JP3589269B2 - プッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、操作軸の軸線方向の操作によって動作させられるプッシュオンスイッチを有し、前記操作軸の回転方向の動作により、前記摺動子片と前記導体パターンが摺接するようにしたプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品に関する。
【0002】
【従来の技術】
操作軸の軸線方向の操作によってプッシュオンスイッチ(もしくはプッシュスイッチ)をオンオフ動作させ、一方、操作軸の回転方向の動作により、エンコーダ等の摺動子片と導体パターンが摺接するようにしたプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品は、例えば、実開平3−30702号公報に開示されている。
図12はこの従来のプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品の全体構成を示す縦断面図である。
この図12において、61は回転自在で軸方向に移動自在に支持されている回転軸、62は回転軸61の上部を突出させて収納するケース、63は回転軸61の下部にスプライン結合された摺動型物、64は摺動型物63の下面に取り付けられた摺動子片、65は摺動子片64が摺接される導電パターン、66は導電パターン65が形成された基板、67は回転軸61の上下動によってその下端部でオンオフ動作される押釦スイッチ、68は押釦スイッチ67のドーム型ゴムラバー、69はドーム型ゴムラバー68の内底面に形成された可動接点、70は可動接点69が離接される固定接点、71は固定接点70が形成された基板、72はこれらの各部材を一体化している取付板である。
これらの回転軸61、摺動型物63、摺動子片64、導電パターン65、及び基板66等のブロックによって例えば回転操作型のエンコーダが構成され、また、回転軸61、押釦スイッチ67のブロックによって押釦スイッチ(プッシュオンスイッチ)が構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来のプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品では、エンコーダ等の回転操作型電子部品の下方に押釦スイッチが積層された2連形状になっているので、回転軸61の軸線方向での各ブロックの厚みがプラスされ、装置全体の厚さが厚くなっていた。
【0004】
本発明の第1の課題は、受け部の収納部に戻し部材を収納して、操作軸方向の厚みを薄くして装置全体の薄型化を図ることができるプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品を提供することである。
【0005】
本発明の第2の課題は、受け部の収納部に戻し部材を収納に加え、更にケーシングにプッシュオンスイッチ用の固定接点も一体成形して、操作軸方向の厚みを更に薄くして装置全体の一層の薄型化を図ることができ、更に部品点数を削減しかつ組込工程も簡略化できるプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品を提供することである。
【0006】
本発明の第3の課題は、受け部の操作軸方向の厚みを薄くして装置全体の薄型化を図ることができ、またプッシュスイッチの接点部分を覆ってオンオフを確実にできるプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品を提供することである。
【0008】
本発明の第4の課題は、ケーシングにプッシュオンスイッチ用の固定接点及び摺動子片を一体に形成して、受け部の操作軸方向の厚みを薄くして装置全体の薄型化を図ることができ、またケーシングをフープ材からインサート成形できるようになり製造工程を簡略化して量産性を高められるプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記第1の課題は、回転可能に軸支されると共に、軸線方向に移動可能に支持された操作軸と、前記操作軸の回転方向の動作により摺動子片が摺接する導体パターンと、前記摺動子片か前記導体パターンのどちらか一方を設けたケーシングと、前記操作軸に嵌合固定、あるいは一体に形成された駆動体と、前記駆