JP3588263B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、エポキシ樹脂組成物に関するものであり、更に詳しくは、プリント配線板やプリプレグ等への応用に好適な、保存安定性、作業性、耐熱性及びBステージ状態での成膜性に優れたエポキシ樹脂組成物及び該組成物を使用して製造されるプリプレグや樹脂付き金属箔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電気機器の軽量化、薄型化が進んでおり、例えばプリント配線板については、高密度実装化等の進行に伴って、様々な製造方法が開発されていて、その中でも樹脂付き金属箔を使用して多層プリント配線板を製造する方法は、その簡便さからして、今後も普及していくことが期待される。
【0003】
樹脂付き金属箔を使用する上記多層プリント配線板の製造方法の概要は、まず、回路パターンが形成された内層用基板の表面に、絶縁樹脂ワニス(主にエポキシ樹脂)を塗布してBステージ化させた樹脂付き金属箔を重ね合わせ、次に表層の金属箔部に回路パターンを形成し、ここへ前記と同様のBステージ化した別の樹脂付き金属箔を重ね合わせ、更に必要に応じ各回路層間の導通を形成するというものであり、このような製造方法を採用することにより、プリント配線板の高密度化、軽量化が可能となった。
【0004】
一方、上記のような電気機器の軽量化、薄型化に伴う技術開発が進む中、プリント配線板等の電気機器の部品等に使用される絶縁樹脂にも、厳しい特性が要求され続けているのであるが、そのような要求される特性を備えた絶縁樹脂は開発されていないのが現状である。即ち、例えば上記のような樹脂付き金属箔におけるBステージ化させた樹脂には、例えばロールでこれを巻き取る時等の外力が加わった際、樹脂の割れや剥がれが生じたり、或いはこれを切断する際に樹脂の粉が飛散するという問題があり、これらはいずれもプリント配線板の信頼性低下につながるものであって、解決しなければならない問題となっていたのである。
【0005】
又、プリント配線板の製造に用いられる銅張積層板は、例えばガラス布等の基材にエポキシ樹脂等の絶縁樹脂ワニスを含浸させた後、これをBステージ状態にすることでプリプレグを作成し、このプリプレグを所要枚数重ねると共に銅箔等の金属箔を積層し、加熱加圧成型することで製造されているが、前記エポキシ樹脂等の絶縁樹脂の性質に起因して、加熱加圧成型の際のBステージ状態のプリプレグの取扱性が悪く、プリプレグに外力がかかると、樹脂が割れたり、剥がれ落ちるという問題があった。
【0006】
更に、上記のような電気機器の部品等に使用される絶縁樹脂の分野における樹脂は、その耐熱性が満足される域まで達しておらず、耐熱性を更に向上させることも緊急の課題となっていた。
【0007】
一方、Bステージ状態での取扱性を良くするために、従来は、例えば主成分であるエポキシ当量の小さい樹脂に対し、エポキシ当量の大きい樹脂を配合しており、こうすることにより、Bステージでの取扱性は若干改良されるものの、逆に耐熱性は低下してしまい、又、同様に耐熱性を上げるため、例えば主成分である樹脂に対し、多官能のエポキシ樹脂を配合する試みもなされているが、この場合はBステージでの取扱性が劣るという問題がある。
【0008】
、エポキシ樹脂の耐熱性を上げるため、耐熱性高分子であるポリカルボジイミドをエポキシ樹脂に配合する方法が提案されており、耐熱性接着剤等への応用が期待されているが、アミン系のエポキシ樹脂硬化剤を併用する際に、ポットライフが短くなるという欠点もある。
【0009】
又、特開平9−241353号公報は、エポキシ樹脂の硬化剤としてのトリメリット酸無水物でグラフト変性化されたポリカルボジイミドを開示しているが、良好な物性を得るには、高い硬化温度を必要とするという問題もある一方で、更に樹脂のゲル化時間を長くすることが求められていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の難点に鑑み、溶液状態でのポットライフが長く、適度なゲルタイムを有しているため作業性もよく、更にBステージ状態での成膜性、取扱性に優れ、且つ、本硬化後の耐熱性が高いエポキシ樹脂組成物を提供することを目的としてなされた。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明が採用したエポキシ樹脂組成物の構成は、(1)エポキシ樹脂と、(2)ポリカルボジイミドのカルボジイミド基と、分子中に少なくとも一つの、前記カルボジイミド基と反応する基を持つ化合物である、(a)分子中に少なくとも一つ以上のフェノール性水酸基を持ち、且つ、該フェノール性水酸基以外に活性水素、及び、炭素−炭素不飽和結合(但し、芳香環を構成する炭素−炭素不飽和結合は除く)を持たないもの、又は、(b)分子中に少なくとも一つ以上のアミド基を持ち、且つ、アミド基以外に活性水素を持たないものの、当該カルボジイミド基と反応する基とを反応させて得られるポリマーと、(3)エポキシ樹脂の硬化剤とからなることを特徴とするものである。
【0012】
即ち、本発明者らは、ポリカルボジイミドのカルボジイミド基と、分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物の当該カルボジイミド基と反応する基とを反応させて得られるポリマー、例えば、ポリカルボジイミドと、フェノール性水酸基を持つ化合物とを反応させて得られるフェノール変性ポリカルボジイミド、又は、ポリカルボジイミドと、分子中に少なくとも一つのアミド基を持つ化合物とを反応させて得られるアミド変性ポリカルボジイミドが、室温付近では安定に存在する一方で、このポリマーを加熱すると、フェノール性水酸基を持つ化合物又は少なくとも一つのアミド基を持つ化合物が解離してカルボジイミド基が再生成する事実を見出し、この性質を利用して、保存安定性、Bステージ状態での成膜性及び耐熱性に優れたエポキシ樹脂組成物に関する本発明を完成させたものである。
