JP3589421B2 - 半導体パッケージ用窓材ガラス及びその製造方法 - Google Patents

半導体パッケージ用窓材ガラス及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体パッケージ用窓材ガラス及びその製造方法に関し、詳しくはビデオカメラなどに使用されるCCD(固体撮像素子)などの半導体パッケージ用窓材として使用されるガラス及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
CCD等の半導体は、パッケージ用窓材から放出されるα線によりソフトエラーを生じるため、パッケージ用窓材に含有されるα線を放出する放射線同位元素の量の低減が行われている。放射線同位元素としては、代表的にはウラン(U)、トリウム(Th)及びラジウム(Ra)が挙げられるが、Raは存在量が少ないので通常は問題にされず、U及びThが問題とされている。特にUはα線放出量が多く、Thに比べて5〜10倍程度多い。従って、半導体の周辺材料におけるα線放出量の低減には、特にUの含有量の低減が重要とされている。
【0003】
その為、固体撮像素子に照射されるα線量を低減することを目的として、既に幾つかの提案が成されている。例えば特開平3−74874号公報には、センサー部に鉛を含むシリケートガラス薄膜を形成して放射線を遮断したことを特徴とする固体撮像素子が提案されている。しかし、この固体撮像素子の製造においては、シリケートガラス薄膜の製膜工程が複雑であり、長時間を要すると共にコスト高である。
【0004】
一方、特開平5−275074号公報には、放射性同位元素の含有量が100ppb以下、α線放出量0.05c/cm・hr以下であり、α線放射性元素の精製分離が困難なFe、TiO、PbO、ZrOを含まないガラスが提案されており、実施例には、α線放出量0.08〜0.005c/cm・hrのガラスが開示されている。又、特開平6−211539号公報には、UとThの含有量の多いZrO、BaOを含まず、β線発生の原因になるKOをも含まない低放射線ガラスが提案されており、実施例に、α線放出量0.008〜0.002c/cm・hrのガラスが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年、固体撮像素子の高密度化に伴って、α線によるノイズやソフトエラーが益々大きな画質向上の障害になっている。そのため、α線放出量の低減化の要求はさらに厳しくなっており、最近では、0.0015c/cm・hr以下が目標とされるに至っている。しかし、この目標を達成するためには、α線放出量が多いUの含有量が5ppbを越えるガラスでは、実質的に不可能であった。
【0006】
ところで、半導体パッケージ用窓材ガラスは、アルミナセラミックパッケージと封着した時、割れや歪みが発生しない材料であることが要求される。カラーVTRカメラの光学系は、図1に示すように、映像を結像させるレンズ系1と、ローパスフィルターとして作用する水晶板2、3と感度補正作用を有する近赤外吸収フィルター4を貼り合わせた素子5と、固体撮像素子6とで構成される。固体撮像素子6はその受光面に三色モザイクフィルターを形成したCCDチップ7をアルミナパッケージ8にセットし、その上に保護用光透過部材であるガラス製パッケージ用窓材9をエポキシ樹脂などで接着した構成になっている。そのため、ガラス製パッケージ用窓材9とアルミナセラミックパッケージ8の熱膨張係数を整合させることが必要である。アルミナセラミックの熱膨張係数は通常60〜75×10−7−1の範囲にあり、ガラスの熱膨張係数は、これと同等か、若干小さな45〜75×10−7−1の範囲であることが望ましい。CCDの感度領域は可視光域から近赤外光域に亘っている。そのため、近赤外吸収フィルターを用いて入射光の近赤外部分をカットし、総合して得られる感度を視感度に近似させ、色再現性を改善することが必要であり、図1に示すように素子5には近赤外吸収フィルター4が3枚の水晶板2と1枚の水晶板3の間に組み込まれており、素子5を構成する層数が多く、その製造コストが高いという欠点があった。
【0007】
