JP4041065B2 - 低温熱傷防止電気式床暖房システム、電気式床暖房用パネル、床暖房用床材、及び電気式床暖房装置 - Google Patents

低温熱傷防止電気式床暖房システム、電気式床暖房用パネル、床暖房用床材、及び電気式床暖房装置 Download PDF

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Description

本発明は、電気式床暖房用パネルとこの上に載置される床材とからなる電気式床暖房システム、このシステムの施工に用いられる電気式床暖房用パネル及び床暖房用床材、そして電気式床暖房装置に関する。更に詳しくは、本発明は、特に床表面との接触による低温熱傷を生じることなく快適に床暖房を利用することができる低温熱傷防止電気式床暖房システム、電気式床暖房用パネル、床暖房用床材、電気式床暖房装置に関する。
従来から床暖房システムは、一般に発熱体である暖房装置とこの上に載置された床材とから構成されている。暖房方式により電気式と温水式があり、例えば、電気式ではニクロム線などの発熱体を用いたヒーティングケーブル、炭素系繊維やカーボンブラック等を用いた面状発熱体が知られており、また温水式では温水を循環する温水パイプが知られている。そして床暖房時の床表面の温度ムラをなくす目的で発熱体の床材に接する面にはアルミニウム箔、アルミニウム板あるいは鉄板等の熱伝導率の大きな金属が取付けられているのが一般的である。即ち、発熱体で生じた熱を金属板などにより水平方向に拡散させて床表面の温度を均一化する方法が採られている。電気式は、一般に温水式に比べて施工が容易であるとの利点を有する。
一方、床暖房用床材としては、例えば、水分等によるソリなどを防止し、かつ熱伝導を促進させる目的で天然木材板とアルミニウムシートで表裏両面をカバーしたベニア板とを固着した床材が下記特許文献1に提案されている。
特開平7−292943号公報
室温を快適な温度に保つには、床暖房からの放熱量を部屋の熱負荷に応じてコントロールする必要がある。通常室温のコントロールは、室温センサーや床温センサーを用いた制御方法、あるいはこれらのセンサーを組み合わせた制御方法が採られている。部屋の熱負荷が小さい場合には、床暖房の単位面積当たりの放熱量は比較的少なくても部屋を快適な温度に保つことができる。このときの床表面温度と室温との差はわずかである。従って、人体の同一部分が一定場所に長時間接触した場合でも熱伝導による快適な暖房感が得られる。
しかし、部屋の熱負荷が大きくなるにつれて快適な室温を保つためには床暖房の単位面積当たり大きな放熱量が必要になり、また床表面温度もそれに応じて高くなる。このように単位面積当たりの放熱量が大きい場合に人体の同一部分が床の一定の場所に長時間接触している状態では、床暖房の発熱体表面に熱拡散材料があるにも拘わらず、床材(即ち、木材)の水平方向への熱伝導性が低いために熱のこもり(所謂こもり熱)が発生する。その結果、人体と床の接触部分の温度は何も接触していない床表面に比べて更に高温となり、低温熱傷を起す場合がある。このような問題を防止する方法として、床暖房の単位面積当たりの放熱量を一定以上大きくしない方法があるが、部屋の熱負荷が大きい場合には床暖房の放熱量が限られるために室温が充分に上がらず、快適な温度に保つためには他の補助暖房装置が必要になる。このような場合では暖房設備費がかさむ上に、頭寒足熱、ムラの無い温度空間といった床暖房特有の快適な暖房環境を実現するのは困難である。
本発明者の深井らは、既に床暖房パネルと床材との間にアルミニウムシートを配置し、該シートの厚みを変化させることで人体と床との接触部分の温度が変化することを見出し、アルミニウムシートを厚くすることで接触部分の温度を下げる方法を提案している(大竹、深井、永村著「床接触温による床暖房システムの安全性の評価−均熱板による床接触温上昇の低減効果の検証−」(予稿集:日本建築学会大会学術講演梗概集D−環境工学、925〜926頁、1999))。この方法では床材とアルミニウムシートとが一体化されていないので施工に時間がかかることに加え、床暖房の出力や温水温度に対するアルミニウムシートの厚み設計には特殊なノウハウが必要になる。
本発明の目的は、低温熱傷を起すことなく、かつ補助暖房などを用いることなく快適に暖房環境を実現できる電気式床暖房システムを提供することである。
また本発明の目的は、採用した床材、あるいは採用した電気式床暖房用パネルに応じて、上記のような電気式床暖房システムの施工を効率よく、容易に行うことができる電気式床暖房用パネル及び床暖房用床材、そして電気式床暖房装置を提供することでもある。
一般に人体組織温度が42℃以下であれば人体組織に不可逆的変化は生じないとされている(例えば、山田、棚澤他著「からだと熱の流れの科学」(テクノライフ選書、1998年10月30日、オーム社発行))。本発明者らはこのような観点から上記こもり熱による低温熱傷を防止するための方法について検討を進めた。その結果、低温熱傷を防止して、より快適な暖房環境を実現するためには、部屋の熱負荷が大きく、床暖房からのより大きな単位面積当たりの放熱量が必要とされる場合でも床表面上の床との接触面における人体接触温度を42℃以下に抑えることが必要であり、そのためには、熱伝導に大きく寄与する床材の構造、特に熱拡散材料の厚さ(t)とこの熱拡散材料から床表面までの距離、即ち、上部材料の厚さ(d)とを暖房装置の単位面積当たりの放熱量に応じて調整することが有効であり、しかも暖房装置の放熱量との関係から実験的に算出したデータを基に、これらを導入して得た特定の関係式(I)を用いて上部材料及び熱拡散材料の厚さを調整することで、任意の暖房装置の放熱量(ヒータの出力の表面温度)に対して効率良く容易に床材を設計でき、それにより目的の床暖房システムを製造できることを見出した。
また、上記電気式床暖房システムの施工に際しては、上記の関係式(I)に基づいて得た特定構造の床材と特定の最大出力の電気式床暖房用パネルとを組み合わせて使用することで低温熱傷が生じることなく、快適な暖房環境を実現したシステムを容易に施工できることを見出した。
本発明は、電気式床暖房用パネルとこの上に載置される床材とからなる電気式床暖房システムにおいて、該床材が、0.01〜12mm厚(d)で床表面を形成する上部材料であって、該上部材料が無垢木材、合板、MDFボード及びHDFボードからなる群より選ばれる木質材料、30〜1000μm厚(t)で上記上部材料の下部に該床表面に平行に配置される熱拡散材料であって、該熱拡散材料がアルミニウム、銅及びマグネシウムからなる群より選ばれる金属材料、そして上記パネルにその下面を接して配置される下部材料とからなり、これらが積層して一体に形成されており、かつ最大出力の下限値(p1)が65W/mの下記パネル(1)〜(12)であってその各最大出力の上限値(p2)に応じて予め決められた係数a、bを導入して得た下記関係式(I):
t≧a×d+b (I)
(1)p2が140W/mのパネルの場合、aが2.1でbが50
(2)p2が150W/mのパネルの場合、aが2.9でbが71
(3)p2が160W/mのパネルの場合、aが4.5でbが113
(4)p2が170W/mのパネルの場合、aが7.6でbが163
(5)p2が180W/mのパネルの場合、aが17.9でbが228
(6)p2が230W/mのパネルの場合、aが69.4でbが553
(7)p2が240W/mのパネルの場合、aが79.7でbが618
(8)p2が250W/mのパネルの場合、aが90.0でbが683
(9)p2が260W/mのパネルの場合、aが100.3でbが748
(10)p2が270W/mのパネルの場合、aが110.6でbが813
(11)p2が280W/mのパネルの場合、aが120.9でbが878
(12)p2が290W/mのパネルの場合、aが131.2でbが943
を満たすように、上記上部材料の厚み(dmm)と熱拡散材料の厚み(tμm)とを設定することにより、床材が構成されていることを特徴とする電気式低温熱傷防止床暖房システムにある。
本明細書において、電気式床暖房用パネルの最大出力の下限値(p1)とは、施工対象とする部屋の面積当たりの熱負荷に応じて快適な室温に保つために最低限必要な放熱量を与える最大出力値(W/m)を意味する。この下限値(p1)は、[(木造、マンション等に応じて予め設定された単位面積当たりの最大熱負荷)/0.7(最大の敷設面積率)]の式で与えられ、各パネル共通に65W/m、好ましくは90W/mで設定される。またその最大出力の上限値(p2)とは、最大出力で表示されているパネルの放熱量の最大出力値(W/m)を意味する。