【0013】
【発明の実施の態様】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0014】
本発明において用いるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等に代表されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;液状ゴム変性エポキシ樹脂等の、一分子中にエポキシ基を一つ以上有するエポキシ樹脂の1種、又は、それらの混合物を挙げることができるが、本発明で使用するエポキシ樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に知られているエポキシ樹脂であればよい。
【0015】
又、本発明において、後述する、分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物と反応させるためのポリカルボジイミド樹脂は、例えば特開昭51−61599号公報に開示されている方法、L.M.A1berinらの方法(J.Appl.Polym.Sci.,21,1999(1977)、或いは、特開平2−292316号公報に開示されている方法等によって製造することができる。即ち、有機ポリイソシアネート、好ましくは芳香族ポリイソシアネートから、イソシアネートのカルボジイミド化を促進する触媒の存在下に製造することができるものである。
【0016】
この場合の有機ポリイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−と2,6−トリレンジイソシアネートの混合物、粗トリレンジイソシアネート、粗メチレンジフェニルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメチレントリイソシアネート、キシレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネートやこれらの混合物を挙げることができる。
【0017】
又、上記ポリカルボジイミド樹脂は、その分子量をモノイソシアネートの一種類以上を用いることにより、縮重合をある段階で停止させる等して調整しつつ製造されたものでもよい。
【0018】
このようにポリカルボジイミドの末端を封止してその分子量を制御するためのモノイソシアネートとしては、フェニルイソシアネート、(オルト、メタ、パラ)−トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、メチルイソシアネート等を例示することができる。
【0019】
又、容易に類推されることであるが、この他にも末端封止剤としては、−OH、−NH、−COOH、−SH、−NHアルキル末端を有する化合物でもよい。
【0020】
本発明で使用するイソシアネートのカルボジイミド化を促進する触媒としては、種々のものを使用することができ、特に制限はないが、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシドや、これらの3−ホスホレン異性体等が、収率その他の面で好適である。
【0021】
本発明のポリカルボジイミド樹脂の合成は、無溶媒又は溶媒中で行うことができ、溶媒としては、カルボジイミド化反応において不活性であり、且つ生成するポリマーを溶解するものであれば、いずれの種類のものを使用することができる。
【0022】
上記溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルェン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、パークレン、トリクロロエタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の脂環式エーテル;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物;ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系化合物を例示することができる。
【0023】
上記溶媒の中でも、特に、100〜160℃の沸点を有するトルエン、キシレン、シクロヘキサノンやN,N−ジメチルホルムアミド等が好ましい。尚、これらの溶媒は、単独で使用しても、或いは二種以上を混合して使用してもよい。
【0024】
又、溶媒中でポリカルボジイミド合成を行う場合、好ましいポリマー濃度は10〜70重量%、更に好ましくは30〜50重量%である。70重量%以下の濃度であれば、合成中にポリカルボジイミドがゲル化する可能性が低く、又、10重量%以上であれば、ポリカルボジイミドの合成に時間がそれほどかからず、後の工程(例えばBステージ化工程)で溶媒を留去させる際、多大なエネルギーを要さなくなるので経済的である。
【0025】
尚、上記ポリカルボジイミドの合成反応の反応温度は、使用する有機ポリイソシアネートや溶媒種の選択により決定されるが、通常は30〜200℃である。
【0026】
本発明で使用するポリカルボジイミドの平均重合度(n)は、3〜200、好ましくは、5〜100であり、nが3以上であれば、分子量が適度な大きさになるためにBステージ状態において良好な成膜性が発現し、又、nが200以下であれば、合成中にゲル化する可能性が低く、後に行う分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物との反応に多大な時間を要することはない。
【0027】
尚、ここでいう平均重合度nとは、ポリカルボジイミドの合成の原料である有機ジイソシアネートと末端封止剤(例えばモノイソシアネート)のモル比から算出されるものであり、以下の式で定義される。
