JP3587141B2 - 電界放射型電子源及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電界放射により電子線を放射するようにした電界放射型電子源及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本願発明者らは、多孔質多結晶半導体層(例えば、多孔質化された多結晶シリコン層<ポーラスポリシリコン層>)を急速熱酸化(RTO)技術によって急速熱酸化することによって、導電性基板と金属薄膜(表面電極)との間に介在し導電性基板から注入された電子がドリフトする強電界ドリフト層を形成した電界放射型電子源を提案した。
【0003】
この電界放射型電子源10’は、例えば、図8に示すように、導電性基板たるn形シリコン基板1の主表面側に酸化した多孔質多結晶シリコン層(ポーラスポリシリコン層)よりなる強電界ドリフト層6が形成され、強電界ドリフト層6上に金属薄膜よりなる表面電極7’が形成され、n形シリコン基板1の裏面にオーミック電極2が形成されている。
【0004】
図8に示す構成の電界放射型電子源10’では、図9に示すように、表面電極7’を真空中に配置するとともに表面電極7”に対向してコレクタ電極21を配置し、表面電極7’をn形シリコン基板1(オーミック電極2)に対して正極として直流電圧Vpsを印加するとともに、コレクタ電極21を表面電極7’に対して正極として直流電圧Vcを印加することにより、n形シリコン基板1から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフトし表面電極7’を通して放出される(なお、図9中の一点鎖線は表面電極7’を通して放出された電子e−の流れを示す)。したがって、表面電極7’としては、仕事関数の小さな材料を用いることが望ましい。ここにおいて、表面電極7’とオーミック電極2との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと称し、コレクタ電極21と表面電極7’との間に流れる電流を放出電子電流Ieと称し、ダイオード電流Ipsに対する放出電子電流Ieの比率(Ie/Ips)が大きいほど電子放出効率が高くなる。なお、この電界放射型電子源10’では、表面電極7’とオーミック電極2との間に印加する直流電圧Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることができる。
【0005】
この電界放射型電子源10’では、電子放出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して電子を高い電子放出効率で放出することができる。ここにおいて、強電界ドリフト層6は、図10に示すように、少なくとも、柱状の多結晶シリコン51(グレイン)と、多結晶シリコン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、多結晶シリコン51間に介在するナノメータオーダの微結晶シリコン63と、微結晶シリコン63の表面に形成され当該微結晶シリコン63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁層であるシリコン酸化膜64とから構成されると考えられる。
【0006】
すなわち、強電界ドリフト層6は、各グレインの表面が多孔質化し各グレインの中心部分では結晶状態が維持されていると考えられる。したがって、強電界ドリフト層6に印加された電界はほとんどシリコン酸化膜64にかかるから、注入された電子はシリコン酸化膜64にかかっている強電界により加速され多結晶シリコン51間を表面に向かって図10中の矢印Aの向きへ(図10中の上方向へ向かって)ドリフトするので、電子放出効率を向上させることができる。ここにおいて、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホットエレクトロンであると考えられ、表面電極7’を容易にトンネルし真空中に放出される。なお、表面電極7’の膜厚は10nmないし15nm程度に設定されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の電界放射型電子源10’の電子放出効率を向上させるには、表面電極7’での電子の散乱を減らすことが必要である。このため、表面電極7’の性質としては、当該表面電極7’である金属薄膜の膜中での電子散乱が少なく且つ下地(上記の例では強電界ドリフト層6)との密着性が高くフォトリソグラフィやアニール等の工程においても剥離を生じないことが要求される。そこで、密着性の高い金属材料よりなる第1の金属層を強電界ドリフト層6上に形成し、さらに第1の金属層上に電子散乱が少ない金属材料よりなる第2の金属層を積層することにより第1の金属層と第2の金属層とからなる表面電極を形成することが考えられるが、密着性の高い金属材料での電子散乱が多い(散乱確率が高い)ので、電子散乱が多い金属材料のみを用いた場合と同様に表面電極中での電子散乱が多くなってしまい、電子放出効率が低下するという不具合があった。また、製造プロセスの途中などに強電界ドリフト層6から表面電極が剥離してしまうと、歩留まりが低下してコストが増加したり、経時安定性および信頼性が低下してしまうという不具合があった。なお、この種の不具合は例えばMIM(Metal Insulator Metal)型やMOS(Metal Oxide Semiconductor)型などの他の電界放射型電子源においても発生する。
【0008】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、電子散乱による電子放出効率の低下が少なく経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記強電界ドリフト層である多孔質物質は、少なくとも、導電性基板の一表面側に形成された柱状の多結晶シリコンと、多結晶シリコン間に介在するナノメータオーダの微結晶シリコンと、微結晶シリコンの表面に形成され当該微結晶シリコンの結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とからなり、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低いことを特徴とするものであり、上記強電界ドリフト層が、少なくとも、導電性基板の一表面側に形成された柱状の多結晶シリコンと、多結晶シリコン間に介在するナノメータオーダの微結晶シリコンと、微結晶シリコンの表面に形成され当該微結晶シリコンの結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とからなるので、電子放出特性の真空度依存性が小さくかつ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して高効率で電子を放出することができ、しかも、上記導電性薄膜が、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低いので、強電界ドリフト層をドリフトした電子が導電性薄膜中で散乱されにくく電子放出効率が向上しかつ導電性薄膜が電界ドリフト層から剥離するのを防止することができ、経時安定性が向上するとともに、歩留まりが高くなって低コスト化を図ることができる。