また、本明細書において、床との接触面における人体表面温度とは、床との接触面における閉塞された床上の着衣を介した人体皮膚表面温度を意味する。人体皮膚表面温度、即ち、人体皮膚表面の床との接触温度は、人体側の生理的な状態、あるいは接触部位、接触圧、接触時間などの影響を受け、変動する。このため、本明細書では、人体皮膚表面温度は、人体皮膚表面の床との接触温度を実際に測定して得た温度にほぼ近い温度の測定が可能な装置(床接触温度推定装置「EFCT計」)を用いて測定した温度を意味する。なお、上記床接触温度推定装置(第3図参照)については、特開2001−272284号公報(「床暖房の評価装置」)に記載されている。
また本発明は、所定数の電熱ボードが折り畳み可能な状態で連結された電気式床暖房用パネルであり、該パネル1セット以上使用した敷設面積が、施工する部屋の床面積の50〜70%になるように予め設定されており、かつ床暖房パネルの最大出力の下限値(p1)が65W/mで、その最大出力の上限値(p2)が該床暖房パネルと組み合わせて使用する床材によって制限されており、
該床材が、0.01〜12mm厚(d)の床表面を形成する上部材料であって、該上部材料が無垢木材、合板、MDFボード及びHDFボードからなる群より選ばれる木質材料、30〜1000μm厚(t)の上記上部材料の下部に該床表面に平行に配置される熱拡散材料であって、該熱拡散材料がアルミニウム、銅及びマグネシウムからなる群より選ばれる金属材料、及び該熱拡散材料の下の下部材料が積層して一体に形成されており、かつ上記上部材料の厚み(dmm)と熱拡散材料の厚み(tμm)とが、
(1)t≧2.1×d+50の関係を満たす時p2が140W/mである、
(2)t≧2.9×d+71の関係を満たす時p2が150W/mである、
(3)t≧4.5×d+113の関係を満たす時p2が160W/mである、
(4)t≧7.6×d+163の関係を満たす時p2が170W/mである、
(5)t≧17.9×d+228の関係を満たす時p2が180W/mである、
(6)t≧69.4×d+553の関係を満たす時p2が230W/mである、
(7)t≧79.7×d+618の関係を満たす時p2が240W/mである、
(8)t≧90.0×d+683の関係を満たす時p2が250W/mである、
(9)t≧100.3×d+748の関係を満たす時p2が260W/mである、
(10)t≧110.6×d+813の関係を満たす時p2が270W/mである、
(11)t≧120.9×d+878の関係を満たす時p2が280W/mである、
(12)t≧131.2×d+943の関係を満たす時p2が290W/mである、
ことを特徴とする電気式床暖房用パネルにある。
更に本発明は、0.01〜12mm厚(d)の床表面を形成する上部材料であって、該上部材料が無垢木材、合板、MDFボード及びHDFボードからなる群より選ばれる木質材料、30〜1000μm厚(t)の該床表面に平行に上記上部材料の下に配置される熱拡散材料であって、該熱拡散材料がアルミニウム、銅及びマグネシウムからなる群より選ばれる金属材料、及び該熱拡散材料の下の下部材料が積層され、かつ上記上部材料の厚み(dmm)と熱拡散材料の厚み(tμm)とが、最大出力の下限値(p1)が65W/mの電気式床暖房用パネルであってその最大出力の上限値(p2)が各パネル用として
(1)p2が140W/mのパネルの場合、t≧2.1×d+50
(2)p2が150W/mのパネルの場合、t≧2.9×d+71
(3)p2が160W/mのパネルの場合、t≧4.5×d+113
(4)p2が170W/mのパネルの場合、t≧7.6×d+163
(5)p2が180W/mのパネルの場合、t≧17.9×d+228
(6)p2が230W/mのパネルの場合、t≧69.4×d+553
(7)p2が240W/mのパネルの場合、t≧79.7×d+618
(8)p2が250W/mのパネルの場合、t≧90.0×d+683
(9)p2が260W/mのパネルの場合、t≧100.3×d+748
(10)p2が270W/mのパネルの場合、t≧110.6×d+813
(11)p2が280W/mのパネルの場合、t≧120.9×d+878
(12)p2が290W/mのパネルの場合、t≧131.2×d+943
を満すように一体に形成されていることを特徴とする低温熱傷防止床暖房用床材にある。
更に又本発明は、所定数の電熱ボードが折り畳み可能な状態で連結された電気式床暖房用パネルと床材とを組み合わせた電気式床暖房用装置であり、床暖房パネルの最大出力の下限値(p1)が65W/mで、その最大出力の上限値(p2)が該床暖房パネルと組み合わせて使用する床材によって制限されており、
該床材が、0.01〜12mm厚(d)の床表面を形成する上部材料であって、該上部材料が無垢木材、合板、MDFボード及びHDFボードからなる群より選ばれる木質材料、30〜1000μm厚(t)の上記上部材料の下部に該床表面に平行に配置される熱拡散材料であって、該熱拡散材料がアルミニウム、銅及びマグネシウムからなる群より選ばれる金属材料、及び該熱拡散材料の下の下部材料が積層して一体に形成されており、かつ上記上部材料の厚み(dmm)と熱拡散材料の厚み(tμm)とが、
(1)t≧2.1×d+50の関係を満たす場合にp2が140W/mである、
(2)t≧2.9×d+71の関係を満たす場合にp2が150W/mである、
(3)t≧4.5×d+113の関係を満たす場合にp2が160W/mである、
(4)t≧7.6×d+163の関係を満たす場合にp2が170W/mである、
(5)t≧17.9×d+228の関係を満たす場合にp2が180W/mである、
(6)t≧69.4×d+553の関係を満たす場合にp2が230W/mである、
(7)t≧79.7×d+618の関係を満たす場合にp2が240W/mである、
(8)t≧90.0×d+683の関係を満たす場合にp2が250W/mである、
(9)t≧100.3×d+748の関係を満たす場合にp2が260W/mである、
(10)t≧110.6×d+813の関係を満たす場合にp2が270W/mである、
(11)t≧120.9×d+878の関係を満たす場合にp2が280W/mである、
(12)t≧131.2×d+943の関係を満たす場合にp2が290W/mである、
電気式床暖房用パネルを組み合わせたことを特徴とする電気式床暖房装置にある。

以上
本発明の電気式床暖房システムを用いることにより、低温熱傷を生じることなく快適に床暖房を享受することができる。また本発明の電気式床暖房システムでは、採用する最大出力の電気式床暖房用パネル、あるいは採用する床材に応じて効率良く容易に最適な床材、あるいはパネルを設定することができる。
以下に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明の低温熱傷防止電気式床暖房システム(以下、単に床暖房システム、あるいはシステムと称する場合がある)の構成を模式的に第1図に示す。
第1図に見られるように、本発明の電気式床暖房システム1は、電気式床暖房用パネル(パネルヒーター)10とこの上に載置される床材20とからなる。床材20は、床表面を形成する上部材料21、上部材料の下部に該床表面24に平行に配置される熱拡散材料22、そして上記パネルにその下面を接して配置される下部材料23とからなる。そしてこれらの材料は積層して一体に形成されている。即ち、床材は、上下部材で熱拡散材料をサンドイッチ状に挟んだ三層構造を有する。
上部材料21は、木質材料で形成されていることが好ましく、例えば、無垢木材、合板、MDF(ミディアムデンシティファイバー)ボード、HDF(ハイデンシティファイバー)ボードを挙げることができる。その他に、例えば、塩化ビニールシート、遮音直貼り化粧合板、カーペット、畳、大理石、タイルなどの仕上げ材などを用いることができる。上部材料21の厚さ(d)は、0.01〜12mmであり、好ましくは0.3〜10mmであり、更に好ましくは、0.4〜10mmである。
熱拡散材料22としては、木質材料より熱伝導率の大きなものであることが好ましく、例えば、アルミニウム、銅、及びマグネシウムなどの金属材料を挙げることができる。また高い熱伝導率を有する材料として、例えば、炭素繊維、黒鉛などの非金属材料を用いることもできる。熱拡散材料の熱伝導率は、100〜500W/mKの範囲にあることが好ましい。本発明ではアルミニウムを用いることが好ましい。熱拡散材料の厚み(t)は、30〜1000μmであり、好ましくは、100〜500μmである。