動体とスプライン結合され、前記摺動子片か前記導体パターンのうちの他方を設けた受け部と、前記操作軸の軸線方向の操作によって動作させられるプッシュオンスイッチと、前記プッシュオンスイッチと前記駆動体間に介在し、前記操作軸を初期位置方向に付勢する戻し部材とを備え、前記受け部には前記駆動体が挿通される貫通孔が形成され、該貫通孔は、該貫通孔の上部内周に軸方向に沿って断面が凹状のスプライン溝が形成されたスプライン溝の形成範囲部と、該貫通孔の下部に設けられ前記戻し部材を収納する収納凹部からなり、前記駆動体の外周には前記貫通孔のスプライン溝と係合するように突出したスプライン刃部が形成され、前記戻し部材の上端部を前記貫通孔のスプライン溝の形成範囲部より小径とし、前記操作軸の非押し込み時には、前記受け部の前記収納凹部に収納された前記戻し部材はその上端位置の高さが前記貫通孔の前記スプライン溝の形成範囲部内となるようにした第1の手段により解決される。
【0010】
前記第2の課題は、第1の手段において、前記ケーシングの中央にプッシュオンスイッチ用の固定接点を一体に形成した第2の手段により解決される。
【0011】
前記第3の課題は、第1の手段において、戻し部材は円筒状外周縁部がケーシングの円形凹段に嵌め込まれた略円錐形状のゴムラバーからなる第3の手段により解決される。
【0013】
前記第4の課題は、第1の手段において、前記ケーシングに前記摺動子片を一体に形成した第4の手段により解決される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係るプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品の全体構成を示す縦断面図、図2は図1の摺動子片と導体パターンとの関係を示す説明図、図3は図1のCW回転及びCCW回転におけるパルス信号を示す図、図4(a),(b)は図1のケーシングを示す平面図及び縦断面図、図5は図1のケーシングを示す底面図、図6は図1の可動接点を示す平面図、図7は図1のケーシングをインサート成形する前の摺動子片及び端子を一体成形してあるフープ材を示す説明図、図8(a),(b),(c)は図1の可動接点の平面図、正面図及び底面図、図9(a),(b)はB−B線に沿った断面図及びC−C線に沿った断面図、図10は別のパルス数の例での摺動子片と導体パターンとの関係を示す説明図である。
【0015】
これらの図において、1は操作軸、2は金属製の軸受部材、3は駆動体、4は受け部、5はケーシング、6は戻し部材であるゴムラバー、7は下カバー、8はクリックばねである。
【0016】
軸受部材2は四角板部分を有し、その四角板の中央が上方に膨出されて凹部41が設けられると共に、中央に丸い貫通孔が穿設されて軸受部11とされている。この軸受部11に挿通されて操作軸1が回転可能に軸支されると共に、軸線方向に移動可能に支持されている。この操作軸1の下端にはすり割部12が形成されて駆動体3が嵌合固定されている。なお、操作軸1の軸受部材2の下面側には環状溝13が形成され、環状溝13に操作軸1の軸受部11からの抜け止めのための線バネ14が挟持されている。
【0017】
駆動体3は底部39を有する円筒形状に形成されるとともに、その内部の直径方向に刃状部15が突設され、この刃状部15が前記操作軸1のすり割部12に嵌め込まれている。これにより、駆動体3は操作軸1の回転に伴って一体に回転するようになっている。
また、駆動体3の周面にはその直径上の位置でかつ軸方向に沿って一対の複数のスプライン刃部43,43が形成され、これらのスプライン刃部43,43にそれぞれ嵌め込まれるスプライン溝44,44が受け部4の丸孔内周面に形成されて、駆動体3と受け部4はスプライン結合されている。これにより、操作軸1の回転方向の移動は受け部4に伝達されるが、操作軸1の軸線方向の移動は受け部4に伝達されないようになっている。
【0018】