【0012】
請求項2発明は、請求項1の発明において、上記導電性薄膜は、当該導電性薄膜を構成する材料それぞれのd軌道の電子が混成軌道を作ることによって上記各材料それぞれのd軌道と異なるd軌道を形成しているので、上記導電性薄膜が、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い性質をもつことができる。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、上記導電性薄膜は、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなるので、上記導電性薄膜そのものの経時安定性が向上する。
【0014】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、上記導電性薄膜が、少なくともAuを含むので、耐酸化性および経時安定性の高い電界放射型電子源を実現することができる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、上記導電性薄膜が、少なくともCrを含むので、上記強電界ドリフト層への上記導電性薄膜の密着性が高い電界放射型電子源を実現することができる。
【0016】
請求項6の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスを備えることを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができる。
請求項7の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスを備えることを特徴とし、フォトリソグ ラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができる。
【0019】
請求項8の発明は、請求項6または請求項7の発明において、上記安定化プロセスは、被処理膜の最表面にUV光を照射しながら被処理膜を加熱するプロセスよりなるので、被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する処理時間を短縮することができ、スループットが向上する。
【0020】
請求項9の発明では、請求項6または請求項7の発明において、上記安定化プロセスは、被処理膜の最表面にUV光およびオゾンを照射しながら被処理膜を加熱するプロセスよりなるので、被処理膜の有機物による汚染を防止することができて有機物の汚染による電子放出効率の低下を防止することができ、より電子放出効率の高い電界放射型電子源を提供することができる。
【0021】
請求項10の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料からなる第1の層と上記第2の材料からなる第2の層とを積層する成膜工程と、少なくとも第1の層と第2の層とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、また、成膜工程において単元素材料を用いることができ、成膜工程において材料の組成比を考慮する必要がなく低コスト化が可能になるとともにプロセスの簡便化を可能になる。
請求項11の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低 い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料からなる第1の層と上記第2の材料からなる第2の層とを成膜する成膜工程と、少なくとも第1の層と第2の層とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、また、成膜工程において単元素材料を用いることができ、成膜工程において材料の組成比を考慮する必要がなく低コスト化が可能になるとともにプロセスの簡便化を可能になる。
【0022】
請求項12の発明は、請求項10または請求項11の発明において、上記成膜工程では、第1の層を強電界ドリフト層上に成膜し、最表面側に第2の層を成膜するので、強電界ドリフト層上に当該強電界ドリフト層に対する密着性の高い第1の層が成膜されていることにより、プロセス耐性が向上する。
【0023】
請求項13の発明は、請求項10または請求項11の発明において、上記成膜工程では、各材料からなる各層をスパッタ法により積層するので、成膜工程を半導体プロセスで利用される一般的な方法により行うことができる。
【0024】
請求項14の発明は、請求項10または請求項11の発明において、上記成膜工程では、各材料からなる各層を蒸着により積層するので、成膜工程を半導体プロセスで利用される一般的な方法により行うことができる。
【0025】
請求項15の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と第2の材料とが混合された状態の被処理膜を成膜する成膜工程と、被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができる。請求項16の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と第2の材料とが混合された状態の被処理膜を成膜する成膜工程と、被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセ スとを備えることを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができる。
【0026】
請求項17の発明は、請求項15または請求項16の発明において、上記成膜工程では、少なくとも2種類の材料を同時にスパッタすることにより成膜するので、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
【0027】
請求項18の発明は、請求項15または請求項16の発明において、上記成膜工程では、少なくとも2種類の材料を同時に蒸着することにより成膜するので、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
【0028】
請求項19の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化合物化されたターゲットをスパッタして成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
請求項20の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化 合物化されたターゲットをスパッタして成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
【0029】
請求項21の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化合物化された物質を蒸着して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
請求項22の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化 合物化された物質を蒸着して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
