下ロール(2) は支持装置(3) によってその中央部が上方に持ち上げられるから、ワーク(W) と接触する下ロール(2) の母線も略水平になる。
【0011】
これによって、ワーク(W) に作用する曲げ加圧力がほぼ均一になる。
また、下方の下ロール(2) はほぼ水平になるように支持装置(3) によって支持されるものであるから、この下ロール(2) の両端の軸受部には大きな曲げ応力が作用しない。
なお、ワーク(W) の板厚や曲げ曲率等が変わると、図4のように、上ロール(1) と下ロール(2) とのクランプ力が変わる。場合によっては、このクランプ力が大きくなって上ロール(1) の下方の母線が上方に撓むこともあるが、この場合には、下ロール(2) が上方に撓むように、支持装置(3) による支持位置が調節される。
【0012】
これにより、上記した図2に示す従来のものと同様にして、ワーク(W) のクランプ力が均一化される。
この場合、下ロール(2) が上方に撓むが、この場合の撓みは同じ板厚のワーク(W) を図2に示す装置によって曲げる場合に比べて少なくなる。上ロール(1) の下方の母線の上方への撓みが図2の場合に比べて少なくなるからである。
【0013】
【効果】
ワーク(W) の板厚が変わっても、支持装置(3) による下ロール(2) の中央の支持位置を調節するだけでワーク(W) に対するクランプ圧を均一化できるから、使い勝手が良い。
また、下ロール(2) の撓みを少なくできるからこれの軸受部の耐久性が向上する。
【0014】
[その他]
薄板の曲げを可能にするには、請求項3に定義するように、『下ロール(2) の剛性を上ロール(1) と対接させることにより下方に撓む程度の剛性に設定し、支持ロール(32)(32)の支持位置を前記下ロール(2) から下方に離れた位置にまで降下可能にした』構成とする。
【0015】
このものでは、支持装置(3) が下ロール(2) を支持しない状態にセットして、上ロール(1) と下ロール(2) とを対接すると、図5のように、下ロール(2) が上ロール(1) の母線に沿うように下方に撓むこととなり、薄板の曲げ加工が可能となる。この場合、薄板から厚板、及び、板幅の大きなもの、更には、曲げ曲率の大きなものまで種々の範囲の曲げ加工が出来ることとなる。
【0016】
【実施例】
次に、上記した本発明の実施例を図面に従って詳述する。
図6〜図14に示す実施例は、胴部の母線が緩やかな円弧状に形成されて、全体として太鼓形になった上ロール(1) と、この下方に設けた下ロール(2) と、前記下ロール(2) の側方に設けた一対のサイドロール(4)(4)からなる4本ロール式のロール曲げ装置に本発明を実施したものである。また、この装置では、下ロール(2) の支持位置が固定され、これと上ロール(1) との間隔は、この上ロール(1) の昇降によって調節される構成であり、サイドロール(4)(4)は前記上ロール(1) との関係で決定された固定の支点を中心にして一定範囲で往復回動する構成である。
【0017】
以下、各部について詳述する。
[上ロール(1) と下ロール(2) の支持構造]
下ロール(2) の両端は、図6、7のように、ロール曲げ装置のフレームの左右の両端部に設けた側部フレーム(61)(61)の上部によって回転自在に支持されている。
【0018】
この下ロール(2) に対して上ロール(1) を昇降自在に支持するため、前記側部フレーム(61)(61)には、支持体(60)が昇降自在に内蔵され、これの上部にて軸支した主腕(11)と補助腕(12)とによって前記上ロール(1) の両端が回転自在に支持される。
側部フレーム(61)に対して支持体(60)を昇降自在とするため、図10のように、側部フレーム(61)の中央下部に形成した矩形の開口部(612) 内に矩形のブロックからなる前記支持体(60)が収容されて、その両方の側辺部が前記開口部(612) の側辺に対して上下移動可能に嵌合している。
【0019】
また、この支持体(60)を昇降駆動するために、図11のように、側部フレーム(61)の下端部から直立させ且回転自在としたネジ軸(63)が前記支持体(60)に螺合している。そして、図6のように、左右の側部フレームの各支持体(60)にネジ嵌合するネジ軸(63)(63)相互を共通の第1駆動軸(64)と傘歯車機構(630) を介して伝動させている。前記第1駆動軸(64)は第1駆動源(640) によって設定値に応じて回転駆動される。従って、支持体(60)(60)は前記第1駆動源によって回転される第1駆動軸(64)の回転に応じて同期して昇降する。
【0020】
