JP3588747B2 - 間欠受信方式 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、GPS(Global Positioning System)衛星を用いて測位計算を行う受信機のバッテリ電源を切り替えて低消費電力化する間欠受信方式に関し、特に、バッテリの負担を軽減すると共に的確な移動軌跡を得ることができる間欠受信方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の間欠受信方式では、図7に示されるように、測位処理動作を間欠的に行い、受信休止することにより消費電流を測位処理動作での数百mAから非受信処理中の状態を設定して数μAに低減することができる。
【0003】
この図示された例では、測位処理動作時間t1に対して、受信休止時間t2が利用者により任意の固定値に設定されている。したがって、受信機は測位処理動作時間t1の測位処理動作が終了した際に、受信休止時間t2による受信休止状態の低消費電流モードとなる。
【0004】
この結果、連続受信処理動作を行う受信機に比べ、低消費電力化を図ることができる。特に、この種の受信機は移動型または携帯型であるので、バッテリの寿命を長く保つために有効である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の間欠受信方式では、間欠動作の受信休止時間t2はユーザの任意設定により長くすることが可能であり、バッテリの負担を軽減できる。しかしながら、受信機は移動している間に絶えず測位計算を行い自己の位置を求めているので、受信休止中に移動する距離が大きい場合、受信休止時間t2の長時間設定では必要とする位置情報の間隔が大きく、的確な軌跡が得られないという問題点がある。
【0006】
本発明の課題は、上記問題点を解決して受信機の移動速度が遅い場合にはバッテリの負担を軽減し、受信機の移動速度が速い場合にはより的確な軌跡を得ることができる間欠受信方式を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による間欠受信方式の基本構成は、GPS衛星を用いて測位計算を行う受信機のバッテリ電源を切り替えて低消費電力化する間欠受信方式において、間欠受信間隔を前記受信機の移動速度および移動距離に応じた受信休止時間に自動設定する受信休止時間設定手段を備えることであり、より具体的には、受信機は受信機の移動速度および移動距離に応じた受信休止時間を予め設定したテーブルを備え、前記受信休止時間設定手段は、連続して受信する所定回数の測位データから前記受信機の移動平均速度を前記移動速度として計算する速度計算手段と、この計算結果の移動速度に応じて前記テーブルから読み出した受信休止時間を前記間欠受信間隔として自動設定する時間設定手段とを有している。
【0008】
本発明による特徴は、予め設定された測位時限値txに到達した際に連続測位データが所定回数に未達の場合には設定中の受信休止時間を前記テーブルに設定された最大値の受信休止時間と比較し、設定中の受信休止時間が前記最大値より小さな場合には設定中の受信休止時間に予め定めた設定時間tを加えた値を改めて設定することである。
【0009】
この構成で測位時限値を設定することによりGPS信号の受信が困難な場所では、速やかに受信休止モードへ移行することができる。また、受信休止時間を設定時間tずつ逐次延長することによりGPS信号の受信が困難な場所でのバッテリの消耗を更に防止することができる。
【0010】
また、上記構成の詳細な具体化手段として、テーブルに設定する移動距離はほぼ一定とし、また移動速度は最新の計算で得られた移動平均速度Yとこの一つ前に得られた移動速度Zとの平均値としている。したがって、的確な軌跡のための位置情報の均一性を図ることができる。更に、測位時限値txに到達した際に連続測位データが前記所定回数に未達の場合に記録されている移動平均速度Yおよび移動速度Zをクリアし、また一つ前に得られた移動平均速度Zが無記録の場合には最新の計算で得られた移動平均速度Yを適用している。したがって、データの最新性を維持することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は本発明の実施の一形態を示すブロック図であり、本発明に関する以外の機能については図示を省略してある。
【0013】
図1に示された間欠受信方式は、受信部1、電源制御部2、および制御部3により構成されている。受信部1は、電源制御部2から電源供給を受け、GPS衛星からデータを受信して制御部3へ送るものとする。
【0014】