【0030】
請求項23の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも第1の材料からなる第1の単位層と第2の材料からなる第2の単位層とを合金化若しくは化合物化する程度の膜厚で順次積層して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
請求項24の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって 、少なくとも第1の材料からなる第1の単位層と第2の材料からなる第2の単位層とを合金化若しくは化合物化する程度の膜厚で順次積層して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
【0031】
請求項25の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも第1の材料と第2の材料とを合金化若しくは化合物化する程度に混合して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
請求項26の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも第1の材料と第2の材料とを合金化若しくは化合物化する程度に混 合して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
上述したように電界放射型電子源の電子放出効率を向上させるには、導電性薄膜たる表面電極での電子の散乱を減らすことが必要である。一方、金属内での電子の散乱は、電子−電子散乱であることが知られている。また、フェルミレベルから放出電子エネルギ近傍の状態密度が低い材料では電子−電子散乱が少ないことも報告されている。このような金属材料としては、単体ではAu,Ag,Cuが知られているが、これらの金属材料は密着性や耐熱性が悪く、プロセス耐性が低いという不具合がある。
【0033】
そこで本発明にあっては、導電性薄膜たる表面電極が、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い性質を有することを特徴とするものである。なお、表面電極は、少なくとも第1の材料と第2の材料とを含んでいればよく、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い性質を有するという条件を満足すればその他の材料を含んでいてもよい。
【0034】
以下、本発明を実施形態により説明する。
(実施形態1)
本実施形態の電界放射型電子源10の構成は、上述した従来の構成と同じであって、図1(a)に示すように、導電性基板たるn形シリコン基板1の主表面(一表面)側に酸化した多孔質多結晶シリコン層<ポーラスポリシリコン層>よりなる強電界ドリフト層6が形成され、強電界ドリフト層6上に金属薄膜よりなる表面電極7が形成され、n形シリコン基板1の裏面にオーミック電極2が形成されている。ここにおいて、表面電極7は、強電界ドリフト層6に対する密着性が高く且つ昇華エンタルピがAuよりも高い第1の材料としてCrを用い、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料としてAuを用いており、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低くなっている。図1(b)に表面電極7を通して放出される電子のエネルギ分布を、図1(c)に第1の材料であるCr単体の状態密度を、図1(d)に第2の材料であるAu単体の状態密度を、図1(e)に本実施形態における表面電極7の状態密度を、それぞれ示す。Crは放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が高く、電子の散乱も大きいので、密着性を向上させるために強電界ドリフト層6上に単にCrよりなる第1の層とAuよりなる第2の層とを積層しただけでは、電子放出効率が低下してしまう。なお、図1(b)〜(e)中におけるEFはフェルミレベルを示す。
【0035】
これに対し、本実施形態では、図1(b)〜(e)から分かるように、図1(e)に示す表面電極7の放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が、図1(c)に示すCr単体の状態密度よりも低くなっており、図1(d)に示すAu単体の状態密度と異なる分布を有している。すなわち、表面電極7は、当該表面電極7を構成するCr,Auそれぞれのd軌道の電子が混成軌道を作ることによって図1(e)に示すようにCr,Auそれぞれのd軌道と異なるd軌道を形成し、Cr,Auそれぞれのd軌道の電子の状態密度が低下している。要するに、上記表面電極7は、少なくとも強電界ドリフト層6に対する密着性が高く且つ昇華エンタルピが高い第1の材料(上記例ではCr)と放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料(Au)とが原子レベルで混じり合った合金状態の導電性材料からなる。
【0036】
しかして、本実施形態の電界放射型電子源10では、表面電極7が、強電界ドリフト層6に対する密着性が高く且つ昇華エンタルピが高い第1の材料であるCrと放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料であるAuとからなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料であるCrに比較して低いので、強電界ドリフト層6をドリフトした電子が表面電極7中で散乱されにくく電子放出効率が向上しかつ表面電極7が電界ドリフト層6から剥離するのを防止することができ、経時安定性が向上するとともに、歩留まりが高くなって低コスト化を図ることができる。なお、本実施形態では、導電性基板たるn形シリコン基板1が一方の電極を構成し、表面電極7が導電性薄膜よりなる他方の電極を構成している。
【0037】
以下、製造方法について図2を参照しながら説明する。
【0038】
まず、n形シリコン基板1の裏面にオーミック電極2を形成した後、n形シリコン基板1の表面に所定膜厚(例えば、1.5μm)の半導体層たるノンドープの多結晶シリコン層3を形成(成膜)することにより図2(a)に示すような構造が得られる。なお、多結晶シリコン層3の成膜は、例えばLPCVD法やスパッタ法により行ってもよいし、あるいはプラズマCVD法によってアモルファスシリコンを成膜した後にアニール処理を行うことにより結晶化させて成膜してもよい。
【0039】
ノンドープの多結晶シリコン層3を形成した後、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った陽極酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)を負極、n形シリコン基板1(オーミック電極2)を正極として、多結晶シリコン層3に光照射を行いながら所定の条件で陽極酸化処理を行うことによって、多孔質多結晶シリコン層4が図2(b)に示すように形成される。
【0040】
