JP3589534B2 - 結束紐 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レタス、アスパラガス、ニラ、ネギ、ゴボウ,ほうれん草等の野菜の結束紐、或いは、パン、工業部品等の内容物を収納した袋の開口部を締める結束紐に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる結束紐(1)としては、無機充填剤含有ポリプロピレン1軸延伸フィルム/ポリプロピレン2軸延伸フィルム/無機充填剤含有ポリプロピレン1軸延伸フィルムの積層構造よりなる合成紙(特公昭46−40794号公報)の表面に野菜名、製造元、バーコード等を印刷(2)し、更に印刷面とは反対の側にブチルゴム、アクリル系樹脂等の感圧粘着剤層(5)及び剥離紙(6)を設けたシートにノッチ(4)を設けた結束紐(1)(図1及び図2参照)、あるいは透明なポリプロピレン無延伸フィルム(CPP)の表面に白ベタ印刷し、更にこの白ベタ印刷面に野菜名、製造元、バーコード等を印刷し、該印刷面とは反対側に感圧粘着剤層を設けロール巻きしたシートに、各結束紐毎にミシン目(4’)を設け、更に結束紐一本当たりの巾に小割した結束紐(1)(図3、図4参照)が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
合成紙を基材とする結束紐は、ノッチの加工のみで済み、CPPのミシン目加工よりは加工費用が安く済む点、および引き裂き強度が低い利点を有する。
しかし、合成紙は、1軸/2軸/1軸の積層構造物で原反幅が2〜3.5mであるため、ノッチ部より切り裂いた場合には、合成紙製造時の合成紙原反の中央部分(配向の分布度合が均一)を用いた結束紐のときは均一幅に切り裂くことができるが、合成紙原反の端部の部分(合成紙の中央部より端部に向って延伸配向の方向が湾曲している)を用いたときは、引裂方向が湾曲しているので結束紐の切裂幅が均一とならなくなるため、端部の合成紙を結束紐用の原反として用いることができないので商品ロス率が50%となり、結束紐のコストが高くなる欠点がある。
本発明は、製品ロス率が少なく、かつ、より小さな引裂力で、かつ、直線的に一定幅で引き裂ける結束紐の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、結晶性ポリオレフィン(A1 )70〜99重量%と無機微細粉末(A2 )30〜1重量%とを配合した樹脂組成物を基材とする芯材層(A)の少なくとも片面に、無機微細粉末(B2 )35〜60重量%および結晶性ポリオレフィン(B1 )65〜40重量%とを含有する樹脂組成物よりなる表面層(B)が積層された多層フイルムを、結晶性ポリオレフィン(A1 、B1 )の融点より低い温度で一軸方向に3〜10倍延伸して、各層に独立した微細なボイドを多数形成させて得た不透明度(JIS P−8138)が70%以上であり、延伸方向のエンメンドルフ引裂強度(JIS K−7128)が5〜15gである一軸延伸多層フィルムの表面層(B)の表面に製造元、品名、バーコード等を印刷し、この印刷面とは反対側の一軸延伸多層フィルムの裏面に感圧性粘着剤層(5)を設けた構造の結束紐を提供するものである。
【0005】
【作用】
一軸延伸多層フィルムの延伸方向に沿ってノッチが設けられているので、結束紐1、1に力がかけられると、ノッチに集中した応力が多層フィルムの延伸配向方向に集中してかかるので、従来の合成紙を基材とした結束紐よりもより小さい力で直線方向に一定幅で各結束紐を切り裂くことができる。
従来の合成紙を素材とする結束紐においては、基材層が二軸延伸フィルムであるため、表裏層の一軸延伸フィルムの延伸方向(横方向)に設けられたノッチにかかる応力は基材層の二軸延伸フィルムの縦方向の延伸配向の抗張力の抵抗を受けるので引裂強度が本発明の結束紐よりも大きくなるし、又、結束紐の引裂にかける応力が高すぎる場合には、表裏層又は裏面層が基材層より剥がれることもある。
【0006】
【発明の具体的説明】
(I)一軸延伸多層フイルム
本発明の一軸延伸多層フイルムは、結晶性ポリオレフィン70〜99重量%と無機微細粉末30〜1重量%とを配合した樹脂組成物を基材とする芯材層(A)の少なくとも片面に、無機微細粉末を35〜60重量%および結晶性ポリオレフィン65〜40重量%を含有する樹脂組成物よりなる表面層(B)が積層された多層フイルムを、結晶性ポリオレフィンの融点より低い温度で一軸方向に3〜10倍延伸して、各層に独立した微細なボイドを多数形成させて得た、延伸方向の引裂強度が5〜15gの、一軸延伸多層フイルムである。
