JP3586783B2 - 料金箱 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動販売機あるいは公衆電話機等の金庫室内に設置される料金箱に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、この種の料金箱は、上部が開口し箱状に形成された本体と、この本体の開口部を開閉自在とし硬貨収納孔が穿設された蓋とからなり、この蓋には硬貨収納孔を開閉する摺動自在に支持されたシャッタが設けられている。この料金箱は、料金の回収時に回収員が誤って料金箱を地面に落としたときに、収納されている硬貨の重量によって変形および破損しないように堅固に形成されていることが要求され、このために本体と蓋とは共に金属によって形成されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の料金箱では、金属で形成するために料金箱自体の重量が重く、その上に収納されている硬貨の重みが加わるために、料金箱を回収する作業員の労働負担が問題となっていた。また、金属で形成するために、溶接、めっき、塗装が必要となり、製造時における作業工程が多くなり、生産性が低くなるとともに製造コストを低下させるのが困難となっていた。
【0004】
したがって、本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、回収作業員の労働負担を軽減するとともに、製造コストの低減を図った料金箱を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係る料金箱は、上部が開口し底板および囲い壁で形成した箱状の本体と、この本体の開口部をヒンジを介して開閉自在とし硬貨収納孔が設けられた蓋とからなる料金箱であって、前記本体を合成樹脂で形成するとともに、補強用のリブを、囲い壁の内壁面、囲い壁と底板との接合部および底板の外壁面に一体的に形成したものである。
したがって、本体が堅固な構造を維持しつつ軽量化される。また、囲い壁および底板の全体の強度が増すとともに、料金箱内に収納されている硬貨の重量によって最も負荷が加わる囲い壁と底板との接合部の強度が増す。
【0006】
また、第2の発明は、第1の発明において、蓋を合成樹脂で形成するとともに、この蓋の下面側に補強板を固定し、この補強板に本体の囲い壁の内壁面に係合する係合部を設け、この係合部はその係合方向がヒンジの枢軸の軸線と平行な方向である。
したがって、蓋が堅固な構造を維持しつつ料金箱全体が軽量化されるとともに、補強板の係合部によって、料金箱を地面に落下させたとき収納されている硬貨の重みで変形および移動しようとする本体の変形および移動が規制される。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る料金箱の正面図、図2は同じく側面図、図3は同じく平面図、図4は本発明に係る料金箱における蓋の底面図、図5は図4におけるV−V 線断面図、図6は本発明に係る料金箱における本体の平面図、図7は本体の底面図、図8は図6および図7におけるVIII−VIII 線断面図、図9は図2におけるIX−IX 線断面図である。
【0008】
図1および図2に示すように、符号1で示す料金箱は、共に合成樹脂で形成された蓋2と本体3とからなる。蓋2は浅皿状に形成され、両側部の後端側に一対のヒンジ部5,5(一方は図示を省略)が一体に形成されている。これらヒンジ部5,5間および本体3の囲い壁27間に横架された、図3に示すように矢印A−B方向に延在する軸6を枢軸として、蓋2は本体3の上部開口部を開閉自在とするように本体3に回動自在に支持されている。蓋2の正面側には、矩形状の孔7aを有するロックプレート7が上端部を枢着され、図3に示すように、蓋2の略中央には硬貨収納孔9が穿設され、後部側には長孔11が形成された平面視矩形状の凹部10が設けられている。
【0009】
図4および図5に示すように、蓋2の底面側には、略全面にわたって平面視格子状に配置したガイド凸条体12が立設されているとともに、このガイド凸条体12より高さの高いボス部13が立設されている。15は蓋2よりも外形寸法がやや小さい平板状の金属によって略矩形状に形成されたシャッタカバーで、上述した硬貨収納孔9よりやや大きい外形寸法の硬貨挿通孔15aが穿設されている。16はシャッタカバー15と外形寸法が同じでシャッタカバー15よりも厚みある平板状の金属によって形成された補強板で、シャッタカバー15の硬貨挿通孔15aよりもやや大きい外形寸法の硬貨挿通孔16aが穿設されている。
【0010】