従って本発明の目的は、(i) U及びThの含有量が少なく、固体撮像素子のソフトエラーの発生を抑制でき、画質の向上に寄与できる、(ii) アルミナパッケージと熱膨張係数が整合されており、アルミナパッケージとの封着性に優れているという利点を有し、必要に応じて(iii) 感度補正機能を併有し、装置の小型化、コスト削減を達成し得るなどの利点も有する半導体パッケージ用窓材ガラスおよびこの半導体パッケージ用窓材ガラスを装着して成る固体撮像素子を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
これまで、ガラスに含まれる放射能同位元素は、ガラスの原料に起因するものが殆どであると考えられていた。しかるに、本発明者が、ガラスの原料として放射性同位元素含有量が極めて少ない高純度のものを用いてガラスを試作したところ、得られたガラスの放射性同位元素含有量は依然として高いレベルであることを見い出した。即ち、ガラスに含まれる放射性同位元素の低減には、ガラスの原料を厳選する以外に、ガラス製造過程での混入を抑制する必要があることが判明した。そしてガラス製造過程での放射性同位元素の混入を防止する具体的手段として、熔融ガラスの表面の全部又は一部が熔解炉内雰囲気と接触するのを遮断した状態でガラスを熔解することにより、得られたガラスが5ppb以下のU含有量及び5ppb以下のTh含有量を有し、その結果α線放出量が0.0015c/cm・hr以下となり、半導体パッケージ用窓材ガラスとして好適であることを見い出した。
【0009】
本発明は、このような知見に基づいて完成されたものであり、本発明は、
(I)熔融ガラス表面の全部又は一部が熔解炉内雰囲気と接触するのを遮断した装置で熔融することにより得られたガラスからなり、該ガラスのα線放出量が0.0015c/cm2・hr以下となるように、U及びThの含有量共に5ppb以下としたことを特徴とする半導体パッケージ用窓材ガラス、および
(II)この半導体パッケージ用窓材ガラスを装着して成る固体撮像素子
を要旨とする。
【0010】
先ず本発明の半導体パッケージ用窓材ガラスについて説明する。
本発明の半導体パッケージ用窓材ガラスは、U及びThの含有量が共に5ppb以下である。従来の半導体パッケージ用窓材ガラスとしては、U含有量が5ppbを越えるものしか得られておらず、この点で本発明の半導体パッケージ用窓材ガラスは従来存在しなかった新規なガラスである。このようなU及びThの含有量が共に5ppb以下と極めて少ない本発明の半導体パッケージ用窓材ガラスは、U及びThの含有量が極めて少ない結果としてα線放出量が0.0015c/cm・hr以下と極めて低く、固体撮像素子に用いたときにソフトエラー率を著しく低減できる。
【0011】
本発明の半導体パッケージ用窓材ガラスにおいて、U及びThの含有量は共に3ppb以下が好ましく、α線放出量は0.001c/cm・hr以下が好ましい。
本発明の半導体パッケージ用窓材ガラスの材料としては、ホウケイ酸ガラスまたはCuOを含有し、P−Alをベースとする近赤外吸収ガラスが挙げられる。
【0012】
本発明のガラス材料の一態様である上記ホウケイ酸ガラスは、好ましくは重量%でSiOを50〜78%、Bを5〜25%、Alを0〜8%、LiOを0〜5%、NaOを0〜18%及びKOを0〜20%(但し、LiO+NaO+KOを5〜20%)含有し、上記成分の含有量が少なくとも80%以上であり、熱膨張係数が45〜75×10−7−1であるものが好ましい。
【0013】
以下にこのホウケイ酸ガラスにおける各成分の作用及び組成好適理由を説明する。
SiOとBはホウケイ酸ガラスの骨格を作る成分である。SiOが50%未満となり、Bが25%を越えると耐候性が低下する傾向がある。また、SiOが78%を越え、Bが5%未満では熔融性が悪化する傾向がある。従って、SiOは50〜78%の範囲にあり、かつBは5〜25%の範囲であることが適当である。
Alはガラスの耐候性を向上させる成分である。しかし、8%を越えるとガラス内に脈理が発生し易くなる傾向がある。従って、Alの含有量は8%以下とすることが適当である。
【0014】