【0007】
(イ)芯材層(A):
前記一軸延伸多層フイルムの芯材層(A)に用いられる結晶性ポリオレフィン(A1 )としては、結晶化度が20〜75%、好ましくは30〜70%のものであり、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、ヘプテン−1、4−メチルペンテン−1、3−メチルペンテン−1等の炭素数が2〜8のα−オレフィンの単独重合体、またはこれらα−オレフィンの二種以上の共重合体が挙げられる。
【0008】
具体的には、高密度ポリエチレン、プロピレン単独重合体、エチレン・プロピレン共重合体、プロピレン・ブテン−1共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、プロピレン・エチレン・ブテン−1共重合体、プロピレン・3−メチルペンテン−1共重合体等が挙げられる。
中でも融点(DSC曲線のピーク温度)が160〜180℃、メルトフローレート(JIS K7210:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜20g/10分のプロピレン単独重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)が特に好ましい。
【0009】
無機微細粉末(A2 )としては、炭酸カルシウム、焼成クレイ、珪藻土、タルク、酸化チタン、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、シリカなどの平均粒径が10μm以下、好ましくは0.1〜4μmのものを例示することができる。
無機微細粉末の含有量が1%未満では不透明度が70%以上の不透明なフィルムが得られず、逆に30重量%を越えては延伸による微細なボイド発生が多過ぎて延伸方向の引張弾性率が低く、結束紐の強度が不足する。
【0010】
(ロ)表面層(B):
表面層の無機微細粉末(B2 )としては、芯材層(A)で挙げた無機微細粉末を使用することができる。表面層と芯材層の無機微細粉末は同種のものであっても、異種のものであってもよい。
表面層の結晶性ポリオレフィン(B1 )としては芯材層(A)に用いられる結晶性ポリオレフィンと同種のものが用いられ、コストの面からプロピレン単独重合体、プロピレン・エチレンランダム共重合体、密度が0.950〜0.970g/cm3 の高密度ポリエチレンが好ましい。
表面層(B)における無機微細粉末の含有率が35重量%未満では、結束紐の引裂力が大きくなる。逆に60重量%を越えては、ロール延伸性が悪くなる。
一軸延伸多層フイルムは、例えば以下に示す如きの方法により製造することができる。
【0011】
芯材層(A)の樹脂組成物と、表面層(B)の樹脂組成物を、別々の押出機を用いて溶融混練し、これを一台の共押出ダイに供給し、ダイ内で溶融積層し、これをシート状に共押出し、10〜60℃まで一旦冷却後、芯材層に用いた結晶性ポリオレフィンの融点より5〜50℃低い温度に再加熱し、同温度で縦方向にロール群の周速差を用いて3〜10倍延伸することにより得られる。
必要により、アニーリング処理、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理等が行われる。
このようにして得られる一軸延伸多層フイルムは、次式で算出されたボイド率が8〜45%、好ましくは15〜40%の範囲の微細なボイドを多数有するものである。
【0012】
【数1】
【0013】
この一軸延伸多層フイルムの肉厚は、芯材層(A)の肉厚が20〜150μm、好ましくは30〜120μmで、表面層(B)の肉厚が1〜30μm、好ましくは5〜30μmであり、全肉厚は、30〜200μm、好ましくはコスト面から50〜120μmの範囲である。
又、この一軸延伸多層フイルムは不透明度(JIS P−8138)が70%以上、好ましくは80〜100%であり、延伸方向のエンメンドルフ引裂強度が5〜15g、延伸方向の引張弾性率(JIS P−7127)が18,000〜40,000kgf/cm2 ,好ましくは20,000〜35,000kgf/cm2 の範囲のものである。
【0014】
〔印刷層〕
前記一軸延伸多層フィルムの表面層(B)の上に製造元、商品名、バーコード等が印刷される。
(II)結束紐群
結束紐群は図1に示すように一軸延伸多層フィルムの延伸方向(機械方向;縦方向)に応力が集中するようノッチが設けられる。
各片を指でもって逆方向に引き裂くことにより個片の結束紐が得られる。
【0015】
〔感圧性粘着剤〕
