JP3586588B2 - 床暖房用ヒーターパネル、およびその施工方法 - Google Patents

床暖房用ヒーターパネル、およびその施工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、床面から室内を暖房する床暖房用電熱ボードおよびこれを連結したヒーターパネルの改良、並びにこれの施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の床暖房用電熱ボードは断熱材と面状発熱体などを単に積層したものであるため、強度に劣っていた。そこで、強度を高めるために断熱材部分をなくすか少なくして代わりに補強材を積層すると床下への遮音効果がなくなるという問題があった。
【0003】
また、従来の電気床暖房用ヒーターパネルは、施工に先立ち施工場所の部屋面積に合わせて、個々の電熱ボード、電熱シートあるいは電熱マットなど(以下総称して「電熱ボード等」という。)の単体仕様(寸法、発熱量等)に基づき、連結数量、敷設面積および所要出力等の設計を必要とした。
【0004】
更に、従来の電気床暖房用ヒーターパネルは、個々の電熱ボード等の位置を1枚ずつ割り付け、次に個々の電熱ボード等を根太間あるいは床下地上に1枚ずつ敷設固定し、次に個々の電熱ボード等の口出し線を一つずつ電源線に接続する必要があり、施工が複雑であるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、軽量で強度と防音性を兼ね備えた床暖房用電熱ボードを提供し、また施工の際に一人で敷設展開が可能かつ個々の電熱ボード間の電源線結線工事が不要な床暖房用電熱ボードおよびこれを連結したヒーターパネルを提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の構造を有する電熱ボード、および軽量かつ高強度な電熱ボードを、あらかじめ施工する部屋の大きさに合わせた敷設面積および所要出力になるように、折りたたみ可能な状態で所定数量連結することにより、上記課題が解決されることを見いだし本発明に至った。
【0007】
すなわち、本発明は下記の(1)〜(12)である。
(1)少なくとも周囲外郭に釘打可能領域を有する桟木が配置され、内部に断熱材が配置され、前記桟木の上面に繊維強化プリプレグシートを積層成形したものを構成単位とする面状発熱体が固定され、下面に補強シートが固定され、一辺の外郭近くの内部に渡り配線の余った長さを収納するための収納部を有する複数の床暖房用電熱ボード、及び渡り配線用の電源線を含み、複数の該電熱ボードが個々の隣り合う電熱ボード同士で連結され、かつ個々の隣り合う前記電熱ボードが折り畳まれた状態で前記電源線により電気的に接続されていることを特徴とする床暖房用ヒーターパネル。
)前記面状発熱体の上面または下面に均熱材がさらに配置されていることを特徴とする(1)に記載の床暖房用ヒーターパネル。
)前記均熱材が金属箔および/または金属板からなり、かつ前記桟木上部を全て覆うように配置されたことを特徴とする()に記載の床暖房用ヒーターパネル。
)複数の電熱ボードをヒーターパネルとして展開敷設する際に、該ヒーターパネルを構成する個々の電熱ボード間を連結する電源線の余りの長さが個々の電熱ボードに収納されるための収納部を有することを特徴とする(1)ないし()のいずれか1つに記載の床暖房用ヒーターパネル。
)前記面状発熱体が非導電性繊維と導電性繊維の交点を接合してなる網目状構造体を構成単位とすることを特徴とする(1)ないし()のいずれか1つに記載の床暖房用ヒーターパネル。
)前記桟木が、補強材と防振防音材からなる積層構造を有することを特徴とする(1)ないし()のいずれか1つに記載の床暖房用ヒーターパネル。
)前記面状発熱体下面と前記桟木上面および前記断熱材上面とが固定され、前記補強シート上面と該桟木下面および該断熱材下面とが固定されていることを特徴とする(1)ないし()のいずれか1つに記載の床暖房用ヒーターパネル。
)施工する部屋の大きさに合わせた敷設面積および所要出力になるような所定数量の電熱ボードを、個々の隣り合う電熱ボードの縁辺部に設けた孔にループ状の連結帯を通すことにより連結したことを特徴とする(1)ないし()のいずれか1つに記載の床暖房用ヒーターパネル。
)電源線に対し複数の電熱ボードが並列に接続されていることを特徴とする(1)ないし()のいずれか1つに記載の床暖房用ヒーターパネル。