一方の主腕(11)は、図6〜9のように、全体としてJ字状に形成されて右側の側部フレーム(61)に内蔵される支持体(60)の断面中心に設けた軸支部(112) により外側に回動出来るように支持されている。この主腕(11)の上端部右端に上ロール(1) の駆動モータ(113) を具備させ、上端部左端で側部フレーム(61)の真上に位置するように設けた軸受部(111) によって前記上ロール(1) の前記駆動モータ(113) との連結部近傍を回転自在に支持している。
【0021】
上記支持体(60)は、側部フレーム(61)の断面の中心に位置するから、この主腕(11)の軸支部(112) と軸受部(111) を結ぶ線が側部フレーム(61)の断面の中心線上に位置することとなる。
また、前記右側の側部フレーム(61)の高さは、主腕(11)の上端よりも高く設定され、主腕(11)の上辺部の前方端部は、前記側部フレーム(61)の上部の一対の腕フレーム(610) (610) 間を挿通する。そして、前記主腕(11)の前後の両側面は前記腕フレーム(610) (610) の対向内面に形成したメタル部材(611) を介して摺動自在に接触している。従って、主腕(11)は側部フレーム(61)の上部にて挟持された態様にあり、これにより、主腕(11)の上部の前後方向の移動が阻止されている。つまり、上ロール(1) の基端部の前後方向に於ける保持強度が向上したものとなる。
【0022】
さらに、主腕(11)の上部には、偏心軸(13)を設けた回転軸(14)と、前記偏心軸(13)に嵌合する軸受リング(15)と、前記回転軸(14)を回転駆動する駆動装置(16)とからなるカム機構が装備されており、前記軸受リング(15)(15)が側部フレーム(61)における主腕(11)の収容部の外面に設けたレール(17)に転がり自在に対接する。従って、駆動装置(16)によって回転軸(14)が回転駆動されると、このカム機構により主腕(11)が一定範囲往復回動される。
【0023】
従って、補助腕(12)が後述の開放状態になった後に、前記揺動によって主腕(11)が直立姿勢から外側に倒れると、図9のように、上ロール(1) の先端部が上方に持ち上げられて下ロール(2) との間隔が開くこととなる。
他方の左側の支持体(60)には、図6及び図10,11のように、これの外面に設けた軸支部(122) により補助腕(12)が回動自在に支持されている。この補助腕(12)は、一対の側板(123)(123)の上端間に上ロール(1) の先端を支持する為の上記軸受部(121) を架設固定したものである。前記軸支部(122) の構成は、前記側板(123)(123)の下端部に架設した軸受け筒に、上記支持体(60)の断面中心に設けた軸部が貫通する態様である。
【0024】
また、前記支持体(60)には油圧シリンダー(62)が揺動自在に取り付けられており、その出力軸が補助腕(12)の下端の軸支部(122) の近傍外側に回動自在に連結されている。従って、この油圧シリンダー(62)を作動させてその出力軸を進出させると補助腕(12)が直立して先端の軸受部(121) が上ロール(1) の先端部に嵌合した支持姿勢となり、この状態から前記出力軸を後退させると補助腕(12)が外側に倒れて上ロール(1) と側部フレーム(61)との間が開放された開放姿勢となる。なお、上ロール(1) の先端部は側部フレーム(61)の真上に位置する。従って、補助腕(12)の前記支持姿勢(直立姿勢)においては、前記軸受部(121) が側部フレーム(61)の真上に位置する。
【0025】
このものでは、軸支部(122) は支持体(60)の断面中心に位置することから、又、この支持体(60)は側部フレーム(61)の断面中心にあることから、補助腕(12)の軸支部(122) と軸受部(121) とを結ぶ線は側部フレーム(61)の断面中心線上に位置するものとなる。
[サイドロール(4) について]
サイドロール(4) は、下ロール(2) の側方にて、上ロール(1) に対して斜め下方から接離自在に設けられる。
【0026】
このため、各サイドロール(4) の両端部は、図6、図10のように、側部フレーム(61)内に設けた支持腕(65)によって揺動自在に支持される。前記支持腕(65)は、側部フレーム(61)における下ロール(2) の側方下方を支点(650) とし、その先端側周縁部が歯車部(66)となっている。
前記歯車部(66)は第2駆動軸(67)に伝動させた歯車(671) が噛み合っている。前記第2駆動軸(67)は第2駆動源(670) の出力軸に連結されている。従って、前記第2駆動軸(67)の回転によって各サイドロール(4) の両端を支持する前記支持腕(65)(65)が同期的に揺動されて、円弧の方向に揺動する。
【0027】