感圧粘着剤としては、公知の感圧粘着剤を使用することができる。具体的には、カゼイン、ポリビニルアルコール、各種加工澱粉、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースや、カルボキシ変性スチレン・ブタジエンラテックス、アクリロニトリル・ブタジエンラテックス、メチルメタクリル・ブタジエンラテックス等のゴム系粘着剤、アクリル酸エステル系樹脂エマルジョン等のアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ビニール系粘着剤等を挙げることができる。これらの粘着剤の中でも、ゴム系粘着剤を用いることが好ましい。
該粘着剤は、固形分量で25〜150g/m2 、好ましくは50〜120g/m2 で塗布されて、肉厚が20〜140μm、好ましくは45〜110μmに形成される。
また、該粘着剤は、予め剥離紙の表面に形成しておき、一軸延伸多層フィルムと貼合してもよい。
【0016】
〔剥離紙〕
パルプ紙の片面又は両面に、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン、クレー含有バインダー、PVA、澱粉、CMC等の各種目止め剤、及び、シリコーンオイレ等の膜が形成されたものを一般に用い、結束紐群の保管を容易とする。
剥離紙の肉厚は、通常、40〜250μm、好ましくは100〜150μmの範囲である。
【0017】
【実施例】
本発明の一軸延伸多層フイルムを用いた結束紐について、以下にその実施例及び比較例を挙げて更に具体的に説明する。
〔1〕評価方法
実施例及び比較例における物性の評価は以下に示す方法によって行なった。
引張弾性率
JIS K−7127による(測定温度23℃)。
不透明度
JIS P−8138による。
密度
JIS P−8118による。
白色度
JIS L−1015による。
【0018】
UVオフセットインキ印刷性
(株)T&K東華製のUVオフセット印刷インキ「BC−161S」(商品名)及び(株)明製作所製UVフォーム印刷機を用い、一軸延伸多層フィルム(合成紙)の表面側に4色(黒、青、赤、黄)UVオフセット印刷を行ない、インキの転移性、インキの密着性を次の方法で評価した。
(1)インキの転移性
各色の網点部分を拡大鏡(30倍)にて拡大し、網点再現性を目視にて判定した。
【0019】
(2)インキの密着性
ニチバン(株)製粘着テープ「セロテープ」(商品名)を印刷面上に強く接着させ、印刷面に沿って素早く剥離し、合成紙面上からのインキ脱離程度を目視判定した。
【0020】
〔2〕実施例
(実施例1)
一軸延伸多層フィルムよりなる結束紐の製造
(1) メルトフローレート(MFR)1g/10分、結晶化度67%、融点167℃のプロピレン単独重合体60重量部、融点134℃の高密度ポリエチレンを20重量部および平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム20重量部を配合した組成物を250℃に設定された押出機にて溶融混練し、芯材層(A)用として共押出ダイに供給した。
(2) また、別の250℃に設定された押出機にはMFR10g/10分、結晶化度64%、融点167℃のプロピレン単独重合体60重量部に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム37重量部、酸化チタン3重量部を配合した組成物(B)を240℃で溶融混練し、共押出ダイに供給し同ダイ内で前記芯材層(A)用組成物の両面に積層される様にしてシート状に押し出し、これを冷却ロールにて60℃迄冷却して3層構造(B/A/B)の無延伸シートを得た。
【0021】
次いで、この3層構造の無延伸シートを135℃に設定された周速差の異なるロール群よりなる縦延伸機にて縦方向に5倍延伸し、次いで150℃の温度でアニーリング処理を施し、50℃の温度にまで冷却し耳部をスリットして80μm(B/A/B=5/70/5μm)の微細な独立したボイドを有する一軸延伸三層フイルム(B/A/B)を得た。
この一軸延伸三層フィルムのボイド率は28%、不透明度は85%であった。また、引張弾性率は延伸方向が29,600kgf/cm2 、横方向8,900kgf/cm2 、エルメンドルフ引裂強度は延伸方向が8gで肉厚換算すると100g/mmであった。
【0022】
該一軸延伸三層フィルムの表面に、製造元、商品名、バーコードをUVオフセット印刷した。次いで、この印刷物の一端側に15mm幅毎に、延伸方向に向って8mmの長さの切り込みを設けた(図1参照)。次いで、印刷面の反対側の切り込み部を覆うように横幅15mmの剥離紙が貼着された粘着テープを貼合して結束紐群とした(図2参照)。