LiO、NaO及びKOは融剤として作用し、かつ、耐失透性を良くする成分である。そのためには、これらの成分の1種又は2種以上の合計の含有量は5%以上が適当である。しかし、これらの成分の1種又は2種以上の合計の含有量が20%を越えると耐候性が悪くなり、かつ熱膨張係数が大きく成りすぎる傾向がある。さらにこれらの成分の内、LiOは、多量に添加すると耐失透性が悪化する傾向があり、かつ耐火物の容器を浸食する作用も強い。そのため、LiOの含有量は5%以下にすることが好ましい。NaO及びKOは、それぞれ18%及び20%を越えると耐候性が悪化し、かつ熱膨張係数も大きくなりすぎる傾向がある。そのため、NaO及びKOの含有量は、それぞれ18%以下及び20%以下とすることが好ましい。
【0015】
以上の成分の他に、耐候性、熔融性、耐失透性の改善や、熱膨張係数の調整等の目的で20%以内の範囲で、アルカリ土類金属酸化物(MgO,CaO,SrO,BaO)、ZnO、Cl等のハロゲン等を添加することも可能である。更に、As、Sb等の脱泡剤も必要に応じて適宜添加することができる。又、その他の3価以上の高原子価金属酸化物も所望の特性を損なわない程度に添加することが可能である。
【0016】
本発明ガラス材料のもう1つの態様である、CuOを含有し、P−Alをベースとする近赤外吸収ガラスは、好ましくは重量%で、Pを50〜85%及びAlを4〜20%含有し、両者の合計が63%以上であり、CuOを0.1〜10%含有し、かつ熱膨張係数が45〜75×10−7−1であるものが好ましい。このCuO含有、P−Alベースの近赤外吸収ガラスを半導体パッケージ用窓材ガラスとして用いると、近赤外吸収フィルターとしての機能も兼ねさせることができる。すなわち、図2で示すようにパッケージ用窓材ガラスとして、アルミナセラミックパッケージ8の熱膨張係数と熱膨張係数を整合させた近赤外吸収ガラス11を用いることによって、図1に示すように近赤外吸収フィルター4を水晶板2と水晶板3との間に設ける必要がなく、製品の小型化とコストダウンが可能となった。
【0017】
以下にこの近赤外吸収ガラスの各成分の作用と組成好適理由を説明する。
は可視光の透過率が高く、近赤外光のカット性がよく、感度補正用として好適なガラスを得るために必須な成分である。しかし、85%を越えるとガラスの粘性が高くなりすぎる傾向があると共に、揮発も激しくなり、熔融が困難になるので、上限は好ましくは85%、より好ましくは80%である。一方、Pが50%未満では熱膨張係数が大きくなりすぎる傾向があるので、下限は好ましくは50%、より好ましくは55%である。
【0018】
Alは、化学的耐久性を改善するのに特に効果的な成分である。しかし、4%未満ではその効果が充分でなく、20%を越えると耐失透性が悪化する傾向がある。そこで、下限は好ましくは4%、より好ましくは7%であり、上限は好ましくは20%、より好ましくは15%である。
【0019】
CuOの含有量は好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.1〜6%である。CuOは、近赤外光カットに有効であるが、0.1%未満ではその効果が少なく、10%を越えると耐失透性と共に可視光の透過率が悪化する傾向がある。
【0020】
さらに、Bの含有量が0〜15%であり、SiOの含有量が0〜25%であり、MgO,CaO,SrO,BaO及びZnOからなる群の1種又は2種以上の含有量が0〜25%であり、B、SiO、MgO,CaO,SrO,BaO及びZnOからなる群の1種又は2種以上の含有量が5〜37%であり、かつ、P、Al、B、SiO、MgO,CaO,SrO,BaO及びZnOからなる群の含有量の合計が85%以上であることが好ましい。
【0021】
SiO、Bは耐失透性の改善や熱膨張係数を低下させるのに有効である。しかし、SiOは25%を越えると難熔性になり、Bは15%を越えると耐失透性を悪化させる傾向がある。
【0022】
MgO,CaO,SrO,BaO及びZnOは熔融性の改善や耐失透性の改善に有効である。しかし、25%を越えると熱膨張係数が大きくなりすぎ、所望の熱膨張係数を得るのは困難になる。
【0023】
さらに、B、SiO、MgO,CaO,SrO,BaO及びZnOからなる群の合量は、熔融性、耐失透性、熱膨張係数、透過特性という観点から、5〜37%、好ましくは6〜30%の範囲とすることが適当である。
【0024】