n=2×(ジイソシアネートのモル数/末端封止剤のモル数)
【0028】
尚、末端封止剤を使用しない場合の平均重合度nは、滴定により、具体的にはポリカルボジイミドの末端のイソシアネート基にある種のアミンを反応させ、次いで反応したこのアミンの量を滴定により求め、この値からポリカルボジイミドの末端のイソシアネート基の量を、そしてこの値からポリカルボジイミドの平均重合度nを算出すればよい。
【0029】
一方、本発明において上記ポリカルボジイミドと反応させるための、分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物としては、まず、分子中に少なくとも一つのフェノール性水酸基を持つ化合物(以下、フェノール性水酸基を持つ化合物という)を例示することができ、この化合物は、分子中に少なくとも一つ以上のフェノール性水酸基を持ち、且つ、該フェノール性水酸基以外に活性水素、及び、炭素−炭素不飽和結合(但し、芳香環を構成する炭素−炭素不飽和結合は除く)を持たないものであり、又、ここでいう活性水素とは、酸素及び窒素に直結している水素を意味している。
【0030】
このような化合物としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノ−ル、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−ブチルフェノール、3−ブチルフェノール、4−ブチルフェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、4−エトキシフェノール、2−シアノフェノール、3−シアノフェノール、4−シアノフェノール、カテコール、ハイドロキノン、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、メチルヒドロキノン、2−ブチルヒドロキノン、フロログルシノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、フェノール樹脂(例;群栄化学工業(株)製『レヂトップ』(商品名)等)を例示することができ、これらは単独或いは2種以上を混合して用いてもよい。
【0031】
中でも、耐熱性に代表される本発明エポキシ樹脂組成物の特性の観点からは、上記フェノール性水酸基を有する化合物としては、式(1)
【化1】
Figure 0003588263
で表されるものが好ましい。
【0032】
上記式中、nは0〜5の整数を、Rは低級アルキル基又はアルコキシ基をそれぞれ表し、nが2以上の場合、Rは同一であっても異なっていてもよく、このような化合物としては、上記例示化合物中のフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,3,6−トリメチルフェノール、2,4,6−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノ−ル、2−エチルフェノール、3−エチルフェノール、4−エチルフェノール、2−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−ブチルフェノール、3−ブチルフェノール、4−ブチルフェノール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、2−エトキシフェノール、4−エトキシフェノールを挙げることができる。
【0033】
又、本発明において上記ポリカルボジイミドと反応させるための、分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物としては、分子中に少なくとも一つのアミド基を持つ化合物(以下、アミド基を持つ化合物という)を例示することができ、この化合物は、一分子中に少なくとも一つ以上のアミド基(CONH)を有し、且つ、アミド基以外に活性水素を持たないものであり、又、ここでいう活性水素とは、酸素及び窒素に直結している水素を意味している。
【0034】
上記のようなアミド基を有する化合物としては、メチルアセトアミド、エチルアセトアミド、ベンズアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−アリルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタムを挙げることができ、その中でも特にε−カプロラクタム、δ−バレロラクタムが、反応時間が短くてすむために経済的であり、特にε−カプロラクタムが安価である等の点から好ましい。
【0035】
上記ポリカルボジイミドと、フェノール性水酸基を持つ化合物或いはアミド基を持つ化合物の使用量としては、ポリカルボジイミドのカルボジイミド基と、フェノール性水酸基を持つ化合物のフェノール性水酸基或いはアミド基を持つ化合物のアミド基との当量比で10:1〜50、好ましくは10:8〜15となる範囲を例示することができ、上記化合物の当量比において、カルボジイミド基10に対するフェノール性水酸基を有する化合物のフェノール性水酸基或いはアミド基を持つ化合物のアミド基の当量比が1以上ならば、カルボジイミド基の存在量が適度な量となるため、保存安定性が良好となり、又、当該当量が50以下ならば、硬化後の耐熱性を損ねる恐れがない。
【0036】
ポリカルボジイミドのカルボジイミド基と、フェノール性水酸基を持つ化合物或いはアミド基を持つ化合物のフェノール性水酸基或いはアミド基との反応に際しては、例えば上記フェノール性水酸基を持つ化合物又はアミドを持つ化合物をそのままポリカルボジイミドに混合してもよいし、適当な溶剤に溶解又は希釈させてから混合してもよく、逆に、フェノール性水酸基を持つ化合物又はアミドを持つ化合物にポリカルボジイミドを添加してもよい。
【0037】