下部材料23は、上部材料と同様に木質材料で形成されていることが好ましい。下部材料の厚さは、床材の全体の厚みを考慮して決められるが、通常0.1〜39.96mmであり、好ましくは3〜15mmである。
上記上部材料、熱拡散材料、及び下部材料を積層させて一体に形成するには、通常接着剤が用いられる。接着剤としては、例えば、ユリア樹脂、ユリア・メラミン樹脂、フェノール樹脂、及び水性ビニルウレタン樹脂を挙げることができる。上部材料及び下部材料とを木質材料で形成した場合、木質材料と熱拡散材料とをホットプレスによって接着することができる。本発明では、床材の全体の厚みは、2〜40mmであることが好ましく、さらに好ましくは4〜15mmである。
本発明のシステムに用いられる電気式床暖房用パネルは、従来からこの用途に用いられているものであれば特に制限は無い。これらの例としては、発熱体の形態により、ボード、マット、シート、ケーブル、パネル、パイプ、その他の採暖具、あるいはオンドル構造などの床下に入れて使用する発熱器具を挙げることができる。本発明で用いる床暖房用パネルにはこれらの形態が含まれるが、本発明では、例えば、特開2000−81221号公報に記載されている、複数の電熱ボードが折り畳み可能な状態で連結された電気式床暖房用パネル(以下単に、パネルと称する場合がある)を用いることが好ましい。このタイプのパネルを用いることで、システムの施工が容易になる。なお、このタイプのパネルについての詳細は後述する。
上記複数の電熱ボードからなるパネルの設計に際しては、所定数の電熱ボードからなる一組(1セット)のパネルを1セット以上使用した所定数からなるパネルの敷設面積が、施工する部屋の床面積の50〜70%、好ましくは、60〜70%になるように予め設定しておく。それによって、施工する部屋の床面積に応じて必要な数のパネルを用意することができ、施工する部屋の床面積に合った施工が容易に可能である。
次に、採用する任意の放熱量(ヒータの最大出力)のパネルに対して、最適な床材を設定することにより、電気式床暖房システムを製造する方法を説明する。
まず、上部材料の厚み(d)mmと熱拡散材料の厚み(t)μmとの関係は、下記式(I)で表される。
t≧a×d+b (I)
ここで、上記係数a、bは、それぞれ本発明者らが各パネルの最大出力(p2:W/m)に応じて実験的に求めたものであり、従って、最大出力パネル毎に予め決められている。本発明では、下記表1のように最大出力に応じて(1)〜(12)のパネルに対して係数a、bが決められている。
Figure 0004041065
上記(I)式は、熱拡散材料の厚み(tμm)と上部材料の厚み(dmm)が、二次の不等式の関係にあることを示している。
例えば、採用する任意のパネルの出力が126W/mの場合には、(1)最大出力140W/mのパネルの場合の係数a、b、即ち、a=2.1、b=50を用いて、関係式(I)は、下記の関係式で与えられる。
t≧2.1×d+50
上記表1から、用いるパネルの最大出力が大きくなるに従って係数a、bが大きくなるため、そこから導かれる式で表されるtの領域は、狭められることになる。この関係を第2図に示す。第2図は、最大出力が(1)140W/m、(2)150W/m、(4)170W/m、そして(6)230W/mの各パネルの場合に、熱拡散材料の厚み(t)を縦軸に、そして上部材料の厚み(d)を横軸にてプロットしたグラフである。例えば、最大出力が140W/mのパネルを用いた場合が第2図の中で最も熱拡散材料の厚み(t)と上部材料の厚み(d)を選択できる自由度が高くなる(第2図の(a)の曲線(1)で囲まれた影の部分)。そして最大出力が上昇するにつれて第2図の(b)から(d)に二次曲線は移動して、最大出力が230W/mのパネルの場合(第2図の(d)の曲線(6)で囲まれた影の部分)にはその自由度が低く、tの領域は狭められることになる。
また上記関係式(I)から、床材を設計する場合、上部材料の厚み(d)を薄くした場合、即ち、床表面との距離を短くした場合には、熱拡散材料の厚み(t)を薄くすることができる。一方、上部材料の厚み(d)を厚くした場合、即ち、床表面との距離を長くした場合には、熱拡散材料の厚み(t)を厚くすることができる。この関係は、採用する任意のパネルの出力に対し、それに対応する上記最大出力のパネルの係数a、bを関係式(I)に導入して得た関係式においても同様に成立する。
従って、採用した任意の出力のパネルに対して、得られた二次の不等式を満たすように上記所定厚(d)と(t)の範囲内で上部材料の厚み(d)と熱拡散材料の厚み(t)とを設定することで低温熱傷を生じることのない最適な床材を効率良く容易に設計することができ、従って快適な暖房環境を実現する床暖房システムを得ることができる。
本発明の電気式床暖房システムにおいては、予め設定した所定構造の床材(採用した床材)に対して、低温熱傷が生じることなく、かつ快適な床暖房空間を実現できる適したパネルの提供が容易にできる。また所定の最大出力の電気式床暖房パネル(採用したパネル)に対しても同様に適した床材の提供が容易にできる。例えば、施工対象とする部屋に対して、上部材料の厚み(d)と熱拡散材料の厚み(t)とが、(1)t≧2.1×d+50の関係を満たすように床材を設計した場合には、パネルとして、その最大出力(p2)が140W/mのパネルを組み合わせて用いることで、容易に本発明のシステムを施工できる。一方、例えば、施工対象とする部屋に対して、最大出力(p2)140W/mのパネルを用いてヒータを設計した場合には、床材として、(1)t≧2.1×d+50の関係を満す床材を組み合わせて用いることで同様に容易に本発明のシステムを施工することができる。また、上部材料の厚み(d)と熱拡散材料の厚み(t)との関係を前記(2)〜(12)の式で示される関係で床材を設計した場合、あるいは各最大出力でパネルを設計した場合にも、それぞれに対応した各パネル、あるいは各床材を組み合わせることで同様に本発明のシステムを容易に施工することができる。
次に電気式床暖房用パネルについて更に説明する。
電気式床暖房用パネルは、複数の電熱ボードが折り畳み可能な状態で連結されてなるものである。
まず、電熱ボードについて説明する。
電熱ボードとは、パネルを構成する発熱器具の単位を意味しており、通電発熱し通常使用時の耐熱性と自身および周囲の過昇温を防止する安全装置を有している。第4図は、本発明で用いられる電熱ボード41の好ましい一例を示すもので、ボード面に対して垂直断面図(1)及びその断面図のA−A’面に沿った平断面図(2)を示す。
電熱ボード41は、その周囲外郭に強度のある桟木(枠)42を配置し、内部に軽量かつ保温性に優れた断熱材43を配置し、上面に面状発熱体44を固定し、下面に補強シート45が固定してなるものである。所望により、面状発熱体44の上面または下面には均熱材46を固定することができる。面状発熱体、補強シート、および均熱材などの固定は、接着、釘打ち、はめ込み、両面粘着テープなどによる粘着などによって行うことができる。電熱ボード周囲のみに枠を配することで、ボード全体が軽量かつ高強度になり、また自重による反り等の変形も抑制することができる。また複数の電熱ボードからなるパネルとして構成した場合でもパネル全体の操作性が向上し、施工時の展開敷設も容易になる。なお、第4図に示す例では、電熱ボードの4辺が桟木(枠)で囲まれているが、更に強度が必要な場合は内部に縦および/または横に桟木を増やすこともできる。
桟木(枠)42は、木材等の補強材48のみで構成してもよいが、第4図に示すように、補強材48と防振防音材47との積層構造であることが好ましい。この場合、この桟木(枠)42の積層構造は、補強材48と防振防音材47との上下が逆のもの、また3層以上にすることもできる。補強材48には、具体的には、木材、合板、軽量プラスチック等が用いられる。また防振防音材47は、振動減衰が得られかつ上部からの荷重に耐えうる反発力をもつ材料からなり、具体的にはクロロプレン等をベースとしたゴム系シート材、改質アスファルト系シート材、圧縮ウレタン発泡材、ポリエチレン発泡材等、あるいはこれらの材料に振動減衰を高めるためのフィラー、添加物を含んだものを用いることができる。
第4図に示すように、桟木(枠)42を積層構造とし、かつこの上面には面状発熱体44、また下面には補強シート45、そして内部には断熱材43と配線および安全装置等を配置すると、面状発熱体下面と枠上面および断熱材上面が固定され、さらに補強シート上面と枠下面および断熱材下面が固定されるため、電熱ボード全体として高い強度が得られる。またこの枠部分には面状発熱体の絶縁部分を配置することができる。こうすることで、パネルの固定とその上の床材の固定に必要な、接着、釘打ち、はめ込み、ビス止めなどの可能領域を確保することができる。この可能領域を上記のような補強材と防振防音材からなる積層とすることで、電熱ボード上の床材から電熱ボード下の床下地材への音の伝播も抑制され、静粛性に優れた暖房床構造を得ることもできる。