また、P、Al、B、SiO、MgO,CaO,SrO,BaO及びZnOからなる群の含有量の合計は、同様の理由から85%以上、好ましくは90%以上であることが適当である。上記の成分以外に、耐候性、熔融性、耐失透性等の改善や熱膨張係数の調整等を目的として、15%以内、好ましくは10%以内の範囲で、Sb、Nb、PbO、La、アルカリ金属酸化物等を含有することも可能である。
【0025】
上記のホウケイ酸ガラスおよびCuO含有、P−Alベースガラスを形成するための原料は、水溶液、炭酸塩、硝酸塩、水酸化物、酸化物等いずれの形態でも良い。但し、前記のように、不純物として混入するU及びThの含有量の少ない原料を選択する必要がある。
【0026】
本発明の半導体パッケージ用窓材ガラスは、熔融ガラス表面の全部又は一部が熔解炉内雰囲気と接触するのを遮断した状態でガラスを熔融することにより好ましく製造される。
【0027】
熔融ガラスの表面の全部又は一部が熔解炉内雰囲気と接触するのを遮断するための方法としては、
(a)熔解炉内の熔融ガラスの表面の全部又は一部を遮断ガスで覆う方法、
(b)熔解炉内の熔融ガラスの表面の全部又は一部を白金製及び/又は放射性同位元素含有量の少ないセラミック製の蓋で覆う方法、
(c)熔解炉内雰囲気に接触する内壁部分が白金及び/又は放射性同位元素含有量の少ないセラミックスで構成されている熔解炉を用いる方法
が挙げられる。
【0028】
上記方法(a),(b)または(c)を採用することにより、U及びTh含有量が極めて少ないガラスが得られる理由は、以下のように推測される。すなわち、ガラスの熔解操作において、熔解炉の内壁を構成するレンガや発熱体(例えば炭化珪素焼結体やモリブデンシリサイド焼結体)から放射性同位元素、特にUの蒸気が発生するが、上記方法(a)〜(c)の少なくとも1つによって、ガラス表面の全部又は一部が熔解炉内雰囲気と接触するのを遮断すると、U蒸気がガラス中に混入するのが防止される。
【0029】
遮断方法は、上記方法(a),(b)および(c)のいずれかを採用することにより行なっても良く、また上記方法(a)または方法(b)と、方法(c)とを併用してもよい。
【0030】
上記方法(a)で用いる遮断ガスとしては、ガラスと溶解炉雰囲気とが接触するのを防止でき、かつガラスに対して実質的に不活性なものであれば、その種類は問わないが、例えばN、Ar、空気、炭酸ガス、CH、LNGなどの炭化水素ガスなどを用いることができる。
【0031】
上記方法(c)において用いる熔解炉は、放射性同位元素含有量の少ないセラミックで内壁を構成したマッフル炉を用いるのが好ましいが、必ずしもマッフル構造でなくても良く、通常の熔解炉の内壁(天井、側壁等)を放射性同位元素含有量の少ないセラミックで構成しても効果がある。これらのセラミックとしてはU含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下のアルミナ質電鋳レンガ、シリカブロック等が好適である。又、炭化珪素焼結体やモリブデンシリサイド焼結体等の抵抗発熱体の使用を抑制し、LNG等のガス加熱が望ましい。
【0032】
本発明の半導体パッケージ用窓材ガラスの製造においては、対向する研磨面以外の端面の表面層を除去することにより、Th量を更に減少させることができる。この点を詳しく述べると以下のとおりである。すなわち、ガラスをパッケージ用窓材に研磨加工する際、通常、対向する研磨面以外の端部は、切断面又は荒ズリ面であるが、その切断面又は荒ズリ面に研磨剤のCeOが固着して、洗浄されずに残存することにより、CeO中の不純物であるThOがα線源になる。そこで、端部の凹凸部を酸処理などによって事前に平滑化することにより、研磨中にCeOが固着するのを防ぐことができる。また研磨後、端部の表面層を酸処理等により除去しても良い。
【0033】
以上、半導体パッケージ用窓材ガラスの製造方法の特徴的要件について説明してきたが、U及びTh含有量が共に5ppb以下のガラスを得るためには、その前提として放射性同位元素含有量の極力少ない高純度原料を使用し、原料の調合、熔解炉への移送において放射性同位元素が極力混入しないような配慮をしなければならないことはもちろんである。
【0034】
本発明は、上で詳述した半導体パッケージ用窓材ガラスを装着した固体撮像素子をも要旨とするものであるが、上記窓材ガラスを用いたことを除き、その他の構成は従来の固体撮像素子のそれと同一である。