この補強板16の矢印A−B方向(枢軸6の延在する方向)の端縁には、A−B方向と直交するように互いに対向して下方に直角に折り曲げられた3対の係合部16bが立設され、これら係合部16bの先端部は内側に鈍角状に折り曲げられている。また、補強板16の矢印A−B方向と直交する方向の一方の端縁には、係合部16bと直交する別の係合部16cが1個下方に直角に折り曲げられ、この係合部16cの先端部は内側に鈍角状に折り曲げられている。これらシャッタカバー15と補強板16とは共に、それぞれの硬貨挿通孔15a,16aが蓋2の硬貨収納孔9に対応するようにして、ねじ17によって蓋2のボス部13に固定されている。19は硬貨収納孔9と略同じ外形寸法の硬貨通過孔19aを有する平板状の金属によって形成された従来から広く知られているシャッタであって、蓋2のガイド凸条体12とシャッタカバー15との間に嵌装され、これらの間を平面方向に摺動自在に支持されている。
【0011】
このシャッタ19には、上述した蓋2の長孔11に嵌入し、長孔11から凹部10内に臨むシャッタピン20が植設されている。通常、このシャッタ19は図示を省略したばねによって硬貨通過孔19aが硬貨収納孔9に対応していない位置、すなわちシャッタ19が硬貨収納孔9を閉塞するように位置付けられている。そして、図示を省略した装置の金庫室内に収納されると、金庫室内の係合部にシャッタピン20が係合し、シャッタ19が移動することにより、硬貨通過孔19aが蓋2の硬貨収納孔9に対応し、料金箱1内に硬貨の収納が可能となる。
【0012】
図1および図2に示すように、本体3の正面部の上方には、挿通孔23aが形成された嵌合片23が設けられており、上述したロックプレート7の孔7aを嵌合片23に嵌入させ、南京錠(図示せず)を挿通孔23aに係入して施錠することにより、本体3の開口部は蓋2によって閉じられる。また、南京錠を解錠し、ロックプレート7を手に把持して上方に持ち上げると、蓋2によって閉じられたいた本体3の開口部が開かれ、本体3内に収納された硬貨を回収することができるように構成されている。本体3の正面部の中央には、把手24が枢着されており、この把手24を手で把持し図1中手前側に引くことにより料金箱1を金庫室から取り出すことができるように構成されている。
【0013】
次に、図6、図7、図8に基づいて本体3について説明する。本体3は、底板26とこの底板26の周端部から立設した囲い壁27とによって、上部が開口した箱状に形成されている。この囲い壁27の後側の上部の対向する側壁には、軸6が支持される支持孔27a,27aが穿設されている。また、囲い壁27の内壁面には、下端から上端に延在する第1の補強用のリブ29が、囲い壁27の周方向に略等間隔となるように囲い壁27に一体に形成されており、この第1の補強用のリブ29は、底板26との接合部である下端部にすみ肉部29aが断面略三角形状に形成されている。
【0014】
また、囲い壁27の内壁面の下端部と底板26との接合部には、図6に示すように前記第1の補強用リブ29の間に配置されるように、第2の補強用リブ30が本体3に一体に形成されており、この第2の補強用のリブ30は、底板26との接合部である下端部に断面略三角形状のすみ肉部30aが形成されている。
さらに、底板26の外壁面には、平面視放射状の第3の補強用リブ32が、底板26の外壁面の周端部に突設された載置部33と同じ高さになるように本体3に一体に形成されており、この第3の補強用のリブ32は、底板26との接合部である基端部には断面略三角形状のすみ肉部32aが形成されている。
【0015】
このように形成された本体3の開口部を蓋2によって閉じると、図9に示すように、補強板16の係合部16bが本体3の囲い壁27の内壁面に、蓋2の枢軸6と平行な係合方向(矢印A−B方向)をもって係合する。したがって、硬貨が収納されている料金箱1を誤って地面に落としたとき、硬貨の重みによって本体3が蓋2に対して矢印A−B方向、すなわち係合部16bの囲い壁27の内壁面に対する係合方向である枢軸6方向に変形および移動しようとするが、この係合部16bによってその変形および移動が規制される。このため、A−B方向に直交するように蓋2に形成したヒンジ部5が、本体3の移動によって破損されるのを防止することができる。また、別の係合部16cが本体3の囲い壁27の内壁面に、矢印A−B方向と直交する係合方向をもって係合する。したがって、硬貨が収納されている料金箱1を誤って地面に落としたとき、硬貨の重みによって本体3が蓋2に対して矢印A−B方向と直交する方向へ変形および移動しようとするが、この係合部16cによってその変形および移動が規制される。
【0016】
また、本体3の囲い壁27は、その内壁面に設けた第1の補強用リブ29が、囲い壁27の下端から上端に延在し、かつ囲い壁27の周方向にわたって等間隔に形成されているので、第1の補強用リブ29によって、囲い壁27の全体の強度が均一に増すように補強される。また、本体3の底板26は、放射状に形成された第3の補強用のリブ32によって中央部分を中心とした補強がなされ、かつ囲い壁27との接合部に形成した第2の補強用のリブ30によって端縁部分の補強が補われ、このため、底板26の全体の強度が均一に増すように補強される。また、第2の補強用リブ30によって、料金箱1内に収納されている硬貨の重量によって最も負荷が加わる囲い壁27と底板26との接合部の強度が増す。