サイドロール(4) の中程には、図6、図12のように、その下方から一対のバックアップロール(41)(41)が対接する。このバックアップロール(41)(41)は一対の腕(42)(42)によって往復回転自在に支持され、この腕(42)(42)は前記支持腕(65)の支点と同軸で且中央の一対の第1フレーム板(68)(68)間に架設した支点軸(69)によって往復回動自在に支持されている。また、前記腕(42)の先端部には歯車部(43)が設けられて、これに前記第2駆動軸(67)に設けた歯車列(673) がかみ合っている。
【0028】
前記腕(42)、第2駆動軸(67)、及び、これらを伝動する歯車機構がバックアップロール(41)(41)の支持機構(400) となる。前記第2駆動軸(67)は第2駆動源(670) によって駆動される。この駆動によりバックアップロール(41)(41)の高さが調節される。
従って、この腕(42)は上記支持腕(65)と同期的に同じ角度だけ回動されることとなり、上ロール(1) に対してサイドロール(4) が接離する様に回動されたとしても、このサイドロール(4) の中程は常時前記バックアップロール(41)(41)に対接した状態に支持される。
【0029】
[下ロール(2) について]
下ロール(2) は、上記したように、両端部が側部フレーム(61)(61)によって回転自在に支持される。また、その中央部は、図6,7のように、上記した各第1フレーム板(68)の外側に設けた支持装置(3)(3)によって下方から支持されている。
【0030】
前記支持装置(3) は、上端に設けた一対の支持ロール(32)(32)と、これらを回転自在に支持する軸受台(33)と、この軸受台(33)を昇降駆動するための昇降装置(300) とからなる。前記軸受台(33)は、具体的には、図13のように、各フレーム板(68)とこれの外側の第2フレーム板(31)からなる支持フレーム内で上下方向にのみ移動自在に収容される。そして、前記昇降装置(300) は、同図及び図14に示すように、前記軸受台(33)から下方に突出させた一対の昇降軸(36)(36)と、この昇降軸の下端に設けた当て板(361) と、これにスリーブリング(341) を介して対接する様にした円盤状の偏心カム部(34)と、この偏心カム部を具備する第3駆動軸(35)とからなる。前記昇降軸(36)(36)は、前記フレーム板(68)と第2フレーム板(31)の間に架設された上下一対の横板(681)(681)を貫通している。又、前記第3駆動軸(35)は両方の支持装置(3)(3)の昇降装置(300) と伝動する。
【0031】
また、前記第3駆動軸(35)は油圧モータ(37)によって回転駆動されるとともに、昇降軸(36)の下死点位置からの上昇寸法が距離計(38)によって測定される。この距離計(38)は、前記昇降軸(36)に対接させたローラの回転により前記下死点位置からの上昇距離を測定するものである。前記距離計(38)の測定値と中央支持力設定器(391) から入力される設定値に応じて前記油圧モータ (37) の作動角度を制御するための制御装置(39)が設けられている。
【0032】
従って、支持装置(3) の上昇ストロークの設定値が入力されて油圧モータ(37)が作動すると、前記制御装置(39)によってこの油圧モータ(37)の作動量が制御されて、距離計(38)による計測値が前記設定値になると、油圧モータ(37)の駆動圧力はその状態に維持されて、第3駆動軸(35)の回転は停止され支持ロール(32)(32)の位置が固定される。これにより、下ロール(2) の中央部が上方に撓んだ状態に維持されるものとなる。
【0033】
[ロール曲げの実際]
曲げ加工に際しては、先ず、第1駆動軸(64)を駆動するための第1駆動源(640) を駆動させて、上ロール(1) を最上昇位置にセットしておく。そしてワーク(W) の板厚、曲げ曲率に応じて、下ロール(2) の中央を上方に撓ませる値、つまり、中央支持力設定器(391) からの出力値を設定する。
【0034】
この設定値を入力すると、制御装置(39)によって支持ロール(32)(32)の高さが設定されることとなり、下ロール(2) の中央部が適正度合い上方に撓んだ状態となる。
そして、上ロール(1) を降下駆動させてワーク(W) の先端を上ロール(1) と下ロール(2) との間にクランプさせる。上ロール(1) は太鼓型に形成されていることから、また、上ロール(1) と下ロール(2) の中央部の撓みを補正するための下ロール(2) の中央部における支持装置(3) からの支持圧力(昇降装置(300) によって持ち上げられた支持ロール(32)(32)の高さ)が予め適正に設定されているから、前記クランプ状態でのワーク(W) のクランプ圧力が一定となる。