【0035】
【実施例】
以下本発明を実施例によりさらに詳しく説明する。
(実施例1)
各種高純度原料を使用して、表1のNo.1の組成になるように原料バッチを作製した。この原料バッチ中に含まれるUとThの量は各原料中に含まれるUとThの不純物量から計算して、それぞれ0.8ppb及び3.2ppbであった。この原料バッチ(酸化物換算で10Kg)を、5リットル容量の白金製坩堝に入れ、カンタルスーパー炉(モリブデンシリサイド発熱体使用)中にNガスを流量40リットル/minで流入して、ガラス原料を熔解炉雰囲気と遮断しながら、1480℃、8時間で熔解、精製(脱泡、均質化)した。鉄製金枠に鋳込み、所定のアニールをしてガラスブロック(以下ガラスAという)を得た。このガラスAのU及びTh含有量を横河電機(株)製TCP−MASSを用いて分析したところ、それぞれ2.5ppb及び3.4ppbであり、U及びTh含有量は共に5ppb以下であった。
【0036】
(比較例1)
ガスの流入をしないこと以外は実施例1と同じ条件で、同様にガラスブロック(以下比較ガラスVという)を得た。この比較ガラスVのU及びTh含有量はそれぞれ42ppb及び3.6ppbであり、実施例1に比べU含有量が著しく高かった。
実施例1と比較例1の結果から、炉内雰囲気をNガスで置換して、ガラスを炉内雰囲気から遮断することにより、U含有量を顕著に減少できることが判明した。
【0037】
(実施例2)
表1のNo.4の組成になるように高純度原料を使用して原料バッチを作製した。この原料バッチに含まれるUとThの量は、各原料に含まれるUとThの不純物量から計算して、それぞれ0.2ppb及び0.1ppbであった。ガラスの加熱熔解のために図3に示すように、外壁材12と炭化珪素発熱体13で構成され、内壁14をシリカブロックで仕切り、マッフル構造とした電気炉15を用いた。内壁14(シリカブロック)と電気炉の外壁材12(シャモット質レンガ)のUとThの含有量はそれぞれU:19ppb、Th:0.1ppb及びU:30ppm、Th:55ppmであった。原料バッチ(酸化物換算で2Kg)を1リットル容量の白金製坩堝を用いて、1430℃、6時間で熔解、精製し、鉄製金枠に鋳込み、所定のアニールをしてガラスブロック(以下ガラスBという)を得た。このガラスBを分析したところ、UとThの含有量はそれぞれ1.2ppb及び0.2ppbであった。
【0038】
(比較例2)
図3のシリカブロック14の内壁を取り除いた電気炉を用いたこと以外は実施例2と同じ条件で、同様にガラスブロック(以下比較ガラスWという)を得た。この比較ガラスWのUとThの分析値はそれぞれ18ppb及び0.3ppbであった。
実施例2と比較例2の結果から、炉内雰囲気に接触する部分を放射性同位元素含有量の少ない材料で構成して、ガラスを炉内雰囲気から遮断することにより、ガラス中のU含有量を減少できることが判明した。
【0039】
(実施例3)
実施例1で得られたガラスAを通常の方法で研磨加工し、所定形状(15.5×17.7×0.8mm)のパッケージ用窓材ガラス(以下ガラスCという)を作製した。このガラスCの15.5×17.7mm面は研磨された面であるが、15.5×0.8mm面及び17.7×0.8mm面は角を面取りされた切断面である。研磨面に保護膜を塗布し、フッ酸水溶液に浸漬して、端面のみをエッチングした後、保護膜を除去してガラス(以下ガラスDという)を得た。エッチング前のガラスCのU、Th分析値はそれぞれU:2.5ppb、Th:5.8ppbであり、エッチング後のガラスDのU、Th分析値はそれぞれU:2.3ppb、Th:3.8ppbであった。即ち、端部の荒ズリ面を除去することによって、研磨品のThを減少できることが判明した。
【0040】
(実施例4)