上述の陽極酸化処理が終了した後、多孔質多結晶シリコン層4の最表面に結合している水素原子を熱処理により脱離させてから、多孔質多結晶シリコン層4をアニールによって酸化することにより強電界ドリフト層6が形成され、図2(c)に示す構造が得られる。要するに、本実施形態では、多孔質多結晶シリコン層4を陽極酸化処理により形成した際に多孔質多結晶シリコン層4のシリコン原子を終端している水素原子を、上記熱処理により脱離させた後、多孔質多結晶シリコン層4をアニールによって酸化している。
【0041】
強電界ドリフト層6は図10にて説明したように、少なくとも、柱状の多結晶シリコン51(グレイン)と、多結晶シリコン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52と、多結晶シリコン51間に介在するナノメータオーダの微結晶シリコン63と、微結晶シリコン63の表面に形成され当該微結晶シリコン63の結晶粒径よりも小さな膜厚のシリコン酸化膜64とから構成される。
【0042】
しかる後に強電界ドリフト層6上に表面電極7を構成するために、第1の材料であるCrよりなる第1の層、第2の材料であるAuよりなる第2の層をスパッタ法によって順次成膜することにより、第1の層と第2の層とからなる被処理膜7”が形成され、図2(d)に示す構造が得られる。ここにおいて、被処理膜7”は、上記第1の層が強電界ドリフト層6上に形成され、上記第2の層が上記第1の層上に積層されている。なお、本実施形態では、上記第1の層及び上記第2の層をスパッタ法によって成膜しているが、真空蒸着法によって成膜してもよい。また、上記第1の層の材料であるCrはAuに比べて強電界ドリフト層6への密着性及び昇華エンタルピが高く、上記第2の層の材料であるAuは、耐酸化性および経時安定性に優れている。
【0043】
この被処理膜7”を従来の電界放射型電子源10’(図8参照)における表面電極7’の代わりに用いた場合には、上述したように電子散乱が多い金属材料のみを用いた場合と同様に膜中での電子散乱が多く、電子放出効率が低くなってしまう。
【0044】
そこで本実施形態では、第1の材料であるCrよりなる上記第1の層と第2の材料であるAuよりなる上記第2の層とを積層した状態で溶融させ、これら金属材料を原子レベルで相互に混じり合わせて合金化処理する安定化プロセスを設けてある。この合金化処理のためには、高いエネルギを被処理膜7”に与える必要がある。本実施形態ではこのエネルギをUV光の照射により供給している。つまり、UV光が照射された2層構造の被処理膜7”では、その温度が上昇して溶融状態となり、AuとCrとが互いに拡散して合金化する。この時のUV光の照射エネルギは被処理膜7”の表面付近で吸収されるため、熱によるデバイスの破壊は起きない。
【0045】
このようにして合金化処理を行う安定化プロセスを経ることで図2(e)において、合金化された導電性材料よりなる表面電極7を有する電界放射型電子源10が得られることになる。
【0046】
この合金化された表面電極7は、AuとCrの夫々が持つ特性の一部が残り、多孔質多結晶シリコン層からなる強電界ドリフト層6のような多孔質物質の表面に対しても高い密着性を持つことになり、その結果フォトリソグラフィ等の工程でも強電界ドリフト層6から剥離することが無く、また経時安定性も高く、その上、電子散乱が少ないことにより電子放出効率が低下するのを防ぐことができる。
【0047】
従って、本実施形態で得られた電界放射型電子源10をマトリックス化して、例えば大画面のFEDディスプレイを実現することも可能となる。
【0048】
なお、上記のように被処理膜7”を2層構造とすることにより、スパッタ法や真空蒸着法による成膜時に、単元素材料を用いることが可能となり、そのため組成比のずれなどを考慮する必要がなく、プロセスが簡便化することが可能となる。また、表面電極7の横方向の均一性(つまり、面内の均一性)を向上させることも期待できる。
【0049】
また、被処理膜7”を2層構造とした段階でも第1の層の金属材料(本実施形態ではCr)が強電界ドリフト層6に対してAuよりも高い密着性を有するので、プロセス耐性が高く、従って合金化する前にパターニング等のプロセスを行うことができる。また合金化後も強電界ドリフト層6に対する高い密着性を保持するため、合金化後において、表面電極7のパターニング等のプロセスを行うことができる。なお、一般的に密着性の高い材料はフェルミレベルから放出電子エネルギ近傍の状態密度が高いので、合金化後の放出電子エネルギ近傍の状態密度を下げるためには、強電界ドリフト層6上に直接形成する第1の層以外の層に、放出電子エネルギ近傍の状態密度が低い材料を用いることが望ましい。
【0050】
ところで、上述の製造方法では表面電極7を形成するにあたって被処理膜7”を成膜した後に安定化プロセスにより合金化若しくは化合物化を行っているが、少なくとも第1の材料からなる第1の単位層(例えば、数原子層の膜厚の層)と第2の材料からなる第2の単位層(例えば、数原子層の膜厚の層)とを合金化若しくは化合物化する程度の膜厚で順次積層して成膜してもよいし、少なくとも第1の材料と第2の材料とを合金化若しくは化合物化する程度に混合して成膜してもよく、いずれの場合も、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた表面電極7を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源10を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができる。
【0051】
また、本実施形態の電界放射型電子源10は、導電性基板をn形シリコン基板により構成しているが、無アルカリガラスや低アルカリガラスなどのガラス板上に導電体層を積層して形成した導電性基板を用いても良い。
【0052】
ところで、被処理膜7”を構成する上記第1の層の第1の材料(例えば、Cr)と上記第2の層の第2の材料(例えば、Au)とを溶融させるために被処理膜7”の表面にUV光を照射する安定化プロセスを採用していたが、上記安定化プロセスにおいて、UV光の照射に加えてn形シリコン基板1を加熱手段(図示せず)により加熱して、合金化処理の促進を図ることが望ましい。この際、加熱温度が高い程、合金化処理の時間を短縮することができスループットを向上できるが、加熱温度は、導電性基板を含めたデバイス全体の耐熱性を考慮して設定する必要があり、導電性基板として例えばシリコン基板に比べて大面積化が可能で安価な無アルカリガラスや低アルカリガラスなどのガラス基板上に導電体層を積層したものを用いる場合には400℃以下に設定することが望ましい。
【0053】
(実施形態2)
上記の実施形態1のように合金化処理を施した表面電極7であっても表面電極7の最表面が有機物により汚染されると、電子放出効率が低下する。
【0054】
特に上述のように基板加熱を行う場合には有機物の汚染が更に進行する恐れがある。そこで本実施形態では、実施形態1で説明した安定化プロセスにおいて、UV光の照射に加えてn形シリコン基板1を加熱手段(図示せず)により加熱して合金化処理を行う際に、同時に被処理膜7”の最表面にオゾンを照射することによって有機物汚染を防いでいる。
【0055】