電源制御部2はバッテリ電源の供給を受ける電源供給回路21および間欠制御回路22を備えるものとする。電源供給回路21は、受けたバッテリ電源を電源制御部2および制御部3に供給するが、間欠制御回路22の制御により低消費電流モードの場合には受信部1、および制御部3の測位計算部分への供給を断とするものとする。また、間欠制御回路22は、制御部3から受信休止時間に対して低消費電流モードの指示を受け、電源供給回路21を低消費電流モードに制御するものとする。
【0015】
制御部3は、制御回路31、測位データ保持回路32、受信休止時間設定テーブル33、最新値レジスタ34、平均値レジスタ35、およびデータ出力回路36を備えるものとする。
【0016】
制御回路31は、測位駆動入力により受信部1から受けたハードリミット信号により現在位置を求める測位計算、測位計算結果から移動速度を求める速度計算および移動速度から受信休止時間の設定を行う休止時間の設定、測位時限値txをもって上記測位計算の時限監視を行う測位タイマなどを含み動作機能の制御を行うものとする。
【0017】
これら主要動作機能については、手順を記載した図2から図4までを参照して後に説明する。また、間欠設定入力により予め間欠動作設定する一方、間欠動作で受信休止状態の間に強制的に間欠動作設定を解除して電源オンとする機能を併せ有するものとする。
【0018】
測位データ保持回路32は、制御回路31から受けた測位データを蓄積保持しており、現在位置を測位データとしてデータ出力回路36を介して出力するものとする。
【0019】
受信休止時間設定テーブル33は計算された平均速度Zに対する受信休止時間tsを移動距離を一定として近似設定したものである。この移動距離は位置情報により形成される移動軌跡を的確に求めるように設定される。図5に例示される場合、的確な軌跡が得られる移動距離を一定値の500mとして、2.5km/h以下、5km/h以下、10km/h以下、15km/h以下、20km/h以下、30km/h以下、40km/h以下、60km/h以下、80km/h以下、および80km/hを超える平均速度それぞれに対して受信休止時間ta〜tjを720秒、360秒、180秒、120秒、90秒、60秒、45秒、30秒、22秒、および100km/hを対象とした18秒ぞれぞれに設定している。
【0020】
最新値レジスタ34は制御回路31により連続して所定回数を測位した結果から計算された最新の移動平均速度Yが記録格納されるものであり、平均値レジスタ35は、最後に受信休止時間の設定に用いられた平均速度Zを記憶格納するものであり、計算された最新の移動平均速度Yと制御回路31により最後に計算された平均速度Zとの平均値を新しい平均速度Zとして今までの記録に上書きすることにより更新格納している。
【0021】
データ出力回路36は、測位データ保持回路32に格納保持された測位データにより制御回路31で測位計算された結果を外部に出力する。
【0022】
次に、図6を参照して従来の図7との相違点について説明する。
【0023】
測位処理動作は、連続する複数の測位の結果、測位間隔と計測時の位置間隔とから移動速度が計算できるので、処理動作時間toの間の複数の移動速度の平均値から計算した平均速度Zに応じた受信休止時間ts1を受信休止時間設定テーブルから読み出して使用する。この平均速度Zは、最適化を図るため、次に図面を参照し手順を追って説明するように、受信休止区間を挟んで、一つ前に計算した平均速度Zとの平均値を採っている。
【0024】
まず、図1に図2を併せ参照して制御回路31の基本動作手順について説明する。
【0025】
測位のための駆動入力(手順S10)があった場合、制御回路31は、間欠制御回路22により電源供給回路21を駆動して電源供給をオンし、受信部1および制御回路31自体に電源供給することにより測位動作を開始(手順S11)する。制御回路31で間欠動作設定がない(手順S12のNO)場合、所定の連続測位処理(手順S13)が行われる。
【0026】
上記手順S12が“YES”で、間欠動作設定が予め設定されていた場合、制御回路31は、測位時限値txのタイマによる連続測位を開始(手順S14)して、連続測位回数がX回に到達(手順S15のYES)するまで待つ。測位時限値txは連続測位回数Xに対する連続測位処理動作時間toより大きく予め設定される。
【0027】
この連続測位中に制御回路31は、受信状態を判断し次回の手順S11における電源オンの際の測位時間が短時間での測位動作完了に支障ない場合のみ、すなわちアルマナック、エフェメリスの最新性を維持できる場合に、以降の手順が進み、下記手順S41の受信休止開始により電源をオフできる。
【0028】