上記反応の際に使用する溶媒としては、上記反応を阻害せず、且つ、出発物質及び生成物を溶解し得るものが好ましく、例えば前記ポリカルボジイミドの合成に使用した溶媒と同一のものを挙げることができるが、当該溶媒とは異なっていてもよく、又、この溶媒の使用量としては、最終生成物の濃度が5〜70重量%、好ましくは20〜50重量%になる範囲を挙げることができる。
【0038】
又、上記反応の反応温度は、20〜160℃、好ましくは50〜140℃であり、20℃以上であれば反応速度が適度となり、又、160℃以下であれば、カルボジイミド基の再生成が生じないため、反応完結に時間を要することはない。尚、この際、反応を促進する公知の触媒(アルカリ金属のアルコラート、有機スズ化合物や有機亜鉛化合物等)を使用してもよい。
【0039】
このようにして合成された、ポリカルボジイミドのカルボジイミド基とフェノール性水酸基を持つ化合物のフェノール性水酸基とを反応させて得られるポリマー(以下、フェノール変性ポリカルボジイミドという)、或いは、ポリカルボジイミドのカルボジイミド基とアミド基を持つ化合物のアミド基とを反応させて得られるポリマー(以下、アミド変性ポリカルボジイミドという)は、これを単離しても、又、単離しなくてもよいが、単離する場合は、これらポリマーの溶液(例えばトルエン溶液)に対し、当該ポリマーに対する貧溶媒である脂肪族炭化水素(例えばn−ヘキサン)を添加し、当該ポリマーを析出させればよい。
【0040】
一方、本発明で使用するエポキシ樹脂の硬化剤としては、一般的にエポキシ樹脂の硬化剤として公知のものであるポリアミン類(脂環族ポリアミン、芳香族ポリアミン、変性ポリアミン)、酸無水物、ポリフェノール、ポリメルカプタン等の1種又は混合物を例示することができる。
【0041】
具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキシスピロ−(5、5’)ウンデカンアダクト、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルスルホン、フェニレンジアミン、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水ピロメリット酸、フェノールノボラック、ポリメルカプタン、2−エチル−4−メチルイミダゾール等を挙げることができる。
【0042】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記説明したように(1)エポキシ樹脂と、(2)ポリカルボジイミドのカルボジイミド基と、分子中に少なくとも一つの、前記カルボジイミド基と反応する基を持つ化合物である、(a)分子中に少なくとも一つ以上のフェノール性水酸基を持ち、且つ、該フェノール性水酸基以外に活性水素、及び、炭素−炭素不飽和結合(但し、芳香環を構成する炭素−炭素不飽和結合は除く)を持たないもの、又は、(b)分子中に少なくとも一つ以上のアミド基を持ち、且つ、アミド基以外に活性水素を持たないものの当該カルボジイミド基と反応する基とを反応させて得られるポリマーと、(3)エポキシ樹脂の硬化剤とからなるものであるが、これら構成成分の配合量については以下の通りである
【0043】
即ち、ポリカルボジイミドと、分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物とを反応させて得られるポリマーは、これをエポキシ樹脂100重量部に対し、1〜500重量部、好ましくは5〜100重量部、更に好ましくは10〜30重量部添加するものであり、1重量部以上添加することで、成膜性、耐熱性の面で添加効果が現れ始め、逆に500重量部より多いときは、エポキシ樹脂本来の物性が損なわれる恐れがある。
【0044】
又、上記エポキシ樹脂の硬化剤については、エポキシ樹脂1当量に対し、0.1〜1.2当量であることが好ましく、0.5〜1.0当量であることが更に好ましい。エポキシ樹脂の硬化剤が0.1当量以上あれば、良好な物性を有する硬化物が得られ、又、1.2当量以下であれば、硬化物の耐熱性等の低下は見られない。
【0045】
本発明では、更に、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール等のイミダゾール類や、第三アミン類等の硬化助剤(促進剤)を併用することも可能であり、その使用量としては、エポキシ樹脂100重量部に対し、0.1〜5重量部が好ましい。尚、前記硬化剤及び/又はこれらの硬化助剤(促進剤)は、エポキシ樹脂にそのまま添加するか、或は、適当な溶剤に溶解させて添加してもよい。
【0046】
又、本発明では必要に応じ、タルク、クレー、マイカ、シリカ、ゼオライト、グラファイト等の無機充填剤や液状ゴム[例えば宇部興産(株)製のCTBNやATBN等]を使用することもでき、これらのうちの無機充填剤は、硬化物の熱膨張係数を低下する面で効果が、又、液状ゴムはBステージ状態での樹脂被膜の可撓性を補助する面で効果があり、本発明ではエポキシ樹脂組成物の他の特性が損なわれない程度で添加することができる。
【0047】
上記エポキシ樹脂と、ポリカルボジイミドと分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物とを反応させて得られるポリマーと、エポキシ樹脂の硬化剤、及び、必要に応じて添加される成分を混合する方法については、特に制限はなく、即ち、それら三種の成分を同時に混合してもよいし、何れか二者を混合した後に残りの一者を混合してもよい。又、三種の成分その他のいずれかが固形物である場合、これを適当な溶媒に溶解した後に混合してもよい。
【0048】
もちろん、ポリカルボジイミドと分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物とを反応させて得られるポリマーは、その複数種(例えば、フェノール変性ポリカルボジイミド及びアミド変性ポリカルボジイミド)を併用することもできる。