(10)前記桟木の上面に面状発熱体のみが固定されていることを特徴とする(1)ないし(9のいずれか1つに記載の床暖房用ヒーターパネル。
(11)複数の電熱ボードを折り畳んだ状態にて連結帯で連結してなる(1)ないし(10)のいずれか1つに記載の床暖房用ヒーターパネルを展開敷設し、該連結帯を引くことにより、隣り合う電熱ボードを密着させ、同時に電熱ボードの収納部へ電源線の収納を行うことを特徴とする床暖房用ヒーターパネルの施工方法。
(12)少なくとも周囲外郭に釘打可能領域を有する桟木が配置され、内部に断熱材が配置され、前記桟木の上面に面状発熱体が固定され、下面に補強シートが固定され、一辺の外郭近くの内部に渡り配線の余った長さを収納するための収納部を有する複数の床暖房用電熱ボードと渡り配線用の電源線とを含み、複数の該電熱ボードが折り畳まれた状態にて個々の隣り合う電熱ボード同士が連結帯で連結され、かつ前記電源線により電気的に接続されてなる床暖房用ヒーターパネルを展開敷設し、該連結帯を引くことにより隣り合う電熱ボードを密着させ、同時に電熱ボードの収納部へ電源線の収納を行うことを特徴とする床暖房用ヒーターパネルの施工方法。
【0008】
以下本発明を詳述する。
本発明でいう電熱ボードとは、ヒーターパネルを構成する器具の単位を意味しており、通電発熱し通常使用時の耐熱性と自身および周囲の過昇温を防止する安全装置を有する。図1は本発明が適用される電熱ボードの断面図とA−A’面の平断面図を示す。電熱ボード1の周囲外郭には強度のある桟木(枠)2を配置し、内部に軽量かつ保温性に優れた断熱材3を配置し、上面に面状発熱体4を固定し、下面に補強シート5を固定してある。所望により、面状発熱体4の上面または下面には均熱材6が固定される。ここで、面状発熱体、補強シート、および均熱材などの固定は、接着、釘打ち、はめ込み、両面粘着テープなどによる粘着などによって行われる。
【0009】
上記構造により、電熱ボードが軽量かつ高強度を有すに至り、全体としてのヒーターパネルの操作性を向上させ、施工時の展開敷設を容易にならしめている。桟木(枠)2は木材等の補強材8のみでもよいが、補強材8と防振防音材7との積層構造が好ましい。この桟木(枠)2の積層構造は、補強材8と防振防音材7との上下が逆のもの、また3層以上でも良い。図1では電熱ボードの4辺を桟木(枠)が囲っているが、更に強度が必要な場合は内部に縦および/または横に桟木を増やすこともできる。
【0010】
本発明で使用する面状発熱体は、本発明のヒーターパネルを構成する個々の電熱ボードの上面に固定される。本発明に使用される面状発熱体は、特に限定されないが、耐久性および遠赤外線放射効率の見地から炭素繊維を発熱抵抗体とする面状発熱体が好ましい。
【0011】
またヒーターパネルの厚さを抑え、省スペースなヒーターパネルを得るために、本発明に使用される面状発熱体は薄型のものが望ましく、厚さ2mm以下のものが望ましく、さらに望ましくは厚さ0.8mm以下のものが使用される。
本発明に面状発熱体として使用できる好適な面状発熱体の一例として、特開平8−207191号公報に開示されている発熱体が挙げられる。これは非導電性繊維および導電性繊維の交点を接合してなる発熱体用の網目状構造体の両端において、導電性繊維と電極を接続した後、樹脂に包埋あるいは繊維強化プリプレグシートを積層して成形した発熱体用の繊維強化樹脂成形体表面に均熱材および断熱材を固定した発熱体である。
【0012】
本発明で用いられる均熱材は、面状発熱体から発熱された熱を均一にして、その上部の仕上げ材(フローリングまたは畳など)に伝えるものである。具体的には、金属の箔、板などであり、例えばアルミニウム、銅などが用いられる。
【0013】
本発明で用いられる断熱材は、面状発熱体から発生した熱が裏面に透過するのを抑え、上面の仕上げ材方向に有効に熱を与えるために用いるため、軽量で断熱効果がありヒーターの通常使用温度に対する耐熱性を有するものであればよい。例えば発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンなどの発泡樹脂、または硬質木質繊維板あるいは軽量木質繊維板などの木質繊維成形体、ポリエステル繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維などの合成繊維等からなるフェルトマットなどが用いられる。
【0014】