【0035】
とくに、この実施例の場合には、バックアップロール(41)(41)とこれの支持機構(400) によってサイドロール(4) の中央部の撓みも防止出来るから、このサイドロール(4) とワーク(W) との圧接圧力もその長手方向において均一化される。この後、図15のように、下ロール(2) の正面側のサイドロール(4) を曲げ曲率に合わせて上ロール(1) 側に接近させる。このとき、ワーク(W) の端曲げができる。この状態で上ロール(1) を回転駆動させると、ワーク(W) の先端側が設定曲率に曲げられる。そして、曲げ加工の施されたワーク(W) の先端部が背面側のサイドロール(4) に達するまでの間に、図16のように、背面側のサイドロール(4) を上ロール(1) 側に接近させる。すると、この背面側のサイドロール(4) に前記ワーク(W) の先端部が達した後は、上ロール(1) と下ロール(2) とによってワーク(W) がクランプされ、回転方向の前後が前記一対のサイドロール(4)(4)に対接された態様で曲げ加工が進行する。
【0036】
ワーク(W) の後端部が上ロール(1) と下ロール(2) との間に一致すると一旦上ロール(1) の回転を停止して、図17のように、正面側のサイドロール(4) を上ロール(1) から離すと共に、背面側のサイドロール(4) を上ロール(1) 側に接近させて、ワーク(W) の後端の端曲げを行う。この場合にも、バックアップロール(41)(41)と支持機構(400) による上記効果が確保出来る。
【0037】
これにより、ワーク(W) の全体が曲げ加工されたものとなる。
製品が断面円弧状の場合で、両端縁の間隔が上ロール(1) の直径よりも大きい場合には、曲げ加工終了後そのままで取り出せる。
円筒状製品の場合には、上ロール(1) を最上昇位置に持ち上げ、油圧シリンダー(62)を作動させてその出力軸を後退させることにより補助腕(12)を外側に倒して、左側の側部フレーム(61)と上ロール(1) の先端との間を開放させる。これによって、円筒状製品が前記開放部から引き出せる。
【0038】
なお、前記上ロール(1) と下ロール(2) との間隔が比較的小さいことから、大きな円筒状製品の場合、前記開放部からは引き出しにくいが、この実施例の装置では、主腕(11)と側部フレーム(61)との間に介装したカム機構及びこれの駆動機構とによって、図9の破線で示すように、主腕(11)がわずかに傾斜できる。これにより上ロール(1) の先端部と下ロール(2) との間隔が大きく開くこととなるから、前記円筒状製品の取り出しが容易となる。
【0039】
通常、ロール曲げ装置では、全体の剛性から、最大曲げ能力(曲げ加工可能な板厚と曲率)が定まる。そこで、上ロール(1) の中央部と両端部の直径の差(D)は、上ロール(1) の中央の最大撓みに一致させてもよいが、下ロール(2) を上方に撓ませられることから、前記直径の差(D)は、前記最大撓みの約半分にした場合、良好な結果が得られた。具体的には、各条件での曲げ加工精度が良く、上ロール(1) 及び下ロール(2) に過度な変形が生じないものとなった。
【0040】
なお、前記下ロール(2) の剛性を上ロール(1) と対接させることにより下方に撓む程度の剛性に設定し、支持ロール(32)(32)の支持位置を調節する為の支持機構によるバックアップロール(41)(41)を前記下ロール(2) から下方に離れた位置にまで降下可能にしたものとした場合、上ロール(1) と下ロール(2) とを対接させると、前記下ロール(2) が上ロール(1) の母線に沿って下方に撓むこととなり、薄板のワーク(W) の曲げ加工も可能となる。(図5参照)
上記実施例は4本ロールを例に説明したが、本発明は、2本ロールにも利用できる。
【0041】
支持装置(3) は、他の方式の支持装置、例えば、油圧シリンダでも良い。
距離計(38)からの検知信号を入力させた制御装置(39)を使用しないでも、予め設定された支持装置(3) による支持高さまでに相当する動作量を演算し、この演算値に応じ量の動作を実行させる形式の、所謂フィードフォワード制御であってもよい。距離計(38)は支持装置(3) の上昇ストロークを測定できる限り他の形式の距離計でも良い。
【0042】
また、支持装置(3) の昇降軸(36)の昇降機構としては、第3駆動軸(35)によって回転駆動される送りネジ機構であっても良い。また、実公昭61−16891号に開示されるような、クランク機構、ネジ機構及び油圧シリンダーを組み合わせた支持装置を利用してもよい。