受け部4は、図8及び図9に示すように、その下端部外周に円板状部16が延設されており、この円板状部16の下面側に導体パターン17が設けられコード板が構成され、また、円板状部16の上面側に例えば一周に36個のクリック用の凸凹部18が設けられている。この円板状部16は、軸受部材2の凹部41外であって、軸受部材2とケーシング5とによって構成される密閉空間内に配設されている。そして、クリックばね8が軸受部材2と円板状部16との隙間に挾み込まれて保持され、クリックばね8が円板状部16のクリック用の凸凹部18に弾接されている。また、受け部4の円板状部16の中央は、スプライン溝の形成された孔に連通した貫通孔とされると共に、ゴムラバー6を収納できるように円錐形状に拡げらた収納凹部4aとされている。なお、42は受け部4の下面に突設された環状の当接部で、この当接部42はケーシング5のケーシング本体25の上面に突き当たっており、また、受け部4の上面の軸受部材2の下面との間に受け部4は挾み込まれて受け部4の回転時に安定して回転できるように軸方向の移動を規制されている。
【0019】
クリックばね8はリング板状で直径上を下にして屈曲形成され、その一方の屈曲部に形成した突部8aが凸凹部18に弾接されている。また、クリックばね8の屈曲された上縁部から四角枠状の支持板部8bが形成され、この支持板部8bに位置決め用の小穴(図示せず)が形成されている。支持板部8bを軸受部材2とケーシング5との間に挟持すると共に軸受部材2等から突設した位置決めピン(図示せず)を嵌合してある。
これにより、操作軸1を回転させると受け部4も一体に回転し、クリック用の凸凹部18上をクリックばね8が弾接することで、クリック感を生じると共に1回転の36分の1づつで停止させることができる。
【0020】
36個のクリック用の凸凹部18に対応して導体パターン17は形成されている。即ち、導体パターン17は、図2及び図8(c)に示すように、コモンパターン部19とコモンパターン部19と導通した櫛歯状のA,B相パターン部20,20…からなっている。A,B相パターン部20,20…間は絶縁部21,21…が配設されている。これらのパターン部19,20にケーシング5に形成された摺動子片28,29,30が弾接されている。即ち、A相摺動子片29とB相摺動子片30は図8(c)に一点鎖線で示すA,B相パターン部20上を摺接され、また、コモン摺動子片28はそれより内側のコモンパターン部19上を摺接される。
【0021】
ケーシング5は、図4及び図5に示すように、絶縁性樹脂等からなる全体に四角板状のケーシング本体25と、ケーシング本体25の上面中央に露出されたプッシュオンスイッチ用の第1の固定接点26と、第1の固定接点26の周りに円弧状に配設された第2の固定接点27と、この第2の固定接点27を中心にして両側に配設されたエンコーダ(あるいはパルススイッチ)用の一対のコモン摺動子片28,28と、一対のコモン摺動子片28,28の外側に並んで配設されたエンコーダ用のA相摺動子片29とB相摺動子片30とが備えられている。なお、第2の固定接点27には、3箇所の突起部27b,27b,27bが突設されて、後述するプッシュオンスイッチ用可動接点34のリング部36が載置されて3点で接触するようになっている。
なお、図5は摺動子片を切断後の状態であるが、図4(a)は摺動子片を切断加工していない状態で示してある。
【0022】
これらのプッシュオンスイッチ用の第1の固定接点26及び第2の固定接点27は、ケーシング本体25の上面の円形凹段部31に配設され、一方、エンコーダ用の一対のコモン摺動子片28,28及びA相摺動子片29及びB相摺動子片30は、ケーシング本体25の両側縁に沿った開口部32内に延設されると共に上方に屈曲されて受け部4の円板状部16の導体パターン17に圧接されている。
また、第1の固定接点26及び第2の固定接点27からそれぞれ引き回されてケーシング本体25の一側面に引き出し端子部26a,27aが引き出され、また、コモン摺動子片28,28及びA相摺動子片29及びB相摺動子片30からそれぞれ引き回されてケーシング本体25の他側面に引き出し端子部28a,29a,30aが引き出されている。なお、33は後述するプッシュオンスイッチ用可動接点34の位置決め突片35,35を嵌め込む嵌合凹部である。また一対のコモン摺動子片28,28は1つの引き出し端子部28aに接続されている。
【0023】
本実施の形態では、図2に示すように36クリック、18パルスであるが、図10に示す18クリック、9パルス等、各種設定してもよい。
【0024】
ここで、各摺動子片と導体パターンとの関係について図2及び図10等を参照して説明する。