表2のNo.1の組成になるように各種高純度原料を使用して、原料バッチを作製した。この原料バッチに含まれるUとThの量は、各原料に含まれるUとThの不純物量から計算して、それぞれ0.7ppb及び0.4ppbであった。この原料バッチ(酸化物換算で12Kg)を図3のマッフル炉で、7リットル容量のシリカ坩堝を用いて1350℃、3時間で粗熔解し、5リットル容量の白金製坩堝に移し変えた後、さらに1350℃、5時間で熔解、精製した。鉄製金枠に鋳込み、所定のアニールをしてガラスブロックを得た。このガラスを常法により研磨加工した後、実施例3と同様にして端面を除去して15.5×17.7×2.0mmのパッケージ用窓材ガラス(以下ガラスEという)を得た。このガラスEのU及びThの分析値はそれぞれ1.9ppb及び0.8ppbであった。又、このガラスEの分光透過率は、図4に示すように、CCD感度補正用として好適な近赤外光カット特性を有していた。
【0041】
(試験例)
パッケージ用窓材ガラスとして、ガラスA,Bを常法により研磨加工して得た研磨板およびガラスD,Eそれ自体を用い、これらを有効画素数58万画素のCCDチップを内蔵したアルミナセラミックパッケージにエポキシ樹脂系接着剤を用いて封着し、固体撮像素子を作製した。
比較のため、パッケージ用窓材ガラスとして、市販のパッケージ用窓材ガラス(以下比較ガラスXという)を常法により研磨加工して得たガラスを用いて、同様に固体撮像素子を作製した。
なお、市販の感度補正用近赤外吸収ガラス(フッ燐酸塩ガラス、以下比較ガラスYという)を用いて固体撮像素子に作製しようとしたが、この比較ガラスYは熱膨張係数が158×10−7−1と大きく、封着の際、割れが発生し、固体撮像素子を得ることができなかった。
【0042】
次に、得られた、これらの固体撮像素子を使用して、ソフトエラーの有無を調査した。その結果を表3に示す。尚、表中、α線放出量は住友分析センター社製α線測定装置LACSで測定した。表3から明らかなように、本発明によるガラスを使用すれば、ソフトエラーを甚だしく低減できることが判明した。
本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、前述のように種々のバリエーションが存在し得ることは言うまでもない。
表1及び表2に本発明において使用し得る種々のガラス組成を重量%表示で示す。表中、熱膨張係数はTMA分析装置による測定値である。いずれも、アルミナセラミックとの封着に適合した熱膨張係数を有している。
【0043】
【表1】
Figure 0003589421
【0044】
【表2】
Figure 0003589421
【0045】
【表3】
Figure 0003589421
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、ソフトエラー率が著しく低い固体撮像素子などの半導体用のパッケージ窓材用ガラスを提供することができる。さらに、特定の組成範囲に限定することによって、アルミナセラミックパッケージと接合性の良い熱膨張係数を持つガラスを提供することができる。又、感度補正機能を持つ赤外線吸収ガラスをパッケージ用窓材として使用すれば、CCDの小型化が可能であり、コスト削減も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】VTRカメラの光学系の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の近赤外吸収ガラスからなる半導体パッケージ用窓材ガラスを用いたVTRカメラの光学系の構成を示す説明図である。
【図3】実施例においてガラスを熔解するのに用いた電気炉の断面を示す説明図である。
【図4】本発明の近赤外吸収ガラスからなる半導体パッケージ用窓材ガラスの分光透過率曲線を示す。
【符号の説明】
1 レンズ系
2、3 水晶板
4 近赤外吸収フィルター
6、10 固体撮像素子
7 CCDチップ
8 アルミナセラミックパッケージ
9 パッケージ用窓材
11 保護用フィルター
12 外壁材
13 炭化珪素発熱体
14 内壁
15 電気炉

Claims (2)

  1. 熔融ガラス表面の全部又は一部が熔解炉内雰囲気と接触するのを遮断した装置で熔融することにより得られたガラスからなり、該ガラスのα線放出量が0.0015c/cm・hr以下となるように、U及びThの含有量共に5ppb以下としたことを特徴とする半導体パッケージ用窓材ガラス。
  2. 請求項1に記載の半導体パッケージ用窓材ガラスを装着して成る固体撮像素子。
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