このようにオゾンを照射しながら合金化処理を施した形成した表面電極7を持つ電界放射型電子源10では、オゾンを照射しない場合に比して、電子放出効率の約2桁以上の向上が見られた。図3に、従来例で図9を参照しながら説明した直流電圧Vpsと放出電子電流Ieとの関係を示す。図3中のイは合金化処理を行う前の測定結果を示し、図3中のロは合金化処理を行った後の測定結果を示す。図3から上述の合金化処理を行うことにより、電子放出電流Ieが1桁以上向上していることが分かる。ここに、合金化処理を行ったロの特性は表面電極をAuのみにより形成したものと同等の特性である。また、UV光及びオゾンの照射によって有機物が除去されて電子放出効率が向上することも考えられるが、UV光およびオゾンの照射によって合金化することで電子放出効率が向上することを確認するために、表面電極を白金のみにより形成してUV光及びオゾンの照射の有無による直流電圧Vps−放出電子電流Ie特性の変化を調べた結果を図4に示す。図4中のイの特性はUV光及びオゾンの照射を行う前の測定結果を示し、図4中のロの特性はUV光およびオゾンの照射を行った後の測定結果を示す。図4からUV光およびオゾンの照射を行うことによる放出電子電流Ieの向上はわずかであることが分かる。したがって、図3及び図4から、UV光及びオゾンの照射によって合金化することで電子放出効率が向上していることが分かる。なお、このようにUV光及びオゾンを照射しながら加熱する合金化処理を施して形成した表面電極7では、AuとCrとが同一領域内に共存していることがFE−TEMとX線マイクロアナライザ(XMA)を用いた分析により確認している。
【0056】
上述の合金化処理を施して形成した表面電極7と合金化処理を施していない被処理膜7”とのぞれぞれについてXMAにより元素分析を行った結果を図5及び図6に示す。ここにおいて、表面電極7及び被処理膜7”の膜厚は両方とも100Åとした。また、被処理膜7”は、Crよりなる第1の層(以下、Cr層と称す)の膜厚を20Å、Auよりなる第2の層(以下、Au層と称す)の膜厚を80Åとした。
【0057】
XMAによる被処理膜7”の元素分析は、被処理膜7”の表面、Cr層とAu層との界面付近(Au層側)、Cr層について行った。図6において(a)が被処理膜7”の表面での測定結果、(b)が界面付近での測定結果、(c)がCr層での測定結果をそれぞれ示している。これに対して、XMAにより表面電極7の元素分析は被処理膜7”と同じ深さ位置で行った。すなわち、図5において(a)は表面電極7の表面での測定結果、(b)が被処理膜7”における界面付近に相当する深さでの測定結果、(c)が被処理膜7”におけるCr層に相当する深さでの測定結果をそれぞれ示している。
【0058】
図5、図6の横軸は試料(表面電極7、被処理膜7”)から出るX線のエネルギを示し、縦軸は夫々の元素からのX線発生のカウント値を示しており、表面での測定結果を示す図5(a)、図6(a)を比較すると、安定化プロセスを行った表面電極7において、やや高いエネルギレベルでのCrからのX線発生が僅かながら測定されているが、安定化プロセスを行っていない被処理膜7”においては上記のエネルギレベルでのCrからのX線発生は測定されていない。
【0059】
つまり、上述の安定化プロセスを行うことにより形成された表面電極7においては、安定化プロセスを行う前のCr層のCrがAu層にも僅かながら拡散して合金化されていることが分かる。一方、安定化プロセスを行っていない被処理膜7”では当然、Au層にはCrの元素が存在しない。
【0060】
また、表面電極7及び被処理膜7”それぞれを強電界ドリフト層6からAu層とCr層との界面付近(Au層側)までの膜厚になるまで表面側からスパッタエッチングして測定した結果を示す図5(b)、図6(b)を比較すると、表面電極7及び被処理膜7”の両方とも、やや高いエネルギレベルでのCrからのX線発生が僅かながら測定されている。これは、Cr層及びAu層の堆積膜厚や金属層の蒸着形成や測定前のスパッタエッチングによるAu層の除去具合等のばらつき等があるため被処理膜7”の場合にもCrからのX線発生が僅かながら測定されたものと思われる。
【0061】
また、Cr層内に相当する膜厚になるまで表面側からスパッタエッチングにより除去した後に測定した結果を示す図5(c)、図6(c)を比較すると、表面電極7では、やや高いエネルギレベルでのCrからのX線発生は僅かであるが、低いエネルギレベルでのAuからのX線発生が多数有る。一方、被処理膜7”では、やや高いエネルギレベルでのCrからのX線発生が多数有るが、低いエネルギレベルでのAuからのX線発生は表面電極7に比べて少ない。つまり、表面電極7では被処理膜7”におけるCu層内にAuが拡散して合金化されていることが分かる。
【0062】
図7は上記の測定結果から求めた表面電極7におけるCrとAuの含有率の深さプロファイルを示しており(なお、図7中のイが表面電極7におけるAuの含有率を示し、同図中のロが表面電極7におけるCrの含有率を示している)、被処理膜7”では本来夫々の層内には存在しないはずの金属元素が混ざり合っていることが分かる。このように密着性を要求される強電界ドリフト層6側にはCrの含有率が高いものの、高い電子放出効率の向上が期待できるAuが多少含有されているため、合金化処理が為された表面電極7は密着性を確保しつつ、単純な2層構造に比して高い電子放出効率を持つものとなった。
【0063】
上記各実施形態では、被処理膜7”における最表面側の層をAuにより形成しているので、耐酸化性が向上して経時安定性が向上するが、Au以外にPt,Cu,Agを用いることも可能である。また、被処理膜7”の最表面側の層をAu、最下層(強電界ドリフト層6に接する層)をCrにより形成して合金化処理する安定化プロセスを採用することにより、高い電子放出効率と高い密着性とを両立させているが、これらの材料以外にもPt,W,Ru,Ir,Al,Sc,Ti,V,Mn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ga,Y,Zr,Nb,Mo,Te,Rh,Pd,Ag,Cd,Ln,Sn,Ta,Re,Os,Tl,Pb,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu等、及びそれらの酸化物や組み合わせ等であってもよい。また、3種類の金属を積層して合金化処理する安定化プロセスを実行してもよい。3種類の金属を積層する場合には、強電界ドリフト層6に最も近い層を密着性に優れ昇華エンタルピの高い金属の層とし、強電界ドリフト層6から最も遠い層を放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が低い金属の層とすることが好ましい。
【0064】
また、表面電極7を表面に形成した強電界ドリフト層6の製造方法及び材料は上記実施形態に特に限定されるものではなく、他の製造方法及び材料によって得られるものでも良い。例えば、上記各実施形態では、表面電極7を形成するにあたって、被処理膜7”を形成した後に合金化処理する安定化プロセスを採用しているが、被処理膜7”を化合物化処理する安定化プロセスを採用してもよい。また、単元素材料よりなる層をスパッタ法や真空蒸着法により積層して被処理膜7”を成膜する成膜工程の代わりに、少なくとも上記第1の材料と第2の材料とを含む複数種類の材料を同時にスパッタ若しくは蒸着して成膜する成膜工程を採用してもよい。また、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも二種類の材料が合金化若しくは化合物化されたターゲットをスパッタして表面電極7を成膜する成膜工程を採用してもよい。また、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも二種類の材料が合金化若しくは化合物化された物質を蒸着して表面電極7を成膜する成膜工程を採用してもよい。