前述したように、受け部4の導体パターン17は、図2及び図8(c)に示すように、コモンパターン部19とコモンパターン部19と導通した櫛歯状のA,B相パターン部20,20…からなっている。そしてリング状のコモンパターン部19のほぼ直径上でそれぞれ接するように一対のコモン摺動子片28,28が配設されている。また、右のコモン摺動子片28に並んで右側でA,B相パターン部20,20…に接するようにA相摺動子片29が配設され、また、左のコモン摺動子片28に並んで左側でA,B相パターン部20,20…に接するようにB相摺動子片30が配設されている。そして、所定の位相差、例えばT/4の位相差のパルス信号を得られるようにA相摺動子片29及びB相摺動子片30がA,B相パターン部20に対して配設されており、これにより、図3に示すパルス信号を得られる。この図3は上段にCW回転、下段にCCW回転におけるA,B相パルス信号を示してあり、A−C間はA相摺動子とコモン摺動子片間のA相パルス信号、B−C間はA相摺動子とコモン摺動子片間のB相パルス信号である。
【0025】
ここで、A相摺動子片29及びB相摺動子片30のA,B相パターン部20に対する配置について更に詳しく説明する。
A相摺動子片29及びB相摺動子片30は同一形状に形成され、かつA相摺動子片29及びB相摺動子片30の導体パターン17との各接触部を結ぶ線L1を、A相摺動子片29及びB相摺動子片30のケーシング5の基端部を結ぶ線L2と平行な操作軸1の回転中心を通る線L3から所定の間隔dを置いて平行に配置しててある。
この間隔dは所定の位相差等に応じて次のように求められる。
ここで、エンコーダ(あるいはパルススイッチ)において、デューティー比を50%、位相差をT/4とし、
また、T:周期、N:0,1,2,3・・・の任意の数字、A:パルスの数、R:接点の接触する位置のコード板の半径とすると、基準位置においては、偶数のパルスの場合位相差はなく、奇数のパルスの場合T/2の位相差となるので、いずれの場合も、(NT/2)±T/8に相当する位相分だけ片側の接点で基準位置からシフトさせればよいこととなる。ところで、360°/Aが1周期の角度に相当するから、これは角度にすると
(360/A)×((NT/2)±T/8)に相当するので
距離d=R×sin{(360/A)×((NT/2)±T/8)}
となる。
したがって、A相摺動子片29及びB相摺動子片30の導体パターン17との各接触部を結ぶ線L1は、操作軸1の回転中心を通る線L3から平行に距離dだけ離れた位置に設定すればよい。
例えば、図10に示すエンコーダのように、9パルス、R=6、N=0と設定したとき、上記{}内は5°に相当して距離d=0.52となる。なお、図10(及び図2)にて、Oは回転中心、rは回転中心OとA,B相摺動子片29,30の導体パターン17との接触点を結んだ線であり、つまり、前記5°はrとL3とのなす角度である。
【0026】
なお、本実施の形態では、A相摺動子片29及びB相摺動子片30の導体パターン17との各接触部を結ぶ線L1と、一対のコモン摺動子片28,28の導体パターン17との各接触部を結ぶ線と平行に離れているが、図11に示すように、一対のコモン摺動子片28,28もA相摺動子片29及びB相摺動子片30と同一形状に形成して線L1上に一対のコモン摺動子片28,28の導体パターン17との各接触部を配置してもよい。
【0027】
プッシュオンスイッチ用可動接点34は、図6に示すように、リング部36と、リング部36の中心にかつ斜め上方に向かって延設され、その先端下方に突出した接触点部37aを有する可動接点片部37と、リング部36の外周縁から外方へ向かって延設された位置決め突片35,35とからなっている。このプッシュオンスイッチ用可動接点34は、そのリング部36上にゴムラバー6の下端面6aが載置されており、これによりゴムラバー6による弾性力がリング部36上面から加わってリング部36下面と第2の固定接点27の突起部27bとを圧接させ、常時確実に導通している。
【0028】
ゴムラバー6はほぼ円錐形状に形成され、その周縁部の下面を平坦に形成した下端面6aと、外周縁を円筒外周面状に形成してケーシング本体25の円形凹段部31に嵌め込まれる外周縁部6bと、その頂部に形成され、駆動体3の底部39が突き当てられる平坦面部6cと、その頂部の内部に形成され、プッシュオンスイッチ用可動接点34の可動接点片部37に離接する可動面部6dのとからなつている。
【0029】