尚、上記した実施例のロール曲げ装置は、長尺大型のロール曲げ装置としてあるから、曲げ加工時には、装置のフレームには、上ロール(1) 及び下ロール(2) の撓みに応じた大きな曲げ応力が加わる。この曲げ応力に対する剛性を高める為に、この実施例では、図18、19に示すように、側部フレーム(61)(61)の前後両端相互をつなぐ補強用の板フレーム(7) (7) が設けられている。そして、この板フレームは中央部の高さが高くなった全体として山形形状に設定され、中央頂部(71)は、前後方向に設けた一対の第1フレーム板(68)(68)、及び、これらの外側に配設した第2フレーム板(31)(31)の前後両端部に固着され、両端部は側部フレーム(61)(61)の前後両端下部に固着されている。
【0043】
これにより、曲げ加工時にフレームの両端に作用する上向きの外力による曲げに対して、十分な剛性を発揮するものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来例の説明図
【図2】他の従来例の説明図
【図3】本発明の原理説明図
【図4】下ロール(2) を上方に撓ませた状態での曲げ加工の原理説明図
【図5】下ロールの剛性を小さくした場合で薄板を曲げる場合の原理説明図
【図6】本発明の実施例の全体の正面図
【図7】その平面図
【図8】主腕(11)の平面図
【図9】主腕(11)の作動説明図
【図10】側部フレーム(61)の側面図
【図11】支持体(60)の昇降機構の説明図
【図12】サイドロール(4) の中央支持機構の説明図
【図13】支持装置(3) 及びバックアップロール部の正面図
【図14】支持装置(3) の支持高さ調節機構の断面図
【図15】曲げ加工工程初期における端曲げ工程の説明図
【図16】曲げ加工の中間工程の説明図
【図17】曲げ加工の最終工程の説明図
【図18】板フレーム(7) の配設態様を示す正面図
【図19】板フレーム(7) の配設態様を示す平面図
【符号の説明】
(1) ・・・上ロール
(2) ・・・下ロール
(W) ・・・ワーク
(3) ・・・支持装置
(4) ・・・サイドロール
(32)・・・支持ロール
(41)・・・バックアップロール
(400) ・・・支持機構

Claims (9)

  1. 上ロール(1)と下ロール(2)との間にワーク(W)をクランプして、このワーク(W)を円弧状又は円筒状に曲げるロール曲げ装置において、上ロール(1)は、両端の直径に比べて中央部の直径が大きな太鼓形とし、円柱状の下ロール(2)の中央部を上方に押上げると共に押上げ高さを調節可能にした支持装置(3)を設けたロール曲げ装置。
  2. 支持装置(3)の上端に下ロール(2)に対して転がり接触する支持ロール(32)(32)を設けた請求項1に記載のロール曲げ装置。
  3. 下ロール(2)の剛性を上ロール(1)と対接させることにより下方に撓む程度の剛性に設定し、支持ロール(32)(32)の支持位置を前記下ロール(2)から下方に離れた位置にまで降下可能にした請求項2に記載のロール曲げ装置。
  4. 上ロール(1)の母線の形状を略円弧状にした請求項1〜3の何れかに記載のロール曲げ装置。
  5. 上ロール(1)の中央部の直径と両端の直径との差(D0)を最大曲げのときの上ロール(1)の中央部の撓みの半分に設定した請求項1〜4の何れかに記載のロール曲げ装置。
  6. 下ロール(2)の中央部の下方に間隔を開けて一対の支持装置(3)(3)を設けた請求項1〜5の何れかに記載のロール曲げ装置。
  7. 下ロール(2)の側方に一対のサイドロール(4)(4)を設け、これらサイドロール(4)(4)と上ロール(1)との間隔を個別に調節できるようにし、各サイドロール (4)(4) を個別に上ロール (1) に接近させてワーク (W) の先端と後端の端曲げを行えるようにした請求項1〜6の何れかに記載のロール曲げ装置。
  8. 各サイドロール(4)の中程に対して下方から対接するバックアップロール(41)(41)を設けると共に、これらバックアップロール(41)(41)を支持する支持機構(400)を設け、この支持機構によるバックアップロール(41)(41)の支持高さを調節可能にした請求項7に記載のロール曲げ装置。
  9. 支持装置(3)による下ロール(2)の支持高さを調節する為の駆動装置と、前記支持高さを検知する検知手段と、前記支持高さを設定する設定手段とを設け、前記駆動装置を作動させた時検知手段による検知高さが前記設定手段からの設定値になった時に駆動装置を停止させる制御装置を設けた請求項1〜8の何れかに記載のロール曲げ装置。
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