【0049】
更に、上記三種の成分を混合する際必要に応じ、硬化反応が始まらない程度に加温(例えば40〜60℃)することもでき、当然であるがこの際に前記硬化助剤や各種添加剤を混合してもよい。
【0050】
こうして得られた本発明のエポキシ樹脂組成物は、必須成分であるポリカルボジイミドと分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物とを反応させて得られるポリマー、例えば上記フェノール変性ポリカルボジイミド或いはアミド変性ポリカルボジイミドにおいて、ゲル化の原因となるカルボジイミド基の存在量が少ないために、非常に保存安定性に優れており、又、このポリマーが良好な成膜性を有するために、本発明のエポキシ樹脂組成物についても成膜性が向上し、更に、加熱することでカルボジイミド基の再生成が起きるため、耐熱性に優れたポリカルボジイミドの特性を発揮させることが可能となるものである。
【0051】
そして、得られた本発明のエポキシ樹脂組成物は、例えば多層プリント配線板の製造時に使用されるプリプレグや、樹脂付き金属箔に応用することができる。尚、プリプレグとは、一般にガラスクロスに樹脂を含浸させ、これを乾燥させたものであるが、それ以外にも、基材として紙、有機繊維布、カーボンクロス、ガラス不織布等が知られており、本発明においては、何れの基材をも使用することが可能である。
【0052】
又、樹脂の塗布方法、含浸方法、乾燥方法については特に限定されるものではなく、例えば乾燥条件については、使用する溶剤の沸点により適宜に決定することができるが、あまり高温は好ましくなく、更に、前記プリプレグを一枚又は複数枚積層し、加熱加圧して一体化させた積層板や、最外層に金属箔を重ねた多層プリント配線板を製造することもできる。
【0053】
一方、樹脂付き金属箔は、近年になって多層プリント配線板を製造する際に良く使用されており、その金属箔の種類についてはニッケル箔や銅箔が知られており、更に何れの金属箔も使用することができるが、プリント配線板製造時においては、銅箔がコストや性能の面から最も一般的に使用されていることから、本発明においても銅箔を使用することが好ましい。そして、これら金属箔上に本発明の樹脂組成物を塗布し、Bステージ化することで、可撓性に優れた樹脂付き金属箔を得ることができる。
【0054】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、これにより本発明を制限するものではない。
【0055】
イソウレア結合を有するポリマーの合成
合成例1
冷却管を付けた1lの4ツ口フラスコに、トリレンジイソシアネート(TDI)200g、フェニルイソシアネート20.0g、シクロヘキサノン248g及び3−メチル−1−フェニルー2−ホスホレンー1−オキシド0.44gを仕込み、100℃で4.5時間反応を行ったところ、橙色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=2.1×10;MnはGPCから求めた数平均分子量で、ポリスチレン換算値を表す[以下、実施例において同様である])を得た。ここヘ、シクロヘキサノン170gに希釈したm−クレゾール160gを、130℃で撹拌しながら添加した。130℃で2時間反応させた後、100℃で2時間、更に50℃で8時間反応させ、赤褐色透明のワニス(Mn=3.5×10)を得た。このワニスのIRスぺクトルを測定したところ、2137cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1667cm−1にイソウレアと帰属される吸収が観測された。このワニスをワニス1とする。
【0056】
合成例2
冷却管を付けた1lの4ツ口フラスコに、TDI200g、フェニルイソシアネート7.0g、シクロヘキサノン360g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.42gを仕込み、100℃で5時間反応を行ったところ、橙色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=5.2×10)を得た。ここへ、シクロヘキサノン108gに希釈したp−クレゾール46.3gを、130℃で撹拌しながら添加した。130℃で2時間反応させた後、順次100℃で3時間、70℃で5時間、40℃で5時間反応させ、最終的に赤褐色透明のワニス(Mn=9.0×10)を得た。このワニスのIRスぺクトルを測定したところ、2137cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1667cm−1にイソウレアと帰属される吸収が観測された。このワニスをワニス2とする。
【0057】
合成例3
冷却管を付けた1lの4ツ口フラスコに、TDI90g、フェニルイソシアネート1.24g、シクロヘキサノン612g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.18gを仕込み、100℃で8時間反応を行ったところ、橙色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=1.2×10)を得た。ここへ、m‐クレゾール85gとメタノールに溶解させたナトリウムメトキシド0.1gを加え、100℃で30時間、更に60℃で10時間反応させたところ、赤褐色透明のワニス(Mn=2.1×10)を得た。このワニスのIRスぺクトルを測定したところ、2137cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1668cm−1にイソウレアと帰属される吸収が観測された。このワニスをワニス3とする。
【0058】
合成例4