【0065】
なお、本発明の技術思想はMIM型やMOS型の他の電界放射型電子源にも適用可能であって、金属膜−絶縁膜−金属膜よりなるMIM型の電界放射型電子源の場合には、一方の金属膜が一方の電極を、他方の金属膜が表面電極を、絶縁膜が一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層を、それぞれ構成する。また、金属膜−酸化膜−半導体層よりなるMOS型の電界放射型電子源の場合には、半導体層が一方の電極を、金属膜が表面電極を、酸化膜が一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層を、それぞれ構成する。
【0066】
【発明の効果】
請求項1の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記強電界ドリフト層である多孔質物質は、少なくとも、導電性基板の一表面側に形成された柱状の多結晶シリコンと、多結晶シリコン間に介在するナノメータオーダの微結晶シリコンと、微結晶シリコンの表面に形成され当該微結晶シリコンの結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とからなり、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低いものであり、上記強電界ドリフト層が、少なくとも、導電性基板の一表面側に形成された柱状の多結晶シリコンと、多結晶シリコン間に介在するナノメータオーダの微結晶シリコンと、微結晶シリコンの表面に形成され当該微結晶シリコンの結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とからなるので、電子放出特性の真空度依存性が小さくかつ電子放出時にポッピング現象が発生せず安定して高効率で電子を放出することができ、しかも、上記導電性薄膜が、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低いので、強電界ドリフト層をドリフトした電子が導電性薄膜中で散乱されにくく電子放出効率が向上しかつ導電性薄膜が電界ドリフト層から剥離するのを防止することができ、経時安定性が向上するとともに、歩留まりが高くなって低コスト化を図ることができるという効果がある。
【0069】
請求項2発明は、請求項1の発明において、上記導電性薄膜は、当該導電性薄膜を構成する材料それぞれのd軌道の電子が混成軌道を作ることによって上記各材料それぞれのd軌道と異なるd軌道を形成しているので、上記導電性薄膜が、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い性質をもつことができるという効果がある。
【0070】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2の発明において、上記導電性薄膜は、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなるので、上記導電性薄膜そのものの経時安定性が向上するという効果がある。
【0071】
請求項4の発明は、請求項3の発明において、上記導電性薄膜が、少なくともAuを含むので、耐酸化性および経時安定性の高い電界放射型電子源を実現することができるという効果がある。
【0072】
請求項5の発明は、請求項3の発明において、上記導電性薄膜が、少なくともCrを含むので、上記強電界ドリフト層への上記導電性薄膜の密着性が高い電界放射型電子源を実現することができるという効果がある。
【0073】
請求項6の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスを備えることを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができるという効果がある。
請求項7の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスを備えることを特徴とし、フォトリソグ ラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができるという効果がある。
【0076】
請求項8の発明は、請求項6または請求項7の発明において、上記安定化プロセスは、被処理膜の最表面にUV光を照射しながら被処理膜を加熱するプロセスよりなるので、被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する処理時間を短縮することができ、スループットが向上するという効果がある。
【0077】
請求項9の発明では、請求項6または請求項7の発明において、上記安定化プロセスは、被処理膜の最表面にUV光およびオゾンを照射しながら被処理膜を加熱するプロセスよりなるので、被処理膜の有機物による汚染を防止することができて有機物の汚染による電子放出効率の低下を防止することができ、より電子放出効率の高い電界放射型電子源を提供することができるという効果がある。
【0078】
請求項10の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料からなる第1の層と上記第2の材料からなる第2の層とを積層する成膜工程と、少なくとも第1の層と第2の層とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、また、成膜工程において単元素材料を用いることができ、成膜工程において材料の組成比を考慮する必要がなく低コスト化が可能になるとともにプロセスの簡便化を可能になるという効果がある。
請求項11の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料 からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料からなる第1の層と上記第2の材料からなる第2の層とを成膜する成膜工程と、少なくとも第1の層と第2の層とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、また、成膜工程において単元素材料を用いることができ、成膜工程において材料の組成比を考慮する必要がなく低コスト化が可能になるとともにプロセスの簡便化を可能になるという効果がある。
【0079】
請求項12の発明は、請求項10または請求項11の発明において、上記成膜工程では、第1の層を強電界ドリフト層上に成膜し、最表面側に第2の層を成膜するので、強電界ドリフト層上に当該強電界ドリフト層に対する密着性の高い第1の層が成膜されていることにより、プロセス耐性が向上するという効果がある。
【0080】
請求項13の発明は、請求項10または請求項11の発明において、上記成膜工程では、各材料からなる各層をスパッタ法により積層するので、成膜工程を半導体プロセスで利用される一般的な方法により行うことができるという効果がある。