断熱材43は、面状発熱体から発生した熱が裏面から放出するのを抑え、かつ上面の床材方向に有効に熱を伝える作用をもたせるために、軽量で断熱効果があり、発熱体の通常使用温度に対する耐熱性を有するものが好ましい。例えば発泡ポリウレタン、発泡ポリエチレン、発泡ポリプロピレンなどの発泡樹脂、または硬質木質繊維板あるいは軽量木質繊維板などの木質繊維成形体、ポリエステル繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維などの合成繊維等からなるフェルトマットなどが用いられる。
面状発熱体44は、電熱ボードの上面に固定される。使用される面状発熱体は、特に限定されないが、耐久性および遠赤外線放射効率の見地から炭素繊維を発熱抵抗体とする面状発熱体が好ましい。またパネルの厚さを抑え、省スペースなパネルを得るために、面状発熱体は薄型のものが好ましく、厚さ2mm以下のものが好ましく、さらに好ましくは厚さ0.8mm以下のものが使用される。本発明に面状発熱体として使用できる好適な面状発熱体としては、例えば、特開平8−207191号公報あるいは特開2000−133422号公報に開示されている発熱体が挙げられる。本発明に用いる好ましい発熱体に付いては後述する。
補強シート45は、電熱ボードの下面に固定され、断熱材および枠の下面に固定することにより電熱ボードの強度を増すとともに、電熱ボードの内部回路を保護する役目を有する。材料としては、具体的にはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等のワリフシート、あるいはこのワリフシートと紙のラミネート品、プラスチック系やアスファルト系の各種防水シート、ベークライト等のプラスチック成形板、ブリキやアルミあるいはステンレス等の金属板等を用いることができ、またこれらを同時に複数用いることもできる。
均熱材46は、面状発熱体から発熱された熱を均一にして、その上部の床材に伝えるものである。これらの例としては、金属の箔、板などを挙げることができ、具体的には、アルミニウム、銅などが用いられる。
第5図は、複数の電熱ボードを折り畳み状態に連結してパネルを作るのに好適な電熱ボードの好ましい一例を模式的に示す図である。
第5図に示すように、電熱ボード41の桟木(枠)42には、連結帯52を通す孔53が設けられている。孔53の数は、折り畳み状態の複数のボードを展開する際のねじれを防止し、梱包時の折り畳み収納および施工時の展開作業を容易にするために、連結部の一辺当たり複数個、好ましくは2個設けることが好ましい。連結帯はその長さを調節できるため、連結したときの隣り合う電熱ボードとの間隔が調節でき、従って、折り畳む際に各種厚さの電熱ボードに対応させることができる。連結帯としてはループ状のプラスチック、ひも、針金などを用いることができる。このなかでインシュロックと呼ばれるプラスチック製の電線コードを束ねる部品が強度、操作性、後で切断する時の容易性、価格などの点で好ましい。
電熱ボード41の一辺の外郭近くの内部には、電源線(およびアース線を含む)49を収納し、共通した1本の電源線で複数の電熱ボード間を配線できる、所謂渡り配線とするための収納部(空間)50が形成されている。収納部50は、1本の電源線で個々の電熱ボード間を連結できるようにボードの一辺に沿って、その一端から他端まで貫通して設けられている。この収納部50には、複数の電熱ボードを並列にそれらの連結部を密着状態で配置して各ボード間に渡り配線を配設した場合、余分な長さの電源線の部分(折り畳んだ状態の場合に必要な部分)を収納することができる。第6図は、隣り合う電熱ボードを密着した状態で敷設したときの電源線の電熱ボード内への収納状態を模式的に示す図である。第6図(a)に示されるように、展開時には隣り合う電熱ボードの隙間により連結部に約30mm程度露出した電源線を有するが、第6図(b)に示すように、隣り合う電熱ボードを密着して敷設した場合には、その露出した部分の電源線部分は、電熱ボード内の収納部50に収納することができる。なお、収納部には、電源線49を誘導し、固定するガイド51が配置されている。なお、このガイド51の全部または一部は、電源線49を面状発熱体44に分岐する電極のキャップを兼ねていてもよい。
本発明で用いる電気式床暖房用パネルは、上記所定数の電熱ボードが各々連結帯により折り畳み可能な状態で連結されている。
電熱ボードの電気的な連結手段は、所定数の電熱ボードからなるパネル全体の出力から算出した定格電流に対し適切な仕様を有する電気配線に関する各種規定に沿った電源線である。電気回路上は、この電源線に予め所定数の全ての電熱ボードが並列に接続されており、その接続部は各電熱ボードの内部に格納されている。
次に所定数の電熱ボードが折り畳み状態で連結された電気式床暖房用パネルの敷設手順を説明する。
第7図は、所定数の電熱ボードが折り畳み状態で連結されたパネルを床下地に展開、敷設する手順を模式的に示す図である。
第7図の(a)〜(d)に示されるように、パネルが梱包された状態では、パネルを構成する個々の電熱ボードは、連結部でジグザグに折り畳まれている(a)。このパネルを施工現場に搬入、開梱し、このパネルを引き伸ばして展開する(b)。折り畳まれた状態のパネルの裏面側を床下地に接地させ、個々の電熱ボードを左右に展開して敷設する(c)。この(c)の段階のパネルは、折り畳まれていたときの連結部の曲がり代として、隣り合う電熱ボードが約30mm間隔離れて敷設される。このような間隔を置いた状態で敷設すると、予め所定の敷設面積で設定したパネルであっても施工する部屋の面積に合わなくなり、施工割付上好ましくない。このため、隣り合う電熱ボード間の間隔を詰め、密着して敷設することにより、パネルの敷設が完了する(d)。
上記隣り合う電熱ボードを互いに密着状態で敷設するには、第8図に示す方法で行うことができる。第8図の(a)〜(c)に示すように、連結帯によって繋がれた隣り合う電熱ボードを連結体を引き上げ、締めることで両ボードを中心方向に移動させ、密着させ、最後に、連結帯を切断、除去することにより、両ボードを密着状態で敷設することができる。電熱ボードを密着して敷設することにより、施工対象の部屋におけるパネル全体の敷設位置を定めることが可能となり、その後の床仕上げ工事における床材の釘打ち位置を指定することができ、従って釘打ち位置の誤りに起因するトラブルを防ぐことができる。
本発明に用いるパネルは、施工の際に一人で展開敷設が可能であり、また個々の電熱ボード間の電源線結線工事が不要であるため、施工時間を大幅に短縮でき、また特殊な技能を持たずとも敷設することができる。また施工される床下地としては、例えば木質床下地、コンクリート床下地、乾式遮音二重床などを挙げることができる。
次に本発明で好ましく用いられる発熱体について説明する。
第9図は、本発明で好ましく用いられる発熱体の一例の分解斜視図を示し、第10図は、発熱体の電極部分の断面図を示す。
第9図及び第10図に示すように、発熱体60は、非導電性繊維65と導電性繊維66とからなる網目状構造体77を樹脂材料、セラミック材料、金属材料などを用いて両側から挟んだ積層構造からなる。網目状構造体77の下側には、網目状構造体の下面の繊維強化樹脂プリグレグシート64、樹脂付き樹脂フィルム63、均熱材62、そして保護用フィルム61が積層されている。また、網目状構造体77の上側には、該網目状構造体に接続した電極67、網目構造体77の上面に設けられたアンカー部68、リード線貫通孔を有する繊維強化樹脂プリグレグシート69、リード線用貫通孔を有する樹脂フィルム70、そして断熱材71が積層されている。リード線75は、アンカー部68と接続され、更にこの接続部分は樹脂73でモールディングされている。
まず、網目状構造体77について説明する。
網目状構造体77は、非導電性繊維65と導電性繊維66とを用い、それらの交点においてそれらに含まれる熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹脂繊維が加熱処理により融着することにより接合され、網目状構造を有するものである。