ここで、このような図4及び図5に示すケーシング5の製造方法を説明する。まず、図7に示すように、フープ状の金属板40を図示しないプレス装置に供給し、第1の固定接点26、第2の固定接点27、コモン摺動子片28,28及びA相摺動子片29及びB相摺動子片30や引き出し端子部26a,27a,28a,29a,30a等の外形形状をブランク加工すると共に、丸孔38を打ち抜き加工し、また、第2の固定接点27の突起部27bを突き出し加工し、次いで、コモン摺動子片28,28及びA相摺動子片29及びB相摺動子片30や引き出し端子部26a,27a,28a,29a,30aを所定形状にフォーミングした後、この金属板40を図示しない成形装置に供給し、第1の固定接点26、第2の固定接点27、コモン摺動子片28,28及びA相摺動子片29及びB相摺動子片30等に対して溶融樹脂を射出してケーシング本体25をインサート成形する。その際、前述したように、ケーシング本体25の上面に円形凹段部31と各開口部32,32が形成される。次いで、コモン摺動子片28,28及びA相摺動子片29及びB相摺動子片30及び引き出し端子部26a,27a,28a,29a,30aを金属板40から切離し(切断線F)、所定形状に折り曲げた後に、ケーシング本体25と金属板40を繋ぐ橋絡部40aを切断することにより、前述の如く構成されたケーシング5が得られる。
【0030】
なお、前記下カバー7とケーシング5は一体化されてケーシング5の金型成形の際に必要な孔45,45を塞いでおり、また、ケーシング5の上面に軸受部材2が積層・一体化されている。
【0031】
次に、プッシュオンスイッチの動作について説明する。
非押し込み時には、図1に示すように、操作軸1はゴムラバー6によって駆動体3を介して線バネ14が軸受部材2の下面に突き当たる位置まで押し上げられている。なお、クリックばね8が円板状部16のクリック用の凸凹部18の凹に弾接されており、また、コモン摺動子片28,28及びA相摺動子片29及びB相摺動子片30は、図2に示すように、導体パターン17に接している。
このような図1の状態から操作軸1の軸方向の押し込み動作、つまり押し下げると、操作軸1の下端に固定された駆動体3の底部39によりゴムラバー6を押圧して反転させる。このゴムラバー6の押圧反転によりクリック感を生じると共に、操作軸1と共に可動面部6dも下降し、プッシュオンスイッチ用可動接点34の可動接点片部37に突き当たって弾力に抗して可動接点片部37を押し下げ、可動接点片部37を下方の第1の固定接点26に接触させてプッシュオンスイッチがオンされる。
【0032】
この操作軸1の押し下げ動作の際、操作軸1の下端に固定された駆動体3は受け部4とスプライン結合されているので、操作軸1はスムーズに下動(あるいは上動)でき、かつ受け部4を回転させることがなくて誤パルスが発生することもない。
【0033】
そして、ゴムラバー6に対する操作軸1の押圧力が除去されると、ゴムラバー6が元に戻ると共に可動接点片部37も第1の固定接点26から離反してプッシュオンスイッチがオフとなる。
【0034】
次に、エンコーダの動作について説明する。
図1の状態で操作軸1を回転させると、駆動体3を介してスプライン結合されている受け部4も一体に回転する。この回転の際、受け部4はクリックばね8とクリック用の凸凹部18とにより凹位置で保持される。
そして、受け部4の回転により導体パターン17上を固定状態の一対のコモン摺動子片28,28及びA相摺動子片29とB相摺動子片30が摺接される。この場合、A相パターンとB相パターンとは互いの位相が4分の1ピッチ(T/4)ずらしてある。したがって、コモンパターン部19に接触しているコモン摺動子片28と、受け部4の回転に伴いA,B相パターン部20上を摺接するA相摺動子片29とにより、A,B相パターン部20の導体に接触する毎に発生するパルス信号を出力させることができ、同様に、コモンパターン部19に接触しているコモン摺動子片28と、受け部4の回転に伴いA,B相パターン部20上を摺接するB相摺動子片30とにより、A,B相パターン部20の導体に接触する毎に発生するパルス信号を出力させることができるので、図3に示すような位相のずれた2つのパルス信号(A,B相)を取り出すことができる。その結果、パルス信号の数をカウントすることによって回転角信号が得られると共に、2つのパルス信号の差信号から回転方向信号が得られるようになっている。なお、図3は上段にCW回転時、下段にCCW回転時の2つのパルス信号をそれぞれ示し、また、破線はクリック位置を示している。