【0081】
請求項14の発明は、請求項10または請求項11の発明において、上記成膜工程では、各材料からなる各層を蒸着により積層するので、成膜工程を半導体プロセスで利用される一般的な方法により行うことができるという効果がある。
【0082】
請求項15の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と第2の材料とが混合された状態の被処理膜を成膜する成膜工程と、被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができるという効果がある。
請求項16の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と第2の材料とが混合された状態の被処理膜を成膜 する成膜工程と、被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができるという効果がある。
【0083】
請求項17の発明は、請求項15または請求項16の発明において、上記成膜工程では、少なくとも2種類の材料を同時にスパッタすることにより成膜するので、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができるという効果がある。
【0084】
請求項18の発明は、請求項15または請求項16の発明において、上記成膜工程では、少なくとも2種類の材料を同時に蒸着することにより成膜するので、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができるという効果がある。
【0085】
請求項19の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化合物化されたターゲットをスパッタして成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができるという効果がある。
請求項20の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって 、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化合物化されたターゲットをスパッタして成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができるという効果がある。
【0086】
請求項21の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化合物化された物質を蒸着して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができるという効果がある。
請求項22の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化 合物化された物質を蒸着して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができるという効果がある。
【0087】
請求項23の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも第1の材料からなる第1の単位層と第2の材料からなる第2の単位層とを合金化若しくは化合物化する程度の膜厚で順次積層して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができるという効果がある。
請求項24の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって 、少なくとも第1の材料からなる第1の単位層と第2の材料からなる第2の単位層とを合金化若しくは化合物化する程度の膜厚で順次積層して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができるという効果がある。
【0088】
請求項25の発明は、一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも第1の材料と第2の材料とを合金化若しくは化合物化する程度に混合して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができるという効果がある。
請求項26の発明は、導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも第1の材料と第2の材料とを合金化若しくは化合物化する程度に混 合して成膜することを特徴とし、フォトリソグラフィ等の工程でも剥離しない高い密着性と、高い電子放出効率とを両立させた導電性薄膜を備え経時安定性に優れた低コストの電界放射型電子源を実現することができ、しかも、成膜工程の時間を短縮することができ、スループットが向上して製造コストを低減することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1を示し、(a)は概略断面図、(b)は放出電子のエネルギ分布、(c)はCr単体の状態密度、(d)はAu単体の状態密度、(e)は表面電極の状態密度を示す。
【図2】同上の製造プロセスを説明するため主要工程断面である。
【図3】本発明の実施形態2における電子放出特性の測定結果図である。
【図4】同上の比較例の電子放出特性の測定結果図である。
【図5】同上における表面電極の元素分析の測定結果図である。
【図6】同上と比較するための被処理膜の元素分析の測定結果図である。
【図7】同上による表面電極の元素含有率の深さプロファイルである。
【図8】基本となる電界放射型電子源の概略断面図である。
【図9】同上の特性測定原理の説明図である。
【図10】同上の電子放出機構の説明図である。
【符号の説明】
1 n形シリコン基板
2 オーミック電極
3 多結晶シリコン層
4 多孔質多結晶シリコン層
6 強電界ドリフト層
7 表面電極
10 電界放射型電子源
Claims (26)
- 導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記強電界ドリフト層である多孔質物質は、少なくとも、導電性基板の一表面側に形成された柱状の多結晶シリコンと、多結晶シリコン間に介在するナノメータオーダの微結晶シリコンと、微結晶シリコンの表面に形成され当該微結晶シリコンの結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とからなり、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低いことを特徴とする電界放射型電子源。
- 上記導電性薄膜は、当該導電性薄膜を構成する材料それぞれのd軌道の電子が混成軌道を作ることによって上記各材料それぞれのd軌道と異なるd軌道を形成してなることを特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源。
- 上記導電性薄膜は、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなることを特徴とする請求項1または請求項2記載の電界放射型電子源。
- 上記導電性薄膜は、少なくともAuを含むことを特徴とする請求項3記載の電界放射型電子源。