非導電性繊維65としては、導電率10−5S/m以下、好ましくは10−9S/m以下の非導電性繊維であればどのような繊維でも用いることができるが、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維及びナイロン繊維などが好ましく用いられる。またその耐熱温度は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上の繊維が用いられる。非導電性繊維は好ましくは連続繊維であり、10〜100,000フィラメント、好ましくは500〜12,000フィラメントから構成される。
導電性繊維66としては、発熱体として利用可能な導電性の繊維であればいずれの繊維でも良く、通常導電率10〜10S/m、好ましくは10〜10S/m、より好ましくは10 〜10S/mの繊維が用いられる。導電性繊維としては、例えば、カーボンブラックや金属粒子を分散した樹脂などからなる導電性繊維;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリピリジン自体あるいはこれらに金属をドープした導電性高分子繊維;鉄、銅、ニッケル、クロムなどの金属やステンレス;Ni−Cr、Ni−Cu−Fe、Ni−Cuなどの合金を原料とした金属繊維および炭素繊維などが挙げられるが、特に入手しやすさ、軽量性、可撓性、耐食性、引張強度に優れる点から炭素繊維が好ましく用いられる。
炭素繊維としては、ピッチ系、ポリアクリロニトリル(PAN)系、セルロース系炭素繊維などあらゆる種類の炭素繊維が導電性繊維として用いられる。炭素繊維は配向性があり、高い温度で焼成した繊維ほど導電率は良くなるが、焼成温度は800〜3300℃、好ましくは1100℃〜2800℃で処理した炭素繊維および/又は0.5〜10g/フィラメント、好ましくは1〜5g/フィラメントの張力をかけて焼成した炭素繊維が好ましく用いることができる。
導電性繊維は、好ましくは連続繊維であり、それぞれ10〜100,000フィラメント、好ましくは500〜12,000フィラメントからなる導電性繊維束で構成することができる。
上記導電性繊維および非導電性繊維には撚りをかけても良い。撚りをかける時期は混繊繊維であれば混繊後、その他の場合はいずれの工程で撚りをかけても良い。撚りをかけた場合は特に導電性繊維、特に炭素繊維の毛羽の発生を少なくできる。撚りをかける程度はどのような程度でもよいが、網目状構造の交点で押しつぶされ偏平になって良好な接合状態になる程度が好ましい。
導電性繊維および非導電性繊維は、少なくとも一方の繊維を熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹脂繊維を任意の割合で、好ましくは熱可塑性樹脂繊維を5〜70質量%、より好ましくは10〜60質量%の割合で混成することができる。ここで混成とは(1)上記導電性繊維あるいは非導電繊維の100〜100000フィラメントからなる1本の繊維束が熱可塑性樹脂で被覆されていること、(2)導電性繊維あるいは非導電性繊維および熱可塑性繊維が100〜100000フィラメントの1本の繊維束として混繊されていること、(3)導電性繊維あるいは非導電性繊維の表面に熱可塑性樹脂繊維が規則的あるいはランダムに付着して1本の繊維束となっていることをいう。
上記被覆方法としては、押出法、熱可塑性樹脂を熱溶融あるいはエマルジョン化して浸漬する方法、スプレー法、静電塗装法など繊維束内外部、特に繊維束外部を樹脂で被覆する方法であればどのような方法でも良く、また融点、分子量、化学的組成など物理的・化学的構造の異なる2種類の樹脂を用いて2層以上に被覆しても良い。この場合外側の熱可塑性樹脂は内側の熱可塑性樹脂よりも低融点のものを使用すると繊維の被覆が十分に行えかつ繊維同士の交点での接合も容易である。また、混繊方法としては、各々の繊維100〜100000フィラメントを空気流(エアージェット)などで均一に混ぜ合わせる方法が好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂繊維は、熱可塑性樹脂として通常知られる樹脂であればどのような樹脂でも用いることができ、好ましくはナイロン樹脂、液晶性芳香族ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、液晶性芳香族ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ビニロン樹脂、アラミド樹脂、及びフッ素樹脂などの樹脂を挙げることができる。上記熱可塑性樹脂の融点は、80℃以上、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上である。
また導電性繊維と混成する熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂繊維として、カーボンブラックや銀、銅などの金属粒子を分散した熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂繊維などからなる導電性樹脂あるいは導電性樹脂繊維を用いてもよい。導電性樹脂あるいは導電性樹脂繊維の導電率は10−2〜10S/mであることが好ましい。
網目状構造体は、上記導電性繊維および非導電性繊維を用いて任意の網目状構造、目開きで形成することができる。
上記網目状構造としては、平織り、綾織り、朱子織り、絡み織り、模しゃ織りなどの織物;井桁状組布、3軸組布、多軸組布などの織機を用いないで造った組布といわれるメッシュ状の不織布など任意の構造とすることができるが、製造工程の簡単なことなどから組布が好ましく用いられる。網目状構造を作る場合、各繊維の配置方向は、どのような配置でも良いが、例えば、(a)導電性繊維を経糸方向など一方向に配置し、非導電性繊維を導電性繊維と実質的に直交する方向に配置して織物状あるいは組布状に形成する方法、(b)導電性繊維を経糸方向など一方向に配置し、非導電性繊維を導電性繊維と同じ方向および異なった一方向以上の複数の方向に配置し、織物状あるいは組布状に形成する方法などを用いることができる。
組布状に形成するときは導電性繊維の上下に非導電性繊維を配置する方法、導電性繊維の上部のみあるいは下部のみに非導電性繊維を配置する方法の何れの方法も用いることができるが、導電性繊維を保護するため組布状あるいは目開きの大きな織物状の非導電性繊維を導電性繊維の上下方向から挟んで融着する方法が好ましく採用される。上記のように配置した導電性繊維は繊維の交点が熱溶融して融着したとき偏平な断面形状となるが、偏平な繊維の方が表面積が大きくなり発熱効率は向上する。
上記導電性繊維は必ずしも網目状構造体内に均等に配置させる必要はなく、上記(a)、(b)の配置の場合であれば導電性繊維束を2本以上、好ましくは5〜15本を1組とした2以上の複数のブロックに分け、各ブロック間の間を開けて配置することもできる。各ブロック内の導電性繊維は各導電性繊維同士が接触しない距離で、1〜100mm、好ましくは3〜50mmの間隔で平行に配置され、さらに各ブロック間は10〜300mm、好ましくは30〜150mmの間隔を開けて平行に配置することができる。さらにそれそれのブロック間は10〜1000mm、好ましくは30〜500mmの間隔を開けて各ブロックの導電性繊維が一方向に配向するように平行に配置することができる。
導電性繊維同士および該非導電性繊維同士の目開きは目的に応じて任意の範囲で行うことができるが、好ましくは上記交点を融着したときに繊維束同士が該交点以外で融着しない範囲であればよく、目開きの下限は、lmm以上、好ましくは2mm以上、より好ましくは5mm以上、最も好ましくは10mm以上であり、目開きの上限は500mm以下、好ましくは100mm以下、最も好ましくは50mm以下である。ここで、目開きとは実質的に平行に配置された相隣り合う導電性繊維、非導電性繊維を含めた繊維同士の間隔をいう。上記目開きの下限値より少ない場合には繊維同士が交点以外で融着し網目状構造体の可撓性が失われ、加工性低下やロール巻きなどにして運搬しにくくなったり、導電性繊維の露出面積が小さかったり、脱気が不十分で気泡の層ができたりするため導電性繊維と電極を接続しにくくなり、目開きの上限値を超えると網目状構造体の強度や発熱体の発熱効率、補強効果が低下するため好ましくない。