ここで、X回連続測位データを出力するとしたが、これは、受信機が市街地、トンネル、高架下などの悪条件の場所を移動通過する際、測位の中断から復帰した直後のデータを使用して信頼性に欠けることを回避するためである。したがって、測位データの信頼性を確保するため、X回連続した測位のデータのみを自動設定のパラメータとして使用し、途中中断が発生した場合には自動設定のパラメータとしては使用しないこととしている。
【0029】
また、測位データをX回の平均値とすることにより、急加速、急停止のために発生した異常データを丸めることができる。
【0030】
手順S15が“YES”で回数Xに対する測位処理が終了した際、制御回路31は、図3を参照して後で詳細に説明するように、移動平均速度で受信休止時間tsを設定(手順S20)する。他方、回数Xの測位処理が未終了で、タイマの測位時限値txに到達(手順S16のYES)した際、制御回路31は、図4を参照して後で詳細に説明するように、最短受信休止時間により受信休止時間tsを設定(手順S30)する。
【0031】
上記手順S20または手順S30により受信休止時間tsが設定された際に、制御回路31は、電源をオフして低消費電流モードに入り受信休止時限値tsを有するタイマを開始させ、受信休止処理を開始(手順S41)する。低消費電流モードはタイマが時限値tsに到達(手順S42のYES)するまで継続し、次いで、制御回路31は、タイマに設定した時限値をクリア(手順S43)し、間欠制御回路22により電源をオンとすることにより測位動作を開始する上記手順S11に戻り手順を繰り返す。
【0032】
次に図1に図3を併せ参照して移動平均速度で受信休止時間tsを設定する上記手順S20の詳細処理について説明する。
【0033】
制御回路31は、上記手順S15の“YES”によりX回の最新測位結果データを得ているので、この平均速度を最新平均速度Yとして計算し、最新値レジスタ34に上書きして更新記録(手順S21)する。次いで、制御回路31は、前回の受信休止時間tsの設定に使用した平均速度Zを読み出すべく平均値レジスタ35を調査(手順S22)する。
【0034】
平均値レジスタ35に平均速度Zの格納があった(手順S23のYESの)場合、制御回路31は、この平均速度Zと更新した平均速度Yとを読み出して平均値を計算し、この計算結果を新しい平均速度Zとして平均値レジスタ35に上書きし更新記録(手順S24)する。このように、前回のデータとの平均値をとることにより軌跡のための位置情報間隔の均一性を図ることができる。
【0035】
次いで、制御回路31は、更新記録した平均速度Zにより受信休止時間設定テーブル33から受信休止時間tsを読み出し受信休止時間として設定(手順S25)し、電源をオフして低消費電流モードに入り受信休止時限値tsを有するタイマを開始させ、受診休止処理を開始する上記手順S41に進む。
【0036】
一方、上記手順S23が“NO”で平均値レジスタ35に平均速度Zの格納がない場合、制御回路31は、更新記録した最新平均速度Yを新しい平均速度Zとして平均値レジスタ35に上書き記録(手順S26)し、記録した平均速度Zにより受信休止時間設定テーブル33から受信休止時間tsを読み出し受信休止時間として設定する上記手順S25に進む。
【0037】
次に図1に図4を併せ参照して最大受信休止時間から受信休止時間tsを設定する上記手順S30の詳細処理について説明する。
【0038】
上記手順S16が“YES”で、回数Xの測位処理が未終了で、タイマの測位時限値txに到達した際に、制御回路31は、平均値レジスタ35に記録されている平均速度Zをクリア(手順S31)し、受信休止時間設定テーブル33から最大受信休止時間ta(図5の例、720秒)を読み出して、最後に使用され設定中の受信休止時間tsと比較(手順S32)する。
【0039】
測位時限値txにかかることにより、上記手順S31で平均速度Zの記録をクリアすることは受信休止時間を延長した場合に平均速度データの最新性が損なわれ、記録データが無意味なものとなってしまうことをさけるためである。
【0040】
制御回路31は、受信休止時間tsが最大受信休止時間ta未満の場合、すなわち平均速度が最低速度を超える(手順S33のYESの)場合に、次の受信休止時間tsとして予め設定された設定時間tを加えた受信休止時間(ts+t)を設定(手順S34)し、電源をオフして低消費電流モードに入ると共に受信休止時限値tsを有するタイマを開始させ、受信休止処理を開始する上記手順S41に進む。
【0041】
測位時限値txは、X回の連続した測位データが得られなかった場合、速やかに受信休止モードに移行するためである。したがって、この時限値txにかかった場合には、この手順S34に示したように、タイムアップ毎に受信休止時間を設定時間tずつ延長することとしている。
【0042】