【0017】
このように、本体3は、底板26、囲い壁27および底板26と囲い壁27との接合部の補強がなされているので、料金箱1を誤って地面に落としたとき、収納されている硬貨の重量によって本体3が破損されるが防止される。
しかも、これら第1〜第3の補強用リブ29,30,32は、底板26との接合部にすみ肉部29a,30a,32aが形成されているために、これら接合部に応力が集中せずに分散されるため、これら第1〜第3の補強用リブ29,30,32による補強がより強固となる。
【0018】
また、料金箱1を合成樹脂で形成したことにより、全体の軽量化が図られ、このため回収作業員の労働負担が軽減される。さらに合成樹脂で形成したことにより、蓋2および本体3を一体成形により形成することができるので、従来金属で行っていた溶接やめっきあるいは塗装が不要となり、このため製造工程および製造コストが低減される。
【0019】
なお、本実施の形態においては、シャッタカバー15の他に補強板16を設けるようにしたが、これに限定されず補強板16にシャッタカバー15の機能を兼用させることにより、シャッタカバー15を省略することができる。
また、補強板16に形成した係合突起16bを補強板16の端縁の全周にわたって設けるようにしてもよい。
また、第1、第2、第3の補強用リブ29,30,32の形状、外形寸法、配置等は、本実施の形態に限らず種々の設計変更が可能である。
【0020】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、上部が開口し底板および囲い壁で形成した箱状の本体と、この本体の開口部をヒンジを介して開閉自在とし硬貨収納孔が設けられた蓋とからなる料金箱であって、前記本体を合成樹脂で形成するとともに、補強用のリブを、囲い壁の内壁面、囲い壁と底板との接合部および底板の外壁面に一体的に形成したことにより、本体の補強がなされるとともに、本体の軽量化が図られ、このため回収作業員の労働負担が軽減される。また、本体を一体成形により形成することができるので、従来金属で行っていた溶接やめっきあるいは塗装が不要となり、このため製造工程および製造コストが低減される。また、囲い壁および底板の全体の強度が増すとともに、料金箱内に収納されている硬貨の重量によって最も負荷が加わる囲い壁と底板との接合部の強度が増す。このため、料金箱を誤って地面に落としたとき、収納されている硬貨の重量によって本体が破損されるのが防止される。
【0021】
また、第2の発明によれば、第1の発明において、蓋を合成樹脂で形成するとともに、この蓋の下面側に補強板を固定し、この補強板に本体の囲い壁の内壁面に係合する係合部を設け、この係合部はその係合方向がヒンジの枢軸の軸線と平行な方向であることにより、硬貨が収納されている料金箱を誤って地面に落としたとき、硬貨の重みによる本体の蓋に対する位置ずれが規制される。このため、蓋に形成したヒンジ部が、本体の移動によって破損されるのを防止できる。また、料金箱全体の軽量が図られるので、回収作業員の労働負担が軽減される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る料金箱の正面図である。
【図2】本発明に係る料金箱の側面図である。
【図3】本発明に係る料金箱の平面図である。
【図4】本発明に係る料金箱における蓋の底面図である。
【図5】図4におけるV−V 線断面図である。
【図6】本発明に係る料金箱における本体の平面図である。
【図7】本発明に係る料金箱における本体の底面図である。
【図8】図6および図7におけるVIII−VIII 線断面図である。
【図9】図2におけるIX−IX 線断面図である。
【符号の説明】
1…料金箱、2…蓋、3…本体、9…硬貨収納孔、16…補強板、26…底板、27…囲い壁、29…第1の補強用リブ、30…第2の補強用リブ、32…第3の補強用リブ。

Claims (2)

  1. 上部が開口し底板および囲い壁で形成した箱状の本体と、この本体の開口部をヒンジを介して開閉自在とし硬貨収納孔が設けられた蓋とからなる料金箱であって、前記本体を合成樹脂で形成するとともに、補強用のリブを、囲い壁の内壁面、囲い壁と底板との接合部および底板の外壁面に一体的に形成したことを特徴とする料金箱。
  2. 請求項1記載の料金箱において、蓋を合成樹脂で形成するとともに、この蓋の下面側に補強板を固定し、この補強板に本体の囲い壁の内壁面に係合する係合部を設け、この係合部はその係合方向がヒンジの枢軸の軸線と平行な方向であることを特徴とする料金箱。
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