網目状構造体は、導電性繊維および非導電性繊維を網目状構造に形成した後、次いで加熱処理して、導電性繊維および非導電性繊維各々の交点で熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹脂繊維を融着、接合させることで製造することができる。加熱温度は、導電性繊維および非導電性繊維が融着できる温度以上であれば良く、好ましくは熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹脂繊維の溶融温度以上、通常100〜400℃の範囲である。加熱融着方法は加熱したプレスや熱ロールによる圧着、張力下あるいは無張力下での高温槽や熱風の吹き付けによる熱溶融などどのような方法を用いても良い。
上記融着により、熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂繊維は少なくとも交点で熱溶融して融着していることが必要であるが、交点の融着が完全であれば交点部分の熱可塑性樹脂および熱可塑性樹脂繊維内部あるいは一部が未溶融であっても問題ない。また交点部分以外で熱可塑性樹脂あるいは熱可塑性樹脂繊維の全体が熱溶融してもあるいは一部分が未溶融のままであっても問題ない。
上記加熱処理後、得られた網目状構造体は、雰囲気温度に冷却し端部を設計寸法にトリミングして巻き取り機にて巻き取ることもできる。また網目状構造体を適当な幅・長さに切断、成形しても良い。網目状構造体の交点は融着しているため、任意の形状に加工することは容易である。
次に得られた網目状構造体を用いて発熱体60を製造する方法を説明する。
まず、適当な長さに形成された一枚の網目状構造体77を配置し、該構造体の導電性樹脂66の両端部に電極67を設け、さらに該電極上に導電性繊維あるいは導電性網目状体からなる表面粗さを有するアンカー部68を形成する。
網目状構造体77は、複数枚用いることもできるが、その場合には、任意の間隔あるいは等間隔で平行に配置させる。また、電極は温度分布が均一になるように網目状構造体77の両端だけでなく、網目状構造体77の中間に1つ以上の補助電極を作製してもよい。アンカー部68は、第9図及び第10図に示されるように、電極67上に積層して電極の一部とすることもできる。
電極67としては、銅、アルミなどの金属製箔片が好ましく用いられる。電極の大きさは幅5〜100mm、好ましくは幅10〜50mmである。電極67として、金属製箔片を使用すれば、成形時に繊維強化樹脂プリプレグシート69から樹脂が染み込んでアンカー部を被覆することがないので、成形後貫通孔78が塞がれることがない。
アンカー部68に用いられる導電性繊維あるいは導電性網目状体としては、例えば、金属繊維、金属金網、金属繊維織物、パンチングメタル、エキスパンドメタル、金属メッシュベルト、有機導電性繊維織物、及び導電性プラスチック製メッシュなどが挙げられる。アンカー部に用いられる導電性網目状体の目開きは通常、織物やメッシュベルトの場合で10〜500メッシュのもの、パンチングメタルの場合で開孔率10〜60%のもの、エキスパンドメタルの場合でSWが0.1〜30mmのものを用いることができる。上記織物の織り方は特に限定がなく、例えば、平織り、綾織り、朱子織り、模しゃ織り、平畳織り、綾畳織り、菱型、亀甲型、クリンプ織り、畳織り、丸型、撚り線織り、筵織り、及びトリプル織り等を挙げることができる。
次に、上記アンカー部68が付設された網目状構造体77の電極側にリード線用貫通孔78を有する繊維強化樹脂プリプレグシート69を、電極側と反対側には貫通孔のない繊維強化樹脂プリプレグシート64を積層する。そしてさらに電極側の該繊維強化樹脂プリプレグシート69上には、リード線貫通孔の周囲30〜60mmの範囲となるように剥離性に優れた剥離フィルム80、及びリード線用貫通孔を有する樹脂フィルム70を順に積層し、一方、電極側と反対側の繊維強化樹脂プリプレグシート64上には、樹脂付き樹脂フィルム63、均熱材62、及び保護用フィルム61を順に積層し、加圧・加熱して繊維強化樹脂成形体を製造する。
繊維強化樹脂プリプレグシート64、69に用いられる強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、セラミック繊維、アルミナ繊維、及びナイロン繊維などの非導電性繊維が好ましく用いられる。より好ましくはガラス繊維である。これにより補強効果だけでなく絶縁効果を増すことができる。強化繊維は一方向材、織物、不織布などどのような繊維形態でもよい。繊維強化樹脂プリプレグシート層の厚さは0.05〜0.5mmである。特に繊維強化樹脂プリプレグシート64をこの厚みの範囲にすると均熱材62に熱を伝えやすく好ましい。
なお、上記繊維強化樹脂プリプレグシート層を設ける代わりに、網目状構造体を型に入れてマトリックス樹脂を含浸することもできる。樹脂としては、用途に応じて任意の樹脂を用いることができるが、好ましくは熱可塑性樹脂および熱硬化性樹脂が用いられる。好ましい例としては、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、及び不飽和ポリエステル樹脂などを挙げることができる。用いる樹脂は耐熱性があることが好ましく、80℃以上、好ましくは100℃、より好ましくは150℃以上の耐熱性のある樹脂を用いることができる。なお、マトリックス樹脂を含浸する場合には、電極67、アンカー部68の融点はマトリックス樹脂の樹脂硬化温度あるいは熱溶融温度より高いことかつ耐熱性があることが望ましい。
繊維強化樹脂プリプレグシート69に設けた貫通孔78は、直径5〜50mmの範囲であり、貫通孔78によりアンカー部68の一部が露出するので、該貫通孔78を通して成形後に電源供給線を接続することができる。成形前に貫通孔78に剥離フィルム(剥離性蓋)79で蓋をしておき、成形後に取り除くことで、電源供給線接続用の貫通孔78を容易に再形成することができる。
剥離フィルム79、80としては、例えばフッ素樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂コートしたメッシュシート等を使用することができる。通常剥離フィルム80の径は剥離フィルム79のそれよりも大きくする。剥離フィルム80にメッシュ状、網目状のフィルムなど表面に凹凸のあるフィルム、例えば、メッシュ状フッ素樹脂コーティングシートを使用すればリード線貫通孔を開けた繊維強化樹脂プリプレグシート69にはその表面に凹凸82を形成でき、アンカー効果によりハンダ74等の電極接続部の埋め込み用の樹脂73との密着性が増すため好ましい。またリード線用貫通孔を有する樹脂フィルム70としては、PETフィルムを挙げることができる。
樹脂付き樹脂フィルム63としては、エポキシ樹脂を15〜50質量%/m塗布したPETフィルムを用いることが好ましい。均熱材62としては、金属板あるいは金属箔などが用いられるが、例えば、熱伝導性に優れる銅、アルミニウム製のものを好ましく使用することができる。また保護用フィルム61としては、PETフィルムを用いることが好ましい。保護用フィルムは、施工時に剥離する。
網目状構造体77の両側から上記材料を用いて順次積層し、加圧・加熱処理により成形を行って繊維強化樹脂成形体を製造する。成形時の圧力は、通常49×10〜49×10Paであり、好ましくは147×10〜245×10Paである。また成形時の加熱温度は、通常100〜200℃であり、好ましくは、120〜150℃である。加圧・加熱時間は、通常20分〜5時間、好ましくは、25〜30分である。
成形後、得られた繊維強化樹脂成形体から、剥離フィルム80の周囲に沿って樹脂フィルム70を切断する。そしてこの剥離性フィルム80および切断後の樹脂フィルムの一部81を積層体から取り除き、さらにリード線貫通孔のフッ素樹脂製蓋79を取り除く。これにより、繊維強化樹脂成形体にアンカー部68が露出した面を得ることができる。
次いで、電源供給線である耐熱用リード線75の一方の端部をハンダ付けや導電性樹脂74によって上記露出したアンカー部68の電極に接続し、さらに該接続部分を樹脂73でモールディングする。モールディングによって電源供給線と電極とを強固に接続することができる。またリード線75の他方の端部は、複数の過熱防止装置76(サーモスタット、フィラメント、熱電対など)に接続する。
モールディング73は、電極の周囲を直径20〜60mmの範囲で、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂等)、あるいは熱可塑性樹脂(例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)系ホットメルト樹脂等)を用いて行う。モールディングの際には、上記モールド部分に、非導電性樹脂枠72(ブッシング)を形成し、前記樹脂を充填する。非導電性樹脂枠の厚みは、後述する断熱材71の厚みと同じにすることができる。