冷却管を付けた1lの4ツ口フラスコに、TDI200g、フェニルイソシアネート54.7g、トルエン291g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.51gを仕込み、90℃で4時間反応を行ったところ、黄色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=7.2×10)を得た。ここへ、トルエン130gに溶解したフェノール194gを添加し、順次、トルエン還流下で3時間、100℃で6時間、60℃で6時間反応させたところ、黄色透明のワニス(Mn=1.2×10)を得た。このワニスのIRスぺクトルを測定したところ、2137cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1668cm−1にイソウレアと帰属される吸収が観測された。このワニスをワニス4とする。
【0059】
合成例5
冷却管を付けた1lの4ツ口フラスコに、TDI120g、フェニルイソシアネート12.0g、シクロヘキサノン150g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.26gを仕込み、100℃で4.5時間反応を行ったところ、橙色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=2.0×10)を得た。ここへ、300gのシクロヘキサノンに溶解したp−メトキシフェノール140gを添加し、130℃で3時間反応させた後、90℃で8時間、更に60℃で4時間反応させ、赤褐色透明のワニス(Mn=3.5×10)を得た。このワニスのIRスぺクトルを測定したところ、2137cm−1のカルポジイミド基はほとんど消失し、1666cm−1にイソウレアと帰属される吸収が観測された。このワニスをワニス5とする。
【0060】
合成例6
冷却管を付けた1lの4ツ口フラスコに、TDI100g、フェニルイソシアネート10.0g、シクロヘキサノン124g及び3−メチル−1−フェニルー2−ホスホレン−1−オキシド0.22gを仕込み、100℃で5時間反応を行ったところ、橙色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=2.1×10)を得た。ここへ、シクロヘキサノン500gに溶解したビスフェノールA178g、及び、ナトリウムメトキシド0.33gをメタノールに溶解させた溶液を添加し、100℃で3時間反応させた後、更に60℃で4時間反応させ、赤褐色半透明のワニス(Mn=4.3×10)を得た。このワニスのIRスぺクトルを測定したところ、2137cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1667cm−1にイソウレアと帰属される吸収が観測された。このワニスをワニス6とする。
【0061】
合成例7
冷却管を付けた1lの4ツ口フラスコに、TDI50g、フェニルイソシアネート13.7g、シクロヘキサノン73g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.13gを仕込み、90℃で4.5時間反応を行ったところ、橙色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=7.9×10)を得た。ここへ、シクロヘキサノン440gに溶解させたノボラック型フェノール樹脂{群栄化学工業(株)製『レヂトップPSM4261』(商品名:OH当量=103)}146gを加え、130℃で5時間、100℃で4時間、60℃で4時間反応させたところ、濃赤褐色透明のワニス(Mn=2.9×10)を得た。このワニスのIRスぺクトルを測定したところ、2137cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1667cm−1にイソウレアと帰属される吸収が観測された。このワニスをワニス7とする。
【0062】
合成例8
冷却管を付けた1lの4ツ口フラスコに、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)50g、フェニルイソシアネート5.3g、シクロヘキサノン182g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.71gを仕込み、80℃で5時間反応を行ったところ、淡黄色ポリカルボジイミドワニス(Mn=1.8×10)を得た。ここへ、シクロヘキサノン70gに希釈させたm−クレゾール36.3gと、ナトリウムメトキシド0.33gをメタノールに溶解させた溶液を添加し、120℃で3時間、次いで90℃で5時間、更に60℃で5時間反応させ、褐色透明のワニス(Mn=2.7×10)を得た。このワニスのIRスぺクトルを測定したところ、2110cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1667cm−1にイソウレアと帰属される吸収が観測された。このワニスをワニス8とする。
【0063】
アミド変性ポリカルボジイミドの合成例
合成例9
冷却管、撹拌モーターを付けた1lの4ツ口フラスコに、TDI87g、PI13.2g、溶媒としてのトルエン177g、及び、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.2gを仕込み、120℃で3.5時間反応を行ったところ、黄色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=1.5×10;MnはGPCから求めた数平均分子量で、ポリスチレン換算値を表す〔以下の合成例において同様である〕)を得た。次いで、ここへ222gのジメチルホルムアミド(以下、DMFと記す)に溶解させたε−カプロラクタム95g及び2−エチルヘキサン酸亜鉛0.075g加え、130℃で5時間、更に70℃で6時間反応させ、赤褐色透明のワニスを得た。このワニスのIRスペクトルを測定したところ、2137cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1660cm−1にカルボジイミドとアミドの反応により生成したカルボニル基の吸収が観測された。このワニスをワニス9とする。