【0035】
なお、前記実施の形態に限らず、導体パターン17(コード板)を固定して摺動子片を回転させるタイプにも適用できる。また、前記実施の形態では、操作軸1と駆動体3を別体として説明したが、駆動体を操作軸1に一体に形成してもよく、この場合は操作軸1の上部を太くせずに軸受部材2の軸受部11に操作軸1の上部から挿入できる太さにすればよい。
【0036】
このような前記実施の形態にあっては、回転可能に軸支されると共に、軸線方向に移動可能に支持された操作軸1と、操作軸1の回転方向の動作により摺動子片28,29,30が摺接する導体パターン17と、摺動子片28,29,30か導体パターン17のどちらか一方を設けたケーシング5と、操作軸1とスプライン結合され、摺動子片28,29,30か導体パターン17のうちの他方を設けた受け部4と、操作軸1の軸線方向の操作によって動作させられるプッシュオンスイッチ(26,27,34)と、受け部4の摺動子片28,29,30もしくは導体パターン17を設けた面に形成した収納凹部4aと、収納凹部4aに収納し、かつプッシュオンスイッチ(26,27,34)と操作軸1間に介在し、操作軸1を初期位置方向に付勢するゴムラバー6と備えたため、受け部4の収納凹部4aにゴムラバー6を収納して、操作軸1の軸線方向の厚みを薄くして装置全体の薄型化を図ることができる。
【0037】
また、前記実施の形態にあっては、ケーシング5の中央にプッシュオンスイッチ用の第1,2の固定接点26,27を一体に形成したため、受け部4の収納凹部4aにゴムラバー6を収納に加え、更にケーシング5にプッシュオンスイッチ用の第1,2の固定接点26,27も一体成形して、操作軸1の軸線方向の厚みを更に薄くして装置全体の一層の薄型化を図ることができ、更に部品点数を削減しかつ組込工程も簡略化できる。
【0038】
また、前記実施の形態にあっては、戻し部材はドーム型のゴムラバー6からなるため、受け部4の操作軸1の軸線方向の厚みを薄くして装置全体の薄型化を図ることができ、またプッシュオンスイッチの接点(26,27,34)部分を覆ってオンオフを確実にできる。
【0039】
また、前記実施の形態にあっては、摺動子片28,29,30か摺動子片28,29,30が離接される導体パターン17のどちらか一方を設けたケーシング5と、回転可能に軸支されると共に、軸線方向に移動可能に支持され、摺動子片28,29,30か摺動子片28,29,30が離接される導体パターン17のうちの他方を設けた操作軸1と、操作軸1の軸線方向の操作によって動作させられるプッシュオンスイッチ(26,27,34)と、ケーシング5の中央に一体に形成したプッシュオンスイッチ用の第1,2の固定接点26,27とを備えてあり、操作軸1の回転方向の動作により、摺動子片28,29,30と導体パターン17が摺接するようにしたため、ケーシング5にプッシュオンスイッチ用の第1,2の固定接点26,27も共用して一体成形して、別個にプッシュオンスイッチ用の第1,2の固定接点26,27用のケーシングを設ける必要がなくなり操作軸1の軸線方向の厚みを薄くできて装置全体の薄型化を図ることができ、また部品点数を削減しかつ組込工程も簡略化できる。
【0040】
また、前記実施の形態にあっては、ケーシング5に摺動子片28,29,30を一体に形成したため、ケーシング5にプッシュオンスイッチ用の第1,2の固定接点26,27及び摺動子片28,29,30を一体に形成して、受け部4の操作軸1の軸線方向の厚みを薄くして装置全体の薄型化を図ることができ、またケーシング5を金属板(フープ材)40からインサート成形できるようになり製造工程を簡略化して量産性を高められる。
【0041】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、受け部の収納凹部に収納した戻し部材はその上端位置の高さが貫通孔のスプライン溝の形成範囲部内となるようにして、操作軸の軸線方向の厚みを薄くして装置全体の薄型化を図ることができる。
【0042】
請求項2記載の発明によれば、受け部の収納凹部に戻し部材を収納に加え、更にケーシングにプッシュオンスイッチ用の固定接点も一体成形して、操作軸の軸線方向の厚みを更に薄くして装置全体の一層の薄型化を図ることができ、更に部品点数を削減しかつ組込工程も簡略化できる。
【0043】