リード線75を接続後、断熱材71で覆い、該断熱材を熱硬化性樹脂などで固定することができる。断熱材はどのようなものでも良いが、通常ポリエステルフェルトなどが好ましく用いられる。この場合、断熱材は電極周辺部分、リード線、過熱防止装置部分を打ち抜いてから固定する。
以上の工程により、本発明で用いる発熱体を製造することができる。得られた発熱体の集中応力時の耐荷重は200MPa以上、好ましくは300MPa以上、さらに好ましくは400MPa以上を有している。また耐水絶縁性は、発熱体を25℃の水中に24時間浸漬しても均熱材と電極間の絶縁抵抗は1MΩ以上、より好ましくは10MΩ以上を有している。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
0.5mm厚(d)の木製単板からなる上部材料、400μm厚(t)でアルミニウム製の熱拡散材料、そして12mm厚の合板からなる下部材料を用意した。
そして各材料の接合面に接着剤(水性ビニルウレタン樹脂KR470、光洋産業(株)製)を150g/mの塗布量で塗布し、各材料を積層し、熱プレスにより一体化して床材を作成した。
床暖房装置として下記のパネルを用いた。
第5図に示す電熱ボードを作製した。この電熱ボードは、第4図に示す断面構造を有する。桟木(枠)は、30mm幅で、5.5mm厚の補強材と2.5mm厚の発砲倍率7倍の発砲ポリエチレンに添加物を混入したスペーサーからなる防振防音材との2層構造とした。この桟木の内部に発泡倍率30倍の発砲ポリエチレンを断熱材として配置し、上面に第6図に示す面状発熱体を接着し、そして下面に補強シートを接着し、さらに面状発熱体の上面に均熱材を接着した。面状発熱体の厚さは0.5mm、補強シートの厚さは0.5mmであり、電熱ボード全体の厚さは9mmである。
施工する部屋に合わせてパネルの最大出力の下限値(p1)を65W/mになるように設定した。この値は、前述の最大出力の下限値(p1)を与える式[(木造、マンション等に応じて予め設定された単位面積当たりの最大熱負荷)/0.7(最大の敷設面積率)]から算出した。
6畳(10m)に200Wの電熱ボード6枚からなる総出力1200Wのパネル(第6図参照)を作製した。1枚の電熱ボードのサイズは1820mm×455mm×9mmであり、6枚連結したパネルの総敷設率は50%であった。
室温が20℃で一定になるように空調装置で制御した部屋において、床暖房装置の出力が出力最大の180W/mになるように調整し、運転を行った。
人体の床表面との接触温度は、第3図に示す床接触温度推定装置「EFCT計」を用いて評価した。人体の床表面との接触部の温度は平衡に達したときの温度である。その評価結果を表2に示す。
第3図の床接触温度推定装置30の符号31〜33は下記の通りである。
符号31(本体):厚さ2.0mmのアクリル樹脂製の槽
大きさ:100mm×100mm×100mm
符号32:シリコーンゴム(商品名:YE5822、東芝シリコーン(株)製)
符号33:フェルト(商品名:東洋紡スパンボンド 4301N、材質:ポリエステル100%、厚さ:2.7mm、東洋紡績(株)製)
[比較例1〜4]
アルミニウム製の熱拡散材料の厚み(t)を、0μm(比較例1)、30μm(比較例2)、80μm(比較例3)、又は200μm(比較例4)に変更した以外は実施例1と同様にして電気式床暖房システムを施工し、同様な方法で人体の床表面との接触部の温度を測定した。その評価結果を表2に示す。
Figure 0004041065
表2に示す結果から、床暖房の最大出力180W/mのパネルを用いた場合には、実施例1の場合のように熱拡散材料と上部材料との厚みで床材を構成することで人体の床表面との接触温度を42℃以下(一般に人体組織に不可逆変化は生じないとされている温度)に抑えることができる。
[実施例2]
200μm厚(t)の熱拡散材料、そして床材の全体の厚みが12mmとなるように合板からなる下部材料を用いたこと以外は実施例1と同様に床材を作成した。そして同様にして本発明の電気式床暖房システムを施工した。
最大出力140W/mの床暖房装置の出力が126W/mになるように調整したこと以外は実施例1と同様に運転し、また同様な方法で評価した。その評価結果を表3に示す。
[実施例3]
最大出力160W/mの床暖房装置の出力を157W/mになるように調整したこと以外は実施例2と同様に運転し、また同様な方法で評価した。その評価結果を表3に示す。
[比較例5]
床暖房装置の出力を出力最大の180W/mになるように調整したこと以外は実施例2と同様に運転し、また同様な方法で評価した。その評価結果を表3に示す。
[実施例4]
5.5mm厚(d)の上部材料を用いたこと以外は実施例2と同様に運転し、また同様な方法で評価した。その評価結果を表3に示す。
[比較例6〜7]
最大出力160W/mの床暖房装置の出力を157W/m(比較例6)あるいは最大出力180W/mの床暖房装置の出力を180W/m(比較例7)になるように調整したこと以外は実施例4と同様に運転し、また同様な方法で評価した。その評価結果を表3に示す。
[実施例5]
9.0mm厚(d)の上部材料及び230μm厚(t)の熱拡散材料を用いたこと以外は実施例2と同様に運転し、また同様な方法で評価した。その評価結果を表3に示す。
[比較例8〜9]
最大出力160W/mの床暖房装置の出力を157W/m(比較例6)あるいは最大出力180W/mの床暖房装置の出力を180W/mに(比較例7)なるように調整したこと以外は実施例5と同様に運転し、また同様な方法で評価した。その評価結果を表3に示す。
Figure 0004041065
表3に示す結果から、床暖房出力が126W/mのパネルを用いた場合には実施例2及び4に見られるように熱拡散材料の厚みを200μmに固定し、上部材料の厚みを0.5〜5.5mmに設定し、あるいは実施例5に見られるように熱拡散材料の厚みを230μm、上部材料の厚みを9.0mmに設定し、この条件で床材を構成することで人体の床表面との接触温度を42℃以下(一般に人体組織に不可逆変化は生じないとされている温度、即ち、低温熱傷を防止できる温度)に抑えることができる。また暖房出力が157W/mのパネルを用いた場合には、実施例3に見られるように熱拡散材料の厚みを200μm、上部材料の厚みを0.5mmの条件で床材を構成することで同様に低温熱傷を防止できる温度に設定できる。
本発明の床暖房システムの構成を模式的に示す断面図である。 各最大出力パネルにおける上部材料と熱拡散材料との関係を示すグラフである。 人体の床表面との接触温度を測定するために用いた床接触温度水性装置の構成を模式的に示す図である。 本発明で用いられる電気式床暖房用パネルを構成する電熱ボードの好ましい一例を模式的に示す図である。 複数の電熱ボードを折り畳み状態に連結してパネルを作るのに好適な電熱ボードの好ましい一例を模式的に示す図である。 隣り合う電熱ボードを密着した状態で敷設したときの電源線の電熱ボード内への収納状態を模式的に示す図である。 所定数の電熱ボードが折り畳み状態で連結されたパネルを床下地に展開、敷設する手順を模式的に示す図である。 隣り合う電熱ボードをその間を繋ぐ連結帯を用いて、両電熱ボードを密着状態で敷設する方法を模式的に示す図である。 本発明で好ましく用いられる発熱体の一例の分解斜視図を示す。 発熱体の電極部分の断面図を示す。

Claims (12)

  1. 電気式床暖房用パネルとこの上に載置される床材とからなる電気式床暖房システムにおいて、該床材が、0.01〜12mm厚(d)の床表面を形成する上部材料であって、該上部材料が無垢木材、合板、MDFボード及びHDFボードからなる群より選ばれる木質材料、30〜1000μm厚(t)の上記上部材料の下部に該床表面に平行に配置される熱拡散材料であって、該熱拡散材料がアルミニウム、銅及びマグネシウムからなる群より選ばれる金属材料、そして上記パネルにその下面を接して配置される下部材料とからなり、これらが積層して一体に形成されており、かつ最大出力の下限値(p1)が65W/mの下記パネル(1)〜(12)であってその各最大出力の上限値(p2)に応じて予め決められた係数a、bを導入して得た下記関係式(I):
    t≧a×d+b (I)
    (1)p2が140W/mのパネルの場合、aが2.1でbが50
    (2)p2が150W/mのパネルの場合、aが2.9でbが71
    (3)p2が160W/mのパネルの場合、aが4.5でbが113
    (4)p2が170W/mのパネルの場合、aが7.6でbが163