【0064】
合成例10
冷却管、撹拌モーターを付けた1lの4ツ口フラスコに、TDI87g、PI2.43g、トルエン177g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.18gを仕込み、120℃で4時間反応を行ったところ、黄色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=5.4×10)を得た。次いで、ここへ336gのDMFに溶解させたε−カプロラクタム144g及び2−エチルヘキサン酸亜鉛0.068g加え、150℃で5時間、更に100℃で6時間反応させ、赤褐色透明のワニスを得た。このワニスのIRスペクトルを測定したところ、2137cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1660cm−1にカルボジイミドとアミドの反応により生成したカルボニル基の吸収が観測された。このワニスをワニス10とする。
【0065】
合成例11
冷却管、撹拌モーターを付けた1lの4ツ口フラスコに、TDI87g、PI13.2g、トルエン177g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.2gを仕込み、120℃で3.5時間反応を行ったところ、黄色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=1.5×10)を得た。次いで、ここへ194gのDMFに溶解させたδ−バレロラクタム83g及び2−エチルヘキサン酸亜鉛0.075g加え、130℃で5時間、更に70℃で6時間反応させ、赤褐色透明のワニスを得た。このワニスのIRスペクトルを測定したところ、2137cm−lのカルボジイミド基はほとんど消失し、1660cm−1にカルボジイミドとアミドの反応により生成したカルボニル基の吸収が観測された。このワニスをワニス11とする。
【0066】
合成例12
冷却管、撹拌モーターを付けた1lの4ツ口フラスコに、MDI100g、PI10.6g、テトラヒドロフラン(以下、THFと記す)364g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.22gを仕込み、80℃で5時間反応を行ったところ、淡黄色ポリカルボジイミドワニス(Mn=1.8×103)を得た。次いで、ここへDMF178gに溶解させたε−カプロラクタム76g及び2−エチルヘキサン酸亜鉛0.09g加え、130℃で5時間、100℃で4時間更に70℃で3時間反応させ、赤褐色透明のワニスを得た。このワニスのIRスペクトルを測定したところ、2110cm−lのカルボジイミド基はほとんど消失し、1660cm−lにカルボジイミドとアミドの反応により生成したカルボニル基の吸収が観測された。このワニスをワニス12とする。
【0067】
合成例13(比較例用のワニス)
冷却管、撹拌モーターを付けた500mlの4ツ口フラスコに、TDI87g、PI13.2g、トルエン177g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0・2gを仕込み、120℃で3.5時間反応を行ったところ、黄色透明のポリカルボジイミドワニス(Mn=1.5×10)を得た。このワニスをワニス13とする。
【0068】
合成例14(比較例用のワニス)
冷却管を付けた1lの4ツ口フラスコに、MDI100g、PI10.6g、THF364g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.22gを仕込み、80℃で5時間反応を行ったところ、淡黄色ポリカルボジイミドワニス(Mn=1.8×10)を得た。このワニスをワニス14とする。
【0069】
合成例15(比較例用のワニス)
冷却管を付けた500mlの4ツ口フラスコに、フェニルイソシアネート50g、シクロヘキサノン95g、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.10gを仕込み、90℃で3時間反応させたところ、褐色透明のモノカルボジイミドワニスを得た。ここへ、シクロヘキサノン50gに希釈させたm−クレゾール27gを添加し、130℃で2時間、90℃で3時間反応を行い、褐色透明のワニスを得た。このワニスのIRスぺクトルを測定したところ、2137cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1667cm−1にイソウレアと帰属される吸収が観測された。このワニスをワニス15とする。
【0070】
合成例16(比較例用のワニス)
冷却管、撹拌モーターを付けた500mlの4ツ口フラスコに、PI50g、トルエン95g及び3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド0.18gを仕込み、90℃で3時間反応を行ったところ、淡黄色透明のモノカルボジイミドワニスを得た。次いで、ここへ50gのDMFに溶解させたε−カプロラクタム28g及び2−エチルヘキサン酸亜鉛0.05g加え、120℃で4時間、更に70℃で4時間反応させ、赤褐色透明のワニスを得た。このワニスのIRスペクトルを測定したところ、2140cm−1のカルボジイミド基はほとんど消失し、1660cm−1にカルポジイミドとアミドの反応により生成したカルボニル基の吸収が観測された。このワニスをワニス16とする。
【0071】
実施例1乃至30及び比較例1乃至5