請求項3記載の発明によれば、受け部の操作軸の軸線方向の厚みを薄くして装置全体の薄型化を図ることができ、またプッシュオンスイッチの接点部分を覆ってオンオフを確実にできる。
【0045】
請求項4記載の発明によれば、ケーシングにプッシュオンスイッチ用の固定接点及び摺動子片を一体に形成して、受け部の操作軸の軸線方向の厚みを薄くして装置全体の薄型化を図ることができ、またケーシングをフープ材からインサート成形できるようになり製造工程を簡略化して量産性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るプッシュオンスイッチ付き回転型電子部品の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の摺動子片と導体パターンとの関係を示す説明図である。
【図3】図1のCW回転及びCCW回転におけるパルス信号を示す図である。
【図4】(a),(b)は図1のケーシングを示す平面図及び縦断面図である。
【図5】図1のケーシングを示す底面図である。
【図6】図1の可動接点を示す平面図である。
【図7】図1のケーシングをインサート成形する前の摺動子片及び端子を一体成形してあるフープ材を示す説明図である。
【図8】(a),(b),(c)は図1の可動接点の平面図、正面図及び底面図である。
【図9】(a),(b)はB−B線に沿った断面図及びC−C線に沿った断面図である。
【図10】別のパルス数の例での摺動子片と導体パターンとの関係を示す説明図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態に係るプッシュオンスイッチ付き回転型電子部品の摺動子片と導体パターンとの関係を示す説明図である。
【図12】従来のプッシュオンスイッチ付き回転型電子部品の全体構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 操作軸
4 受け部
4a 収納凹部
5 ケーシング
6 ゴムラバー
17 導体パターン
26 第1の固定接点
27 第2の固定接点
28 コモン用摺動子片
29 A相摺動子片
30 B相摺動子片
L1,L2,L3 線
Claims (4)
- 回転可能に軸支されると共に、軸線方向に移動可能に支持された操作軸と、
前記操作軸の回転方向の動作により摺動子片が摺接する導体パターンと、
前記摺動子片か前記導体パターンのどちらか一方を設けたケーシングと、
前記操作軸に嵌合固定、あるいは一体に形成された駆動体と、
前記駆動体とスプライン結合され、前記摺動子片か前記導体パターンのうちの他方を設けた受け部と、
前記操作軸の軸線方向の操作によって動作させられるプッシュオンスイッチと、
前記プッシュオンスイッチと前記駆動体間に介在し、前記操作軸を初期位置方向に付勢する戻し部材とを備え、
前記受け部には前記駆動体が挿通される貫通孔が形成され、該貫通孔は、該貫通孔の上部内周に軸方向に沿って断面が凹状のスプライン溝が形成されたスプライン溝の形成範囲部と、該貫通孔の下部に設けられ前記戻し部材を収納する収納凹部からなり、
前記駆動体の外周には前記貫通孔のスプライン溝と係合するように突出したスプライン刃部が形成され、
前記戻し部材の上端部を前記貫通孔のスプライン溝の形成範囲部より小径とし、
前記操作軸の非押し込み時には、前記受け部の前記収納凹部に収納された前記戻し部材はその上端位置の高さが前記貫通孔の前記スプライン溝の形成範囲部内となるようにしたことを特徴とするプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品。 - 請求項1記載において、前記ケーシングの中央にプッシュオンスイッチ用の固定接点を一体に形成したことを特徴とするプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品。
- 請求項1の記載において、前記戻し部材は円筒状外周縁部が前記ケーシングの円形凹段に嵌め込まれた略円錐形状のゴムラバーからなることを特徴とするプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品。
- 請求項1の記載において、前記ケーシングに前記摺動子片を一体に形成したことを特徴とするプッシュオンスイッチ付き回転操作型電子部品。
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