本発明で用いられる電熱ボードの周囲外郭には軽量で強度のある補強材が枠として使用される。具体的には、木材、合板、軽量プラスチック等が補強材として用いられる。この上面には面状発熱体が、また下面には補強シートが、そして内部には断熱材と配線および安全装置等が配置される。面状発熱体下面と枠上面および断熱材上面が固定され、補強シート上面と枠下面および断熱材下面が固定されることにより、電熱ボード全体として高い強度が得られる。また周囲のみに枠を配することで、全体の重量が軽減され、自重による反り等の変形を抑制しかつ作業性を向上する。
【0015】
さらに、この枠部分に面状発熱体の絶縁部分を配置することができ、ヒーターパネルの固定とその上の仕上げ材の固定に必要な、接着、釘打ち、はめ込みなどの可能領域が確保できる。この電熱ボードの周囲外郭に設けた接着、釘打ち、はめ込みなどの可能領域に、前述の補強材と防振防音材を積層することにより、電熱ボード上の床仕上げ材から電熱ボード下の床下地材への音の伝播を抑制し、静粛性に優れた暖房床構造が得ることができる。
【0016】
防振防音材とは、振動減衰が得られかつ上部からの荷重に耐えうる反発力をもつ材料であり、前述の補強材の上面あるいは下面に配置し共に枠として機能する。具体的にはクロロプレン等をベースとしたゴム系シート材、改質アスファルト系シート材、圧縮ウレタン発泡材、ポリエチレン発泡材等、あるいはこれらの材料に振動減衰を高めるためのフィラー、添加物を含んだものを用いることができる。
【0017】
本発明で用いられる補強シートとは、電熱ボードの下面に固定され、断熱材および枠の下面に固定することにより電熱ボードの強度を増すとともに、電熱ボードの内部回路を保護する。具体的にはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等のワリフシート、あるいはこのワリフシートと紙のラミネート品、プラスチック系やアスファルト系の各種防水シート、ベークライト等のプラスチック成形板、ブリキやアルミあるいはステンレス等の金属板等を用いることができ、またこれらを同時に複数用いることもできる。
【0018】
本発明のヒーターパネルとは、軽量かつ高強度な電熱ボードを、あらかじめ施工する部屋の大きさに合わせた敷設面積および所要出力になるように、折りたたみ可能な状態で所定数量連結したものであり、施工の際に一人で展開敷設が可能かつ個々の電熱ボード間の電源線結線工事が不要なことを特徴に持つ。このため施工時間が大幅に短縮され、また特殊な技能を持たずとも電気床暖房の敷設までが可能となる。
【0019】
図2は本発明のヒーターパネルを構成する電熱ボードを示す。電熱ボード1は周囲外郭を桟木(枠)2で囲まれた内部に軽量かつ保温性に優れた断熱材3が配置されている。電熱ボード1の一辺の外郭近くの内部に電源線(およびアース線)9を収納して渡り配線とするための収納部である空間を有し、またヒーターパネル展開敷設の際に、ヒーターパネルを構成する個々の電熱ボード間を連結する電源線の余りの長さが個々の電熱ボードに収納されるための収納部である空間10を有する。空間10には電源線(およびアース線)9を誘導し固定するガイド11が配置されている。このガイド11の全部または一部は、電源線(およびアース線)9を面状発熱体4に分岐する電極のキャップを兼ねていてもよい。桟木(枠)2の隣の電熱ボードに対する部分には連結帯12を通す孔13が開けられている。すなわち、本発明でいう「電源線を収納し渡り配線とするための収納部」とは、1本の電源線で個々の電熱ボード間を連結できるようにボードの一辺に沿って、各ボードの一端から他端まで貫通するとともに、各ボードの一端では施工後に生じる電源線の余りの長さを収納することのできる部分を意味する。
【0020】
電熱ボードの機械的な連結手段は特に限定しないが、例えば個々の電熱ボードの縁辺部に設けた孔13に連結帯12を通し結ぶことにより、隣接する電熱ボードが連結帯で機械的に連結する方法が好適である。この連結帯の長さを調節することにより、個々の電熱ボードのゆるみ間隔が調節でき、各種厚さの電熱ボードの折りたたみに対応が可能となる。また1連結部あたりの連結帯の個数を望ましくは複数個、より望ましくは2個にすることで、展開する際のねじれを防止し、梱包時の折りたたみ収納および施工時の展開作業が容易となる。
【0021】
連結帯としてはループ状のプラスチック、ひも、針金などを用いることができる。このなかでインシュロックと呼ばれるプラスチック製の電線コードを束ねる部品が強度、操作性、後で切断する時の容易性、価格などの点で好ましい。