- 上記導電性薄膜は、少なくともCrを含むことを特徴とする請求項3記載の電界放射型電子源。
- 一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質 との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスを備えることを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスを備えることを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 上記安定化プロセスは、被処理膜の最表面にUV光を照射しながら被処理膜を加熱するプロセスよりなることを特徴とする請求項6または請求項7記載の電界放射型電子源の製造方法。
- 上記安定化プロセスは、被処理膜の最表面にUV光およびオゾンを照射しながら被処理膜を加熱するプロセスよりなることを特徴とする請求項6または請求項7記載の電界放射型電子源の製造方法。
- 一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面 電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料からなる第1の層と上記第2の材料からなる第2の層とを成膜する成膜工程と、少なくとも第1の層と第2の層とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料からなる第1の層と上記第2の材料からなる第2の層とを成膜する成膜工程と、少なくとも第1の層と第2の層とからなる被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 上記成膜工程では、第1の層を強電界ドリフト層上に成膜 し、最表面側に第2の層を成膜することを特徴とする請求項10または請求項11記載の電界放射型電子源の製造方法。
- 上記成膜工程では、各材料からなる各層をスパッタ法により積層することを特徴とする請求項10または請求項11記載の電界放射型電子源の製造方法。
- 上記成膜工程では、各材料からなる各層を蒸着により積層することを特徴とする請求項10または請求項11記載の電界放射型電子源の製造方法。
- 一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と第2の材料とが混合された状態の被処理膜を成膜する成膜工程と、被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1 の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも上記第1の材料と第2の材料とが混合された状態の被処理膜を成膜する成膜工程と、被処理膜を合金化処理若しくは化合物化処理する安定化プロセスとを備えることを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 上記成膜工程では、少なくとも2種類の材料を同時にスパッタすることにより成膜することを特徴とする請求項15または請求項16記載の電界放射型電子源の製造方法。
- 上記成膜工程では、少なくとも2種類の材料を同時に蒸着することにより成膜することを特徴とする請求項15または請求項16記載の電界放射型電子源の製造方法。
- 一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化合物化されたターゲットをスパッタして成膜することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することによ り導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化合物化されたターゲットをスパッタして成膜することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化合物化された物質を蒸着して成膜することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフ ト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、第1の材料と第2の材料とを含む少なくとも2種類の材料が合金化若しくは化合物化された物質を蒸着して成膜することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも第1の材料からなる第1の単位層と第2の材料からなる第2の単位層とを合金化若しくは化合物化する程度の膜厚で順次積層して成膜することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1 の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも第1の材料からなる第1の単位層と第2の材料からなる第2の単位層とを合金化若しくは化合物化する程度の膜厚で順次積層して成膜することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 一方の電極と、導電性薄膜よりなり他方の電極となる表面電極と、一方の電極と表面電極との間に設けられ一方の電極と表面電極との間に表面電極を高電位側として電圧を印加したときに作用する電界により一方の電極から表面電極へ向かって電子が通過する強電界ドリフト層とを備え、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料からなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも第1の材料と第2の材料とを合金化若しくは化合物化する程度に混合して成膜することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
- 導電性基板と、導電性基板の一表面側に形成された多孔質物質よりなる強電界ドリフト層と、強電界ドリフト層上に形成された導電性薄膜とを備え、導電性薄膜を導電性基板に対して正極として電圧を印加することにより導電性基板から注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし導電性薄膜を通して放出される電界放射型電子源であって、上記導電性薄膜は、強電界ドリフト層に対する密着性が高い性質と昇華エンタルピが高い性質との少なくとも一方の性質を有する第1の材料と、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料よりも低い第2の材料とを含み、少なくとも上記第1の材料と上記第2の材料とが原子レベルで混じり合った合金状態若しくは化合物状態の導電性材料か らなり、放出される電子のエネルギ近傍の状態密度が第1の材料に比較して低い電界放射型電子源の製造方法であって、上記導電性薄膜を形成するにあたって、少なくとも第1の材料と第2の材料とを合金化若しくは化合物化する程度に混合して成膜することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
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