    (5)p2が180W/mのパネルの場合、aが17.9でbが228
    (6)p2が230W/mのパネルの場合、aが69.4でbが553
    (7)p2が240W/mのパネルの場合、aが79.7でbが618
    (8)p2が250W/mのパネルの場合、aが90.0でbが683
    (9)p2が260W/mのパネルの場合、aが100.3でbが748
    (10)p2が270W/mのパネルの場合、aが110.6でbが813
    (11)p2が280W/mのパネルの場合、aが120.9でbが878
    (12)p2が290W/mのパネルの場合、aが131.2でbが943
    を満たすように、上記上部材料の厚み(dmm)と熱拡散材料の厚み(tμm)とを設定することにより、床材が構成されていることを特徴とする電気式低温熱傷防止床暖房システム。
  2. 下部材料が木質材料である特許請求の範囲第1項に記載の床暖房システム。
  3. 床材の全体の厚みが、2〜40mmである特許請求の範囲第1項又は第2項に記載の床暖房システム。
  4. 所定数の電熱ボードが折り畳み可能な状態で連結された電気式床暖房用パネルであり、該パネル1セット以上使用した敷設面積が、施工する部屋の床面積の50〜70%になるように予め設定されており、かつ床暖房パネルの最大出力の下限値(p1)が65W/mで、その最大出力の上限値(p2)が該床暖房パネルと組み合わせて使用する床材によって制限されており、
    該床材が、0.01〜12mm厚(d)の床表面を形成する上部材料であって、該上部材料が無垢木材、合板、MDFボード及びHDFボードからなる群より選ばれる木質材料、30〜1000μm厚(t)の上記上部材料の下部に該床表面に平行に配置される熱拡散材料であって、該熱拡散材料がアルミニウム、銅及びマグネシウムからなる群より選ばれる金属材料、及び該熱拡散材料の下の下部材料が積層して一体に形成されており、かつ上記上部材料の厚み(dmm)と熱拡散材料の厚み(tμm)とが、
    (1)t≧2.1×d+50の関係を満たす場合にp2が140W/mである、
    (2)t≧2.9×d+71の関係を満たす場合にp2が150W/mである、
    (3)t≧4.5×d+113の関係を満たす場合にp2が160W/mである、
    (4)t≧7.6×d+163の関係を満たす場合にp2が170W/mである、
    (5)t≧17.9×d+228の関係を満たす場合にp2が180W/mである、
    (6)t≧69.4×d+553の関係を満たす場合にp2が230W/mである、
    (7)t≧79.7×d+618の関係を満たす場合にp2が240W/mである、
    (8)t≧90.0×d+683の関係を満たす場合にp2が250W/mである、
    (9)t≧100.3×d+748の関係を満たす場合にp2が260W/mである、
    (10)t≧110.6×d+813の関係を満たす場合にp2が270W/mである、
    (11)t≧120.9×d+878の関係を満たす場合にp2が280W/mである、
    (12)t≧131.2×d+943の関係を満たす場合にp2が290W/mである、
    ことを特徴とする電気式床暖房用パネル。
  5. 所定数の電熱ボードが、個々の隣り合う電熱ボードの縁辺部に設けた孔に連結帯を通すことにより折り畳み可能な状態で互いに連結されている特許請求の範囲第4項に記載の電気式床暖房用パネル。
  6. 電熱ボードの発熱体が、非導電性繊維及び導電性繊維の交点を接合してなる網目状構造体の該導電性繊維の両端に電極が接合されており、該電極に表面粗さを有するアンカー部が積層され、該アンカー部に発熱体外部から通電可能な貫通孔を有する繊維強化樹脂プリプレグシートが積層され、さらに該プリプレグシート面上に該貫通孔より大きな半径の貫通孔を有する樹脂フィルムが積層され、これらが加圧加熱処理により成形体を形成しており、かつ該貫通孔を形成した部分に対応するアンカー部が樹脂でモールドされている特許請求の範囲第4項又は第5項に記載の電気式床暖房用パネル。
  7. パネル1セットが、2〜10個の電熱ボードからなる特許請求の範囲第4項に記載の電気式床暖房用パネル。
  8. 下部材料が木質材料である特許請求の範囲第4項に記載の電気式床暖房用パネル。
  9. 0.01〜12mm厚(d)の床表面を形成する上部材料であって、該上部材料が無垢木材、合板、MDFボード及びHDFボードからなる群より選ばれる木質材料、30〜1000μm厚(t)の該床表面に平行に上記上部材料の下に配置される熱拡散材料であって、該熱拡散材料がアルミニウム、銅及びマグネシウムからなる群より選ばれる金属材料、及び該熱拡散材料の下の下部材料が積層され、かつ上記上部材料の厚み(dmm)と熱拡散材料の厚み(tμm)とが、最大出力の下限値(p1)が65W/mの電気式床暖房用パネルであってその最大出力の上限値(p2)が各パネル用として
    (1)p2が140W/mのパネルの場合、t≧2.1×d+50
    (2)p2が150W/mのパネルの場合、t≧2.9×d+71
    (3)p2が160W/mのパネルの場合、t≧4.5×d+113
    (4)p2が170W/mのパネルの場合、t≧7.6×d+163
    (5)p2が180W/mのパネルの場合、t≧17.9×d+228
    (6)p2が230W/mのパネルの場合、t≧69.4×d+553
    (7)p2が240W/mのパネルの場合、t≧79.7×d+618
    (8)p2が250W/mのパネルの場合、t≧90.0×d+683
    (9)p2が260W/mのパネルの場合、t≧100.3×d+748
    (10)p2が270W/mのパネルの場合、t≧110.6×d+813
    (11)p2が280W/mのパネルの場合、t≧120.9×d+878
    (12)p2が290W/mのパネルの場合、t≧131.2×d+943
    を満すように一体に形成されていることを特徴とする低温熱傷防止床暖房用床材。
  10. 下部材料が木質材料である特許請求の範囲第9項に記載の床暖房用床材。
  11. 床材の全体の厚みが、2〜40mmである特許請求の範囲第9項又は第10項に記載の床暖房用床材。
  12. 所定数の電熱ボードが折り畳み可能な状態で連結された電気式床暖房用パネルと床材とを組み合わせた電気式床暖房用装置であり、床暖房パネルの最大出力の下限値(p1)が65W/mで、その最大出力の上限値(p2)が該床暖房パネルと組み合わせて使用する床材によって制限されており、
    該床材が、0.01〜12mm厚(d)の床表面を形成する上部材料であって、該上部材料が無垢木材、合板、MDFボード及びHDFボードからなる群より選ばれる木質材料、30〜1000μm厚(t)の上記上部材料の下部に該床表面に平行に配置される熱拡散材料であって、該熱拡散材料がアルミニウム、銅及びマグネシウムからなる群より選ばれる金属材料、及び該熱拡散材料の下の下部材料が積層して一体に形成されており、かつ上記上部材料の厚み(dmm)と熱拡散材料の厚み(tμm)とが、
    (1)t≧2.1×d+50の関係を満たす場合にp2が140W/mである、
    (2)t≧2.9×d+71の関係を満たす場合にp2が150W/mである、
    (3)t≧4.5×d+113の関係を満たす場合にp2が160W/mである、
    (4)t≧7.6×d+163の関係を満たす場合にp2が170W/mである、
    (5)t≧17.9×d+228の関係を満たす場合にp2が180W/mである、
    (6)t≧69.4×d+553の関係を満たす場合にp2が230W/mである、
    (7)t≧79.7×d+618の関係を満たす場合にp2が240W/mである、
    (8)t≧90.0×d+683の関係を満たす場合にp2が250W/mである、
    (9)t≧100.3×d+748の関係を満たす場合にp2が260W/mである、
    (10)t≧110.6×d+813の関係を満たす場合にp2が270W/mである、
    (11)t≧120.9×d+878の関係を満たす場合にp2が280W/mである、
    (12)t≧131.2×d+943の関係を満たす場合にp2が290W/mである、
    電気式床暖房用パネルを組み合わせたことを特徴とする電気式床暖房装置。
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