【0022】
電熱ボードの電気的な連結手段は、連結したヒーターパネル全体の出力から算出した定格電流に対し適切な仕様を有する電気配線に関する各種規定に沿った電源電線で連結される。電気回路上は、この電源線にあらかじめすべての電熱ボードが並列に接続されており、その接続部は各電熱ボードの内部に格納されている。
【0023】
図3(a)に示されるように、本発明のヒーターパネルが梱包された状態では、ヒーターパネルを構成する個々の電熱ボードの連結部で山谷山谷・・・の形で折りたたまれている。これを施工現場に搬入、開梱し、図3(b)に示されるように、このヒーターパネルを引き伸ばして展開する。図3(c)に示されるように、折りたたまれたヒーターパネルの谷部裏面を床下地に接地し、徐々に左右に展開し、最終的に山部裏面も接地されて敷き込みが完了する。位置決定は図3(d)に示されるように、各電熱ボードを繋いでいる連結帯を引き上げて各電熱ボードの間隔を詰めた後、これら連結帯を切断、除去することにより完了する。
【0024】
展開完了時のヒーターパネルは、折りたたまれていたときの連結部の曲がり代として、個々の電熱ボードが約30mmの間隔で離れている。床暖房用ヒーターパネルとして使用する場合、電熱ボード間のコールドゾーンを少なくすることが割付上好ましいため、隣り合う電熱ボードは密着して敷設することが望ましい。また電熱ボードを密着して敷設することにより、施工対象の部屋におけるヒーターパネル全体の敷設位置を定めることが可能となり、その後の床仕上げ工事における床仕上げ材の釘打ち位置を指定することが可能なため、釘打ち位置の誤りに起因するトラブルを抑制することができる。
【0025】
図4(a)に示されるように、敷き込まれた本発明のヒーターパネルは、展開時に個々の電熱ボードの連結部に約30mm程度露出する電源線が、図4(b)に示されるように、隣り合う電熱ボードを密着する際に、個々の電熱ボード内部に収納されることを構造上の特徴に持つ。電熱ボードの電源線挿入部には電源線が収納される空間があり、電源線を電熱ボード内部に挿入することによって、電源線ガイドに沿って電源線が格納される。
【0026】
また本発明のヒーターパネルは、展開敷設の際に前述の連結帯を引くことにより、簡単な操作で隣り合う電熱ボードを密着させ、電熱ボードヘ電源線の収納を助けることが可能である。隣り合う電熱ボードを密着する際の状態の推移を図5に示す。図5(a)に示されるように、隣り合う電熱ボードは連結帯によって繋がれている。図5(b)に示されるように、連結帯を引き上げることにより隣り合う電熱ボードは密着する。最後に、連結帯を切断、除去することにより、図5(c)に示されるように、敷設が完了する。
【0027】
このように、本発明のヒーターパネルの施工では、電気工事はヒーターパネルの敷設後のみでよく、施工期間の大幅な短縮を図ることができる。
【0028】
本発明のヒーターパネルが施工される床下地は特に限定されないが、例えば木質床下地、コンクリート床下地、乾式遮音二重床などに施工できる。
【0029】
本発明のヒーターパネルの上に敷設される仕上げ材は特に限定されないが、床暖房用の畳、床暖房用木質フロアー材、合板+カーペットなどが好適に使用できる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に具体的な実施例および参考例を挙げるが、本発明はこれらの実施例に限定されないことは言うまでもない。
実施例1
図2に示される電熱ボードを作製した。この電熱ボードは図1に示されるような断面構造を有する。桟木(枠)は5.5mm厚の木材の補強材と2.5mm厚の発泡倍率7倍の発泡ポリエチレンに添加物を混入したスペーサーからなる防振防音材との2層構造とした。この桟木(枠)の内部に発泡倍率30倍の発泡ポリエチレンを断熱材として配置し、上面に面状発熱体を接着し、下面に補強シートを接着した。面状発熱体の上面に均熱材を接着した。
【0031】
実施例2
住宅の居室に必要な出力を120W/m とし、6畳間(10m )に200Wの電熱ボード6枚から成る、総出力1200Wの図2に示されるようなヒーターパネルを試作した。電熱ボード単体のサイズは1820mm×455mm×9mmであり、6枚連結品の総敷設率は50%となった。枠は30mm幅であり、厚さ5.5mmの合板の上に厚さ2.5mmの防振シートを積層した。面状発熱体の厚さは0.5mm、補強シートの厚さは0.5mmであり、電熱ボード全体の厚さは9mmとなった。