剥離紙を引き剥がし、次いで結束紐を指で切り裂いて得た1片の結束紐でほうれん草の葉の部分を束ねた。束ねた結束紐の切断はなく、ほうれん草がばらけることはなかった(図3参照)。
【0023】
(比較例1)
実施例1において、合成紙として王子油化合成紙(株)製の一軸延伸/二軸延伸/一軸延伸の積層構造フィルムの合成紙「ユポFPG80(肉厚80μm;商品名)」を用いる他は同様にして結束紐用シートを製造した。その物性は表1に示す値であった。
(比較例2)
市販の結束紐〔無延伸ポリプロピレンフィルム(CPP)の表面に白ベタ印刷をし、更にグラビア藍印刷で商品名、製造元、バーコードを印刷し、裏面に感圧粘着剤がグラビアロールを用いて塗布されたもの〕の物性を表1に示す。
(実施例2、実施例3)
実施例1において、延伸倍率、炭酸カルシウムの配合量を表1のようにした他は同様にして結束紐を得た。
【0024】
(実施例4)
実施例1において、一軸延伸三層フィルムの代わりに、次の製法で得られた一軸延伸二層フイルムを用いる他は同様にして結束紐を得た。
一軸延伸二層フィルムの製造
(1) メルトフローレート(MFR)0.8g/10分、結晶化度67%、融点167℃のプロピレン単独重合体75重量部、融点134℃の高密度ポリエチレン5重量部および、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム20重量部を配合した組成物(A)を、250℃に設定された押出機にて溶融混練し、芯材層(A)用として共押出ダイに供給した。
【0025】
(2) また、別の250℃に設定された押出機にはMFR10g/10分、結晶化度64%、融点167℃のプロピレン単独重合体52重量部に、平均粒径1.5μmの炭酸カルシウム45重量部、酸化チタン3重量部とを配合した組成物(B)を240℃で溶融混練し、共押出ダイに供給し同ダイ内で前記芯材層(A)用組成物の片面に積層される様にしてシート状に押し出し、これを冷却ロールにて60℃迄冷却して二層構造(B/A)の無延伸シートを得た。
【0026】
次いで、この二層構造の無延伸シートを135℃に設定された周速差の異なるロール群よりなる縦延伸機にて縦方向に5倍延伸し、次いで、150℃の温度でアニーリング処理を施し50℃の温度にまで冷却し耳部をスリットして80μm(B/A=7/73μm)の微細な独立したボイドを有する一軸延伸二層フィルム(B/A)を得た。
この一軸延伸二層フィルムは、ボイド率が23%、不透明度が88%であり、また、引張弾性率は延伸方向(縦方向)29,600kgf/cm2 、横方向11,300kgf/cm2 、引裂方向のエルメンドルフ引裂強度は、10gであった。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】
各個片の引裂性に優れた結束紐を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における結束紐群を示す表面図である。
【図2】本発明の結束紐の断面図である。
【図3】従来の無延伸フィルムからなる結束紐群を示す斜視図である。
【図4】従来の結束紐を示す斜視図である。
【図5】本発明の結束紐を用いてほうれん草を結束した概略図である。
Claims (2)
- 結晶性ポリオレフィン(A1 )70〜99重量%と無機微細粉末(A2 )を30〜1重量%とを配合した樹脂組成物を基材とする芯材層(A)の少なくとも片面に、無機微細粉末(B2 )を35〜60重量%および結晶性ポリオレフィン(B1 )65〜40重量%を含有する樹脂組成物よりなる表面層(B)が積層された多層フイルムを、結晶性ポリオレフィン(A1 、B1 )の融点より低い温度で縦一軸方向に3〜10倍延伸して、微細なボイドを多数形成させて得た一軸延伸多層フィルムの不透明度(JIS P−8138)が70%以上であり、延伸方向のエルメンドルフ引裂強度(JIS K−7128)が5〜15gである一軸延伸多層フィルムの表面層(B)の表面に印刷し、印刷面とは反対側の一軸延伸多層フィルムの裏面に感圧粘着剤層が設けられてなる結束紐。
- 一軸延伸多層フイルムの延伸方向(機械方向、縦方向)に引裂の応力が集中する様にノッチ(切り込み)が設けられた結束紐群より、各片を指でもって逆方向に引き裂くことにより直線的に一定幅で引き裂け、個片の結束紐として得られることを特徴とする請求項1に記載の結束紐。
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