上記合成例で合成したワニス、エポキシ樹脂及び硬化剤を、表1及び表2に示す組成(重量%)で混合し、溶液の保存安定性、Bステージ状態での成膜性、ゲル化時間及び硬化物のガラス転移点(以下Tgと記す)について、下記の方法に従い評価を行った。
【0072】
保存安定性
表1及び表2に示す各組成の溶液を室温で保存し、不溶物の生成若しくはゲル化が生じるか否かを、目視にて観察した。
【0073】
Bステージ状態での成膜性
日本電解(株)製銅箔(YGP−18)に、樹脂の厚みが60〜80μmになるように塗布し、これを170℃〜190℃の乾燥器にて1〜3分熱処理し、樹脂のタック性、及び、得られた樹脂付銅箔を180°折り曲げた際の樹脂のヒビ割れの有無を観察した。
【0074】
ゲル化時間
JIS C 6521に準じ、170℃の熱盤上での樹脂のゲル化時間を測定した。
【0075】
Tgの測定
表1及び表2に示す各組成の溶液を、樹脂の厚みが約0.1mmになるようにアルミ箔に塗布し、これを175℃で90分熱処理した。得られた硬化試料を5%水酸化ナトリウム水溶液に浸してアルミ箔を溶解し、水洗、乾燥した後、これを約2.5cm×0.5cm×0.1mmに切断したものを、Tg測定用試料とした。
【0076】
Tgの測定には、(株)東洋精機製作所製のレオグラフソリッドを用いて、室温から250℃までの弾性率及びtanδの温度分散を測定し、tanδのピークトップ温度をTgとした。尚、周波数は10Hz、昇温混度は5℃/分とした。
【0077】
結果を表3に示す。
【0078】
【表1】
Figure 0003588263
【0079】
【表2】
Figure 0003588263
【0080】
【表3】
Figure 0003588263
【0081】
尚、表1,2中の商品名は、以下の化合物を示している。
エピコート828・・・油化シェルエポキシ製ビスフェノールA型エポキシ樹脂
SCN−195XL・・・住友化学工業(株)製クレゾールノボラック型エポキシ樹脂
YDPN−638・・・東都化成(株)製フェノールノボラック型エポキシ樹脂
【0082】
又、実施例1〜17に関しては、エポキシ樹脂100重量部に対し、硬化剤(ジシアンジアミド)6.7重量部及び溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド[以下、DMFという])100重量部が、実施例18〜22に関しては、エポキシ樹脂100重量部に対し、ジシアンジアミド10.0重量部及びDMF100.0重量部が、実施例23〜30に関しては、エポキシ樹脂100重量部に対し、ジシアンジアミド6.7重量部、2−メチルイミダゾール(四国化成(株)製)0.1重量部及びDMF50重量部がそれぞれ配合されている。
【0083】
又、比較例1〜4に関しては、エポキシ樹脂100重量部に対し、DMF100.0重量部が、比較例5に関しては、エポキシ樹脂100重量部に対し、2−メチルメチルイミダゾール0.1重量部及びDMF50重量部がそれぞれ配合されている。
【0084】
尚、表3中の記号は、以下の意味を示す。
Figure 0003588263
【0085】
【発明の効果】
以上の実施例及び比較例から明らかなように、本発明のエポキシ樹脂組成物は、保存安定性、成膜性、作業性、耐熱性等に優れており、プリント配線板等の電機器の部品等の電子材料分野への応用に好適である。

Claims (7)

  1. (1)エポキシ樹脂と、(2)ポリカルボジイミドのカルボジイミド基と、分子中に少なくとも一つの、前記カルボジイミド基と反応する基を持つ化合物である、(a)分子中に少なくとも一つ以上のフェノール性水酸基を持ち、且つ、該フェノール性水酸基以外に活性水素、及び、炭素−炭素不飽和結合(但し、芳香環を構成する炭素−炭素不飽和結合は除く)を持たないもの、又は、(b)分子中に少なくとも一つ以上のアミド基を持ち、且つ、アミド基以外に活性水素を持たないものの、当該カルボジイミド基と反応する基とを反応させて得られるポリマーと、(3)エポキシ樹脂の硬化剤とからなることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. ポリカルボジイミドは、その平均重合度が3〜200のものである請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. ポリカルボジイミドのカルボジイミド基と、分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物の当該カルボジイミド基と反応する基とを反応させて得られるポリマーが、ポリカルボジイミドと、分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物とを、カルボジイミド基と該カルボジイミド基と反応する基の当量比で10:1〜50の範囲で反応させて得られるものである請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. ポリカルボジイミドのカルボジイミド基と、分子中に少なくとも一つのカルボジイミド基と反応する基を持つ化合物の当該カルボジイミド基と反応する基とを反応させて得られるポリマーの配合量が、エポキシ樹脂100重量部に対し1〜500重量部である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. エポキシ樹脂の硬化剤の配合量が、エポキシ樹脂1当量に対し0.1〜1.2当量である請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を金属箔に塗布した後、加熱成形してなる樹脂付き金属箔。
  7. 請求項1乃至のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物と基材とからなるプリプレグ。
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