【0032】
この試作品を厚さ12mmの合板床下地の上に施工した。本発明品の総重量は12kgであり、一人で展開敷設が容易に行うことができた。また連結帯を引き電熱ボードを密着させた後、床下地に所定の位置で固定しながら連結帯を切断除去した。この上に厚さ12mmの床暖房用フロアー材を施工した。所定の位置にヒーターパネルが割り付けられており、フロアー材の釘打ち固定はヒーターパネルの表面に表示された所定の釘打ち可能領域に行えた。また施工時間は、従来品の結線作業をした場合が3時間を要したのに対し、本発明品は1時間と大幅に短縮された。
【0033】
暖房運転の結果、床面からの伝導熱と輻射熱によって快適で、安全、クリーンな暖房が可能となった。
【0034】
実施例3
住宅の居室に必要な出力を120W/m とし、8畳間(13m )に260W電熱ボード6枚から成る、総出力1560Wの図2に示されるようなヒーターパネルを試作した。電熱ボード単体のサイズは2520mm×455mm×9mmであり、6枚連結品の総敷設率は53%となった。枠は30mm幅であり、厚さ5.5mmの合板の上に厚さ2.5mmの防振シートを積層した。面状発熱体の厚さは0.5mm、補強シートの厚さは0.5mmであり、電熱ボード全体の厚さは9mmとなった。
【0035】
この試作品を厚さ12mmの合板床下地の上に施工した。本発明品の総重量は18kgであり、一人で展開敷設が容易に行うことができた。また連結帯を引き電熱ボードを密着させた後、床下地に所定の位置で固定しながら連結帯を切断除去した。この上に厚さ12mmの床暖房用フロアー材を施工した。所定の位置にヒーターパネルが割り付けられており、フロアー材の釘打ち固定はヒーターパネルの表面に表示された所定の釘打ち可能領域に行えた。また施工時間は、従来品の結線作業をした場合が3時間を要したのに対し、本発明品は1時間と大幅に短縮された。
【0036】
暖房運転の結果、床面からの伝導熱と輻射熱によって快適で、安全、クリーンな暖房が可能となった。
【0037】
実施例4
住宅の居室に必要な出力を120W/m とし、10畳間(16m )に260W電熱ボード4枚から成る、総出力1040Wの図2に示されるようなヒーターパネルを2セット組み合わせて試作した。電熱ボード単体のサイズは2520mm×455mm×9mmであり、4枚連結品2セットの総敷設率は57%となった。枠は30mm幅であり、厚さ5.5mmの合板の上に厚さ2.5mmの防振シートを積層した。面状発熱体の厚さは0.5mm、補強シートの厚さは0.5mmであり、電熱ボード全体の厚さは9mmとなった。
【0038】
この試作品を厚さ12mmの合板床下地の上に施工した。本発明品の総重量は24kgであり、一人で展開敷設が容易に行うことができた。また連結帯を引き電熱ボードを密着させた後、床下地に所定の位置で固定しながら連結帯を切断除去した。この上に厚さ12mmの床暖房用フロアー材を施工した。所定の位置にヒーターパネルが割り付けられており、フロアー材の釘打ち固定はヒーターパネルの表面に表示された所定の釘打ち可能領域に行えた。また施工時間は、従来品の結線作業をした場合が3時間を要したのに対し、本発明品は1時間と大幅に短縮された。
【0039】
暖房運転の結果、床面からの伝導熱と輻射熱によって快適で、安全、クリーンな暖房が可能となった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の電熱ボードは軽量かつ高強度を有し、施工性および耐久性に優れる他、電熱ボード上の床仕上げ材から電熱ボード下の床下地材への音の伝播を抑制し、静粛性に優れた暖房床構造を提供することができる。また、本発明の連結可能なヒーターパネルは、施工の際に一人で敷設展開が可能かつ個々の電熱ボード間の電源線結線工事が不要であり、施工性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される電熱ボードの断面図を示す。
【図2】本発明の連結可能な電熱ボードの断面図を示す。
【図3】本発明のヒーターパネルが施工される時の手順の一例を示す。
【図4】本発明のヒーターパネルの連結構造を示す。
【図5】本発明のヒーターパネルが連結される時の手順を示す。
【符号の説明】