例えば、トンネルのようなGPS信号が受信できない場所で停止または走行中の場合には、測位時限値txにかかることにより、受信休止時間を設定時間tずつ延長してバッテリの消耗の防止を図ることができる。
【0043】
一方、上記手順S33が“NO”で、受信休止時間tsが最大受信休止時間taより長い場合、すなわち平均速度が最低速度以下の場合に、制御回路31は、次の受信休止時間tsとして最大受信休止時間taを設定(手順S35)して上記手順S41に進む。
【0044】
上記説明では、機能ブロックおよび動作手順を図示して説明したが、機能の分離併合によるブロック構成の変更および手順の変更は、上記機能を満たす限り自由であり、上記説明が本発明を限定するものではない。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、間欠受信間隔を前記受信機の移動速度および移動距離に応じた受信休止時間に自動設定する受信休止時間設定手段を備える間欠受信方式を得ることができる。
【0046】
この構成により、受信機の移動速度が遅い場合にはバッテリの負担を軽減し、受信機の移動速度が速い場合にも的確な軌跡が得られるという効果を得ることができる。
【0047】
また、予め設定された測位時限値txに到達した際に連続測位データが所定回数に未達の場合に設定中の受信休止時間が前記テーブルに設定された最小値の受信休止時間値より小さな場合には設定中の受信休止時間に前記測位時限値txを加えた値を改めて設定しているので、GPS信号の受信が困難な場所でのバッテリの消耗を更に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示す機能ブロック図である。
【図2】図1の基本動作の一形態を示すフローチャートである。
【図3】図2における移動平均速度で受信休止時間tsを設定する手順の一形態を示すフローチャートである。
【図4】図2における最大受信休止時間から受信休止時間tsを設定する手順の一形態を示すフローチャートである。
【図5】図1における受信休止時間設定テーブルの一形態を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の一形態を示す間欠動作タイミング図である。
【図7】従来の一例を示す間欠動作タイミング図である。
【符号の説明】
1 受信部
2 電源制御部
3 制御部
21 電源供給回路
22 間欠制御回路
31 制御回路
32 測位データ保持回路
33 受信休止時間設定テーブル
34 最新値レジスタ
35 平均値レジスタ
36 データ出力回路
Claims (5)
- GPS衛星を用いて測位計算を行う受信機のバッテリ電源を切り替えて低消費電力化する間欠受信方式において、間欠受信間隔を前記受信機の移動速度および移動距離に応じて予め定めた受信休止時間に自動設定する受信休止時間設定手段を備え、かつ前記受信機は受信機の移動速度および移動距離に応じた受信休止時間を予め設定したテーブルを備え、
前記受信休止時間設定手段は、連続して受信する所定回数の測位データから前記受信機の移動平均速度を前記移動速度として計算する速度計算手段と、この計算結果の移動速度に応じて前記テーブルから読み出した受信休止時間を前記間欠受信間隔として自動設定する時間設定手段とを有して、予め設定された測位時限値txに到達した際に連続測位データが前記所定回数に未達の場合には設定中の受信休止時間を前記テーブルに設定された最大値の受信休止時間と比較し、設定中の受信休止時間が前記最大値より小さな場合には設定中の受信休止時間に予め定めた設定時間tを加えた値を改めて設定することを特徴とする間欠受信方式。 - 請求項1において、休止時間の呼び出しに用いる移動速度は最新の計算で得られた移動平均速度Yとこの一つ前に得られた前記移動速度Zとの平均値であることを特徴とする間欠受信方式。
- 請求項2において、一つ前に得られた移動速度Zが無記録の場合には最新の計算で得られた移動平均速度Yを適用して更新設定することを特徴とする間欠受信方式。
- 請求項3において、予め設定された測位時限値txに到達した際に連続測位データが前記所定回数に未達の場合には、記録されている移動平均速度Yおよび移動速度Zをクリアし、設定中の受信休止時間を前記テーブルに設定された最大値の受信休止時間と比較し、設定中の受信休止時間が前記最大値より小さな場合には設定中の受信休止時間に予め定めた設定時間tを加えた値を改めて設定することを特徴とする間欠受信方式。
- 請求項1または請求項4において、設定中の受信休止時間が前記最小値より大きな場合には前記最小値を改めて設定することを特徴とする間欠受信方式。
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