1:電熱ボード、2:桟木(枠)、3:断熱材、4:面状発熱体、5:補強シート、6:均熱材、7:防振防音材、8:補強材、9:電源線(およびアース線)、10:電源線が収納される空間、11:ガイド、12:連結帯、13:連結帯を通す孔。

Claims (12)

  1. 床暖房用電熱ボードの複数からなる床暖房用ヒーターパネルであって、
    前記電熱ボードは、
    少なくとも周囲外郭に釘打可能領域を有する桟木、
    内部に配置される断熱材、
    上面に、前記桟木上面に固定された、発熱抵抗体に繊維強化プリプレグシートを積層成形したものを構成単位とする面状発熱体
    下面に、前記桟木下面に固定された補強シート
    とを含み、
    前記複数の電熱ボードは、個々の隣り合う電熱ボード同士が、各電熱ボードの長手方向側面で、各隣り合う側面の少なくとも2個所で機械的な連結手段によって連結されており、
    該連結手段を用いて前記各電熱ボードの上面同士又は下面同士が重なるように折り畳み可能であり、かつ個々の隣り合う前記電熱ボードが、各長手方向側面において渡り配線用の電源線により電気的に接続され、
    前記折り畳まれた各電熱ボードを展開して、各電熱ボードの長手方向の側面同士が接するように床暖房用ヒーターパネルを敷設する際に、長さの余る前記渡り配線用の電源線を電熱ボード内部に収納可能とする収納部を各電熱ボードの長手方向の一辺の外郭近くの内部に有することを特徴とする床暖房用ヒーターパネル。
  2. 電熱ボードの長手方向の各側面に上面から下面に貫通する少なくとも2個所の孔が形成されており、前記連結手段は、一の電熱ボードの前記孔とこれと隣り合う電熱ボードの隣り合う側面に形成された前記孔とにループ状の連結帯を通して連結したものである請求項1に記載の床暖房用ヒーターパネル
  3. 前記面状発熱体の上面又は下面に均熱材がさらに配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の床暖房用ヒーターパネル。
  4. 前記均熱材が金属箔および/または金属板からなり、かつ前記桟木上部を全て覆うように配置されたことを特徴とする請求項に記載の床暖房用ヒーターパネル。
  5. 前記渡り配線用の電源線の収納部は各電熱ボードの長手方向の一側面から他の側面まで貫通していることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターパネル。
  6. 前記面状発熱体は、非導電性繊維と導電性繊維の交点を接合してなる網目状構造体繊維強化プリプレグシートを積層成形したものを構成単位とすることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターパネル。
  7. 前記桟木は、補強材と防振防音材からなる積層構造を有することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターパネル。
  8. 前記断熱材は、上面と下面がそれぞれ前記面状発熱体下面と補強シート上面に固定されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターパネル。
  9. 施工する部屋の大きさに合わせた敷設面積および所要出力になるように所定出力の電熱ボードを所定枚数有することを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターパネル。
  10. 前記渡り配線用の電源線に対し、前記複数の電熱ボードが電気回路上並列に接続されていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターパネル。
  11. 前記桟木の上面には前記面状発熱体のみが固定されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターパネル。
  12. 複数の電熱ボードを折り畳んだ状態にて連結帯で連結してなる請求項1ないし11のいずれか1項に記載の床暖房用ヒーターパネルを、折り畳んだ状態にて 搬送し、敷設個所において展開した後、前記連結帯を引くことにより隣り合う電熱ボードを密着させ、同時に電熱ボードの収納部へ余剰の前記渡り配線用の電源線の収納を行うことを特徴とする床暖房用ヒーターパネルの施工方法。
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